ワタクシのJP初体験は復讐の叫びという邦題がなんかカッコイイSCREAMING FOR VENGEANCE、そして次作のDefenders of the Faithだった。ヘヴィメタルの聖典として、多くのフォロワーを産んだ名盤。そして、80年代に巻き起こるハードロックからメタルへの移行、その時代の象徴となる作品が今作だと教えて貰ったが、国内盤はUS盤仕様と同じくBreaking the Lawから始まるという構成が良くなかった。 余りにも単調なリフとリズム、妙なキャッチーさ、そしてソロはブワーッと弾くという流れ、あと銀行強盗に押し入るショーもないPVも更にマイナスで、ライブではテンポアップしてやったが、アメリカ仕様なのだろうがオープニングナンバーとしては弱かった。特に2曲目のRAPID FIREがカッコ良かったので、絶対にオープニングはコッチだと思う。 しかし、本来は②がオープニングで①が3曲目だと聞いて妙に納得した。そしてそういう曲順にして聴くと実にシックリくる。エッジの立ったメタルギターとリフ、そして加速化したサウンドの①からミドルに②へと流れ、哀愁のメロディとキャッチネスさを意識した③は実にハマっている。 だから④のGRINDERもシンプルに力強く刻まれるリズムとリフに耳が持っていかれる。サビメロが印象的なスケールの大きい⑤、オリジナルの6曲目はYou Don't Have to Be Old to Be Wise、7曲目がLiving After Midnightとなる。正直、この並びでは⑥は地味に感じるが曲自体はコマーシャル性のある曲であり、次作以降に引き継がれるアイデアの雛形だ。 今作は、今聴いても新鮮さがある。そのフレッシュ感の正体は、音楽に対する忠誠心だろう。邪な感情ではなく時代を見据え対峙した中堅バンドの捲土重来とも言うべき、渾身の一枚。その狙いすました音楽性は、新時代の幕開けに相応しい勢いとハードエッジに富んだ作風だ。
まずSLAYERであるがツインギター編成の5人組、これぞジャパニーズメタルなShoot Down Tokyoで幕開け、小気味よく刻まれるリズムと甘めの歌声、さざ波ヴィヴラードは気になるが、上手いことやり切ってくれる、歌詞も80年代的だ。何もかもが懐かしい、これを楽しめるオールドスクール大好きマニアならば、なんか嬉しくなるだろう。もうこういうの新譜ではきけんもね。Hurt Angelは日本らしい叙情派ハードポップソング。こういうのは欧米では目に掛らない。
再始動の機運となったドイツで行われるメタルフェスKeep It Trueへの参加が鼓動となり、新たなる道を歩み出した古豪の復活。実力はあったが時代の波に呑まれ、バンド名や音楽性を変えた時代もあったが、それらを糧に、正当性の強いメタルサウンドで復活。 前作に感じた、先人達からの露骨なデジャブ感を抑え、より明確なスタンスで音楽性を煮詰め、自分たちの流儀を見いだした今作。
Want It Allなどパワーメタル風味と様式メタルを融合させ力感と華麗さをアピール。少々古めかしい鍵盤プレイをねじ込み古き良き時代に誘ってくれる。そしてPictures of Loveでまた甘い世界へと導き、その北欧テイストが優しく寄り添いロマンティシズムを強めたサウンドで魅了。 Bird on a Wireの持つキャッチーさ、②以降の流れは素晴らしく初期の頃の彼らの魅力を補完した。目新しさのないサウンドではあるが堅実である。
ゆりやんレトリィバァの熱演が話題のドラマ極悪女王。その人気ぶりは凄まじく、とうとう今作の配信が決定した。幻の珍品の復活。既にゆりやんがカヴァーしているDump the Heelも披露されているが、彼女、さぞや苦労したろう。 なんと言ってもダンプ松本の壊滅的な歌声、その極悪ぶりに、どう歌メロを理解すれば良いのか苦労したはずだ、とにかく凄かった。藤波辰巳は殿堂入だが、80年代らしいよなぁ。こんなクオリティで商品化されるんだから昭和のえげつなさを感じますよね。
Brothers of Metalがいるのに同じレーベルから同スタイルのバンドがデビューしてきたことに驚きました。なにを血迷っているんだという思いは変わりませんが、このバンドの方がシェイプされプロ意識の高いメンツを集めたユニットバンドとしての使命を果たしている。 日本人に取っては辰年でしかないYEAR OF THE DRAGONも和風なメロディを盛り込み侍メタルをやっている。
AFMから離れたのでかぶりまくりのバンド、Brothers of Metalが可哀想だった。だって向こうは、昔からの仲間が純粋にバンドとして成功を目指し契約を掴んだ。たしかにアマチュア臭さはあった。特に肌を露出する格好のわりには、ダルダルにたるんだ身体で見苦しかった。まさにロックオタク青年達がバンドを組んだという事だろう。
豪快でダイナミック、売れ線街道を走っているが、脳天気な明るさではない堅実さ、その手練手管な制作陣によるハードサウンドには一定の需要があるだろう。個人的には何か始まりそうで何も始まらない印象が強く、途中で飽きてします。一曲の完成度は高いのに並べると無個性に感じてします。演奏も上手い、アレンジも当時の背景を感じるとベタ中のベタ。 難しいねぇ。下手でもどこか突き抜けた個性がないとダメなんでしょうかねぇ。ちなみにラストのLOVE POTION #9は有名な曲のカバーです。Tygers Of Pan Tangがやったヤツがハードサウンドファンには馴染みが深いでしょう。
バンドの名義で揉めた経緯がワイドショー的で、どうにも素直になれないバンドなのだが、雑誌大パクリ自称サクソンファンでもない限り、このバンドのスタートはSon of a Bitchであり、オリジナルのラインナップはグラハム・オリバーとスティーブ・ドーソンの二人だというのはファンの間では有名な話。その辺を詳細に語るメディアがあるのかワタクシは知る由もないのだが、一応は二人が最初期のメンバーだ。だから俺達がSAXONだというのは少々やり過ぎだと感じるのは否めない、そして何故かビフ・バイフォード=SAXONという偏った思想があるらしく、その誤った感覚がこのバンドを非難の対象に導いているのは残念である。オリジナルの二人は尊重されるべきだが、どうしてSAXONとなりバンドのイニシアチブは誰が握っていたのか気になる。 もし樋口宗孝がラウドネスを脱退して二井原実先輩とSLYを結成した。そして高崎晃率いるラウドネスは仏陀メタルになり様相が変わりすぎた。樋口のSLYの方がメタルらしいが、確実にラウドネスと名乗る事は許されなかったろう。彼がラウドネスのリーダーだとしてもバンドの顔は高崎晃だからだ。そういう意味でSAXONはビフ・バイフォードの物と考えるのが妥当だろう。
⑤はSon of a Bitchの曲、あとはクラシックSAXONである。声を歪ませ力強く歌い込むジョン・ワード。ビフと同じで音域は狭いがライブでも力負けしないパワフルな歌声を披露。リリース当時に流れていたネガティブな思想を払拭するパフォーマンスを披露している。 なによりリードギターがやはりグラハム・オリバーだというのが、ホンモノの音を感じさせてくれる。あのソロはグラハムだったよな、そういう当たり前の事が繰り出されているので違和感はない。
大半はBURNING JAPAN LIVEにも収録された曲だがアレンジが違う、そこがライブの旨味。またオープニングナンバーがあの、第二期パープルの名曲中の名曲から幕開けというのも興味をそそられる。 歌われ継がれる③におけるグレンによる絶品のパフォーマンスに酔わされる。それは⑩でも同様。スタンダードなナンバーだからこそ、神がかったグレン・ヒューズのパフォーマンスに魅了。ラストはL.Aブルースアンソロジーからという美味しい選曲。ちなみに配信盤にはインタビューは割愛されているので13曲、ラストの三曲はアンプラグドライブという趣、でもFROM NOW ONが終わったらインタビュー始まるけどね。