レーベルに対する信頼度とデニス・ワードがプロデュースに勝負を掛けて久しぶりに店頭にてジャケ買いをしてしまった大当たりの一枚を紹介します。最近は本当に勉強不足で彼らのバイオも分からず、ギタリストのスペルにはOの上にチョンチョンが付いているんで読めない奴でしょう。若干の不安も有ったんですけどね。勢いでいったんですが、これが良かったですよ。シンフォニックなイントロで始まったのはジャケットから何となく想像もできましたが個人的には②の「Break the Silence」が始まった瞬間からキタキタとニヤニヤさせられました。ドラマ性を配したバラード⑤ぐらいでお腹いっぱいの充実感を味わい、古くて新しい王道を押さえてメロデイックメタル路線に往復ビンタを喰らいましたね。強靭なグルーブを轟かせるリズム隊、華やかさと奥行きを与えるアレンジセンスも見事なキーボード、そして王道サウンドに屋台骨として豊潤なメロディが紡ぐギターと、この手のサウンドを熟知しているなぁと感心させられました。そのメンバーを従えるエモーショナルな歌声が見事に実を結び(ドゥギーホワイト風)王道メタルへと向かう解放感は素晴らしいものがあります。ノスタルジーでは終わらない伝統と改革の両立を推し進めた壮大で華やかだがシンプルな楽曲の数々に安心感と完成度の高さを見せつけられました。多彩で雄弁なメロディが語る激しくもテクニカルな名演の数々、スケールの大きな構築美が濃密な旨味を味わえます。
1stはトーマス・ヴィクストロームをシンガーに、そして2013年の今作はMr,北欧ヴォイスと思っておりますクリスタルな煌めきと深みのある歌声が魅力のヨラン・エドマンを迎え入れリリースされております。懐かしい北欧風のメロディックなAOR系のHM/HRサウンドを響かせており。マニアなら頭からケツまで感動の嵐が巻き起こるでしょう。どの曲もシングルカットされてもおかしくないクオリティを兼ね備えておりキャッチーなメロディが優美で軽やかに躍動する様は変わり映えのないジャンルならではの王道を押さえております。MR,BIGのカヴァーもやった事あるくらいなんで泣きすぎず、やや乾き目なのも狭い狭義で語られることのない大衆性をまとい、万人受けする寛容なスタイルを築いていると思います。涙腺を刺激する「Hold On」「Think About All Times」とか個人的には大好きなスタイルですね。メロディ愛好家には強くおススメをする一枚、けして軟弱にならないアレンジと邪魔をしないツボを押さえたギタープレイとリズム隊の職人技は見事な塩梅ですよ。
まずは時代を見据えた一枚ですよね。従来の勢いを維持しつつもメジャー感のあるスケールの大きな作風へとシフトチェンジ、緊張感のある威厳に満ちた貫禄の一枚へと仕上げていますね。流石はNWOBHMシーンを牽引してきたバンドだけの事はありますね。疾走感の哀愁のメロディが更に進化した①からして気合いが漲っています。似たようなメロディラインを行ったり来たりするだけの歌メロなんだけど、不思議なくらいメロディアスに感じ似て非なる曲を作るのが本当に上手い、このあたりに僕は熟成されたバンドの風格を感じずにはいられません。④のような曲を上手に料理するんだから初期の頃とは違う面を巧みに見せていますね。同じ場所に踏みとどまりチマチマとしない彼らの気概に大きなロック精神を感じます。でも「THE EAGLE HAS LANDED」のあとに聴かされると違和感がないとも言いません。メジャー感の増した彼らの意欲作、個人的には緊張感溢れる名盤だと思います。
アメリカ市場を意識しすぎた歌中心のキャッチネス路線と距離を置き、まだまだアメリカンな風合いを根強く残っていますが、従来のリフワークが復活してきた1986年リリースのアルバム。②なんてモロにあの空気を感じまよね。とは言え⑦⑩ではピアノでエルトン・ジョンが参加するなど違和感もあり微妙な空気が流れます。ビフの平坦な歌い回しも独特のメロディラインが印象度を高めるキャッチーな③なんかもあざとさが薄れ、やる必要のない路線かもしれませんが安定感のある演奏とアレンジは流石だなぁと感心させられます。疾走感やハイカーズサウンドとは異なるノリに違和感を持たれ中途半端な作品として人気も薄いようですが、個人的には大人になった深みのあるサウンドは実に心地良いんですけどね。SAXONはアルバムの枚数が多いので、流石にこれから聴けとは言いませんが小手先の技で逃ないベテランならではの醍醐味を感じますね。らしさとアメリカ市場を意識した今作、メロディアスに舵を切った「DESTINY」とアメリカンナイズされすぎた前作「INNOCENCE IS NO EXCUSE」との間をいったような一枚ですね。ちなみに僕が持っているのはボートラ8曲入りの音質は格段に良くなったヴァージョンなんで余計にそう感じるのかもしれません。