Blonde On Blondeから改名、そしてアルバムタイトルが『Blonde On Blonde』ってややこしい事をするなよ。収録曲も被ってんじゃないのか、ツインヴォーカルからベンテ・スマーヴィク一人になったが、音楽性に大きな変化は無く、むしろ、トニー・プラッタがミキシングを担当、プロデューサーにバーニー・マースデン、そういう縁もあるのかキーボードはドン・エイリーときている。こうなって外すわけが無い、日本人好みのメロディアスハードスタイルは、大映ドラマの主題歌になりそうな曲もあったりと、癖が薄まった分、親しみやすさも増量され、サウンドプロダクションの強化も功を奏している。 ただ、一撃必殺というのか、このバンドの名刺代わりとなるような強力なナンバーがあるのかと言われると若干弱さを感じる。そのあたりに不満も出そうだが、個人的には、ハードサウンドで疲弊した耳を休ませるのに丁度良く、ハートの北欧版的なニュアンスで楽しめると思いますので、イマイチ、日本で知られていない分、こんなんありますよと、唄モノロックマニアにそっと教えておきたいですね。
1986年に4曲入のEPをリリースして消えた幻のUS産正統派メタルバンド。今作は2016年にあのCult Metal Classics Recordsからデモ音源やライブ音源など未発表曲も大量に追加されてリリースされた一枚。オリジナルのアナログ盤が高価なレートを維持していただけに、この復刻はマニアにとってはありがたい出来事でしたね。 鐘の音が裏で鳴るオープニングナンバーが示すようにダークでメタリックなサウンドを主体としたガチンコ正統派メタルを展開、一切、媚びへつらう事の無いサウンドは、本来のアメリカンメタルとはこうだったんだよと言いたげなスタンスを見せつけています。 時代はメタルバブルに沸き起こる1986年です、受け皿なきシーンもさることながら弱小レーベルでは太刀打ちなど不可能でしょう。
メロディアスでダークなメタルが好きな方ならば大いに楽しめるでしょう。また、このバンドがレアというだけで高額なレートはつきません、その質の高い音楽性があればこそ、インディース盤というのを割り引かなくても、そのガチンコな精神性には強くメタルスピリットを感じますね。光沢艶めかしいパワフルなメタルサウンドの凄み、本編4曲の強烈さに耳を奪われるのですが、それ以降の12曲も激レア感がエグいので、マニアにとってはありがたい一枚です。とは言え、音質的に厳しい面は多々あります、とくにデモや未発表曲に関しては、板起こしかと思うほど、厳しいモノがありますので、コレクターアイテム的な満足度なんでしょうけどね。 もっとしっかりとした音質で聴きたいと思わせるクオリティ、こういうバンドが世に出られなかったのは残念ですが、運も実力の内なんでしょう。それにしてもCult Metal Classics Recordsはマニアを散在させるレーベルですね。
Storiesのシンガーとして知られるイアン・ロイドが立ち上げたバンドの1st。今作は国内盤の流通が無かったようで、そのせいもあり知名度が低いのだが、参加メンバーの豪華さとクオリティを考えると不思議で仕方が無い。本当に国内リリース無かったのだろうか?と首を傾げるのですが、まずはプロデューサーとホーンなどで参加するのがブルース・フェバーン、ボブ・ロックはミキシングも担当する中、ゲストとしてギターも担当、ボー・ヒルはオープニングナンバーを提供とやはりキーボードやギターでクレジットあり、さらにはジム・ヴァランスも大半の楽曲を手掛け、そのうち4曲はジムとブライアン・アダムスの共作、さらには当時、Torontoで活躍していたギターのブライアン・アレンも楽曲クレジットに名前があり、アメリカ人のイアンとカナダ出身のミュージシャンが共演する形になっており、正直、イニシアチブは誰が握っているのかと?不思議な気持ちになるプロジェクトチーム的な側面のあるバンドとなっています。ちなみにドラムのRodney Higgsがジム・ヴァランスです。なぜ名前を変えたのかな?本名はJames Douglas Vallanceなのにね。
衝撃的なヴィジュアルを公開してファンを驚かせたジョー。最近名前を聴かなくなりましたが、こうして健在な歌声を披露しています。衰えがないと言えば嘘ですが、ジョー節とも言えるメロウな歌メロを軸にダークでシリアスなメロディックメタルを展開、北欧系アーティストの協力の下、古くさいDP、RAINBOW臭にすがるだけでない、現代的な奥深いサウンドテクノロジーを駆使したタフなスタイルへと挑んでいる。どこかコンセプト色のあるスタイルは、人種問題、コロナ騒動等々の社会に暗い影を落とす現代社会が抱える問題点への警鐘を鳴らすかの如く、暗雲立ちこめるダークサウンドに挑んでいる。 コーラスワークも今までのジョーにはないイメージ、今っぽいリズムアレンジとキーボードの使い方も含め、定番を守りつつも新たなるフィールドへ挑んだという印象と強く与えているのだが、ペーター・テググレンと共闘しながら、元○○の殻を破ったという事でしょう。 広瀬編集長の溺愛のおかげで、日本においてBIG IN JAPANを謳歌、鞄一つで何処にでも唄いに行くフレキシブルさも手伝い、マイナーアーティストとの共演も多いジョー、そういう姿勢はけして無駄では無い。彼の歌声はあらゆる場面で多くの人々の心に残してきた。今作に伴うツアーでも、昔の名前で出ていますな曲もやるのだろうが、そろそろ元○○の看板を下ろして頑張って欲しい。今作でも、それっぽいのやっているんだからさ。
2021年に『Made In Heaven... Not Dead Yet』というタイトルで再発盤が出た幻の一枚。ライブ音源+前身となるSIN時代のシングル2曲を追加、ある意味バンドの代表曲とも言える『On the Run』のオリジナルヴァージョンが聴けるわけです。 そういうレア度もあがり作品としても価値も上昇。オリジナル盤を見たことがないので分からないのだが、こちらで自動登録されているモノと曲順も違いますので下記にて記入いたします。 1-All My Love 2-Heat Of The Night 3-Traitor 4-Love Can't Wait 5-Nothing At All 6-On The Run 7-Made In Heaven 8-Takin' The City 9-Black Cat 10-Calling You 11-On The Run 12-Captured In Time 13-Rockin' All Night 14-Magic Is Done 15-Not Dead Yet
ちなみにこのバンドは、アン・ボイレン首謀のNew Renaissanceレコードからリリースされたガールズメタルバンドを集めたコンピ作『Ladykillers』に今作にも収録されている「On the Run」を提供しています。 このバンド、今の方が確実に評価されるでしょうね。80年代のアメリカのロックシーンにおけるバブリー感はハンパ無かった。硬派なバンドなんで必要ないもんね。みんな姿形を変えられましたよ。このバンドから、そういう苦悩と妥協点を見いだすことが出来ます。
プレイングマンティスの1stなど、叙情派NWOBHMの名盤のように語られるが、こういう隠れた名品が多いのがNWOBHMの魅力だし魔境の如き底なしの魅力がある。 まぁNWOBHMは1980年から1981年に起きたムーブメントであり事象だとか、NWOBHM四天王など雑誌に感化されまくる人の耳に意味の無いことだが、そういうくだらないバイアスの掛かっていない硬派な叙情派ハードサウンドをお探しのマニアにはたまらんものがあるでしょう。2010年にCult Metal Classics RecordsからCD化された際には幻のシングルをボートラとして収録、その音楽的変遷を楽しんでください。
Metal Massacre Xに『Sick or Sane?』を寄稿するも時代の煽りを受けバンドは解散、結局、デモ音源のみのリリースで消えたアメリカンスラッシャーが過去の楽曲を復活させたコンピ作がこちらになります。 完全にスラッシュ第二世代とも言うべき、スラッシュメタルからの影響を受けたスラッシュメタルです。初期型のメタリカ、エクソダス、スレイヤー、アンスラックス、デスエンジェル、オーバーキルと言ったバンドの顔が見えてくる音楽性、その先人達からの影響を素直に落とし込んだサウンドは、正にオールドスクール一直線、ダークでイーブルなテイストは禍々しい瘴気に犯されており、毒素に浸食されたスラッシュサウンドで聴き手を魅了するでしょうね。 こんなもん聴くくらいならば、俺は有名バンドのスラッシュメタルを聞き直すよと言われたら反論はしませんが、はやり、狭い協議の中でも新しいモノを見つけた、あの時代の匂いがする胡散臭いレアモノに触れたいなどの、マニアックな感性を満たしたい猛者には、ほっとけない魅力が満載です。ある時期から、どこかスラッシュメタルバンドからも健全な所謂ポジティブさが前のめりに出てくるバンドや楽曲も増えてきました、このバンドは、そういう方向性とは逆のスタイルを取っている点が個人的にはツボであり、先の見えないスリルはないのだが、正統性の強いメタルを下地にビルドアップされた初期型スラッシュから薫陶を受けた、サタニカルな要素が大好きです。どこか荒涼としたサウンド、アメリカのバンドではないので濡れていないのだが、アンダーグラウンドの帝王時代のスレイヤーやメタリカを思い出させるマインドを感じさせてくれるのが最大の褒めポイント。 自分が初めてメタルに触れた時代を想起させる、胡散臭い地下メタル感が懐かしいんですよね。メジャーアクトにツバを吐く高潔なるメタルスピリット。オカルトホラーテイストを孕んだステゴロスタイルにグッときますよ。
デモ音源をリリース後、今は亡きMandrake Rootレコードからリリースされた8曲入の音源。フルアルバムなのかミニアルバムなのかは分からないが正式な音源はこれだけだったと思う。マニアにとっては愛すべきMandrake Root関連の作品なのだが、知名度が低くマニアからも忘れさられた感が強いのが残念。 A面のオープニングナンバーは、これは正解だったのかというのが個人的にはあり、このあたりがマニアの評価を分けたのではないのかなぁと思いますね。ニューミュージック風のポップロックで幕開け、シンガーの唄い回しも楽曲もアースシェイカーを想起させるモノであり、個人的には肩透かしを食らった気分である、しかし、曲自体は非難されるようなモノではなく、甘口の楽曲を支えるリズム隊の堅実さとパワフルさに耳が奪われる、控えめなツインギターコンビも可能性がありそうだ、マーシー過ぎる唄いからが気になる、やはり今聴いてもB面の一曲目である『Shout Through the Night』のようなハードロッキンで攻めて欲しかった。
多くのファンにそっぽを向かれた、あの80年代中期を想起させる音楽性に着手した今作。ハッキリ言えば、サクソンがNWOBHMスタイルを取っていたのは80年から81年までにリリースされた3枚のアルバムのみ、1983年のアルバム『Power and the Glory』からは、英国からアメリカへ活動拠点を移すためにワールドワイドな作風へと着手しています、常に時代の流れの中で、音楽性をキメてきたのですが、今作はそういう意味では、少々遅かった原点回帰とも言えます。 個人的につまらないアルバムをリリースした時期の80年代中期、しかしアメリカンナイズドなんて十把一絡げのメディア論に乗ることなど出来ず、単に不器用な彼らには似合わないだけでした。 もしアメリカンナイズドがダメなら総じて同様の意見で切り捨てなければイケません。WHITESNAKEのサーペンスは、完全にアメリカンナイズドです、ムッキムキのヘヴィロックに変貌、情緒もクソもあったモノではない別のバンドになりました、メディアも絶賛、誰もアメリカンナイズドなんていいません。EUROPEも同様ですね、ロマンティシズム溢れる2枚目から、3枚目のアルバムは洗練されたメジャー感は正にアメリカンナイズドの極地ですが売れたので、誰も文句をいいません。むしろ代表的なアルバムです。ワタクシにとってはアメリカンナイズド以外の何者でもありません、アメリカンナイズド=ダメなら、全てがダメです。80年代中期のメジャーアルバム全滅です。JPも『TURBO』だもんね。オジーもジェイクとモダンなのやっていたなぁ。
古典ロックの旨味を90年の頭にここまで思いっきり出せるバンドなどそうはありません。古さに埋没しない揺るぎなきロックスピリット。ガンズブームなど微塵も感じさせない叙情性とハードサウンドの絡み、パワープレイだけじゃない、バラードで魅せる守備範囲の広さ、ロックの教科書と言われるようなバンド達と比肩しても遜色のない定番の魅力、アメリカに支配されていた歴史があるからこその無国籍具合に少々ニガイ思いもあるのだろうが、こういう骨太なロックが埋もれるのは惜しい。残念すぎる。 George Murasaki and Marinerが奇跡の再発があった今、自主制作盤も復活劇が見たいですね。クラウドファンディングでいいんじゃいですかね。