英国産ハードポップバンドが1994年にリリースしたアルバム。時代はグランジ・オルタナ全盛、厳しい環境下にこの手のサウンドを世に送り出すミュージシャンがいた事に驚きます。英国産らしい憂いに富んだメロディが優しく抱きしめてくれる佳曲が目白押し、刺激は薄いがキーボードの使い方も出しゃばらずも効果的に使い嫌味なく聴き手の守備範囲を広げ、万人に喜ばれるようなハードな刺激を加味しているのが印象的。地味ですが、いぶし銀のアレンジが冴えわたるの職人技に、「人生送りバント」でお馴染みの川相昌弘を思い出されますね。本当に地味目なんですがマニアには②の”Power over me ”を強く勧めますね。フックに富んだメロディが胸を締め付ける名曲です。
90年代から活動を続ける関東の正統派メタルが1996年にリリースした1st。北米マーケットがHM/HRは死にました的なニュアンスを打ち出していたので(おかげでBIG IN JAPAN)当時の背景を考えると勝負するのは厳しかったでしょうね。無骨なほどに熱いエナジーが迸るメロディアスなパワーメタル路線を貫いています。その姿は日本に根付くジャーマンスタイルを模倣したパワーメタルサウンドを奇をてらう事無く披露、ありふれた構成と無難さに幾度興奮は覚えませんが、その分ソツなくまとめ上げ安定感はあります。自主制作故の迫力の薄い音にパワーを半減されているものも、ガッツィな歌声も切れ込んでくるシャープなギターも日本人ならではのきめ細やかさが行き届き悪くないですよ。 ただ全体的なまとまりが少し弱いかも知れません。レコーディングなんでもう少し丁寧に仕上げて欲しかった。リズムのズレとか気になる面もあるのだ残念。
ALEX BEYRODT'S VOODOO CIRCLE 名義で2011年にリリースされた2nd。主役のアレックス・バイロッドさんはマット・シナーとの活動でも知られシナーは勿論、プレイマル・フィアや自身がイニシアチブを握るサイレント・フォースなどで知られるギタリスト。今作ではおもっきりビンテージなスモーキーフレーバー漂う王道サウンドに今のテクノロジーを加味したホワイトスネイク&パープル風のサウンドを披露、ギタープレイもリッチーを模倣するような成り切りぶりを見せマニアならニヤニヤさせられるでしょう。その分ややもすると個性不足が先立ち、今一つ新鮮な気持ちでのめり込めない面もありますが、シンガーのデヴィッド・リードマンの男気あふれる艶やかな歌声がキャッチーな歌メロを力強く歌い上げる様のカッコよさにスケールの大きさを抱かせます。楽曲も充実していますが、ドイツ人的な職人気質溢れるプレイに面白味を感じるかが評価の分かれ目なように感じますね。音質はデニス・ワードが鬼の仕事ぶりを見せてくれているので安心して聴けますね。安定感のあるええアルバムですよ。
元はイアンギランバンドのギタリストだったレイ・フェンウィックらが中心となりパープルの名曲「SMOKE ON THE WATER」をカヴァーしたシングルが出発でしたね。こちらは1988年にリリースされた2nd、シンガーにサバスのトニーマーティン、ドラムはコージー・パウエル、ちなみにベースはあのローレン・スコッティルです。オープニングのジャジーなインストナンバーが始まった時にはヤバいと思ったのですが、徐々にエンジンに火がつきハードさがアップ、そこまで期待は出来ないメタル度の薄いアダルト路線のハードなロックサウンドなので少々物足りなさはありますが、マーティン節とも言える憂いのあるマイルドな歌声がしっとりとした味わいを乗せ楽曲を締めてくれます。何を聴きたいのかで評価も分かれますがアダルトな歌モノAOR系のハードサウンドをお探しの方なら楽しんでもらえるのではないでしょうか、コージーはややおとなしめでしたね。