DISC:A 1. Agent Steel - The Calling / Agents Of Steel 2. Razor - Evil Invaders 3. Bathory - Possessed 4. Helloween - Ride The Sky 5. Living Death - Hellpike (Remix) 6. Sodom - Sepulchural Voice DISC:B 7. Whiplash - Warmonger 8. Iron Angel - Rush Of Power 9. Destruction - Pounding Evil 10. Onslaught - Fight With The Beast 11. Brainfever - Brainfever (Remix) 12. Anthrax - Gung-Ho
前作が成功したのかMusic For NationsがワザワザUnder One Flag レーベルを立ち上げリリースしたコンピ作の第二弾。今作もスピード/スラッシュ/パワーメタル系のバンドが集まり活きのいい楽曲を提供。荒削りな面もあるが、群雄割拠、頭角を現しつつあるニューカマーが凌ぎを削る内容は前作に負けず劣らずの内容を誇りコンピ作としての役割をしっかりと果たしていますね。
DISC:A 1.Metal Marchants / HALLOWS EVE 2.A Lesson in Violence / EXODUS 3.Bestial Invasion / DESTRUCTION 4.Insurrection of the Living Damned / BULLDOZER 5.Fight Fire with Fire / METALLICA 6.Evil Has No Boundaries / SLAYER DISC:B 7.Pentagram / POSSESSED 8.Riders from Darkness / EXCITER 9.Black Metal(new Version) / VENOM 10.War and Pain / VOI VOD 11.Rattlehead / MEGADETH 12.Into the Crypts of Rays / CELTIC FROST
『Music For Nations』から1985年にリリースされたタイトル通りスピード/スラッシュメタル系のバンドを集めたコンピ作。最近ではこの手のコンピ作をすっかり見かけなくなりましたが、当時はわりとリリースされており、色んなバンドを知る意味では貴重なものでした。上記に記入した参加バンドを見ていただくと現存するバンドがほとんどを占め、今作がいかに充実した内用を誇っているかを裏付けているでしょう。EXCITERの曲は2014年リリースのCD化された『Unveiling the Wicked』にボートラ扱いで収録されるまで今作でしか聴けなかったり、VENOMは新録ヴァージョンだったりと既発音源の寄せ集めとは違う趣があるのもマニア心をくすぐるもの、勢いを増すアメリカン市場の中で新たなるシーンの活性化につなげる事はMETAL MASSACRE同様、オムニバスアルバムの本質を突く良質な一枚として重宝され当時のメタルキッズを歓喜させたシリーズものの第一弾でしたね。
アメリカンバブルが弾けまくった3枚目。専任キーボードを入れ5人編成と変貌、よりポップでライトな作風へと舵を切ったが隠せない北欧風の哀愁のメロディが顔を覗かせチョコチョコと琴線を震わせていきます。無名の新ギタリスト Mr. Mothことヤコブ・モスが扇情的なフレーズジングで聞き手を魅了、バンドの生命線ともいえる泣きメロを奏でキラキラと光り輝く北欧ハードポップサウンドに楔を打ち込んでいますね。今作を最後に脱退するシンガーのジェフ・ロックス・リンボーもハイトーンを駆使しつつ繊細な節回しはバンドの顔として板についてきただけに残念でしたが、今作の内容の出来不出来はレコーディング途中で脱退した、創始者のハンク・シャーマンを契機としたバンドのゴタゴタが反映されたようにも見られ、その辺りが作風にも反映されたと思うのですが、甘く切ないFATEサウンドは健在でむしろ、ハンクよりもベースのピート・シュタイナによるソングライティング力が支えていたのかと思う程でした。個人的には前作の方が好きですが、今作もライトな北欧HM/HRが好きな方なら聴いて退屈はしないでしょう。
元ジャーニーのメンバーとインストアルバムを作ったりと確かなテクニックとメロディックなフレージングの組み立てが上手いギタリスト、ニール・ザザがソロギタリストとして成功する前に活動していたバンドの1stフル。リリースが1991年で翌年にはソロとして活動、そのせいもあるのか知名度の低い作品なのですがクオリティの高さは折り紙つきの一品。ザザの高速ギターも曲間に飛び出しスウィープ、アルペジオとやや強引な展開に苦笑いも出そうですが、概ね彼はギタリストとしての才能を遺憾なく発揮、楽曲を殺すことなく印象的なプレイで楽曲に華を添えていますね。良質なハードポップナンバーは勿論、嫌みのないアメリカンなパーティーロックも飛び出すが、アコギを生かしたバラードのセンチメンタルな泣きと甘酸っぱさに胸キュンさせられ、アーバンなムードに包まれたメロディックなハードテイストたっぷりの楽曲を聞かせたりと、良いメロディと良いアレンジに支えられた多様性のある楽曲を用意し飽きさせない構成は見事ですね。個人的には2曲目の『Hungry for Emotion』7曲目の『Lonely no more』は隠れた名曲としてメロディ派のマニアに強くお勧めしたいですね。 アルバム全体を通しても枠組みにしっかりとした演奏にマニアが喜びそうなネオクラ風味のギターがあったりと、押しがいのあるアルバムなのになぜこんなに知名度が低いのか、当時の事情通でもあるレコード店に勤めていた知人に聴いてみたら、雑誌のレビューがなかったに尽きる、点数が高い低い関係なく、誰も知らんモノを仕入れられない、良い作品だがジャケも魅力なしで、ジャケ買いもない、今作がある程度認知されたのはザザがネオクラを捨ててインストものを成功させてからだと言う事らしい、ちなみにザザ自体が日本であまり人気もないらしい。なるほどである。 ちなみにこのバンドでシンガーを務めるスコット・デニスは、日本一洋楽していたバンド「Still Alive」のラスト作に参加しておりますので今作を聴いて気に入った方は合わせて聴くのも一興でしょう。 デニスのハイトーンは中々強力ですよ、メロディックな音楽性とハイトーンシンガーの絡み、ハードさも失わないアレンジのある曲も多く、同じ路線だとSHYあたりを思い出すので、その筋の方も楽しめるんじゃないでしょうか。
High Roller Recordsからリリースされた全25曲入りの2枚組によるコンピ作。デモ音源にEP、オムニバス提供曲など彼らの80年代の活動をまとめ上げた一枚。NWOBHMマニアの間は知られた存在ですが、わりと地味なスタイルの音楽性でなんとも形容しがたいブリティシュカラーで染め上げた音楽性は時代の遍歴と共に若干の違いがあり、音質も酷い初期のスタイルよりは中期の方が好みだったりするのですが、初期の頃に感じさせる、あの空気をまとった音楽性もやっぱり捨てがたく体調に合わせてピックアップして聴いていますね。NWOBHM特有のブリティッシュカラーを受け継いだ一品、マニアなら押さえておきたくなりますが、レコーディング環境がバラバラなので覚悟が必要かと思います。
サクソン節と呼べる泣きメロをふんだんに含んだ哀愁は円熟味を増しヘヴィだがスケールの大きなメジャー感が更なる高みへと押し上げているのも見逃せません。80年代から90年代に掛けてアメリカ進出を果たすも、音楽性の拡散と変貌により支持を急速に失い、またシーンの没落が彼らをアメリカの地からドイツへと向かわせるのですが、ドイツでは全ての時代で一定の評価と支持を受けており、面白い事に常に安定した規模の成功を収めていたのも見逃せません。すなわち早いだの遅いだの軽いだの重いだのアメリカンだだの、そんな一過性の問題をほじくり返すだけの不毛の議論で叩くのではなく、彼らの本質を常にドイツのメタルシーンは見定めていたのが凄いですねよね(そりゃヴァッケンオープンエアーのラインナップを見れば納得ですよね) 安定した基盤は音楽性の充実ぶりを生みだし何をするべきを見定めて、うつろいでいくシーンの中で自らのスタイルを誇示しつつも時代に合わせ作品を重ねてきた彼ら、ここには90年代の名盤『DOGS OF WAR』の匂いもあるし今風のソリッドな重量感、そして初期の頃の代名詞と言われるバイカーズロックもある、けして保守的にならず先鋭的に攻め続けてきた姿勢を貫いている。ヘヴィメタルの王道を行く彼ら、まさに等身大の魅力が詰まった会心の力作ですね。
アイアンメイデン初期の音楽性を語る上では外すことのできない我らがポール・ディアノ氏がドイツ人ミュージシャンを従えリリースしたのが今作。もう味せんやろと言われても噛みしだいたメイデンセルフカヴァー作品などで晩節を汚しつつあったポールだけに、今作のアナウンスは期待を持たせるものでした。だってメイデンカヴァーのボートラ無じゃん(笑)代わりにパープルの『Soldiers Of Fortune』をラストに朗々と歌っていますからね。気心の知れたドイツ人ミュージシャンと作り上げた今作は、古典的な手法に乗っ取りつつも、メタルコア的なニュアンスを巧みに取り込み、古臭いだけの音楽性に陥ることのないポールの歌唱を生かしたメロディックメタルを披露。『Architects Of Chaoz 』では中近東風のメロディをバックに歌いあげるなど新鮮味もあり、他の楽曲もメイデン風や出涸らしの出まくったNWOBHM風のそれとは違う楽曲を用意し新たなる魅力を提示してくれました。曲の出来云々は、リリースへ向けての経緯など、いぶかしげな面もあり胡散臭さが漂うのですが、ジャーマン風のメロディックメタルを歌うポールという組み合わせは過去にしがみつかずとも、独立してやっていける可能性を十分に示唆するバンドとなっていますね。次作がもしあるのなら、もうチョイ金を掛けて作ってくれると迫力もまして良くなるかと思いますね。
南米はチリの『Austral Holocaust Productions』からリリースされたコンピ作。アナログのEPをCD化したものなのですが、楽曲は既にフルアルバムにも収録されていたりとダブっているのですが、SAMMこと舘真二さん参加のIron’ Steel’ Metal 、Heavy Metal Hunterの2曲が貴重なデモ音源らしく、そこが最大の聴きどころでしょう。メタルシファーのファン以外に食指が進むかと言われると微妙なんですが、日本が海外に誇るレジェンダリーなバンドで国内のみならず精力的な海外でもツアーを行い、マニアの間では世界でも名の知られたバンドなのです。それでなければチリからリリースされる事はないでしょう。アルバムジャケットから発散されるオフザケ感も程々にメタル愛溢れる一枚、哀愁のツインリードにむせび泣き、和製NWOBHMサウンドに触れて欲しいですね
引き続きプロデューサーにディーター・ダークスを迎え1983年にリリースした2nd。今は亡きアリスタからリリースというビックディールを獲得した影響もあるのか、メタル度は上がったが明るめのご機嫌なノリの曲も増えタイトルトラックの④などは無理やりなメタルナンバー放り込み幅広い楽曲を用意、個人的には中途半端な明るさやメジャー感覚を放り込むならラスト3曲くらいの流れでやってくれないと厳しいような感覚にとらわれるのですが、前作の流れを考えると微妙ですかね。けして器用なバンドではないと思いますが、方向性の拡散がメンバーチェンジを誘発し解散の一途を辿るのですが、この時代ならではの大衆性とゴージャスに決め切れなかった音楽性の響きはオールドというよりはアンティークと言いたい味わい深い輝きがあり、ある意味、早すぎた音楽性とも言えなくもない。そんな彼らにとってはらしくないかもしれませんがラストのBaby We Can Talkなんてアルバムを締めくくるのに相応しい感動的なロックアンセムかと思いますよ。
ドイツ産ツインギター編成の5人組が1989年にリリースした1st。サウンドは同郷のパワーメタルの雄ランニングワイルドに近いスタンスをとっており、向こうが海賊をコンセプトならこちらは中世ファンタジーな世界観を感じさせる音楽性を披露、抒情的なフレーズを歌いあげる愁いのある歌声は、線が細く不安定な印象を受けるが、疾走感溢れるパートを盛り込み、その攻撃性を損なわずともフライングするロマネスクがファンタジックな雰囲気をまとい、拘りの展開も用意となんとも言えぬ味わいを醸し出しオリジナルティをアピール、綺麗なメロディを奏でるギターもハマると魅力も倍増なんですが、凡庸な歌メロとリフワークに迫力不足の低音、リズムもやや不安定と気になる面もありますが、『Dream of Love』では女性シンガーとデュエットしたりと工夫を凝らしているのが面白くもあり、メジャーキーをぶち込みコミカルさを演出するスタイルやジャーマン七三分けパワーメタルとはチョイと趣の違う音楽性は意外と個性的ですね
NWOBHMを象徴するような幻のコンピレーション作Metal For Muthas Vol. 1に楽曲を提供している事でマニアからも知られるバンドが1980年に残した唯一のフルアルバム。脆弱なサウンドプロダクションが醸し出すペシャンペシャンのシッケシケなスッカスカのボロンボロンの味わい深さにマニアなら咽ぶこと間違いなし、コンピにも提供した⑥が醸し出すあの空気にNWOBHMマニアを自負する方なら立ち上がらずにはいられなくなるでしょう。この時代の英国産バンドでしか味わえないジメジメとした湿度の高さ、全体を覆うモヤっした空気と煮え切らないあのメロディ、もう少し演奏にメリハリがあれば印象も変わるのにと嘆きたくなるのですが、実はそこが初期NWOBHMバンド群の魅力とも言えるので、間違っても洗練された一線級のバンドや評論家の美辞麗句が踊るライナーノーツ付きの作品を主力として楽しみ崇めれる方にはおススメできませんが、我こそはと道場破り感覚でモノ申すツワモノにこそ、おススメしたい一品ですね。