MERCYFUL FATEの記念すべきデビューEP作の4曲にBBCラジオの『Friday Rock Show』から3曲、1997年にリマスター再発してくれたRoadrunner盤には新たにシングルに収録された⑧を追加しリリースされているコンピ作。どれも貴重な音源で彼らの歴史を知る上では外す事の出来ない一品として知られています。プログレッシブな展開は薄目ですが、悪魔的なニュアンスはこの時点である程度確立されており、キング・ダイアモンド氏の奇怪なファルセットヴォイスは不気味な手触りの残しています。低予算&突貫工事なレコーディングの影響もあり、妙に生々しい粗さも逆に他の作風では感じる事の出来ない魅力があり、また魔術的な響きには後の片鱗も感じさせてくれますね。
1. Doomed by the Living Dead 2. A Corpse Without Soul 3. Nuns Have No Fun 4. Devil Eyes 5. Curse of the Pharaohs 6. Evil 7. Satan's Fall 8. Black Masses 9. Black Funeral
ツインギター編成のガールズHM/HRバンドが1988年にリリースした1st。英国風味満点のシリアスなサウンドはシンプルな構成だが無駄を省きダイナミックに聴かせてくれる。そのストレートな作風を支える堅実なプレイは女性という色眼鏡で見られる要素もなく正統的なスタイルを堅守、実に頼もしい音を聞かせてくれます。十分パワフルだし地に足がついたパフォーマンスは好感も持てる、あとはキメの一曲があれば良かったのですが、そこがチョイと弱いですかね。8曲入り32分、イギリスの『Music for Nations』からリリースされただけのクオリティは備えていますよ。ちなみギタリストのリナ・サンズはジョン・ペトルーシと、ベースのリサはジョン・マイアングと、ギターのマレーネはマイク・ポートノイといずれも結婚するという離れ業を成し遂げています。ある意味究極のあげまんバンドですかね。
IRON CURTAINのギタリスト、ダニの別バンドの1st。いまどき珍しい実直な80年代型HM/HRを聴かせるスペインはムルシア出身の5人組。情熱がほとばしるメロディとドライブ感に富んだリズム、キャッチーな歌メロを歌い上げる前任者よりも逞しいハスキーヴォイス、楽曲の方向性があまりにもド真ん中過ぎるので、ボヤけてしまうが攻めの姿勢を崩さないツインギターによるエキサイティングかつスリリングなプレイは活きの良さも手伝い実に魅力的だ。メタルな硬質感を損なわず、ワイルドでキャッチーな楽曲は哀愁度も高めだがパンチの効いた歯切れの良さにはドライな感覚もあり、それがスペイン産ならではの味なんでしょう。マイナーなシケシケメタルとはチョイと違う垢抜けた要素も高く、実にバランス感覚に優れた1枚ですね。無難過ぎるが故にノスタルジーをくすぐるだけで終わる要素も強いので聞き手の評価も割れそうですね。欧州や南米のメタルシーンがどのような盛り上がりを見せているかは国内の情報を頼りにしてもサッパリ分かりませんが『No Remorse Records』からリリースした今作が予想外のヒットをしたという背景を考えると実に興味深いですね。
IRON CURTAINのギタリスト、ダニのサイドプロジェクトだったバンドが2012年にリリースしたEP。向こうのバンドでも活きのいいギターを奏でておりましたが、ご多分にもれずコチラでも熱いエナジーが迸る、ホッカホカのピュアメタルを披露、もうチョイ捻っていいんじゃないの?と心配になるようなヴィンテージ臭漂うスタイルがなんとも微笑ましく、5曲全てスピードナンバーってのもバンドの方向性を明確にしめしており、スカッとしたい趣の方には繰り返し聴きたくなる手頃感があるでしょう。バキバキとアタッキーなベースにパワフルドラム、メロディックかつ攻撃的なギター、線は細いがヒステリックなハイトーンがカッコいいシンガーと、往年のスタイルを愛する方たちのスタルジーをおもっきりくすぐっていくのでしょう。ある意味、バンドの音楽性はラストに収録された、アクセル・ルディ・ペルが在籍していた事でも知られるドイツのバンド「STEELER」のカヴァー曲に集約されていると思います。彼らはNWOTHMと呼ばれる若手とは違い、モロにあの時代の音楽を踏襲し、寄せに行かずに本気でこういう形になったと思わせるところが最大の魅力でしょう。挨拶代わりの5曲入りとしては申し分ないボリューム感でしたね。
アーティレリと言えばこれと押すファンも多いでしょうね。クランチーなリフワークは勿論ですが、刻まれるツインギターの繊細で表情豊かなギターワークを中心とした構成力の高さは見事、彼らお得意の中近東風のフレーズも盛り込みアイデア豊富な展開が実に痛快で魅力的だ。なんとも言い難い妖しげなメロディと喜怒哀楽を込めたドラマ性、不穏なムード漂う攻撃性、予測しがたいプログレッシブな展開、それでいながらも無慈悲さよりも温もりのサウンドメイクが最大の聴きどころかでしょう。それもこれもフレミングの圧倒的な歌唱力に起因しているのかも知れませんね。バンドはこの後、一旦解散、1999年にハードコア色の強い「B.A.C.K.」で復活も上手くいかず解散、そして風通しの良い作風で新たなる可能性を示唆した『When Death Comes』で再復活となるのですが、メロディの質、楽曲、オリジナルティ共に今作を彼らの代表曲に挙げるファンは多いでしょうね。
一聴した感想は「あれ?こんなバンドだったかな?」である。お得意の中近東的なフレージングは勿論、ミケル&モルケン兄弟による阿吽の呼吸から繰り出されるシュレッドギターのクールさ、繊細でいながらも攻撃性の高い構築美豊かな楽曲はグイグイと聞き手を魅了していくのでしょうが、欧州産ならではの叙情的なメロディを配したパワーメタル風の路線もあり作風の幅を広げたような聴きやすさが、癖が強い独自のカラーとの折衷を上手く果たしているのが最大の聴きどころ。作風的にも『Metal Mind Productions』らしさもあり、色んな意味で納得でしたね。キレ味鋭いリフワーク、迫力のあるサウンドは普遍性を纏い更なる勢いを増しながらも、聴きやすく仕上げた手腕は見事ですね。ベテランスラッシャーここにありかな。
NWOBHMと言えばこれ的な一本筋の通った音がなんとも望郷をそそるマニアックなバンドの1st。NWOBHM直系の単音リフワーク、プリースト、モーターヘッド、AC/DCといったバンドからの影響も顕著な遊び心のないストレートすぎる展開、気合い入っているのに平坦な音作りがメタルな荒々しさに欠け、その魅力がいま一つ伝わりづらいとい微妙なニュアンスの一枚。無難過ぎる曲作りに終始した作風は、刺激を求める若者には厳しいと映るでしょうが、往年のNWOBHMが大好きな猛者にはたまらない一品と心に響くでしょう。また究極にダサい音かも知れませんが、英国の伝統を受け継ぎ、NWOBHMの精神性を強く反映した今作はある意味、一番メタルな音楽性なのかも知れませんね。 日本でも『Far East Metal Syndicate』から1994年に有名なジャケットのまま世界発のCD化と謳われていた記憶があり?そして2013年に生誕30周年を記念したヴァージョンを『Steamhammer』からリリースされていますがジャケがオリジナルヴァージョンを下地にリニューアルされております、個人的にはオリジナルのジャケが好きですね。
1. Trespass - One of These Days - 2. Eazy Money - Telephone Man - 3. Xero - Cutting Loose - 4. White Spirit - High upon High - 5. Dark Star - Lady of Mars - 6. Horsepower - You Give Me Candy - 7. Red Alert - Open Heart - 8. Chevy - Chevy - 9. The Raid - Hard Lines - 10. Trespass - Storm Child -
METAL FOR MUTHASの成功を受けリリースされた第2弾。のちにボーカルとギターがBlue Bludでメジャービューを果たすTrespassから2曲。マーク・ストレイスが歌うEazy Moneyの濃厚さ、ブリティッシュで高貴な香りさえ匂い立つXero、手堅いWhite Spiritは陽性ナンバーで参加、NWOBHMを象徴するような曲で名を馳せたDark Starは代表曲で、 Wildfireの前身バンドRed Alertの曲は今作でしか聴けないはずだし、激シブな⑨はJameson Raidのバンド名で知られる中堅どころ、前作と比べるとネームバリューや瞬発力は劣りますが、 Trespassが提供した2曲などまさにNWOBHMだし、ブリティッシュな響きに彩られる時代性を感じさせるには十分なインパクトを残していますね。Metal Massacreシリーズ同様、HM/HR系のバンドがのし上がる様を垣間見る事が出来る一枚としてVOLUMEⅠと共に楽しんでほしいですね。 Eazy Money好きやわ
1. Iron Maiden - Sanctuary - 2. Sledgehammer - Sledgehammer - 3. E. F. Band - Fighting for Rock and Roll - 4. Toad the Wet Sprocket - Blues in A - 5. Praying Mantis - Captured City - 6. Ethel the Frog - Fight Back - 7. Angel Witch - Baphomet - 8. Iron Maiden - Wrathchild - 9. Samson - Tomorrow or Yesterday - 10. Nutz - Bootliggers
NWOBHMのコンピとしても有名ですがメタル系のコンピとしても優れた内容と役割を果たした1枚。 いまだにシーンを牽引するMAIDENの2曲は別ヴァージョンという事でマニアには食指も伸びるだろうし、②③のSledgehammer、E. F. Bandは『Mausoleum Records』と契約を交わしアルバムをリリースするなど、興味深いメンツがそろい踏み、渋いブルースロックのToad the Wet Sprocket(NWOBHMじゃないような…)、NWOBHMのメロウサイドを代表する叙情派バンドのPraying Mantis、幻のEthel the Frogは代表曲で参加、サタニカルなカラーは一際異彩を放つAngel Witch、涙を搾り取る枯れた味わいのSamson、単音リフの懐かしいNWOBHMな響きのNutzでアルバムの幕が閉じるのですが、多種多様な音楽性が一括りとして紹介されている柔軟性がコンピ作の持ち味として発揮されている点が一番の聴きどころ。 正直今作をNWOBHMの金字塔的な扱いは、楽曲のクオリティや参加メンバーの脆弱さも含め過大評価されている点は否めませんが、新たなるシーンの勃発を告げる意義は大いに感じとれる一枚である事は断言できますよね。 当時の在り方やシーンの歴史を紐解く事に興味がある方なら一度は手にしてほしい一品です。
1. AGENT STEEL - Unstoppable Force 2. DEATH - The Unholy Grave 3. HEATHEN - Heathen 4. POSSESSED - Seance 5. ENGLISH DOGS - The Eye of Shamahan 6. BATHORY - Of Doom... 7. DEATH ANGEL - Mistress of Pain 8. ONSLAUGHT - Onslaught 9. NUCLEAR ASSAULT - Cross of Iron 10. HOLY TERROR - Tomorrow's End 11. SACRILEGE - Insurrection 12. DARK ANGEL - Merciless Death