ドッケン時代の曲とリンチモブの1stの曲をカヴァーした一枚。原曲にあった華やかさを全て削ぎ落したモダンヘヴィネスヴァージョンに全編仕上げており、その方面が苦手な人にとっては悪夢を辿る問題作。少なくともカミソリギターと言われた攻撃的なギターでありつつも印象的なフレーズを奏でる分かりやすい事は一切行わず、所謂。時代性を完全に飲み込み寄せにいったと言う事ですね。彼のルーツにはないグランジスタイルやモダンヘヴィネスギターは多くのジョージファンにとって、またドッケンファンやリンチモブファンにとっても誰一人得をしていない残念なアレンジにとなっており、言葉を失いますが(Paris Is Burningは大胆なアレンジを施していますがメタルギタリストとして往年の空気を感じる事が出来ました)セルフリメイクですからね、昔の名前で出ていますなギターでは意味は無いし新たなる解釈を持ち込んだジョージのやる気は素晴らしいですね。ドッケンのアルバム『Shadowlife』の流れを引き継いだような音楽性が好きな人にはおススメです。
ドイツ産メロディアスHM/HRバンドが1995年にリリースした1st。国内盤は今は亡きヘヴィメタルシンジケートでお馴染みのテイチクからリリースされていますね。現編集長の広瀬氏による愛溢れるレビューに全てが記載されていますが、扇情的なメロディが幾重にも絡み合う1曲目の『Take Me Away』に要約されているようにドイツ産と言われなければ北欧ものかと見紛う程の甘美なメロディが華麗に舞うあのスタイルを基調としており、王道を行くメロディックなスタイルを築いています。その辺りの曲が好きな方にはヨーロッパの名曲を彷彿とさせる8曲目の『Feel The Tears』その流れを引き継ぐラストソングの『Open My Eyes』などが気に入るでしょうね。パープル、レインボーと言ったテイストを正当に引き継ぐ音楽性故に、真新しさは皆無ですが、ドイツ=ハロウィーンに代表される、あのメロディと構成とは違う、スタンスを持っているメロディ派のバンドは少ないので貴重な存在でしたね。
ドイツの『Long Island Records』から1994年にリリースした3rd。哀愁のあるメロディを優しい語り口で魅力的に歌い上げており、シンガー、ジミー・マーティンの魅力を余すことなく伝える事に成功。爽快で躍動感のあるハードポップナンバーからバラードまでと、ソロシンガーとしての王道を押さえた楽曲を用意、このソフトなAOR系のロックサウンドに彩られた今作は往年のゼロ・コーポレーションが健在だったらほっとかないクオリティを誇っており、粒の揃った12曲に身も心も癒されますね。嫌みにならないキャッチネスさと泣きすぎない哀愁、キーボードを軸にした作りだがロック然としたダイナミズムさも失わないミックスを施しており、清々しさとロマンティックなムードに包まれた楽曲はどれも魅力的でしたね。歌モノロックが好きな方は手にとって損はしないでしょう。
Mausoleum Recordから1984年にリリースした1st。4thから彼らの事を知ったクチなので予想外のメタリックなサウンドを驚かされました。NWOBHMよろしく剛毅なリフワークを刻むツインギターが放つリードプレイのカッコよさはオープニングから発揮されており、ソロパートのスリリングな展開など聴いていて実に面白い。楽曲自体はフレンチ産の軽やかさや湿り気よりはジャーマンメタルのような武骨なスタイルを踏襲しており、力技でねじ伏せる短絡さがやや面白みに欠ける面もあるが、そこがMausoleum Recordsと言える愛すべき音楽性を世に提示いているようでやっぱり面白い。サビでタイトルを連呼する攻撃的な『Danger』静と動の対比が面白い『Running with the Devil』メタルアンセム的な『Don't Dream Too Much』など前半から即効性に優れた楽曲も用意されているので、それらの曲が苦にならなければラストまでスッとイケるでしょうね。Mausoleum Recordマニアは勿論ですがB級メタルマニアを自負する猛者には惹きつけるものがあるかと。
どこを切っても溢れ出る北欧ならではの哀愁のメロディとシャープな質感は、前作の路線を推し進めつつも更に磨きを掛けてきた印象が強い1984年リリースの2nd。その魅力は野暮ったいが①②とヘヴィなミドルナンバーにも表れ、哀愁の旋律が躍動する③、回転するリフワークと泣きの旋律が印象的な④、歌い手の力量は追い付いていないがヘヴィでダークなミドルナンバー⑤の濃厚な世界観、垢抜けないが北欧的な魅力輝くシャープな疾走ナンバー⑥、メロウなサビメロも印象的な⑦、泣きのバラード⑧と硬軟バランスの取れた一枚としてマニアならずとも惹きつける魅力もある一品へと仕上げてきました。ちなみに今作のオフィシャルCDは存在しておらず、サビがチョイとハズい『Heavy Christmas』、EYE TO EYE路線の『Young And Wild』、バラード『Lorraine』が収録されたボートラ3曲入りのMetal Rendezvous盤はブートらしいので購入する際は覚悟が必要ですね。そしてiTunesから『Screaming For a Riot』と『City Lights』が2曲追加されたものが出ています、こちらは幻のカセットヴァージョンに収録のモノなので貴重ですね。
220VOLTと言えばマックス・ノーマンが手がけた『Eye to Eye』が代表作として取り上げられることも多く、今作のような作風とはチョイと違いますが、ある意味メタリックという点で語ると今作がもっとも攻撃的な面をフィーチャーした一枚になるのかもしれません。押しの強いリフワークと北欧ならではの冷ややかで美しい旋律、マイナー臭は全開ですが北欧ブランドを十分に誇示する内容かと思います。SCORPIONSあたりをイメージさせるメロディックなミドルナンバーからJP仕込みの疾走ナンバー⑤、RIOT+RAINBOWな⑨、強烈な泣きを発散するバラード④、青臭い声質がマイナー臭を撒き散らしていますが、これぞ北欧メタルな哀愁が随所に溢れており、メタリックな北欧HM/HRサイドをフィーチャーしていますね。TORCH、MADISONなど初期の北欧スタイルが好きな方にはたまらんモノがあるでしょう。マイケル・シェンカー、ランディ・ローズよろしくな光沢のあるツインギターの泣きは、やっぱりお国柄のなせる技でしょうね。エエわ