PRETTY BOY FLOYDで驚いていたら、こちらもFrontiersから最新作をリリースしていたんですね。しかも久しぶりに、フィル・ルイスとトレイシー・ガンズが揃い踏みでしょう。浮かれたレコード会社じゃないしファンじゃなくとも期待値が高まりますよね。DP風味も取り込んだタイトル通りのスピーディーな②のワイルドでエキサイティングなハードロックサウンドに悶絶。と驚きましたよね。へヴィなリフワークが耳を惹く③、クールなアイデアが詰まった陰鬱なロックナンバーの④と前半からフックに富んだ楽曲が目白押し、クセは強いがエモーショナルでセクシーなフィル・ルイスの歌声は健在、そこに絡むワイルドかつ華やかなトレイシーのギターは全盛期のそれを超えているとも言える充実のプレイで魅了。L.A.GUNSの完全復活を告げる内容を誇っているでしょう。 ⑤のようなセンチメンタルなバラードも、このバンドならではの旨味が満載、ご機嫌な⑥もあるしね。個人的には⑨のような退廃的な美意識に包まれたエモーショナルなナンバーが大好物ですね。このバンドのイメージにもピッタリだし。ノリのよいワイルドな⑩もあるし、最後までテンションが下がることなく駆け抜ける、緩急を効かせた一枚に死角は見当たりません。まさに今が全盛期と言える内容でしょう。ベテランバンドの気合いの入りように、少々、昔の名前で出てるいんじゃないのぉ、たかをくくっていた自分を恥じますよ。ゴメンネL.A.GUNSである。
グラマラスな衣装とメイク、ポップでキャッチーな華やかさの中に毒々しいケバさもある、まさにL.Aメタル集大成とも言える混じりっ気のない音楽性を引っ提げ89年に鮮烈なるデビューを飾った彼ら、うつろいでいく時代の中でも、揺ぎ無いスタイルを誇示いていたかれらが2017年にリリースした待望のフルアルバム。お約束とも言えるモトリーの未発表曲の⑨やラストに収録されたStarzのマイケル・リー・スミスの楽曲など、おもてなしの心を忘れないユニークなカヴァーを収録していますが、それにもましてオリジナルナンバーのキレは、今まで以上に瑞々しく弾けており、これぞPRETTY BOY FLOYDという楽曲が目白押し、はじき出すマシンガンな如き軽快なスピードナンバー②なんて、モロに80年代後期の、あの音が封じ込められていると思いますよ。個性的な歌声を武器に、パワフルでキャッチーなハードロックサウンドの旨味は過去最強とも言えるでしょうね。ダイナミックなハードサウンドとポップロックの両面を併せ持つ、毒々しくも華やかで小洒落た今作は、10年以上、ファンを待たせただけの事はありますね。 こんな軽薄なもんワシャ好かんという意見も十分に理解出来ますが、ロックのもつ猥雑さ、背徳の倫理観、そこにロックの魅力をプンプンと漂わせていますよね。上手い下手では評価を下せない、まさにロックな魅力に包まれたサウンドだと思います。 普段は主食で聴くことは少ないのですが、この手の音楽は青春時代を、完全に通り抜けているので捨てる事は出来ませんね。スティーヴ・サマーズとクリスティ・メジャーズの二人しかオリジナルメンバーはいませんが、この声があればPRETTY BOY FLOYDですよ。久しぶりにL.Aメタルで燃えましたね。国内盤はKINGですが、元はFrontiers Recordsからでしょ。この手のサウンドも Frontiersは手掛けるんだね。ありがたいッス。
1stの翌年にリリースされた2nd。間髪いれずの創作活動でしたが、音楽性をより明確に定めラフなパワーを内包したアメリカンスタイルとも言えるロックサウンドへ移行。1stの頃にあったようなぎこちなさも幾分解消され、メジャー感もUP、演奏もタイトにシェイプ、5曲目のShot Of Loveではサックスも登場させたりと、アレンジ面も含め成長の跡も伺えますね。勿論、ロック然とした粗さも残っており、売れ線になびいた訳でもないので安心して身を任せる事が出来るでしょう。 古き良き北欧スタイルが息づいているのですが、耳馴染みの良いメジャー級の音楽に慣れている人には、少々ラフ過ぎるのかも知れませんが、ロックの初期衝動を擽るようなワイルドでハードなロックスタイルを貫いており、その生真面目な品行方正さと相まって独特のカラー打ち出しているでしょう。全てにおいて1stを超えたと言える力作。北欧メタルの成り立ちに興味のあるマニアなら、手にとって欲しい一品ですね。
NEXUS ROCK LEGEND ARCHIVE COLLECTIONの罠に自らハマり、買う予定なかったとのに、買ってもうたよ。たいして聴く予定もないのに、持っていないと気が治まらない我が身の性を恨みます。PROVIDENCEは久保田陽子時代のは中古で手に入れたが2ndがあるのは知らなかった。サブリナも待っているぞ。恐るべしKINGレコードよ。
NEXUS ROCK LEGEND ARCHIVE COLLECTIONと銘打ったキャンペーン、その中でも今作がよもや単体でCD化してくるとは思わなんだ(アースシェイカーのブロンディガールにExciting Miniの製品化にも同様に驚きましたがね)。 ベスト盤やオリジナルアルバムの再発盤のボートラとして、バラ売りで収録された事はありますが、確かに正規の形でのCD化は初ですね。値段の手ごろな1000円+税でしょう。しかもキャンペーン内容がズルイんだよね。101枚順を追ってリリースする作品から4枚買うと1枚好きなものと無料で交換出来るだもん。安価に背中を押され買いたくなるわ。音質もよくなっているんでしょ。 その商魂ぶりに、賛辞を送りますよ。個人的には保存状態の良いアナログ盤の中古をもっているのですが、4枚購入する為に、手にするか思案中の一品です。
福田洋也がアンサー時代にプレイしていたと言われる『READY TO RIDE』、そして初期のライブでは重要なレパートリーだった、福田のペンによるブリティシュテイストたっぷりの叙情派疾走ナンバー『SHED』。さらには1stの英詩ヴァージョン3曲です。初期のアンセムを未聴の方は勿論ですが、この時代ならではのパワーメタルサウンドを味わいたいマニアなら押さえておいて損はしないでしょうね。
日本を代表するベテランHM/HRバンドの彼らが、1987年にリリースしたEP。OverrunとAftershockの間にリリースされた作品なのですが、丁度その間を行く音楽性になっていて興味深い仕上がりですよ。専任キーボードを加入させ音楽性を拡散していった彼ら、往年のシェイカー節を堪能できるオープニングの『SHADOW』、ご機嫌なロックソング『心までは』、永川の加入を強く印象付けた、キーボードから始まるシリアスな雰囲気の濃いインストナンバー『ORANGE AGENT』、そして名曲MOREを『置きざりし刻~"MORE"』と改名したリメイク。正直MOREは完成した楽曲なので余計な手を加えない方がと思いますが(後年こするだけこすったリメイクシリーズの一つとしては、もっとも異色の出来栄えです)永川敏郎加入を受けアレンジを加える事に成功。鍵盤プレイとシャラのギターが、より劇的な展開に持ち込み、ガラリと印象を変えてきました。 個人的には、まぁやらんくても良かったヴァージョンなんですがね。CD化の際にはExciting Mini IIから4曲を追加収録。 少々やりにいった⑤曲目の『Love Dreamer』はあれですが、⑥の『Take My Heart』ベースの甲斐貴之がリードボーカルを務めるポップソングで弾けたキャッチネスさが、心地よい彼ららしい一曲としてLIVEでも重要なレパートリーとして知られています。ラストには武道館のLIVE盤から収録時間の関係でボツになった名曲『ありがとう君に』を収録と、けっこうなボリューム感を誇っている一枚でしたね。
わたくしが所持しているのは1991年リリースのレンタル型落ち中古品故に、歌詞カードもない粗悪品なのですが、NEXUS ROCK LEGEND ARCHIVE COLLECTIONという復刻版を世に送り出す。一代キャンペーンの元に今作が2017年に、久しぶりに商品化されております。所謂、J-popファン向けの雑誌や、ビジュアル系専門誌のインタビューなどでは、アーティスト側は語りませんが、アースシェイカー程、初期の頃のヴィジュアル系バンドに影響を与えたバンドはいないと言われています。シャム・シェイドのシンガーなど、西田昌史風の歌い回しだったりと、多方面に影響を残しているのも間違いないでしょう。そっち方面に、詳しくないので、余計な事は言いませんが、今回の復刻版シリーズを機会に、真偽のほどを確かめるのも、お楽しみの一つではないでしょうか?
クリスチャン・ヴァンデール率いるフランスのプログレジャズロックバンドの4th。4曲入りで41分ってマジかと、不安な要素も大でしょうが、オドロオドロしいダークな暗黒ロックを展開、その奇妙奇天烈な世界観はオープニングから炸裂しますが、前作よりもより深層心理訴えかけるような、不穏な空気を増量することで、より個性を確立することに成功。相変わらず歌らしい歌はないが、その呪術的な呻き声が恐怖心をあおり、聴き手に重くのしかかってきます。 その冥府に迷い込んだような暗黒面をフィーチャーした音楽性は前作よりも、ロック色も強まり、邪悪さに磨きが掛かっているのも見逃せませんね。そんな中でもやっぱり『Ork Alarm』も不気味さは過去に類を見ない仕上がりだし(エンディングの笑い声的なものの気持ち悪さは秀逸です)、『Coltrane Sündïa』神秘的な音色を奏でる美しきインストナンバー、ピアノの音色に導かれ誘われるのは、神か悪魔か、はたまたこの世の終わりか、神聖なる宗教音楽的な響きの中にある不気味さに汗が出ますね。本当はこういうのが一番怖いのかも知れません。アナログではKöhntarkösz, Part 1と2はA面B面に分かれているのですがCD化の際につなげてきたのは正解でしょう。SFタッチのホラー映画をみているような独特の世界観にズブズブと沈み込んでいきますね。とにかくこのバンドの魅力を内包したKöhntarkösz, Part 1と2はプログレファン必見ではないでしょうか、ワタクシの貧相な文才ではとても表現出来ない、凄みを味わってください。迫りくる恐怖と荘厳なる神秘の音色、その両面を味わえる他に類を見ない緊迫感に押しつぶされますよ。
Mandatorの前身バンドというか、オランダ時代に名乗っていたのがコチラになります。おそらくバンド名がエフェクターのペダルにちなんでいたのが、よくなかったんじゃないのかなぁと勝手に推察しますが、このバンドはスピードメタル愛好家の間では幻の作品と崇められ、オリジナルのアナログ盤は数万円の価格がつくほど、2006年にCD化されましたが限定品の為、直ぐに完売。こちらに登録されているのは、2006年バージョンで、デモ音源を2曲追加したもの、そして2017年に晴れてDark Symphoniesからオリジナル8曲+デモ『No AIDS in Hell』の4曲を完全追加されたものが再発されました。こちらも限定品故に見つけるのは難しいでしょうが、なぜマニアが血眼になって捜しているかを、その耳で確かめて欲しいですね。
シンガーに小野正利、Rajasの森川邦子、ギターはMarinoの大谷令文、キーボードに永川敏郎等を迎え、業界関係者が集う会場で行われた当日の映像つきのアコースティックライヴ盤。リリースが2004年ですから小野さんは、まだソロシンガーですね。 当時、盛んに行われていたHARD ROCK SUMMIT、今作はそのアンプラグドヴァージョンなのですが、正直、なんだか緊張感に欠けたショーであり、特にDVDの方を見ていただくと、それは顕著なのですが、参加するミュージシャンはガチンコで頑張っているので、その努力に耳を傾けるのが一番、どうしても業界関係者の姿がチラホラと脳裏をよぎりますが、小野さんは何を歌っても上手い。センちゃんこと森川邦子は④⑤⑥で歌いますが、全て日本語、選曲の渋さも手伝い、なんとなく昭和歌謡ステージ感が漂い、少々バタ臭い雰囲気に恥ずかしい気分を味わいます。特にCharが売れる為に書いた⑥なんてね。どうせなら桑名正博のセクシャルバイオレットNo.1とかもやりゃ良かったのにと思いますが、そのあたりもロックに無縁の業界関係者を慮った忖度なんでしょうかね。
何度も聴くようなアルバムじゃないし、この時期にアンプラグドなど、もうやり尽くした感があり、新鮮味も皆無だ。それでも手にしたのは、当時、うだつの上がらない小野さんがメタルを歌うって言う事に興味を惹かれたのが最大のポイント。彼はHARD ROCK SUMMITの常連でもあったしね。ロックのスタンダードを上手い歌で聴きたい、そんな当たり前の事をさらりとこなす実力派のパフォーマンスを楽しみましょう。
①②③④⑧⑨⑩小野正利 ⑤⑥⑦森川邦子
①Is This Love (Whitesnake) ②Open Arms (Journey) ③Endless Rain (X-JAPAN) ④Holiday (Scorpions) ⑤The Rose (Bette Midler) ⑥気絶するほど悩ましい (Char) ⑦Mercedes Benz (Janis Joplin) ⑧Parisienne Walkways (Gary Moore) ⑨People Get Ready (Rod Stewart) ⑩Dream On (Aerosmith)
前作の好評を受け一年後にリリースされた2nd。まずは大幅にサウンドプロダクションが向上、プレイ、楽曲、共にメリハリも生まれ、より剛毅でメロディックなパワーメタルサウンドに移行。その音楽性の根幹を支えるのはギターのコスタ・ヴィレトとベースのに成らずプロデューサーとしても名を連ねるコスタス・スカンダリスなのですが、元Until Rainで現Beast in Blackのヤニス・パパドプロスのパフォーマンスが最大の貢献でしょう。 曲に合わせ表情豊かに歌い上げる彼の灼熱の歌声は、憂いのある熱情型パワーメタルには必要不可欠、バンドの推進力となり、その魅力を発揮しています。楽曲の質と演奏の精度も高まり、本国ギリシャを中心に話題を集める事に成功、直ぐに3rdの制作へと進める事となるのですが、このバンドの新たなる門出を祝うのに相応しいアルバムでしょう。実質1stとも言える快作でしたね。
Plays fingerstyleって…嘘だろうと思わずにはいられない情熱的なリードプレイを聞かせる孤高のギタリスト、コスタ・ヴェルト率いるバンドの1st。シンガーはイタリア人のピエロ・レポラレとアルバニア系のギリシャ人による混合チーム。 少々メリハリに欠ける面はあるが、情熱的なメロディがクールに装うへヴィメタルサウンドを披露。この手の熱き血潮を滾らせる剛毅なHM/HRサウンドが大好きな方なら楽しんでもらえるでしょう。 このバンドが本領を発揮するのは次作以降のなるのだが、彼らの歴史を紐解くうえでもマニアなら一度は聴いてほしい一品ですね。