オランダのメロディックメタルバンドによる1st。SAVEGEのメンバーが、どういう経緯で合流となったのかイスラエル系の実力派シンガーとして知られるシュムリック・アビガルと合流、アビガルのロニー・ジェイムズ・ディオやジョン・ロートンを彷彿とさせる力強くクリアーな歌声は、この力強くもメロディアスなサウンドにフロントマンにピッタリ、泣かせの叙情性を含んだメロディな湿り気もタップリ、メリハリを効かせたドラマ性を構築することでアルバムを通して起伏があり、一枚通して楽しむことが可能。 皆が主役であり、突出した偏りの無さも安定感に拍車を掛け、とにかく上手い唄と演奏に酔いしれる事が可能。これほどのクオリティを有しながらバンドは程なくして解散。残念極まりない出来ことですよね。 適度にハードでガッツがり、そこにとどめなく溢れ出る哀愁美、メロディ派のマニアにはたまらんぞである。基本路線は硬派、これが大変魅力的であり頼りになるヤツです。 シュムリック・アビガルは、1986年にThe Rodsがリリースしたアルバムで歌っていました、そういうのが関係しているのかなぁ、なんて邪推もしますが、この歌に惚れ込んだのならば、ジャック・スターのGuardians of the Flameでも歌っているし、Pictureのシンガーでもあったのでチェックして欲しいですね。
チョコチョコと先行配信を行っていたトーベン・シュミット率いるデンマークのメロディックメタルバンドによる復活作。正直、名盤『hungry for a game』みたいな路線では無いなと言うのは先行配信で聴いていたので驚きはないが、70年代的なグルーブ強めの曲調に甘い旋律を絡める仕事ぶりは流石はトーベン・シュミット。単なる回顧録的な復活ではなく現在の姿で再度降臨と行ったところなのだろう、もう少し叙情味が欲しいというファンもいるだろうが、個人的にはトーベン・シュミットの声が随分と枯れた味わいが増え、熟成されすぎた感はあるのだが、彼のヴィンテージヴォイスとグルーブ強めのAORサウンドの相性は悪くない、むしろ声質に合わせたと言えるのだが、それに聴きすすめる打ちに、このバンド特有の北欧的なフックのある冷ややかなメロディに、人肌を吹き込むトーベン節にグッと引き寄せられます。 往年のスタイルに固執すると、こうなったかと思う人もいるでしょうが、個人的にはこれはこれで大ありです。気になるのはトーベン・シュミットの衰えくらいですが、中盤くらいから慣れましたね。慣れさせるくらい良質な楽曲とメロディがあるというのがポイントです。今作を機に聴いたことのないBIG TIMEにも手を出そうと思いますね。 ギタリストの枯れた味わいのギターもイイねぇ。今作の古典的なサウンドには適しています。派手さや分かりやすさではない滋味深い味わいで勝負してきた復活作は等身大の魅力で詰まっていますよ。
Spotifyからオススメの新譜と言うことで知ったのですが、北欧の女性5人組によるメロディックロックバンド。 ①Will You Be There ②Breaking Me ③Your Time Is Gonna Come ④Emotional Fire 上記4曲収録されていますが、①以外はカヴァーソング、ひょっとすると私が知らないだけで①もカヴァーなのか?と思わせるほど、コピー大会をやっていまうす。②はBucks Fizz ③はラス・バラード ④はダイアン・ウォーレン、マイケル・ボルトン、デスモンド・チャイルドがシェールのアルバムに提供した一曲。マイケル・ボルトンジョー・リン・ターナーが歌うSUNSTORMなどがカヴァーしている有名なヤツです。
ヴォーカルがRoss the Boss等でリードシンガーを務めていたマーク・ロペスに変った、あえて比較するならばデヴィッド・ウェインに近いタイプと言えるが、このシンガーはもっと癖が強い。そのやり過ぎと言える灰汁の強さ、キャラの濃い歌声に苦笑いも出るだろうが、パワフルなバンドサウンドに負ける場面は皆無、重責を全うしてくれました。
遂にオフィシャルな形でリリースされた幻の2nd。ギターのジョーイ・タフォーラとシンガーのハリー・コンクリンが抜け、変わりに参加したのが、クリスチャン・ラセグとボブ・パルドゥバの二人。とくにシンガーのボブはタイラント・コンクリンに負けないハイトーンを駆使するシンガーで違和感は全くない、むしろ中音域に甘さがありタイラントよりも柔軟さを感じる。彼の実力はKeep It True X festival in 2008でも確認が出来るので、何故このクオリティでお蔵入にされたのか疑問を払拭できないほど、欧州風味のあるアメリカンパワーメタルをやり切っている。 良く伸びるハイトーン、ジョーイ・タフォーラをフィーチャーしすぎていた面があった前作から比べると楽曲に比重を置いたパフォーマンスに変わり、その充実ぶりはソングライティング力に反映、これぞヘヴィメタルな楽曲に彩られている。Iron Butterfly の名曲 In a Gadda da Vidaのカヴァーもクレジットの段階では蛇足感を感じたが、流れで聴けば違和感はなく、むしろアクセントになっている。すでにハリー・タイラント・コンクリンの歌声でリメイクもされている楽曲が多いのですが、個人的にはオリジナル盤の方が好みですね。つくづくもっていないバンドだ。これほどの良作が80年代中期に出来上がっていたのに世に出ないなんて、これが知られていれば正統派メタルマニアから高い支持を受けていただろう。今日の日本での過小評価も起こらなかったはずである。
前作の手応えを受け手なのか今作は音楽性をより大衆的なものに寄せてきた。とは言え、このバンドらしい情緒のあるパワフルなメロディは健在。前半と後半でイメージの変更を図るなど工夫を凝らしている。④はユーライアヒープも取り上げた曲があるのが、その証拠だろう。デヴィッド・デファイスがシンガーとして一本立ちしたと言える安定したパフォーマンスも功を奏し、非常にバランスの良いサウンドへと変換している。 自動登録にはないが私が知っているヴァージョンは6曲目にThe Burning of Rome (Cry for Pompeii)という楽曲があり、これが実にメロディックかつパワフルなナンバーであり、このバンドの代名詞のようなワクワクドキドキとさせる勇壮さのあるドラマティックな一曲であり、これがあるとないとで大違いだ。 今作は実にややこやしい一枚として知られる。それは90年代に再発されたものは、大幅に楽曲を追加収録、曲順も大胆に変えオリジナル盤とはガラリと試聴感が変る。どれを知っているかで評価も大きく変るだろうが、欧州風味も取り入れたアメリカンパワーメタラーの実力の程に驚かされる。 誰かの批評を永遠に上書きできない偏屈野郎の意見など、もはやイチミリも介入できないクオリティ。一瞬にして溶岩の餌食となったポンペイの悲劇を歌い上げるThe Burning of Rome (Cry for Pompeii)、パワフルな疾走ナンバー Let It Roarという流れに、今作の真の姿を垣間見るだろう。 楽曲のバラエティが広がっているので守備範囲は広い。1988年という時代をタップリと楽しめる一枚になっているだろう。 ワタクシは欠点よりも長所を愛でるタイプなので、今作は今でも年一は通して聴く一枚ですね。
ジャック・スターのプロキャリア最初の作品と言われるバンドの1st。のちに音楽性の違いでバンドを離れバンド名義も引き継げなかった男なのですが、今作ではイニシアチブを握りジャックのギタープレイをフィーチャー、RAINBOW系の楽曲からアメリカンハードありと、わりと典型的なアメリカンメタルをやっています。そこにねじ込まれるジャックが持ち込んだヨーロピアンな感性、のちにマイク・ヴァーニー主催のUSメタルなるコンピ作に提供するChildren of the Stormも収録と将来の有望株として、マイナーリーグでしのぎを削る活動をしていました。なんと言っても今作はデモ音源を叩き台に短気でレコーディングした代物、それ故に、そこまでのクオリティは期待できないが、Still in Love with Youのような大泣かせのバラードあり、男らしいメロディックメタルDanger Zone、バラードの後を引き継ぎ流れ出すドラマ性の高いChildren of the Stormなど質の高い楽曲も収録されている。 古き良きアメリカンメタル、今の主流とはかけ離れたスタイルだが、こういう音を待ち望んでいるマニアにはたまらんでしょう。まだ海のものとも山のものともつかぬ、そんなサウンドってどこか引き寄せるものがありますよね。ワタクシはこういうサウンドに焦がれます。欠点をあげつらうよりも長所を愛でるタイプなので、問題なしなのですが、メジャー流通に慣れている方には厳しいでしょうね。