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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2101-2200

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GRINDER - Dawn for the Living ★★★ (2019-10-12 20:39:49)

ジャーマンスラッシャーの記念すべき1st。無頼なスピード感や荒涼としたメロディはUS勢のスピードメタルからの影響もあるが、ツインギターの絡みなど正統性の強いスタイルを基調としているのも印象的、剛毅に打ち鳴らされるリズムプレイの直情的な絡みと相まって、非常に冷徹でクールなサウンドに聴こえる。
特性の異なるツインギターコンビの持ち味が激しく火花を散らす事で、盛り上がりも確実な展開があったりと、興奮するツボを押さえているのが、やはり殺伐とした無機質さが不穏な空気を生み出し、聴き手の不安を煽り被いつくす。
今となっては古典スタイルとなるのだろうが、摩擦度の高いリフワークと性急なビートの絡みは、スラッシュメタルかくあるべきな魅力が満載、唄い込めるシンガーの存在のおかげでスラッシュはちょっとと思う、スピード/パワーメタル系のマニアにも勧める事が出来る名盤だ。こうして改めて聴くと、意外にフックのある展開があり耳馴染みも良い、またスラッシュ由来の先の読めない展開、その鋭い感性が聴き手の好奇心を擽り続けるでしょう。


RECKLESS - Reckless ★★★ (2019-10-11 14:06:39)

オリジナルは1980年にリリース、『炎の女王』という邦題で国内盤も出ている一品(厳ついタイトルなのにジャケが中途半端)。メロディアスかつワイルドなハードサウンドを引っ提げ、邦題もハッタリじゃないなと思わせる活きのいいサウンドをオープニングから炸裂、英国寄りの王道サウンドは、多くのバンドに共通するポイントを押さえつつも、女性シンガー、ジャン・メランソンのパンチの効いた唄を前に出す事でバンドのカラーを確立、そこにギターオリエンテッドなスタイルで攻勢を掛ける事でバランスをとっており、野心溢れるサウンドへと昇華させている。
どこかグラマラスに聴こえるのはセクシーな女性シンガーの存在感だけではなく、バンドから醸し出される空気がそうさせているのも重要、アメリカンでもブリティッシュでもない、これがカナディアンなスタイルという事なのだろう。
とは言え中盤には毛色の違う顔も見せ、統一感という点では自作の方が馴染みやすいだろう。

2ndでは気骨のあるハードサウンドへと接近、NWOBHMというのかメタルムーブメントへと舵をきりましたが、今作にも甲乙つけがたい魅力がある。やはりまだ何者にも染まっていないというデビュー作ならではのフレッシュ感が好奇心を擽るのでしょうね。


RECKLESS - Heart of Steel ★★ (2019-10-11 13:39:00)

自動登録されたものと、ワタクシが所有する現物との内容があまりにも違うので下記に収録曲を掲載します。
なんでこうなったのだろう?

1.Hot 'n Ready
2.Heart of Steel
3.Drivin' You Mad
4.Feel the Fire
5.Need You Next to Me
6.In the Night
7.Only After Dark
8.Shadows of You
9.Don't Walk Away

カナダ産の4人組による正統派のHM/HRサウンドを披露。メンバーもギタリスト以外は刷新と大きく転換しているのだが、今回新たに加わったベースとヴォーカルの二人はWitchkillerのメンバーであり、1984年にEPをリリースしている。そこでバンド活動に一旦区切りと付け、今作からこちらに移籍となったのか?興味は尽きない。
憂いのあるメロディだがベタつかないのはカナダ産ならでは、メロディアスだがキビキビとした大陸的なビートもカナダ産ならではの味わいでしょうね。メロディに気を配し丁寧に作り込んでいるのだが、ミドルナンバーが中心の為に、少々退屈に聴こえてくる。一曲の出来は悪くないのに、やっぱ9曲もあればガツーンと活きのいいのが聴きたいとなるんですよね。
エピカルというほど大袈裟でもないし、しっかりとした演奏力があるだけに少々、もったいないなぁと思いますね。①もシングルカットされたが大きな動きは無かった。バンドは70年から続くも、メタルバブル期に解散となる。


IRON CURTAIN - Guilty As Charged ★★ (2019-10-08 20:26:54)

トラディショナルなへヴィメタルを愛するスペインのバンドによる3枚目のアルバム。今までと同じく先人達からの影響を画す事無く真っ向からぶつけてくるスタイルに、少々苦笑いも出ますが、これは愛ある模倣でありアイデア不足からくるパクリではない。彼らはこれをやりたくてバンド活動を続けているんだと言いたげに、美味しいフレーズと曲調でおもてなしをしてくれる。MOTORHEADよろしくな暴走ロック感と哀愁を纏ったメタルサウンドを中軸に、懐古趣味と言うフィルターを通した今作は、今まで以上にバラエティに富んでいる印象も受けるのだが、やり過ぎ感もあるのが事実。これは個人の許容範囲と趣味趣向、さらにはモラルが大きく影響しそうだ。ラストにFISTのカヴァーって渋すぎる。


CREYE - Creye - Holding On ★★★ (2019-10-08 00:26:29)

謹製フロンティアレーベルな歌モノサウンド
瑞々しいメロディが溢れ出る80年代テイスト満載のハードポップサウンドは期待を裏切りませんよ


DREAM CHILD - Until Death Do We Meet Again - You Can’t Take Me Down ★★★ (2019-10-08 00:22:40)

まさにDIOである
ロニーのコブシを回した歌声が聴こえてきそうだ
目を閉じうっとりとこの世界観に酔いしれたい
こんなものDIOの出涸らしだと切り捨てるのは簡単だ
グレイグによる愛に溢れたリスペクトサウンドに敬礼あるのみ
わしゃ支持するでぇ


NORDIC UNION - Second Coming - My Fear & My Faith ★★★ (2019-10-08 00:15:09)

これぞノルディックユニオンな一曲だろう
冷ややかで哀愁を帯びたフォーキーさもあるメロディ
そこに絡む熟練のロックヴォイス
両者の特性が合致した事により
メロディアスなのに骨太なハードサウンドへと仕上がっているのが凄い


PHIL LANZON - 48 Seconds - 48 Seconds ★★★ (2019-10-07 22:40:01)

1906年におこったサンフランシスコの大地震をモチーフに作り上げたタイトルトラック
この曲が今アルバムの全てを物語っている
フィルのキーボードを中心の置き
壮麗なストリングスが絡む
そしてロックアレンジのバンドサウンドが伴走者のように寄り添いロックプロジェクトの体をなしている
これぞフィル・ランゾンのやりたかった事なのだろう
幾重にも重ねたコーラスワークも印象的
こういうのテーマの曲って妙なスローナンバーで逃げるパターンもあったりするのだが
あくまでもハードなロックサウンドだと言うのが素晴らしい
小泉首相ばりに『感動した』と素直に叫びたい

48 Secondsってタイトルは地震の長さとかけたんでしょうね


SHY - Misspent Youth - Money ★★★ (2019-10-04 23:22:17)

心の準備が出来ていないぞと言いたくなるぞ
グルーヴィーなリズムに驚きます
演奏力の高さは器用な振る舞い繋がります
アメリカ市場を開拓するべく勝負に出た一曲
新生SHYの印象を与えてくれます


SHY - Misspent Youth - Give It All You've Got ★★★ (2019-10-04 23:18:27)

人気のある曲に挟まれている為にイマイチ印象に残らないのかもしれないが
伸びやかなハイトーンが心地よいです
少々メタリックなサウンドメイクにSHYらしさを感じないのですが
それは全般的な話なので違う味を楽しみましょう
それにしてもギターをガンガン前に出したのは大正解
ギターソロも光り輝いている


SHY - Misspent Youth - Make My Day ★★★ (2019-10-04 23:14:21)

ビートの強いノリノリのロックナンバー
歌い手が変われば印象もガラリと違うものになるでしょう
ギターも巧者
ソロもカッコいい
明るく楽しいロックアンセムですね


SHY - Misspent Youth ★★★ (2019-10-04 23:13:04)

初見の印象は良くなかった。煮え切らないメロディのアメリカンバンドみたいな印象しかなく、ほぼ一度聴いたきりでラックの底行きの宿命を背負っていたのだが、90年代の中頃に正統性の強いサウンドに飢えていた時代に再挑戦。耳をかつてよりは大人になっていたので、初見の時とは全然違って聴こえた事を覚えている。
ロイ・トーマス・ベイカーのプロデュースによって情緒のあったメロディアスかつキャッチーな路線とは決別、よりダイナミックなハードサウンドを軸に、湿り過ぎないメロディを押し出しつつも派手目のギターを武器に、新しいイメージで勝負。アメリカン市場に打って出たスタイルは、それまでと区別して聴けば違和感がない。ある意味、器用なバンドだからこそ様になる路線変更とも言え、質の高さはプロデュースの力と相まってメジャー感バリバリのサウンドとなった。
個人的には、それまでのスタイルを捨てたが故に、やり過ぎ感が強すぎでのめり込めない⑤は蛇足だが、かつての幻影を求めるなら、この曲は溜飲を下げるのに一役も二役も買うだろう。叙情的かつ瑞々しいキャッチネスさを孕んだ胸キュンハードポップソングの決定版とも言える⑦が突出した出来を誇っていると感じ、シングルカットされた③よりは、この曲をリーダートラックにして欲しかった。
そして時を経て、今の感性で聴けば結局、全部美味しく頂けるんですけどね。大人になって丸分かりの良さを認識したわ。すまんよ、スティーブ・ハリスにロイ・トーマス・ベイカーさん。


TESTAMENT - Brotherhood of the Snake ★★★ (2019-10-01 21:51:36)

このバンドの90年代に入り苦戦を強いられた、2000年以降もモダンさとへヴィネスさの強調など、らしさを失っていた感はあったのだが、前作辺りからシーンの懐古主義にも助けられ完全に吹っ切れた印象が強い。紆余曲折を経て完全にバンドの元に戻ってきたエリック・ピーターソン、アレックス・スコルニックス、チャック・ビリーの三人による一糸乱れぬ屈強なスクラムを組むように、意思疎通が図られているように感じる。その三頭政治の復権と言うのか?盤石な体制がバンドサウンドを牽引、単に昔のスタイルに戻るのではなく、普遍的なメタルへのアプローチをとりつつも(①のACCEPT風味に驚いた)らしさ全開のベイエリアサウンドに唸りましたね。

へヴィメタルサウンド特有のアグレッションとドラマ性を純粋培養、テクニカルな要素をふんだんに盛り込み、現代的な精神性の元に古典メタルをブっ込んできた。古さを感じさせないフレッシュ感に何度聴いても驚かされる。名手ジーン・ホグランの相方にスティーヴ・ディジョルジオが復活しているのもチョイとした話題だろう。

豪放磊落なチャックの唄が稲光を放ち暴れ倒す、驚異的な演奏力を束ねるが如き存在感に恐れ入りますね。
勇猛果敢に突撃する演奏陣の結束力の強さも見逃せない。そして生々しい人間的な血の通い方がエグイのだ。この手のサウンドにありがちな機械的な演奏とは無縁の人間力の強さが音に表れている。このダイナミックさを生み出せるバンド内にあるケミストリー、今が一番脂が乗っているのだろう。古くて新しいスラッシュサウンドの復活です。


TESTAMENT - First Strike Still Deadly - Alone in the Dark ★★★ (2019-10-01 21:39:33)

Testamentの前身バンドLegacy時代の曲
オリジナルを唄うのはスティーブ”ゼトロ”スーザだった
ここで再現してくれたのはマニアにとってはサプライズ感満載です
エリックのエスニカルなリフとアレックスの流麗なソロとの対比が美しくもある
曲に関しても参加メンバーも純然たるバンドの曲なのでエクソダス感はゼロです


TESTAMENT - First Strike Still Deadly - Reign of Terror ★★★ (2019-10-01 21:31:39)

Testamentの前身バンドLegacy時代の曲をリメイク
しかもオリジナルで唄っていたスティーブ”ゼトロ”スーザが唄っているのがマニア泣かせ
アルバムの特性を考えても面白い試みだ
古さを払拭するような現代的なサウンドメイクは斬新かつ新鮮に聴こえる
これはこれで大ありだ


EXUMER - Hostile Defiance ★★★ (2019-09-30 21:42:55)

80年代中ごろにバンドは始動、その後グランジブームの波に飲まれるような形で活動停止したジャーマンスラッシャー。何度か再結成して活動したようだが、2008年からようやく本腰を入れ動き出す事となる。
ここで聴ける音楽性は80年代の事のヤンチャな爆裂サウンドとは違う、骨子のしっかりとした成熟度の高いガチンコスラッシュサウンドで勝負。昔のような力技が懐かしいと思えるほどの、成長度に驚く。とにかく洗練された大人のスラッシュサウンドに変貌だ。無理無駄のない整合感と聴かせ方の上手さ、今の時代を意識させつつも、先人達から受け継いだ血脈を守る、王道スタイルで見事に自分達の音を作り上げています。

こんなに器用なスタイルになっているとは思わなんだ。ささくれだったクールなリフワークから、殺傷力のあるキレキレのギター、鋭さをもった感性が、傍若無人に暴れ倒すへヴィネスサウンドを展開する様に唸ります。剥き出しの狂気がインテリ風に装っているようで怖い。こんなバンドになるとは思わなかった。


X-WILD - So What! ★★ (2019-09-29 20:32:04)

分裂する老舗ジャーマンメタルバンドRUNNING WILD、ロルフとの航海に終焉を告げ、新たなる旅路に出たアクセル・モーガンとステファン・シュヴァルツマンの二人が、同じ釜の飯を喰った海賊仲間のイェンス・ベッカーに声を掛け始動、シンガーに英国人のフランク・ナイトを加え剛毅なジャーマンサウンドを掲げ、ヨーソーローと主舵を切っているのだが、完全にロックン・ロルフに喧嘩を吹っ掛けるような類似性も目立つのだが、こうしてじっくりと聴くと、フランクの声は、ロルフ+ウド・ダークシュナイダー÷AC/DCな色合いが濃く、リズムプレイも直線的ではあるがRUNNING WILDよりも柔軟性があり、U.D.O.の音楽性に近いと思いますね。
とはいえ、イントロから数小節を聴くだけで、オチまでの展開が見えるのが、この手のサウンドに対するアレルギーとなるのですが、好きモノにはたまらない金太郎飴サウンドとなります。勿論、RUNNING WILD直系のスピードナンバーも有りますので(あのリズムとリフです)ジャーマンパワーメタルマニアなら、軽い気持ちで聴いて欲しいですね。


CACUMEN - Bad Widow ★★★ (2019-09-28 22:16:05)

古くは70年代から活動するドイツの老舗バンドの一つ。バンド名をなんて読むのか分かりませんが、このバンドはBonfireの前身バンドとして知られています。メンバーもまんまBonfire、そして出している音は商業的な成功に狙いを定めた極上のメジャーサウンドで勝負を掛けたBonfireとは違うが、出している音は完全に同郷の先輩Scorpionsを意識したもの、この音もある意味、メジャーに打って出て成功に近づいた音と言えるのだが、切れ味鋭いリズムプレイに、官能的なフレーズで酔わせるソロ、変化自在とも言えるギターワークと、艶のある歌声で魅了するクラウスのパフォーマンス力の高さ、どれもが一級品の出来栄えを誇っている。正直、狙い過ぎと言うか、拝借感がエグイなぁと感じる場面もチラホラあり、潔癖な方なら許せないと感じるでしょうが、欧州的な翳りのあるメロディと図太いロックサウンドが放つウネリが心地よく身体を突き上げていきます。メロディラインがハッキリとした歌メロも秀逸、真似出来るようで出来ない上手さが光ります。やったもん勝ちの心理にも似ているのだが、質の高い模倣は、違う意味で称賛に値すると思っています。


DONNERKOPF - Krachmaschine ★★★ (2019-09-27 20:15:50)

バンド名はドイツ語、英訳するとThunderheadなる。でだ、参加メンバーがヘニー・ウォルターを中心に、オーレ・ヘンペルマンと言う事で、要はテッド・ブレッド抜きのThunderhead再始動って事ですよね。
でも歌詞は全編ドイツ語、そしてより無頼なバンカラ成分を増量、その男どアホウ甲子園ぶりに笑みもこぼれます、MOTORHEADよろしくなパンキッシュロックンロールのオンパレードにグッときますよね。少々やり過ぎ感もありますよ、本家を聴いてりゃ事足りますよ、でもここでしか聴けないMOTORHEAD節満載のパンクメタルがあるんですよね。ドイツ語の語感も手伝い個性的な側面をフォローしているのも面白い。
やけのやんぱちがらっぱちな、野趣味溢れる泰然自若とした轟音サウンドに、この道を極めんとする生き様を猛烈に感じます。


VICTORY - Don't Get Mad... Get Even ★★★ (2019-09-26 14:44:07)

トミー・ニュートンの相方をハーマン・フランクに、ドラマーもフリッツ・ランドウに変えリリースされた2枚目。今作も前作の流れを踏襲するワールドワイドなスタイルで勝負。オープニングからコーラスワークも耳を惹く、硬軟なバランスが取れたハードサウンドで勝負、キレのある②と流れ前作よりも明らかに垢抜けた印象が強い。その流れは最後まで続くのだが、ミドルナンバーが中だるみ感を誘発しているという意見もあるので、スピードナンバー中心に楽しみたい人には、少々厳しいかも知れませんね。バンドメンバーの変更は音楽性にも過敏に反応したのか、方向性を見定め派手さと言うか時代性を巧みに飲み込みメジャー感を前に出してきた。その中にハードエッジなスタイルを際立たす事でロックバンドとして矜持と言うものを感じる。
単なる売れ線ではない腕の覚えのあるメンバーが揃った質の高い一枚。ドイツ人らしい生真面目さと欧州由来の暗く湿ったメロディは、やはりアメリカ人には出せない魅力ですよ。

アメリカ市場を狙った音楽性、このメロディアス路線と真摯なハードサウンドは、W.A.S.P.やTWISTED SISTERを思い出しますね。こういう硬軟のバランスに優れたアルバムは80年代マニア以外にも、十分に通用する魅力があると思いますよ。
細かい類似性を指摘され低評価を喰らったアルバムですが、全体を包み込む雰囲気を楽しめる方なら、何の問題も感じないでしょう。ハードエッジなメジャー級メタルのお手本のようなサウンドを楽しめますよ。


VICTORY - Victory - The Hunter ★★★ (2019-09-26 14:25:24)

定番と言えるロックなシャッフルナンバー
ベタの強みと言えばそれまでだが新鮮さは皆無
使い古されたアイデアでも重量感を残したジャーマンスタイルがアクセントとなっている
快活なノリはアルバムのオープニングにピッタリだ


VICTORY - Victory - On the Run ★★★ (2019-09-26 14:22:04)

ゆったりとしたグルーブが襲いかかるワイルドなイメージを抱かせるミドルナンバー
サビでは跳ねあがる展開も悪くない


VICTORY - Victory - Gonna Be in Trouble ★★★ (2019-09-26 14:19:39)

売れそうな空気が漂っていますね
派手目のソロも決まっています
陽性に成りきれないヨーロッパの血が大好きです


VICTORY - Victory - Don't Count on Me ★★★ (2019-09-26 14:16:15)

ROCK BOTTOMなミドルナンバー
この生真面目な切れ味にドイツを感じますね


VICTORY - Victory - Red Alert ★★★ (2019-09-26 14:13:49)

バラードに続き最後の曲もスローナンバーだったのには驚いた
ここでもチャーリーの熱を帯びた魂を削りパフォーマンスを楽しめる
余裕のないギリギリのシャウトは評価の対象かも知れませんね
ブルージーかつメロディアスなハードサウンド
欧州由来の暗く湿ったメロディが心を濡らします


VICTORY - Victory - Can't Stop Missing You ★★★ (2019-09-26 14:10:40)

泣かせのロッカバラード
ベタベタに聴かせないハードエッジさが好きだ
渋系のジョン・ロックトンに対してメタリックかつモダンなニュートンのギタープレイの対比も面白い
熱い喉を披露するチャーリー・ハーン
ゲイリー・ムーアやアクセル・ルディ・ペルに見出されたのは当然と言える
パフォーマンスで魅了してくれますよ


VICTORY - Victory ★★★ (2019-09-26 14:08:04)

70年代から活動するFARGOを母体に再始動したバンドは同郷の先輩、ルドルフ・シェンカーの口添えも有りメジャー契約をもぎ取る事に成功。当然、それ以前の活動も後押しとなるのだが、最初からドイツ以外の国をターゲットにしていた為に、シンガーの座を、アメリカ人のチャーリー・ハーンが務める事に違和感はなかった。
他にも渋いところではWild Horsesのギタリストだったジョン・ロックトンが参加もしていたりと、ポッと出の新人ではないので、デビュー作から堅実な作り込も成功と、ワールドワイドなサウンドで勝負を掛けている。
陽性に成りきらない欧州由来の湿り気のあるメロディ、大衆性を取り込んだノリの良さ、バラードあり、カヴァーありと、多様性があるものの散漫な印象を与えないのも好印象。日本での認知度はイマイチだが、ドイツはもとよりアメリカでも、そこそこの成功を収めたバンドとして知られている。
このバンド、今となっては名プロデューサーであり、腕利きのミキサーとしても知られる腕利きのギタリスト、トミー・ニュートンが参加している事で有名かも知れませんね。
ハロウィーンスタイルではない、メジャー級のジャーマンメタルサウンドの旨味、渡米後のスコーピオンズをお手本としたような叙情派路線は、堅実な演奏とアレンジに対して、相反するかの如く熱い喉を披露するチャーリーのおかげで、独自のカラーが生み出されている。

なんだかんだ言っても、このバンドを有名にしたのは、女性が仰向けに寝そべりV字を開脚を決めたジャケなんですけどね…とほほ


DEATH ANGEL - The Evil Divide - Father of Lies ★★★ (2019-09-26 01:42:36)

エモーショナルなギターソロに驚いた
流麗なスピードプレイも当然カッコいいのだが
泣かせ方に驚かされた
現代的なサウンドメイクも違和感なし
新生デスエンジェルならではの味わいだろう


TORMENT - Experience a New Dimension of Fear ... ★★ (2019-09-26 01:20:53)

古くは80年代の中頃から活動するジャーマンスラッシャーの1st。リリースはSteamhammerからと満を持してなのでしょうが、まずは①のイントロが2分、次の曲もイントロ長いなぁと思ったら1分のインスト、そして③から歌入りなのだが、掴みの悪さにテンションがモロ下がりになるのがマイナス、そのセンスの無さと言うのか悪趣味さは、全編に渡り繰り広げられます。、MOTORHEADのカヴァーあり、HELLHAMMERのカヴァーあり、アルコール万歳ソングありと、ごった煮感というのか、闇鍋感も凄いのだが、禍々しいマイナーメタルの詰め合わせのような今作は、その筋のマニアなら大喜びでしょうね(わしゃ久しぶりに聴いたけど疲れましたよん)。整合感などクソ喰らえ、理論など無用な、ガッチャガチャの暴走ハードコアスタイルとも言える爆裂スラッシュサウンド。食器棚から皿を何十枚も纏めて割ったような騒々しさは、食器を割られた被害者が感じる絶望感と激しい怒り、そして加害者が感じる卒倒するような恐怖と逃げ出したくなる理性に、この音はリンクしますね。


TRAVELER - Traveler ★★★ (2019-09-26 00:43:21)

今年の2月にデビューアルバムをリリースしたカナダ産NWOTHMバンド。憂いのある沸騰型ヴォーカルに、回転するリフワークとNWOBHM印も満載なのだが、湿り気のある泣かせのメロディがシャープに切れ込んできたりと、メジャーロックバンドにありがちな売れ線志向など排除したマイナースタイルは、既に一級品の出来栄えを誇り、先人達から受け継いだアイデアを堅守するサウンドは、オールドスクールマニアのみならず、これからの若い人たちにもスタンダードなへヴィメタルの様式として楽しんでもらえるでしょう。重量感を残しつつもキャッチネスさを散りばめたハードサウンドの旨味、攻撃性と疾走感が極端に振り切らないバランス感覚、へヴィメタルの世界観を総括したように、方向性をギュッと絞り込んでいる為、全編に渡り耳に残ります。
とはいえ、この手のスタイルはやり尽くされた感も強い、ファーストインパクトは強めだが、飽きのサイクルも速めなのが欠点だが、大昔からずっと、この手の正攻法で迫りまくるバンドを聴いてきた身としては、体中が否応なしに歓喜、大げさ抜きに鳥肌物となります。頭から聴き続け、④のインストナンバー辺りでグッと来てますよ。

かつてメディアから見捨てられた普通のサウンド。へヴィメタルの世界に流行り廃りなどない(多少はあるけど、基本的な価値観が変わったら、それはジャンルそのものの存在意義は変わります)と信じて疑わない身としては、溺愛指数100%のバンドとなりますね。


FOCUS - Moving Waves - Hocus Pocus ★★★ (2019-09-23 20:01:04)

このバンドの名前を一躍世に知らしめた代表曲
邦題は悪魔の呪文
現代との関係性は分からないが
ぶっ飛んだアイデアの今作を聴けば納得出来るだろう
ハードに躍動するギターにドラム
狂い咲くオルガンの音色
そしてヨーデルが唄の代わりを果たすのだから凄いよね
最終的には口笛まで飛び出す始末
ぶっ飛んでいるわ
狂気の様相を呈する楽曲を牽引する楽器隊の熱演ぶりに何度聴いても身震いさせられる


BUDGIE - Never Turn Your Back on a Friend - Breadfan ★★★ (2019-09-23 19:55:07)

クールなギターリフが嵐の如く吹き荒れる
メタルバンドに与えた影響は大きいだろう
中盤での場面展開もお手の物
まったく別の曲のように変わる
人間椅子が日本語詩でカヴァーしたのも有名だ


JURASSIC JADE - Gore ★★★ (2019-09-20 13:17:23)

SLAYERスタイルのスラッシュサウンドを引っ提げようやく1989年にフルアルバムをリリースした関東を代表する国産スラッシャーの重鎮。スラッシュブームに便乗したとも言えるのだが、唯一無二の個性を発するHIZUMIの刺激的な歌声は、聴き手の感情にささくれるような不快感を与えていきます。ガリガリと刻まれるリフと直線的なビートが、さらなる不穏な空気を後押し、もうやめてくれと叫びたくなるような不快感を音に乗せていきます。
HIZIMIが吐き出すのは弱者目線の言葉、虐げられた者たちの怒りと絶望、そのやるせなさからの脱却、幸せを求める渇望が、刺激的な音となり聴き手に問いかけます。現実離れした生ぬるいラブソングとは無縁の世界、このバンドが提示したものから目をそらす事は出来ないでしょうね、
全てが必然であり、奇をてらったものではないのだが、ややキャラが立ち過ぎたきらいがあり、そして性別を超越した歌声もあり、一部から偏見の目で見られたのが残念でならない。

こうして時を経て冷静になり耳を傾けると以外とジャーマンスラッシャーに通ずる魅力があり、KREATORやSODOM辺りにも通ずる身を蓋もないスピード命の攻撃性を感じますね。


JURASSIC JADE - 誰かが殺した日々(never Forget Those Days) ★★★ (2019-09-20 12:54:18)

日本はおろか海外を見渡しても異彩を放つ国産スラッシャーの2nd。今作ではプロデューサーにDOOMの藤田を迎えた事により、今までの直線的なスラッシュサウンドに幅を持たせる事に成功。バンドのやりたかった事を具現化したと言えるのだが、新しいアイデアは、単なる好奇心を満たすためだけの楽曲ではなく、アルバムを通して聴くと重要なパーツとなる機能、新たなる魅力を散りばめた事により、アルバムに大きな起伏を作る事に成功した。黒い童話や禁断少女の導入は大正解と言えるだろう。

狂気を孕んだHIZUMIの咆哮、彼女のアジテーションヴォイスは聴き手の感性に鋭い刃を突き立てるでしょうね。リフワークも前作よりは柔軟さが芽生え、キャッチーさが全体を包んでいるのが印象的。SLAYERスタイルからの脱却。それでも十分に初期のカラーを残していると感じるのが今作の特徴。金看板を守りつつも、新しい事を取り込み、不自然さを感じさせなかったのは、バンドの思惑とプロデュース力が合致したからだと推察出来る。

それにしても音そのものにえげつないくらいに恐怖を感じる、このド迫力のヘヴィネスサウンドは聴き手の感性を思いっきり蹂躙していく、素をさらけ出して聴けないコチラが罪人になったように感じてします。ヤバいものに取り込まれた共犯関係、危険極まりないバイオレントな作風は常にチャレンジすることを恐れない現在進行形の彼等だから成し得たのだろう。


RAGING FURY - Grotesque Masked Krusher ★★★ (2019-09-17 16:45:13)

大阪を中心として活動する古参スラッシャーが前作から、6年間の短いインターバルで3枚目のアルバムをリリースしてくれた。前作が素晴らしい内容だっただけに、思わず『やったぜベイベー』と叫びたくなるほど嬉しかった。
勇猛果敢に突進してくる哀愁美のある轟音サウンドは、意外なほど柔軟さを纏っており、近年の活動基盤が整っているんだなぁと感じましたね。こなれた楽曲はどれも耳馴染みの良さがあり、激しいのに聴きやすいと言う離れ業を披露しているのに驚かされる。刺激的な日本語詩も聴きとり易くバッチリとハマり独自性を高めているのも好印象。ガッツ溢れる男泣きメタルとハードコア一直性ダイハードスタイルも抜群の相乗効果を生み出し、このバンドの個性を猛烈に光らせている。
NWOBHMの流れを組む、国産スラッシャーの等身大の姿。現役感を損なわない新しいアイデアと綿々と尽き重ねてきたへヴィメタルの系譜、そのコアな血脈を守る強いアイデンティティに、このバンドならではの魅力を感じます。けして守りに入らない、攻めの姿勢、全てが好転しているのが素晴らしい。


SACRED REICH - Awakening ★★ (2019-09-17 16:03:37)

遂に完全復活を果たした古参スラッシャーの最新作。もはや多くのバンドが行ってきたリバイバルに対しての驚きはないのだが、彼らはどのような手法で世に問いかけるのか興味はあった。
ここで聴ける音はマッシブでダイハードなへヴィメタルサウンド、往年の弾力のあるへヴィグルーブが弾け飛ぶのとはチョイと違うのだが、安易な着想による過去をなぞるだけの音楽性ではない、現在の姿を余すことなく伝えているのが何よりも嬉しい。これは現役のバンドによる現在進行形の姿。
もっと破天荒に打ち鳴らされる好戦的なスタイルを求めると、肩透かしを喰らう事は間違いない。昔はもっと過激でスピーディーだったからね。それでも、このバンドならではのノスタルジックな面もある、そして衰えていない主要メンバーのパフォーマンスも嬉しい限りだ。求める物によって評価を分けるだろうが、いい意味で原始的なロックの響きとモダンさ、古さと新鮮さを取り込む事で、同じスタンスに立ちながら新機軸を打ち出す事に成功したと言えよう。こういう音は地味に聴こえるのは否めない。それでも、このバンドならではのゴン太なへヴィグルーブは健在でしょう。


RANKELSON - The Bastards of Rock 'n' Roll ★★★ (2019-09-16 21:32:35)

ポップでスリージーさもあるが、英国のバンドなんで全然陽気にならないのが面白い。悪名高きEBONYに仕事なので音質のゆるさは否めないが、攻撃性と叙情味溢れる硬派な面が際立つ攻撃的なナンバー③④⑤の流れなど、このバンドのもう一つの魅力をアピール。硬質なリズムプレイも派手目のギターワークもハイレベルのプレイアビリティを持っているので安心して聴けます。キーボードの使い方も工夫を凝らし音の厚みを作り出しているのだが、前述した通り、これがEBONY Recordsのお仕事なわけです。その為に、個性がスポイルされているのが残念。歌い手も少々荒っぽいのが合う合わないと評価も分けるだろう。1987年リリースと言う事だが十分、NWOBHMの流れを組んでいるのも、このバンドの魅力な訳です。
大げさな展開もハマるへヴィバラードの⑦など、こういう曲を最後まで聴かせるアイデアとアレンジセンスの高さも、このバンドの強み、器用な立ち回りも目を惹きますね。ドラマ性のある濃厚な⑧で幕を下ろしていますが、売れる事なく今作を最後にバンドは解散。実力はあるのに、最後までバンドの顔が見えてこなかったのが痛かった。


WEHRMACHT - Biermacht ★★★ (2019-09-15 22:10:30)

レコーディングに慣れたせいもあるのか、前作よりもまとまりが出来ている。スピードに特化した無軌道サウンドの破壊力はそのままに、聴かせ方がこなれたことでバンドとしての深みが増し、魅力も倍増と2年間の成長ぶりに目を見張りますね。
今まで以上に緩急をつけた事で、よりグランドコアなダイナミズムとデス系バンドに通ずるグルーブが強化、ファーストインパクトは1stの方が上だろうが、作品のクオリティとしては今作に軍配を上げたくなる。暴発するブラストビートが減ったと言われるが、それを差し引いてもツインギターコンビのキレと豊富なアイデアは、楽曲に多様性をもたらし聴き手の好奇心を擽り続けます。どこか挑発的な音は、無邪気に人を殴りつけるような理不尽極まりない暴虐性があり、不快感もあるのだが、陽の部分が逆に親しみやすさを持っており、音質が良くなったおかげで歯切れの良さも際立ち、不思議と聴きやすさを誘発している。

ウンコたれZ級レーベルとしてマニアから愛されるNew Renaissance Recordsでも当たりの部類に入ると言われる彼ら、日本での知名度は鬼のように低いのだが、世界中のグラインドコアメタルマニアから一目を置かれる存在としてリスペクトされているという事実は無視出来ませんね。雑誌のレビューという先入観を持たない若い人にこそ知ってもらいたいクロスオーバースラッシュバンドです。


WEHRMACHT - Shark Attack ★★★ (2019-09-15 21:37:19)

かの有名な商業誌のレビューにて一ケタ代の点数を献上したUS産のクロスオーバースラッシュバンドの1st。とにかく聴く価値のないアルバムと酷評されていたと言うのだが、今作が後世に残した影響は大きい。
問答無用のスピードサウンドのオンパレード、ブラスト寸前の爆裂ビートを1987年に導入したのはかなり早いアイデアだったと言えよう。とにかく速さに特化したサウンドはデスメタルやハードコアサウンドが激しい渦を巻きながら、全てをなぎ倒していくような破壊力がある、その押さえの効かない無軌道ぶりに恐れおののくのだが、New Renaissance Recordsの雑な仕事のおかげで分離の悪い音に仕上がっているのが、更なる衝動性を叩きつけてくる。メタルとハードコアの激しい部分をくっつけたような騒々しさ、ノイズをまき散らす磨き上げたスピードサウンドを前に、骨がギリギリと軋み、思考回路を寸断していくように理性を激しく蹂躙していきます。
こういうクロスオーバー系のバンドって、割とダークな面が強いのだが、彼らはどこかファニーな部分があるのが面白い、暗さに中にある朗らかさ、その珍妙な変わり種感も独創性に拍車を掛けたと言えよう。
メジャー性の高い大衆向けのバンドでは味わえない異形の佇まい。何物にも属さない個性、彼らから歴史が始まったと言えるほど、当時は革新的なスタイルだった。比較するなら完全にグラインドコアメタルの帝王と呼ばれるNAPALM DEATHとなるのだが、そちら系のマニアから言わせると、このバンドの方が先だというのだから興味深いですよね。
日本では一ケタのレビューに引っ張られウンコ扱いで終わりでしょうが、世界中のアンダーグランドメタルマニアを狂喜乱舞させ、多大なる影響を及ぼしたと言うのだから、世の中なにが起こるか分かりませんね。月並みですが、百聞は一見に如かずとはこの事を言うのでしょう。
ほぼ3分を切る楽曲の中で、毛色の違いを魅せるインストナンバーだけ5分声、これがスリリングで悪くないのが、このバンドの魅力。単なるスピード馬鹿ではない事を物語っています。①のイントロでは映画ジョーズのテーマをダークに潰しまくって引用していますよ。


OUTRAGE - Live & Rare Vol.2 - Under Control of Law (demo '85:with Kazutoyo Ito) ★★★ (2019-09-13 20:42:49)

超絶貴重な伊藤千豊時代のデモ音源。
New Renaissance Records監修1987年リリースの『Speed Metal Hell vol. III』に収録された時はブッたまげました。既に橋本で動いているのに、1985年に世に出たデモが、1987年に海外を経由して世に出た事実に興奮する。橋本の方が唄い切れているが荒々しい演奏がグイグイと牽引。海外のバンドと比べても遜色のない魅力を発散していた。


BLASDEAD - グラウンド・フレア ★★★ (2019-09-10 22:19:17)

国産パワーメタルの勇者ブラスデッドの2枚目。関東のメタルシーンはもとより正統派パワーメタルの牙城を守る勇者として誉れ高きバンドなのだが、紆余曲折を経て作り上げた今作は、音質云々の厳しい問題はあるのだが、胸を焦がす勇壮さと叙情味のあるメロディ、剛毅に打ち鳴らされるリズムを引っ提げ華麗に駆け抜けていく。その姿は類型的なものなのかも知れないが、期待を裏切らないツボを押さえた展開、ドラマ性を讃えながら疾走する姿は、へヴィメタルのカタルシスそのもの、パワー・メロディ・スピードの三拍子がバランスよく揃い、過度にならない匙加減が絶妙だ。
やはり日本人は細部に拘る。その職人気質は豪胆なパワーメタルの中に繊細さを作り出し、ブワーッと勢いだけで流れないワビサビを生み出している。パワー/スピードメタル系のマニアにとっては、一つの理想形を見事に描いたと言えるだろう。


Touchdown - Tricks of a Trade ★★★ (2019-09-08 21:02:51)

デモ以下と評される事もあるミックスのせいで魅力を伝えきれなかったデビュー作。今作は、そんな前作の不評を吹き飛ばすように格段に音質が良くなっている2枚目。リリース時は1985年、ギターも厚みを増してきたが、ややリズムプレイの音圧が弱いと感じるが、これもメインストリーム寄りの仕事と好意的に受け止める事で心の整理をつけたいと思います。

シンガーも男性に代わり、何から何まで違うバンドに変貌を遂げているのだが、正統性の高いハードかつメロディアスなロックサウンドは、アーティステックな側面も残しつつモダンさも加味。さらには頑固な職人気質の渋さも加わり、いぶし銀の味わいが楽しめます。流行過敏にならず、堅実だがクリーンなイメージと持ち込んだのは、このバンドのカラーなんだろう。

抜きんでた楽曲がなくとも、アルバム単位で楽しめる安定感のある一枚。普通である事が今となっては最大の自己主張であろう。


Touchdown - Don't Look Down ★★★ (2019-09-06 19:19:36)

カナダ産の正統派HM/HRバンドが1984年にリリースした1st。枯れ専ギターは線は細いものの、独特のタッチの音色で勝負。いい意味でのマイナー臭に拍車を掛けていますが、1984年でも古臭い音になっているのは聴き手の志向によってはシケシケの貧乏臭さを猛烈にアピールすることになるでしょう。後期NWOBHM勢とも重なるようなマイナー臭と古典的な音色、雄大なカナダとは一味違うのだが、リズムやグルーブに大らかさが顔を覗かせているのがお国柄と言うものだろう(デモテープ級の音質ですので耐性ののないマニアは要注意)。

チョイとブルージーさも湿り気を帯びた叙情派ギターサウンドを軸に、伸びやかな歌声で華を添える女性シンガーの存在感の強さ。叙情的なムードに包まれつつも、薄っぺらい音質の向こうには骨太さも感じられたりと、多様性を感じさせるのがポイント。装飾をそぎ落としシンプルに着飾る事で聴こえてくるサウンド、巧みに硬軟を交える事で聴きやすさをアピールしている。

こうなると、このぺランぺランの音質が悔やまれる一枚であろう。中盤に配されるグルーヴィーなナンバーなど、物足りなさを感じさせる。それを凛とした歌声でフォローするテリー・クシュナーの存在感が大きく作用していますね。


CANNON - Thunder and Lightning ★★★ (2019-09-04 17:34:53)

中央でフライングVを掲げるジャケも印象的なジャーマン産のメロディアスHM/HRバンドの1st。ドイツらしい生真面目さと、バブリー臭が互いに共存、硬質過ぎないがソフトになりきらないのが、ドイツ産ならではの魅力だろう。
ハードに迫るバックの演奏と、ジョー・エリオットにフォロワーとも言える唄い回し(80年代に溢れ返ったタイプの一つ)全てにおいて懐かしい空気が充満しているので、この時代を愛するマニアなら大いに楽しめるでしょう。またメタルバブルに浮かれたシーンにちょっとと思っている人には、硬軟バランスをうまくとっているので、逆にチャレンジして欲しいです。
ソフトで口当たりが良いだけではないハードさが加味されているのがポイントですからね。この手のサウンド、北欧勢ならクラシカルさやメロウさが塗されるのに、ドイツだとこうなるんだと思わせるのが個人的には面白い。


CONEY HATCH - Coney Hatch ★★★ (2019-09-04 17:22:55)

オリジナルは1982年リリースの1st。このバンドのにとってのヒット曲①もあり、デビュー作としてはまずまずのスタートを飾る事が出来ました。
メロディアスかつ爽快なハーモニーも生かしつつ、歯応えのあるバッキングや大らかで大陸的なグルーブなど、カナダの雄大な大地を想起させるものであり、80年代初頭だから聴けるギミックなしの本格派のハードロックサウンドを楽しむ事が出来ます。ザラついてはいるが、メロディは実に洗練されているのがメロディ派にも勧めれる要因、シンガーもアンディ・カランとカール・ディクソンの二人で分け合っているのも楽曲に色を付けていますよね。
洗練され過ぎず、ブルージー過ぎない絶妙なさじ加減を狙うサウンド、こういうのは時代を超越して楽しむ事が出来ますね。全般的に地味に聴こえるのは、堅実な演奏の賜物。甘口に走らないメロディアスサウンドってのは、そうはありませんからね。ギターオリエンテッドな作風ってのもHM/HR系のマニアにはありがたいですよ。それにしてもカナダのバンドって我が国内では知名度が低いねぇ。同郷のSANTERS同様、もっと多くの人に知って欲しいバンドですよ。


DÜel - Raging Soldier - Outlaw Horses Comin' ★★★ (2019-09-03 13:20:56)

昔から大切にされてきた曲の一つ
このバンドの魅力をギュッと凝縮している
砂煙を巻き上げ疾走するドグサレヤクザメタルに胸焦がれます


DÜel - Raging Soldier ★★★ (2019-09-03 13:02:01)

待ちも待ったり待望の2枚目のアルバムが2019年にリリース。メンバー間のパーソナルな問題など順風満帆とはいかなかった彼らでしたが、ここで聴けるのはTANK由来の男の哀愁を纏った叙情派HM/HRサウンドを披露。
直線的に打ち鳴らされる剛毅なリフや突破力の高いリズムプレイなど、派手さはないものの、トレンチコートの襟を立て煙を燻らせる男の哀愁美、ジョン・ウー監督『男達の挽歌』やチャールズ・ブロンソン『狼よさらば』などなどの任侠スタイルな世界観を共有出来るマニアなら大いに楽しめるでしょう。
スピードとパワー、ノリのよい展開を有するアップテンポな楽曲群の数々、そこに濃密に絡む男泣きのメロディ、BGMには成りえないメタルファンのハートを鷲掴む血湧き肉踊る鋼鉄サウンドのオンパレードに焦がれますね。

こんなもんTANKの二番煎じだと言えば、それまでかも知れませんが、あの世界観を忠実に踏襲しつつ、自分達のカラーを投影出来る優れたバンドを知りません。細分化が進むメタルシーンの中で、ジャンル分けや、名義の拘る事など何の意味もない事を教えてくれる、漢メタルの決定版。彼らの帰還に胸が熱くなりました。今後はシーンの中核を制覇するべく、重戦車を駆動させて欲しいですね。

とはいえ再録ヴァージョンが多いのがポイント。廃盤になった名盤の曲が蘇ったとポジティブになれるかが重要だ。


Outline - Fire Whiplash ★★ (2019-09-03 12:41:34)

女番長・野良猫ロックヴォイスでお馴染みのDEMONAのタンザ嬢。最近、彼女の名前を聴かないなぁと思ったら、彼女はバンド名をOUTLINEに変えて活動を継続していた。今作は2018年にリリースしたEP。参加メンバーも彼女とTHE HAMMERの二人と言う事で今まで以上にメタル同好会色が強まったが、良くも悪くも、このチープな作りが彼女の持つリアルチョリースぶりを猛烈に増幅、その蓮っ葉で悪ぶったロックな背徳感が上手く音に溶け込んでいる。
パンキッシュに打ち鳴らされるスピードナンバーの数々は、その筋のマニアには需要はあるものの、今まで以上にマニアック度が高まっているのが評価を分けるでしょうね。特にTHE HAMMERがギター、ベース、ドラムを担当するが為に、演奏におけるキレ不足は否めない。あまりにも直線的過ぎると感じるのが個人的には難点。そこが好きに転べば良いのですが、他にも曲間短く進むアイデアも悪くないものの、メタル特有のドラマ性を排してしまった為に、メリハリに欠けると言うのも個人的には物足りなかったりする。メタルコアなどの2000年以降のバンドから入った人には、さして気にならないだろうが、ギターソロへ向かう展開、そして放たれるカタルシス、当たり前のようにあるメタルバンド特有の展開がもう少し欲しかったと言えるだろう。

ちなみにタンザ嬢、今作ではTHE SPEEDと名乗っていました。メタル裏街道を走るスケ番ヴォイス。マニアとしては彼女の精力的な活動から目が離せませんね。


IRONCROSS - Too Hot to Rock ★★★ (2019-09-03 12:26:24)

知る人ぞ知るフィンランドの古参メタルバンドの3rd。古くは70年代から活動していたようだが、今作リリース時は1986年。メタルバブル勃発という時期のリリースも有り、上手く時代にアジャストしてきた。
垢抜けてはいないが、メロディアスさは北欧特有と言えるのだが、それいじょうにハードでメタリックなスタイルを貫いており、多くのメタルファンが聴いて納得のメジャー感を携えた正攻法で勝負を掛けている。
色んな意味で懐かしい音色だが、乾いたへヴィーグルーブが小気味よく弾け出されるこのバンドのもつ独特のウネリ、豪快なリフワークから泣かせのソロまでと気骨だが華もあるギター、オーソドックスな楽曲との絡みは上々だ。
曲によってはキーボードも前に出し、多彩さをアピールする事で曲調に幅を持たせているのも好印象。サビで大合唱を誘発するようなゆったりとしたグルーブのロックアンセムから、パープル風味の疾走ナンバーに、JPやNWOBHM由来のハードナンバーと、一時代を網羅したような印象を受けるのも、この時代ならではの作風であろう。

長らく廃盤のままであり忘れ去られたバンドであったが、今では安価でダウンロード盤が手に入るので、懐かしき古典メタルに興味のあるマニアなら手にとって貰いたいですね。バラードなんて北欧風味満点のロマンティックなヤツですからね。


GRAND MAGUS - Iron Will ★★★ (2019-08-31 21:43:23)

初期の頃に漂っていたドゥーム系から、いい意味で脱却を果たした意欲作。今まで以上に男臭さを前面に出した作り込は、北欧流儀のメロディとも上手く絡み熱量の高いサウンドへと昇華。
ダークサイドに立っていはいるが、野趣味溢れるリズムとリフワークは古典ロックの濃度を濃縮したようなザラついた響きがあり、自分達のやりたい事を明確に提示している。

イントロの入り方も期待値をあげるような上手さも光る作曲能力の高さ、リフ、リズムの旨味は勿論だが、ソロの組み立て方など、メロディへの練り込みも申し分なく洗練されている。情念の薄まりも北欧ならではと言いたくなる仕様。聴かせかたの上手さが評価に直結するでしょうね。


小野正利 - FOR PURE LOVERS ★★ (2019-08-28 13:53:56)

You’re the Only…のヒットを受け一躍時の人となった元Fort Braggの小野正利。人によっては『ろくでなしBLUES』の主題歌を唄っていたとかあるのでしょうが、今やソロでの活動も継続しつつ、やはりガルネリウスの看板シンガーとして有名であろう。

出自もあるのだが、J-POP界に目をつけられるほど卓越した歌唱力の持ち主、あのクリアーで抜けの良い高音域を聴かされたら、そりゃアングラメタルの世界に埋もれるのは惜しいと思いますよね。
そんな小野先生が、海外有名アーティストの楽曲をカヴァー、さらにはYou’re the Only…の英語ヴァージョンまで取り込み、幅広い層にアピール。能天気なポップスを唄うのは抵抗があったのでしょうか?日本のニューミュージック系のような日和も見せれなかったのでしょうかね?
色んな事を推察しますが、今作はスローナンバーを中心に彼の歌声を堪能出来る仕様になっています。

その反面、ハードなモノを好む方には薄っぺらいバッキングのおかげで小野先生のカラオケ大会的な匂いが強すぎる為、耳に入ってこなさそうなのが評価を分けるでしょうね。アコースティカルに生まれ変わったヒット曲⑥、一番ロック色が強い⑦など興味深いでしょうね。①から⑤はある意味スタンダードな曲だし、色んなアーティストが手掛けている為に、イマイチ新鮮味がないのが残念なところ。でも良く考えるとロック系で、この手の曲に手を出したのは小野先生が先なので、先入観が邪魔をしてるのでしょう。

2017年にはVSというタイトルでカヴァーアルバム集をだしている小野先生。90年代の時点で彼の歌唱スタイルは確立されていた事を知る上でも貴重な一枚でしょうね。


BLACK ALICE - Endangered Species ★★★ (2019-08-28 13:29:31)

オーストラリア産の正統派HM/HRバンドが1983年にリリースした1st。2018年にはEPなどの曲を追加してCD化もされています。そちらは未聴なのですが、アナログ盤と曲順なども変えての再発となっていますね。
下記がアナログの曲順です。

A1.Wings Of Leather, Wings Of Steel
A2.Psycho
A3.Hell Has No Fury Like Rock 'N' Roll
A4.Blade Of Slaughter
A5.In The Hall Of The Ancient Kings
B1.Roll The Dice
B2.Running Hot, Running Wild
B3.Rat-Catcher's Eyes
B4.Power Crazy
B5.No Warning

オーストラリアと言えばAC/DCを真っ先に思い浮かべますが、こちらのバンドはよりダークでミステリアスな空気を纏った正統派スタイルを披露。筋肉ムキムキのシンガー、ロブ・ハートリーの癖が強めのシャウティングすたいるもハマる、剛毅なストロングメタルは、ゴツゴツとコンクリートに拳を叩きつける厳つさがあり、そこにダークさとマッチョなタフガイさが加わり胸焼けを起こしそうになるのだが、ミステリアスな空気を運ぶ湿り気のあるメロディが程良く中和、パワフルかつストレートなロックナンバーをやっても、一癖も二癖もあるサウンドへと変換しています。
シンプルな曲を聴けば、歌い手もウド・ダークシュナイダーや同郷のAC/DCタイプの歌い手である事に気付くのだが、基本はNWOBHMの影響を受けた正攻法のメタルサウンドと言えるだろう。

当時、輸入盤屋にも積極的に置かれたと言われる隠れた一品。これほどのクオリティを保持しているのに今日まで無名なのは、2018年まで再発がなかったせいだろう。大幅に道をそれる事は無いのだが、このバンドにドラマ性を持ち込んでいるのは、堅実なプレイで聴き手を魅了するギタリストの存在があるというのも見逃せません。そしてドラムも野性味のグルーブを叩きだしていますね。


KRYPTOS - Burn Up the Night ★★ (2019-08-27 19:51:06)

インド産正統派HM/HRバンドがドイツのAFM Recordsと正式な契約を交わしリリースされたワールドワイドデビュー作(前作もAFMよりリリースされる)。JPやMAIDENからの影響も大な脈々と繋がる正統派メタルの系譜、そこのイエテボリ勢からの影響も巧みに取り込み、古くて新しいスタイルへと昇華。絵に描いたように現代的な正統性をアピールしている。

特に懐かしい空気が充満した②などを聴けば、このバンドの普遍性の強さを改めて感じました。いかんせん没個性の為、意地悪な聴き方をすればアラ探しにも繋がるのだが、キレのあるギターリフも小気味よいリズムプレイも、楽曲に合わせ柔軟に迫るテクニックを持ち合わせているのが頼もしい。

へヴィでダーク、そこに流れるメタル由来の情熱的なメロディ、新旧メタルの魅力を内包した楽曲は幅広い年代に支持される要素を孕んでいますね。


BLIND ILLUSION - The Sane Asylum ★★★ (2019-08-27 19:29:56)

遅れてきたルーキーと呼ばれていた古参スラッシャーの記念すべきデビュー作。クレジットはされていないがカーク・ハメットがデモに続きプロデュースを買って出る間柄なのも、このバンドの話題性の一つだろう。1988年には国内盤がしっかりとリリース。1993年にはPony Canyonから再発盤も出ていますからね、それだけでも作品のクオリティを保証する担保となるでしょう。
スラッシュ由来の攻撃性とスピード感、それらも補完しているが、このバンドの魅力は不穏な空気を生み出す演出力と高い演奏技術に尽きる。元POSSESSEDのラリー・ラロンデと主役たるマーク・ビーダーマンの二人が繰り広げる、不穏な空気を生み出す捻くれたリードプレイの数々は中毒性が高い。その摩訶不思議な空気は、このバンドのジャンル分けの不可能なものにする程の強烈な個性となるのだが、それもマークがBULE OYSTER CLUTに絡んだ実績が音に反映されているように感じる。
マーク自身にも、あの醒めた狂気を内包するセンスとアイデアがあるのだろう。その辺りを鑑みると、この唯一無二の音楽性を理解するヒントになりそうですね。

スラッシュバンドかくあるべきな先の展開を読ませないスリリングさ、ハッとさせられるほど、美しいギターフレーズも飛び出すセンスと個性は、他の追随を許さない存在になれたろう。優れた創造力の賜物、速いだけではない構築された展開の妙に唸らされます。今作リリース後、程なくして解散してしまった幻のグループ。あと一発二発と続ける事が出来たなら今日の評価も変わっていたでしょうね。


TANITH - In Another Time ★★★ (2019-08-23 22:23:35)

SATANのギタリスト、ラス・ティッピンズをフィーチャーしたUS産の4人組による1st。リリース元は老舗Metal Blade Recordsです。これが驚きの古典ロックサウンド。NWOBHM以前の英国サウンドを前面に押し出したサウンドは、過度なオーバーダブを排し、非常に生々しい仕上がりになっている。英国産のフォーキーな音色は幽玄な世界観を色濃く打ち出し、そこにSATANにも通ずるようなダークさが覆いかぶさってくる、そういう静の展開から、突き抜けるような疾走パートが入ってきたら一気にこちらのテンションもアップ。靄の掛かった叙情的なフレーズと、それにも負けない情熱的な演奏、それらが混然一体となり迫ってくる勢いたるや、充実の楽曲群と相まって、ありそうでなかった古典英国ロックの旨味を凝縮しています。URIAH HEEP+WISHBONE ASH×NWOBHMと言えばよいのか、例えが上手く見つけられないほど、所見から見事にハマってしまった。
存在をしってから二カ月になるのだが、今年一番聴いたアルバムですね。

所謂懐古主義のNWOTHMとは違う、その時代をリアルに体験した男だから描ける世界観。曲の中で途中から表情をガラリと変えるドラマ性、そしてラスとベース兼ヴォーカルの女性メンバー、シンディ・メイナードの二人によるツインヴォーカルも、浮遊感のある、たそがれた哀愁美が程良く映え、楽曲にいっそう英国的な湿度を含ませていく。そんあ湿り気たっぷりの音像の中でも、歯切れのよいシャープな演者のプレイはハンパないの熱量を放出しているのが凄い。

これだけ全ての個が強いのに、絶妙に絡み合い叙情性のあるメロディに溶け込んでいきます。古典サウンドから放たれる陶酔感。ワタクシの文才では、とても表現出来ない音楽がここにはありますね(頑張って頭を捻り上げても無理じゃ)。何度聴いても興奮するわ。これだからメタルは止められん。


AGENT STEEL - Omega Conspiracy ★★★ (2019-08-21 19:56:07)

ついに再結成を果たしたアメリカンスピードメタルバンドの3枚目。へヴィメタルかくあるべきなド迫力サウンドは健在。アイデア豊富なツインギターコンビのスピード感を高め、ガツンガツンと迫ってくる。
ハイテンションヴォーカルは失ったが、それ以上に歌い込める要素のある声を手に入れたのは大正解。バンドの可能性を大いに広げている。期待通りの音楽性の再興はファンにとっては嬉しい限りだが、もう少しキレて欲しかったと言う意見もチラホラ聴かれたが、しなやかに打ち鳴らされる鋼の如き強靭なグルーブから打ち出されるメタルソングの数々を前に戯言は無用。

完成度の高い楽曲がズラリと並び聴き手を魅了していくでしょうね。期待を裏切らなかった復帰作。スピード感や攻撃性もさることながら、このバンドならではの凝った展開も、危険な香り渦巻く尋常ならぬテンションで復活していたのが嬉しい。ファンのみならずスピードメタルマニアなら手のとって欲しいですね。


VULTURE - Ghastly Waves & Battered Graves ★★★ (2019-08-21 19:37:42)

アメリカの老舗レーベルMetal Bladeよりリリースされた2枚目のフルアルバム。これがコチラの期待を裏切らない成長度を披露。前作より全てにおいてスケールアップ。メロディの練り具合もキレのあるツインギターも魅力的なフレーズを連発、スピードの特化しつつも、馬鹿にならない聴かせ方も上手く、どこかダークテイストが漂っているのもシリアスさに拍車を掛け、メタルを愛する者の好奇心を擽り続けます。無難だが安定感を増してきたのが、このバンドが醸し出すスリルを倍増させている。そして、この手の古典スピード/スラッシュメタルを知らない若者にとっては、相当なインパクトを残すクオリティでしょうね。
もっとヘボかったはずなのに、ギラリと感性を研ぎ澄ませてきた。そのキレっぷりに身震いさせられるほどの強面感を音に出してきたのだが、こうなると、この癖の強い素っ頓狂なハイトーンが評価を分けるでしょうね。でもこの声あっての、このバンドと個人的には思っているので、マニアならハマるでしょうよ。ExciterだってRavenにRazor、Destruction、Agent Steelも、個性的な声があってのサウンドですからね。先人達の影響を自分達流儀に再構築したプレスラッシュと呼べる切れ味鋭いスピードメタルの数々は、必ずや需要があるでしょう。スピードメタルマニアにも十分に訴求するだけの、構成力も魅力ですよ。

とはいえ前作よりも正統性が強まったのが、行儀が良くなったと感じたらマイナスに働くかも知れませんが、これは単に理論性然とした音楽性の成長と受け止める方が正しいかと思います。ドがつくへヴィメタルってのは気持ちがイイねぇ。


CHASING VIOLETS - Outside Heaven ★★★ (2019-08-21 19:12:37)

共にシンガーソングライターである、サラとメリッサのフォンティーヌ姉妹によるAOR系のロックデュオによるデビュー作。プロデュースを務めるのがフレデリック・スラマであり、彼が曲作りにも大きく関与。彼の名前でポール・サブーやトミー・デナンダー、アレサンドロ・デルペッキオ、ヨラン・エドマンらを集め制作された一枚。

その為に完成度の高さは折り紙つきだ。③⑤ではヨランの伸びやかな声が彼女達と絡み完全バックアップ。他にも⑧ではポール・サブーが、⑦ではデイン・ドナヒュー(本気AORの世界では有名ですね)の名前があったりと、繊細でありヴィジュアル同様、華のある歌声ではあるが、これまたヴィジュアル同様決め手に欠ける個性薄な彼女達を見事にフォローしている。全体から発散される緩急をつけたハードさ、その絶妙なさじ加減はBGMにピッタリ。似たようなアイデアであり、コスリ倒したマテリアルだったりするのだが、手を変え品を変える事で色彩美豊かに感じさせるのが、プロデュースの賜物と言ったところでしょう。美形デュオをフォローした制作陣の勝ちですね。歌モノロックを愛するマニアなら手にとって損はしないでしょう。ヨランは上手いなぁ。もってくよぉ。


SAVAGE MASTER - Mask of the Devil ★★★ (2019-08-21 18:47:06)

女性シンガー、スティシー・ピークことスティシー・サヴェッジを擁する、カルトメタルバンドの1st。彼女以外のメンバーは、黒頭巾をすっぽりと被りステージに立ちイーブルな世界観を演出しているのだが、良くも悪くもナスティでサヴェッジでいなたいスティシーの歌声が肝。ヒステリックに喚くようでそうじゃない、激しくシャウトするわけでもない、グロウルでもない、その猫が威嚇するようなシャウティングヴォイスは、何とも形容しがたいヘタウマ感が強く、聴き進めるうちにチョイとした不快感もあったりするのだが、彼女の存在感がより淫靡な魔の宴、サバト感を誘発させているのは間違いない。そして、どこか混沌とするルーズな演奏も退廃的なムード深め独自性を高めているのがポイントだ。

このバンド、大真面目に取り込んでいる為にコミカルさはない。だからこそ鉛色に発色する妖しげな魔が渦まいている。その魔界舞踏に付き合えるかが評価を分けるでしょうね。理性を臨終する腐臭渦巻く魔界の音色。抵抗する気力を奪うルーズなグルーヴ。男の精を吸い尽くすサキュヴァスな魅力を発散するヴォーカルのビッチ感。ハマったら抜けだせない魅力がありますよ。

マニアならSkol Recordsリリースってが担保となるでしょうね。


VULTURE - The Guillotine ★★★ (2019-08-20 13:46:44)

ドイツ産のスピードメタルバンドによるデビュー作。この手の音を聴いて真っ先に思い出されるのがAgent Steelだったりすのですが、正統派メタルにも通ずるツインリードの旨味、ストレートに疾走する合間にねじ込まれるメロディアスかつスピーディーにギタープレイ、良くも悪くもやりに言っている感満載の個性剥き出しのハイトーンヴォイスなど、このバンドが目指したい方向がハッキリと見えてくる。
それだけに、その辺りのルーツを楽しめるマニアには元ネタ愛も含め、ニヤニヤされっぱなしも若手バンドとなるのだが、耐性のない方には少々、耳障りな印象を与えるでしょうね。

ここで聴かされる興奮を煽りたてる構成力の高さ。一歩間違えれば長尺と感じさせる展開、リフの構成がクドイとか、リズムがもたつくとか、あるんだけども、そんなこたぁどうでもよいと思わせるスピードメタル愛溢れるアレンジに胸が焦がれます。

オールドスタイル故に真新しさは少ないのですが、ここまでやりきれば文句など出ません。清いまでの先人達の影響下にあるサウンドとリスペクトしまくる姿勢。マニアご用達では終わらない魅力が詰まっていると思います。
プレスラッシュとも言える古典スピードメタルに興味がある方なら、楽しんでもらえるでしょうね。


In for the Kill - In for the Kill ★★★ (2019-08-20 13:25:03)

2013年から活動する国産ヤングスラッシャーが2017年にリリースした待望の1st。問答無用のアグレッションを有するサウンドは激しい熱量を放出。キレまくる激重のリフワークから繰り出される疾走感の迫力たるや、アンダーグラウンドなメタルを愛するコアなファンを満足させるだけの魅力は十分。そこに勢いだけに聴かせるだけではないドラマティックな展開を設け聴き手を魅了。超ド級のへヴィネスサウンドの合間に流れる親しみやすさもあったりと、彼らは一線級のエクストリーム系のバンドと比べても遜色のないカラーを打ち出しています。
現代的なうねり上げるグルーブも違和感がない、そのモダンかつオールドウェーブな匂いがするサウンドは今の時代を巧みにパッケージしている。この手のサウンドは直ぐに機械的な処理をしてしまい、良く言えばメカニカルな殺戮マシーンの如き、無慈悲なる暴虐性と片付ける事になるのだが、彼らには、そこに生身の血が流れているのがカッコいい。その人間力は粗削りな面もあるのだが、人間臭さが音に取り込まれているのが個人的にはツボ。歌い手INAの絶唱も、その一翼を担っているのだろう。
あとはライブで、このギターアレンジをどう再現しているのかが気になる。それにリズムプロダクションも評価を分けそうだ。
SPIRITUAL BEASTからリリースと言うのも間違いない安心材料。こういう若手が国産シーンを盛り上げているのが嬉しいですね。


BOB DAISLEY AND FRIENDS - Moore Blues for Gary ★★ (2019-08-20 13:06:47)

かつてゲイリー・ムーアと活動を共にしたボブ・デイズリーが自分のバンドメンバーを中心として立ち上げたゲイリー・ムーアのトリビュートアルバム。小粒感の漂うボブの仲間の合間に豪華ゲストも客演。
『The Loner』ではドン・エイリー、エリック・シンガー、ボブ、そしてギターにダグ・アルドリッチが参加。ダグ渾身のプレイは完コピではない熱演を披露。一音一音に込められた魂のプレイに魅了されまくりです。
他にもグレン・ヒューズが『Nothing's The Same』で衰え知らずの美声を披露。はげしくしゃくりあげなくとも丁寧に歌い上げるグレンの歌唱力の高さに、改めて惚れ直しました。ゲイリーの唄い回しに多大なる影響を及ぼしたグレン、語尾のヴィブラートの掛け方なの真似出来るものではない。そしてオリジナルを聴けばゲイリーがグレンを意識していたのが分かるだろう。

名曲『Parisienne Walkways』はスティーブ・モーズが参加。ゲイリーとは違うタイプだが、彼らしい繊細なタッチを生かしたプレイは、オリジナルとはまた違う表情を魅せるが、このエモーショナルなプレイを聴けばゲイリーも満足するだろう。唄うはリッキー・ウォリックってのもゲイリーに今となっては完全に繋がるよねぇ。

ファンキーさもある『Power Of The Blues』を歌うのは我らがジョー・リン・ターナー、彼の歌声はこの曲にピッタリ、ジェフ・ワトソンもゲイリーに負けじと、どっぷりのブルースギターを披露。このメンツの旨味を感じましたね。オリジナルも短めだから丁度よいでしょう。

そして最大の目玉はジョン・サイクスが参加した『Still Got The Blues』ある意味、ゲイリー直系のジョンが真っ向勝負のカヴァーとなるのですが、ジョンはジョンだと言う渾身のプレイで魅了。オリジナルよりも全体のコクは薄まっているが、それはダニー・ボウズの歌声によるかもしれませんね。

個人的にはグレンとダグがハイライトと思うのだが、泣かせと言う意味では、ニール・カーターがヴォーカル兼キーボードを務めた名曲『Empty Rooms』が、裏のドラマも想像させたりと、トリビュートとしても面白みを一番発揮してるかもしれませんね。さらにはゲイリーの息子が参加したりと話題性が多いのだが、知らん曲もあり、勉強不足を恥じていたら、どうやらそれらは、ボブバンドの曲らしいとの事なので、売名臭が漂い若干テンションが下がったのは否めません。
それでもゲイリーに対する愛と、拘りの参加メンバーを集めたのは評価に値するでしょう。そのチョイとした引っ掛かりが、ゲイリーマニアにとっては賛否でしょうね。


OUTRAGE - Raging Out - We Warn All Belongs ★★★ (2019-08-15 13:58:24)

自らのルーツを一まとめにしたような魅力がある
拡散せずに一気に放出させたのが最高にカッコいい
アグレッシブなだけではないワビサビがこれまた魅力
叙情的なソロも魅力倍増です


OUTRAGE - Raging Out - Spin ★★★ (2019-08-15 13:54:59)

ザクザクと刻まれる重厚感たっぷりのギター
爆走するリズムも強烈
豪快だが緻密な構成に唸らされる
スラッシュメタルのアイコンとなる存在感があるねぇ


OUTRAGE - Raging Out - Hysteric Creatures ★★★ (2019-08-15 13:51:15)

ブリンブリンのゴリンゴリンのベースが耳を惹きますね
タイトに刻まれる丹下のドラムもクール
これもOUTRAGEのルーツと言える弾けっぷりがたまらん


OUTRAGE - Raging Out - Wake ★★★ (2019-08-15 13:49:15)

勇壮なコーラスからヒロイズムを纏うサビメロ
どこかエピカルな匂いすら感じる
だからエモーショナルな泣かせのソロが胸に響くのか


OUTRAGE - Axe Crazy ★★★ (2019-08-15 13:45:19)

NWOBHM40周年を祝うシングル。奇をてらう事無く忘れてはいけないNWOBHMを代表する楽曲をチョイス。エンジェルウィッチはこれを選んだのかとマニア心も擽りますが、OUTRAGE流儀のヴァイオレントさも加味。オリジナルの加速感を倍速するようなアレンジは、オリジナルの個性を殺す事無く魅力を倍増と、皆が得する内容となっています。
こうなると2曲では物足りないと思いますね。是非とも機会があればフルアルバムに挑戦してもらいたいと思います。GENESIS Ⅰはちょっとマニアックすぎたんでね。ピュアでストレートな魅力を体感できるNWOBHMに拘った企画モノはアリだと思いますよ。


T.y.r. (Tonight You Rock) - All Comes down to You ★★★ (2019-08-14 15:25:09)

メジャーデビューを飾る事無く消えたUS産のグラム系バンド。所謂ヘアメタルと揶揄されるジャンルに属するのだが、ここで聴けるサウンドは、華やかさを残しつつも硬派でソリッドなハードサウンドを披露。レコーディング時期が1987年と言う事なのだが、DOKKENあたりの影響下になる正統派スタイルは、これもアメリカの良心とも言える堅実なスタイルを保持。ギターも巧者、華やかさを際立たせるテクニカルな演奏も見事にキマっているし、歌い手も伸びやか声質で応戦、リズム隊は、軽めのミックスの為に良さを殺されているが堅実だ。理論性然とした演奏と楽曲、その両面を皆が理解し転がしている。軽薄さを感じさせないシリアスさが耳を惹きますね。
その反面、キメ手に欠けるとみなされたのかも知れませんが、この手の良質な無名バンドもアメリカには沢山いるんだろうなぁと考えると、USシーンの底力を魅せられましたね。沸々と燃え盛る青白い炎、クールに酔わせるメロディアスロックの醍醐味を味わえますね。


TYRANT - Running Hot ★★★ (2019-08-14 14:20:24)

かの有名な商業誌にて60点台のレビューの割には、内容の無いやっつけ仕事に終始した内容で知られるジャーマンパワー/スピードHM/HRバンドの3rd。
同郷のACCEPTの影響は勿論だがJP仕込みのストレートなサウンドは、個性薄だが勢いがあり、本家のような大げささもないかわりにドカーンと一気に聴かせてくれます。真剣に耳を傾けなくとも、その勢いと馬鹿パワーは、なかなかどうして楽しめるじゃありませんか、低予算だしレコーディングに時間を割いていないからアラも目立つ。それでも、つんのめってズッコケル前のめりのスピードナンバーには、このバンドの目指す姿勢がハッキリと組みとれる。愛するモノを健気に追い求める姿、これもメタル愛の表れだろう。


BAND OF JOY - Band of Joy ★★★ (2019-08-13 22:34:32)

かつてロバート・プラントとジョン・ボーナムが同時期に在籍していた事でも知られるバンドの1st。オリジナルは1978、両者がいたバンドとして売り出したと言う事ですが、そんなネームバリューに頼らなくとも勝負出来る充実じた楽曲群に耳は持っていかれます。いかにも英国的な香りのするアーシーなサウンドは、ブリティッシュロックマニアの耳にビンビンと響くでしょうね。自己主張を怠らないが整合感のあるバンドサウンド、練り上げられた楽曲群をレコーディングされた賜物なのだろうが、優れた才能がぶつかりあるインタープレイの数々はバラエティ豊かなものとして鳴り響き、聴き手の好奇心を刺激し続けるでしょう。洗練されて滑らかなのに、どこか挑戦的な要素があるのは1stとしてシーンに対する野心の表れなのだろう。

どういう繋がりがあるのか分かりませんが、ロバート・プラントが2010年くらいに同じタイトルのソロを出した事でも有名ですね。真の英国ロックマニアなら知らない人はいないと言われるだけのクオリティはありますので、やんちゃすぎない大人のロックが好きな人にもススメたいですね。


BURNING RAIN - Epic Obsession ★★★ (2019-08-13 21:59:16)

DIOからWHITESNAKEへと羽ばたいたダグ・アルドリッチ。特にカヴァーディルからパートナーと迎えられたのは、彼にとっては安定と躍進の二つを手に入れた気分だったろう。Frontiers Recordsが絡んでの再始動。以前よりも分厚くなったダグのギターはワイルだかつセクシーだ。インプロ風味もましスリル感も倍増とカヴァーディルの横で弾いているよりも生き生きとしており、同タイプのブルースベースのHM/HRサウンドなのだが、こちらの方が自然体に鳴らされている分、素直に身体に入ってくる。古臭いタイプの楽曲なのだが親しみやすさの裏で隠し味程度のモダンさがあるのもポイント。渋系なのに、華やかだと思わせるのが狙いなら大正解だ。そんな中でへヴィでソリッドな③なども用意しており、今作の充実度も伝わる。‎小手先ではないベテランの凄み、その堅牢なるロックスピリットに共鳴しますね。


ACE FREHLEY - Spaceman - Without You I’m Nothing ★★★ (2019-08-13 21:41:54)

ジーン・シモンズがベースで参加
まんまKISSに聴こえますね
ポールの声が聴こえてきそうですねぇ
そしてエースとポールのハモリやハーモニーソロなんかも飛び出しそうな雰囲気が大です


ACE FREHLEY - Spaceman ★★★ (2019-08-13 21:39:31)

本家のKISSも終焉へのカウントダウンとも言うべき活動を行っていますが、スペースマンことエース・フレーリーはソロ活動40周年を祝うアルバムになるんだとか、その門出の祝に華を添えるのがジーン・シモンズの参加。久しぶりの共作もありと、話題性に一役も二役もかっています。古き良き王道アメリカンロック。大陸的なグルーブといなたいエースの歌声、そしてKISS風味満点のプレイと楽曲の数々、往年のエースフリークなら思わず身を乗り出す会心の出来栄えでしょう。お得意のペンタ系のソロもらしいしね。無駄を省いたアメリカンロックの旨味、リフ一つとってもらしさ全開の爽快感すら漂う。いい意味でのルーズさとコマーシャルリズム、その両面が互いを高め合い共鳴しているのも今作の優れた点であろう。

個人的に、この手のサウンドは熱心に聴くジャンルではないのだが、BGMには最適な手頃感がありハードなモノの合間に入れたくなる一品です。

KISSサウンドが好きな人は、ここまでエースがKISSを感じさせるのは初めてなので驚くでしょうね。意図して省いてきた過去の幻影。40周年を迎え、彼が辿りついた境地に興味があります。オリジナルの強み。彼の活躍に期待したいですね。


OUTRAGE - Raging Out - Doomsday Machine ★★★ (2019-08-12 20:57:24)

しっかりとした歌メロが耳を惹きます
獰猛な歌い回しもメロディを追いかけるからカッコいい
ベテランならではの落ち着きもあるが
大人げない若さも溢れている
アルバムのオープニングに相応しい勇猛果敢なアウトレイジサウンド
ワビサビもあるから手がつけられん
何度聴いても引き付けるねぇ


OUTRAGE - Raging Out - Wolf and Raven ★★★ (2019-08-12 20:54:25)

サイケな香りもする暴走ロックナンバー
これも彼らのルーツ
漢だねぇ


OUTRAGE - Raging Out - Heroes Falling ★★★ (2019-08-12 20:51:12)

挑発的な橋本の咆哮
雄々しいアウトレイジサウンド
泣かせのギターソロも含め大和魂を焦がす至高の国産メタルナンバーだ


OUTRAGE - Raging Out - Machete… ★★★ (2019-08-12 20:47:32)

パンキッシュでキャッチーなスラッシュナンバー
ノリが良いのでライブ映えしますね


RIOT CITY - Burn the Night ★★★ (2019-08-12 19:05:55)

輸入盤市場では早くも話題になりつつあるカナディアンスピードメタルバンドの1st。アルバムジャケ&バンド名からもニュアンスが伝わるがRIOT+JPといったスタイルを研磨したスピードメタルの数々はキレ、勢いともに申し分ない加速力を誇っており、その筋のマニアならニヤニヤとしつつも、ノリノリで楽しむ事が出来るでしょう。
こういうスタイルは皆がシェアするアイデアであり、その類型的なものをどれだけ似て非なるものに仕上げるかが重要なのだ。お約束の展開も外せばダサいだけ。それだけにツボを突いてくる展開にグッとくるものがあるでしょう。あまりにも80年代的なスタイルである為に、いささか下火になりつつあるNWOTHM群の一つに括られそうだが、このバンドはもっと自然な形で、このスタイルに落ち着いており、いい意味でのタイムスリップ感が最大の聴きどころ。8曲入りの40分を切るランニングタイムにしたのも大正解、そのおかげでにダレる事無く一気に聴かせているのも好印象。小気味の良い楽曲が威勢よく連射される度に、メタルってこういうのが美味しいんだよなぁと呟きたくなるでしょうね。
リリース元はNo Remorse Recordsですから、気合いに入り方が違いますよ。リアル古典HM/HRの上手さを巧みに取り込んだ一枚。勢いだけではないメタル特有のドラマ性を残しているのも、これまた魅力ですよ。


MAGIC DANCE - Vanishings ★★★ (2019-08-10 20:40:50)

Vo.G.Keyと何でもこなすマルチプレイヤーのジョン・シーカによるAOR調のロックアルバム第2弾アルバム。自主製作盤ですからね、全般的に緩めのサウンドワークですが、ジョンの唄と甘く切ない曲調は相性も良く、個性が薄い分、万人に親しまれる要素も大と、メロディ派のマニアなら大喜び出来そうなクオリティを保持と、プロ仕様のCD-Rで売りさばくんじゃないよと言いたくなるような煌びやかな一枚だ。
このクオリティならば名門Frontiersあたりと組めば、全てが向上した素晴らしい作品が出来上がるぞと思っていたら2018年に見事、両者がタックを組む形となった。そういう意味でも、今作の果たした役割は大きい。今では大手のサイトから音源も入手可能だ。打ち込みなんて気にしない、甘く切ないメロディと高揚感、ソフトな口当たりに胸キュンしたいと思う歌モノマニアなら手を出しても損はしないでしょう。一人でやっているんで大目に見てね。


MEPHISTOPHELES - Hide and Seek ★★ (2019-08-10 20:25:10)

再始動後も紆余曲折はあったが精力的な活動を続けるベテランバンドが2018年にリリースしたアルバム。プロデューサーに岡垣正志を迎えERASERHEAD繋がりも見せているが、80年代のマテリアルからの脱却を果敢に取り込んだ意欲作として好意的に受け止める事が出来るでしょうね。若いメンバーを従え、新しいエッセンスを恐れる事無く取り込んだ梅原の気概。
モダンに成り過ぎないが古臭いままで終わらないと言うのは、バランス的に難しい。へヴィメタルでありながらもヴィジュアル系アーティストを奇をてらう事無くゲスト参加させたのも、新規開拓としては大正解だ。
どの時代が心に刺さるかは趣味趣向の問題。現役感を振りまき活動を続ける事が大切ですからね。


NAZARETH - Tattooed on My Brain ★★★ (2019-08-10 20:07:45)

看板シンガーを失ったのはバンドとしてかなり苦しい事態となった。ダン・マッカファーティーの声はそれだけ個性的だったのだが、その後任に器用な男であるが、名前を売りきれなかったカール・センタンスの加入により難を逃れたのだが、正直、オリジナルアルバムをリリースする前にバンドを去る運命にあると思っていた。良くも悪くも器用すぎるが為に印象に残らないと言われ続けたカール。正直②など聴けば、いつも通りのイメージを受けるのだが、何度も聴くうちにカールの上手さが、バンドの新しい顔としての柔軟さを加味させたように感じられ、③のような活きの良いストレートなナンバーを聴かされると、コチラもノリノリのご機嫌様に早変わりさせられるから不思議なものだ。
息の長いバンドの中で同じシンガーが務めるケースはレアだ。それだけに、ダンの病気による離脱は如何ともしがたいピンチだったが、カールのおかげで見事に乗り切った。今も精力的に活動するバンド。急場凌ぎではないカールの安定感はバンドに新たなるエナジーを注入。変わり映えのない泥臭いハードブギーに、今の洗練度を加味させる事が出来た運営にも注目だ。
英国産のハードブギーって何?とか思っている若い人にも手に取りやすい一枚であろう。個人的にも、これもナザレスだと大いに思わせる会心の力作だ。


人間椅子 - 新青年 - 無情のスキャット ★★★ (2019-08-10 19:54:19)

彼らの出で立ちと音楽性は海外でも着目されそうな要素はある
この曲は近年の彼らの姿を凝縮した一曲だ
そしてこれをリーダートラックにしたのが彼らの気概
昨今の人気に溺れ売れ線志向など微塵も感じさせない個の強さを猛烈に感じる
シャバダバディアダダッダァってのもカッコいい
鬱積さいなむ心の咎
へヴィでミステリアスな人間椅子サウンドに仕上がっている
巧みな場面展開を行い飽きさせる事無く8分超えの曲を聴かせている
クールジャパンな一曲であろう


SACRED RITE - Sacred Rite - R.I.P. ★★★ (2019-08-10 19:34:54)

ドラマティックなパワーバラード
有名になりきれなかった男達だが
質の高さは折り紙つきだ
今なお伝説と語られる初期US産正調HM/HRバンドの真骨頂を味わえる


SABRINA - サブリナ - スレイヴ・イン・スター ★★★ (2019-08-10 19:20:11)

ギリロックフィールドに踏みとどまっている哀愁の歌謡ポップロック
調子の悪い時は全然聴けません
ギターのヴォリュームを下げれば80年代のアイドルが歌っていてもおかしくない?
その緩さを受け止めれるマニアならキュンとなれるでしょう

回れ回れ星・スレイヴ・イン・スター ってサビは耳に残る
アイドルの疎い自分には
そういうイメージが強い


SABRINA - サブリナ - イマージュ ★★★ (2019-08-10 19:14:49)

中島のキーボードをバックに歌い上げるバラード
スケールの大きいイメージも抱かせる曲調は
色んな意味でアニメソング的なニュアンスが強い
プレアニソン系女子とも言える一曲
中島の進んだ道を考えると余計にそう感じる
田中志摩子さんにとっても大切にしたい曲であろう


SABRINA - サブリナ - デンジャー・ナイト ★★★ (2019-08-10 19:06:04)

アルバムの中では出色のハードエッジな疾走チューン
高橋彰こと小柳彰史(元アンセム)の面目躍如
田中志摩子さんもピッタリハマっている


CRASHDIET - The Unattractive Revolution ★★★ (2019-08-06 21:06:08)

シンガーでもあり中心人物でもあったデイヴ・レパードが自殺と言う最悪の道を選びバンドは一旦消滅。その後や遺族や関係者の後押しも手伝い、後任にRECKLESS LOVEのオリ・ヘルマンを迎え再始動。
類似性の高いバンドからの加入だけに違和感もなくバンドに溶け込んでいる。前作同様、何を聴かせたいかを明確に示せるバンドの強みを前面に押し出しラフでワイルドだがメロディアスでキャッチーと言う離れ業を披露。いい意味でのごった煮感がエグイぞ。その闇鍋サウンドは、何が飛び出すか分からないスリルは無く、皆が無難な食材を選んでくれたおかげで美味しいものになりました。
新しい刺激は無いが、毒気とケバさの中にある健康さもバンドの魅力となり響いている。個人的には国産バンドのプレゼンス+リアクション+北欧風味120%のように聴こえて面白かった。

この時代からリバイバルブームも巻き起こり、グラム系も息を吹き返したのだが、正直、我が国にも優れたバットボーイズ、グラム系のバンドは沢山いたので、興味のある方は、そちらも攻めて欲しいですね。若い人はオジサン達ほど、舶来至高でもないだろうし、そもそも外国のバンドの方が上だと言う先入観もないでしょう。だからこそ、こういうバンドが入り口なら違和感なくイケると思いますよ。何故かと言うと、実に安全運転なロックだからです。このキメの細やかさも相通ずるものがあるのでね。


CRASHDIET - Rest in Sleaze ★★★ (2019-08-06 20:55:04)

ラフでワイルドだが色気のあるポップセンスをねじ込む事で発生するケバケバしい毒気、その猥雑さにロックのもつ中毒性も高まるのだが、先人達をお手本とした音楽性に、驚くような展開は無いが、正攻法で迫ってきた清い姿勢は大いに支持できる。
明確なメロディラインを持つ歌メロ、派手なサウンドを司るギターワークも鮮烈な印象を与える。そしてツボを押さえたアレンジが効果的に機能と無理と無駄を省いた展開はデビュー作としては申し分ない。北欧版のプリティ・ボーイ・フロイドってとことなのかな?このバンドの方が芸が細かいので聴き応えは十分にあるぞ。
ヘアメタル、グラムロック、そういう言葉に引っ掛かるマニアなら聴く価値は十分にあるでしょう。死んだから神格化されてしまった感があるのだが、粗さの目立つ唄も、こういう胡散臭いロックにとっては、逆に魅力を倍増させるんだから不思議なものだ。


NORDIC UNION - Second Coming - Walk Me Through the Fire ★★★ (2019-08-06 20:37:34)

大人が聴いても恥ずかしくない骨太なハードサウンドと哀愁美
大げさにならずとも感動を運んできます
速いだの音がデカイだのが重要な方には無用なサウンドでしょうが
こういう普遍的な魅力に富んだ一曲を聴き
熱い夏に身体をクールダウンしつつロックな感性を燃やしたいですね


CREYE - Creye ★★★ (2019-08-06 20:31:53)

バンドの中心人物たるギタリストでありメインソングライターでもあるアンドレアス・グルストランドのプロジェクトバンドと言っても差し支えない彼らが2018年にリリースした1st。
今作からシンガーの座に、ALIENでお馴染みのジム・ジットヘッドの息子、ロビンが歌入れを行うなど、デビュー作としては申し分ない話題性もある。そのおかげで聴く前からの期待値も高まりますが、キーボードのジョエル・ローニングのプレイを前に出しつつも、ギターと互いを高め合うような絡みを魅せアンサンブルを強化。ともすれば薄っぺらになりがちなAOR風味満点の歌モノロックの中に、楔となるドラマ性を大導入、ツボを押さえた展開と壮麗なメロディに涙腺が緩みますよ。

また外部ライターも招聘、その成果はてき面に表れ、北欧ならではの爽快感と甘美な陶酔感を味わえるメロディアス路線を極めています。その充実度はデビュー作として申し分ない出来栄えでしょう。とはいえ懐古主義のノスタルジックサウンドじゃないかと言われると、返す言葉も見つかりませんが、北欧ブランドを支えた叙情派ハードポップサウンドを現代的な感性を加えアップデートしたサウンドは、古さに埋没する事無く今の時代の鮮度を保っています。若い人にも訴求する魅力を携えているが最大のポイントでしょう。このバンドが契約しているのがFrontiersだもん。間違いは起きませんよね。


CREYE - Straight to the Top ★★★ (2019-08-06 20:14:10)

2017年に無料配布されたプロモ用の3曲入りEP。輸入盤屋などで手に入れたラッキーなマニアも多いでしょう。ここで聴けるサウンドは、スウェーデン出身のバンドらしいAOR風味満点のメロディアスHM/HRサウンドを披露。しかもロバート・
テッパーの名曲『No Easy Way Out』を収録とマニアにとっては期待を裏切らない選曲と展開に、思わず笑みもこぼれるでしょう。バンドと呼べるほどメンバーも固定されていませんが、ギタリストのアンドレアス・グルストランドを中心に動いているようです。ここで美声を披露するのはArt Nationのアレクサンダー・ストランデル、彼のエモーショナルかつホットな歌声は、清涼感たっぷりの叙情派サウンドに、疾風の如くギラリと駆け抜けていきます。
キーボードをフィーチャーした、お約束の北欧スタイル。歌モノロックが好きな方なら満足する事間違いなしの安定感がありますよ。
ちなみに現在の彼らは今作を経て、晴れてFrontiersとの契約を勝ち取る事に成功。2018年にフルアルバムをリリースしています。そこで歌うのがマニア心を擽る人物です。唄うはALIENのシンガーだったジム・ジットヘッドの息子、ロビン・ジットヘッドですよ。そんなもん買うにきまってんじゃん。と心で叫んだマニアは多いでしょうねぇ。ズルイ人選ですよね。


WHITESNAKE - Lovehunter ★★★ (2019-08-06 01:38:10)

スライドギターがエエねぇ
ファンキーなブルースロック
若々しいがカヴァーディルの声は成熟していると思わせるのが素晴らしい


NUCLEAR SIMPHONY - Lost in Wonderland ★★★ (2019-07-31 12:29:35)

イタリア産のテクニカルスラッシャーによる1st。トリオ編成ならでは最小限に演出された展開は、緻密な要素が強く構成力の高さに唸らされます。オープニングから、少々アイデアの拝借もあったりするのだが、スラッシュ由来のドラマ性と攻撃性、無駄流れを感じさせないクールさ、それらを飲みこんだ威圧感はスラッシュマニアにとっては頼もしく映るでしょうね。

時代的に雨後の筍のごとく氾濫したスラッシュ勢、国内盤もテイチクから出ているが大きな話題になる事無く消えてしまった。次の一手がなかったと言うのも消えたスピードの拍車を掛けているのが残念。無名だから云々言われそうだが、リズムの乱れもないし、プレイ全体から漲る迫力はデビュー作をは思えない充実感を誇っている。古典を踏襲した旬な音だから、説得力と厚みがあったのも好印象だった。


VIOLENT FORCE - Malevolent Assault of Tomorrow ★★★ (2019-07-31 12:08:42)

オープニングからMOTORHEADやVENOMばりの暴走R&Rで幕が開けるジャーマンスラッシャーの1st。その手の埃っぽい暴走スタイルで勝負を掛けるかと思いきや、②以降はキレキレのスラッシュナンバーが速射砲の如く打ち鳴らされる。合間に正統性の強いインストを放り込んだりと、NWOBHMを何倍も過激に演奏される楽曲は聴き応え十分。いい意味で粗削りな感触が残っているのも個人的には好印象。欧州的なクールさと加熱するアグレッション、全体的に漂う暴力的な野性味が聴き手を鼓舞するでしょう。草食系男子?肉を喰らえ肉を!そんな音がテンコ盛りでしょうね。

こうして改めて聴くと、毛色の違う①はアルバムのイントロ的な立ち位置だと思えるし、初期スラッシュバンドならではの多様なスタイルが詰まっている。スラッシュバンドからの影響以外も色濃く溢れているのが印象的だ。

刻みまくるリフはスラッシュならでは、その中に叙情的とも言えるスピーディーなソロパートを持ち込むギターワークの旨味、じりじりとした焦燥感を煽りまくるリズムプレイの盤石さ、スラッシュメタルの攻撃性を見事に補完している。アルバム一枚を残し解散した為に、今や忘れ去られた存在だが、2007年にポーランドのMetal Mindからリマスター再発。そして2018年には
High Rollerからも再発されていますので、ベイエリアとは違う欧州ならではの真骨頂を味わって欲しい。


TOKYO YANKEES - Pre-Emptive Strike ★★★ (2019-07-31 11:29:46)

X-JAPANの子分的な立ち位置でデビューを果たした暴走HM/HRバンド。そのド派手なメイク姿は、ヴィジュアル系そのものだったのだが、音楽性が本格的なものであったが為に、ヴィジュアル系ファンからはウケが良くなかった。それでなくとも狭く洋楽至上主義が多いメタルシーンでは、このバンドなど見向きもされなかったのが実情だ。本当に難しい問題である。

ヴィジュアル系と括られる事でメジャーデビューも果たしが、バンド内の運営は順風満帆とはいかなかった。そんな苦悩の中で辿りついたのが、今まで以上にマッシブでタイトなサウンドを手に入れる事となる。ここには、色眼鏡で見られるような変な色気は微塵もない。ダイハードな男達がガチンコの暴走HM/HRサウンドで勝負を掛けてきたのだ。
今まで以上にタフな声を手に入れたUMEMURAの成長には驚かされる。兄弟分のユースクエイクにも負けないドスの効いた咆哮がキマっている。

デビュー当時から貫かれる突破力の高いスピード感、荒くれ暴走スタイルだが、キッチリと固まった音に聴こえるのが、日本人ならではのきめの細やかさ、実に真っ当なサウンドを披露している。
ファストビートが駆け抜けるダーティロックの真骨頂。秘めた怒りと野望が砂煙をあげて突進してくる。シンガロングしたくなる怒号コーラスもあったりと、親しみやすさもあり、こういう曲を聴きたいと思う初心者にも優しいのが印象的だ。ロックの持つ反逆性が品行方正だがストレートに反映されている。


GROUNDBREAKER - Groundbreaker ★★★ (2019-07-28 18:06:34)

バンド名だけみれば、ドイツあたりのパワーメタルバンドかと思いますが、レーベルはFrontiersでしょう。唄うはFMのスティーヴ・オーヴァーランド、ギターはW.E.Tのロバート・サール、そしてアレサンドロ・デルペッキオの名前もあるとくれば、出てくる音はメロディアスな叙情派サウンドに決まっていますよね。

先行されたPVをみてオーヴァーランドも歳喰ったなぁと感じますが、相変わらずの美声を維持、マルチプレイヤーのロバートの奏でる美旋律との相性も抜群とFrontiersかくあるべきなサウンドを披露しています。
AOR風のロックサウンドからメロディアスハードまで見事にフォロー、大衆性を加味したメインストリームロックの魅力が詰まった今作に隙などなく、叙情味溢れるメロディラインを歌い上げるオーヴァーランドのパフォーマンスに魅了されまくるでしょう。曲によっては○○感を感じなくもないが、個人的いは逆に、そこに興奮を覚えます。

懐かしくもあるサウンドではあるが、現代的な洗練度とエッセンスを塗す事で鮮度を保っているのも印象的でした。
毎回そうなのだが、メンバーをみれば想像つく音楽性なのに、いつも期待値を上回るクオリティを保持してくるレーベルの強さに改めて敬意を表しますね。ありがとうFrontiers!!


CRY OF DAWN - Cry of Dawn ★★★ (2019-07-27 17:55:35)

インギー歴代No.1シンガーはヨラン・エドマンだと思っているワタクシにとって、ヨランは常に気になる存在である。クリアーなクリスタルヴォイスを持つヨランの声質は北欧のイメージそのもの、そして彼は中低音域を駆使してポール・ロジャース顔負けのエモーショナルさも併せ持つ非常に人間臭い唄を聴かせる稀有な存在です。

そのヨランの歌声をサポートするのは安心安定のブランド、我らがFrontiersと来ていますから音楽性も想像がつくでしょう。オープニングから炸裂する哀愁のメロディと叙情味溢れるウエッティなサウンド、そこに絡むミスター北欧ヴォイスの期待を裏切らないパフォーマンス、早くも涙腺が緩みます。
それもそのはず、脇を固めるのがプロデュースも務めるダニエル・フローレス、マイケル・パレス、FIND MEのゾーレン・クロンクヴィスト等が前面バックアップ。期待を一ミリも裏切らないメロディアスHM/HRサウンドを披露しています。

フック満載だよなぁ。本当に心が洗われます。甘く切ないクリアーサウンド、ややエッジ不足とも言えなくないが、それはAOR寄りもロックプロジェクトならではの不満であり、その筋のサウンドを求めるマニアなら大満足の名盤でしょうね。
ギターとベースを担当するマイケル・パレスも邪魔しないが、爪跡を残すソロプレイなど、聴き込む程に味わいが深まるのも印象的だった。90年代中頃から2000年過ぎまで、お世話になりまくった音楽性、ワタクシの心に永遠に寄り添ってくれるアルバムが2016年に出ましたね。それにしてもFrontiersは本当に凄い。歴史に残るレーベルとなりましたね。


浜田麻里 - Gracia ★★★ (2019-07-26 12:59:00)

麻里ちゃんはへヴィメタルのキャッチコピーでデビューを果たした元祖メタルクィーン。その後、音楽的な変遷がありJ-POPの世界で成功を収める存在となった。その為に幅広い客層から支持を受ける結果となったのだが、近年の作品は、その両面を上手くフォローする形での作品をリリース。一本筋の通った作風は、彼女の客層を考えると上手く硬軟を交える形となっている。特に毎度お馴染みの豪華ゲスト陣によるレコーディングも、所謂国内組と海外組で音楽性を変えているので、ファンなら安心して聴く事が出来るでしょう。
特筆すべきは衰え知らずの唄の上手さ、迷いのない音楽性がもたらす事で、メロディの質も高く、ある意味J-POP的な臭さを無くしことで成し得た普遍性に、浜田麻里と言う目線で表情を付ける事により、独自性を高める事に成功している。その幅広い表現力は、いかなるタイプの楽曲にも無理なくフィット。ハードなギターと対峙するように、貫禄の歌声で主役たる存在感を誇示しています。

ある意味、お馴染み感の豪華ゲストの中で今回は、ビクターからのリリースも影響しているのか⑩に高速のシュレッド貴公子クリス・インペリテリが参加しているのがマニアには興味の惹かれる一因にあるでしょうね。
また、中だるみ感のある中盤を上手く乗り切ったのも今作の聴きやすさに繋がっているのも特筆すべき点でしょう。


Kairos - Queen of the Hill ★★★ (2019-07-26 12:28:31)

スウェーデンの若手5人組による2nd。シャリシャリとしたシャープな音像には現代的な要素を感じるが、出している音は王道ど真ん中のHM/HRサウンドを披露。ヨラン・エドマンのいたMADISONなどにも通ずる甘さと透明感もあるがイーブルなダークさが手触りとしてあり、より攻撃的でソリッドなサウンドは勢いがある。その流れで一気に聴かせるかと思いきや、しっかりとスローナンバーを放り込み、硬軟のバランスを加える事でアルバムにメリハリを生み出しているのはありがたい。
どこかありがちなスタイル故に、こういう作品を聴く側の趣味趣向が大きく評価に反映されるのだが、北欧らしいメロディを臭さを排してねじ込んできた音楽性は、時代の流れに左右される事のない絶大的な普遍性が根っこにある為に、安心して聴く事が出来るのが嬉しい。反面スリルは皆無故に飽きのサイクルが早まるのも事実。そんな中で親しみやすいメロディと現代的王道メタルを楽しめるマニアなら手にとって損はしないでしょう。

⑤曲目に収録される『Japanese Steel』ってどんな内容の歌詞なのか気になりますよ。イントロでチョイとですが和と取り込んでいますがね。


DESMOND CHILD & ROUGE - Runners in the Night ★★ (2019-07-25 13:41:22)

1stアルバムリリース後に早々とリリースされた2枚目のアルバム。オープニングからハードさと言うかロック色がグッと強まっている事に驚く。1stで聴けたズンチャズンチャズンチャチャのリズムも影を潜めミート・ローフとか思い出させる、ドラマ性の高い歌モノサウンドへと変貌。三人の女性シンガーとデスモンドが美しいハーモニーを聴かせるヴォーカルロックグループと言った出で立ちだろう。個人的には3人の女性をはべらせてデスモンドもエロいやっちゃなぁ等と下世話な発想を抱いてしまったのだが、彼は同性愛者なので、とんでもない言いがかりだった事を恥じるし、誠心誠意謝罪したいですね。

1stの延長線上にあるスタイルではあるのだが、甘く切ないメロディはデスモンド節とも言えるし、コーラスの重ね方などもゴージャスだ。ギターの入り方も売れ線志向そのものの出で立ち、ある意味、ロックからデスモンドを知った身としては、これぞデスモンドの歴史のスタートと思え、熱い夏の日に耳を傾け、爽快感を身体で感じたいと思います。

今作に始めて触れたのは2008年にRock Candyから再発されたものですが、2009年には元の版権を持つCapitolから国内盤も出ているので手に入りやすい一品かと思いますよ。
分厚いコーラスハーモニー、繊細な女性シンガー、耳馴染みの良いアーバンなポップサウンド、ポップロックもイケる歌モノ好きのマニアなら大いに楽しめるだろう。ここには沢山のアイデアが詰まっていましたよ。
個人的には、この手の曲を聴いた後は、ゴリゴリのスラッシュを聴き、体中の毛穴を開きたいと思います。