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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 2001-2100

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RAJAS - Precious Time ★★★ (2020-01-02 21:14:59)

HARD ROCK SUMITを契機に往年のメンバーにより再始動を果たした京都のベテランバンドが2002年にリリースしたEP。ギターのアックンこと後藤明博は抜けたが、代わりに新メンバーの鍋嶋圭一が加わり事無きを得る。福村ババちゃん高志、河内 倫子さんによるリズム隊は安定感抜群、小気味よく刻まれるノンちゃんのベースに、派手に叩くババちゃんのドラムは心地よく鳴り響き、ラジャス健在ぶりをアピール。昔よりも腕の上がったギターワークも耳を惹くし、森川邦子の唄い回しも説得力が増している。何より特筆すべきは、メジャーデビュー以前の楽曲を収録したこと、とくにオズマこと臼井孝文のペンによる楽曲が収録、元々バンドのブレインだった臼井がX-RAYに参加する事で、中心人物を失った形となったRAJASだが、ここでは、そんな過去の恩讐を見事に乗り越え収録した事が大きい。一本筋が通っているが豊かな音楽性、○○風の曲もあったりするのだが、オズマさんの書く曲は、唄を大切にしたアレンジが強く、このバンドのイメージにピッタリとあっているのが印象的だった。
X-RAY時代は、どうしても湯浅晋の代わりにポップでキャッチーな曲を用意していたイメージが強かったが、ここでは、疑いようのないソングライティング力を発揮している。こういう曲を発表出来るチャンスを見つけて欲しいですね。
収まる形で適切に世に出た初期RAJASの音源、マニアならずとも十分に楽しめるでしょう。ギターソロも昔よりずっと男前になりましたね。


SLEDGEHAMMER - Blood on Their Hands - Sledgehammer ★★★ (2019-12-28 18:08:24)

力強く打ち鳴らされるシャッフルビートのいなたさ
そこに流れる英国的なニヒリズム
これもNWOBHMを支えた音だなぁと噛みしめますね


LORDI - The Arockalypse - Hard Rock Hallelujah ★★ (2019-12-28 18:01:16)

チョイ切ないキャッチーな一曲
こうなるともっと表現力の高い唄が欲しくなる
雰囲気モノでは曲の良さを伝えきれないと思うが
これが個性なので止めるわけにはいかない
難しい問題ですね


SABATON - Heroes - To Hell and Back ★★ (2019-12-28 17:54:21)

戦争に特化したテーマを唄うバンド
勇壮さを緩和させるシーケンス
そのおかげで聴きやすくなっている
フォーキーなメタルに大衆性を加味させた
そこが鼻に付くとダメだが
好きモノにはたまらない中毒性があるでしょう


HELLOWEEN - Straight out of Hell - Waiting for the Thunder ★★ (2019-12-28 17:49:10)

成熟したムードが漂うメロディアスかつハードなハロウィーンサウンド
ライブはサッパリダメだが良いメロディを書けるのがアンディの良いことろ
上手く纏まってい
この音と言うイメージのあるバンドは強い


RUNNING WILD - Port Royal - Conquistadores ★★★ (2019-12-28 17:41:15)

スペイン語で征服者の意味のあるコンキスタドール
メタルシーンと言う大海原に飛び出したバンドが目指す世界制覇の狼煙
このバンドらしい型にハマりまくった展開も今となっては懐かしい


SACRED REICH - Ignorance - Ignorance ★★★ (2019-12-28 17:37:54)

不穏な空気を生み出すイントロ
緊張感がたまかったところでグシャッと走り出す
先輩達に追い付き追い越せと野心を感じさせるタイトルトラック
むさ苦しい私服姿のステージ衣装も懐かしいなぁ


KOBRA AND THE LOTUS - Words of the Prophets - Black Velvet (Alannah Myles Cover) ★★★ (2019-12-25 14:27:56)

元曲のイメージを損なわないハードアレンジとコブラ・ペイジの色気のある歌声
シンガーとしてのポテンシャルの高さを見事に見せつけましたね


220VOLT - Young and Wild - Heavy Christmas ★★★ (2019-12-25 14:03:01)

北欧ならではの甘美なメロディとシャープでメタリックな質感
元々は1984年にシングルとして世に出た一枚
キング・ダイアモンドに続けとばかりに激しく突っ込んできます


TWISTED SISTER - A Twisted Christmas - White Christmas ★★★ (2019-12-25 13:57:28)

ハードなギターが所狭しと駆け回り印象的なフレーズを盛り込んでいます。
アニメタル的なニュアンスで楽しんで欲しいね。


TWISTED SISTER - A Twisted Christmas ★★ (2019-12-25 13:55:57)

いまのところ、今作がバンド最後のオリジナルアルバムになっている。オリジナルと言ってもクリスマスソングの企画モノだ。だからオリジナルと呼ぶ事が出来ない微妙な立ち位置のアルバム。再結成後は、ライブや昔のベスト的な音源を乱発している様子の彼ら、主役たるディー・スナイダーは昨年、素晴らしいソロアルバムを出しているだけに、溜飲は下がっているが、バンドとしてのモヤモヤ感は拭えない。そういうイメージがある為に素直に聴けなかったリスのだが、この時期になると話は別。本気で作ったクリスマス向けの企画モノ、けして手を抜く事無く本気でやりきっているから、パフォーマンスはけして低くない。少々ファニーなイメージは全体的に残っているが、それよりも本気のハードアレンジが上手く機能しており、クリスマスメドレー的な遊びよりも、ロックバンドとしての気概を受け止める事が出来るのが聴きどころでしょう。④ではリタ・フォードがゲスト参加で華を添えていますよ。


KING DIAMOND - No Presents for Christmas ★★★ (2019-12-25 13:30:36)

バンド崩壊後、キング・ダイアモンド名義で最初に世に出たのが、邪悪なるクリスマスソングだったと言うのが面白い。シングルベルの聖なる音色から一気に悪意がなだれ込み、バッシバシとハードサウンドがウネリをあげてきます。ミッキー・ディーの若さあふれるドラムもイイねぇ。今となっては、どこかファニーな印象も与える表題曲ですが、アグレッシブに畳み掛ける攻勢の合間に上手くクリスマスソングを取り込み、曲名のイメージを上手にいじっているのが凄い。
そして以外とヒットし、ソロ転向成功への足がかりとなったのは、なんとも言えないファニー感がやっぱりあったりすのだが、メタルを愛するマニアのクリスマスにピッタリの一曲でしょう。
キング氏からの、強烈なクリスマスプレゼントですよ。


MUD SLICK - Keep Crawlin' in the Mud ★★★ (2019-12-24 21:04:30)

90年代と言う時代背景も影響しているが、それ以上にメロディがしっかりとしている。スイスのバンドだけに甘過ぎないメロディ展開は美味しいと言えよう。骨太でブルージーさも加味させて男らしさも補完、その押しの強さを武器に、ガンガンと軽快にハードサウンドを気持ちよく鳴らしていきます。
ロックの醍醐味を残しつつも、泥臭さを浄化したサウンドの旨味、大らかな大陸的グルーブもねじ込み、ともすれば一本調子になりそうな歌い手のパフォーマンスも好転させているのが憎い。古き良き時代に対する思い入れ、それは人それぞれだろうが、ノリ一発のグルーブも心地よい、なによりストレートにロックをやっているのが気持ちがイイ。下手な小細工は無用。自分達のルーツを素直にぶつける事で、生み出される相乗効果、聴き手もニンマリとさせる爽快さが今作の魅力だろう。
スイス発のアメリカンメジャーロックと形容できるデビュー作。良く出来ていますよね。


NOB - NoB 1st ★★ (2019-12-24 20:41:11)

MAKE-UPのシンガーとして知られる実力派ヴォーカリストの山田信人ことNoBの1stソロアルバム。彼の押しの強いエモーショナルヴォイスを生かしたスケールの大きな歌モノロックが満載。まさにAOR系の歌モノサウンドがイケる方なら大いに楽しめる内容だろう。『息もつまるほどに愛しくて』などで聴ける歌声など、彼の真骨頂とも言える厚みと泣かせがあり、少々クド目かもしれないが、その存在感の強さが彼の魅力。濃厚にまとわりつき感動を運んでくるでしょう。これほどの実力がありながら、イマイチ売れ切れていないのが残念で仕方がありませんね。

結局は、今作リリース後も後が続かないNoBさん。そろそろペガサス幻想以外の代表曲が欲しいところですが、今作には、そんなフラストレーションをふっ飛ばすような佳曲が詰まっていますよ。
でも以前、今作のコメント残している記憶があるんだよなぁ?消えたかね??


PEARL - First ★★ (2019-12-24 20:21:31)

所謂、ウンコたれバンドブームの流れの中でデビューを果たした名古屋の実力派バンドのデビュー作。当時のワタクシは、完全にJ-POP系は勿論だが、バンドブーム全般を馬鹿にしていた、お子様だったので、聴く耳すらもっていなかった。今や定額制で音楽を楽しむ時代。青春時代の甘酸っぱい想い出も手伝い、このバンドの事は記憶に合った。特に女性シンガーの田村直美さんが、当時のシーンでは群を抜いて唄が上手かったのもあり、久しぶりに聴いてみたのだが、あくまでも芸能界だ。その枠組みの中で精一杯ロックをやってみた感じなのだが、バシバシとタイトなリズムを刻むドラム、良く動くベースはボトムを支え、いかにもJ-ROCKってミックスなのだが、これくらは許してよと、ハードに迫るギターも実にエモーショナルであり、このバンドの本気は、どこにあるのかと思うのだが、70年代のロックを引き継ぐ本格派の音楽性は、どのように当時シーンで受け止められていたのか興味がある。少々本格派過ぎるのではと思うのだが、当時は、そんな深い事は思わず、ハードじゃない、走らないで終了だった。今聴いても、甘いなぁと思う部分もある、それでも、真のあるロッカーが揃っていたんだろうなぁというのは推察出来る。これ以降の作品を聴いた事もないし、手も出していないのだが、この季節になると思いだす、青春時代のエピソード、そのおかげで思いだした。このバンドの1st。弾け過ぎない、本格派の大人びいた日本語ロックのカッコ良さ。派手なヴィジュアルや、話題性とは違う魅力をもつバンド、こういうバンドって受け皿がないのだろうが、雨後の筍の如く表れたバンドブーム群とは一線を画す本格派の音に、今でも需要は十分にあるでしょうね。

この唄があるから、北島健二にカーマイン・アピス、トニー・フランクリンが加わり、もう一度動き出したんでしょうね。


OVERKILL - Taking Over - In Union We Stand ★★★ (2019-12-18 22:32:16)

走るだけがスラッシュじゃない
ガリガリとしたギターリフのクールさ
攻撃性を揺るがないものとするリズム隊の静かなる暴動
デッキンソンが憑依したかのように歌い上げる唄
このバンドの底力とルーツを感じますね
スケールの大きなミドルナンバーですよ


ACCEPT - Russian Roulette - Stand Tight ★★★ (2019-12-18 22:28:19)

ゆったりとしたリズムに身体を揺らしながら聴きましょう
押し引きを得た哀愁のある歌メロも映えますね
男気のある男性コーラス隊もバッチリハマっていますよ


ACCEPT - Accept - Glad to Be Alone ★★★ (2019-12-18 22:25:08)

泣いてますなぁ
初期スコーピオンズのような慟哭の根暗バラード
ダークテイストがエモーショナルな渦を巻き聴き手の感情を激しく揺さぶります
初期の頃から
この手のバラードを得意としたバンドでしたね
ウルフのなり切りぶりも1stならではでしょう


ACCEPT - Balls to the Wall - Losing More Than You've Ever Had ★★★ (2019-12-18 22:22:39)

JPからの影響を自分達流にしっかりと仕上げています
泣き泣きにならないサビの持って生き方も憎い演出だ
パッと視界が開けるようなポジティブさと哀愁度が絶妙に絡む
キビキビとしたリズムが硬質感を煽るが
大衆性も感じさせるバランス感覚に優れた一曲
こういうのを隠し技で持てるバンドでしたね


U.D.O. - Rev-Raptor - I Give as Good as I Get ★★★ (2019-12-18 22:19:04)

この手のバラードを唄うのが本当に上手くなったと思いますね
ウドが唄うから凍てついた情景が目に浮かびます
欧州ならではの泣きのメロディと冷たい硬質感
メタルバラードかくあるべきな芯の強さもあるが
甘美なメロディが華麗に舞うロマンティックさもある
これがU.D.O.流のバラードです
一級品ですよね


U.D.O. - Mean Machine - Break the Rules ★★★ (2019-12-18 22:16:28)

ノリのよいロックナンバー
メタルアンセムと呼びに相応しい親しみやすさがある
PVも作られているんで狙いはそこでしょう


ACCEPT - Balls to the Wall - Winter Dreams ★★★ (2019-12-18 22:13:16)

この季節になると無性に聴きたくなるロッカバラード
ウドの不器用だが切々と歌い上げる姿に涙します
こういう曲でも邪魔しないリズムプレイも好きですね
ウルフのギターも泣かせますよ
ロマンティックだなぁ


SACRED WARRIOR - Wicked Generation ★★★ (2019-12-17 13:15:05)

だれがメインで映っているんだと首をかしげたくなるジャケに購買意欲も殺がれるのが、オープニングから威風堂々としたサウンドで幕が開け、メタリックなハイトーンに圧殺されるという展開に、このバンドは持つ安定のブランド力を感じます。
QUEENSRYCHEフォロワーと見られるが、このバンドは本家のような難解さはなく、むしろ正統性の強さに比重を置いているのが聴きやすさを誘発している、欧州的な光沢のあるメロディ、そこにドラマ性の高い展開を持ち込み、濃密なへヴィメタルサウンドを奏でている。一曲、一曲がBGMとして気軽に聴かせない密度の濃さがあり、じっくりと聴き込む事を進めるが、その割には、似たり寄ったりのイメージを抱かせるのが、このバンド最大の欠点だったんだろう。
それでも、ぶれる事のない音楽性と高い演奏力は、メタルマニアに耳に確実に訴えかけるものがあり、そこに絡むハイトーンヴォイスのシャープな切れ味が、楽曲が持つ魅力を先鋭的に磨き上げている。
それにしてもへヴィメタルの世界は奥が深すぎる、チョイとジャンルや類似性を括りにバンドを探すだけで、魅力的なバンドに出会ってしまいます。探究したらキリがありませんよ。そんな魔境へと誘う音楽性と魅力を併せ持ったバンドでしたね。


NEON CROSS - Neon Cross ★★★ (2019-12-17 12:56:48)

バンド名から漂っていますが、ガチンコメタルを奏でるクリスチャンバンドの1st。時代も時代、そのド真ん中を行くシャープな切れ味の正統派サウンドを披露。懐かしい空気感満載のハードに押しまくるリフ、リズムの豪快さ、明るくなりきれないマイナー臭と濡れない叙情性、印象的なコーラスワークを持ち込み、へヴィメタルの先鋭性を持っているが、どこか大衆性を帯びているのが80年代的と言えよう。
少々、唄い切れていないボーカルに対する好みが評価を分けそうだが、偉大なる先人達の足跡を辿る王道スタイルの清らかさ、
なんだかとても懐かしい気分に浸れましすよ。『これだよ、これこれ』というお約束感が満載ですからね。


MANOWAR - Battle Hymns MMXI ★★★ (2019-12-17 02:00:42)

個人的に、再録モノにさほど興味はないのだが、オリジナルの背景を考えると、今作のもつ意味合いは大きい。ライブでも演奏される代表曲も多いだけに、ファンならずともトライする価値のある話題性はあった。今の世の中は、わざわざ音源を買わなくとも定額制のサービスや、無料で聴ける環境も整っているだけに尚更であろう。

かつての稚拙なプレイをやり直す事により、名誉を挽回した形となった今作。ベースを筆頭にリズム隊は見事にリベンジを行った。ロス・ザ・ボスはいないが、オリジナルの味を損なわないが、新たある解釈を加えたギタープレイなど、プチモデルチェンジを行い、新録の成功をアピールしているように感じる。とはいえ、もっと冒険しても良いのではという意見があったのも頷ける仕様ではあるのだが、こうして、自分達のブランドから一ミリも逸脱する事を許さない閣下の頑な精神性が宿っていると解釈すれば、問題はないだろう。
とにかく、軽快なロックナンバーは地に足が着いた、当然、貫禄度も増している。メタリックな素養が増したのだが、もっと古典的な音色で現代的にアップデートして欲しかったというのが、コアなファン層の意見だった。

円熟味を増したエリック・アダムスの歌声は、ここで聴ける荒っぽいメタルサウンドに、より一層の深みを与えている。彼の声無くしてマノウォーサウンドは成し得ないだろう。
名優クリストファー・リーの客演も、どう聴いても素晴らしい。


PHIL LANZON - 48 Seconds ★★★ (2019-12-15 21:55:00)

前作から矢継ぎ早にリリースされた印象を受ける2枚目。制作陣も前作の流れを組み、気心のしれた仲間による充実のラインナップが揃っているのも、コンスタントなリリースにつなげる事が出来たのであろう。
往年の70年代スタイルを踏襲しているのだが、それは付け焼刃ではない、その時代を生き抜いた男だからリアルに演出出来る。無理のないアレンジは創造力に富み、その巧みな映像描写は楽曲そのもののイメージを描き切っている。その力量が発揮されたのがタイトルトラックである⑩の凄さに尽きる。1906年におきたカルフォルニア地震をモチーフにした大作ナンバーなのだが、まさに映画のサントラ級の出来栄えを誇っているでしょう。適切なスケールの運用、間抜けなミュージシャンでは出来ないインテリジェンスに富んだ名曲です。
プログレタッチではあるが難解な要素は皆無、壮麗なコーラスワークを生かした歌劇は、フィルが主役となりタクトを振るう事で、イマジネーションを擽るロック叙情詩へと昇華しることに成功した。
ハードに突っ走るものを好む方には、少々退屈かもしれないが、現代の手法を用いたクラシックロックの名盤へと呼びに相応しい内容を誇っていますね。
ここにきてソロ作を連発するフィル・ランゾン。しかも自社レーベルなのかな?いくつになってもやりたい事をやれるというのは羨ましいですね。長きに渡る裏方稼業の賜物ですかね。今後も主役として存分に辣腕をふるって欲しい。


ALICE IN HELL - Thousand People Sword Kill ★★★ (2019-12-13 20:08:32)

我が国を代表するオールドヤングスラッシャーの2019年リリースの最新作。期待を裏切らない構成や、先人達からの影響を包み隠すことなく、ど真ん中で鳴らす事により、自分達が何者であるかを明確にアピールする事に成功。真新しい驚きはないかわりに、自らが愛するへヴィメタルのルーツたるプレイの数々を存分に取り込むことにより、見事リサイクルする事に成功している。

基本路線となる腕っぷしの強い男らしさ、メロウな曲はよりメロウに、ワイルドな曲はより荒っぽく、そういったメリハリをつける事で、スムーズに最後まで聴けるような構成力もアルバム単位で語れる魅力だろう。中々国内ベースだと、支持を受けずらい音楽性なのかもしれないが、王道を行く暴走サウンドのカッコ良さは、世界中に需要があるでしょう。より高みを目指して活動して欲しいですね。ちなみにジャケットを手掛けたのはブラックエンジェルスでお馴染みの平松伸二先生ですよ。


BOSS - STEP ON IT ★★★ (2019-12-13 19:46:20)

1985年にリリースされた1st。わが国でもリリースされた実績を持つオーストラリアの若手バンド。明朗快活なグルーブと歯切れのよいリズム、でもって能天気にならないチョイと情緒のあるメロディが流れる、そのシンプルな構図の楽曲の中で、高音域主体の嫌みのないヴォーカルがキッチリと歌い上げ、健康的なロックの魅力を奏でています。
一曲の中に印象的なメロディやフレーズを持ち込み、明快な場面展開を繰り広げる事で、よりストレートに自分達のやりたい事を提示している。シンプル故の類似性、なんだか初めてとは思えないようなデジャブ感があったりもするのだが、その親しみやすさと、曲作りの上手さは、デビュー作と考えれば文句のつけようもなく、個人的には、フックを設けた歌メロの充実度に目を見張るものがあり、大いに楽しみましたね。ギターも出ずっぱりではないが、要所要所を締め存在感を誇示しているのも見逃せません。骨太なメロディアスロックってのは、いつ聴いても気持ちがイイですね。
こうして改めて聴くと、押し引きを心得た構成、実に芸達者なバンドだったんですね。こういうバンドにこそ、今一度光を照らして欲しいねぇ。再発ないかなぁ。


WIDOW - Carved in Stone ★★ (2019-12-11 14:49:21)

かつてはグロウルを取り入れたり、女性シンガーを迎えたりと古典的なメタルサウンドに脚色を加えていたバンドでしたが、今作はトリオ編成に変更、その影響もあるのか小細工無用の普遍的なクラシックメタルサウンドへと進んでいます。
US産なので、日本人の耳に優しいフックに富んだメロディはないが、湿っているが濡れていないダークメロディ、堅実が故の退屈さ、派手に走らない地味さ、しかし、その実直さが好きに転べば、USメタルの裏街道を走る、哀愁のメロディを纏ったパワフルサウンドに沸々と燃え盛る炎を垣間見る事が出来るでしょう。
曲単位で聴く分には気にならないが、アルバム単位で楽しむには少々メリハリに欠けているのが難点。往年のグラムロックに通ずるようなキャッチーな曲もあったりするのだが、印象に残らないのが残念だ。成功するには、良いプロデューサーを見つけ、やりたい事の聴かせ方を工夫すると印象がガラリと変わるでしょうね。2000年から活動を継続する老舗メタルバンドへとなりつつある彼ら、ここいらで代表作を見せつけて欲しいねぇ。


BILLIONAIRE BOYS CLUB - Something Wicked Comes ★★★ (2019-12-10 22:28:06)

天才ギタリスト、ウルフ・ホフマンの影に隠れていたヨルグ・フィッシャーと、稀代の名ヴォーカル、マーク・ボールズらが加わり結成されたバンドのデビュー作。ドラムはアンダース・ヨハンソン、ベースにマルセル・ヤコブとインギー関連の北欧勢も加わるが、マルセルが途中で抜けた為にパー・スタディンらが穴埋めを行い完成したみたいな記憶があります。

参加メンバーのバックボーンを考えると、かなりメジャー志向のサウンドを攻めており、マイナー調の北欧スタイルやジャーマン仕込とは違う、アメリカンな様相も感じさせる無国籍サウンドを披露。多種多様な音楽性は、マークの力強いハイトーンが冴えわたっており、どの曲でも強烈な存在感を発揮している。ヨルグも確かにメインとしては弱いかも知れないが、ACCEPTで鍛え抜かれたギターワークは、こういうワールドワイド志向の中では癖がない分、逆にハマっていると思えるのは重要なのかもしれない。これといった抜きんでた曲が無かったと言われるアルバム、しかし総じてクオリティは高く、ある種のスーパーグループ的な面持ちを保っているのが、今作の魅力であろう。

結局、今作を最後にバンドは解散。活動時期も短い為に、認知度は恐ろしく低いのだが(ヨルグは何処え)硬軟バランスの取れたサウンドは必ずや需要があると思いますよ。
マークの美声を楽しみたい方なら間違いなくイケるでしょう。


TYTAN - Justice: Served! ★★ (2019-12-09 18:54:10)

Angel Witchのベースだった、ケヴィン・リドルスがドラムにJPのレス・ビンクスにカル・スワンらを加え活動していた事で知られる伝説のNWOBHMバンドの復活作。特に局地的に日本で人気があったのは、カル・スワンがいたからだろうが、そんな人気にあやからなくとも幻と謳われた1stは魅力的な作品だった。
今作にカル・スワンの名前は無いが、プロデューサーにクリス・タンガリーディスを迎え、往年の空気を纏ったリアルNWOBHMサウンドを披露している。愛想など良くなくとも、裏切りのない伝統的英国スタイルの継承。好きモノにはたまらないとなるのでしょうが、歌い手のパフォーマンスに不満を感じるマニアも多いでしょうね。過去の復刻盤であれば、こんなものと受け止めるのですが、新たなる門出となるともう少し表現力のある歌い手を所望したくなるのが、マニアの性と言うモノですが、これは趣味嗜好の問題ですので、前作を気に行った方なら、順当に引きついだ2枚目のアルバムとして、何の疑いもなく受け止める事が出来るでしょうね。
新たなるフレーバーを振りかけようとも、咽び泣く英国叙情派メロディ、そしてメタリックな攻撃性、堅実な出来栄えに安心して身を任せる事が出来ますよ。


TILT - The Beast in Your Bed - Stick into Yours ★★★ (2019-12-04 20:18:07)

パワフルなドラミングがバンドサウンドを牽引
その破壊力はバンドの生命線のように感じる
ギターも英国寄りのアプローチで耳を惹く
アメリカンと思いきや根っこには一括りに出来ない魅力を内包していたバンドだった
単なるお祭りロックでは味わえないワイルドさとメタリックな質感
アルバムのオープニングナンバーとしての存在感よりも
このバンドの多様性を示唆しているような魅力を感じる


THE EXPLOITED - Beat the Bastards ★★★ (2019-12-04 20:02:49)

英国を代表するパンクバンド。メタリックなアプローチを感じさせる面はあれど、あくまでもパンク畑からの接近だと言うのが、このバンドの魅力なんでしょう。90年代の中頃に、ここまでストレートに打ち鳴らされる暴走ロックンロールをやってくれるとは、掛け値なしのカッコ良さにグイグイと引き寄せられます。

ちょいと聴くだけで身体にポッと火が付く程にクールで熱いリフ、直情的なビートは場面場面に合わせ柔軟に動き回り、歌い手はあくまでもケンケン喚くだけではない歌唱力を持ち合わせている、素行の悪い不良感漂う節回しは英国パンクの王道なのかもしれませんね。タフなのにメロディアスと感じさせるパート、でもその場面は必ずや暴力的。パンク特有の剥き出しの感情を内包する激情が加速する様の、このバンドの気合いの入りようを感じずにはいられません。天に向かって唾を吐け(アカテン教師梨本小鉄)、時代に抗うパンクスだからこそ、成し得た逆行するスピードサウンド、その凄みと強い精神性が今作に宿っているように感じます。モーターヘッドがイケるなら確実に感性を満たし刺激しまくるアルバムですよ。


Doctor Rock & the Wild Bunch - Eye of the Hurricane ★★ (2019-12-04 13:38:15)

Harem Scaremのメンバーが前面バックアップする形で(ハリー・ヘスに関しては曲作りのみならずプロデュースを担当する気合いに入りよう)デビューを果たしたドクターロックことスティーブ・ホリデイがシンガーを務めるグループなのですが(実態がようわからん)元気で溌剌とした陽性ロック感と、叙情性のあるメロディの対比が絶妙な空気感を生み出し、ハード&ワイルドながら、コーラスワークの重ね方からもくみ取れるように、実にキャッチーなサウンドを得意としているのだが、ロックの持つ反骨心と同じくらい大衆性を纏っているのがなんとも印象的です。いい意味で洗練され過ぎていない歯触りが肝だろう。
そういう意味ではHarem Scarem感が強めなのかも知れないが、主役たるドクター・ロック氏もキャラクター性が強いパフォーマンスを披露。自分が主役なんだと高らかに宣言しているように感じます。個人的には、やや大味に感じるのがチト気になりますがね。


OPEN FIRE - Lwy ognia ★★★ (2019-12-01 22:08:56)

知る人そ知るポーランドのスピードメタルバンドが1987年に録音するもお蔵入りになってしまった幻の1stが復活です。当時の録音ですからね、厳しい面もありますが、のっけからモーターヘッド+ハロウィーンってな具合の欧州スピードメタルで幕開け、まずは掴みはOKと言いたいのですが、6分超えが少々長いと思わせるのがカワイイですね(若いこ娘がなんでもかんでもカワイイで逃げたくなる気持ちが分かった)ギアを落としてへヴィなミドルナンバーに流れ、なんかの曲の早回しみたいなインストに進み、④ではまた一気に加速、スピードメタルかくあるべきに自棄のやんぱちがらっぱちなスピード重視にスタンスに戻ります。全てにおいて懐かしい空気が充満、東欧的翳りのあるマイナーメロディが加速する癖の強さ、ポルトガル語の硬めの語感だからこその大クセもたまりませんよね。この断末魔系ハイトーンの怪しさもたまりません(気持ち悪いファルセットもね)、レコーディングの緩さもたまりませんと、緩さを許容できるマニアでないと厳しいでしょう。でも、細かいことなど気にするなワカチコワカチコ、性急なビートがそこどけそこどけと言いながら、加速する様にこのバンドの魅力を感じます。パープルが好きなんだなぁと思わせるのもへヴィメタルの宿命でしょうかね。愛すべきポーランドメタルのヤングスピード狂、スラッシュじゃない、スピードメタルが好きな人なら言って欲しいですね。


TURBO - Smak ciszy ★★★ (2019-12-01 21:48:47)

ポーランドメタルを代表する重鎮、生きるレジェンドバンドとなり今なお健在のバンドですが、今作は1985年リリースの2nd。自分達のルーツたるアイアンメイデンに捧げるアルバムとの事だが、前作の流れを組む正統性の強い一枚。そこに間口を広げるべく、陽性な面も見えてきたが、東欧的な翳りのあるメロディを隠し味に、真正面から自分達の大好きなロックを奏でているのが印象的です。あくまでもエネルギッシュに打ち鳴らされるTURBOサウンド、自作では時代の流れを組みとり全てにおいてビルドアップ。加速力を増したパワー&スピーディーサウンドへと変貌を遂げるのですが、このバンドの歴史をみると、ここで一区切りつけるのも有りでしょうね。ボーカルのアプローチの仕方とか全然違うんだもんね。


ROUGH CUTT - Rough Cutt - You Keep Breaking My Heart ★★★ (2019-11-29 14:23:53)

本格派志向のバンドサウンドの凄み
そしてポールのエモーショナルな歌声に震えます
こういうフィーリングを持ち合わせたアメリカのバンドと言うのは稀有な存在だった
ディオの目に狂いはない


ROUGH CUTT - Wants You ★★★ (2019-11-29 14:20:34)

ロニー・ディオ主催のメタルプロジェクトHear N' Aid - Starsでは、ドン・ドッケンを公開処刑した男と名を挙げたポール・ショーティノがフロントマンを務めるバンドの2枚目。プロデューサーをメタル畑のトム・アロマから、幅広いジャンルに精通するジャック・ダグラスに変更。そのかいあって、音楽性により明確な意思が見えメリハリが生まれた。ヒット狙いもありつつ、新人らしからぬ貫禄が醸し出されるサウンドは聴き応え十分。存分に自分達の成長を見せつけている。シャープな①からグルーヴィーな②の流れも心地よい、そしてラジオ向けの2分半少々の③へと流れる展開に、今作の方向性と言うか、ジャック・ダグラスの狙いが見えてきたという事でしょう。どんなに軽めの曲をやろうとも、ポールが唄えばそこにロックな熱が吹きこまれるのが印象的。ツインギターコンビも派手目のプレイをねじ込み、メタルバブル勃発を見越した作風に終始したと言える。
前作が本格志向のアメリカンメタル成分が強めだった為に、今作における路線変更には賛否も多くあったと聴くが、結局は、リリースするも成功とは至らずに、ポールがQuiet Riot加入の為に脱退。バンドはほどなくして解散と言う憂き目にあってしまった。もう一枚、このラインナップで勝負して欲しかったなぁ。


ROUGH CUTT - Rough Cutt ★★★ (2019-11-29 14:00:27)

NIJI MUSICの力添えも有ったのか大手WANNERからリリースした1st。ウエンディ&ロニー夫妻のバックアップは大きく、曲作りなどのも関与したと言われているが、その辺りに②③とカヴァーソングが続く構成になったのだろう(③はオーストラリアのChoirboysのカヴァー)、ポール・ショーティノの新人離れした貫禄たっぷりの歌声は、オープニングナンバーから炸裂、ゆったりとしたリズムだが妙に癖になるリフと哀愁が漂うメロディは、このバンドの魅力を端的に告げるもの、若干の肩透かし感はあったが、曲そのものの魅力は個人的にRough Cuttと言えばこれと思うほど大好物です。
予想外のスタンダードなカヴァーソング②に面喰らったが、これがポールに良く似合う。もはやポールの持ち歌レベルの仕上がりに驚かされたまま、シンプルはポップロックの③に流れる展開は、ある意味勢いが足りない。次も素晴らしいバラードだが、一度も火が付く事無くクールダウンタイムと感じるのが、個人的にはマイナスだった。1985年と言えば、思春期真っ只中のワタクシにとっては、尚更そう感じましたね。このグループの音楽性に耳が追いついたのは、90年代に入ってから、それだけこのバンドは成熟した魅力と言うのを持ち合わせていた。
突出したプレイヤーがいないと言われがちだが、ポールを支えるバックのメンバーも活きのいい演奏をブチ込んでいます。このバンドはポールの唄を中心とした作り込みに舵を切ったない過ぎない。それだけに、本格派過ぎたが故の、ある意味、早すぎたデビューとも言えそうだ。へヴィでダークな⑥が違和感なくハマるのも、このバンドの強み、アルバム一枚に多くのメッセージを残し可能性を秘めた、本格志向の優れた一枚。


ROUGH CUTT - Wants You - The Night Cries Out (For You) ★★★ (2019-11-29 12:47:23)

アルバムを締めくくるに相応しいムードのあるバラード
ポールの歌声が優しく抱きしめてくれる


RAILWAY - Climax ★★★ (2019-11-29 12:40:29)

新たなギタリストとして参加したフロリアン・オールガイアーと、初期メンバーであるアーミン・シュラーが再びシンガーの座に帰り着いてリリースされた3rd。それまで揶揄され続けてきた小型ACCEPTからの脱却。より幅広い音楽性を取り込む事でメインストリームの世界へと打って出た作風に転じてはいるが、総じて、王道スタイルを踏襲するサウンドである為に、安心して聴く事が出来る。その代わり、ややスリルは足りないのだが、キレまくる③やメランコリックな出だしはACCEPTバラード風だし、そこから剛毅に転じるのもジャーマンスタイルと言うものだろう。
音楽性云々よりも、このバブリー臭の漂うミックスに全てが起因しているように思える。欧州由来の泣きと剛毅なジャーマンテイストの角を取る事で丸みを帯びているが、このバンドが醸し出す男臭さも同時に楽しめるので、ここは趣味趣向の問題だろう。シンガーが変わったからこそ、挑戦できたスタイルでもあるがポイントでしょうね。CD化再発の際に1981年リリースのシングル盤が追加、そこではアーミンの若々しい歌声が聴けますよ。


CRYSTAL VIPER - The Curse of Crystal Viper ★★★ (2019-11-27 14:31:37)

いつの頃からかTRUE METALなる言葉が声高に叫ばれるようになったのが(真実のへヴィメタルってねぇ、世の中が勝手に解釈を変えただけなのに)、そんな多様化する時代にポーランドから登場したのがマルタ・ガブリエル擁するバンドのデビュー作。リードシンガーのみならず、ギターも弾ける彼女は、バンドの創作面を司るバンドの要なのだが、そんな彼女を支えるのがプロデューサーであり、結婚相手でもあるバート・ガブリエル。この二人がいればバンドは永遠に続くのだろう。ちなみにバートはSkol Recordsの創設者であり、レーベルの志向を考えると、このバンドの音も合点がいきますよね。

紛うことなきクラシックメタルの世界観を踏襲。高揚感のあるメロディと攻撃的な演奏はへヴィメタルのカタルシスを解放するに適していると言え、中世ヨーロッパの世界を下敷きにしたファンタジックかつヒロイズム溢れるサウンドを、ど真ん中で掻き鳴らしている。ハードなサウンドに負けないマルタの歌声もデビュー作ならが堂に入ったもの、何の迷いもなく自らの信じる道を突き進むが故のパフォーマンス力であろう。
何よりも女を売らない無頼なキャラも魅力の一つだ。タフレディといったところだろうか、現代のメタルディーバとして、その存在感を世に知らしめたデビュー作。リードギターであるアンディ・ウェーブの存在もまた、この強烈な世界観を下支えしているのも見逃せません。堅実さと派手さを巧みに使い分けていますね。


KIMMO KUUSNIEMI BAND - Moottorilinnut ★★★ (2019-11-27 03:02:37)

フィンランドのロック史を語る上では外せないバンドであるSarcofagus。2枚のアルバムをリリースするも満足がいく結果を得られずに、心機一転レーベルを移籍するも、前の所属先からバンド名を使う事を許されなかったために、ギタリストであるキムモ・クーシュニエミの名前を前面に押し出す形でリ・スタートしたのが今作。実質Sarcofagusの3枚目と言えるのだが、シンガーが3人いたりと、バンドだったのかプロジェクトだったのか、詳細は不明だが、世の中がNWOBHMブームに乗る中で、このバンドも感化されたのは間違いなくSarcofagus時代から比べると攻撃性やスピード感も増しへヴィメタルブーム到来を予感させる音楽性へとシフトチェンジした。ゲストシンガーである、キルカはフィンランドを代表するシンガーであり、所謂歌謡曲的な曲(シュラガーってやつね)で成功を収め、80年代の中頃にはロック色を強めたアルバムを2枚リリースした実績も有り、その布石は今作への参加もあったのかと驚きましたね。
キルカの妹であるフィンランドの女性ロッカーの草分け的存在のムスカ・バビジンも参加、彼女のパワフルな歌声は一際異彩を放ち、アルバムに楔を打ち込みました。唄の上手い二人に挟まれイマイチ分が悪い、もう一人のシンガーであるユッカ・リタリィも牙を剥き出しに歌い上げ、初期フィンランドメタルとしての矜持を存分にアピール、ギターオリエンテッドな作風だが、エサ・コティライネンの鍵盤プレイも盛り込み、音の厚みや個性を生み出そうとしているもポイント。でもギターは随所に派手目のプレイをねじ込み、ハードサウンドの根幹を担っている。

全編フィンランド語だし、誰も知らない弱小レーベルの為?認知度は猛烈に低いのだが、フィンランドのメタル史を語る上では外さないバンドであるSarcofagus、そのメンバー、そして国民的な歌手の参加など、当時として話題性はあったはずであるが、結局はロクなフォローも受けられずバンドは、元のさやであるSarcofagusに即改名となったのは残念でしたね。
全8曲入り30分を切る内容は、コンパクトさが手伝い聴きやすく纏まっています。北欧のなんたるかを知る上では、是非ともトライするべきでしょう。荒々しい原始的ロックに興奮させられますね。今でもいるんでしょうけど、北欧メタルの歴史はヨーロッパからだと、ぬかす連中が80年代中ごろに沢山いました、そんな雑誌偏重の盲目な連中に頭突きを喰らわしてくれます。OZもいるぞ、EF BANDもいるぞと言う事でそっち方面もフォローできるマニアなら楽しめるでしょうね。
そして現代では、こういうマニアックなサウンドが無料で聴けると言うのは本当にありがたいですよ。もうパッケージ商品の未来はないだろうなぁと痛切に感じますよ。


ROUGH CUTT - Rough Cutt - Cutt Your Heart Out ★★★ (2019-11-25 22:42:47)

シャープに切れ込んでくるメタリックな疾走ナンバー
ハスキーでセクシーな声が全部持っていくね


ROUGH CUTT - Rough Cutt - Take Her ★★★ (2019-11-25 22:40:14)

ロニーとグレイグのDIO組が楽曲を提供
でもグレイグは元ROUGH CUTTなんでややこしいねぇ
シンプルだが耳を惹くリフに尽きる
走らないオープニングってのもこのバンドらしいね
なんだかんだでROUGH CUTTと言えばこの曲を真っ先に思い出します
イイ曲ですよ


ROUGH CUTT - Rough Cutt - Dreamin' Again ★★★ (2019-11-25 22:37:56)

ようやっと完全オリジナルの曲が登場するのですが
バラードだったと言うオチに肩透かしを喰らったマニアも多かったろう
このエモーションと泣き
そして新人の一枚目とは思えない落ち着き払ったパフォーマンス
これは黙って受け入れ酔いしれましょうよ
リズムもズシズシ決まってるんだよね


DORO - Classic Diamonds - Metal Tango ★★★ (2019-11-23 01:20:26)

オリジナルにあった勇壮さの中にある哀愁
そのセンチメンタル感が倍増
サビメロに向かってのカタルシスに感動
これもありだなと思わせるアレンジが秀逸です
哀切を讃えたドロ節も大好物
メランコリックなソロもたまらん


DORO - Classic Diamonds - I Rule the Ruins ★★★ (2019-11-23 01:15:31)

ヴァッケンのステージでも証明されたオーケストラとの共演
その勢いと言うか相性の良さをこの曲を聴けば感じる事が出来るでしょう
無理無駄のないアレンジ
この曲に限らずメロディの良さを際立たせている
オリジナルの硬軟交えたニュアンスがイキイキとしているねぇ


DORO - Classic Diamonds - Für immer ★★★ (2019-11-23 01:13:05)

これが完成形なんだと思わせる仕上がりです
オリジナルも良いがコチラの方がドラマ性がアップ
これが感動を運んできますよ
収まるべくして収まった珠玉のバラード


DORO - Classic Diamonds - All We Are ★★★ (2019-11-23 01:11:19)

不滅のロックアンセム
今なお色褪せない名曲をオーケストレーションを加えアレンジ
メロディの良さを際立たせたね
ドロの衰え知らずの歌声が胸を打ちます
唄の上手い下手では出せない彼女の生き様にグッときます


DORO - Classic Diamonds - Breaking the Law ★★★ (2019-11-23 01:08:44)

アコースティカルなアレンジにしたのは正解
ドロのエモーショナルな歌声が泣かせます
そしてオーケストラが参加してから一気にスパーク
ウド・ダークシュナイダーも加わり大円団を迎えます


LITA FORD - Out for Blood ★★★ (2019-11-17 20:56:38)

トニー・アイオミの元カノ(ブートだが音源も録音)としても有名な元Runawaysのリタ・フォードのソロアルバム第一弾。地味目だが実力のあるリズム隊を引き連れ、彼女をメインに据えたやり方は正解。誰が主役かをビジュアル的に明確なものにしたのだが、そんなイメージ戦略は必要なしの元気溌剌な本格派のロックサウンドを披露、とにかく音が楽しそうにコロコロと飛んだり跳ねたりとロックなリズムに合わせ大騒ぎしている。
シンプルに聴かせる手腕と見た目以上にハードに迫る本格派志向、それでいながらも大衆的な面を際立たせるアレンジは見事、彼女の才色兼備ぶりを遺憾なく発揮している。ポップな躍動感と火薬の匂いが漂うロックの香り、キャッチーな歌メロと抜群のグルーブ感を誇るリズム、メジャーロックの醍醐味を味わえる一品ですね。


Hammerschmitt - Hammerschmitt ★★★ (2019-11-15 20:28:51)

しゃべらないマジシャン、トランプマンが深酒をしてしまい、悪ふざけを極めたようなジャケットが印象的です。ツインギターを擁するドイツ産の正統派HM/HRバンドは1985年にリリースした1st。
オープニングからクラシカルテイストも感じさせるスリリングなインストナンバーで幕開け、その流れを組むように、ドイツ版のシュラプネル系とも言えるガチムチのスピードメタルへと流れるのだが、それだけに留まらずハロウィーンタイプのシュラガーメタルに、バラードへと流れる展開もあり、バラエティ豊かな味付けが施されている。とはいえ、ハイトーン系のシンガーが、やや画一的な歌い回しに終始している場面があり、張り上げた瞬間に皆同じと聴こえるのが残念。歌い手もけして下手ではない、そういう意味では、もう少し聴かせ方に気を配ってくれると、感触も大分違ったと思うのだが、このハイトーンは武器だけに難しい問題だ。
しかし切れ味するどいツインギターの鮮烈なプレイの数々、へヴィメタル愛に溢れた熱を帯びた演奏は、欧州的なクールさと同じくらい熱く燃え盛っている。粗削りな面もあれど、それらを飲みこむ衝動性というのは実に魅力的だ。豪快でありながらも、繊細さも大切にしているのも好印象。メタリックな質感を伴いストレートに押し込むのは基本姿勢だが、楽曲の中に起承転結を設けようと工夫する姿も印象的だ。
今ではデジタル配信盤で楽しめる、貴重な一品。ハロウィーンだけがジャーマンじゃないと、思っているリアルジャーマンメタルマニアに薦めたいマニアックな一枚です。ストレートなメタルサウンドが好きな人にもたまらんでしょうね。もう少し愛想が良ければ良いのに、この武骨さと、切れ味鋭いリードプレイにグッと引き寄せられます。こういう無愛想な鋼鉄サウンドは、日本にも確実に需要があるはずですからね。


BLACKMAYNE - Blackmayne ★★★ (2019-11-15 19:49:29)

NWOBHMの流れを組むバンドが1984年にリリースした1st。オープニングから炸裂する攻撃的なリズムと疾走感、そして憂いのあるメロディが沸々と沸騰する、熱情型のサウンドが激しく燃え盛っております。その流れを壊す事無くアルバムは続くのだが、ある意味、型にハマったタイプのバンドではある。それはSatanだしGrim ReaperだしDiamond HeadだしBlitzkriegと言ったバンドが作り上げたスタイルの継承である。それだけに新鮮さは薄味だが、セオリー重視の音楽性と言うのは悪くない。むしろ、自分達のやりたい事に純粋に取り込んでいるように感じられ好感が持てる。商業ベースに乗るのとは違う、若さに任せたガムシャラさが、聴き手を鼓舞し、熱いものを突き上げさせてくれた。
それにしてもNWOBHMは奥が深い、このクオリティでも埋もれるのだから、シーンの隆盛というのか流れの速さに驚かされますね。2017年に今作が再発。そして2019年には待望の復活作をリリースしています。


SIX FEET UNDER - Eruption ★★★ (2019-11-15 19:36:32)

オープニングからハモンドがウネリあげる古典疾走ナンバーで幕開けと、このバンドの持ち味が炸裂。ロバート・プラントを意識したアウアウアウのシャウトも狙い通りといったところか、そして②ではギターが良く歌う哀メロ路線に転向と、このバンドの守備範囲の広さを知らしめる事に成功、前作にあったイモ臭さを消しつつも、パープル、レインボー、UFOと言ったバンドから受けた影響をふんだんに感じさせるサウンドを披露。これぞSIX FEET UNDERという音楽性を展開している。

今の耳で聴けば古臭さは否めないだろうが、メタルバブル勃興前の玉石混合な時代だから感じられる洗練と気骨溢れるロックなサウンドが、互いを高め合うように共鳴し合い、激しくぶつかり合っているのが印象的だ。
素直なメロディが優しく鳴り響く、シングルカットされたバラード③も嫌みなくスッと溶け込めるのも、そういう背景があればこそであろう。そして④ではジョー・リン・ターナーの声が聴こえてきそうなパープルよろしくのレインボースタイルに悶絶と、多種多様なスタイルを持ち合わせる事が可能だった時代が燦然と輝いておりますね。

ZEROコーポレーションが1994年に世界初のCD化と謳い、世に出された歴史に残る一品。かつての日本には、世界をリードするようなレーベルがあった事も思いだされますね。努力の割に、たいした利益に繋がらない復刻版。ましてや既に活動していないバンドですからね。でもそういうモノを後世に残す作業の尊さ、忘れたくないです。


SIX FEET UNDER - Six Feet Under ★★★ (2019-11-15 19:18:53)

活動期間が82年から85年までと短期間だった北欧の正統派HM/HRバンドの1st。我らがZEROコーポレーションからリイシュー盤が出た時は驚きましたが、ギターのトーマス・ラーションがグレン・ヒューズのソロに参加したり、BALTIMOOREにいたりと、その辺りの影響もありタイムリーなリリースだと思っていた。
こうして時代が過ぎ、この音を聴けば北欧のメタルシーンにおけるUFO、パープル、レインボースタイルと言うのが、いかに影響を及ぼしていたかが分かる。確かにEUROPEのヒットがスウェーデンのロックシーンにおける成功例ではあるが、あのスタイルが北欧の全てではないと言うのを如実に物語っていますね。
今はいないでしょうけど、80年代とか90年代には、EUROPEが北欧メタルを作ったみたいな大ウソをコキまくる輩が沢山いましたのでね。

コブシを回すように濃厚な味付けのギターも懐かしい、ヘタウマ感の強い歌声も凄くいい、全体に漂うイモ臭さというか、垢抜けないB級感に堪らなくフィットしている。その魅力が爆発するのが⑥⑦という演出も熱い。

ワタクシもZEROからリリースされるまで知らなかったのだが、このようなバンドが北欧には沢山いたんだと予見させられた瞬間に、かの地のアングラメタル探究の旅に出る決意をさせられました。歌心と魂を焦がすロック魂、それは⑧のような曲にも凝縮されているように感じます。北欧風味とブルージーなロックテイストの融合、コンパクトな展開の中に旨味を閉じ込めるのが上手いバンドでしたね。初見で聴いたときよりも、オッサンになってからの方が体に染み込んできます。このタイム感こそ、当時のロックシーンを体感出来るサウンドなんだろう。知らず知らずに、ワタクシも旬の音楽に浸食されているんだな。と感じましたね。グランジ以降のロックって変わったもんなぁ。


FASTWAY - Bad Bad Girls - She Won't Rock ★★★ (2019-11-12 12:58:29)

これもステファニー・ボジャースのソロに提供していました
英国風味満点のメロディアスロック
ライトな感覚を加味させているが十分ブリティシュと言える
こちらもサビを連呼するタイプです


FASTWAY - Bad Bad Girls - I've Had Enough ★★★ (2019-11-12 12:54:54)

ポール・ディアノとデニス・ストラットンの二人による
プロジェクトThe original Iron Menにも取り上げています
リー・ハートよ
節操が無さすぎるぞと言いたくなりますが
こちらが先だもんな
でも個人的にはコチラを後に聴きました
ポール・ディアノとリー・ハートの唄を比較するのはナンセンスですが
The original Iron Menはパワフルだったぞ


FASTWAY - Bad Bad Girls - Big Beat No Heart ★★★ (2019-11-12 12:51:23)

こちらも敵は海賊に収録されています
シンプルに打ち鳴らされるビート
英国的なリズムとメロディ
この展開は癖になりますよ


FASTWAY - Bad Bad Girls - Lucky To Lose ★★★ (2019-11-12 12:49:55)

敵は海賊というアニメのサントラに提供されていました
キレのあるカッティングが印象的です
カラッとしたポップソング的な側面はあるのだが英国だ


FASTWAY - Bad Bad Girls - Miles Away ★★★ (2019-11-12 12:47:49)

この曲はかつてステファニー・ボジャースに提供しましたね。
英国的な色合いの強い曲ですが
ファースト・エディ・クラークにしては大人過ぎますかね
このリフは耳に残ります
あとマイルズ・アウェイって連呼しすぎじゃないの


FASTWAY - Bad Bad Girls ★★ (2019-11-12 12:45:37)

元々はファースト・エディ・クラークとピート・ウェイの大物英国ミュージシャンの融合が話題となったバンドだったが、ピートが早々とバンドを去ったのは、ある意味当然の結果だったのかもしれない。そんな話題性を抱いて活動を続けるも、決定打のなかったバンドなのだが、1990年リリースの今作は、リー・ハートの力を借りて、英国テイストを生かしたアメリカ寄りのハードサウンドを披露。正直、どちらが先なのかは分からないものもあるが、既発というか、カヴァーされというか、提供したと言うか、とにかく他のプロジェクトに顔を出した楽曲が多くあり、ある意味、オリジナルはコチラだ的なお楽しみ感があるのが最大の聴きどころ。良くも悪くもまとまった音楽は、エディの破天荒さを期待したファンにとっては肩透かし感はハンパないのだが、リー・ハート関連と考えると、こういう作風に収まったのは以外で無いと言う一品。
地味目だし、オーセンティックな展開が多いのだが、無難に楽しめる一枚です。手に汗握る興奮ってのは無いんですけどね。


SKAGARACK - A Slice of Heaven - Angel Eyes ★★★ (2019-11-11 21:25:59)

北欧の風が吹いているねぇ
コーラスのもって生き方なんてお国柄のなせる技でしょう
ひんやりとした感触
そして泣かせのサビとビックコーラス
そこからのギターソロでしょ
ベタだけどたまらんわ
あの曲に似てるなんて言っちゃダメよダメダメ


SKAGARACK - A Slice of Heaven - Open Your Eyes ★★★ (2019-11-11 21:19:17)

やりやがったなぁ
この野郎と言いたくなりますね
ツボを付く北欧テイストと王道な泣かせの展開
甘く切ないメジャーロックの醍醐味を味わいましょう
フォリナーのようだと言われたのも納得です


SKAGARACK - A Slice of Heaven - Anytime, Anywhere ★★★ (2019-11-11 21:17:25)

爽快ですね
心が洗われますね
マイナー調で押し切らない大衆性と朗らかさ
まるであの曲のようだ
唄いかたはあいつにソックリだと非難されそうですが
ベタに敵う者なしです


SKAGARACK - A Slice of Heaven ★★★ (2019-11-11 21:15:58)

一聴して頭をよぎったのは北欧のGloryの2枚目でしたね。北欧らしいフックに富んだ哀愁のメロディ、程良い甘さもアクセントとなっているが、そこにブルージーなテイストを導入。時代の流れを読み取り今まで以上にアメリカンな方向性に傾いているその為に、個性は薄まったが、マイナー臭を払拭することに成功、前作よりもメジャー感を増しているのが印象的です。北欧ハードポップと括るよりも広い意味での大衆性を纏ったAOR調のハードサウンド、その旨味と開き直り感は、マニアならずとも大いに楽しんでもらえるでしょう。ライトな感覚なのに、ウエッティな質感を残すメロディとギターワーク、単なるフォロワーでは終わらない、自らのアイデンティティを誇示するようにSKAGARACKサウンドを展開しているのが嬉しい。ベタに敵わないを実践していますね。


SKAGARACK - Hungry for a Game - This World ★★★ (2019-11-11 20:58:40)

この雰囲気に酔えるねぇ
男の哀愁美が漂っています
多様性を帯びたアルバムを象徴するように
違いタイプの名曲が登場する
泣き泣き泣きで流さないサビメロも大好きです
そしてギターはここぞで泣きまくります


SKAGARACK - Hungry for a Game ★★★ (2019-11-11 20:55:58)

知る人ぞ知る北欧メロディックマスターの一人、トーベン・シュミット引き入るメロディアスHM/HRバンドの2nd。北欧風味の残しつつ、アメリカ寄りの王道スタイルを取り込み、明確に何を聴かせたいかを定めている。その為に、ハードエッジは不足しているが、この丸みを帯びたマイルドなサウンドと、北欧特有の透明感、そして虫歯がうずくスイートメロディの数々、嫌みのない朗らかさと、ほんのりと漂う哀愁美、その大衆性を帯びた作り込はメジャー級のバンドと比肩出来るクオリティを保持しています。前作を聴いてファンになったマニアは勿論、これからバンドに触れたいと思う新規さんにも訴求する魅力を発散していますね。一口で語る事の出来ない多様性を帯びた楽曲をねじ込んでも、八方美人に感じさせないのも今作の強みでしょうね。


RTZ - Return to Zero ★★★ (2019-11-10 18:38:23)

BOSTONの初期メンバーであるバリー・グドロー、そこに同じくBOSTONのブラット・デルプが加わり結成されたバンドのデビュー作。BOSTONと比較すると、よりシンプルに作り上げている為に、少々地味に感じるのだが、バリーの堅実な作業は曲作りの上手さにおいては目を見張るものも有り、味わい深いポップフィーリングを堪能出来る。そこに秀逸なる歌メロと歌唱スタイルを落ち込みバンドサウンドに華を添える、実力派シンガーのブラットのエモーショナルヴォイスが乗るのだから、歌モノマニアなら存分に楽しめるでしょう。
派手に走ったり、頭を振るだけがロックではない、大人が聴いても恥ずかしくないメロウさ、潤いがあるのに、アーシーな質感はバンドの個性であり武器なのだろう。このゆったりとしたリズムも雄大さを演出。スケールの大きさも、キャリアあるバンドの持ち味なんでしょうね。個人的には少々メリハリに欠ける面があるのは気になるのだが、摘みながら聴けば不満も解消。ハードサウンドに疲れた耳の箸休めにピッタリなんですよね。


MANIA - Changing Times ★★ (2019-11-10 17:25:52)

マイケル・キスクのアマチュア時代のバンドに後任として参加した実績のあるクリス・クラウケ。彼のイマイチ頼りない歌声に、どうも調子ハズレな気分になるのだが、欧州由来の湿り気とダークテイストを纏ったパワー漲るスピードHM/HRサウンドは、ドイツらしい生真面目さが漂い、そのおかげで遊びの部分は少ないが真摯にへヴィメタルと向き合っている。
バンドの目指すサウンドも、ガチンとハマれば、そのスケールの大きさに期待値も上がるのだが、一曲の中にカッコいいクールな部分と、ダサい不器用さが同居しており、その比率にノレそでノレない、もどかしさに見たいなモノを感じるのが評価を分けるでしょうね。初期HELLOWEENに通ずるような、親しみやすさも顔を覗かせたりと、角度を変えてみると違った表情を魅せるもの面白いですね。


TYGERS OF PAN TANG - Tygers of Pan Tang ★★★ (2019-11-09 20:43:39)

若かりしジョン・サイクスがいたバンド。そのおかげでNWOBHMの中でも後年、特別な扱いを受けたように感じるが、このバンドは、そんな話題にしがみ付かなくとも十分魅力的な楽曲を届けており、真のNWOBHMマニアなら、サイクス時代以外も存分に楽しんでもらえるでしょう。チョイチョイ集合離散を繰り返してきたバンドだけに、安心できない面も多々ありますけどね。

今の時代を見据えたベテランバンドの一撃、古さに埋没しないが、背伸びをしない余裕のあるサウンドは、実に伸びやかに新生TYGERS OF PAN TANGサウンドを奏でている。またソーレン・アンダーセンやハリー・ヘスの二人がミキシングとマスタリングで参加、二人のアドバイスがあったかは不明だが、メロディの味付けなど、随分とメロディアスで練り上げられているなぁと感じますね。かつての彼らとは確実に違う、細部に拘った音の作りにも耳が行きますね。

肩の力が抜けた自然体のバンドサウンド、英国的な重厚感とポップセンスをバランスよく配合、だからカヴァーソングもアクセントとなり奇をてらった感がない。そして多少インパクトに欠けた楽曲が収録されようとも力技で押し切れる技量があるのもベテランのなせる技なのだろう。


METALITE - Biomechanicals (2019-11-09 20:10:40)

シンガーの座がエリカ・オールソンに変更。そしてドイツのAFM Recordsから2枚目をリリースしました。前任者よりも年齢も上がり、幾分ロックなビッチ感も増しましたが、根幹となるEDMのリズムを大胆に取り込んだメロディアスHM/HRサウンドは健在。個人的には、EDMは死ぬほどきらいで、へヴィメタルの対極にあると思える音楽性だと思うのだが、この手の水と油商法は、既にシーンの中でも確立されつつあるジャンルであり、これからも多くのバンドが後続を連ねる事となるでしょう。

瑞々しく躍動する壮麗なリズム、逞しい程に派手に暴れる電子音、そこに刃を立てるメタルなサウンド、北欧特有の透明感と、耳馴染みの良い大衆性がガップリ四つに組みあっています。
今なお貧乏臭いNWOBHMを聴き楽しみ四畳半一間の貧相な耳には、オシャレすぎてついて行けないが、こういう音を入り口に、メタルの世界に足を踏み入れる人が増えれば良いなと思いますね。


CRAZY LIXX - Forever Wild ★★★ (2019-11-08 17:47:12)

先人達からの影響を包み隠さずに現代に伝える北欧産スリージー系ハードサウンドを売りにしたバンドのアルバム。作品を重ねるたちに、そのゴージャス感というのかメジャー感が高まるのだが、今作もその流れを踏襲したものとなり、硬軟のバランスが取れたメジャー級の作風に落ち着いた。典型的なNWOTHMなだけに、目新しい発見は皆無だが、その代わりに視聴感は抜群に良く、これからハードなサウンドに触れたいと思う方には、丁度よいサウンドだと思う。
勢いに満ちているが、丁寧な作り込も親切心に溢れており、この辺りが聴きやすさを誘発している。
ライブで盛り上がりそうなコーラスワーク、パーティー感もそこそこに、ジャンル不問のフェス向けのバンドサウンドに仕上げてきた最新作。こういう路線は今の時代、大いに支持されるだろう。


METALITE - Heroes in Time (2019-11-08 17:33:04)

国内盤はRubicon Musicからリリーされている北欧のメロディアスHM/HRバンドの1st。メロディアスと言っても今風のデジタルサウンドを大導入、EDMのリズムを取り込んだダンサンブルなビートとハードなバッキングを主軸に、真面目そうな女性シンガー、エマ・ベンシングが素直な歌唱スタイルを披露する、新時代の予感を漂わせるデビューアルバムですね。
所謂、YouTubeで話題をかっさらい大きなディールを獲得したという今風の話も納得の音楽性なのだが、聴きやすさの代わりにエッジ不足かつロックなエナジーが少々不足気味なのが喰い足りないと思わせるのだが、昨今のブームを考えると、当然といも言える音楽性であり、わが国でもBABYMETALが世界中を席巻しているのだから、こういうスタイルが新時代のメタルとして牽引するのも、ありなのではないだろうかと思っている。
ハッキリ言ってメタルを初めて触れる人には親しみやすく、テンポの良い楽曲が続くので、メタル偏見自体をふっ飛ばしてくれる可能性がある。個人的には全然オシャレすぎで、熱くなる事は無いのだが、それでも、この壮麗な北欧風味満点のミンティアサウンドの煌びやかなオーロラ感は、歌モノロックを愛する身としては付き合う事は可能だ。
それに当時はバッシングにあったがEARTHSHAKERもトレチュアリーでは、大胆にシーケンスを導入し、多くのファンに刺激を与え、度肝を抜かせた事だろう。早すぎた変遷とも言われる音楽性だったが、今となっては、地上を賑やかすメジャーバンドの一つのスタイルとして定着しているらしいから、世の中も随分と変わり多様性を帯びたものだと思っている。

ダンサンブルな楽曲の合間にNIGHTWISH風の⑩みたいな曲を、しっかりと放り込んでくるので、ズッシリと重く響くへヴィさや、ハードなダイナミズムさよりも、テンポの良さは、疾走感を大切にする人には大いに需要があるでしょうね。
メタルとデジタルビートの融合、もう当たり前の時代が来ているんだな。


NAZARETH - Play 'n' the Game ★★★ (2019-11-06 17:09:14)

どういう訳か日本では絶望的に人気の出ないバンド。はやり島国日本人の感性に、この泥臭いブルース系のハードブギーは受けないのかといつも思うのだが、当時のメディアやDJの口に合わず、その人たちを追いかけるしかない、ステレオタイプの人たちの影響も有って、今だにマイナーな存在なのだが、海外では伝説的なバンドであり、今なを現役であるのが凄い(歴史があるだけにメンバーは変わっている)
個人的にはロックと言えば、真っ先に思い出される音であり、シンガーであるダン・マッカファーティーの個性豊かな塩っ辛い歌声が似合う、ご機嫌なロックナンバーが目白押しと相変わらずのスタイルですが、カヴァーは4曲も有り、いずれもアメリカと方向性にライトさが加わってはいるものの、変えようもない英国の血が、独特の湿り気と憂いを楽曲に帯びさせているので、ファンなら安心して手を出せるでしょう。
売れ線志向に媚を売りきれなかった生粋のロッカー達、その不器用さが哀愁を纏い、ザラついたロックを鳴らしています。適度な洗練度は、売れる為に必要な要素。男の哀愁を背負い込んだマッカファーティーがいれば、多少の拡散傾向になった音楽性でも、違和感なく聴かせる個性とカラーが凄い。ナザレスはナザレスなんですよね。


DAMNED NATION - Road of Desire ★★★ (2019-11-06 16:55:30)

オープニングからカヴァーディル風の唄い回しが似合う北欧風へヴィロックで幕開け、質の高い演奏と唄によって、この古典的な楽曲を安心して聴く事が出来ます。ベタなんでヘタを売ったら大変ですからね。時代は1999年、そういう背景を想像して聴けば、こういう路線と言うか音楽性に落ち着くのは当然とも言え、先人達の影響を自分達流に解釈した楽曲は、どれもが手堅く、そして練り上げられており、安心して聴いていられます。新鮮味の薄い楽曲なのにフレッシュ感が漂っているのも魅力的、こじんまりとした感もあるけど、百花繚乱、色鮮やかでバラエティに富んだ楽曲を自分の好みで楽しんで聴けるのが今作最大の売りでしょう。また、最終的に、北欧風味満点の爽快感で包んでいるのも、マニア筋を喜ばせる要因でしょう。なんでもミント味にするんだなと思う方は止めた方が良いですけどね。


TYSONDOG - Crimes of Insanity ★★★ (2019-11-06 16:42:21)

遅れてきたNWOBHMと呼ばれる1986年リリースの2nd。鋭角的に切り込まれるリフワーク、ド派手に打ち鳴らされる攻撃的なリズム、元気一発のコーラスワーク、そして過激な演奏に負けない熱を帯びたクールヴォイス、このプレスラッシュと呼べるスピーディーかつメロディのある楽曲は、まさにNWOBHMの流れを明確に受け継いだものだろう。NEAT謹製の不明瞭な音質が、なにもかもをブチ壊している感はあるのだが、その生々しい粗さが聞き様によっては、過激さを倍増していると取れなくもないのがポイントだろう。
レーベルの性質を理解している身としては不満はもはやないのだが、初見の方は相当驚くでしょうね(このバンドに限らずね)前作から比べると、落ち着きを払ったヘヴィネス路線も増え、全てにおいて成長の跡も見受けられる、それだけに今作を残して解散したのは残念で仕方がないのだが、英国の憂いを纏ったパワフルサウンドをお探しの方なら、大いに喜んでいただけるだろう。⑤のSchool's Outはアリスクーパーのカヴァーです。


ANGEL WITCH - Angel of Light ★★★ (2019-11-04 19:21:34)

伝説のNWOBHMバンド、衝撃のデビュー作が及ぼした影響、そのおかげでマニア筋から神格化されるような一枚だったのだが、個人的には、2枚目も3枚目の大好きで、80年代当時でも時代錯誤なサウンドを提供してきた彼ら、今作は正に往年のNWOBHMから連なる系譜を踏襲したエンジェルウィッチサウンドを披露。もやっと霞の掛かったようなくぐもった音色、煮え切らない歌メロと歌声、そしてウネウネと絡むリフワーク、どこか妖しげで淫靡な空気感すら漂わせる、魔術的響きにグッと引き寄せられます。
前作よりも焦点を絞り、金看板となる昔のスタイルを引っ張り出しただけに、これでコケるわけにはいかないのだが、果たして今の若い人に、素直に走り出さないサウンドがどう届くのか、チョイと不安材料はありますが、このバンドに求めるのは、そんな即効性とは違う、禍々しくも美しいダークテイスト満載の英国式の様式美サウンドと言えるでしょう。①④と過去のマテリアルを正式に音源として残したと言うのか、リメイク的なニュアンスでの復活も今作に華を添えているでしょう。

それにしてもバンドのカラーを持っていると言うのは強みだ。この音一つで彼らの世界観に引き込まれるし、なんだかとても懐かしい気持ちにさせる。そこの望郷は無い、あるのはロックのもつ刺激と背徳感、悪魔的な詩が踊る闇のサバト、今作においても枯れる事無く、そのイメージを見事に膨らませているのが凄い。


ANGUS - TRACK OF DOOM ★★★ (2019-11-03 20:39:29)

オランダ産の正統派HM/HRバンドの1st。パワフルかつクリアーな歌声はハードなバッキングに負けじと対峙する頼もしい姿に、これぞ正統派と言いたくなりますが、奇をてらう事のない鋭利で硬質なサウンドは、まさにへヴィメタルの醍醐味を堪能させると言うモノ、濃厚にて密度の濃いサウンド、NWOBHMからJPにメイデンまで王道を押さえ、アグレッションを加味する展開も、古典サウンドを愛する方ならツボでしょうね。
二匹?のケンタウロスが競い合うように走るジャケットワークを想起させるようなヒロイズム溢れる音楽性もへヴィメタルには良く似合います。アタッキーなドラムと良く動き回るベースの二人から生み出される極上のグルーブ、芸達者なギターは鮮烈なプレイで聴き手を魅了、派手さに逃げない堅実さが逆に魅力となり、この正統性の強いへヴィメタルサウンドには良く似合う。アコギも挟みドラマ性と高めているのも印象的だ。またエッジの効いたギターがザクザクと刻みながら剛毅に突き進むパワーメタルナンバーもガッチリとハマっていますよ。


BLOOD OF THE SUN - Death Ride ★★★ (2019-11-03 19:44:12)

マルチプレイヤーとして活躍する元COVENANTのデイヴ・グライダーとドラマーのヘンリー・ヴァスケズらが中心となり結成されたUS産のガソリン臭さをまき散らす、図太いハードドライヴィングサウンドが売りの古典HM/HRバンドの3枚目。
今回はヴォーカルにデレク・セント・ホルムズを迎え準備万端、危険な香りが充満する古典ロックと、酒臭さに胸焼けする濃厚なハードブギー、それらを牽引するのがデイブの、歪みまくったへヴィなハモンドの音色、そして濃密な絡みを魅せる酔いどれリズムの強烈なグルーブ、そして二本のギターが噛みつくほどに獰猛な雄たけびを上げ弾き倒されるのだから、これはロック好きにはたまらんものがあるでしょう。狙ったように、先人達からの影響も散りばめた楽曲とプレイは、今のご時世、逆に新鮮に耳に届くから不思議なものです。
ロックの原点たるブルースの濃度を高め、サイケデリックを隠し味に、豪胆だが綿密に作り上げたガレージロックの旨味は相当なものに仕上がった。このサウンドをクリアーに希釈しているのが、デレクの歌声のおかげだと言うのが面白い。これでシワガレ声の酒焼けヴォイスなら狙い過ぎだもんね。


LAST AUTUMN'S DREAM - A Touch of Heaven ★★★ (2019-11-02 18:49:26)

この時期と言うか晩秋の季節に思い出されるのが、このバンドですよね。バンド名に相応しいと言うのか、そのイメージを壊さない哀愁度の高い叙情的なメロディーを軸に、エッジの効いたハードサウンドが絡む泣き、郷愁を擽る哀メロの数々にキュンとなりますよね。
老獪なテクニックを駆使し衰えを感じさえないどころか、貫禄を漂わせるミカエル・アラードソンの歌声、アンディ・マレックのギターも、必要以上に弾く事はないのだが、随所に存在感を見せつけるパートがあり、このバンドの充実度を感じますね。ポジティブな気持ちになるポップフィーリング、甘口なメロと唄い回しなのに、ホロリと泣き笑いさせるのが、今作の魅力でしょうね。明るい泣かせの叙情派サウンド、このバンドが行きついたのが、このスタイルなら大正解でしょうね。
マンネリ化を押さえる為なのか、それとも新たなるパートナーとして迎え入れたのか、ドラムのジェイミー・ボーガーのソングライティングの面でも活躍と、新たなる血の導入は正解でしたね。


RED ZONE RIDER - Red Zone Rider ★★★ (2019-11-02 18:36:16)

ヴィニー・ムーア、ケリー・キーリング、スコット・クーガンの三人によるロックプロジェクトチーム。ケリーのソウルフルな歌声を生かしたブルージーかつソリッドなへヴィロックサウンドを披露、パッと聴けば一頃大流行の70年代型の懐古主義サウンドとなるのだが、ヴィニーのテクニカルなプレイもサラリとねじ込むサウンドは、現代的な要素も嫌みなく盛り込み、無理無駄のない理にかなった音楽性に落ち着いている。無難な作りの楽曲が多いため、興奮度は少なめかも知れませんが、この自然なスタイルの中で奏でるスピーディなリックの数々、無駄に走らないブルージーなスタイルとの相性も抜群に良く、ヴィニーの新たなる魅力を発見したと言えよう。こういうストレートに打ち出されるロックな感性を大切にしたサウンドと言うのは、今のご時世、実に新鮮に聴こえましたよ。


X-WILD - Savageland ★★ (2019-11-01 22:36:15)

アルバムをリリースする度に個性を見出してきた彼ら、今作はオーセンティックなHM/HRサウンドを下地に、自分達が参加したバンドのフィルターを通す事でバンドの流儀を見出している。こうなると1stのRUNNING WILD丸出しの、ロックン・ロルフに対するあてつけアルバムがネガティブなイメージを植え付けてしまった事が悔やまれる形になったのは残念だ。
個性と共に音楽性の幅も広げた感はあるのだが、こうなると、この表現力に乏しい塩っ辛い声もマイナスにと、色んな意味で欠点を露呈する形のなったのは因果なものだ。とはいえラストアルバムとなる今作までビクターは面倒をみたのだから、日本人好みの頑固一徹ジャーマンスタイルを踏襲しているので、その筋のマニアには需要もあるでしょう。
一旦気持ちをリセット出来る今だからこそ、再挑戦する価値はあるかも知れませんね。


CURVED AIR - Air Conditioning - Vivaldi ★★★ (2019-10-28 14:35:56)

このバンドを代表する一曲でしょうね
開始して1分少々でヴァイオリンがの独奏パートに流れるのだが
これがスリリングかつ鮮烈なインパクトを残す
その後も実験的な要素を孕んだノイジー系の電子音もねじ込み
70年代初頭ならではの前衛的なスタイルは聴く者の感性に突き刺さるでしょう
後半に向けてヴァイオリンが先導するスリリングな展開
その切迫感に手に汗握る興奮を覚えるでしょう
どういう訳か秋も深まる季節になると無性に聴きたくなる一品です


SAVAGE MASTER - Myth, Magic and Steel ★★★ (2019-10-28 14:21:06)

日に日に肥える女性シンガー、スティシー・サヴェッジを擁するUS産のカルト系メタルバンドの3枚目。彼女以外のメンバーは黒頭巾をすっぽりと被りステージに佇むと言う背徳感MAXのサタニカルな演出を施すバンドですが、今作も今までの流れを踏襲する古典HM/HRサウンドを披露。いい意味でのメタル同好会的な匂いに、メジャー流通の洗練されたサウンドが主食に方には、マニアック度が高めかもしれませんが、このシケシケ感もある正統派サウンドは、手作り感の強めだった今までと比べると平均的な水準がアップ。灰汁も薄まり聴きやすくなってきましたね。
ギタープレイ一つとっても懐かしい空気が漂い、派手ではないが堅実なプレイは、時には邪気を払い旋律にまとわりつき、妖艶な魅力を放っています。スティシーの歌声もけして邪悪系ではないので、このギターの音色との相性は、このバンドの魅力の一つなんだろう。いい意味での隙間の空いたバッキング、いなたさのあるリズム、この独特の空気感を生み出す生々しい演奏は、黒ミサメタルヴァージョンとも言える雰囲気もあるのだが、今まで以上にキャッチーさも感じられ、初見での視聴感は高い。しかし、この手のサウンド特有の欠点、古典的であるが故に飽きのサイクルが早めに訪れると言う点はあれど、なんとなく見た目からくる嫌悪感を薄めているので、初めてこのバンドに触れる方には丁度よいでしょうね。
自らのルーツとなる古典メタルへの憧憬、その思いが根底に流れるUS産サタニカル系正統派サウンドは、一定の需要のあるサウンドだと思いますよ。ただパンチの効いたアグレッションを求める方には不向きでしょう。


VIOLENT DEFINITION - Life Sentence ★★★ (2019-10-28 13:51:33)

ある意味、ヨーロッパ随一のスラッシュ大国と過言ではないギリシャのバンドによる1st。これが実に爽快感のあるピュアスラッシュを披露。ハイピッチのシンガーもしっかりと唄い込み、噛みつくように鋭くシャウト、スラッシュシンガーかくあるべきなハイテンションヴォイスを轟かせます。緩急自在のギタープレイもスリル満点、豪快にうねったと思えば、キュイーンと高速プレイで魅了、そのスリリングな展開に前のめりにさせられます。爽快感を担うのは、このスパーンとキレたドラムも重要、荒々しいエネルギーが加速しながら突っ込んでくる楽曲構成と相まって、スラッシュメタルの醍醐味を堪能出来る。
その要因となるのが、過激なのにキャッチーさがあるという事、またスラッシュ全盛の時代を踏襲したスタイルは単なる懐古主義では終わらない、バンドとしての真摯な姿勢、この音に対するリスペクトが感じられるのが強み。


X-WILD - Monster Effect ★★ (2019-10-26 19:14:25)

このバンドの性質を考えると致し方ない事なのだが、オープニングからRunning Wild感が丸出しの為に、本家を知っている人がどこまで許容できるかが全てだろう。誰もが、本家の出涸らし感を感じずにはいられないのだが、好きモノにはたまらない重厚なジャーマンスタイルのパワーメタルサウンドを貫いているので、モノマネだろうが、俺はこのサウンドが大好物なんだと溺愛指数100%の猛者なら大いに楽しめるでしょう。
流石のワタクシも1stは許せたが確信犯と言うには、やり過ぎな2枚目は少々厳しく映る。しかし、アルバムを通して聴けばアラばかりが目立つのだが、好みで数曲選び聴けば、このバンド特有の魅力たる、剛毅なパワー漲るメロディアスなハイエナジーサウンドに血も滾りますね。

本家同様、もう少し歌えるシンガーがいれば、このバンドに対する評価も変わったでしょうね。シンガーまで、ロルフの小型化じゃあシャレにならないよ。


LEE AARON - Bodyrock ★★★ (2019-10-25 01:20:08)

確かな歌声と画になるヴィジュアルを併せ持つも、イマイチ弾けられない本格派の女性シンガー、リー・アーロンの歌モノ路線アルバム。前作の流れを組むメインストリーム寄りだが、安直なポップロックをやらないのが彼女の魅力なのだろう。それが逆におモロないと言われる要因なのだが、カナダのバンドらしい生真面目さと大らかなグルーブ、それらはけしてアメリカで受けないような要素ではないのだが、新鮮味が薄いのは間違いない。
また、島国日本においては、この平坦なグルーブとメロセンスは、そんなに愛されるものではないので評価も厳しいものへと繋がりますよね。そんな批評が多い中でも、アーバンな魅力漂うハードサウンドの⑤なんて、彼女の骨太の歌声と売れ線志向もハマり、これくらい唄って貰わないと困りますよねという、聴き手の不満の残さないパフォーマンス力を常に持っている実力派だけに、決定打が欲しいと言わざるおえないだろう。難しい問題ですよ。
こうして時を経て向き合えば、堅実なサウンドは、軟弱に成りきれない彼女のロッカ魂が脈打っているようで、味わい深いものに変換されています。PVも作られた⑥⑨⑩、お約束感満載の⑦など、後半にかけても息切れしないのは、今作に賭けたレーベルサイトの意向の表れだろう。


CLOVEN ALTAR - Enter the Night ★★★ (2019-10-23 17:00:47)

Blazon Stone、Rocka Rollasなどで活躍するマルチプレイヤーのCEDことセデリック・フォースバーグが立ち上げた、へヴィメタルプロジェクトチームの2枚目。今回もシンガー以外は自分で担当するメタルオタクぶりを発揮、おまけに音楽性も古臭いトラディショナル志向、彼が関わるバンド全部そうじゃんなのに驚かされるが、もう少し捻りと言うのか?今の時代を意識したらと、コチラが気にかけるくらい徹底したオールドスクールサウンドを現代に再現している。
テクノロジーの発達以外、彼には目が入らないのでしょうね。正直、彼が携わる他のバンドとの違いを問われると近似値過ぎて困るのだが(大橋巨泉が石坂浩二をヘイちゃんと呼び、ケント・ギルバードにニアピン賞を授ける姿が思い出される)、好きモノにはたまらない安心安定のブランドとして、期待を一ミリも裏切らないと言うのは素晴らしい事です。
究極の同人誌メタル的な立ち位置の為に、向き合い方は人それぞれとなるだろうが、古き良きトラディショナルサウンドをお探しの方には、ピッタリのサウンドでしょう。遊びも少なく類型的ですので飽きも速いのですが、その分、即効性も高く、ドがつく程の、直球古典サウンドが聴きたくなったら、真っ先に脳裏に過る様な毒性があるのも魅力の一つでしょう。
古いタイプと侮るなかれな、それ以上の点数でも以下でもない100%75点満点の今アルバムは傑作ですよ。


HOBBS' ANGEL OF DEATH - Hobbs' Angel of Death ★★★ (2019-10-22 12:41:00)

最近、このバンドの主役たるピーター・ホブス氏の訃報を聴かされた。取り立て思い入れの強いアーティストでもないが、青春時代のワタクシに気合いを入れ続けてくれたスラッシュサウンド、その猛者たちに比肩するクオリティと、ファニーなキャラが魅力のピーターさん、2000年以降は本格的な復帰も果たしていただけに、残念ですね。やはり志半ばと言ったところなんだろうか?そういえば初来日の話を聴いたが、無理してでも見ておけば良かったなぁと、今更ながら悔恨です。

ジョージ吾妻氏から手厳しい批評を喰らい、日本では目が出なかったピーターさん、そんな批評を参考程度と理性的な判断が出来る方なら(どうどうと点数をつけると言うのは難しいですよ)ここで聴けるイーブルかつスピーディーな割と直球多めのスラッシュサウンドにグッと引き寄せられるでしょうね。皆さんが指摘するように初期SLAYERに通ずる音楽性の為に、やや類型的に感じるかも知れないが、欧州スタイルに通ずる情緒や、スピードで誤魔化さないドラマ性を加味した楽曲は、どれも聴き応え十分、その個性と模倣もしり上がりに練り上げられる印象もあり、聴き終えた後の満足感は、名もない食堂で大あたりのランチに出会った気分だ。

こうして時を経て耳を傾けると、彼がいかに真っ当なスタイルのへヴィメタルに取り組んでいたかを確認できる、硬質なリフワークにメロディックなソロ、鋼のへヴィグルーブを従え、獅子が咆哮すると言うスタイルは、ある意味メタルの基本と言えるでしょうね。初期衝動を擽る王道サウンドの旨味。昔、聴いていたよりも、最近の方がずっと魅力的に感じるというのは不思議なものです。


LEE AARON - Lee Aaron ★★★ (2019-10-21 19:03:40)

元祖メタルクィーン、リー・アーロン。中々成功に結び付かない中で、今作はガラリと色気を武器に勝負。麗しのビジュアルとセクシーさにを前にしたジャケットから、売ろうとしてんなぁと思いますが、音楽性も80年代中期らしい、メタルは売れるという機運に乗ったような、軽やかな歌モノロックへと変遷、彼女の野太い歌声とメロディアスなサウンドの相性はけして悪くなく、むしろソフトケイスされた中に、芯となるロックな楔が打ち込まれたようで、彼女の声が逆に耳に残る仕様となった。分厚いコーラスワークもハマり、洗練された印象も強い。
とは言え、リー・アーロンと言えばこれと言える、顔となるような楽曲があるのかと言われると微妙な空気が流れる為に、イマイチ強く勧められないのが難点だったりするのだが、ギリギリの所で踏みとどまった彼女のロック魂が、歯止めとなったのだろう。軟弱になり過ぎない洗練された歌モノロックとしては、十分に合格点を献上出来る仕上がりです。個人的にはこれくらいリラックスしている方が彼女の歌声もストレートに響いてきて、ハードなサウンドの合間に聴くと、リセット出来るから重宝するんですけどね。


FAST KUTZ - Burnin' ★★★ (2019-10-20 22:53:08)

遅れてきたルーキーと呼びには、遅しに失した感のある後期NWOBHMを代表するバンドの1st。オリジナルは1987年ですからね、そりゃ時代遅れですよ。
勢いよく疾走する①の展開とパワーに、英国メタルマニアなら鼻血も出そうになるくらい力が入りますよ。ギターものっけから全開に弾き倒し牽引、分離の良くない音質の悪さのせいで良さが伝わらないがリズム隊もパワフルだ。エネルギー全開、そしてドラマ性を配したメロディアスなオープニングに掴みはOKでしょうよ。
その後もパワフルかつメロディアスが目白押し、時代が時代ならもっと認知されてしかるべき音楽性だと思うのだが、今作を残して消えてしまったのが痛い。レーベルもEbony Recordsでしょう、大したフォローもなかったと思いますよ。

このバンドの中心人物はBlack Rose、Holland、Hammerと渡り歩いたケニー・ニコルソン、マニアなら、この名前にニヤニヤとするでしょうね。それだけに音楽性も保証できると言うモノですよ。オッサン声のシンガーも、いかにもNWOBHMだと言いたいが、昨今のオシャレなメタルを主食としている人には、チョイと厳しいかも知れません。

しかし、このクオリティと音楽性は、NWOBHMマニア以外の耳にも十分に届く魅力が満載、煮え切らないメロディを力技でねじ伏せる剛腕ぶりにグッと引き寄せられますね。


WYTCH HAZEL - II: Sojourn ★★★ (2019-10-20 22:38:20)

イギリスのランカスター出身の真正NWOBHMサウンドを継承するバンドの2枚目。この音のリリースが2018年と言うから驚きであるが、彼らは単なる懐古主義ではなく、この時代のサウンドを本気でリスペクト、そして現代のフィルターを通して、無理無駄のないスタイルで鳴らしているから、所謂NWOTHM群の寄せに行ったとは違う強烈なアイデンティティを誇示しているのが強い。儚くも美しい幽玄な音色、英国的なフォーキーさも絶妙に絡み、英国のバンド特有の湿り気と哀愁美が聴き手の感性に切り込んできます。
好きモノにはたまらない伝統を継承する音楽性、扇情的な泣かせもフレージングを従え必殺のハモリを武器に迫ってきます。例えるならWishbone Ashのメタルヴァージョンと言えば良いのか、その基本的な英国トラッド、フォーク路線に重きを置く音楽性など、近いものがあると思いますよ。懐古主義で片付けられない本気のレトロサウンド、その旨味はマニア以外にも訴求するだけの魅力はあると思います。


SCREAMER - Hell Machine ★★★ (2019-10-17 16:56:51)

専任シンガーのアンドレアス・ウィクストロームを加え5人編成へと生まれ変わった3rd。メンバー変更も音楽性に大きな変化もなく、古き良くHM/HRサウンドの血脈を守る若き勇者は健在だと言う事をアピールしています。曲数も無駄のない8曲、おおよそCD時代とは思えない、スッキリとした作りとなっているが、これは現在の主流だろう。音源はダウンロード、あるいは定額制の時代だ、そんな世の中で、無駄に詰め込む商品に価値など見出せないだろう。
焦点を絞り込んだ音楽性は視聴感も抜群、メロディアスかつハードなサウンドは、突出した派手さやスピードはないが、『これだよこれこれ』とマニアをニヤつかせるお約束の展開を軸に、安心安定のブランド力を発揮しています。TVではないが寄席では確実に笑いを取る、実力派芸人のような安定感、力任せで聴かせない技巧とまとまりに一日の長を感じずにはいられません。先人達の足跡を辿り、その由緒ある血脈を堅守する王道スタイル、その復権と維持に力を注ぐように、わき見も振らず、この道を突き進む姿に好感を持ちますね。前作よりも、キャッチネスさを増量させたのも正解だろう。狭い世界の中で間口を広げてきたなぁと思わせたのも良いアイデアですね。


SCREAMER - Highway of Heroes ★★★ (2019-10-17 16:38:47)

スウェーデンのトラディショナルHM/HRサウンドを信条としたバンドの4Th。前作から専任シンガーを加入させたのですが、その彼が若かりし頃のジェフ・スコット・ソートを思わせる歌声を披露。北欧風味と言うよりは普遍的なスタンスに立つ、正攻法で迫る王道サウンドとの噛み合わせも当然ながらシックリくる逸材、バンドは強力な武器を手に入れた事になります。

とにかく期待を裏切らない展開、それはド派手な仕掛けもなく、過激さやスピードが売りでもない。昨今のラウドミュージックとは一線を画す、古臭いものだろう。ただ、このバンドはオジサン、おばさん相手のトラディショナル商法ではない、本気で、このスタイルを尽き詰め継承しようとする、ガチンコメタルバンドなんだと認識できるギミックなしの本気の音が詰まっているのだ、攻撃性を孕んだメロディアスメタルサウンド、もっと臭いメロやパワフルさを出せば、日本のレコード会社とも契約出来そうな空気すら漂うのだが、それをやっちゃお終いなんですよね。この絶妙な空気感、このアレンジセンス、リフ、ソロ、メロディと、付け焼刃のパクリ芸では到達出来ない熟練の技を感じずにはいられません。マニアご用達の
High Roller RecordsからスウェーデンのThe Sign Recordsに移籍してのリリースですが、杞憂におわりましたね。古き良きスタイルを堅守する、北欧の若き勇者の躍進に今後も目が離せません。


Panzer X - Steel Fist ★★★ (2019-10-16 18:44:51)

VADERのギタリスト、ピーターことPiotr Wiwczarekが2006年に立ち上げたサイドプロジェクトの6曲入りのEP(2曲カヴァーだがJPのRiding on the Windはクレジットされているも実際は収録されていないという商品)。ポーランド出身のミュージシャンが脇を固めるのだが、これが熱い。もう一人のギターは、後にVADERで共に活動するSPIDERことMarek Pająk、シンガーにポーランドの重鎮、TURBOやCETIで活躍したGrzegorz Kupczykを招聘、ベースはMr.Xと表記され謎だが、ドラマーはポーランドのデスメタルDecapitatedで叩いている、若手のVitekことWitold Kiełtykaという布陣は、名実ともに魅力に溢れるメンバーとなった。

オープニングの『Panzer Attack!!!』の勇猛果敢に突撃するパワフルな疾走ナンバーの登場に、まずは掴みはOK、高速ソロの前に奏でられるフレーズは、きっと意味のあるものなんだろうが、知識がないので分からない。タイトルに関係あるのかな?
ドイツの重戦車隊だもんねPanzer Xって。

ズンズンとへヴィなリフが刻まれる表題曲へと流れ、ロックンロールな『Feel My X』へと進む展開は、明らかにVADERとの差別化を図っており、サイドプロジェクトのしての意味合いを強くアピールする事に成功。インストナンバーから、最後はThe Rolling StonesのカヴァーPaint It Black(オリジナルをリスペクトする忠実なるカヴァー)と流れ幕が閉じます。
音楽性に大きな裏切りやがない分、VADERファンにとっては、普通の事をやったにすぎない為に面白味は少ないだろう、しかし、これも主役たるピーターのバックボーンとして受け止めて頂ければ大いに楽しめるでしょう。擦れ合うメタリックな音色は十分に攻撃的ですよ。こうして真っ向勝負のメタルを叩きつけてきたバンドにとって、スパイダーの存在感もさることながら、若いドラマーの活きのいいドラミングがバンドサウンドを後方支援、ガンガンと突きあげる事で攻撃性も増している。そして歴戦の兵である、Grzegorz Kupczykの堂に入った歌声が、より高みに導いているのが印象的でした。

ただし、このプロジェクトはドラマーが交通事故による不慮の死を迎え活動は休止。EPを残したのみとなった。このツインギターコンビの旨味を、また堪能したいなぁ。


GAMMACIDE - Victims of Science ★★★ (2019-10-16 10:31:42)

アメリカはテキサス産の爆音スラッシャーの1st。New Renaissanceのコンピ作に顔を出しスラッシュマニアには知られる存在の彼フルアルバムに漕ぎ着けたのはチョイとした話題だったが、それ以上に話題になったのはゴット伊藤氏から、厳しい内容のレビューを頂戴した事により完全に殺されたと言う方が強いだろう。
整合性よりも荒々しいミックスの為に、シャープさに欠けると言われるが、演奏力の高さがそんな不平不満を木っ端微塵に吹き飛ばす、このざらつき感こそテキサスじゃないのかと、逆に好意的に受け止めたくなりますね。直線的に進むパワーを秘めたスラッシュサウンド、特にタイプの異なるギターが互いを意識し高め合うように、個性をぶつける事で独自性をアピール、バイオレントな作風を相まって、スカッとした爽快感すら漂うから不思議。切れ味鋭い斧をブン回す豪胆さ、手数の多い激しいドラミングとブンブン唸り上げるリズムプレイも、凄みからくる殺気が漂い、ただならぬ緊張感を生み出している。
高速ギターが駆け回るソロなど、過剰な程のスピードに逃げないからこそ、グッと構成力の高みに唸る。画一的と批評されたのが信じられないほど、先の読めないドラマ性を孕んだ爆音スラッシュサウンドとなっているので、マニアなら満足して頂ける要素も高いでしょうね。
猛るバイオレント、ツインギターの構成力の高さとテクニック、プレブラストビートも炸裂する豊かなバリエーションも持つ攻撃性、吐き捨てタイプのシンガーではないので、聴き手を襲う徒労感も皆無、いい意味での乱暴な作り方が功を奏したスラッシュマニアなら安心して聴ける名盤でしょう。

アルバム一枚で解散&雑誌の手厳しいレビューの為、日本では完全に殺されたバンド。おまけにマイナーなレーベルからのリリースの為に、再発もなく完全に忘れ去られたバンドだった。ワタクシ自身も昨年Bandcampで、彼らのシングルを発見するまで忘れていた、こんなに素晴らしい内容だったのに、こういう失念の仕方もあるんだなぁと恥じております。


TIGERTAILZ - Bezerk ★★ (2019-10-15 19:17:56)

アメリカの音楽シーンを躍進したL.A勢、そのスタイルを完全に取り込んだ音楽性でデビューを飾った英国のバンドによる2枚目。瀕死の傷を負い、もはや風前との灯となる英国のハードシーンの起爆剤になるべく、ド派手な見た目とノリの良い音楽性で勝負を掛けていたのだが、今作はプロデュースにクリス・タンガリーディスを迎え、前作のお楽しみ感を残しつつも、よりメタリックなアプローチをとる事で、男らしさと言うかハードな男前感を出す事で軟弱さを押さえる事に成功。それでありながらも女子供に受け入れられるテイストを残そうと苦心の跡もあり、絶妙なバランス感覚で聴かせようとしているのは好感が持てる。シングルカットされた⑤の後押しも有り、彼らとしては最も成功したと言われるアルバム。
正直言うと④のあからさまなエアロスミス感に閉口してしまい、その後のありがちなバラード⑤と続く構成に、何となく拒絶反応が出てしまい、まともに聴く事が出来ないのですが、年齢を重ね今となっては、なんか聴いたことあるぞ感も、このバンドのお楽しみ方と言う事で逆に楽しんでいます。
キーボードのドン・エイリーを迎え、コーラスには、あのピーター・ゴルビーの名前を発見出来たりとマニア筋をニヤつかせるサプライズもあり、角度を変えながら耳を傾けるのが一番なんでしょうね。でも潔癖な方には厳しいと思いますよ。


TIGERTAILZ - Bezerk - Noise Level Critical (2019-10-15 19:05:17)

楽しそうにやってるけどエアロスミスに訴えられるぞと心配になるヤツです。


Hell Bound - Betrayer of Alley ★★★ (2019-10-15 02:45:18)

80年代の中頃まで活動していた金沢のバンドが復活。2019年の8月に5曲入りのEPをリリース。かつての音楽性を知らないのですが、ハイトーン系のシンガーの歌声やガツンガツンと迫りリズムプレイ、ダークテイストが漂うメタリックなギターと、実に真っ当なスタイルのHM/HRサウンドで勝負、マイナー調のスタイルは、英国よりのスタンスに重きを置いているが、少々日本的な解釈が強めの為に、臭いなと感じる面もあるのだが、初期JPにも通ずる重さと威厳めいたものを身にまとっており、真剣勝負のサウンドに妙な色気などなく、真摯にメタル道を突き進む姿に好感が持てますね。