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BITCHES SIN - Predator ★★ (2020-03-24 14:56:21)

NWOBHM真っ只中の80年代にバンドは始動、メンバーは流動的ではあったが、ツインギターのピートとイアンは兄弟という間柄、コンピ作に参加やデモにシングルと音源をリリース後、満を持して世に放たれたのが今作です。NWOBHMマニアの間では外せないグループなのだが、オープニングからけむったいロックナンバーで幕が開け、次がパンキッシュなスピードナンバーも、湿り気たっぷりの英国サウンドとは一線を画し出だしに驚いた。間髪いれず②から③へと流れるのも悪くないんだが、もう少しサウンドメイクに重さとエッジが立っていれば、この暴走感も迫力が増すものの、ダイナミズムが殺がれた軽めの5人編成とは思えないすっからんの軽いミックスに、中々のめり込めません。
しかし、後半に進むにつれ、英国特有の憂いのなるメロディやギターサウンドを飛び出し、この突き抜けないどんより系を演出するもっさりグルーブも、英国的だなぁと感じ沸々と燃え上がるものを感じます。
個人的に、楽曲云々ではなくミックスが好みでないために、熱心に聴けないのだが、パンキッシュな加速度と、往年のハードサウンドの融合、軸となる伝統的英国ロックの系譜、それらを十把一絡げまとめ上げたような雑多感も、デビュー作ならではの味わいなんだろう。


ROCK GODDESS - Young and Free - Love Has Passed Me By ★★★ (2020-03-22 17:25:23)

妹のジュリー・ターナーがリードヴォーカルを務めるアコースティカルなバラード
彼女の可憐な歌声がマッチしています
箸休めにピッタリです


ROCK GODDESS - Young and Free ★★ (2020-03-22 17:19:08)

ジョディ&ジュリーのターナー姉妹を中心に女性のみのトリオ編成バンドによる3枚目。前作の流れをより推し進め洗練度もアップ。全般的に軽めのサウンドに方向転換させられており、なんだか女子プロレスラーがリング上で歌っているシーンがダブるのだが、ジョディのドス効いたスケ番ヴォイスは健在、タピオカ店に事務所総出で乗り込むそうな勢いは失っておらず、ロックバンドとしての矜持を保っている。ギターもシャリシャリしているし、リズムセクションも、このサウンドなら、やむなしなミックスに終始させられており、これで華やかになればよかったんだが、思いのほか地味でオッサンくさい空気感が出ており、中途半端さがハンパない。よく言えば堅実にまとまったんだろうが、メンバー間で、この方向性に素直になれなかったのが要因だろうと推察しますね。これもポール・サムソンが絡んでいるからオッサン臭いんだと勝手に決め込んでいるんですが(笑)、こうして改めて耳を傾けると、厚みを持たせたコーラスワークも軽めのサウンドメイクも、必然性があり、いい意味で尖った感性に女らしいメイクを施し洗練されたと言えよう。
このバンドが、この路線に進む必要があったのかと言えば、それまでなのだが、慣れてきた③以降グングンと惹き寄せられましたね。


ASTERIX - Asterix ★★★ (2020-03-20 14:05:36)

LUCIFER'S FRIENDの前身として有名なバンドによるデビュー作。メンバーはLUSIFERに引き継がれるが、ここではトニー・カヴァナーとジョン・ロートンが鎬を削るツインボーカル体制を敷いている。タイプの違う二人が分け合う曲もあるが、多様性のある楽曲の中で互いの技巧をぶつけ合い切磋琢磨、ガチンコ勝負の行く末を追いかけるのは実に新鮮であり耳を惹くポイント。
欧州的哀愁美とサイケな色合い、そして凛とした佇まいから発せられるアートロックな感性、どこか高尚なのに、突き放すわけではない親しみやすさもあり、ファンキーなグルーブなど、この時代ならではの豊かな感性に支持されたアルバムは聴きごたえ十分。クールなのに熱量の高い濃厚なサウンドを楽しめる。

今作一枚で消え音楽性はLUCIFER'S FRIENDに継承されるのだが、ここではギターが前に出ており、ハモンドオルガンの嵐ではなく軽快なピアノで彩を添える仕様。リズム隊のグルーブのファンキーだったりと、あっちのデビュー作との感触の違いに驚くのだが、根幹に大きな隔たりはないので、LUCIFERのファンなら手元に置いておきたい一品ですね。

それにしてもボートラというのか、シングル盤のシンガーはジョージ・モンローだったりと、個人的にはイマイチこのバンドの本質が掴み取れないのですが、国内盤にはライナーノーツもついているので、その辺りの疑問はフォローされているのでしょうか?読んでみたいですね。


LUCIFER'S FRIEND - Lucifer's Friend ★★★ (2020-03-18 19:13:07)

ドイツのバンドに英国人シンガーのジョン・ロートンが加わりリリースされた記念すべき1st。(直前にAsterix名義でアルバムをリリース、おなじ1970年という仕様、しかもジョンの他にトニ・カヴァーナという二人のシンガーがいたバンドである)重厚なアンサンブルを従え唸りをあげるハモンドオルガンの音色。伸びやかで澄み切った声、魂を震わすジョンのエモーショナルヴォイスにひれ伏すのですが、多種多様なロックを巧みに料理、70年代初頭にここまで完成度の高いハードなロックサウンドを披露しているのに恐れ入る。初期衝動を擽るストレートなハードさと、アーティスティックな感性を刺激する色彩美豊かなロックサウンドの凄み、緻密な構成力を持ち合わせているのに難解に聴かせない絶妙なバランス感覚に唸らされる。

ハモンドオルガンとジョンの歌を中心に繰り広げられるハードロック一代絵巻、次のアルバムから色濃くなるプログレッシブな構成、その前哨戦のような楽曲も収録されたりと、アイデアを巧みに積み上げ無理無駄なく聴かせた手腕に、これまた唸らされます。70年代という自由な発想とアーティスティックな感性を支持された時代の賜物。幅広い層に支持されるように多様性を持ち込みつつも、有機的に絡み合うヘヴィロックサウンドの凄みに舌を巻きますね。これぞ70年代のロックでしょう。この歌と楽曲構成があるから後年、ジョンがヒープに引き抜かれたんだろうなと納得させられますね。欧州ならではの陰影のある叙情美がたまらん。


LUCIFER'S FRIEND - Mean Machine - Hey Driver ★★★ (2020-03-15 18:41:22)

ドラマティックですね
尻上がりに盛り上がる展開が好きです
ジョン・ロートンは何を歌っても様になりますね


BUDGIE - Impeckable ★★ (2020-03-15 18:32:33)

作品前に音楽性が変わり暗中模索状態が続くバンド。今作を最後にトニー・ボージが抜けたという事件からも推察できるように結果を残さないといけない時期にリリースされた苦悩に満ちた一枚。その為に、全体的な軽さが目立ち、①のような疾走ナンバーも歯ごたえがない。その為に、妙なポップセンスやメロディアス具合が悪目立ち、どうにも喰い合わせが悪いのだが、良くも悪くも小慣れた印象が強い。
そんな軽い音質の中でも、リフの荒っぽさなどさ往年のテイストを感じさせるのがマニアにとっては、捨てられない要素だろう。


MEGADETH - Killing Is My Business... and Business Is Good! - Mechanix ★★★ (2020-03-14 22:04:49)

メタリカを自業自得でクビになったムステインの逆恨みソング
そんな彼の生き様がメタルファンにとってはたまりません
オリジナルは俺だと言わんばかりにキレまくっていますね
個人的にはメガデスヴァージョンに軍配を上げますよ


MEGADETH - Killing Is My Business... and Business Is Good! - These Boots ★★★ (2020-03-14 21:59:23)

売れ過ぎた為に著作権云々でめんどくさいことになったカヴァーソング。
初めて聴いた時は他の収録曲を毛色が違うと思ったが
そんなことはどうでもよいと思わせる破天荒さとキャッチーさにハマった
どこか耳なじみが良いのはカヴァーソングだったからなんだな
再録リマスター版との聴き比べもお楽しみでしょう
ベースが耳を惹くね
筋金入りのファンに呼び出されそうですが
このアルバムでは1.2を争うほど大好きな曲です


BUDGIE - Power Supply ★★ (2020-03-14 21:39:09)

所謂ニューウェーブブームなどの到来により、シーンの隅っこに追いやられたハードロック勢、このバンドも御多分に漏れずだったのだがNWOBHMの波に乗り作品をリリース。正直、かつての荒々しさは何処へやら、随分の小慣れたメジャー感を纏い復活してきたなぁという、あざとさが目に付くのが長年のファンからの不評をかってしまったのだが、そんな思い入れのない方にとっては、小気味の良い英国ハードサウンドを引っ提げ軽快にロックしていると、好意的に受け入れることができるでしょう。

個性剥き出しの破天荒だった時代と決別し、NWOBHMスタイルに舵を取った意欲作。これで新規獲得が出来たのかは分からないのだが、今となっては典型的な英国ハードスタイルを軸にしたサウンドとして、紹介することに抵抗はないだろう。


LIMELIGHT - Limelight ★★★ (2020-03-14 21:28:21)

古くは60年代の後半から活動していたと言われる伝説的NWOBHMバンドの1st。今作には2パターンあり、1980年にリリースされたオリジナル盤と、1984年にベルギーの老舗レーベルMausoleum Recordsからタイトルを変え再発されたボートラ追加&曲順変更の『Ashes to Ashes』があります(1990年にテイチクから今作+ラストに名曲ASHES TO ASHES追加盤と94年にMausoleum クラシックの再発あり)

出している音が渋い。いかにも英国らしいシニカルでネジくれたポップセンスとビシャンビシャンに濡れた哀愁のメロディ、けして突き抜けるようなポピュリズムやキャッチネスさなど持ち込まないアーティスティックな感性、70年代のロックシーンを生き抜いてきたベテラン達の経歴に沿うような味わい深い演奏と密度の濃い楽曲は、一括りのジャンルでは表現できない魅力が満載。国は違えど、この泣かせ具合や哀愁美には、初期スコーピオンズにも通ずる陰影を演出するサウンドを披露している。
あそこまでお涙頂戴ではないので、癖は薄めだから今の感性で聴いてもクドさを感じないでしょう。
プログレ的手法と攻撃的な新興ミュージックであるNWOBHMの融合と言えばよいのか、別のバンドのように展開するナンバーもあれば、突破力のある疾走ナンバーもあったりと、独創性もありハマれば強烈な個性となりシーンを席巻する勢いすら感じさせるのだが、ムーブメント自体が短命だったNWOBHMの中にあるバンドあるあるのようなものに巻き込まれ、シングルを単発リリースするのみでシーンから消えてしまった。

1984年にタイトルを変えMausoleumからリスタートしたアイデアは正解だったと思うのだが、結局は次に繋げる事のできなかった彼ら、噂ではドイツレコーディングのお蔵入りアルバムがあるらしいのだが、今作のようなメタルの原点ともいえる、切り立ったアイデア豊富なリフワーク、一寸先の展開を読ませない一筋縄ではいかぬ楽曲構成、そして耳を惹くメロディの美味しさ、もっと認知されるべきバンドだと思いますね。
NWOBHMマニアにだけ愛されているのは勿体ないッス。


CLOUD FOREST - Rebirth ★★★ (2020-03-12 17:21:21)

古くは90年代から活動していた関西ドゥームメタルバンドが2012年にリリースした3枚目のフルアルバム。このバンドの主要メンバーが熱い、大阪のバンドBELLADONNAの宇都宮礼男と井本悦男の二人である、その懐かしい名前にジャパニーズメタルを愛する者にとっては、お元気そうでうれしい限りですよと、暑中見舞いの一つも送りたくなるのですが、彼らは現役感を損なうことなく、刹那な響きに彩られた叙情派暗黒ドゥームサウンドを披露。ドラムに板倉淳を迎えバックは安定感抜群の演奏でバンドサウンドを支え、その静謐なる暗黒サウンドに彩りを添えるのが、清らかな声質のK.JUNOさんの存在により、より一層の陰影を映し出すことに成功。その影響はダークな曲のみならず、ストレートに走り出すThe Battlefieldのような曲でも威力を発揮。
古典的なロックに根差したドゥーミーなサウンドを根幹に多様性を持ち込ますアイデアを見事に具現化しています。危うさすら感じさせた女性シンガーのギリギリのパフォーマンスは、ダークテイスト&攻撃性の狭間で見事にヒロインを演じきっていると思います。インディーズ故に音質は薄っぺらいのでダイナミズムに欠ける面はあれど、ドラマ性を高める構成力やアレンジセンスの高さ、地下に潜り続けつつも磨き続けた感性の鋭さに改めて舌を巻きますね。
結成20周年を記念すべき形でリリースされた今作。早いだの遅いだの、日本人だの女が歌うだのと、ヘイト精神満タンの偏屈人間でもなければ大いに楽しめるでしょう。HM/HRってこういう密度の濃いもんだよなぁ。


GLORY - Wintergreen ★★ (2020-03-12 16:47:30)

北欧シーンきっての腕利きギタリスト、ヤン・グラウィック率いるバンドが1998年に日本先行というか日本でしかリリースされなかった一枚(数年後、北欧でもリリースされる)。もはや盟友と呼べる、Mr.北欧ヴォイスのヨラン・エドマンを迎えネオクラ風味も搭載のバラエティに富んだ楽曲を収録、少々やり過ぎだと苦言を呈したくなる模倣が氾濫しているのは毎度様なのだが、今作もやりに行っているので、その辺りに目を瞑れるかで評価も分かれるでしょう。

トリッキーなフレージングも含め、テクニカルなギターも随所に挟みつつも、唄を中心とした曲作りが施されており、過去の作品と比較しても最もメジャー感が強い一枚へと仕上げている。その反面、GLORYと言えば、この曲なんだという個性というが強みがないのが物足りなさを誘発、さらに拝借具合が、そこに拍車をかけあら捜しにむかってしまいガチになるのが残念。

まぁネオクラファンの事を思うなら、もう少し速い曲を増やした方がよいし、初期の甘美な哀メロナンバーなんかもあれば、もっと試聴感も良くなるとおもうのだが、それは1998年ですので望むべくもなくです。そういう観点からも時代錯誤感を生んでいないのは安心材料だっただけに余計にそう思いますね。各自のハイパフォーマンスに彩られた意欲に溢れた北欧HM/HRサウンドのダイナミックな響き、一筋縄ではいかぬ構成力の高さ、どれもが一級品です。


BAD LOSER - Utter Indifference - Give It Love ★★★ (2020-03-12 00:13:31)

硬軟のバランスを巧みに操るメロディックなハードナンバー
こういう曲をやれるのがこのバンドの魅力
バンドが一丸となり取り組んでいる証拠でしょう
この曲に限らず緻密な計算の上に成り立っているのも好感が持てます
ギターとキーボードのバトルも様になっていますよ


BAD LOSER - Utter Indifference - Close Your Eyes ★★★ (2020-03-12 00:08:39)

南の歌声が澄み渡ります
日本ならではの歌謡ロックな一曲
日本の歌モノロックの神髄ですね
アルバムの流れ的に絶妙でした
こういう曲を無理なく押し込み料理できる稀有なバンドだった


BAD LOSER - Utter Indifference - With So Get up ★★★ (2020-03-12 00:04:11)

ポジティブな気分にさせてくれますね
メロディアスかつキャッチーなノリの良い一曲
このバンドの魅力を端的に語っています
これで低音が効いていれば迫力も倍増
実力のあるリズム隊なのに
そこを生かせていないのが残念
藤井はイイ仕事してますね


BAD LOSER - Utter Indifference - Running Forever ★★★ (2020-03-12 00:00:38)

音質にもう少し深みがあればもっと凄くなる
キース・オルセンにでもプロデュースしてもらえばなんて思います
南の温かみのある歌声と奥行きを演出する藤井のキーボード
ギターソロもカッコいいぞ
大人の魅力あふれるアーバンなセンスが好きです
メロディアスなミドルナンバー
エエバンドやったなぁ


MADAM REY - マダム・マダム ★★ (2020-03-11 23:53:40)

当時楽天イーグルスに就任した田尾監督がテレビで嫁がマダム・レイとして活躍していますと恥ずかしそうに告知させられていたことを思い出します。今作の主役は田尾監督の奥さんだということに度肝を抜かれたのですが、参加メンバーにJETフィンガーの異名で愛される横関敦を筆頭にMASAKIにそうる透という実力者が完全サポート。
メタリックなナンバーを歌うには、明らかに声が可愛い過ぎるのだが、それでもロックに本気で挑み取り込んでいる姿に色物感は皆無。普通のおばさんがガチンコのメタルを歌いたいという思いが、ここに結実している。その熱い思いに乗れるかが評価を分ける最大のポイントだろう。日本の嬢メタルシーンの歌い手が弱い。例えばアルディアスの2代目などは、完全に場違い感が漂い、だれも得をしていない状態にあったと思う。そういう観点からみても、マダム・レイは歌が弱い。しかし本気でやっている。そこにメタルを愛するものとして激しく共鳴しあうものがあり、正直④みたいな渡辺美里が歌詞でも書いたのかと言いたくなる曲は苦手だったりするも、歌謡テイストを含んだジャパニーズメタルサウンドは、その筋のマニアは勿論だが、国籍で音楽を聴く偏見でもなければ、大いに楽しめるだろう。
脇を固める演者の本気度も高く、どっしりと構えているために、多様性のあるハードサウンドを巧みに料理している。なんだかんだ言ってアルバムを最後まで聴かせる力量があるのは確かですね。
どこか色物的な要素が出たのはレフティスナイパーでお馴染みの、単身渡米で活動したKUNImみたいに、でかいアイマスクみたいなコスプレをしたのが、なんだか上手くいかなかったように感じている。そりゃ田尾安志の奥さんだもん、結構な歳だからね、その変を誤魔化すための苦肉の策だったのかもしれないが、音楽が実に真っ当なものだけに残念ですね。
それにしても横関は歌モノで成功できない男だなぁ。


KRAKEN - Kraken I ★★★ (2020-03-06 13:09:53)

南米と言えばスラッシュ大国なイメージが強いのだが、コロンビアのメタルシーンを切り開いたと言われるレジェンダリーなKRAKENが披露したサウンドは実にオーセンティックな正統派スタイルでした。
オリジナルはアナログのみのリリースであるために現物を見たことはないのだが、今作と2枚目のアルバムをジョイントした作品をリミックスしてCD化リリースされたものだがるので、そちらで今作を確認することができますが、一部カットされているのでフルを聴くならダウンロード版を手に入れるのが一番でしょう。

シャリシャリとした細めのギターなど、懐かしい時代を感じるのだが、87年のコロンビアの経済状況や、そもそもロックを取り巻く環境を考えれば、メタルバンドとして音源をリリースするのは並大抵のことではないでしょう。そう思うと音質云々よりも、愛すべき音楽に実直に向き合った熱量に絆されます。

勇壮なエピカル風味満点のナンバーからメイデンよろしくなドラマ性の高い楽曲も放り込み、いろんなスタイルの鋼鉄サウンドを披露、基本はスピード重視だしメタリックなスタイルを貫いている、その方向性にブレはなく視聴後の満足度は高い。その判明、時代&金銭的事情からくる垢抜けないB級感に、日ごろメジャーなサウンドに慣れ親しんでいる方には、チョイと厳しいかもしれませんが、耐性のあるマニアなら、ここで聴けるピュアメタルサウンドに唸らされるでしょうね。

南米的な陽気さやサンバ的なノリは皆無、むしろ東欧圏あたりの陰りのあるマイナー調のメロディと情熱的な血が騒ぐ、好戦的なメタルスタイルにグイグイと惹き寄せられます。真っ向勝負で挑んだヘヴィメタルサウンド。構築美溢れる激奏こそヘヴィメタルなカタルシスの開放であろう。

今の時代、知識があれば、こういった辺境の地のレジェンド達に簡単に出会えます。いい時代になったなぁ。


HAGAR, SCHON, AARONSON, SHRIEVE - Through the Fire ★★★ (2020-03-03 18:06:00)

サミー・ヘイガー、ニール・ショーン、ケニー・アーロンソン、マイケル・シュリーヴの四人が集まり結成されたスーパーロックグループの1st。四人の頭文字をとってHSASというバンド名でも知られています。
実力のあるメンバーが選んだ録音はライブ、今作はオーバーダブは施されているが、基本はライブでの一発勝負を元ネタに作られたもの、後半わざとらしい歓声が残っているのは、その名残なのか?とにかく気合の入った一枚であることに変わりはない。
演者全員が自己主張をするも、破綻することなくまとまりパワーが放出された時の衝撃に感嘆させられるのだが、ニールもここぞとばかりに派手なソロをかまし、このバンドに駆ける思いにグッと惹き寄せられます。

職人肌の緻密さとコマーシャル性の高い豪快なロックサウンドの融合、曲によっては哀愁のメロディも盛り込み、ドラマティックだなぁと唸らされる。軽快なノリと、正確なプレイから弾き出されるグルーブに酔わされ、健康的なサミーの歌声に元気ももらい、情熱的なニールにギターがとどめを刺す、ライブ録音という手法はとっているが、計算された豪胆なノリの楽曲に、このメンツの凄みを感じますね。

テクニック云々のさることながら、熱を帯びたハイクオリティのパフォーマンスに魅了されるでしょう。9曲40分を切る内容では物足りないと、ものすごい渇望を味わうでしょうね。ジャンル不問、時代を超越するアメリカンロックの隠れた銘品ですね。


VOLCANO - Godspeed ★★★ (2020-03-01 14:33:00)

豆にチェックしていないと、新作をリリースしていた事に気が付かせないVOLCANOが20年にリリースした最新作。毎度ながらコンスタントに作品をリリースするも枯渇しないアイデアに頭が下がりますよ。
メンバーシップの向上は曲作りにも大きく影響、ダイハードなアグレッションを突き詰めた前作よりは、普遍性を高め情緒のあるメロディが分かりやすく耳に届く仕様に変更、初期の頃の彼らに泣かされた人や、もっと初期から感じさせた屍忌蛇、特有の泣きの世界観が濃厚に抽出、日本のメタルというものを濃密に感じさせてくれます。日本語歌詞の導入も、個人的には大歓迎。メロの乗せ方も自然、このバンドが奏でる慟哭の暴虐性に猛烈にフィットしています。叙情味溢れるフレーズを紡ぐ泣かせの伝道師、屍忌蛇率いるVOLCANOの最新作は、過去最高の柔軟さを持ち込み、抒情性と攻撃性のふり幅がもっとも大きなものとなりました。ファン層の拡大に期待したいですね。


BIFF BYFORD - School Of Hard Knocks ★★★ (2020-03-01 13:57:58)

早い段階から先行公開された①②を聴き、ビフ・バイフォードのソロは無理無駄のない古典ロックへの邂逅になるのかと感じていた。SAXONと言えばNWOBHMを牽引したバンドとして有名だが、正直、個人的にはSAXONサウンド=NWOBHMと思ったことはない。もっと古典的な英国産ハードブギーを下地に速度を高めたのがSAXONだと思うからです。豪快なノリはバイカーズロックなどと呼ばれ愛されましたが、かび臭い地下室サウンドとは無縁だし、あの鋭利に突き刺さるソリッド感はない、そういう意味でも、ムーブメントの立役者ではあるが、もっと大きな意味で括られるバンドだと思う。特に、NWOBHM勃発前に1stをリリース、フォーキーなナンバーからプログレ風味までの、70年代の英国勢からの影響をもろにうけた内容だった。2枚目以降ムーブメントにのり変貌したSAXON、しかし今作から感じ取れる英国流儀、その音作りには並々ならぬものを感じる。1stがそうだったように、叙情味溢れるメロディはWISHBONE ASHだし、参加メンバーのカラーもあるが、KING CRIMSONのカヴァーの実績もあるように、英国プログレ勢からの影響もしっかりと残している。

NWOBHMの牽引者となった伝説のバンドだが、あのムーブメントがなければ、どのような音楽性に進んだのか興味は尽きない。今作におけるオープニングの2曲や、サイモンとガーファンクルで有名な⑥など、初期のスタイルを継承していると言えるだろう。だからこそ③から④の流れにゾクッとさせられるし、ギターソロが北欧風のヘヴィな⑤、今アルバムの中で一番SAXONしている⑦と続くバラエティ豊かな展開に引き込まれる。貫禄のパフォーマンスに魅了される哀愁ハード路線の⑧、湿り気ったぷり、泣かせのトラッドナンバー、WISHBONE ASHのカヴァーで酔わせアルバムの幕を閉じて欲しかったのだが、狙いすぎなアコースティカルなバラード⑩(曲単位ではよいのだが)、サックスも出てきていいんだだけどね、そのせいで⑪が入ってこないという、プチ不満はあれど、先行公開したオールドスクール路線のみならず、古臭くないサウンドプロダクションのおかげで、十分に今のサウンドとして仕上がっているのがポイントです。

スピーディーなSAXONが好きなマニアには物足りなさはあれど、ビフのルーツたる音楽性に触れ、もしNWOBHMがなければ、SAXONはこういう音楽性に落ち着いていたのではと、ふと思い、英国ロックの深淵なる音楽性を覗いた気分ですね。
正直何を歌ってもビフなので、あんまり目新しさがないと感じるのが最大の長所であり欠点なのだが、ビフのファンなら迷わずゲットだろう。


CHATEAUX - Chained and Desperate ★★★ (2020-02-27 20:42:00)

我らがEBONY主催のコンピ作『METAL MANIAX』に参加、それを契機に同レーベルからフルアルバムをリリースするのだが、このバンドが欲しかったのはリードヴォーカルだったようで、今までのトリオ編成ではなくゲストにスティーブ・グリメットを迎え入れレコーディングを敢行。恐らくタイトなスケジュールを縫ってのレコーディングだったと思うが、憂いのある沸騰型NWOBHMサウンドを披露。見事に英国産ハードサウンドの系譜を受け継いでいる。
重厚な展開が映える表題曲②、ノリ重視の③、そしてバラード④ではグリメットの朗々とした歌いまわしに酔わされ、燃えるメタルナンバー⑤で昇天と、NWOBHMマニアならずとも腰を上げずにはいられない曲順でおもてなしとEBONY謹製の分離の悪い音質を、ものともしない熱量で多くのハンデを覆してきます。スピードよりもパワーで勝負する楽曲、鋭いギターはリフ、ソロと工夫を凝らしバンドサウンドを牽引、ヌルイ音質にピリッとした気迫を植え付けている。


MP - Bursting Out: The Beast Became Human ★★★ (2020-02-25 18:17:18)

Metal PriestsをMPと略して活動していたジャーマンパワー/スピードメタル系バンドの1st。出している音もシンガーの歌いまわしも我らがメタルゴッドJPを想起させるのだが、そこにAccept印もぶっこみ直情的に突っ込んできます。
ロブ・ハルフォードがお漏らし寸前のように、身悶えながら歌っていると表現すればよいのか?歌い手はなんだか不安定にかんじるのだが、ど派手なリードギターなど、楽曲における小細工無用の直球勝負路線は、かなり様になっており、ジャーマンメタルシーンを語る上では外せないスタンダードなHM/HRサウンドを披露している。もう少し低音域に迫力があれば、硬派な装いも増すのだが、ようわからんレコード会社の緩めのお仕事して大目に見てあげるのが一番でしょうね。ある意味、バルブ路線を狙ったとも言えなくもない。
ドイツが生んだパワー重視の垢抜けない漢メタルに、どこかベルギーのスピードメタル系と重ねて見てしまいますね。


ERIC MARTIN BAND - Sucker for a Pretty Face ★★★ (2020-02-24 18:47:47)

415というバンドのシンガーとして活躍していたエリック・マーティン。そのバンドがメジャーデビューする際に、エリックの名前を前に出す形で契約を交わしたので、エリック・マーティンバンドとして始動。けして彼のワンマンというわけではありません。
爽快感と哀愁のあるメロディ、そこに絡むエモーションなハスキーヴォイス。全てにおいて無駄がなく高品質な必然性を保ち、全編フック満載のスマッシュヒットな可能性を秘めています。1983年の時点で完成した歌声を披露している、エリックの存在感の凄さ、玄人受けする堅実な演奏とハードポップ万歳な楽曲は素直に耳に届き、エリックのパフォーマンスとの相乗効果もあり瑞々しいフレッシュ感を与えてます。その筋のマニアならずとも腰を上げたくなる佳曲が揃っていますよ。
この時期はあまり登場しませんが、真夏の青空の下、大音量で聴きたくなる清々しさと、チョイとした切なさに、今なおキュンとさせられますね。


KROKUS - Stampede ★★ (2020-02-23 18:31:32)

渡米後は、かなり大衆狙いの方向性に舵をきったバンド。田舎から東京の大学に進学し就職するも上手くいかず故郷に帰る的な香ばしさが漂う、メンバーの脱退というかバンドの空中分解劇。バンドの歴史を終わらせまいとフェルナンド・フォン・アーブが、スイス人アーティストを集め再始動。彼らの弟分的なHEARHUNTER(クリス・フォン・ロールがプロデュースを担当していた)のメンバーなどを加えリスタート、かつてのAC/DC型サウンドにJP風味を加味させたストロングスタイルを披露と、迷いを捨て心機一転を図った印象を強く受けます。
歌い手もマーク・ストレイスと比べると、ヒステリックな金切りヴォイスに変更。ウド・ダークシュナイダーにボン・スコットを足して2で割ったよう声質の為に、エモーションという点では聴き劣りするのだが、この音楽性にはフィットしており、後任の重責を果たしています。そのかいあってかL.A時代と決別する意味でも重要な方向転換に成功したと言えるでしょう。

相変わらず個性は薄めだが活きのいい楽曲を揃え、良くも悪くも原点回帰へと向かっています。気合は入っているが今作も狙い通りとはいかず、新メンバーのトニー・カステル、マニー・マウラー、ピーター・ハースらはバンドを離れAin't Dead Yet結成へと向かう。


KROKUS - Heart Attack (2020-02-21 22:01:39)

ヘアメタル勢になびきグラムロックしたなとコアなファンからは見放されつつあったバンド。しかしビルボートチャートに100以内に入るなど、けして失敗したとは言えないのが切ない。今となっては痛し痒しな状況に陥っていると冷静に判断出来るのだが、リリース時の浮かれまくりのバブルメタルシーンに思いを馳せれば、多くのバンドが大なり小なり、やりに行っているので…なんだか懐かしい時代背景に思いを馳せ目を細めますね。BURRN的には、扱われなかったのかも知れないが、アメリカ的には売れており、Change of Addressはビルボードチャートの45位を記録、モデルチェンジは一定の成果を上げたと言えよう。今作のリリースがけして注目度は低いなどあり得ません。むしろ次の一手を狙いに行く重要な作品と位置付けています。

88年という機運の高まった中でこのバンドが手を出したのが継ぎ接ぎだらけのロックサウンド満載の今作です。AristaからMCAへの移籍もあり、売れなければのプレッシャーも相当高かったのでしょうが、ここまでトレースが横行するとモラルの問題を提起したくなるのが音楽を楽しむ者の倫理とでしょうね。リメイクもあるが、露骨なやつが多すぎて冷静になれないというのが大勢を決するでしょう…けどね。このバンド、かつてはAC/DC直系のハードサウンドを奏でており、個性なんてものがあったもんじゃない、むしろ、その路線を何の疑いもなく継承することに個性を見出していたようなバンド。それだけに、このやり口もクロークスならではと言えるのが、何とも不思議なバンドです。みんな集まれ借り物競争が許されるって凄いんです。
恐るべしクロークス。愛すべきクロークス。これがクロークス。久しぶりにフルに聴きましたがアッパレですよ。
名手マイケル・ワグナーのミキシングを受け、彼らが辿りついたのが80年代型メタルの集大成。この一枚で、あの時代の音楽性が分かる仕様にはなっていますが、個性は薄味です。


KROKUS - Heart Attack - Speed Up (2020-02-20 20:12:13)

継ぎ接ぎだらけの拝借ロックのラストを占めるのはDIOの代表曲「WE ROCK」です
普通こんだけやりまくったら非難しな出ないのですが
どういうわけかクロークスは許されると思えるのが凄い
パクリは彼らの専売特許
そう思うからこそ受け入れられるのでしょう
彼らになんの思いれもない80年代のメタルに詳しい若者ならキレるかもです
どうしても売れたかっんだよなぁ


KROKUS - Heart Attack - Bad, Bad, Girl ★★ (2020-02-20 20:05:15)

もったいぶったイントロからホワイトスネイクのCrying In The Rainが始まったのには苦笑いしか出ませんよ
やりすぎ感がエグく熱心なファンなら殺意を覚えるレベルでしょうが
これが80年代の中期から後期に架けての迷走期を物語る一曲でしょう
腹を立てずにカヴァーソングくらいの気持ちで楽しむのが一番ですね
久しぶりにきいたけど凄いな(笑)


KROKUS - Heart Attack - Axx Attack ★★★ (2020-02-20 19:57:58)

JP風味満点の疾走ナンバー
潔癖なファンなら激怒するレベルですが
こういう露骨な拝借をやるのがクロークスなんだと言いたい
目くじら立てずに楽しんだもん勝ちですが
ワタクシも調子の悪いときに聴くと腹が立ち最後まで付き合いきれません
でもそれがカッコいいと思わせるのがクロークス


KROKUS - Heart Attack - Wild Love ★★ (2020-02-20 19:48:59)

JPのあの曲に似てるなぁとニヤニヤさせられました
こういうロックアンセムは好きですが
あえてやらんでもね
この節操のなさもクロークスかぁ
でも①がデフ・レパード風味満点だったんで
チョイとやりすぎですよ
そこを楽しみましょう


KROKUS - The Blitz (2020-02-20 19:33:25)

前作『Headhunter』は硬軟交えたメタリック路線に進み、それまでのAC/DCもどきから脱却することに成功。スイスのロックバンドとしてアメリカで成功する足場を固めた言えよう。その次に進んだのがメインストリームを意識したライト路線。全編に渡り軽薄さが耳を惹く仕様になり、初期をファンから大不評アルバムとなる。本当に冗談だろうと言いたくなるような方向に舵を切っているので、心構えが必要です。無駄を削ぎシンプルなサウンドメイクは、食い足りなさを誘発しているのだが、元気一発メジャーロック万歳の②など、ギリギリのところでバンドの矜持を保っている。

今もってヘアメタルに感化されトチ狂ったと言われる今作なのですが、少し見方を変えるとマーク・ストレイスの熱を帯びたエモーショナルヴォイスは、どんなタイプの曲にも対応、そのおかげでクロークス印にまとめ上げており、また、路線変更が生み出した違う方面への音楽的変化が個性となりつつある姿に好感を持ちます。
個人的に、このバンドが、この路線をやる必要があったのかと思うが(ラストの⑨を久しぶりに最後まで聴きました)、メインストリームロックを思いっきり楽しみたい方には需要もあるでしょうね。これも時代なんですよね。コールドディスク獲得の記念すべき一枚だもん。
そしてブルース・フェアバーンが絡んでますからね。


KROKUS - The Blitz - Midnite Maniac ★★★ (2020-02-20 19:14:27)

シングル向けの一曲
前作のイメージがあったので
この曲で幕が開けたときはガクッと来ました
お気楽さに時代を感じますよ
売れようとしたんだなぁ
多くのファンを落胆させたオープニングナンバー
そして新規獲得を達成させた作品でもある


KROKUS - The Blitz - Rock the Nation ★★★ (2020-02-20 19:10:18)

哀愁のメロディ大衆性も加味させたり
展開も拘り仕掛けも多い一曲
そのわりに終わり方はあっさりしすぎだ
それもクロークスでしょう


KROKUS - One Vice at a Time ★★★ (2020-02-18 13:29:42)

前作では少なからず個性を見出そうとしていた彼ら、しかし今作ではAC/DCなどの仕事にも関与したエンジニア上がりの名プロデューサー、トニー・プラッタを起用と、またもAC/DC直径のハードサウンドに舵を切った。一年毎にアルバムを出すのだが腰の据わりの悪いバンドだと印象付けてしまう(次作はHeadhunterです)。
しかし水を得た魚の如く、彼らの大好きな音を真っすぐにならしており、セクシー&ワイルドなマーク・ストレイスの歌声もバッチリとハマりノリノリで楽しめるようになっている。
個性は薄めだが80年代型のギミックなしのシンプルハードサウンドの旨味、このバンドがスイス産と認識さるのは、本家のもつおおらかなグルーブよりも、カッチリとしたサウンドメイクによる生真面目さに尽きる。豪快でキャッチーなリフとリズムに、いろんな問題に目を瞑り楽しみましょう。


KROKUS - Hardware ★★★ (2020-02-18 13:13:57)

マーク・ストレイスの加入した前作辺りから知名度をグッと上げた彼ら、今作は通算5枚目となるのだが前作の路線を推し進めつつもメジャー感も加味しようと模索した跡があり、やりすぎAC/DCを封じ込めつつオリジナルティを研磨しようと苦心した一枚でしょう。いろんな意味でやりすぎ感があり、⑤などに代表されるように、相変わらずやってんなぁとなるのですが、おなじ基本路線なら情熱刑事哀愁系のシンプルハードの⑦方が耳を惹きますね。その次い出てくる⑧の色気に、このマーク・ストレイス時代の真骨頂を感じますよ。
かつてはバンドの中心人物だったギターのトミー・キーファーが今作を最後に脱退。ドラック中毒が酷くクビになったのだが、その後1986年に、自ら命を絶ち人生を終えました。⑧を聴くたびに、そのことを思い出しますね。渋めの出だしから、転調して走り出す、この曲の持つ刹那な響きに胸が熱くなります。このエモーションもバンドの魅力でしょう。


KROKUS - Pay It In Metal ★★ (2020-02-18 12:44:41)

別名PAINKILLERというタイトルでも知られる3枚目のアルバム。今作でリードヴォーカルを務めるのはクリス・フォン・ロールです。個人的にこのバンドを知ったのはHeadhunterからなので、どうしても、このバンドの本文ともいえるタテノリロックに違和感を拭えないのだが、彼らのカタログを紐解けば、どう考えてもHeadhunterの方が突然変異感がありありなので、今作の方向性こそKROKUSと言えるでしょう。ブルースベースのシンプルロックは彼らのルーツたる先人たちの系譜に連ねる基本路線を踏襲、その実直な姿勢にオリジナルティは薄めだが安定感は強く、70年代型のハードロックスタイルが好物の方なら大いに楽しめるでしょう。
大好物な泣かせのブルースナンバー④の次に、お気楽な⑤など、少々付き合えきれない曲もあれど、シンプルに徹しているからこそ感じさせる、生身の人間から発せられるヴァイブス、短期間のレコーディングだからこそ生まれた、エモーションに惹き寄せられますね。上手い下手では論じれない清々しさも魅力でしょう。


HELLOWEEN - Walls of Jericho ★★★ (2020-02-17 22:53:49)

我が国、日本は勿論だが、欧州を中心に多くのフォロワーを生んだバンドの1st。のちの雛形となる親しみ易いメロディを放り込んだ疾走ナンバーも顔を覗かせているのだが、やはり剛毅に打ち鳴らされるパワーヒッティングドラム、動き回るベース、緩まない攻撃性と叙情性を加味させたツインリードの構築美、粗削りな面はあれど、このはち切れんばかりのパワーを内包したスピードナンバーの数々は、それまでのイメージから巧みに移行できており、ジャーマンメタルのニュータイプをしての個性を剥き出してきた。テクニカルなプレイが畳みかけるバンドの代表曲と言える①、その流れを損なわないアグレッションとパンキッシュなノリを持ち合わせた②、スピーディーなアンサンブルの波状攻撃と言える③と突き進み聴き手のハートを鷲掴み、親しみやすいメロディを聴かせているのに攻撃性を緩めていないと感じさせるのが凄い。
NWOBHMの洗礼を受け、そして先鋭化したスラッシュシーン、その狭間を行くスピードメタルサウンドは、パワー&スピード、そしてメロディの三種の神器を揃えたと言えるでしょう。
個人的に、これ以降の作品から大きな影響を受けたバンド出ないし、アンディ・デリスのライブにおけるダメっぷりに、興味を完全に殺がれたバンドなのですが、それでも年に1.2回は聴きたくなる一品です。


ROBIN MCAULEY - Business As Usual ★★ (2020-02-15 02:26:32)

1999年に我が国の、しかもZAINレコードからリリースされたソロアルバム(日本独自の発売に留まる)。 Survivorのフランキー・サリバンと、スタン・ブッシュやKISS関連のお仕事で有名なカート・クオモが全面バックアップ。ロビンの歌を中心に三者が絡む仕様と、レーベルもZAINだしね、聴く前から想像はついていたのだが、ライトなアメリカン仕様のチョイ足し欧州型メジャーロックサウンドを披露、期待を裏切らない教科書通りの作風に仕上がった。既にライブでは実証済みな、ロビンの押しの強さは、どんな楽曲も自分色に染め上げ、器用なのか不器用なのか、わからんくなるがロビン色に染め上げているのが印象的。そんな中で③のようなメロウなナンバーが飛び出すとグッと惹き寄せられますね。ギターのサリバンも押し引きを心得、邪魔にならぬよう個性を剥き出しに弾き倒しているのが心憎い。スライドが飛び出すのもエエ味だったぞ。

ロビンとマイケル・シャンカーの融合を素直に受け止められるマニアなら、安心してイケるサウンド。
Perfect Timing+MSGをフランキーサリバン&カート・クオモ風味に味付けしたようなスタイルに仕上がっていますよ。打ち込み系のリズムが足を引っ張っているな。


山本恭司 - ELECTRIC CINEMA - LOVE SOMEONE ★★★ (2020-02-10 15:22:59)

のちにボブ・エズリンらの手によって
VOWWOWのラストアルバムでリメイクされるバラード
声質の違う二人が絡んだことは大正解
繊細なメロディが泣かせます
山本の表現力の増した歌声も良かった
オリジナルは歌を中心としたソフト路線ですよ


山本恭司 - ELECTRIC CINEMA - I'LL WAIT A LIFE TIME ★★★ (2020-02-10 15:17:50)

いきなりオープニングナンバーが
ピアノをバックに知らない外国人シンガーが切々を歌い上げる展開に驚く
その後ドーンとバンドパートに移行はするのだが
この裏切り方のやり口の心憎さに一本取られたと思いましたね
線は細いがシンガーも悪くない
エレクトリックシネマの開幕を告げるのに相応しい一曲となりました
恭司のギターもソロでは吠えていたぞ


山本恭司 - ELECTRIC CINEMA ★★★ (2020-02-10 15:11:52)

BOWWOWが本格的な海外活動を視野に入れた時期にリリースされたソロアルバム第2弾(BOWWOWはVOWWOWへと変わる合間ですかね)。キーボードのトミー・エア以外は無名の英国人ミュージシャンの参加という布陣に当時は、誰なんだとファンの間では語られたのですが、これがのちに日本びいきの英国バンドLast Flightのメンバーと判明した時は、さらに謎が深まりましたね。1982年にキャリアとしても無名の彼らが、どのような形で山本恭司側と接触したのか?多くの曲作りにも関与、ある意味、今作の主導を握っている主要キャストになっていることに興味も尽きません。リードヴォーカルも山本自身4曲に留まり、①②④⑤⑥でボブ・ホーソーンに譲り、名曲「LOVE SOMEONE」では二人で分かち合っている。リズム隊も、ギターも含めLast Flightのメンバーが全面参加、それぐらい山本は重宝したという事のなのだろう。

無名のミュージシャンと作り上げた?山本恭司のソロ第2弾は、ギタリストのソロアルバムではなるが、楽曲中心に向かいマニアックな要素を排除。そのバランス感覚のおかげで質の高い無国籍ハードサウンドを楽しめる。勿論、主役は山本なのだから、彼のギターは当然前に出ているのだが、出ずっぱりじゃないバンド感覚に比重を置いたのは、今後の展開を見据えたのか勘繰りたくなりますが、BOWWOWとは違う方向性の為に、ソロアルバムだからと解釈するのが一番かもしれませんね。

ちなみに今作で歌うボブさんはバーニー・マースデンが立ち上げたARASKでも歌っているので、興味がある方はあちらも聴いて欲しいですね。今作に通ずる落ち着いたメロディックハードサウンドを堪能できますよ。
そしてLast Flightがなぜ日本びいきなのかは検索にかけ画像を探してほしい。カタカナで書かれたヘビーメタルレコードと書き順は無視された最終便という文字に、好意を覚えるでしょう。


IRONFLAME - Tales of Splendor and Sorrow ★★★ (2020-02-10 14:40:18)

アメリカ人ミュージシャンのアンドリュー・デラ・カーニャによる、一人メタルプロジェクトの2枚目。ミュージシャンとしてキャリアはそれらなりにあるのだが、大きなキャリアを積んだとは言い難い彼だが、そのマルチな才能というのか、自分のやりたいことを100%成し遂げたいという願望が、このようなプロジェクトを誕生させたのだろう(2015年には女性シンガーをおいてSilverbloodなるプロジェクトもやっているし、それ以外にも一人メタル活動するメタル馬鹿一代な男である)
ここで披露されている音を聴けば、そう思わずにはいられません。アメリカと言われなけばイタリア辺りの正統派HM/HRバンドと疑うことはないでしょう。良いメロディと適度に隙間のあるリズム、そして保守的な作り込みの音は時代を超越する、正にトラディショナルと呼ぶに相応しい古典HM/HRサウンドが満載。
適度な疾走感とハードテイスト、ネオクラやメロスピと呼ばれるバンド群ほど臭くならないメロディの質、その一歩手前で止めたセンスが見事に結実、この欧州型のメロディックパワーメタルをアメリカ系がやればこうなるという手本のようなスタイルは、昨今のアメリカ市場のおけるトレンドも言え、かつて国内外問わずメディアがこぞって捨てた音楽性の第二成熟期を予感させる一枚と言えるでしょうね。
ライブはどうなっているのか?作品のみなのか?詳しいバイオは分かりませんが、唄もうまいし良い曲を掛けるのだから、メンバーを集めパーマネントな活動を視野に入れて欲しいですね。

まごうことなき王道メロディックHM/HRの旨味、ツボを心得た展開と曲作りの上手さ、濡れていないがヌラヌラと光る湿ったメロディをパワフルな楽曲に練りこませ、ガツンガツンと聴かせてくる。
ロイ・カーンのいたキャメロットからクラシカルテイストを省いたようなサウンドと形容すればよいのか?アメリカの主流とは言い難いが、地下ではグラグラとエネルギーを蓄積し、一部マニアから熱烈なジャンルになる音楽性を披露してくれた今作。日本でも確実に需要があるかと思いますよ。定額制&無料の音楽サイトでも聴けるのがありがたいねぇ。


DEMON EYES - Garde a vue ★★★ (2020-02-08 19:43:32)

NWOBHM直径のフランス産スピードメタルバンドの2nd。前作同様基本路線は同じだが、今回は2回目のレコーディングというのもあったのか小慣れた印象もあり、若干だが楽曲の幅が広がっている。スピード勝負からプレスラッシュに、欧州型のパワー&メロディックメタル、さらにはラストにはMetallicaのカヴァーフランス語ヴァージョンをも収録したりと、やりたい放題の大騒ぎ状態である。豪快にすっ飛ばすも平坦で軽めのミックスに足を引っ張られようとも、歩みを止めないフランス産暴走野郎どもの姿勢に変わりはありませんでした。
リリース時が1987年ですからね、そりゃメジャーな感性も持ち込まなければ、やっていけないのだろうが、オープニングのスピードナンバーなどバンドの真骨頂を味わえるだろう。②のギターソロではフーガロックなアレンジを持ち込んだりと、剛だけではない柔軟さが増したという見解で落としどころを見つけれると、楽しめるのですが、勢い重視のマニアには少々食い足りない面もあるかもしれませんね。


MOON CHAMBER - Lore of the Land ★★★ (2020-02-07 13:58:37)

伝説の叙情派NWOBHMバンドSARACENのギタリスト、ロブ・ベンデロウと正統派HM/HRの勇者CRYSTAL VIPERの女性ヴォーカリスト、マルタ・ガブリエルが共演しているバンドの1st。昨年の11月のリリースということでしたが、最近まで知らずにいました。もしこれを昨年のうちに聴いていたらマイベスト確実でしょうね。
英国の伝統を継承するフォーキーなメロディと、構築された展開。前者はWISHBONE ASHに代表されるスタイルだろうし、後者は英国のプログレ勢というところでしょうね。マルタの変化自在の歌声は場面場面に合わせ巧みに感情を乗せドラマ性をUP、曲作りには定評のあったロブの持ち味を遺憾なく発揮と、両者のタッグから生み出されるマジックに興奮します。
アルバム一枚の中にある多様性、それは正統派という枠組みの中を自由気ままに動き回り、イマジネーションを最大限に膨らませている。逸脱しない保守性、その一方でここまで、可能性を押し広げた音楽というのは聴いていて実に清々しい気持ちにすら立たされる。
真新しい感性を求む方には眠たい音楽性なのかも知れないが、伝統を後世に伝える重要な役目を果たしている今作は、商品価値としては計り知れないと思いますね。脇を固めるベテラン達が気をてらうことなくやるべきことを忠実に果たしたともいえる音楽性、その高いドラマとリリカルな感性、それらを鋼の精神性をもって研磨されたのだから、正統派HM/HRマニアなら腰を上げずにはいられないでしょう。普通であり続けることの難しさ、このバンドはその難題を見事にクリアーしている。リリース元がNO REMORSEなんで安心して手を出したのですが、こちらの期待以上のクオリティでした。


KEEN HUE - Heydays ★★★ (2020-02-06 18:38:03)

70年代の後半から活動する北欧シーンの礎を築いたバンドが2019年にAOR HEAVENからリリースした3枚目。とは言っても、初期の未発表曲や1stからのリメイクが中心となっているために純粋な新作とは言い難く、また実態のあるバンドのなのかも怪しい状況なので思い出作りの一枚と言えなくもないのだが、北欧的なスウィートメロディとは違う、硬派なイメージを抱かせる力強さがあり、例えるならば80年代初期のSCORPIONS+BONFIRE÷北欧風味といったところだろう。いい意味でのメジャー感もそこそこに、メタリックな素養も捨ず、しかし柔軟な姿勢をとっているために、ハードテイストとメロディックさ加減が絶妙な黄金比をキープしている。
今作のリリースは本当に驚いた。93年に音楽性をガラリと変え2枚目を出しているのですが、今作は初期の頃の強直さと、洗練された2枚目のいいところを抽出したような作り込みになっている。これは新旧のファンを取り込むのに十分な作風だろう。
FAIR WARNINGはメロディ押しが強すぎて、もうちょい歯ごたえのあるリックなリフが欲しいと思うメロディ派なら、今作のバランス感覚に唸るでしょうね。少々ネタバレ的な曲もあるのだが、ベテランが気合を入れて仕上げてきただけに、文句の言いようもありません。
こうなると、次は純粋な新作が聴きたい。そして折角、メンバーが1stの時代に戻ったのであれば、EBONY関連の為に、再発が難しい1stの完全リメイクなどにも挑戦して欲しいものだ。
そして過去のマテリアルにすがるだけではない本気の新作を合わせて世に出してほしいですね。


KEEN HUE - Heydays - Ogre King ★★★ (2020-02-04 21:10:30)

メロディアスなのにソリッドな質感が強い
1stからのリメイクなのだが
バンドにとっては大切な曲なんだろう
スコーピオンズ+ボンファイア÷北欧風味を味わえるパワフルな一曲
ラストにお遊びがあるのですが
権利の関係などで再発が難しいエボニー関連の1stのフルリメイクもお願いしたい


KEEN HUE - Heydays - Wasted Time ★★★ (2020-02-04 21:04:33)

メロディアスなミドルナンバー
サビでは視界が開けるように展開します
唄を中心とした作りだが
出るところはでるギターワークもエエぞ
似たようなテンポの曲が多いだけに
アルバムを通して聴くとチョイと飽きるのだが
曲単位の評価を覆すほどではない


KEEN HUE - Heydays - We Don't Need War ★★★ (2020-02-04 21:00:17)

美しいアコギのイントロからバンドパートに移行
思っているよりズシンとくるヘヴィさがあるのだが
クラウス・マイネ風の歌いまわしが緩和
個人的にはロシアのアーリアが80年代のスコーピオンズの曲をやっているようだ
このリリカルなメロディとパワフルさを共存させた手腕に脱帽
このバンド80年代にもう一枚アルバムを出しておくべきだった


KEEN HUE - Heydays - The Doctor's Crying ★★★ (2020-02-04 20:56:27)

これも1stからのリメイク
パワフルに躍動するリズムとコマーシャル性の高いメロディ
テンションの高い演奏と相まって独特の感性を披露している
色んな元ネタを詰め込んでいるのが印象的
これも北欧というよりはジャーマン系と言える空気感が面白い


KEEN HUE - Heydays - Take It or Leave It ★★★ (2020-02-04 20:52:23)

スコピ風味のあるフォーキーなスローナンバー
泣かせのメロディに涙腺が緩みます
アルバムの中盤にて大団円を迎えますが
後半も素晴らしいですよ
そういう意味でもスキのない今作を象徴するような一曲です


KEEN HUE - Heydays - Gimme Love ★★★ (2020-02-04 20:47:13)

サビメロの持って行き方がズルい
コーラスも売れる要素大な作り込み
そしてダイナミックなロックのリズムとハードなギター
売れ線志向でもエエものはエエです


KEEN HUE - Heydays - Crossfire ★★★ (2020-02-04 20:42:19)

幻の1st収録のリメイク
シンガーの声質もありスコーピオンズ風味がプンプン漂う
ルドルフばりのキレのあるリズムギターが欲しくなるねぇ
4曲目にハード目の曲をもってきたのも大正解
メロディアスかつパワフルなこの曲を取り上げてくれたのが嬉しい


KEEN HUE - Heydays - Stay Around ★★★ (2020-02-04 20:37:45)

爽快なメロディとビックコーラスを従え華麗に舞い踊ります
シングル向けの一曲でしょう
北欧というよりはジャーマンといった趣なのが
このバンドの特色ですね


杉本誘里 - DYNAMYTE - MEDUSA ★★★ (2020-02-04 20:22:33)

松本孝弘のペンによるメタルナンバー
フラッシーなソロも高崎晃に負けてたまるかと言わんばかりにスピード勝負
主役やる誘里さまもドスを効かせハードサウンドと対峙
もう少し普通に歌えば良いのにね
でも歌唱力のある本格派の歌い手がアイドルやるのは辛いわな
OVA真魔人伝 バトルロイヤルハイスクールの主題歌


KEEN HUE - Heydays - Blue Girls ★★★ (2020-02-03 20:15:00)

パワフルかつ爽快なメロディが走るメロディアスハードナンバー
このバンドの真骨頂はこれなのかと思わせる
SCORPIONS+BONFIRE÷北欧といった味付けが効果的に作用
このバンドの魅力を端的に語っている


KEEN HUE - Heydays - Fly Away Honey ★★★ (2020-02-03 20:08:03)

オリジナルは1989年リリースのコンピ作に提供している
爽快なメロディが映えるシングル向けの一曲
硬軟のバランス感覚に秀でた
このバンドの未来を予兆する曲でしょうね


THE KICK - Heartland ★★★ (2020-02-01 21:58:17)

Ten Years Afterのベテランベーシトのレオ・ライオンズが立ち上げたバンドの1st。参加メンバーはドラマーにWHITESNAKEの初期メンバーのデイブ・ダウル、MAGNUMのケックス・ゴーリン、キーボードはMSGのアンディ・ネイといった英国ハード人脈に、ヴォーカル・ギターを務めるトニー・クルックスなる人物が参加する陣容。
参加人脈を無駄にすることなく、ブルージーな味わいも隠し味に、大人が聴いても恥ずかしくないハードポップサウンド披露。キーボードの使い方もコマーシャル性を高めるだけではなく、空間演出にも一役買っており、温和な感触を与えていることに成功している。
唄を中心とした作りの為にハードさやスリルといった面は薄味だが、ベテランミュージシャンが揃っているだけに楽曲は粒揃い、質の高いハードポップサウンドはTen Years Afterとは真逆なれど、どれもがヒットソングになり得るポテンシャルを秘めています。とは言えリリース時の状況が悪かった。1992年に80年代的な楽曲に需要などなく、思った成功を収められなかったと言われている。今となっては、誰も知らないバンドかもしれないが、英国的な味わいと洗練されたポップロックを楽しみたい方なら、是非ともトライして欲しい一品ですね。DANGER DNGERとかFIREHOUSEの曲をシャッフルして聴いても違和感のないクオリティを携えていますのでね。その筋のマニアにも聴いて欲しいです。


MOTHERLODE - The Sanctuary - Live It Out ★★★ (2020-02-01 21:34:54)

ワイルドな雰囲気もエエです
コーラスの重ね方も正解
煩わしいと思わせるハイトーンを緩和させた
これくらいが丁度よいぞ


MOTHERLODE - The Sanctuary ★★★ (2020-02-01 21:27:19)

北欧はスウェーデンのメロディアスHM/HRバンドの1st。よく伸びをハイトーンヴォイスを中心とした作りは、何を聴かせたいかを明確にしているので、その筋のマニアなら安心して手を出せる。基本は冷ややかで瑞々しい北欧ハードポップサウンドだが、ノリのよいロックナンバーやお約束のバラードとバラエティに富んだ楽曲を収録、CD化の際にボートラを加え15曲となったために胃もたれするも、最後まで聴かせる手腕は見事でしょう。
ここで歌うソニー・ラーソンさんはXTでも歌っているので、少々感に触るハイトーンだよなぁと感じる人もいるでしょうけど、バランスを大切にした曲作りがされているので、好意的に受け止めれるでしょう。
ちなみに今作のアディショナルミュージシャンとしてマグナムのキーボードプレイヤーのマーク・スタンウェイがクレジットされているのに驚きました。レコーディング場所もUKとなっているし、あのマークかと思います。思わぬゲスト参加に違った方面のマニアの食指も伸びそうですが、北欧らしい澄んだ空気を味わってほしいです。


DEMON EYES - Rites of Chaos ★★★ (2020-01-31 02:45:48)

NWOBHMに触発されたのは間違いないと思わせるフランス産のHM/HRバンドの1st。押して押して押しまくるスピード勝負の楽曲は、垢抜けないイモ臭さがあるにも関わらず、英国でもドイツでもないフランスならではの華麗な印象を抱かせるフレーズも飛び出たりと、強直スピードメタル路線なのに、フランス語の語感が表す温和な空気、そして歌メロの持って行き方なども含め、独自のカラーを持っているのが強い。同時期に活動していたSortilègeあたりを思い出すのだが、ドラマーのボブ・スネイクさんがヘルプで叩いたりと共通点もあり、フランスのメタルシーンの活況と言えばよいのか人材難なのかは分かりませんが、交流があったのは間違いないでしょう。
レーベルは悪名高きエボニーですから、音質云々などの製品としてクオリティは望めませんが、バンドとしての熱量、その技術云々では計り知れない、内に秘めたる野望がエナジーと化し見事に音に現れています。

フランスのメタルシーンは後発で、英国や米国から比べると劣ると目されたメディアの適切ではない情報、今の若い人に信じてもらえないだろうが、ドイツなど第三国扱い、北欧なんて辺境地ですよ。そんな偏った情報のせいで、見誤ったマニアも多いと思いますが、地図を考えればNWOBHMの影響を大陸続きで見れば、フランスなどモロに飛び火するに決まっているのだから、このバンドのような優れたスピードメタル系が登場するのは当然と言える。スピード重視の前のめりの姿勢、どの曲もイケイケドンドンと攻め込んでくる威勢のよさに、これぞヘヴィメタルと膝を打ちたくなる魅力が満載です。

エボニーのカタログは勿論ですが、NWOBHMの歴史的にも優れた一枚と言えるでしょう。この時代に、ここまでの攻撃性をインディーズ系のバンドが携えていたという事実に興奮しますね。


GUY MANN DUDE - Mannic Distortion ★★★ (2020-01-29 13:54:48)

前作から2年後にリリースされた2枚目。前作同様、バリー・スパークスとデヴィット・イーグルのリズム隊に変更はないが、主役たるガイさんが、リードヴォーカルも担当と今回は歌入れのソロ作にトライしています。
作風は、パワー漲るスラッシーなサウンドに進んでおり、前作のような聴かせるパワーメタルインスト路線とは、また違った印象を与えるのだが、彼のテクニカルなプレイは惜しげもなくねじ込まれており、畳みかけるスピードプレイの数々、ザクザクと刻まれるリフから力技のど派手はギターソロなど見せ場は多い。本当にアトラクション感覚の遊びというが、お楽しみがあるのが面白い。今回は歌もあるという事で、スピード一辺倒にならずミドルナンバーも設けている、そのおかげで彼の大胆不敵な豪胆さの中にある緻密な構成力というのが、今まで以上に浮き彫りとなり、ストレートな作風の中にある仕掛が効果的に効いていると言えよう。
1stの破天荒なスピードメタルも好きだが、強度を高めた鋼鉄リフが唸りまくる今作も、もう一つの顔として楽しみましたね。
自主制作&チェコのマイナーレーベルリリースの為に、絶望的な認知度となるし手に入れるのも困難な状況下にあるのだが、パワー/スラッシュサウンドが好物の方なら損はしないクオリティですよ。ギター小僧も彼のスリルと火を噴くど派手はプレイを体感して欲しいですね。


GUY MANN DUDE - Sleight of Hand ★★★ (2020-01-29 13:29:58)

プロキャリアのスタートはドラマーだったという異色の経歴の持ち主として知られるアメリカ人ギタリストのソロアルバム。
ギタリストしてはロビン・ベックやケイン・ロバーツの後任としてアリス・クーパーのバンドに参加したり(ヒット作『Trash』に参加)、映画『ショッカー』のサントラのスペシャルプロジェクトチームに加わったりと(ポール・スタンレーやトミー・リーのいたバンド)、名前を売っていた時期にMCAからリリースされたインストアルバム。
とにかくど派手に弾き倒すエネルギッシュな一枚、押して押して押しまくりメタリックなサウンドに圧倒されっぱなしなのだが、少々味付けがクド目の為に、体調が悪いときは消化不良を起こしそうになるのが難点。一曲一曲の完成度の高さ、そしてあらゆるテクニックを詰め込み、これでも食らえと言わんばかりの速弾きに息を飲むのだが、バランス感覚というのが評価の分かれ目になるでしょうね。
なんだかんだ言っても個人的には溢れ出る情熱と技巧を両立させた、彼のプロデュース力に惹き寄せられました。甘さやポップフィーリングなどを排除した、強直鋼鉄サウンドの力強い響き、火を噴くようなど派手さと攻撃性にグイグイともってかれますよね。


Steel Crown - Sunset Warriors - When a Woman Calls ★★★ (2020-01-28 14:08:06)

甘い声で歌っていますね
英国的なリフワークと欧州型のロマンティックなメロディ
なんか懐かしいです
そして日本的な匂いもしますね
ギターも印象的なフレーズを奏でていますよ
硬軟交えたギターワークは実にカッコいいです


Steel Crown - Sunset Warriors ★★★ (2020-01-28 14:05:18)

図画工作2の少年が一生懸命頑張って、北斗の拳の世界観でも描きたかったのか?このジャケをチョイスした奴のセンスに一周回って脱帽するのだが、初めて見たときは、おい冗談だろと心で呟きひっそりと棚に戻しました。
後年、あれがイタリアンメタル市場におして、名を残す名盤と教わったときは驚いたのだが、2009年にEPとのカップリングで復活。多くのクサレマニアを歓喜させた出来事でしたね。

音楽性はNWOBHMの影響も強い正攻法で迫る正統派サウンドを披露。音質のぬるま湯感など、ものともしない熱量があるのだが、そこまで辿り着けるかが重要でしょうね。攻撃性と泣かせの叙情パートの配置もうまく、力技で押し切らない構成は見事。少々歌い切れていない印象を与えるシンガーもカチッとハマればバンドの魅力も倍増と、磨けば光るポテンシャルを感じさせるバンドでした。
このバンド、ヴォーカルのヨーコ・デ・ボニスが、バンドが出場するロックフェスティバルに参加するために、自らが運転するバイクが事故にあり死亡、そのステージはどうなったのだろう?そしてバンドは悲劇と共に解散しました(男闘呼組主演の映画を思い出すな)

CD化も遅く、ヘナチョコジャケにバンドは短命、音楽性は時代遅れとくれば、86年の最中に誰がフォローするんだという事で、忘れ去られた感はMAXレボリューションなんでしょうけど、このアルバム一番の悲劇はレーベルが、ダンス専門のレコード会社ということ、そして当時のイタリアのシーンに、このバンドの出したい音をレコーディングする環境もアドバイスするプロデューサーもいなかったという事だろう。個人的には磨けば光る佳曲揃いの名盤と言いたい。


DARK QUARTERER - The Etruscan Prophecy ★★★ (2020-01-28 13:38:28)

1stから間髪入れずにリリースされた2nd。これが見違えるように垢抜けた印象を与えている。やはり音質がぐっと良くなったことが一番の要因だろうが、音の抜けがよくなり、このバンドの全容が見えたといえよう。また1stに漂う古臭さ、いつの時代のマテリアルを世に出したんだと、こちらが勘繰りたくなるようなレトロ感だったのですが、今作は概ね、1stの世界観を引き継いでいるのに、スッキリとした印象は疾走感のあるオープニングのおかげだろう。
全6曲で38分、しかの②④は2分少々の小曲です。ですから前回よりも濃厚な世界観を打ち出しています。こうなると、専任シンガーのいない唄の弱さも露見したりと、聴かせ方が小慣れてきた分、欠点も目立ち始めて入るのだが、音質云々では計り知れないの密度の濃いリズム隊の豪胆さ、そして、唄以上に歌いまくるリードギターの芸術的なセンスの高さ、その美意識に包まれる濃厚なエピックメタルの世界観に、マニアならずとも飲み込まれるでしょう。
起承転結のある9分前後の楽曲はどれもが、静と動、美と醜、世のコントラストを描き切っており、エピックメタルの歴史に名を残す一枚かと思いますよ。


DARK QUARTERER - Dark Quarterer ★★★ (2020-01-28 13:18:32)

古くは70年代からOmega Rというバンド名で活動していた古参イタリアンメタルバンドの1st。メタルバブル弾ける87年にリリースされた今作ですが、おい冗談だろといいたくなるようなレトロサウンドを披露。ダークでミステリアスなエピカルなムードもあるし、サバスティカルな側面もある、その一筋縄ではいかない悪魔的な響きの中で、ギタリストは丁寧に美しいフレーズを奏で、繊細かつ大胆なタッチはリッチー・ブラックモアフリークぶりを発揮と、日本人にも受けそうなスタイルで聴き手を魅了するでしょう。元がプログレバンドだったらしく、その影響は丁寧に折り重ねた重厚なアンサンブルからも感じ取れるが、このバンドはもっとヘヴィメタルに軸足を置いているので、難解さなど皆無だ。それでも全6曲で44分のボリュームは、濃厚な味付けだと言う事を物語っていますよね。
エピックメタルの重鎮、マニラロードあたりがいける方なら問題なく楽しめるでしょう。濃度を薄める役割を果たした様式美系のテクニカルなギターに釘付けです。そしてシケシケ具合にマニアは歓喜するんですよね。


NIGHTMARE - Waiting for the Twilight ★★★ (2020-01-24 13:06:58)

フランスのメイデンと呼ばれた正統派HM/HRバンドのデビュー作。風呂場で演奏したものを録音したのですかと言いたくなる、リバーブの掛かった独特の音質に、EBONYめ、やりやがったなぁとなるのですが、マニアなら問題なしも耐性のないかたは、コロナウイルス到来と言わんばかりに、どうしようかと対策に頭を抱えるでしょうね。これがEBONYなのですよ。

フランスメタルならではの優美なメロディ、そしてメイデン、UFO、SCORPIONS、JPといった先人たちからの影響を包み隠さずに再構築することで、伝統的なHM/HRサウンドを継承することに成功。またツインリードがバンドの顔となり、印象的なフレーズを随所にねじ込み、メタルバンドかくあるべきな攻撃性を存分に見せつけている。この辺りは時代的にもNWOBHMの後押しも大きかったのだろう。

叙情美溢れる哀愁のメロディ、そこに口当たりのようマイルドさを加味させたのがフレンチ産ならではというのなら、立派なジャンルの確立と言える。この独特の感触を楽しまないのは勿体ないですよね。


KILLERS(FRENCH) - Résistances ★★★ (2020-01-24 12:46:01)

イタリア、ロシア、ベルギー、ポーランドなど、ヨーロピアンメタルの世界を探求している時期に教えてもらったバンドがこちら、ワタクシのKILLERS初体験となるのですが、これが理屈に抜きにカッコよかった。
ジャーマン系に通ずる勇壮さ、武骨な佇まいのパワー/スピードHM/HRナンバーなのに、そこはかと流れるお国柄を表す優美なメロセンス、その絶妙な噛み合わせは、いい意味での聴きやすさを誘発、一本気にならない構成力の高さも合わせ技にドラマ性を追及。ロシアのARIAが初期Helloweenをカヴァーしているような曲調もあったりと、日本でも需要はありそうなのだが、フランス語というのがネックなのか全然認知度を上げられていないのが残念です。
欧州型のメロディックパワー/スピードHM/HRサウンドを踏襲した音楽性は、1988年という時代を考証しても、質も高くオリジナルティを研磨しており、鋭く切れ込んでくるツインギターの構成力の高さ、そのアイデア豊富なプレイは王道を押さえつつも、優雅に舞い踊る扇情的なフレーズをぶっこみ多くの見せ場を作る事に成功と、このバンドの高いドラマ性を担っている。
またシンガーがロニー・アトキンス似の声質もあり、初期Pretty Maidsのような、ヘヴィメタルに実直だった時代と被る部分もあったりと、音楽性は多様だが一本筋が通っているのも魅力的。
聴き手の見る角度で評価もいろいろと有りそうだが、緩急を設けた起承転結のある展開、TOPギアに入ったスピードだけで勝負しない姿勢は大いに買いですよ。


PAGAN ALTAR - Volume 1 ★★★ (2020-01-23 19:50:16)

知る人ぞ知るNWOBHM期にデビューを果たした英国産の哀愁系のドゥームHM/HRバンドの1st。1982年に録音していた音源を、2000年を前にようやく世に出たのですからね、関係者ならずとも万感の思いですよ。
どこか、いなたい哀愁のメロディ、オカルトテイストを演出する曲調は静寂なる闇の奥深くから聞こえてくる魔界演舞。深く沈み込むリズム、リフに引っ張られ聴き手の感性を刺激、容赦なく理性を蹂躙していくでしょう。
これほどの優れた作品が、時代の波に飲まれお蔵入りしていたんだから、タイムリーにリリースされていたら、どうなっていたのかと興味を覚えますが、単なるフォロワーで終わらない、彼ら独自の悲哀が滲み出たメロディの数々、ヴォーカルの持って生き方もオジーだが、その冷たく突き放す、永久凍土の如き冷たいメロディが独自性をアピール、メチャクチャにサバスティカルしていても、似て非なると印象付けたのは大きかった。サバスフリークも勿論だが、ドゥーム系以外のマニアにもアピール出来る泣かせポイントは実に魅力的でしたね。
背徳の美学を描くサタニカルドゥームサウンド、その激しくも悲哀に満ちた繊細なメロディを紡ぐことで生み出された、彼らの流のスタイル。力技で押し切らない細やかな展開の妙味で聴かせる手腕は見事ですよ。


Punish - The Pain of Electricity ★★★ (2020-01-21 19:27:52)

久保田陽子(Fast Draw、SProvidence、ABER TIGER)。石原慎一郎(Earthshaker、SLY)。寺沢功一(BLIZARD、SLY、BLIND PIG、RIDER CHIPS)。西田竜一(ACTION、NOVELA、 VIENNA、 JACKS'N'JOKER、 LOUDNESS)の4人からなるスーパーロックグループが2019年にリリースしたEP。手売り感満載の為に、全然流通していないのだが(せめてAmazonでうりましょうよ)歴戦の兵が集いしバンドに死角なし、シャラのメロディアスかつハードなギターとテクニカルかつアグレッシブなヘヴィグルーブを従え、天賦の才の見せつけるメロディメイカーのフック満載の歌メロと、潤いのある歌声、彼らのファンは勿論だが、久保田お得意の泣かせの叙情メロディも炸裂しており、イメージを損なわない現代的なサウンドで勝負。
古典を踏襲しつつも、紫色の虹やフライングVが飛翔するスタイルではない、日本的な情緒を生かしたスタイル、それは古さに埋没しない現代的なアイデアも盛り込み、無理をしない等身大の解釈で、自らが愛するハードサウンドを奏でているのが、聴いていて心地が良い。とにかく久保田のメロセンス、サーベル時代から通ずる美メロの数々にウットリと聞き惚れてしまう。
そこにシャラのハードギターが絡むのだから、悪いわけがない。
テクニックはあるのに、活動するバンドの多くが作品をリリースしていない時期に参加するという不運に見舞われた西田竜一も、最近ではLOUDNESSのサポートによって、ようやくハードシーンにその名を浸透することに成功しただろう。
この時期にこういうバンドに参加して音源を残せたのは意味のあることです。
全5曲入りのEPの為に、全容を見せたとは言い難いが、疾走ナンバーからバラードまで披露と、このバンドの懐の深さとポテンシャルの片鱗は見せてくれました。あとは、もっと強力なサポートを受け、しっかりと音源を世に伝えられるように頑張って欲しいものです。このままでは、そんなバンドあったのになりかねませんのでね。小さい箱を回るのもエエけど、もっと皆に知られて欲しいね。


ANTHEM - Gypsy Ways + Hunting Time 30th Anniversary Live ★★★ (2020-01-20 20:50:59)

アンセムのアルバム完全再現ライブ。かつて坂本英三と本間大嗣がいた時代にやっているのだが、今作の重要性は森川之雄が歌う事により、完成形に辿るだろうという期待値と、そのパフォーマンス力を再確認することだろう。
正直、森川復活の音源などで、何度か登場している曲もあったりとフレッシュ感は薄々なのだが、それでも今後は貴重になるテイクもあるだろと思うと、無視するわけにはいきませんね。
現在の彼らが再現してくれた軌跡。その道筋はけして平坦なものではなかった。この2枚のアルバムリリース時はバンドブームが到来。アンセムのようなバンドはダサい存在だった。そんな苦しい時期に、我々正統派HM/HRファンの良心として、心の礎としてシーンに叩きつけてきた鋼鉄サウンドの数々。名曲「LET YOUR HEART BEAT」を聴いている間、走馬灯のように、あの時代を思い返しました。
テクノロジーの発達の恩恵を受けたライブ盤。MAD大内の参加もマニアにはたまらんだろうし、Hunting Timeの再現におけるYUHKIの存在はとても重要だった。あらゆる意味で、往年の名盤に敬意を払い汚すことのなかった再現ライブの充実度。福田洋也の強引さも、自分流儀に落とし込み、卓越したプレイで再構築した清水のセンスに脱帽。ただただ敬服しましたね。柴田師匠もライブならではの臨場感あふれるベースプレイで魅了。一期一会感も増幅させてくれました。
大内のドラムも懐かしい空気満載、田丸勇も気鋭のドラミングでアンセムサウンドのボトムを支えてくれました。

ファンにとっては渾身のパフォーマンスを堪能できるが為に、ノスタルジーを擽る以上の楽しみが出来ただろうし、アンセムビギナーには、代表作をゲスト参加などの演出込みで楽しめるのだが、羨ましい限りですよ。

今年は節目となる35周年もあるし、海外のフェスに参加も決まっている我が国の至宝。快進撃に期待していますよ。


JERUSALEM - Jerusalem ★★★ (2020-01-19 18:12:49)

イラン・ギランのプロデュースをうけデビューした英国の5人組。まんまDP路線を継承するようなオープニングナンバーにグイグイと惹き寄せられますが、英国ハードサウンドの系譜に連なるダイナミックなサウンドはリフを基調に積み上げ、熱量の高いエモーションを内包、その内に秘めたる熱情に火傷しそうになります。
スピーディーで過激なのに、どこかどっしりと重心構える姿勢は、ふてぶてしくも挑発的であり、のちのNWOBHMムーブメントの雛形となるスタイルを形成、さらに歯切れ内良い楽曲は音作りにも反映と、どこか粗暴な原始ロックな如き響きのおかげで、ワンパターンの出オチバンドとは一線を画す、クオリティと強烈なアイデンティティを誇示しています。
アグレッシブなリフワークから繰り出される疾走ビートの心地よさ、雄たけびを上げる歌い手の迫力、若さに負けない内包するパワー、それらが強烈なエネルギーとなり、放出されているのが印象的です。
これ一枚で終わったために、歴史に埋もれた感はあるのだが、2005年には日本盤のCD化もされ、2009年には再結成アルバムをリリースしたかれら、英国ハードサウンドマニアは勿論だが、古典ロックの凄みを味わいたい方にもおススメですね。ビックネームだけが全てではない、こういう作品に触れる度に思い知らされますね。
当時の事は知りませんが、DP同様、この作品、もっと注目されても良かったんじゃない?


HUSTLER - Play Loud ★★★ (2020-01-19 17:48:21)

オリジナルは1975年リリースの2nd。プロデューサーに、ロイ・トーマス・ベイカーを迎え音楽性と統一、ミドルナンバー中心ではあるが、英国らしい憂いのあるメロディとハードブギーサウンドが心地よく鳴り響き、タイトなリズムが締め上げるソリッドな質感とアーシーなブルース臭が絶妙に絡み、大陸的なグルーブとメロなのに、カラッならないのがお家芸ともいえるスタイルを披露。英国の伝統を色濃く伝えてくれます。
無駄の装飾を削ぎ落したサウンドは、骨太なのに、ほんのりと泣かせの情緒を加味させているのが、日本人の島国感情に訴えかけますね。今作を最後に解散してしまったが為に、イマイチ認知度を広められていないのだが、英国ロック好きは勿論だが、70年代ならではのアーティスティックな古典ロックの鋭い感性にグッと惹き寄せられるでしょうね。


STRIDER - Exposed ★★★ (2020-01-18 19:26:08)

オリジナルは1973年にリリースされた英国産ハードブルースロックバンドの1st。ピアノとハードなギターを武器に、嗄れ声の歌い手のコシの強いパフォーマンスに魅了。派手さはないが、ハードビートを叩き出すリズム隊のヘヴィグルーブに酔いしれます。
そのダイナミズム溢れるアンサンブルの旨味、熱を帯びた濃厚なサウンドとの絡みも上々と、デビュー作ながら、このバンドの個性を全開に披露している。垢抜けないどんより感も英国ならでは、その煮え切らないメロディに抒情性を感じさせつつも、骨太なグルーブがストレートにかき鳴らされており、ゴツゴツとした荒っぽい感触があるのが今作の聴き所。エッジの立ったタイトで躍動感に溢れるロックサウンドは、この時代ならではの旨味でしょう。


HUSTLER - High Street ★★★ (2020-01-18 18:57:31)

知る人ぞ知る本格派の英国産HRバンドのデビュー作。芯の強いシンガーの歌声は野性味に溢れているが、同時に繊細さも加味しており滋味深い哀愁を醸し出している。そんな歌い手の声質に合わせるように、パープル風味満点のハードサウンドを披露してくれるのですが、中盤では英国産ハードブギーロックも顔を出し、クラシカルロックの重厚感だけではない、お気楽なパブロック的な親しみやすさも顔を覗かせ、多様な音楽性を披露。アーシーなシャッフル系のロックの素朴は味わいに、楽しくなるのですが、個人的には、グッと引き寄せられたクラシックロックの旨味に溢れた①、パープル万歳な攻撃性の高い②、清らか濁りのあるゴスペル調のスローナンバー③と頭3曲の聴かせ方の上手さに、このバンドの凄みを感じます。
ギターとオルガンが交差するブリティッシュハード路線の⑧⑨の持って生き方も泣かせるぞ、ストリングスも効果的に使い、哀愁味前回の英国ハードサウンドのニヒリズム感にジリジリとさせられました。
70年代の音楽は、本当に古さを感じさせないオリジナリティに溢れている、経年劣化しない真正ロックの醍醐味に是非ともふれて欲しいですね。


ARCH RIVAL - In the Face of Danger ★★★ (2020-01-17 20:06:54)

デイヴィット・T・チャステインの助力もあり、1990年リリースのレザー・レオーネのソロに抜擢されたギタリストのマイケル・ハリス擁するバンドのデビュー作。力強いシンガーと技巧的なギタリストがいるというのはHM/HR系のバンドにとっては、生命線ともいえる重要な要素を抑えることに成功。少々、拝借フレーズも気になるのだが、91年という背景を考えると貴重な音楽性のバンドであり、硬質なサウンドと、いい意味で隙間のある音は、アメリカ的なグルーブと、欧州的な質感のメロディとの繋ぎとなり、絶妙な空気を生み出している。
安定感のある演奏、良いメロディをかけるソングライティング力、歌メロのセンスも良い、あとは、このバンドの顔になる個性を磨けば大物になる予感すらあったのだが、この手の音を望む層の薄さ、アウェー感にさらされたのは残念でなりませね。
90年代という時代をものともしない、古き良きHM/HRの伝統をキッチリと受け継いだ音楽性、個性なしで切り捨てるのは惜しいバンドでしたね。


JETBOY - Damned Nation - Too Late ★★★ (2020-01-17 19:43:35)

ムード満点です
酔わせてくれますね
こういう曲を上手く料理できる技量に目を見張ります
こういう雰囲気は好きですね
甘すぎず渋すぎない売れる可能性を秘めているの一曲
売れそうで弾けなかったバンドを象徴しています


JETBOY - Damned Nation ★★★ (2020-01-17 19:40:22)

モヒカン姿もインパクト大なミッキー・フィン、ベースにサム・ヤッファもいたりと話題性はあったが、イマイチ跳ねなかったバンドの2枚目(今作リリース時にサム・ヤッファは脱退していた)。
ど派手な見た目のわりに、音楽性はかなりしっかりとしており、地に足の着いたロックサウンドで魅了。適度なハードさと重さを残したサウンド、そして個性的のはルックスだけではないミッキーのおかげで、このバンドの個性というのが明確に提示されていたのは強かった。悪っぽいダーティーさも香るが、それよりもブルージーなフレーバーとメジャー流通のロックサウンドとの配合比が絶妙に振り分けられており、能天気で終わらない男っぽさが効果的な役割を果たしている。
そして演奏や歌に人間味を感じさせたのが、人工甘味料すぎるL.A勢の違いを打ち出しているのがポイント。一瞬ではあるが、ガンズの対抗馬と目されたのは、けっして間違いではないと思わせるクオリティを誇っていますよ。


ARCH RIVAL - Third Degree Burns ★★★ (2020-01-16 19:33:04)

80年代から活動していたUS産の正統派メタルバンドの3rd。US産とはいっても情緒のあるメロディが耳を引く展開、特にギタリストのマイケル・ハリスはかなりの実力者であり、場の空気を乱すことなくフラッシューに引いたかと思えば、ソロでは流麗にキメる腕前を披露、欧州メタルにも通ずる音楽性との相性は抜群だったと思います。
ストレートに伸びる声質も、この音楽性にバッチリとハマり、ヘヴィメタルの旨味をギュッと凝縮しているのだが、やや間延びする緊張感の緩めのミックスが少々気になるのがマイナス。それでも耳に残るメロディとフレーズ、リフワーク一つとってもキャッチーで親しみやすいのも印象的であり、1997年リリースという時期の悪さがなければ、芯の通ったUS産正統派HM/HRのダイナミズムを堪能出来る一枚として、マニア筋以外にも歓迎されていたでしょうね。


MARK FREE - Long Way From Love - Stranger Among Us ★★★ (2020-01-14 21:47:26)

キラキラと眩い光を浴びながら弾けまくっていますよね
溢れるポップフィーリングとマークの力強い歌声
サビでの泣かせ方が半端ないっス


MARK FREE - Long Way From Love - Something You'll Come Running ★★★ (2020-01-14 21:45:49)

ありゃりゃ
ずっとコメントしてると思っていました
ため息が漏れますね
この哀愁にやられっぱなしです
サビメロの美しいこと
盛り上がりますなぁ
サビにむかっての展開の妙なんですけどね


MARK FREE - Long Way From Love - Look Love in the Eye ★★★ (2020-01-14 21:42:08)

大人の歌声ですね
ムードも満点だし都会的でオシャレな雰囲気もあります
こういう歌モノを様にできるマークが凄い
ランダル親子が大活躍のアルバムですね


MARK FREE - Long Way From Love - State of Love ★★★ (2020-01-14 21:39:46)

マークのチョイハスキーがこれまた艶やかでエエです
哀愁のあるメロディとの組み合わせもバッチリ
エエわ
このフィーリングがメチャクチャええ


AEROSMITH - Draw the Line - Kings and Queens ★★★ (2020-01-14 21:31:25)

個人的にエアロスミスの中では一二を争う名曲
やるせない哀愁がとめどなく溢れ出ています


FATE - A Matter of Attitude - I Can't Stand Losing You ★★★ (2020-01-14 21:29:32)

弾けとるわ
弾けまくっとる
哀切を讃えたメロディと極上のポップセンス
北欧ハードポップを代表するようなメジャー感
でもギターはここぞという場面で弾き倒しています


CURVED AIR - Air Cut - Easy ★★★ (2020-01-09 03:36:38)

ジャジーかつクラシカルなピアノの音色が耳を引きます
割とブルージー面も強めだったりと一言で表せない音楽性も魅力
ムード満点のハードギターも素晴らしい
でも娼婦のような艶っぽさも感じさせる悲哀を込めた歌唱が一番だろう
派手目のインストプレイからのキーボードが唸るパートもエエわ


CURVED AIR - Phantasmagoria ★★★ (2020-01-09 03:28:21)

ベースにマイク・ウェジウッドが参加、バンドの体制も強化され音楽的な方向性も固まりだした、初期の代表作に押される3枚目のアルバム。オープニングから幻想的なメロディが舞い踊るロマン溢れるエレクトリックなフォークロックで掴みはOK。その流れを損なうことなく、次のMELINDA(More or Less)フルートの音色も悲しいフォークサウンドで魅了と、前作までに感じた実験的要素を排除し、何をしたいのかを明確にアピールしているように感じさせたのは大正解だろう。
Not Quite The Sameではブラスバンドも大活躍、ささやくような歌いまわしの絶妙、コケティッシュな魅力のみならず、妖艶さに磨きがかかるソーニャ嬢だが、ここでは愛くるしい乙女といった様相と面白いです。
Cheetahではキレのあるヴァイオリンに導かれスリル満点の演奏を堪能できるインストが登場、このバンドの魅力を余すことなく伝えているが、どの楽曲もコンパクトに纏められ、聞きやすく仕上げたバンドの勝ちだろう。その中で8曲目に登場する「Over And Above」の濃厚な展開に酔いしれます。もっと大作ナンバーが欲しいという願望はあるのだが、ここまで色彩豊かな楽曲を揃えられると文句も言えず、方向性を固めた今作の親しみやすさに諸手を挙げて万歳といけますね。
でも前2作よりはロック色が薄まったといえるので、ハードなものが主食に方には物足りなさも強まったでしょう。そのあたりが評価を分けそうですが、素直に耳を傾ければ、初期の代表作に偽りなしの名盤と断言できる出来栄えを誇ってるでしょう。


橋本ミユキ - One Night Angel ★★ (2020-01-09 03:05:48)

44マグナムのメンバーからのバックアップをうけ華々しくデビューした女性シンガーのソロアルバム。リリース時期は1984年ですからね。懐かしいなぁ。
サウンドの方はハードなギターも飛び出す、打ち込み系のビートも心地よい所謂ビーイング系に通ずるサウンドを披露。広瀬を始めマグナムのメンバーがバックを固め、キーボートには増田隆宜とある意味、絶妙なラインナップを揃えているだけに、クオリティは一級品、楽曲も彼らが担当とぬかりはありませんが、当時はアイドルロックみたないな扱いで、片づけられた記憶しかないのですが、こうして時を経て耳を傾ければ、ミユキ嬢は、けして楽曲に力負けすることなく食らいつき検討していますね。
またマグナムのメンバーも、この手の華やかなポップ系にも柔軟に対応、ライトな歌謡ロックに楔を打ち込むようにメリハリを利かしています。
とはいいつつも、一度に通して聴けるほど、この手のポップスには耐性が出来てないために前半後半と分け、ハードサウンドに疲弊した耳を休める役割として、年一程度の出番なのだが、存分に楽しんでいます。
アルディアスが別冊の表紙を飾るのには飽きた、なんか編集部と関係あるのかと辟易しているマニアには、こっそりとこんなんもありますよと、教えておきたいですね。


CURVED AIR - Phantasmagoria - Melinda (More or Less) ★★★ (2020-01-06 18:27:40)

シンプルな構成も悪くないです
ソーニャ嬢の繊細な歌声も魅力的
フルートの音色も泣かせます
そしてヴァイオリンのパートが登場
感傷的なメロディが木枯らしの如く吹いていくアコースティカルな小曲
3分少々では短いと思わせたバンドの勝ちです


CURVED AIR - Phantasmagoria - Marie Antoinette ★★★ (2020-01-06 18:23:42)

ロマンティックですね
優美で温かみのある曲です
でもどこかミステリアスな雰囲気も漂うのが癖になる
当然そのまま進行する分けはなく
中盤のパートから表情を変えるのもこのバンドならではの魅力
マイク・ウェッジウッドのベースも耳を惹きますね


CURVED AIR - Second Album ★★★ (2020-01-06 18:17:24)

女性シンガー、ソーニャ・クリスティーナ擁する英国産クラシカル・フォークプログレバンドの2枚目。前半はキーボードのフランシス・モンクマンが後半はダリル・ウェイが楽曲を手掛ける構成という形になっているが、これが非常の明確なコントラストを生み出しており、音楽的イニシアチブを握る二人のアイデアが交差する様に、このバンド独特の緊張感が産み落とされているようだ。

個人的に、このバンドに初めて触れたのが今作であり、アートな感覚に支配された斬新さもあるのだが、高尚で難解なプログレサウンドをは一線を画す、いい意味での親しみやすさ、難しい事をやっているのに、優美な感性に包まれているのが一聴したときに感じた肌感覚だった。

多彩な鍵盤楽器とヴァイオリンが織りなすハーモニーの豊潤さ、その多彩なる卓越した表現力は、まさにアートロックと呼ぶに相応しい、ひと時を前半では繰り広げられるのだが、ダリルに主導権が移った途端、サイケな顔を覗かせ、アバンギャルドに展開、ジャズにも通ずるインタープレイも数々に息を飲む。
このアイデア豊富な楽曲群に、もう少しハードなモノを好むワタクシでも、知己を得たような気分になったのは昨日の事のように鮮明に思い出される。

個性的なサウンドの中で、時には少女のようにコケティシュな魅力を振りまき、一層の優美さを楽曲に与えたソーニャ嬢。彼女の表現力の豊かさは、そんなものに留まることなどなく、コチラの心を見透かすように大胆に声色を使い分け、魔性な部分を巧みに演出、このバンドの顔として、彼女の存在なくして語る事は不可能と言いたくなる程、重要なキャストを演じている。

こうして改めて聴くと実験的な要素も多いのだが、やはりクラシックに造詣の深いメンバーがいる為に、整合感が高いのが印象的。この手のプログレサウンドにありがちな、分かる奴だけついてこい的なニュアンスよりも、枠内の中で最大限にイマジネーションを膨らませ、我々一般的な感性でも理解できるような、親しみやすさが最大の聴きどころだろう。


TRöJAN - Chasing the Storm ★★★ (2020-01-05 22:00:30)

1982年にエボニー主催のコンピ作Metal Maniaxeに参加したりとデビュー時にチャンスを得たがバンドは解散。その後、ギターのピート・ウェイドソンが新メンバーを集めバンド再興を模索、その流れでロード・ランナーと契約のチャンスを掴んだのが今作です。まさにレーベルの趣向に合致するように、パワフルかつスピーディーなメタルサウンドを披露。プレスラッシュ群の一つではあるのだが、彼らは完全に正統派スタイルからの派生であり、NWOBHMの影響も当然受けたスタイルとなるだろう。

音質も良くないし、今となっては古典メタルの一つとなるのだろうが、溢れんばかりのパワーと、メロディを蔑にしない破天荒とも言えるキレっぷり、その情緒に満ちたリードプレイの数々には、メタル魂を大いに奮い立たされるものだが、やはり音質が足を引っ張っていると言える。それでも暴れまくっているのに、メロディアスと感じさせる技量に、へヴィメタルかくあるべきと言いたくなる魅力が満載。熱いエナジーが迸るのにクールに感じさせる、この手のバンド&レーベルにありがちな、極端さが薄めの為に、バランス感覚に優れていると思うのだが、スピード重視の姿勢が貫かれまくっている、このバンドの立ち位置が正統性に重きを置いておる証拠でしょう。
適切なプロモーションを受けれたならば、我が国でも歓迎される要素も大だった歴史に名を残す隠れた一品。バンドは一枚でリリースを終えるのだが、バンド名をTaliönと変え、1989年に実質2枚目のアルバムをリリースしています。そちらも強烈なアグレッションサウンドを披露していますよ。


Dave Evans and Thunder down Under - Thunder down Under ★★ (2020-01-04 18:44:36)

初代AC/DCのシンガーとして知られるデイブ・エヴァンスが立ち上げたソロバンドの1st。1986年リリースと言う事も有り、BON JOVI的な手法も取り込みつつも、よりオーセンティックでブルージーな音楽性で勝負を掛けた一枚。
派手すぎず古臭く聴かせない絶妙なところを突いてくるのが憎い。主役たるデイブさんも、ブルージーな歌唱スタイルで魅了。その熱を帯びつつもクールな出で立ちは、中々どうして悪くないのだが、AC/DCのようなシンプルハードサウンドにおいては、もう少し押しの強い唄い手を所望していたんだろう。その為に、早々とバンドを追いやられたと言う苦い経験の持ち主として知られるエヴァンス氏です。
海外の長距離トラックの運転手に愛されそうなシンプルロック、メロディアスだし、この手のサウンドに不似合いなキーボードも導入とモダンさも十分にある。ZZ TOPとか好きな人なら十分に楽しめそうな音楽性なのだが、少々歌モノ中心に舵を切っている為に、AORチックなロックとも言える。その中途半端さが評価を分ける最大のポイントだろう。
唄で酔わせるタイプのシンガーではないのでね。


CURVED AIR - Live - Everdance ★★★ (2020-01-03 22:23:58)

狂ったようにシャウトしまくるクリスティーナ嬢
ステージ上における異常な熱気が手に取るように伝わる
ヴァイオリンに導かれ皆が暴れている
無軌道にさせない統率力の高さに脱帽
様々なアイデアをコラージュさせた結晶だろう


CURVED AIR - Live ★★★ (2020-01-03 22:07:04)

ダリル・ウェイのヴァイオリンを中心としたクラシカル・トラッド・フォーク路線の英国産プログレバンドのライブアルバム。当時の背景は詳しく分からないがアルバム毎にメンバーチェンジを行い、解散したりしなかったり見たいな空気の中で活動を続けていたと言うのか?なんだか入り組んだ事情のあるバンド活動だったようだ。デビューアルバムが全英8位と売れた為に、噂に敏感なロックマニアは早くから目をつけられたバンドらしいのだが、前述した参加メンバーの不安定さとバンドの危うさ、そして一番の問題は、当時としてシンガーが女性だったと言うのが、我が国内において認知度を上げられなかった要因かもしれない。
そんなくだらない色眼鏡などありえない、現代なら大いに評価を受けられるだろう、クラシカルなヴァイオリンの調べとファズの塗された歪んだギターが激しくぶつかり合う事で生み出される独特の緊張感、そこに凛とした佇まいのクリアーな歌声が、儚くも美しく響き渡る事で個性を出張してきたバンドだったのだが、このライブ盤を聴いて色んな意味で裏切られた。
まず女性シンガー、ソーニャ・クリスティーナがぶっ飛んでいる。完全に白目剥いて無軌道にヤケクソシャウトをしまくっている。ライブとは言え、ここまでステージで暴れているとは思わなんだ。
正直、彼らのスタジオ作はダリル・ウェイのヴァイオリンに導かれるクラシカル調の楽曲がメインとなっている為に、唄もシットリとさせた面が多かったのだが、ここでは、そんなことはお構いなしに、ひたすらキレまくっている。正直、騙された、そしてそれが最高にカッコいい。これぞライブだと興奮させられた。
テンションが高いのは彼女だけではない、すったもんだの挙句に出戻った初期メンバーによる重厚なアンサンブル。当時のバンドは上手くなければ人前になど出れなかった、それだけに安定感は抜群だ。
ウネリをあげつつ、要所を締める狂ったハモンドの音色、歪みまくるギターはファズまみれ、荒々しくも美しいクラシカルプログレサウンドのロックな部分を抽出したようなサウンドは、スタジオ作の何倍もハードに仕上がっている。
いい意味でのサイケな陶酔感、難解に聴かせないプログレスタイル、それは全てを統率するのが中心人物たるダリル・ウェイなのは間違いない。
個人的に英国のロックは好きだが、所謂、ニューウェーブやエレポップは大嫌いである。自分の趣味嗜好としては対極にあるサウンドだ。それだけに、彼らは我が国においては、時代の狭間で忘れ去られた存在となってしまっているが、70年代のロックは勿論、プログレとかジャンルも関係ない、このクールなアイデアと、暴れ馬の如くアジテーションしまくる歌声に、リアルロックの真髄を味わう事が出来るでしょう。完成度の高いスタジオ作も素晴らしいが、ハードなサウンドを楽しみ方にはチョイと眠いかも知れない、そんな耳にも十分に刺激を与える珠玉のライブ盤。選曲も3枚のスタジオ作から満遍なくセレクトされているので入門編としても重宝するでしょう。個人的にはフルで収まっていないのが残念です。


RAJAS - Precious Time - My Farewells ★★★ (2020-01-02 21:30:19)

シンプルなコードワークとリフなのに耳の残ります
これがオズマさんこと臼井孝文のセンスなんでしょうね
ロックの持つダイナミズムを残しながら哀愁のメロディがチョコチョコと突いてきます
これぞHM/HR系のバンドでしか味わえないメロディアスなミドルナンバーでしょう
ビターで大人の味わいです
歌詞もシンプルなんでサビなど一発で覚えますね
わしゃこのサビ大好物やでぇ


RAJAS - Precious Time - Say Good Bye ★★★ (2020-01-02 21:26:57)

日本人にありがちな演歌調バラードではありません
また関西特有のブルースでもない
乾いた感じがするスローナンバー
ふわっと始まる出だしも逆に新鮮だったりするだが
いきなり感はある
やはり唄が上手くなった森川邦子さんのおかげで曲本来の魅力が伝わっていると思います
感傷的なんだけどポジティブにならなければと背中を押されているような曲ですね
ギターソロも盛り上がるわ


RAJAS - Precious Time - From Night ★★★ (2020-01-02 21:22:14)

RAINBOWチックなメロウなミドルナンバー
こういう雰囲気が大人の森川センちゃんには良く似合う
福村のドラムは雰囲気を壊さずしっかりと叩いているのがカッコいい
ギターソロもエモーショナル
キメるところはしっかりと決めていますよ
ノンちゃんのエロカワイイベースプレイ姿が目に浮かびます


RAJAS - Precious Time - Danger Love ★★★ (2020-01-02 21:18:18)

福村のタイトでパワフルなドラミングがカッコいい
RAINBOW風の疾走ナンバーは日本人の好きなヤツですよね
酔ったはずみで貴方を抱いて~♪こういう歌詞は女性だから書けるんだよなぁ
ちょっと演歌チックですがワタクシは好きですよ
ギターソロは派手になったねぇ