Metal Bladeのブライアン・スライゲルが陣頭指揮に立ち制作されたフロリダのバンドによるデビュー作。ミステリアスでダークな色合いはキング・ダイアモンドからの影響も大、シンガーのナスティ・ロニーの歌い回しも、キング・ダイアモンドを意識したものだろう、そこにエピカルなムードも持ち込み濃密な世界観を演出、スラッシーなリフワークも飛び出すが、スピーディーなナンバーはなく、スピード命のマニアには喰いつきも悪いだろうが、ハードでエッジの効いたギターリフや、重心を落とし迫ってくるヘヴィグルーブを中心とした楽曲構成は、少々キャッチーさに欠けるのだが、US産の裏街道スタイルを愛するマニアにはたまらんものがあるでしょう。軽快に走るだけがメタルではない、こういう重苦しいスタイルにも需要はありますのでね。 濡れているのに湿らない光沢のある艶めかしいメタリックサウンド、もう少しスピードを上げれば初期型スラッシュバンドとして、太鼓判を押せるが、そこまでの勢いはない。でも破壊力は抜群だ。 なんだか上手く言えないが、スラッシュメタルの国で、キング・ダイアモンドとマニラロードの体が入れ替わり、口噛み酒飲んで(千鳥の相席食堂おもろかったなぁ)、なんだかんだで最後に君の名はって言ったら、こんな音楽になるのでしょう。 訳の分からないことを言って逃げましたが、折り目正しいスラッシュサウンドとエピックメタルの融合を果たした今作は、フロリダのメタルシーンに影響を及ぼしているというのは、けして大げさではないだろう。
1985年にアルバムを一枚残し消えたジャーマンメタルバンドが2008年にCult Metal Classics Recordsからデモ音源を追加して復刻された一品。古き良きメタルサウンドを真っ当に引き継いだ音楽性は、先人たちの影響の影響も大。パープル、レインボーといったリッチーフリークも欧州的な発想そのもの、途中にクラシックからの引用やヨーデルも飛び出し、手を変え品を変え工夫を凝らしている。 全体的に輪郭の甘い音質とミックスの為に、その凄みは伝わらないがライブでは強烈な音を聞かせてくれそうだ。レコーディング直前にヴォーカルのステファン・ニーブリングが脱退、その穴埋めにミック・ウェガを連れてきて急場をしのいだと言われる今作。確かに歌い切れていない感はあるが、それ以前に実力が伴っていないという話もあるが、このバンドが短命に終わったのは、そういった事情もあるのかぁ、なんて思いを馳せながら楽しんでいます。
シュラプネル主催のU.S. Metal Vol.IIにて、その存在を知らしめたシアトルの正統派HM/HRバンドの1st。良く動き回るベースと手数の多いドラム、濃厚に絡み合う2本のギターがメイデン風のある構築美の高い重厚なサウンドを披露と、味付けはかなり濃い目です。シュラプネルと言えばなスピード級ではない、プログレッシブな展開を導入したミドルナンバー中心の音楽性は、正にガチンコアメリカンメタルの真骨頂と言ったところだろう。 日本人好みのキャッチーさや情緒の欠けたスタイル故に、分かりやすさを求めるマニアには退屈極まりないサウンドとなるのだろうが、この愛想のないスタイルこそ、浮かれ気分でロックンロールなメタルバブル前夜のUSシーンだからこそ、成り得たスタイルと思え、必ずや我が国にも需要のあるシリアスなメタルサウンドである。一筋縄ではいかぬ濃厚さも、ハマれば魅力も倍増となかなかの聴きごたえがあります。 このバンド、今作を残しバンドは空中分解、TKOに流れたりとした為に、イマイチ認知度を上げられなかったのだが、ネオクラ量産工場と化す前のレーベルの多様性を知る上では貴重な音源かと思います。侮るなかれシュラプネル。どこかマイナー臭を放つレーベル成れど、スピード狂を満足させるだけではない懐の深さを味わってほしいですね。
DISC.A ①Wild Dogs - The Tonight Show ②Cinema - Rockin' the U.S. ③Exciter - World War III ④Culprit - Players ⑤LeMans - Waiting
DISC.B ①The Rods - Wings of Fire ②Mike Batio - The Haunted House ③Vixen - Angels From the Dust ④Virgin Steele - Children of the Storm ⑤Failsafe - Just Passin' Thru
1. Chumbi - U S Metal 2. Exxe - Look into the Light 3. Gilles Melbin Assault - No Time 4. Whizkey Stik - Outta Line 5. Issak Newton - Damascus 6. The Rods - Gettin Higher 7. Greg Strong - The Snake 8. Reddi Killowatt - Liquid Lady 9. Lyle Workman - Code 3 10. Toyz - Rockin Disease
上記アーティストが参加したシュラプネルレコードの記念すべき第一弾の作品はギタリストに特化したコンピ作。 THE RODS以外は無名のバンドorアーティストの参加の為、詳しいバイオはさっぱりだが、パッとしないヘナチョコサウンドもスピーディーかつスリリングなソロが登場すれが俄然色めき立ち、なんとなく聴かせてくれるのが、シュラプネルの旨味だろう。今作も音質は良くないし、楽曲も微妙だったりするのだが、20代前半にして、自らレーベルを立ち上げたマイク・ヴァーニーの熱意を感じさせるプレイが詰まっています。良い悪いではない、メタルに対する愛、その熱き思いに聴き手は同調して、鼓舞されるのでしょうね。 この作品を皮切りに、第二弾リリースへ漕ぎつけたマイクの本気度と気概に胸打たれる一ファンとしては、忘れられない一品です。内容よりもシーンに新しいバンドと価値観を提示したシュラプネルの功績は大きいですよ。
オシャレロックを牽引するキャラの立ちまくった男とオジー。正直、最近までNO MORE TEARS以降の作品をまともに聴いたことがない、これも定額制サービスなど、新しい音楽の楽しみ方の賜物なのだが、彼の特異なキャラを存分に生かし時代と真っ向から対峙している。 オジーが格式高いメタルサウンドをやっていたのは昔の話、彼のキャリアからすれば、オシャレヘヴィロック時代の方が長いわけだから、どのような路線になろうとも驚きはない。ここには、新進気鋭のプロデューサーと新しい事に挑んでいる。過去の遺物を引きずるだけではない、現在進行形の創造主としてオジーは君臨しているのだろう。 個人的には、どこを聴けばよいのだと思うが、はっきり言って今のオジーに対してはキャラのたったオジサン、ある意味きゃりーぱみゅぱみゅと変わらない存在になっています。それくらい現在のオジーを知りません。音楽にも触れていません。もっと突っ込んでいえばSpotifyなどで知る新譜のメタルバンドの95%は知りません。20年は雑誌を読んでいないので、時代遅れも甚だしい、浦島太郎オジサンなので、こういう音は本当に別の世界の話なのです。そんなタイムトラベラーオジサンとしては、オジーのキャリアも隠し味に、当時の音で勝負しているのが分かります。
ジョン・ブッシュが歌うIf You Were Godもメロディックな正統派ナンバーであり、この曲は④でもライブとして登場するので聴き比べて楽しめます。そのあとはデイヴィッド・グレンアイズリーの登場と彼のエモーショナルな歌声を生かしたメロウなサウンドの登場に、ニンマリさせられました。 Megadethのような尖りまくったサウンドと期待すると、後半に進むにつれ眠たくなるのでしょうが、デイブのミュージシャンとしての多様性に触れたいマニアなら大いに好奇心を刺激されたでしょう。早い段階から5弦ベースを操るミュージシャンとして名を上げた男。その生き様が投影された一枚。単なる寄せ集めではないと思わせる魅力はあるが、個人的には大好きな路線でも、デイヴィッドとやった未発表曲は毛色が違い過ぎで戸惑いますよね。
デイブとゲイリーのオーウェンズ兄弟が中心となり結成されたNWOBHMバンドのデビュー作。デビューがライブ盤という、何とも言えない環境下のリリースに、上手く言えないのですが悲哀を感じさせるのがポイント。 AⅡZ!コールに押されSMOKE ON THE WATERみたいな曲が始まったときは、あれっとなるのだが、聴き進むにつれ独自性をアピール。英国的な憂いと煮え切らないメロディ、そしてリフワーク一発で押すわけではない展開に懐の深さを垣間見ます。
1. EMBYRO Adam Wakeman: Keyboards Bev Bevan: Percussion Laurence Cottle: Bass Anneka Sutcliffe: Violin Sarah Tobias: Flute/Clarinet
2. DIE YOUNG Ron Keel: Vocals Vinny Appice: Drums Rudy Sarzo: Bass DC Cothern: Guitar Pete Rinaldi: Guitar Ellen Morgan: Keyboards
3. FLUFF Sarah Tobias: Flute/Clarinet Ardeton String Quartet Pete Rinaldi: Guitar
4. TRASHED Ron Keel: Vocals Vinny Appice: Drums Bev Bevan: Percussion Laurence Cottle: Bass Pete Rinaldi: Guitar
5. STONEHENGE Adam Wakeman: Keyboards Laurence Cottle: Bass Pete Rinaldi: Guitar Sarah Tobias: Flute
6. SHE’S GONE Dave Walker: Vocals Neill Murray: Bass Bill Dwyer: Guitar Steve Owers: Drum Mixing Lisa Ljungberg: Backing Vocals Ardeton String Quartet String Arrangement: Mike Lewis Produced by Jeremy J Lewis
7. IN FOR THE KILL Tony Martin: Vocals Laurence Cottle: Bass Bobby Rondinelli: Drums Pete Rinaldi: Guitars Adam Wakeman: Keyboards
8. ORCHID Neil Murray: Bass Sarah Tobias: Flute/Clarinet Ardeton String Quartet Pete Rinaldi: Guitar
9. HOLE IN THE SKY Ron Keel: Vocals Bobby Rondinelli: Drums Laurence Cottle: Bass Pete Rinaldi: Guitar
10.CHANGES Michael Suilleabhain Bundade - vocals Adam Wakeman - keyboards Laurence Cottle – bass Bev Bevan – drums Queenie May – backing vocals Anneka Sutcliffe – violin Sarah Tobias – flute & clarinet
11.SUPERTZAR English Chambers Choir Laurence Cottle – bass Terry Chimes – drums Pete Rinaldi – guitar Adam Wakeman – keyboards/piano Skaila Kanga – harp Will Malone – harp arrangement Ellen Morgan – glockenspiel