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ICE TIGER - Love 'n' Crime
★★★
(2020-08-14 13:24:15)
オリジナルは1991年に自主制作盤を世に送り出したのが最初と言われている、オーストラリア出身のハードポップ系バンドのデビュー作。
オープニングの①こそザラついた感触こそあるが、徐々に透明感溢れる叙情的なメロディが増量、まずは③で大団円を迎えます。とにかく絵に描いたような鮮やかな③の登場に驚きます。北欧風味をチョイと感じさせるのだが、歌い手が野太い声の持ち主なので繊細さの中にロックな熱量を放出しています。
それ以降も剛柔兼ね備えたグラム系HM/HRサウンドで魅了。もう少し早いデビューであれば、認知度も上げられたろうが90年代では分が悪い。
時代に抹殺されたオーストラリア産のメロディアスサウンド、ハードでダイナミックなロックサウンドと爽快感溢れる泣かせのメロディを曲間に散りばめ、硬軟のバランスを取った一枚。視聴感の良さも手伝いメロディ派なら大いに楽しめるでしょう。甘いだけじゃないのが良いんだよね。時々ジェフ・スコット・ソートを思い出させる歌い手も、噛み合った瞬間の逞しさも上々だ。
V.A. (VARIOUS ARTISTS) / OMNIBUS - Mikazuki in Rock
★★★
(2020-08-11 13:59:20)
フジ系で放送された特撮ヒーローもの『鉄甲機ミカヅキ』のサントラ。
下記が収録曲
1.Crescent Moon
2.Theme For Kazeo
3.AIT Theme Orchestral Intro
4.AIT Theme
5.Lost Memories Theme
6.Lost Memories Strings
7.Black Moon Symphony
8.Nana
9.Idom
10.Devil Inside
11.Lost Memories Vocal
①が戦隊ものらしい高揚感のあるナンバーで幕開け、シャ乱Qのハタケ作曲。唄うはドン・ドッケン、ギターにポール・ギルバートという布陣。この話題性が一部、マニアの間でどんな曲なんだと話題になった。
期待に答えるようなメロディアスなHM/HRナンバーなのだが、ドンの歌が弱い。衰えを隠し切れないドンに残念な気分を味わうが、ポールがキレッキレなので無問題である。
続く②が①のアコギヴァージョンにあれっとなるがポール・ギルバート大活躍、③は何かが始まりそうなオーケストレーションがバリバリに効いたた曲が登場、サントラらしいですよね。
続く④はダグ・アルドリッチ作のインストナンバー、彼のギターも楽しめる軽快なグルーブが心地よく疾走、ハードでロックなダイナミズムを堪能、どう考えても子供向けじゃないのだが、ノリノリで楽しめる。
本当に、特撮ヒーローモノなのに、全然子供に忖度しない音楽が詰まっていることに驚かされるのだが、いったい誰に聴かせたかったのか疑問だらけですが、こちらは大いに楽しんでいます。
⑤ではリッチー・コッチェンが客演、このサントラでは重要ナンバーらしく、続く⑥、唄入りの⑪とアレンジ違いが楽しめます。落ち着いた雰囲気の中ジャジーでムーディーなギターで魅了、ウットリのその世界観に酔いしれます。
⑦はダグ作のインストナンバー、3分以上、モゴモゴ曇り空中継みたいな緩い音がするだけで何も起きないのですが、途中からヘヴィな音像が登場、小さいお子さんを恐怖のどん底に誘うような不気味でダークな曲調に笑いも出るが、ロックな大人には迫力満点のヘヴィロックに唸る。全然子供向けじゃない。
ストリングスな⑧に続き、⑨ではデヴィン・ダウンゼントが大フィーチャー、小さい子供がお漏らしするようなド級のヘヴィロックをお見舞い、親子共々逃げ出しますよ。
⑩も地中深くで何かが蠢きだすようなSEなので、怖い曲が続きます。そして個人的には完全にダレましたよ。
ラストに3度目の登場となるLost Memoriesが唄入りで登場。歌うはグラビアアイドルとして活躍した、キリリとした顔立ちの原史奈さんの登場。完全にアルバムを台無しにしている感はあるのだが(歌詞の世界観もミカヅキに関係あるのか?)ある意味、これが特撮ヒーローのタイアップソングだろうということで、一般的なご家庭にとっては、恐怖が続いたので、一服の清涼剤となったでしょうね。
昔、CDショップで、ドン・ドッケンやポール・ギルバート参加という文字を見て驚いた記憶がある。聴いてみたいという欲求が凄くあったが、一曲の為に3000円近く払うのはキチイと考え断念(たしかフィギアみたいのが付いていた記憶もある)定額制サービスのおかげで楽しんでいます。
とにかく、念願叶って①が聴けたのが嬉しい、前半は機能していたのもうれしかったが、やはりお金を出すには少々厳しいと言わざるを得ないのが、歴史に埋もれた名曲をマニアには知って欲しいですね。坂本英三が①をカヴァーしていますが、あれも良かったなぁ。
BLACK SWAN - Shake the World
★★
(2020-08-10 13:40:58)
ロビン・マッコーリー、レブ・ビーチ、ジェフ・ピルソン、マット・スターの4人が結集したスーパーロックグループと巷で呼ばれるバンドの1st。レーベルはFrontiersときてますからね。その筋のファンにとっては安心材料でしょう。有名人が集まり逆につまらなくなる悪例は枚挙としてありますから。そんな不安材料を吹き飛ばすお膳立ては揃っていますが、出している音は元気なハードサウンド、ロビンの押しの強い歌声を前面に出し、泣かせの叙情的な要素など排除、欧州的なエッセンスではない躍動感のあるハードサウンドはレブとジェフが持ち込んだ要素だろう。
ロビンの暑苦しい歌声のせいで、味付けが濃くなり、些か情緒に欠ける音楽性になってしまったのは個人的には残念だが、もう少し肩の力を抜かせて唄う叙情派ナンバーなどを設けたら印象も違うのでしょうが、とにかく味が濃いアルバムである。ジェフ・ピルソンプロデュースによる作風なのですが、軽快でありながらも骨太なロックスタイルは、確信犯的なフレーズを導入することで定番と化すことに成功。ロビン、レブ、ジェフのソングライティングチームによる、ワールドワイドな感性を発揮することで多様なメタルファンを迎え入れる音楽性の獲得に成功した。無難ではあるが、冒険心を感じさせる面もあり、期待に答えたと言えよう。
ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic
★★★
(2020-08-10 13:18:12)
原点回帰を歌うバンドは多いのだが、なかなかどうしてこちらが思っているのとは違うよなぁが多い中で、今作は完全に初期の作風に回帰している。迷いを捨てたというのか、完全に狙ったという方が適切なのだろう、とにかく振り切り方が清い。ある種の確信犯的な手法、スラッシーな展開の中に設けられた構成など、確実に過去作の影響が強く滲み出ている。耳を澄ませば、あれやこれやとなるのですがジェフ・ウォーターズが全権を握っているプロジェクトバンドなので、ファンであれば大きな問題は起きないでしょう。
ジェフの拘りが詰まった作風、懐かしいクリーンなアルペジオを聴きながら、熱くハードでテクニカルなことをスタイリッシュに聴かせる男だったなぁと懐かしみました。ある意味、入門編になる一枚かもしれませんね。
テクニカルなのにキャッチーなメロディ、ジェフの紡ぐ扇情的なフレーズの旨味、彼の18番を大盤振る舞いした原点回帰作。コンパクトに纏め上げる手法も手伝い聴きやすい一枚へと仕上がりました。
Breakout - Burning Lights
★★★
(2020-08-10 12:53:29)
紅一点の女性シンガー、マイラ・オリベイラ擁するブラジル産4人組による1st。オープニングからどこかで聴いたことがあるリフにズッコケそうにやりますが、本人たちは大まじめです。それは2曲目以降も続き、とにかく自分たちの好きな事を思いっきりやり切っていますね。NWOBHM直系の古典スタイル、そこに多方面からアイデアを活用、往年のヘヴィメタルソングへの憧憬を込めた実直な音楽性を披露している。
潔癖な人なら許すまじとなるのだろうが、そういうのも込みで是非とも楽しんでもらいたい。お金のかかっていないレコーディング、その平坦な音作りに、今ならプロトゥールでチャチャと作ってもマシなんじゃないかと思うのだが、嘘のない録音方法にライブ感を楽しみました。想い出作りの一枚のような手作り感も昔のインディーズ系のバンドみたいで、懐かしい空気が満載。地下室メタルの代表例のようなバンド像です。上手い下手では語れないメタル愛溢れる情熱のブラジリアンHM/HRサウンド。昨今、巷に溢れかえっている、ソプラノヴォイスじゃないロックな歌声があるだけで十分です。妙に女の色気を売らないのも正解です。
BLAZING RUST - Armed to Exist
★★
(2020-08-10 12:36:14)
ツインギター編成5人組によるロシア産正統派HM/HRバンドの1st。レーベルはドイツのPURE STEELです。出している音は完全に80年代型のHM/HRスタイル。その懐かしい空気に付き合えるかが最大のポイントなのだが、ここにいる5人は、他のバンドでも活動しており、シンガーも他ではギターで活躍と数名のパートチェンジもあったりと、ある意味、プロジェクト的な匂いも発散、さらに英詩で唄うときているから、けしてドメスティック活動で終わるつもりはないと推察できる。だからドイツのレーベルと契約できたのでしょう。それだけにロシア特有のメロディや癖がないので、そっち方面を求めると少々食い足りないのだが、所謂NWOTHM軍の一員として楽しめる要素は強いでしょう。
プレイ&楽曲共に若干の詰めの甘さはあるのだが、ツボを押さえた演奏とアレンジは古典派にとってはマストな要素、いい意味でのキャッチーさと欧州由来の叙情性、そこにメイデンよろしくなアレンジも盛り込み、懐かしい空気を充満させている。
何も生み出さない古典スタイルの再構築です、こんなもん聴くなら○○を聞き直した方が役に立つと言われたら返す言葉も見つかりませんが、ノスタルジーに浸り、昔はこんなのゴロゴロいたわと楽しめるマニアご用達のサウンドに目がない人には安心して手が出せるでしょう。適度に早くハードに迫る4分少々のドラマ、ベタに敵うもんなしを体感出来ますよ。
THEM - Manor of the Se7en Gables
★★★
(2020-08-04 18:42:40)
前作は顕著にマーシフル・フェイト、キングダイアモンドからの影響が大きい音楽性だったのだが、今作では大枠のイメージこそ、彼らからの影響を感じさせるが2枚目のアルバムという事もあってか、オリジナルティを大きく出してきた。
ダークホラーファンタジーをコンセプトとした作り込みは、スラッシーさも大幅に加味され加速度も増している。
とはいいつつも、ファルセットを交えた奇怪な歌い回しやシャウトなどキングダイアモンドを彷彿とさせるし、闇の語り部として、暗黒の言霊を並べる姿は本家に肉薄する存在感を発揮、ここまでやられたら文句も出ません。この辺りに、パロディ的に匂いを感じると、とてもじゃないが手を出せないバンドとなるのでしょうが、マーシフルフェイト中毒に汚染され、パロディでは終わらない、自分たちのカラーを前のめりに出してきたことで、素材が生き生きとしている。これが俺たちの大好きな事、徹底的にやり切る姿に腹が座っているなぁと感じます。自らのルーツを示し新たなる解釈を交え作り上げた渾身の一枚、こういう姿勢は逆に高潔に感じます。究極のフォロワーバンド。日本でも十分需要のある音楽性でしょう。
HIGH SPIRITS - Hard To Stop
★★
(2020-08-04 18:14:54)
知る人ぞ知るアメリカ人一人メタルプロジェクトの4枚目。ニュージャージー出身のクリス・ブラックは、プレイヤーのみならずプロデュースも担当と、筋金入りのメタルマニアなんだろうが、この作品以外にも、複数のバンドを掛け持ち(別プロジェクトともいう)とにかくメタルに人生を捧げたアホである。そのアホっぷりは、かつて自らレーベルを立ち上げ運営していた程だ。
そんなメタル馬鹿一代が捧げるのは、爽快感もあるメロディアスな本格派のHM/HRサウンド。どこかで聴いたことがあるフレーズも皆でシェアするお得意の奴、飛びぬけたプレイがあるわけでもない。歴史に残るようなリフもリズムパターンも用意できるわけではない、ただ単に愛するメタルを奏で続ける、その清い姿勢に付き合えるかがポイント。
このマニアご用達過ぎる音楽性ゆえに、メジャー流通のハイクオリティなアルバムを嗜む一般的な方には、とてもじゃないがおススメできないのだが、ライナーノーツ掲載など糞くらえ、同人誌メタルを聴き、チビチビと酒が進むマニアにはたまらんものがあるでしょう。
あばたもえくぼという事で、同級生の学園祭デビューと思いお付き合い頂ければと思います。
下山 武徳 - Way of Life
★★★
(2020-08-03 18:10:10)
バルト三国にツアーに出るなど、精力的な活動を続けていたサーベルタイガーのリードシンガー、下山のアコースティックソロアルバム。彼がギター片手に全国を回る夜会も、彼のキャリアとしてはライフワークと呼べるほど数をこなしているので、こういうスタイルのアルバムが出ることに驚きはない。
むしろ、これも彼の顔の一つと捉えることが無難でしょう。Hallelujahに枯葉というカヴァーソングも無理なくハマり、そこに既発音源の母へ、Dec、Alwaysなども収録、新旧入り混じっか楽曲を、全て自分色に染め上げ聴き手を魅了。テクニック云々では語れない、彼の心に訴えかける魂の歌声に聴き惚れます。
少々、野太いタフな声が顔を出す瞬間もあるのだが、ここでは、ロックなフィーリングを抑え、下山の芸達者ぶりを発揮しているのがポイント。サーベル組や青柳慎太郎の顔馴染み以外に、ツアーも共にした山本恭司の参加もあったりと話題性は十分、アコースティックサウンドもイケるハードマニアなら大いに楽しめるでしょう。
個人的には、少々オッサン臭い匂いがするので熱心に耳を傾ける作品ではないが、気分に合わせ2、3曲チョイスして楽しんだ時の味わいは満足度も高いですよ。
Lyin Rampant - Up and Cumin
★★★
(2020-08-02 16:51:24)
元TYTANのギター兼ヴォーカルのステュワーティー・アダムスがHEAVY PETTINから離れたエディ・トレーナーとタム・クリーマーらと合流して結成されたバンドのデビューアルバム。1987年に今作を残したきりで詳しいバイオは知られていないが、英国的な憂いのある叙情的なメロディが爽快感のあるポップサウンドと濃密に絡み合い、洗練されたハードテイストと嫌味なく融合、売れたい路線ではあるが、本格派の手触りの残し、歌モノ系のライトヘヴィソングマニアなら大いに楽しめるでしょう。
こういう本格的なメロディアスサウンドを作り込んだのに、オレンジ色がかった配色が目に痛いセクシー系の女性が映り込むジャケが大損している。あのジャケならもっと軽薄でインチキ臭いロックが飛び出してくると思いますよ。
サブタイトル(SAYONARA)とある⑦曲目のSay Goodbyeなんてキラキラ系のキーボードを隠し味に、日本人好みの哀愁と情緒があったりと、十分に需要のあるサウンドに仕上がっている。真面目に作り込んでいるだけに知名度が低かろうが、メンバーから小粒感が漂うが、質の高さは標準をクリア、メロディ派のハードマニアなら手にして損はしないでしょう。かつては中古市場でも破格の値段で取引された一品。それがダウンロード市場では安価で手に入るのだから、ありがたい世の中です。
個人的には、こういった蒸し暑い夏の日に、クールダウンさせるのにピッタリの一枚。甘すぎず酸っぱすぎない情緒のある。大人のメロディアスハードポップサウンドってのは、あまりないのでね。ギターがしっかりと自己主張出来ているからハードさも補完されているのもありがたい。
ALCATRAZZ - Born Innocent - Dirty like the City
★★★
(2020-08-02 01:36:02)
PVを見てメンバーの半分が還暦過ぎというおじいちゃん感に笑みもこぼれますが
先行公開された曲の中では一番耳に残ります
そしてアルバムのハイライトでしょうね
スティーブ・ヴァイ作曲
なんとも因果な結果となった
ALCATRAZZ - Born Innocent - Warth Lane
★★★
(2020-08-02 01:29:59)
ダリオ・モロのいぶし銀のギターが冴えるムーディーな一曲
メロウさや妖しさも楽しめるのがポイント
グラハムの衰えも気になるが
全員でフォローしているように聴こえるのが面白い
ALCATRAZZ - Born Innocent
★★
(2020-08-02 01:27:04)
ジョー・リン・ターナーとツアーしたりと、アルカトラス名義での活動はあったが、ついに最新作をリリースしてきた。正直、グラハムボネットグループがあるので、アルカトラス再始動に驚きはないのだが、やはり今作の目玉は豪華ゲストの客演&楽曲提供だろう。
クリス・インペリテリにスティーブ・ヴァイ、ダリオ・モロ、ボブ・キューリックといった同じ飯の釜を喰った仲間に、若井望、ドン・ヴァン・スタヴァン、ジェフ・ウォーターズの名前もあったりと、バンドの再始動に華を添えている。
そのメンツのおかげでバンドサウンドはバラエティ豊かなものになってはいるが、果たして再始動アルカトラスとして見ると、これで良かったのかという疑問は湧き出てくる。それも、多くのファンがインギー時代の再来を匂わせた事により過度の期待をしてしまったからなのだが、個人的にも一番耳に残ったのが先行公開された、ヴァイのペンによる⑥だったりしていたので、ある程度、おもてたんと違うと予想は出来ていた。
速いだけの①でつまずき、②で回復するも、若井の書いたポジティブなメロディアスサウンドは出番的に早いと感じ、ムードのある④、狙い過ぎた⑤と続き、今一つエンジンがかからぬまま、ヴァイの⑥に行く展開は残念な気がしてならない。ボブの曲は毛色が違うし、ダリオのムーディーな古典メタルも悪くないが、流れが悪いアルバムのせいで損している。ジェフ・ウォーターズがリードギターで客演する、ジミー・ウォルドーの⑨は今までにない斬新さがあって耳を惹くが、やはり流れの悪さのせいで損している。もっとストレートな曲の合間に聴きたかったというのが個人的な思いだ。
曲単位で行けば不満の少ないのだが、昔の名前を担ぎ出しただけに、もっとやりようはあったと思う。参加メンバーの話題性や、復活の予感を感じさせるラインナップ、そういうものに期待をし過ぎたのかもしれないが。もっとベタなものを聴きたかった。そういう曲が合い間に2曲くらいあれば、スムーズに進む気がするのだが、やはり、この手の音楽が好きではないグラハムボネットにとっては、周り次第という事なのだろう。
これで国内盤はボートラ2曲追加の15曲入りだというのだから、ちょっと本気でいかないとヤバいでしょうね。
総じて感触は悪くない。ラストにブラス大活躍の曲まで用意したバラエティに富んだ一枚。多くのグラハムファンの慮った、全時代対応の音楽性に落ち着いたと言える一枚。なにはともあれ、グラハムが真っ当なハードサウンドを歌うというだけで、ファンは満足出来るでしょうね。
個人的には、やはり残り少ない現役生活の中で決定打になるようなアルバムを作って欲しい。マジでもう一度、柴田直人とアルバムを作りべきであろう。そう思わずにはいられないモヤモヤの残るアルバムとなった。
SERGEANT - Streetwise
★★★
(2020-07-31 18:51:20)
オリジナルは1986年リリースの2枚目。前作はやや拡散方向にあった音楽性だったが、今作はキーボードを前に出しつつも、バンドサウンドを中心とした堅実な作り込みとアレンジが冴えており、英国的な湿り気と情緒の強いハードサウンドで勝負。いい意味での洗練度とポップセンスを放り込みつつ多彩な楽曲を用意、その絶妙なバランス感覚は口うるさいロックファンの不満を黙らせるだけの説得力がある。
1986年という時代もそこそこに意識をしているが、燃え上がるロックな情念もそこにあり甘口にさせないキリっとしまったロックテイストが肝だろう。誰が主役ではない楽曲中心のバンド運営も今となっては貴重。こういう本格派のグループというのはシーンにとっては必要不可欠だと思う。
1stアルバムを叩き台にドラマ性と膨らませた叙情派メロディアスHM/HRサウンドは質実剛健な一枚へと仕上がっている。
SERGEANT - Sergeant - I've Got to Know
★★★
(2020-07-30 16:41:26)
ハードさと爽快感が
絶妙に絡み弾んでいます
こういうアレンジと聴かせ方が
このバンドの旨味
単なる大衆路線バンドではない堅実さ
そのハードテイストは大人が聴いても恥ずかしくない作りになっている
SERGEANT - Sergeant - Make Your Move
★★★
(2020-07-30 16:34:49)
憂いのある英国的なメロディ
そこにキーボードが爽快な風を送っています
このバンドの魅力を端的に伝えています
泣かせ具合が絶妙なんです
SERGEANT - Sergeant
★★★
(2020-07-30 16:25:40)
スイスとイギリスの混合チームによる1984年にリリースされた1st。オープニングはキャッチーで弾むような陽性ロックで幕開け、その素直さに思わず笑みもこぼれますが、二曲目以降も割と陽性のロックナンバーが顔を出す構成、そこに爽快感のあるキーボードを隠し味に、ハード目のギターも飛び出し、硬軟のバランスを上手く取りながら、スイスと英国の競演を楽しめます。
歌い手もオライアンことマーヴィン・スペンス辺りを思わせるエモーションとソウルフルな歌声を持っており、後に
Forcefieldに参加した人物でも知られているように実力は十分。この英国的湿り気とスイスの爽快な風を受け止めながら、楽曲の魅力を適切に伝えてくれます。
ハードな面をしっかりとアピールしつつも、泥臭くない洗練度、行きすぎる前の産業ロック勢からの影響も強い普遍的音楽。歌モノマニアなら大いに楽しめるでしょう。一撃必殺はないかも知れませんが、味わい深いマニア泣かせの堅実さがたまりません。
KROKUS - Hoodoo
★★★
(2020-07-27 18:34:41)
メンバーチェンジの多いイメージがすっかり定着したスイスを代表するベテランロッカー、とうとう往年のラインナップが戻り繰り出されるサウンドはも往年の70年代型ロック。ステッペン・ウルフのカヴァー③も違和感なく溶け込む古典スタイルの踏襲。しかし、単なる懐古趣味ではなく、酸いも甘いも嚙み分けるベテラン達による、本物のロックをやっているのがポイント。AC/DCの影響下にあるリフワークも、昔のメンバーが揃ったんだから当然と言える音楽性、それがパロディに聴かせないのが、このグループの強みだろう。
滋味深い、大人のハードサウンド。すぐに口ずさめるシンプルさ。代わり映えのない音楽性だが、深化することで発展した究極のマンネリズムに勝てるものなしと言えるスタイルを極めたと言えよう。
もはや解散したグループだ、それだけにこういう路線も良いのだが、もう一度、ガッツリのメタルアルバムが聴きたかった、Headhunter路線が難しくても、せめてHeart Attackくらいはやって欲しかったなぁと心残りですが、売れないと飯食えないからなぁ。それにクロークスと言えばな、アルバムは国によって違うでしょう。ないものねだりでした。
KROKUS - Hellraiser
★★★
(2020-07-27 18:17:34)
前作はスイスで売れて成功したと思われたのだが、フェルナンド・ヴァン・アーブがバンドを離れるという大事件が勃発。オリジナルメンバーがいない中でバンドはマーク・ストレイスを中心に活動。前作から参加のギター、ドミニク・ヴァベス。90年代から出たり入ったりのトニー・キャステルがベースを引き続き担当。新しい血としてドラムに、あのステファン・シュワルツマン、ギターはマンディ・メイヤーときたんですから驚きです。
この新しい血の導入が、どう音楽性に影響を及ぼすのかと思いましたが、プロデュースを担当する気鋭のデニス・ワードの下、マーク・ストレイスの歌声を生かした、クロークスのキャリアを網羅したような作風に落ち着いた。
とにかく、前作にあった温和なムードを打破、悪っぽいイメージを音に込め、その中で大衆的なスタイルをあったりと、バラエティ色も豊かなベテランによる全時代対応の総決算スタイルを取っている。
やはり、メタリックなスピードナンバーがあったのが良かった。こういう曲がなければ、哀愁のバラードも引き立たんよ。リードギターを担当したマンディ・メイヤーは引き出しの多い多彩なギタースタイルで魅了。
ある意味、マーク・ストレイスのソロアルバムと言っても過言ではないラインナップを、クロークス風味でまとめることで成立させたアルバム。デニス・ワードのおかげでメロディに情緒が増したのなら、彼の起用は大正解だったろう。
KROKUS - Rock the Block
★★
(2020-07-27 17:54:09)
再びシンガーの座にマーク・ストレイスが復帰したアルバム。とにかくメンバーの出入りの多いバンドだった。
そのマークとフェルナンド・ヴァン・アーブが中心となり、制作された音楽性は実に古典的なロックスタイルへと回帰。4枚目のアルバムで感じられたNWOBHMを意識した作り込みよりも古いスタイルへの帰還。前作の凡庸な音楽性から比べればフックもあるし、メリハリもある。それだけに感触は良くなっているが、そう何度も手にしたくなるほど、即効性も攻撃力もなく、プログレ時代の次にやっていたような古めかしい、ロックを現代的なエッセンスを盛り込み作り上げた一枚となった。決定打に欠けるが、前作の汚名を返上する役目は果たしている。
14曲あるので、やはり血が滾る熱血ハードロックが聴きたいと思うのがファン心理というものですが、それも人それぞれ、求めるもので評価も分かれるでしょう。
前14曲、その大半がシングル向けのキャッチーなロックナンバーで埋め尽くされた今作。スイスでは売れたんだから、この回帰作は必要だったんだろう。
GLENN HUGHES - Burning Japan Live
★★★
(2020-07-24 13:00:32)
80年代という、ある意味、最も大切な時代を無駄に過ごした男。その天賦の才に誰もが嫉妬を覚えるほど、ファンキーな歌唱スタイルと、リッチー・ブラックモア以上にステージでは派手に動き回るスター性、迫力満点の歌声と、豪快なベース、彼はミュージシャンとして類まれな才能を持ち合わせていた。
重度のドラック依存&アルコールと、まさにロックな生き様を送る自堕落な人生、何度も周りが手を差し伸べるもダメだった。90年代の頭、ジョン・ノーラムとタッグを組み、起死回生を狙うもグレンの悪癖は抜けず、流石のジョンも離れざれる状況にあったと言われる。そんなミュージックシーンの底辺まで落ち、頼ったのは北欧のミュージシャン。彼らとのコラボは奇跡を起こし、こうしてライブアルバムを制作できるまでグレンは自信と向き合うことが出来た。
悪癖と手を切ったグレンに怖いものはない。鬼に金棒となった稀代のファンキーロッカーが完全復活。あのファンキーでソウルフルな歌声もそのままに、長く低迷した時代を肥やしとした貫禄のステージングは、本当に最後まで完走できるのかグレンなんて、勝手に思ったりするのだが、そんな思いは杞憂に終わる。
もはやパープルファミリーの現役では、誰も唄えない名曲①をカヴァーディル抜きでも成立することを証明、個人的にはグレンが歌うパートが大好きだったので、これは大ありの大正解。このライブが凄い事になる予感させた。
ソロアルバムを中心とした作りだが、選曲に大きな問題はなく、彼のスター性もそのままに、華やかでソウルフルな歌声に脱帽。③なんてグレンの独壇場でしょう。その後もDPありトラピーズあり、お初のヒューズ/スロールの登場に悶絶必死。心底痺れました。
我らがZEROコーポレーションが記録した偉業。グレンの復活を後押し、国内盤は1994年、翌年ドイツのSteamhammerがリリースと、グレンが遂にカムバックしたんだと世界中に知らしめる事となった。
そういう意味でも歴史に残る奇跡のライブアルバム。ヴォイスオブロック、グレン・ヒューズの降臨に、嘘くさい歓声すらも味方につけている。
U.D.O. - We Are One
★★
(2020-07-23 18:45:17)
なんの予備知識もなく聴いたので驚いた。今作はドイツ連邦軍軍楽隊が全面バックアップ、アレンジのみならず曲作りにも関与と、今までの作風とは一線を画すスタイルを取っている。基本はウドが培ってきたジャーマンメタルを継承するものなのだが、そこに吹奏楽団がファンファーレとちょっと笑ってしまいました。
こういうアイデアって、個人的には軍歌メタル大将、凱旋MarchのシンガーだったMASA斎藤さんもやっていた奴なんで、本当にニヤニヤしましたね。
キャリアのあるウドが、こういう企画モノに本気で取り込むアイデアは悪くない、むしろ面白いとも思うのだが、やはり最高にカッコいいアイデアだと思う瞬間と、吹奏楽が合わんなぁと思う展開が一曲の中に同時に訪れたりするので、その辺りの割り振りが、好みを分けるでしょうね。
女性シンガーをフィーチャーした③から④への流れも、好きモノにはたまらないのでしょうが、メタルに吹奏楽団いらんなぁとも思える。しかし、こういう意表を突く組み合わせを楽しむのが今作最大に聴きどころなのでしょうね。
明るくポジティブ、それでいて、ウドの鋼鉄精神を昇華させたスタイルは、クラシカルサウンドとの相性も悪いわけがなく、そこに新しい乗り物となるドイツ連邦軍軍楽隊を持ち込み、クラシックメタルは勿論だが、チョイとファンキーな曲までやってのけました。
COZY POWELL - Octopuss - Octopuss
★★★
(2020-07-21 12:20:38)
これぞコージー・パウエル
強烈なアタック音
激しいのに美しいシンバルワーク
生々しいタムタム
たまらんものがありすぎます
そして地味に聴こえるが裏に回り
独創的なフレーズを鳴らすコリン・ホッジキソンの上手さ
両者の相性の良さを存分に知らしめた名インストナンバー
そして二人とも大人げないくらい負けん気をもって闘っています
同じ目的をもちゴールも一緒なのに
最後に出し抜こうとする様が素敵すぎる
COZY POWELL - Octopuss - 633 Squadron
★★
(2020-07-21 12:14:22)
WHITESNAKEのライブでも展開されたオーケストラとの共演曲
夢が叶ったということなのだろう
COZY POWELL - Octopuss - Up on the Downs
★★★
(2020-07-21 12:13:17)
無駄に音数を埋めるのではなく
適度な隙間を作り優雅に展開するファンク色もそこそこのインストナンバー
メル・ギャレーの色が上手く溶け込んでいます
こういう曲でも適切なドラムを披露できるコージー
メルも気持ちよさそうにギターを弾いていますね
少々大人しめのオープニングでしたが
多様性を感じさせる今作の幕開けには相応しい一曲
COZY POWELL - Octopuss - The Rattler
★★★
(2020-07-21 12:09:49)
バラードの次なんで曲順としては絶妙です
ジョン・ロードのハモンドが唸ります
ジェントルな空気をもってサウンドを牽引
コージーの踊るようなリズミカルなドラム
その轟音が軽快にドライヴィングする様に惚れ惚れしますね
メル・ギャレーのギターも唄う唄う
ノリの良いインストナンバーに仕上がりました
助演男優賞は間違いなくジョン・ロードです
COZY POWELL - Octopuss - Dartmoore
★★★
(2020-07-21 12:03:32)
ゲイリー・ムーアとドン・エイリー参戦の泣かせのインストナンバー
お約束の泣かせシリーズなのでフレッシュ感はないが
この3人にはマジックが存在するのは間違いない
ピアノがええのよ
ドンは上手い
コージーのフィルの挟み方も押しが強いらしさ全開
もう一人の主役ゲイリーの生々しいタッチのギターが泣かせます
COZY POWELL - Octopuss - Princetown
★★★
(2020-07-21 11:57:40)
幾重にも織りなすアンサンブルの旨味
鉄壁の絡みをメル、コリン、ジョンが見せつける
とにかくテクニックに申し分ないメンバーが
コージーとバトルロイヤルといった様相だろう
エグイなぁ
COZY POWELL - Octopuss - Formula One
★★★
(2020-07-21 11:53:26)
ファンク色もそこそこに
ここではメロディアスなギターで魅了したメル・ギャレー
その隙間を埋めるようにコージーは我の強いドラムで応酬
アルバム随一のハードさも完備
このラインナップの旨味を存分に堪能できる
COZY POWELL - Octopuss
★★★
(2020-07-21 11:48:45)
結局、マイケル・シャンカーとは長く続かなかった稀代の名ドラマー、コージー・パウエル。セッションに明け暮れ、次なる展望を見据える中で、リリースされた3枚目のソロアルバム。
メル・ギャレー、コリン・ホッジキンソン、ジョン・ロードが全面バックアップ、この事実だけでもマニアなら興奮しますよね。おまけにラストソングはカヴァーディルが楽曲提供。もはやWHITESNAKEの姉妹作品と言っても大げさではない、裏テーマを感じさせる、いろんな意味でターニングポイントになったアルバム。
歌モノを止め、再びインスト中心の作品に戻したが、どちらかと言うとメル・ギャレー色の強い、味のある作風に落ち着いたと言えよう。念願が叶いフルオーケストラとの共演まで果たしたコージー、ハードドラムを期待すると、少々物足りないのかも知れないが、色彩美豊かな楽曲の中で、彼がどんなドラムを挟んでくるかを楽しめるという面では、1stにも負けない充実度を誇っている。②③の流れなどは正にライブそのものの展開と言えるだろう。
ビックネームの参加が少ないとかで、イマイチ影が薄いアルバムになっているのだが、ゲイリー・ムーアどドン・エイリーが今回も⑦で参戦、メル・ギャレーのいかしたロックギターが楽しめる⑤、名手コリンとコージーの熟練のバトルが楽しめる③、ファンキーな味もある①、オーケストラが再び参戦する④、コージー、コリン、ジョン・ロードの3人のマジックが確認できる⑥、これぞコージーなドラムが飛び出すいぶし銀の⑧とバラエティに富んだ楽曲を、実力派が完全サポート、音質も含め一級品のクオリティを誇示している優れた一品です。
COZY POWELL - Tilt - Sooner or Later
★★
(2020-07-20 17:42:12)
セッションで知り合ったギルビー・グレゴリーのペンによる歌モノ
ジョン・クックのキーボードもイイ仕事していますね
踊るようにキャッチーなフレーズをタクト
こんなにソフト路線の歌モノなのに
コージーの我の強いドラムワークに笑いもこみ上げます
でもなんでアルバムに収録したんだろう
契約の関係なのか多忙だったのか?
COZY POWELL - Tilt - The Right Side
★★★
(2020-07-20 17:32:31)
メル・コリンズのサックスが渋い
歌も渋い
ファンキーなノリの中でもコージーはバシバシとドラムをキメています
コージーお得意のジャム的な音の作りも功を奏しています
ちなみにギターレスです
アルバムの中でも最も個性的な曲でしょう
COZY POWELL - Tilt - The Blister
★★★
(2020-07-20 17:27:35)
ゲイリーとドンの曲作
参加メンバーのコージーを含め上記3人
それだけに前作同様の相性の良さを存分に見せつけた
スピーディーな展開をより一層煽るギタークレイジー
猛烈なギターを弾くゲイリーに対して
コージーは大人げないプレイを連発
後半に向けて劇的に盛り上がる怒涛の展開も脱糞ものの衝撃
アホやでとにやけるほど
コージーは鬼神の如きフィルインを連発の雷鳴ドラムを轟かせている
COZY POWELL - Tilt - Hot Rock
★★★
(2020-07-20 17:22:20)
これもヤン・ハマー作曲
ギターはジェフ・ベック
キーボードとムーグでベース不在を埋めるのはジョン・クック
良く動くリズムパートを裏でジェフ・ベックは存在感を発揮
コージーと互角に渡り合える凄腕ぶりを発揮しています
音楽は名前で聴くものではありませんが
誰がどう聞いてもベックのギターは耳を捉えますね
惜しむらくは何故か音質が良くないこと
誰が悪いんだと戦犯を見つけたい気分です
COZY POWELL - Tilt - Living a Lie
★★★
(2020-07-20 17:17:15)
バーニー、ドン、コージーの共作によるスローナンバー
ここで唄うはBedlamで同じ釜の飯を喰ったフランク・アイネロ
彼のファルセットを交えた甘い歌声がブルージーな曲に透明度の高い哀愁をまぶします
泣かせのギターに咽びますが
ズシズシと重たいドラムを挟み込むコージーのドラムが凄い
こういうスローナンバーでも我を通し曲を壊さないドラムというのは
そう簡単に叩けるものではない派手な曲に耳がいきがちだが
これがコージーでしょうと言いたいです
COZY POWELL - Tilt
★★★
(2020-07-20 17:08:40)
前作の好評を受け2年後にはスタジオに再度集結したコージーのソロアルバム第2弾。前作とは打って変わってヴォーカル入りの曲を入れ、ドラマーのインストアルバムというスタンスから方向転換。そのかいあって随分をバラエティに富んだ印象を受ける。
参加メンバーも前作からドン・エイリー、ゲイリー・ムーア、ジャック・ブルースの参加もあるが、ドンはRAINBOWとの仕事で多忙を極め、前作のようなフル参加とはいかず、ジャックも顔出し程度、そういうのも方向性に影響を及ぼしていると思うのだが、代わりに念願のジェフ・ベックの参加もあり、話題性は十分だった。
他にもジョン・クック、Curved Airのグレゴリー・カービー、MSGのクリス・グレン、エルマー・ガントリー等が参戦。この華々しいコージー・パウエルのソロアルバムに華を添えている。
何故、邦題がサンダーストームになったのかはイマイチ理解できないが、前作のような勢いがあるんだという事をアピールしたかったのだろうと推察しています。
歌が入り、方向性が散漫になったとか、ソフトになったみたいなことを当時、雑誌などで批評された為に真に受ける人もいたらしいが、前作同様、日本では商業的な成功を収め、内容はけして前作に劣るものではない。
特に、ジェフとゲイリーのギターを一枚のアルバムの中で楽しめというのも贅沢な話だし、ジョン・ロードのソロで歌るエルマー・ガントリーがいたり、ニール・マーレイ、バーニー・マースデンと共演したりと、後のWHITESNAKE参加の呼び水にもなったとか、成らなかったとか、チョイとしたゴシップもあったりと、楽しみ方もいろいろありますよと言いたいですね。
後半、始まるセッション式の音源も、歌モノのバックで的確なプレイを挟むコージーの職人ぶり、彼はけして腕っぷしの強さだけではないと雄弁に物語るプレイで魅了。スローナンバーでも見せるコージーっぷり、あのフィルの入れ方に、彼の魅力を感じます。
Star Fighter - Metal Hero
★★★
(2020-07-19 19:54:21)
全ての楽器を担当するスティーブ・ヘイズとヴォーカルのロス・パーシーの二人によるメタルプロジェクトいよるデビューアルバム・出している音が渋い、メイデン+JPを隠し味に、スコーピオンズ風味で大胆に味付け、ロスの歌い回しもクラウス・マイネを彷彿とさせる場面もあったりと、古き良きメロディアスHM/HRサウンドが大好きな人にはたまらない音楽性を貫いています。
オーストラリア出身のシンガーと(訛りなんてわかりません)アメリカ人の二人とは思えない情緒のある音楽性、それでいてベッタリとしないのは、出身国のおかげということか、このポップ過ぎず、メタリック過ぎない、メランコリックなダークテイストも加味させたサウンドは、スコーピオンズとの類似性も高く、絶妙なバランス感覚を持ち合わせている。それはメロウな旋律に絡む歌声も音楽性と合致、クドクならぬよう絶妙に回避している。こういったところにも影響の強さが表れていると言えよう。
無駄にスピード勝負じゃない聴かせるスタイルも好印象、そして全編ギターソロで客演しているのは、あのマーク・マギーですからね、マニアなら食指も伸びますよ。
古典スタイル故に、真新しさは皆無ですが、ソフトとも言えるメロディとダイナミックなサウンドの共存を果たした音楽性は、流行り廃りで消えるものではない。音楽とはそういうものでなくてはいけない。そう高らかに宣言しているように聴こえます。
TONY IOMMI - The 1996 DEP Sessions
★★★
(2020-07-14 14:14:42)
マニア泣かせのブートレック作品『EIGHTH STAR』。本作はそのデモ音源を正式な商品として世に送り出した、コレクター商品的な側面の強いアルバム。
それ故に、方向性が定まっているとは言い難いアルバム。二人の共作たる『SEVENTH STAR』のような英国風味の強いメロディアス路線とは違い、ヘヴィなアイオミ節もそこそこに、グレンのファンキーな音楽性も巧みに取り込み、折り合いをつけて楽曲を作り上げている。
両者のマジックが存在する①、歌モノ②を挟み、グレンのファンキーな要素をアイオミ節で味付けした③、グレン色が強めの曲が続き、ヘヴィなリフが耳を惹くアイオミお得意のダーク路線の⑥が炸裂。グレンは上手いが、暗黒様式美には似合わないことを示しているのが皮肉。それでも力技で聴き手をねじ伏せる圧巻のパフォーマンス力に改めてひれ伏しました。
基本はデモ、本格的に完成させた音源ではないということを加味して聴いてもらいたい。そうすれば、細かい詰めの甘さも気になることなく、このエキセントリックな組み合わせを堪能できるでしょう。グレンとアイオミの二人にも火花散るマジックは存在する、その魅力は英国的な湿り気と情緒のある⑦なんかにも溢れているでしょう。
THE SIGN - THE SIGN OF LIFE
★★★
(2020-07-14 13:54:50)
懐かしい名前ランディ・ジャクソンを筆頭に、その世界では知られた有名人、マーク・マンゴールド、テリー・ブロック、ビリー・グリア、そしてボビーロンディネリという実力派が揃った、スーパーロックグループのデビュー作。
このメンツならと勝手にAOR調のメロディアスロックをやるんだろうと高を括っていたら、いい意味で完全に裏切られました。アメリカンプログレ畑が揃っているだけに、そんな甘い予想を覆し、ここで披露するのはドラマ性を有したロック抒情詩。立ち位置を明確にしながらを互いを高め意識し合うことで生まれる緊張感。そこから立ち昇る影は、ミート風のオペラロックから、カンサスに歌モノ路線のピンク・フロイドまでと多彩を極めている。
昔の名前で出ていますな懐古趣味を出したりすることのない現役感溢れる音楽性の持つフレッシュな感性に大いなる刺激を受けました。名のあるベテランが、守りの入らずに攻めの姿勢に転じたことで生まれた、このメロディアスプログレハード路線。極めたもんが辿り着ける抜群の守備範囲の広さ、そのおかげで多方面から追っかけてきたファンを満足させるクオリティとなった。今聴いても十分に通ずる音楽性であろう。
MISDEMEANOR - Misdemeanor
★★★
(2020-07-14 13:32:25)
90年代から活動を続ける女性5人組、スウェーデン産のスラッジ/ストーナー系ロックバンド待望の1st。
ギミックなし、ドレスアップなお色気など必要なしの本格的なスタイルで勝負。甘めのトーンを生かしつつ、時にはひんやりとしたメロディを乗せたりとしながらも、突き放すような歌い回しが独特の風合いを決めている。
リズムセクションも粘り腰のグルーブで幻惑、聴き手を幽玄なる未知の世界へと誘ってくれる。
埃っぽさのあるざらついたギター、その気合の入りようは性別云々で語られるような軟弱な要素は皆無。ひたすら貫かれる60、70年代の古典ロックに通ずる砂交じりの濃度の濃さ、爆音の向こうから聴こえてくる投げやりな倦怠感。シンプルだからこそ体感できる激しい爆裂感、その先にあるのは、繊細さも含ませた熱量の高いリアルロックサウンドときたもんだ。
デビュー作ながら、早くも感じさせる揺ぎ無い音楽性。この売れる事とは無縁の高潔なるロックスピリットに敬意を払いますね。
CHASTAIN - In Dementia
★★★
(2020-07-13 13:22:42)
アルバムジャケットから漂う生々しいオルタナ感、前作よりはメタル度は増しているが、スタイルとしては流行りもんに手を出した感触が強め。それでもメロディやスピード、ギターアプローチと、モダン化しすぎた前作よりは、戻っているのでファンにとっては、気休め程度とは言え安堵を覚える内容に落ち着いている。
特筆すべきは、2作目の参加になるケイト・フレンチの柔軟な歌唱スタイルの披露。パワー一辺倒では押し切らない、ヘヴィロックに合わせ表情豊かに声色を使い分け、妖艶なる破壊神たる魅力を発揮している。
新たなる女帝の誕生と思わせる、堂に入った歌い回しに恐れ入るのだが、運も実力の内ということか、こういう音楽性では、オルタナファンにとってもメタル系にとっても中途半端、需要の狭い音楽性に陥っているために、幾度話題に上ることはなかった。色のみならず確かに実力を持ち合わせていたケイト・フレンチを生かしきれなかったのは残念でならない。当時、彼女はラリー・ハウの嫁さんとして知られていたが、離婚後はコブラ・キングと再婚。そして一緒にバンド活動していましたね。
CHASTAIN - Sick Society
★★★
(2020-07-13 13:11:02)
看板シンガーだったレザー・レオーネが脱退。というかバンドが解散状態となっていたチャステイン総帥率いるバンドが新たに20代前半の美形女性シンガーを迎えリスタートさせたフルアルバム。
サウンドは完全に90年代仕様のヘヴィグルーブが音を埋め尽くすモダンスタイル。とにかく初期の頃の様式美然としたアメリカンパワーメタル路線とは完全に決別した内容だ。
そてにしても、アメリカのロックシーンは人材の宝庫だ。レザーの後任を見事に果たしたケイト嬢のハイパフォーマンスに脱帽。レザーにも負けず劣らずのパワーヴォイスに、女性らしい甘さを巧みに織り込み、女性シンガーであることを高らかに宣言している。音楽性は好みからかけ離れているために幾度、興奮することはないのだが、こういった音楽に耐性もできた今では、この歌声に惚れ惚れする。その為に、3年に一回くらいはフルで手を出す一品。
歳をとると楽しみ方を身につけれるようになるんですよね。新人離れした貫禄の歌声、それが今作最大に聴きどころでしょう。
COZY POWELL - Tilt - Cat Moves
★★
(2020-07-12 18:18:54)
前作では叶わなかったジェフ・ベックとの共演をついに果たす
ベースはジャック・ブルースという夢のラインナップ
ヤン・ハマー作曲なのでジェフ・ベックのソロの雰囲気に近い
COZY POWELL - Over the Top - Sweet Poison
★★★
(2020-07-12 17:44:19)
前半が派手だっただけに後半の開始は地味に感じる
参加メンバーも堅実なメンツに代わったとは言え少々こじんまりとしている
落ち着いた場面も必要だったという事だろう
こういうナンバーでもコージーの腕っぷしの強いドラムが映える
そしてジェック・ブルースは鬼っぷりを見せつけてくれた
COZY POWELL - Over the Top - The Loner
★★★
(2020-07-12 17:39:43)
コージーとは気心の知れたハンブルパイコンビが客演
ドンもマックス・ミドルトンの席を譲っている
本来はジェフ・ベックが参加予定も流れてしまった
ゲイリー・ムーアのカヴァーバージョンが有名すぎる
そういった相性の問題もあり都度あることにコージーとゲイリーの競演を望む声は多かった
ゲイリーと比較するのはナンセンス
このヴァージョンは気の合う仲間がノリでやっただけではない緊張感あふれるプレイが聴きどころ
このメンバーにもマジックは存在していた
COZY POWELL - Over the Top - Over the Top
★★★
(2020-07-11 20:10:00)
ジャック・ブルースがブリブリブリと我儘なベースを弾いていますねぇ
ドンも曲作りに大きく関与しているだけに我が物顔でシンセを扱います
本物のオーケストラを呼ぼうとしたコージーですが夢は叶わず
ドラマーのソロですからいいのですが
ドラムソロをまんま収録するアイデアってエグイよね
そんな荒業を披露して魅了できるのが彼の魅力です
このしなやかでゴン太な音を叩き出せるのが
強靭な手首の強さだというのですが
日本人のポテンシャルじゃないよな
野球でいうことろのバリー・ボンズみたいなもんでしょう
桁違いの破壊力で魅了した大人げないコージーが大好きです
これレギュラーグリップで叩いてたんだもんなぁ
そしてレギュラーグリップだからの粘りなんだってさ
ドラムは叩けんから分からん
COZY POWELL - Over the Top - El Sid
★★★
(2020-07-11 19:55:53)
柴田直人がコージーのトリビュートで取り上げた曲
この曲を選んだ柴田さんのセンスにニヤニヤさせられました
流石はプロのミュージシャン
作曲とギターはバーニー・マースデン
バーニーの渋いギタープレイにグッと惹き寄せられます
ドンのピアノが効いているねぇ
多彩な鍵盤プレイで魅了してくれます
ジャックとドンの対決も後半に飛び出します
何度聴いてもあそこで興奮しますよ
コージーが脇に徹している為に地味な曲と扱われるのですが
インパクト勝負ではない味わい深さがアルバム随一
そして最もコージーらしいドラムワークが収録されている
ダーチッチってやつでしょう
オジサンになるとこの曲が凄く染みてくる
いぶし銀の名インストナンバーですね
COZY POWELL - Over the Top - Heidi Goes to Town
★★★
(2020-07-11 19:48:22)
コージーの愛犬に捧げられた曲なんだとか?
そんな逸話を聴いた記憶があります
ドン・エイリー作曲
コージー・ドン・ジャックの三人がフレーズを決めたうえで
呼吸を合わせ展開していく様に興奮
音圧とバトルが凄かった②の次ってのもいいんだよね
COZY POWELL - Over the Top - Killer
★★★
(2020-07-11 19:43:18)
ドン・エイリー作曲
ゲイリー・ムーアをゲストに迎えバトルを展開
ライブレコーディングということで息遣いまで聞こえてきそうなスリルに興奮
右と左に分かれゲイリーとドンはぶつかり合う
その合間を縫うようにジャックが魅惑のベースラインで応酬
本当に彼は個性豊かなベーシストですね
計算されつくしたドンのフレーズは後半に向けてゲイリーとデットヒートを展開していきます
とにかく息を飲みますね
これがアルバムのハイライトと押す人も多いでしょうね
御大のドラムは破壊力抜群の横綱相撲
その喧嘩買いますと言わんばかりに桁違いの迫力を見せてくれました
でも他の3人が凄いから破壊力も倍増しているんですけどね
COZY POWELL - Over the Top - Theme 1
★★★
(2020-07-11 19:35:20)
コージーのヒット曲として知られる『DANCE WITH THE DEVIL』をイントロに導入
オルガンではなくシンセサイザーの使い手の印象が強いドン・エイリーが見事なフレーズで応酬
ドンは印象的なメロディを弾き武骨なドラムの合間に美しい彩を添えている
オブリガードをキメまくるジャック・ブルースのえげつなさ
ある意味全員が主役と言える好プレイを連発だからカッコいい
当時コージーはレギュラーグリップで叩いていたのを知った時はちびりかけたね
コージーのアタック音に耳がイキがちですが
シンバルワークの綺麗な事
やりよるなぁ
この曲に限らずジャック・ブルースは凄いベースを弾きまくっている
作曲ジョージ・マーティン
SKYCLAD - A Burnt Offering for the Bone Idol
★★★
(2020-07-10 13:45:41)
元祖フォークメタルバンドとして世界的に有名なグループの2枚目。国内盤はちょいと遅れてビクターからリリースされましたね。前作にほんのりとぶっこんだフォーク/トラッド色を大増量、まだまだ手探りの実験的な部分は多いが、従来のヘヴィメタルサウンドに新しい要素をふんだんに盛り込み、オリジナルティを上げてきた。NWOBHMファイターとして知られるスティーブ・ラムゼイも楽曲構成のみならず、ギタリストとしても大活躍、彼のイマジネーション豊かな才能を遺憾なく発揮、ヘヴィメタルというジャンルに新たなる可能性と、革新的な音楽性を持ち込んだ。
今では誰も信じないでしょうが、こういうメロディの強い音楽に吐き捨てタイプの歌が乗るというのは、もったいないオバケが出るぞと大批判を喰らったわけです。曲はいいのに唄がダメとね。
後年イエテボリスタイルと呼ばれるメロデスブームの時の手の平返しには、こちらも背骨が折れるぐらい仰け反りました。そういった不当な扱いを受けた元祖フォーク/トラッドメタルバンドですが、日本ではイマイチだし、アメリカでもウケんかったが、ヨーロッパを中心としたアングラ界では、熱狂的な支持者を集め、多くのフォロワーを生むのは周知の事実なのですが、悲しいかな、90年代のメディアの評価は恐ろしいほど信者に影響を及ぼし、彼らが本来受けるべく敬意を払われていないのが残念です。
ここで繰り広げられる音に触れて欲しい。王道を行く正統派スタイルと濃密に絡むフォーク/トラッドサウンド。吐き捨てヴォーカルと扇情的な泣かせのメロディとの抱き合わせサウンドの精度の高さ、その密度の高い知性溢れる音楽性に、2000年以降から脈々と続く、ジャンルの礎になった音楽がここにあると知るでしょうね。
正直、フォークメタルもゴシック系も、メロデスも門外漢なので、詳しく類似性を指摘できないが、そんなワタクシでも、このアルバムから本格的に始まる、スカイクラッドの示した音楽性が、どれほど影響を及ぼしているのか知っているつもりです。
TWISTED SISTER - Love Is for Suckers - Wake Up (The Sleeping Giant)
★★★
(2020-07-08 11:28:17)
バンドとしては切羽詰まった状況だったんだろうが
堂に入ったベテラン感に唸ります
こういうおおらかなヘヴィロックが良く似合うバンドだった
本人が思うより色が付きすぎたのが残念
良いバンドだ
MARTYR - Darkness at Time's Edge - Into the Abyss
★★★
(2020-07-08 11:20:04)
このアルバムのハイライト
憂いのあるメロディに絡むツインリード
濃密な世界観にはエピックメタルに通ずるドラマ性もある
いい意味での古典の踏襲に拘りを強く感じます
MARTYR - Darkness at Time's Edge
★★★
(2020-07-08 11:18:03)
老舗オランダ産HM/HRバンドの2枚目。NWOBHM直系、メイデン印満載の前作から一転、より音楽性を絞り込みスケールアップすることに成功。破天荒なスピード感は薄まったが、アンサンブルの向上と際立ったベースのハリス色を抑え込みトータルバランスで勝負を賭けてきた。
王道スタイルではあるが、個性を磨き上げ鍛練した音楽性は揺ぎ無きメタルスピリット溢れるもの、その実直に彩られたヨーロピアンスタイルのサウンドは、無機質なソリッド感と憂い溢れる情緒が絶妙なバランス感覚を伴い絡み、音楽性に深みを与えている。
メタル特有のドラマ性、その広がりのある激奏激音にカタルシスを感じます。
既に1986年でも古臭い、古典スタイルを真っ向勝負で挑んでいるからです。ここまで、丁寧に作り込み細部に拘られたらメタルを愛するものとしてグッときますよね。
パッと聴けばスピードが足りない、地味だと感じるのだろうけど、2枚目にしてドーンと構えた牢名主感に、不敵やなぁと思いましたね。
2019年に我が国でライブを行い、記念すべきライブ盤もリリースしている、オランダの生ける伝説。愛すべき正統派スタイルに拘りを持つマニアなら、一度はトライして頂きたいバンドですよ。
WARRANT - Born Again
★★★
(2020-07-07 13:08:16)
メタルバブル末期に登場、その恩恵をギリギリのところで受け、またシーンの活性化にも貢献した彼ら。看板シンガーの脱退、音楽性の変貌など、苦難の時期を乗り越え辿り着いたのが今作。
既にシーンの中では、昔の音楽性に戻る時期でもあった、CDを売るのではなくライブ興行に活路を見出すバンド運営。会場に訪れるオジサンたちをもてなすには、往年のスタイルへの回帰は必然だったと思われる。
そんな時期でのリリースだけに、このバンドも昔のスタイルへ帰還。メンバーもヴォーカルを除き黄金期へカムバックとお膳立ては揃っている。
流石に、まんま80年代なんて馬鹿げた選択はしていないので、2000年以降のスタイルを取り込み自分たち流儀に再構築。あの声あってのバンドだなぁという、無いものねだり感は膨らむのだが、ヘヴィでルーズな現代的ロックサウンドは、古典と向き合い新しいスタイルを披露してくれた。
少しでもモダンな匂いがすればアレルギーを起こし犯罪者と罵りたくなる、潔癖症の方には、当然進められるものではないが、順当に育んできた音楽性、これはこれでありでしょう。古いことをそのまんまやらなくてよかったです。
GOATCORE - Goatcore
★★
(2020-07-07 12:55:35)
Vo.山羊智詞、G.足立祐二、B.MARRY、Ds.梅田一哉の4人からなるパンクロックバンドの1st。刺激的な歌詞やパンキッシュな音楽性、そこに心を込めて叫ぶ歌声、ドラムも直情的で派手なビートを刻み、ベースもテクニシャンぶりを発揮、一筋縄ではいかない多様な音楽性を放り込み、各々が自己主張を繰り広げている。歌い手も、迫力満点の凄みを魅せるが、ジャパニーズロックの範疇から飛び出すものではない。そこに足立のギターはアヴァンギャルドな要素を強めで放り込み、このバンドでしか味わえない闇鍋サウンドが完成。次に何が飛び出すか分からないハイセンスさと、この手の音楽に造詣がないので形容しがたいのだが、独自性をアピールしていると言えよう。
7曲入りのアルバムを残し割と短命だった活動。その為に、イマイチ知られていないのだが、クロスオーバースタイルのハードサウンドもイケる方ならチャレンジする価値はあるかと思います。
TONY IOMMI - Fused
★★★
(2020-07-07 12:41:38)
2005年と言えば混迷するメタルシーンの中にあって、少なからず原点回帰を思案するバンドも増える時期だった。そんな
何かが起こりそうな時代にリリースされた、ブリティッシュロックレジェンド二人によるプロジェクトアルバム。
うねりを上げるアイオミのギターに絡むは我らがヴォイスオブロック、グレン・ヒューズの降臨。既にこの二人のコラボレーションから派生されるマジックは体感済み、あとはどの音楽性に照準を合わせ展開するかだが、ここでは、むやみやたらに若者を意識したスタイルは排除、勿論、2000年以降のヘヴィロックスタイルではあるが、アイオミのイメージを壊さない重厚なサウンドを披露。様式美系ではない暗黒ヘヴィロックでおもてなしです。
ロニーやマーティンと比べ憂いのないグレンの歌声、軽さという点ではオジーと変わらないが、オジーとは比較のしようもないほどテクニシャン。その技巧面を情感を乗せてコントロール、多種多様な楽曲の中でファンクを抑えロックシンガーに専念、まさにヴォイスオブゴットぶりを魅せつけてくれます。
前半の今風ヘヴィ路線よりも中盤以降のメロディを生かした楽曲の方が両者の特性と思惑が合致しているように感じるのも、このアルバムのお楽しみの一つ。この二人のコラボには、まだまだマジックは存在するんだという事を知らしめてくれた。類まれな表現力を持ち合わせた歌唱力、その存在感に驚かされるのだが、それにも負けず、アイオミが自分の色を無理なく打ち出し究極のマッチングを見せてくれた。
ヘヴィな部分と叙情的なフレーズの出し入れの上手さ、テクノロジー頼みではない生身の温かさがあるのが良かった。
WHITESNAKE - The Purple Tour - Burn
★★
(2020-07-05 20:04:22)
20年は前に歌えなくなった曲をライブの頭に持ってくるとは正解だったのか?
ギターチームは新しい解釈で挑みクラシックソングに花を添えている
グレン・ヒューズは今でも歌えるがカヴァーディルの凋落ぶりに溜息しか出ません
ロックミュージシャンの現役引退
KISSも辞めるしなぁ
難しい局面を迎えていますね
バックの演奏はエネルギッシュ
IMPELLITTERI - Venom - Face The Enemy
★★
(2020-07-05 19:58:14)
速さやオペラティックな歌唱だけがインペリテリではないと言いたげですね
こういう曲のPVを作ったフロンティアは偉い
サビもギターソロ&その前もいつものパターンです
これがインペリテリ節ですね
類似曲が多すぎるので素直に耳に入ってきませんが
お約束こそインペリテリなので問題なし
これについてこれなければ何も耳に入ってこないアーティストである
TRIXTER - Trixter - One in a Million
★★★
(2020-07-05 19:49:22)
爽快感のあるメロディの中にある刹那
この甘酸っぱさが王道アメリカン色を強めています
メロディ派なら手を出したくなる曲でしょう
ベタに適うもんなし
VINNIE VINCENT INVASION - All Systems Go - That Time of Year
★★★
(2020-07-05 19:44:39)
メロウなハードナンバー
マークもキンキンのハイトーンを抑え男らしく迫っています
これくらいの方がセクシーな声も生きてきます
サビもエエねぇ
洗練されているが男前のハードスタイルを前に出しているのも好感が持てます
売れ線志向の曲ですが
じっくりと耳を傾けたい魅力が満載です
ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic - Psycho Ward
★★★
(2020-07-05 19:34:38)
初期の頃のエッセンスが強めのアルバムだけに
複雑な構成と王道メタルスタイルを上手くハイブリットさせている
この曲に限らず昔の名前で出ています的な匂いがするのだが
こういう曲は嫌いになれません
懐かしいわ
でも潔癖な方ならアルバムの3曲目ですが不安になるでしょうね。
ANNIHILATOR - Ballistic, Sadistic - Armed to the Teeth
★★★
(2020-07-05 19:32:04)
拘りの構成もあるがキャッチネスさも同じくらい前に出している
複雑なのに聴きやすい
これもメタルの楽しみ方です
このリズミカルなグルーブに体が動き出します
もっとエキセントリックなプレイが欲しくなるのも彼らが凄い技巧派集団だか
上手いって事は素晴らしいねぇ
余裕綽々なんだよなぁ
GRAVE DIGGER - Healed By Metal - Lawbreaker
★★★
(2020-07-05 19:22:28)
何かに似ているなぁなんてアラ探しは御法度のバンドなのです
ですからこれで良いのです
シンプルかつ耳なじみの良いリフワークから弾き出される王道メタルサウンド
パワフルかつ勇壮なバンドサウンドは彼らの真骨頂
この気骨溢れるメタルスピリットと覚えやすいリフレインの大導入
色んな意味でメタルの中のメタルを味わえます
CRAZY LIXX - Ruff Justice - Wild Child
★★★
(2020-07-05 19:17:38)
やりにいっていますねぇ
完全に狙いすましています
ハードでワイルド
そしてビックコーラスをぶち込みメチャクチャ耳なじみが良い
売れるぞー
この心意気に一票を投じます
カヴァーディル雄叫びシャウトもカッコいい
TWISTED SISTER - Love Is for Suckers - Hot Love
★★★
(2020-07-05 19:10:45)
80年代の音やでぇ
イントロを聴くだけであの時代にタイムスリップさせてくれます
売れ線ロックですが
漲るパワーにバンドの矜持を感じます
俺たちはメタルバンドだと高らかに叫んでいますよ
皆で口ずさめる
これぞパワーポップって呼びたいね
U.D.O. - Steelfactory - One Heart One Soul
★★★
(2020-07-05 19:03:56)
メタリックな哀愁のメロディ
この扇情的なフレーズにウド印を感じます
お得意のメランコリックなメロディをぶち込み
悲壮感を漂わせ力強く突き進んでいきます
こういう曲にウドの声は良く似合う
お約束感満載なのが逆に大好き
DORO - Forever Warriors - All for Metal
★★★
(2020-07-05 19:00:18)
新たなるメタルアンセムの誕生
皆で拳を振り上げシンガロング
国籍も性別も肌の色も関係ないメタルソング
メタルを愛するものなら肩を並べ酒を酌み交わし
一緒に歌い叫びたいね
ALL FOR METALとね
こういう曲が死ぬほど好きです
理屈抜きに大好きなんですね
PVもエエわ
DEAD END - Ghost of Romance - SKELETON CIRCUS
★★★
(2020-07-05 18:55:20)
妖艶な足立のギターに耳が持って行かれます
いかにも日本のロックバンド的な歌い回しにげんなりさせられるが
それを補って有り余る足立のプレイに魅了された
このごちゃ混ぜの個性がハマると強いのがバンドの魅力
スローパートを挟んだのが良かった
TOKYO BLADE - Ain't Misbehavin' - Heartbreaker
★★★
(2020-07-05 18:49:59)
もったいつけた長めのイントロも悪くない
こういう方向性に進んだかと驚きはあるが
英国らしいどんより系の煮え切らないメロディ
フックはあるがヌルっとしているのがやっぱりだよなぁ
荒っぽいギターもNWOBHMファイターの矜持
なんだかんだで今でも聴くアルバムのオープニングナンバー
PALE DIVINE - Thunder Perfect Mind
★★★
(2020-07-02 18:31:51)
ペンシルベニア州が生んだ正調ドゥームバンドによる1st。ドゥームサウンド特有の濃密に絡みあう灼熱のヘヴィグルーブ、そこざらついた荒っぽい歌声が乗り、沁み込んだブルース臭が何とも言えな味付けを施し、グイグイと迫るギタープレイも理想的ともいえる仕様。とにかく音数で勝負するのではないシンプルさ、演出を必要最小限に抑えつつも、演者が個性をぶつけ絡み合う事で弾き出されるエネルギー、その佇まいは実に地に足の着いたものだ。
これぞロックと言える武骨な粗さと、重々しいサウンドの隙間を駆け抜ける殺伐とした荒涼感、売れる事とは別のベクトルは放つ姿勢に、リアルロックファンなら大いにシンパシーを感じるでしょう。
70年代ロックから洗礼を浴びた若者たちが紡ぐ混沌としたロックサウンドの凄み、彼らが奏でる重心低く迫る激渋ヘヴィグルーブに肩までつかり、深く沈み込んでいきます。
PRETTY MAIDS - Undress Your Madness
★
(2020-07-02 17:58:19)
欧州のメタルシーンの重鎮と言っても差し支えのないベテランバンド。メジャーシーンとの戦いの上で試行錯誤を繰り返してきた彼らだが、2019年のアルバムは大胆に売れる音楽性に舵を切っている。
若い人は知らないかもしれないが名盤『Jump the Gun』がリリースされた時など、軟弱になった、ロジャー・グローバーに殺されたとか、売れ線になびきやがってと、一部のマニアから強烈なダメ出しを受けたのですが、今作など、そんな賛否があったなんてことは木っ端微塵に吹き飛ばす、ハイパーメジャーハードポップウルトラヒットアルバムに仕上がっています。頭から数曲聴き、もうそろそろエンジンがかかるだろうと待っていたら、そのまま最後までラストラン完走。
これじゃ、BON JOVIのヨーロッパヴァージョンだよと、思えるほど、売れるたいアルバムである。
いつノーラ・ローヒモが歌いだすんだと、思えるほど今のシーンを打ち抜ている。ここまでやり切ったら文句は言えません。あとは個人の趣味嗜好の問題。とにかく今すぎる。
個人的には、貧乏くさいB級NWOBHMとか、シコシコ聴いて喜ぶたちなので、この売れたい音に、メタルバンドが持ち合わせる、聴き手を熱くさせるカタルシスはないが、プリティメイズの若さに驚かされました。本当に圧倒されましたね。
自分たちの伝統などお構いなしの姿勢に感服しました。何事も中途半端は良くない、ここまでやり切らないとね。
叩き上げバンドによる熱量の高いハードサウンドを期待するマニアにとっては眠くなるようなポップス志向ですが、歌モノが好きな人なら大いに楽しめるでしょう。
でもロニー・アトキンスもケン・ハマーも必要ないアルバムではある。そこが賛否を大きく分けるでしょうね。前作にあった牙がないんですよね。野心もないんですよね。売れたいだけしか感じないんですよ。そこが痛々しい。Frontiers Recordsの悪いところでたなぁ。
JOE STUMP - Guitar Dominance
★★★
(2020-07-02 17:28:44)
ガスGの師匠と知られ、最近ではグラハムボネットバンド改め新生アルカトラスとして動き出したグラハムの右腕に抜擢された苦労人ギタリスト、ジョー・スタンプのソロアルバム。リリースは1993年、レーベルはチャステイン総帥率いるリバイアサンときていますからね、もう聴かずともネオクラ臭が漂いますが、ジョーの奏でるクラシカルサウンドは、攻撃性も高くパワー漲る勢いも感じられ、本家とは違うニュアンスで勝負。シュラプネルタイプではあるが、あちらのレーベルとも違ったアプローチをとっているなぁと感じさせるのがポイント。
少々、粗いサウンドメイクだが、それが逆に生っぽさを演出。ジョーの野心に溢れたギタープレイはギラギラと輝き、全てを飲み込んでいきます。
今聴いても古さを感じさせないのは、ラフな感触にしたおかげだと思うのだが、やはり頭ではなく体で感じさせる圧倒的な技術と簡潔なスタイルに基づいて攻めてきたからだと思います。
甘さを排除したパワープレイとクラシカルフレーバーは、往年のロードウォーリアーズのように巧みなコンビネーションプレイで、聴き手を魅了するでしょう。やはり音楽は楽しませてくれないとね。
自己陶酔ではないパンチの効いたネオクラインストアルバム。ありそうでなかったスタイルに着手した演者側の勝ちでしょう。
BORISLAV MITIC - Borislav Mitic
★★★
(2020-06-30 13:33:42)
2000年を目前に突如現れた東欧圏出身のネオクラ系ギタリストのオールインストアルバム。我らがシュラプネルからのリリースだが、時代が悪く幾度話題に上ることなどなかった。
ここで聴けるのは、いかにもヨーロピアン調のマイナーメロディ、そこに優美に舞い踊るクラシカルテイストも盛り込み、これぞフーガロックと言いたくなるサウンドを披露。
これといった最新のギタープレイなどないのだが、お国柄とも言えるもの悲しい音色から醸し出される味わい、そして滑らかな運指から弾き出される、繊細かつ情熱的なプレイ、その独特の間合いから繰り出されるメロディアスなフーガサウンドは、ダイナミックに展開することで、メタルらしいソリッド感も併せ持ち、普遍的な魅力を発散している。
インストアルバムしかリリースしていないために、今一つ認知度を上げられないのだが、知的なエッセンス溢れるクラシカルサウンドが好きな方なら、耳を存分に楽しませてくれるでしょう。
この手のギタリストにありがちな、まるでアイツじゃないかじゃない技巧を見せてくれますので。
STRANA OFFICINA - Rock & Roll Prisoners
★★★
(2020-06-27 18:03:47)
70年代から活動するイタリアの古参バンド。当国のメタルシーンを語る上では外せないバンドとマニアから言われているが1stリリースまで10年以上の時間を要している苦労人バンドでもある。
ファビオとアンドレアのカッパネラ兄弟を中心にバンドは動いているが、10年の活動期間を総括するような内容に感じる。良くも悪くもバラエティ豊かという印象、本格派の①の次にキーボードも目立つキャッチーな②、そしてスピードナンバーの③ときて、メロウな④、いずれもギターが弾きすぎだと感じるくらいソロを弾き倒す印象、どっちつかずな楽曲の狭間をメチャクチャに切りまくるが如き大暴れだ。
⑤はゆったりとしたリズムの古典ブギーロックと、とにかくバラエティに富んでいる。そしてシンガーの歌い方も、定まっておらず、噛み合った瞬間と、そうでない場面が交互に訪れたりと、のらりくらりな印象を強く受けてしまう。
メジャー流通の、安定した作品に慣れ親しんでいるユーザーには、進めることなど憚られるのだが、これが愛すべきB級マニアにとっては無問題です。
長いキャリアから選抜されたと思わせる、多種多様な楽曲。重さよりも軽快さ、そして欧州由来の叙情味たっぷりのメロディ、楽曲によってはゲストキーボードも存分に生かし、その多彩な空間演出を施し工夫を凝らしている。
とにかくごった煮感が上手く昇華されており、そのやりたいことが多すぎで渋滞気味のたどたどしい展開すらも味方につけ、突貫工事ドラマを見せてくれる。力業なはずなのに華麗に駆け出すのだからた予想外です。
マニア筋からは熱列な評価を受ける、華やかな80年代を迎え撃つ、イタリアンメタルの隠れた名盤。オジサンの耳に丁度良いハードサウンドでおもてなししてくれました。
棚の整理をして久しぶりに出会った一枚。完全に記憶から抜けていたな。こういう出会いは定額性サービスじゃおきないもんなぁ。
MARTYR - For the Universe - Speed of Samurai
★★★
(2020-06-23 13:58:36)
For the Universe直訳するなら宇宙の為に
そのイントロから続くのはスピードサムライ
良く意味が分からないのだが曲は無茶苦茶カッコいい
キレのあるスピード
場面展開も巧みに盛り込み
一筋縄ではいかないぞとサムライストーリーを盛り上げます
ジャケットに映る男が宇宙サムライならジェダイマスターってところか?
MARTYR - For the Universe - The Awakening
★★★
(2020-06-23 13:55:06)
ドラマティックな展開を盛り込んだアルバムの楔となる濃厚な一曲
メイデン+キングダイアモンドといった趣がオランダ的とも言えるのだろう
MARTYR - For the Universe
★★★
(2020-06-23 13:53:22)
オランダ産パワー/スピードHM/HR系バンドの1st。冒頭のSEから切り込んでくるのは名曲②、そこでテンションアップも、次はインストナンバーって展開は、少々肩透かし感が滲み出るのだが、曲そのものはシャープな切れ味を伴いスリリングに進んでいくのだが、やはり、どこか水を差されたなぁと感じてしまいます。
スピーディーなプレイからはNWOBHMの影響も大、そこにメイデン大好きと言わんばかりにアタッキーなベースも飛び出し、曲構成からもメイデン印を感じさせる。今となっては貴重なスタイルのバンドだけに、こういうピュアな感性に彩られた欧州型の情緒あふれるスピードメタルの旨味を、若い人にこそ味わってもらいたい。
暗く湿ったダークテイストの切れ味、そのマイナー調のメロディは、どこか切迫感があり、じんわりと肌に汗がにじんでくる。ヘヴィネスさや重々しいグルーブよりも、スピード感に比重を置いたのも正解だろう。そのおかげで何を聴かせたいのかが明確に伝わってきた。NWOBHM直系、メイデンスタイルのマイナーサウンドは、古き良き80年代テイスト満載です。
VETO - Veto
★★★
(2020-06-23 13:32:45)
ツインギター編成5人組のジャーマンメタルバンドが1986年にリリースした1st。
欧州由来の叙情的なフレーズがシャープに切れ込んでくるパワフルなサウンドが魅力のバンド。軽めの音質&たどたどしい演奏、とくにリズムのドタバタ感に拒否権発動したくなるのだが、攻撃性のみならず、クラシカルテイストもぶっこんできたりとアイデアも豊富、先人たちからの影響も素直に表現する術を持っており、そのアイデアがガチンとハマったときの威力は相当な破壊力があり、色んな欠点に目を瞑り楽しみたくなるから不思議だ。
日頃、メジャー流通のキチンとした商品と向き合っている方には、少々敷居が高いかもしれないが、メタル愛溢れるマニア諸氏ならば、血沸き肉躍る高揚感とメタル特有のコンパクトなドラマ性を大いに楽しんでもらるでしょう。
最高に下手くそだなぁと罵りたくなるパートと、カッコいいーと唸りたくなるパートを同時に楽しめるのも、こういうバンドあるある。この苦しそうなハイトーンヴォーカルも込みで楽しんでもらいたい。
ANVIL - Legal at Last
★★★
(2020-06-21 16:36:22)
近年はコンスタントにアルバムをリリースするカナダの重鎮。レーベルもドイツのAFMに移籍となり、若干、危惧するものもあったが(元気いっぱいのアニソンメタルみたなものをリリースする傾向にあるのがAFM)徹頭徹尾貫かれるのは、ANVIL流のヘヴィメタルサウンドを真っすぐに披露。少々枯れ気味ではあるが、もはや代わり映えのない究極の金太郎飴スタイルを踏襲、自分たちの信じる道を驀進中です。
武骨なれど、メタル特有とも言える拘りの展開を設け、ただ走るだけではないのが彼らの魅力。老いと向き合いならがらも、“老いては益々壮んなるべし”と言いたくなる大人げないプレイで聴き手を魅了していきます。
真新しさのなど皆無。愚直なるアンヴィルサウンドを引っ提げ、ひたすらメタル愛を貫いている。一般的には名作と呼ばれないだろうが、これこそ若い人に聴いて欲しい、古典ロックの生き字引である。その存在価値に重みを感じますね。
BLACK FLAG - Slip It In
★★★
(2020-06-19 15:16:48)
後のグランジ・オルタナブームの源流たるバンドと目されるカルフォルニアのパンク・ハードコアバンド。
グレッグ・ガンとヘンリー・ロリンズの出会いがバンドを花開かせたのだろうが、バンド名から醸し出されるアティチュードがえげつない音となって表れている。
ハードでうねり上げるリズム、そしてエッジの立ったギターに、ロリンズのタフな歌声、パンクの定義は良く分からないのだが、個人的には生々しいハードサウンドとしてビンビンに響き渡り、このバンドにはパンク特有のフットワークの軽さや、能天気さは皆無。病的な倒錯傾向のある70年代型のハードサウンドをしっかりと受け継いだ古典ロックの旗手と呼ぶべき存在だろう。
こんな音を煌びやかに移り変わるシーンに対抗するようにかき鳴らしていたのだから、恐ろしいほどの高潔なる精神性を持ち合わせたロックバンドと言えよう。
この時代に女性ベーシストを迎え入れているのも気合の表れだろうなぁ。
メジャーレーベルに等、目もくれず自らレーベルを立ち上げ活動、その時代に抗うスタイルこそ、パンクという事か、ジャンル不問、刺激的かつ荒々しい攻撃性を纏ったハードサウンドが好きな聴くべき価値のある一枚ですね。
BLACK SABBATH - Black Sabbath
★★★
(2020-06-19 15:00:44)
僅か2日間でレコーディングされたという、まさにジャムセッション&ライブレコーディングを施してリリースされた渾身の一枚。その異様なテンションはオープニングナンバーから炸裂。音が出るまで時間かかるし、スローな展開でじらされるのだが、後半に向けて徐々にテンポアップ、そしてオジーの狂気の入り混じったシャウト一発から、怒涛の展開へと流れ込み昇天。地中深くまで潜り込むような鈍重な展開と激しさを増すリフワークに、一撃必殺の破壊力が備わっていました。
そのインパクトをタイプの違う②で繋ぐのですが、音楽性は多彩であり(単純に用意していなかっただけかもしれない)、⑤のようなカヴァーソングまであるのだから面白い。
80年代、サバスはマニアに愛されるバンドだった。もっと言うとリアルにロックが好きな人が聴くバンドというイメージ。日本では遥かにZEPやDPの方が人気があり、また女性にはクイーンやチープトリックなどの方がウケていた。
恐らくサバスが、急に取り出されたのはグランジ・オルタナバンドに多大なる影響を及ぼした源流扱いされてからな気がする。
ギーザーが描き出す魔術崇拝思想を掻き立てる歌詞とモチーフに、邪悪なイメージを増幅させる曲と、そうではない曲との対比が何とも愉快。そういうごった煮感が、初期ならではの味わいとしてあるのが印象的だ。そして④のような曲を聴けば、このバンドが、とれだけのフォロワーを生んでいるかが理解できる。大人になってから、ドゥーム、スラッジ系の聴く機会が増えたのだが、今作は、彼らにとって教科書でありバイブルであろう。
BLACK SABBATH - Sabbath Bloody Sabbath
★★★
(2020-06-19 14:42:02)
個人的にはサバスのカタログの中で最も聴き返す頻度の高いアルバム。それまでのブルースロックから派生したハードロックサウンドの源流たるサバスティカルサウンドに、鍵盤楽器を巧みに盛り込み音楽性に広がりと可能性をもたらしている。
また、初期の頃の悪魔的と表現されるようなギミック気味の曲も抑え、色の付きすぎたキャラクターからの脱曲も目指しているようで面白いのだが、アルバムタイトルが悪魔的なのが、いろんな意味で面白い。
④ではリック・ウェイクマンがゲスト参加、派手目のソロまでぶち込み、オジーと手を切った時代にも通ずるスタイルを示しており、プログレ的なアプローチが実験的な要素で終わっていないのが凄い。
⑤みたいな曲を聴くと、前作がアメリカンマーケットで想像とは違う形になったことに対する、新たなる表現方法として、より突っ込んでいる印象を受けたりと、売れる事での意識もヒシヒシと感じるも聴きどころ。
やはり①のような曲にこそアイオミ節を感じるのだが、朗らかで軽い声のオジーには⑤のような曲が似合う。
後年、ロニーと組んで造り上げた音楽性との類似点も、この時点で発見出来たりと聴き返すたびに新しい発見があったりすのだが、同時にオジーの声では、拡散する音楽性を受け止められないという、限界をチラつかせたのも印象的。
若い人から、サバスは悪魔的みたいなことを言われたことがあるのだが、それは1stの一発目みたいな曲もあるということ、ギーザーが魔術的な歌詞を書いたとか、初期頃はロウソク一本たててうしろの百太郎呼び出したとか、逸話が先行しているだけで、音楽性は全般的に、ジャムセッションを中心に曲作りを行うガチのバンドだったというのを教えてあげたい。ジャズ・ブルースロックからの派生形、そこにバーミンガムロック等と形容される後ろ暗さが交わったのが、悪魔的な背景にあると言いたい。
ワタクシもメタルに触れた当初、良くサバスは悪魔だ魔術だ等と、言われたが、全然理解できなかった。むしろ、情報を頭に入れ、こういう音を悪魔とか魔術と言うんだと言い聞かせて聴いたくらいだ。そんな偏見を持たずにフラットな感性で聴ける若い人には、妙な壁を作って欲しくない。
普通にカッコいい70年代のロックバンドであるという事が理解できる。このアルバムは、複雑な構成にも果敢に取り組み、自分たちの可能性を広げた意欲に溢れる名盤。
BIG GUNS - ON DAGEROUS GROUND
★★★
(2020-06-16 16:51:35)
ZEROコーポレーションからリリースされたデビュー作。リリース時が90年代の中ごろというのもあり、日本のみの契約というのが泣かせる。音楽性はメインストリームよりの大衆性を帯びたサウンド、そこに哀愁のあるメロディを織り込み、絶妙なバランス感覚を敷いている。
ロックの持つ大胆不敵な豪胆さ、親しみやすさと対等に自己主張されるハードテイスト、硬軟交えた聴かせ方の上手さにZERO印を感じるが、やや真面目過ぎるきらいがあるのが気になるところ。贅沢な不満なので、これは嗜好の問題。堅実なプレイに裏打ちされた無難な曲作りも功を奏し、この時代に多くの人が渇望していた、古き良き時代のメインストリーム風メロディアスロックサウンドを披露している。スリルと引き換えに手にした安定感、その統率された普遍的スタイルに惹き寄せられますね。
FOR ABSENT FRIENDS - Running in Circles
★★★
(2020-06-16 16:07:50)
国内盤は我らがZEROコーポレーションからリリースされた。プログレポップロックバンドの2枚目。
バンド名からも分かるようにGENESISからの影響も大ですが、あそこまで本格派のプログレスタイルをとっておらず、よりソフトでメロディ重視の姿勢をとっている。
勿論、プログレ系なので拘りの展開は用意してあるのだが、それ以上に聴かせたいのは憂いのある優美なメロディ。素直な気持ちで向き合える優しい音楽性のおかげで、なんの疑いもなくスッと心に入ってくる。
とはいえ自己主張弱めの為、引っ掛かりが少ないのだが、そんな不満を補って余りある豊潤なメロディの数々に、ここは身を委ね、彼らが奏でる慈愛に満ちたポップなプログレロックに酔いしれるのが一番でしょうね。
鍵盤楽器の使い方も上手、哀切のある展開を巧みにコントロール、こちらの体感温度を優しく下げてくれます。
そして邪魔をしない歌声も、あの人みたいで良かったなぁ。全体のバランスが秀逸なんですよね。だからエッジ不足な音楽性でも素直に受け止められますよ。
AXEL RUDI PELL - Sign of the Times - Gunfire
★★★
(2020-06-16 01:50:52)
KILL THE KINGアクセルヴァージョンといった様相がたまらん
今後もやりまくってください
これでいいのです
これがアクセルなのです
ALDIOUS - Evoke 2010-2020 - I Wish for You
★★★
(2020-06-16 01:43:57)
このヴォーカルの持ち味はこっちなんでしょうね
たおやかなメロディ
優し気に歌い上げる歌声
J-pop臭すらも味方につけれるのも強い
アルバムのクロージングにこういう曲があっても悪くない
普段なら聴くようなジャンルではないのだが
流れ的に不自然じゃないのもニューヴォーカル加入の戦利品ということだろう
ちょっと泣けるんだよなぁ
ALDIOUS - Evoke 2010-2020 - Ground Angel
★★★
(2020-06-16 01:40:35)
ヴォーカルが変わり完全に生まれ変わった曲の代表格
日本人ならではの親しみやすいメロディ
刺激的な歌詞もズバッと切れ込み耳を捉えていきます
やはり唄は大切ですよ
いい曲になったなぁ
KAMELOT - Karma - Don't You Cry
★★★
(2020-06-16 01:35:46)
ロマンティックやで
泣かせるわ~
どうでもよいけど
キャメロットのコメントがごっそり無くなっている気がする
初見じゃない気がするんだよなぁ
マイルドなロイの歌声が素晴らしい
KAMELOT - Karma - The Spell
★★★
(2020-06-16 01:33:35)
妖艶ですねぇ
こういうミドルナンバーをさらりとねじ込めるアイデアにぞっこん
ドラマ性豊かなアルバムの中で一際異彩を放つ一曲
キーボードを巧みに使い妖艶なる抒情詩を描き切っている
カーンの歌い回しも素晴らしい
色艶がハンパないぞ
KAMELOT - Karma - Forever
★★★
(2020-06-16 01:28:51)
あれ~?コメントした記憶があるど!
正統派HM/HR極寒の時代にリリースされた名盤を代表する名曲
ある意味キャメロットと言えばこの曲だと断言できるほど比類なき完成度を誇る
少々型にハマり過ぎな面はあるのだが
ロイ・カーンの持ち込んだ世界観が素晴らしい
このメロディラインを歌い上げたカーンに脱帽
かれがMVPで間違いない
VIRUS - Pray for War
★★
(2020-06-14 18:14:19)
80年代に立て続けに3枚のアルバムをリリースして消えた英国のスラッシュメタルバンド。とにかく火薬の匂いが充満する危険極まりないサウンドが売り、VENOM直径とも言えるダーティーさに、ヒリつくハードコアテイストを大導入、喚き散らす歌声も独特の感性を纏い、このバンドの独創性に拍車を掛けている。
ひねくれたインテリジェンス、そこに英国特有のシニカルさを感じるが、同時に破天荒極まりないグシャグシャのリズムが絡むことで、やはり独特の音楽性を披露している。
初見で聴いた時は、腹ただしい感覚に襲われ最後まで完走できなかったのだが、このリズム感の悪さも耐性が出来れば、逆に、このバンド独自のグルーブと生まれ変わり、このアルバムは、これでないとダメなんだと思わせる魔力があるのが、今作最大の聴きどころ。上手い下手では語れない魅力をアピールしている。
意識してやったのか、実力不足だったのかは分からないが、影響を受けたアーティストに対するリスペクト精神に満ち溢れたデビュー作であることに変わりはない。
9曲入りで30分を切る内容、それなのに、イントロとなる⑥で3分半も使うのも破天荒遊戯と言えるだろう。おもろいバンドだ。愛想を振りまかないハードコアスラッシュの源流たる音楽性、その影響下にあるスタイルも英国ならでは、人々を突き放すが如き喧嘩腰の姿勢も眩しい限り。こんな売れるわけないわぁと思いつつも、手に取りたくなるのがマニアの性でしょう。
PLASMATICS - New Hope for the Wretched
★★
(2020-06-13 20:31:59)
破天荒なキャラクターと素顔のギャップに苦しんだのか、自ら拳銃で命をたったウェンディOウィリアムスがフロントを飾るバンドのデビュー作。激しく咆哮したかと思えば、④では喘ぎ声シャウトまでかます仕様、楽曲もパンキッシュな勢い重視の曲が多く、ストレートな感情表現を尊重している。
勿論、親しみやすいファニーさや、実験的意欲旺盛な面も同時に見られるのも面白い。
イギリスから流れ込んできたパンクムーブメントに呼応するように、アメリカでも地殻変動を起こしたパンクムーブメント、このバンドも、そんな先駆けの一つとして語られるのだが、完成度や技術云々ではないパッションを感じさせるのが聴きどころ。
アメリカよりもイギリスで受けたというのも興味深い話なのだが、スタイルに拘らない雑食性、一口に語ることだができない節操のなさもパンクな精神性の継承という事なのでしょう。
GRAVE DIGGER - Fields Of Blood
★★★
(2020-06-10 20:53:54)
アイリッシュフレーバーたっぷり、ドイツのベテランメタルバンドが選んだのは、お得意のアイルランド物語。剛毅に打ち鳴らされるパワフルサウンドに注がれる叙情的なメロディと、灼熱のメタルスピリットの融合は沸点も高く、勇猛果敢なメタルウォーリアーぶりを発揮。このバンドの持つ強い精神性、紆余曲折はあれど、己が信じるメタル道を突き進む姿勢、時代の流れに抗い続けた男たちに迷いなし、どこかで聴いたことがあるフレーズすらも味方につけ、確信犯的な発想で、ファンが望むものを見事に描いている。リフ一発に込められた思い、キーボードやバグパイプが奏でるアイリッシュメロディ、全てが有機的に絡むことで説得力も倍増、こういうコンセプトが目先を変えるだけではない、地に足がついたものだからこそ聴き手を圧倒するでしょう。
好戦的なエピカルさもあるが、それ以上に賑やかで痛快な剣劇メタル的にカラーを持ち合わせていたのも、今作の視聴感に良さに繋がっているのだろう。壮大なイメージを抱かせるバラード⑥では、メタル界の北斗昌をなりつつあるローラ・ロウヒモが客演、素晴らしいアクセントとなっている。
定額制サービスのおかげで、難なく新譜を聴ける、通常この手のバンドにお金を出すのは微妙だったりするのだが、こんなん出たよと、親切に教えてくれるのでありがたい。グラハム・ボネットのアルカトラスの新曲も既に公開と助かる、そして本気で欲しいものだけを、パッケージ商品に変えればよいのだから、しかし、一つだけ難点がある。それは、記憶に残らない。
家の棚から発見される『あれ?こんなんあったっけ』、『あ、買ったのに聴くの忘れていた』、『やっぱ、これ聴こう』などなどの、出合い頭の出来事、ある種の棚からぼた餅的な、思いがけない出来事が起きないのが残念。でも、これも時代の流れ、抗うのはマヌケな気がするので、思いっきり受け入れています。
BON JOVI - Live at Super Rock '84 in Japan
★★★
(2020-06-10 16:48:46)
福岡・名古屋・大阪・埼玉の4都市6公演行われた、国内初とも言える大掛かりなロックフェスティバル、それがスーパーロック84でしたね。レンタル屋にいって、ダイジェスト版から、ANVILを除く参加バンドをフィーチャーしたものまで世に出ていますが、(後年、閉店セールに伴い全部ゲットするも、レンタル型落ちの為、褒められたものではなかった)今作を見て衝撃を受けましたね。1stアルバムを聴いた後とはいえ、この若さ溢れるエネルギッシュなステージといい、華やかな見た目と言い、こりゃ売れるわなぁと、関係者のみならず多くの人々がそう感じたでしょうね。今見ても率直に、そう思います。
1.She Don't Know Me
2.Breakout
3.Get Ready
4.Runaway
収録は全4曲。合い間にインタビューなど交えた25分、アレックス・ジョン・サッチのコーラスとか懐かしいわ。この時点では、期待の有望株程度の認知度だったBON JOVI、会場のノリも微妙なものだったりするのだが、全力のステージに魅入られました。徐々に会場を掴んでいくのも印象的です。MCも字幕付きなので親切です。演奏シーンにおけるカメラワークなど不満もあれど、こういうの含め、日本初のロックフェスティバルとして受け入れると、大ありなのです。そりゃ、事前の個別の動きなど把握できないもんね。それがライブってもんですよ。
権利の関係など、様々な障害があり正規の形で復刻することのないライブ映像ですが、死ぬ前に、クリアーな映像でみたい一品です
THE REIGN OF TERROR - Light in the Sky
★★★
(2020-06-08 12:51:37)
今ではガスGの師匠として認知されているアメリカ人ギタリスト、ジョー・スタンプ率いるメロディックパワーメタルバンドの1st。時代は1996年、商品としてのリリースは日本のみという事ですが、現在は配信盤があり、そこではDPのカヴァーソングである③がカット。正規品は今となっては貴重な一品でしょうね。
バンド結成前にはデイヴィットTチャステイン総帥率いるLeviathan Recordsからソロも出しているので、それなりに名前の知られているギタリストだけに、彼のネオクラ風味を漂わせたパワープレイに歌が入るというのは楽しみでした。
クラシカルなフレーズをバシバシと決めたソロとはテイストは違うのだが、一端スピードに乗ったなら、怒涛の速弾きプレイで魅了。荒々しい音像も、アイデアとして悪くないと思わせ、彼の持ち味であるスリルを伴うスピードプレイが生きている。
個人的にはシンガーのブライアン・サルベラが、力むとマイク・ヴェセーラに似ているなぁと感じ、音は違うのだがイメージがインギー風と感じてしまうために、どこか損しているなぁと思わせるのが残念。
その為に、当時はロクすっぽ聴かずにいたのだが、2000以降のシーンの潮流にはついていけずに再度聴き込む事で評価も一転、ジョー・スタンプのギターをフィーチャーしつつも、バランス感覚に気を配したバンド形態にこだわったサウンドは、力技では押し切らない本格派のメロディ志向もある音楽性で勝負、荒々しい音像にも好き嫌いが分かれそうだが、個人的には、そのおかげで生っぽさが出ており、個性に結びついているのが面白い。
拝借フレーズや雰囲気が○○みたいなのも、当時の背景を考えると逆にありと思えるのも強みでしょう。
FLOTSAM AND JETSAM - No Place for Disgrace
★★★
(2020-06-07 21:23:59)
前作とは一転、日本一権威ある雑誌の日本一影響を与える酒井康氏が90点の評価を付けたことにより、話題性も嘘みたいに上がったことを記憶している。本当にワタクシはこの手の輩が大の苦手である。お前たちは耳が付いているのか、音を聴け音を、音楽は読むモノじゃないぞと心の底から思いました。当時雑誌は一切読まないタイプだったワタクシにとっては、本当に嫌な思い出がよ蘇る一枚です。そのせいで、当時この音と向き合えなかったからね。
くだらない先入観を捨てて聴けば、前作におけるソングライティング力をさらに研磨、アイデアを取りまとめ高いドラマ性を有しつつも、無駄を排除し聴きやすく纏め上げている。前作にあったむせ返るようなアングラダーク臭がなくなったのは、個人的には残念だが、エルトン・ジョンのカヴァーすらも、大ありと思わせる手腕に聴かせ方にバンドの成長を感じます。
彼らの代表作は今作で間違いないが、お気に入り度は1stです(信者どものせいで今でも苦々しい思い出が蘇り聴きたくないが上回る)。
ソングライターが変わってもバンドは死ななかった。勿論、ジェイソンの置き土産もある。良好な関係なのも頼もしい。新加入のベースである、トロイ・グレゴリーもジェイソンの口添えだとか、実はメタリカのオーディションを受けたとか、ゴシップネタもあったりする今作だが、個人的に、あらゆる先入観を捨てて聴きたいアメリカンメタルの傑作であろう。ちなみに⑦は、マサ伊藤が酷評していたって、もうウンザリだよ。
FLOTSAM AND JETSAM - Doomsday for the Deceiver
★★★
(2020-06-07 20:58:48)
メタリカのベースが以前いたとことにより再脚光を浴びたアルバム。リリース時は権威ある商業誌から78点を献上。微妙な評価と音楽性に詳しく触れられていない為に、話題に上ることはなかったと言われる。残念極まりない話である。
アメリカン特有の光沢のある艶めかしいパワフルサウンド。そこに塗されるバイオレントな空気とダークな質感が鉄壁のリフとリズムを従え猛進、良く練り上げられた楽曲構成は勢いで押し切ることなくグイグイと次の展開に引き込んでいく。
デビュー作でこれだけ歌えたら十分だろうなエリックAKの柔軟さも兼ね備えたパワフルヴォイス、彼の歌声を軸にしたと思えるような構成もズバリとハマり、このバンドの特異性をアピール出来ている。
阿吽の呼吸と言っても良い、リフワークやリードプレイにも聞かせる要素が大きくあり、エドワード・カールソンとマイケル・ギルバートによる、歯切れのよいツインリードはテクニカルな面も存分にサポート、スピードピッキングを交えながらのソロなど、スリリング極まりないプレイで魅了。拘りのアレンジと構築、その高い演奏力に支えられた楽曲群に不安定な要素など皆無。ケリー・デヴィッド・スミスのソリッドかつパワフルなドラムと、うねりを上げるテクニカルなラインをキメまくるベースの存在感、メンバー感のパワーバランスも俺が主役だと言わんばかりに互いを意識し合いながら拮抗、このメンバーでしかだせないグルーブが存在している。
個人的には、彼らのカタログの中で一番良く聴くアルバムです。とにかくバランスが良い。楽曲もアメリカの裏街道メタルにありがちな、無頼漢だけではない聴かせる部分も多分にあり、それが複雑な構成だけに留まらない、メロディラインや、やはり歌い手の器用さによるところも大きいだろう。過小評価されているシンガーだし、ツインギターコンビだが、媚びを売らない本気のアメリカンメタルに興味のある方は是非とも手に取って欲しい一品。そしてこの音こそ、Metal Blade的とも言えるだろう。
MC5 - Kick Out the Jams
★★★
(2020-06-06 20:10:06)
近年はレッチリやレイジアゲインストマシーンらのおかげで若い人たちにも知られ神格化された元祖ガレージロックであり、パンクスやメタルを志す者にも影響を与えたデトロイトのロックバンド。だからMC5なんだね。
デビュー作がライブ盤というのもぶっ飛んだ話なのだが、このバンドの魅力はライブにあるという事のなのだろう。確かに攻撃的で生々しいサウンドがスピーカーを食い破らんとしている、それ以上に耳を惹くのがバンドの骨格となるロックに対する忠誠心の高さ、基本がしっかりしているから、挑発する喧嘩腰のハードビートも様になっており、ビシッと決まっている。歌い手も、想像以上にファンキーなノリを持っており、ライブならではのアジる場面もあったりするが、それ以上にしっかりと演奏に向き合っているのが印象的だった。
なにやらきな臭い空気、暴発寸前の火薬臭が充満しているようなヒリつくライブ盤ではあるのだが、聴きようによっては、高い演奏力に支えられたソリッドなハードビートが炸裂する、手に汗握るライブ盤の側面も強く、リスナーオンリーではなくプレイヤーも十分に楽しませる技術が存在する。
なんでも当時、社会的なメッセージ性を持ちバンド活動を行い。いろいろな都市伝説があるらしい、FBIにマークされているとかマネージャーが、えげつない差別主義団体に属しているとか、そういう中で活動していたせいもあるのか、メンバーが逮捕されたり、ラジバンダリでバンドは1972年に解散。ルックスも良くないので、当然外国人アイドル雑誌に紹介されることもなく、筋金入りのロックファンにしか愛されていないのは残念ですが、正直、英語はチンプンカンプンのワタクシには、どうでも良いことなので、ロック黎明期と言える時代ならではのイマジネーション豊かな、ジャンル不問のハードサウンドのもつ凄みに酔いしれますね。
ロックの持つ普遍性。この音楽はどこで生まれ源流は何なのかを垣間見る事が出来る傑作。資料的な価値も含め名盤と呼ばれるのに疑問の余地はありませんよ。
Outo - 正直者は馬鹿を見る
★★
(2020-06-03 13:48:41)
日本のハードコア/パンクシーンを語る上では外せないバンドと言われる。OUTOの1987年リリースのEP。
収録時間はわずか17分少々なのに12曲も収録。曲によっては1分にも満たないものもあったりと、勢い重視の楽曲が収録。
日本人らしいメロディとノイジーなサウンド、どこかファニーな親しみやすさもありつつ、近づきがたいバイオレントな空気もあったりと、雑食性の強いジャンル故の面白さが音に溢れている。
門外漢故に人に語れるほど、詳しい訳ではないのだが、元気いっぱい繰り出される爆音の数々、手数の多いスピードプレイ、直情的に突っ込んでくる楽曲群は容赦無用のアグレッションを有している。このバンドとの出会いは思春期真っ只中のワタクシに、スピードメタル系を聴いているのなら、こういうのもあるぞと勧めてくれたパンクスの友人のおかげ。ただ、当時はピンとこなかった。もう少し様式がある方が好みという事で、良いリアクションをしてやれなかったのだが、面白いもので、今の方が全然耳に馴染める。ノイジーさや攻撃性よりも、キャッチーなメロディラインが顔覗かせるからだろうが、ハードコア/パンクス特有の清い姿勢、その音楽に対する純粋な思いが耳を刺激してくれるのだろう。
ジャンル不問でスピード系が好きな人ならトライして欲しい一品です。パンクスだけのお楽しみでは勿体ないですよ。
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