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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - 時系列順 1601-1700

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DAVID LEE ROTH - Skyscraper - Just Like Paradise ★★★ (2020-10-13 13:50:31)

狙い過ぎですが売れるわな
完成度の高い80年代なロックソング
こういうの無性に聴きたくなる時があります
この時代を生き抜いてきましたのでね


CHEAP TRICK - In Color - Oh Caroline ★★★ (2020-10-13 13:46:53)

グラマラスで退廃的な魅力のあるハードナンバーに力強い歌声が良く似合う
地味目の曲なのかもしれないがチョイチョイ聴いている


PSYCHIC POSSESSOR - Toxin Diffusion ★★ (2020-10-12 13:53:07)

スラッシュ大国と言われる南米はブラジル産のブラッケンドなサウンドが売りのトリオバンドのよる1st。ギターはVulcanoでデビュー後、Ritualを結成。その後、名前を変更してアルバムをリリースしたのだが、とにかく音質が良くない。その劣悪な環境が、逆に禍々しいイーブルさを演出、時折スラッシュサンバみたいな展開になるのが、全然溶け込んでいないのだが、そういうのも含め、このインチキ臭さが最大の魅力となっている。
音楽的な理論や整合性など糞喰らえ、チープで汚らしいノイズを撒き散らし聴き手の感性を逆撫でしていく様は、ある意味痛快だが、苦手は人はトコトン駄目だろう。スラッシュの嫌われる要素が強めなのが肝ですからね。
唸るダーティーなヴォーカル、だらしのない暴力的なサウンドは大胆不敵な笑みを浮かべ、地下メタル特有の腐敗臭漂う悪魔降臨サウンドは下手さを武器にロックそのものを蹂躙している。


BUCK DHARMA - Flat Out ★★ (2020-10-11 20:59:51)

BOCのギター兼ヴォーカルのドナルド“buck dharma”ローザーが1982年にリリースしたソロアルバム。BOCではやれない曲を思いっきりやるぞな空気もあるが、彼が歌うメロディなど、ひんやりとした空気が纏いBOCにも通ずる雰囲気が満載。②などを聴けば隠せないなぁと感じる。
続く③もどこかハーモニーの美しいソフトな曲なのに、どこか不気味と感じさせるのもドナルドの持ち味なんだろう。歌詞が分からないから、そう聴こえるだけなのかもしれないが、なんとなくそう感じさせる。
全般的にはポップでソフトケイスされたサウンドだ。ソロだけに彼のギターもフィーチャーさせている。クールでアーバンな感性、そこにロックな情熱が青白い炎を燃やし沸々と燃え盛る、誤魔化しの効かないインストナンバーの⑧などを聴けば顕著だろう。ラストはカヴァーソングで〆る構成もソロだからこそ許されるアイデア。
アーティストとしての彼のルーツたる音楽性を垣間見ることが出来るでしょう。個人的には、あまり重なる部分の少ないアーティストではあるのだが、アメリカ人なのに乾いた感性を持ち込まないセンスの持ち主であることに驚く。そこが彼の魅力でしょう。CD化の際にはボートラとしてGamera is Missingを収録。ゴジラの次はガメラなんかいとツッコまずにはいられない、いかしたインストナンバーですよ。


MADAM REY - ブラッディ・ローゼズ ★★★ (2020-10-10 16:03:14)

田尾さんが、自分の嫁がメタルバンドのヴォーカルとしてデビューすることに困惑した話を忘れられません。しかも、物凄く恥ずかしそうに、嫁の音源の告知までしていましたね。
なんだか色物感MAXの空気が漂うマダムレイですが、バックを固めるメンバーが熱い。メタル系アーティストを従え歌上げるマダムレイ嬢だが、声が可愛い。ロックを歌うには線が細すぎる。熱量の高いハードな演奏に埋もれているのだが、マダムがメタルに掛ける情熱は本物だ。そこに共感して耳を傾けれるかが重要だろう。
メロディアスな楽曲、そして横関の本気のプレイと、お膳立ては揃っている。あとは彼女の努力次第だろうが、色物臭を打ち消すほどの力量が備わっていなかったのが残念である(菊池桃子のロック宣言、ラ・ムーを思い出す)。
曲はイイ、悪ふざけでもない。それだけに、いろんなものが邪魔をして正当に評価をうけれていない現状が残念だ。いい歳こしたオバはんの悪ふざけではない、本気のロック魂を燃やしたメロディアスハードサウンドの完成度はけして低くないぞ。それにしても横関は持っていない男だ。彼の唄入りに名盤ないぞ。インスト以外で魅了してくれよである。


Seiren - Under the Blue Wave ★★ (2020-10-10 15:47:41)

キーボード込みの女性5人組による国産HM/HRバンドが1991年にリリースしたEP。オープニングから日本人好みのメロディアスなハードナンバーで幕が開けるが、不安定な演奏や、様にならない、がなる唄と力量不足が目立つ。まさに日本が抱える問題点を浮き彫りになった叙情派サウンドを披露。やってんなぁとなるのだが、好きモノにとはたまらない愛着があるのは事実。歌謡テイスト満載のメロウな②の方がバンドに似合っているが、やはり、やりたいことに力量が追い付いていないという事で結審するだろう。
それでも最近ちょいちょい目にする寄せ集めのガールズメタル系よりも好感が持てるのは事実。キーボードをアクセントにメロディに拘りも持つハードスタイルを墓標に活動していた姿に共感を覚えますね。
船乗りたちを魅了した美声の半獣の女神セイレーン。そんな大それた存在にはなれなかったが、こういう時代だからこそ、こんなんもあったぞと言いたいですね。


ALDIOUS - EvokeⅡ 2010–2020 ★★★ (2020-10-10 15:28:01)

R!Nちゃんが正式に加入してか今まで以上に快進撃を遂げる2枚目のリ・レコーディングベスト。本来であれば、彼女たちが地道に続けるプロモーション活動に走るのだが、コロナのせいでライブが行えないのが残念。正直、この唄ならどこかで見てみようと思ったのが正直な気持ちだっただけにである。
バンドの顔である唄が強化されたことにより違うバンドに生まれ変わったという印象がある。嬢メタルという以上、見た目重視のフロントマンは、わき役に助けられる力量不足のアイドル女優が主演する深夜ドラマのような2線級の仕上がりだっただけに、新たに加わった華のある歌える女性の存在は大きい。ただ歌えるだけでなくライブでも安定感がある、これでバンドに馴染んてきたらと思うと、伸びしろの大きさも考えると尚更だろう。
今作も前作同様、バンド本来が伝えたかったメロディアスHM/HRバンドとしての魅力が倍増した。誰が好きか嫌いの話をしているのではなく上手い下手の話のなので、趣味嗜好とは別の次元の評価である。
そりゃANTHEMだって、俺は坂本英三の方が好きだといって、それを非難する奴の方がチェだぜ。でも坂本の方が森川よりもパワーがあると言われたら、それはセンスを疑うことになる。

R!Nちゃんの加入は可能性を広げた。ハードナンバーから彼女のフィールドとなるポップスもイケる、彼女たちが売れるには必要なピースだったろう。多角的にグレードアップされた楽曲、ロックバンドとしての鋭利な感性が研ぎ澄まされグサッと刺さってくる。攻撃的な部分を聴かせるだけではない叙情性もあるバンドだっただけに、R!Nちゃんのスタイルを反映させつつも、メタルヴァージョンとして構築した唄は、メンバーチェンジという不満を押さえ込むだけの力が備わっていた。

過去の音源を愛するファンには申し訳ないのだが、あまり聴き込むことなく埋もれていたが、R!Nちゃん加入後は聴く機会も増えたが、やはり比較するのは可哀そうだ。スタイル云々ではない次元が違うのである。この逸材がいつまで、バンドに留まってくれるかは分からないが、新体制のもと制約から解放された新生アルディアスサウンドを聴きたいものである。


SHIVA(80'S) - Firedance ★★★ (2020-10-10 15:02:09)

NWOBHM期にリリースされたプログレ寄りのバンドによるアルバム。RUSH同様のトリオ編成というのも眩しいのいのですが、コンピ作に提供した②を聴けば分かるように一筋縄ではいかぬアレンジと英国特有のどんより系のメロディ、その湿り気ったぷりの叙情性に咽びます。
重厚で劇的な英国流儀、そのプログレッシブなエッセンスは聴き手に迎合することなくアーティスティックな姿勢を貫き圧倒していく、ライブではどこまでやれるのか分からないが、これを再現できるのなら素直に高く評価するだろう。
音質はけして良くないが、NWOBHMにも通ずる生々しい荒っぽさ、静と動の起伏を生み出すシャープな展開の中でギラリとした個性を放ち、耳に残るリフやメロディが聴き手の知性面を刺激、ストレートなロックバンドでは味わえないお楽しみがある。
重量感のあるリズムとヘヴィな音像のギターには、時代の流れを意識したと思わせる手触りがあり、単なるRUSHのフォロワーで片づけられないのもNWOBHM時期デビューの所以だろう。
こうして改めて聴くと英国的な匂いがプンプンと漂っている。そしていかにNWOBHMが多様性を帯びたムーブメントだったかが理解できるだろう。比較するならLIMELIGHTが一番だろうが、徹底したという点ではこちらのバンドに軍配を上げる。


HELLION - Up From the Depths ★★★ (2020-10-09 13:24:07)

1998年に突如リリースされたコンピ作。①はBITCHとのカップリングシングルに収録された曲。②~⑤はHellion収録のやつで、複数のレーベルから収録曲違いでリリースされたものから抜粋。ヴァージョン違いなどあるのかもしれないが比較したことがないので不明。個人的に、興味を注がれたのが⑥~⑨収録の楽曲。未聴だった1988年リリースの4曲入りEP『Postcards from the Asylum』が丸々収録されたことに尽きる。JPのカヴァーもやっているので、女ロニーと呼ばれたアン・ボイレンがハルフォードを歌うというのはマニアならずともグッときますよね。
ウェンディ・ディオの助力も得ていた時期のリリースだけにミキシングでアンジェロ・アルクリが参加、レーベルとしては随分と力の入ったEPだった。そりゃ自分のレーベルだもん気合いはいるわな。
こうして時系列に収録されることでアン嬢の成長も見て取れ、暗黒様式美サウンドの変遷も分かり、寄せ集めのコンピ作ではあるが、参加メンバーも含めバンドの本質に触れることが出来る。ある意味、裏ベスト的な意味合いもあったりと、谷間のエースが大活躍みたいなノリではあるのだが、裏街道を走るUSパワーメタルの真髄に触れることが出来るでしょう。
男性優位な社会で、女性がロックをやるのは大変です。曲云々の前に容姿を問われてしまう。下手すりゃ、それが評価の要因になるのだから恐ろしい。


VAN HALEN - For Unlawful Carnal Knowledge ★★★ (2020-10-08 14:41:09)

サミー・ヘイガーと組んでから3枚目のスタジオアルバム。久しぶりにデット・テンプルマンの名前もあり、それまでのキーボードをふんだんに使用した音楽性と距離を取るのではと推測された。
90年代という幕開けに相応しくハードテイストも増量。唯一無二のギターヒーロー、エドワード・ヴァン・ヘイレンも縦横無尽に駆け回り、自身のキャラクターを強めている。派手にキメるところはキメ、リズミカルなバッキングも多彩を極め、骨太はハードサウンドの中でカラフルに煌めいている。長年彼の右腕だったギターが変わったというのも話題になったが、全てが時代を見越しての変更という事なのだろうが、個人的には原点回帰したというイメージが一番強い。
サミー時代最高のアルバムを選べと言われれば、今作を選ぶが、理由は⑨も良いが、やはり初期の頃を思い出させてくれる②のようなノリノリのハードサウンドがあるのが嬉しかった。
全曲、エッジが効いている、ソングライティング力の賜物。エディのギターばかり注目されるが、このバンドとは何者なのかという独創性が際立ったアルバムだというのが理由です。
刺激的な表現力が光るアメリカンHM/HRサウンドの新たなるトレンド、ジャンルに捕らわれない粋な風合いが、原点回帰と向き合いオリジナルティを磨き上げた限界突破の傑作である。


CHRIS VON ROHR - The Good, the Bad, and the Dög ★★★ (2020-10-06 19:19:34)

クロークスのベーシスト、クリス・フォン・ローアは1987年に『HAMMMER&TONGUE』というソロアルバムをリリースしているのだが、収録曲が同じです。レーベルも同じ、詳しいバイオは分からないが同じ商品を再発する際にタイトルを変えたのか?と思うのですが、何故?ですねぇ。
主役はクリス、彼が歌もギターもベースも弾きつつ、基本はトリオ編成という布陣。出している音もオープニングからZEPの曲を引用したりと、クロークスとの違うは何処にあるんだと、物凄いツッコミを入れたいのだが、勢いのある本家と比較しても遜色のないクオリティを有しているので、マニアならずとも手に取って楽しめる一枚に仕上げています。
③では、マーク・ストレイスが、⑧ではフェルナンド・ヴァン・アーブが顔を出し、同僚のソロに華を添えているのも微笑ましく、やはりソロでやる意味があるのか感は漂うのだが、味わい深い楽曲勝負のソロ作は、ツボを押さえており試聴感は悪くない。
ソロなんだから、もう少し野心を剥き出しても良いのに、相変わらずも味方につけ、多くのロックファンを迎え撃つお馴染み感に、好感が持てますね。イキイキとエキサイティングな演奏をしているのに、フレッシュ感がないってのがクロークス関連なんだろうか?なんだかんだ言っても嫌いになれないお楽しみが詰まっているのがイイのです。バラードあり、ロックありのコンビニエンスストアな手ごろさが最高なのです。


LIEGE LORD - Burn to My Touch ★★★ (2020-10-06 18:54:29)

前作から2年のインターバルを経てリリースされた2nd。方向性は変わらないストレートなサウンドで勝負だが、オープニングナンバーなど、メイデンよろしくな展開を設け違いを見せている。しかし、そのプログレッシブなリズムの導入が上手くいっておらず、不安定さをアピールすることに繋がったのは残念。ベースもバキバキと自己主張を前に出しハリス強めになったのも面白いだけに惜しい。
それでも、正攻法で迫るバンドサウンドは迫力十分。流麗でキレのあるツインリードが乗り出せば、このバンドの魅力もギラリと鈍色の光を放ち、光沢なまめかしいコンクリートサウンドを披露していきます。
USパワーメタルの名盤と呼ばれる3枚目へと続くバンドの系譜、今作を聴けば彼らが順当な成長を見せていたのが伺えますね。少々、キメの一手に欠けるアルバムではありますが、随所に拘りと、ダラッと流れぬように、気を配った作風は耳を傾ける価値は大ありです。先輩たちの後塵を拝すだけではない、勢いがありますからね。


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives - Lionheart ★★★ (2020-10-05 20:49:17)

HOT TONIGHTでデビューした時は
かなりアメリカン市場を意識していました
この曲を聴けば
そんなことをしなくとも十分通用したと思える
大衆性とハードテイストを併せ持っていたと思います
ワイルドなデニスのギターも悪くない
ハーモニーの美しさも健在
このバンドらしい瑞々しいポップフィーリングと大衆性を完備した代表曲の一つ


LIONHEART - Unearthed - Raiders of the Lost Archives ★★★ (2020-10-05 20:44:25)

あれ~?確実にコメントしたような気がする…
過去にも何度かあるのだが消されたような…
バグって俺のだけなくなるなんてあり得るのかね?

今は亡きポニーキャニオンの洋楽レーベルからリリースされた、プレイングマンティスの結成20周年を祝うためにリリースされた、デニス・ストラットンが結成したバンドによる、幻のデモ音源集。これがマニア泣かせの激熱商品。
このバンドに興味がなければ意味はないのかも知れないが、どのような形で音楽的な変遷があったかを知れたりと、実に価値のある一枚。ニコ・マクブレインが一曲、ドラムを叩いたり、フィル・ランゾンがキーボードで参加とか、歌っているのはチャド・スミスだけじゃないとか、お楽しみが満載。
初期の頃は、より英国的でNWOBHM的なエッセンスも強く、実際DISC1のオープニングであるLIONHEARTはコンピ作にも収録され、マニアの中では知られたバンドでした。
デニス・ストラットン、スティーブ・マン、ロッキー・ニュートンの三人がいたのが重要なのですが、この3人による美しいコーラスハーモニーを生かしたメロディアスサウンドは、どの時代も健在でした。
デモ音源の商品化ですから、音質云々を言っても仕方がありません。幻の英国産メロディアスHM/HRバンドのデモ音源集。その価値を見出せる同志はも多いでしょうが、今となっては入手困難な一品。どこか再発してくんないかねぇ。今のタイミングは丁度いいと思うんだけどなぁ。勿体ないっす。

このバンドの本質は、幻のデモ集にある。いかにして音楽的な変遷を重ね、メジャーデビューしたとのかを知ることが出来るでしょう。間違っても1stのスタイルが、このバンドの本分なんてことはありません。


LIONHEART - The Reality Of Miracles ★★★ (2020-10-05 20:18:49)

奇跡の復活を果たした前作から、ついに待望の完全新作がリリース。シンガーは前回同様リー・スモールが担当。彼のエモーショナルで温かみのある歌声とコーラスハーモニーを中心とした作りは、このバンドの真骨頂。アメリカンなライトロックに手を出していないので、前作を支持した方なら安心して聴けるでしょう。
とにかくフックのある哀愁美に満ち溢れたメロディがテンコ盛り、適度なハードさも忘れることなく放り込み、デニスとスティーブのツインギターは、互いを高め合い尊重し合うかのように相性の良さを見せつけ、このバンドの推進力となりバンドを牽引、盤石のソングライティング力とかけ合わせれば、その破壊力は相当なものとなるでしょう。
メロディ派の心に永遠に寄り添ってくれる、メロディアスHM/HRの名盤が新たに誕生しましたね。

求められることを、おくびにも出さずにやり切る奥ゆかしさにグッときましたね。こういうベタをベテランが変な色を出さずにやるってのは、簡単なようで難しいですよ。色が薄い分、中途半端なものを出せば、それは即不満へとつながりますからね。

阿吽の呼吸から生み出されるベテランバンドの妙味。ハードテイストも損なわない楽曲も合い間に用意し、シングルカット向けのソフトケイスされたサウンドだけで終わっていないのも素晴らしい。主役は二人のギターと言いたいが、彼等が一番聴かせたいのは、コーラスハーモニーだし楽曲。そして、熟練のアンサンブルの頂点に君臨するのは、リー・スモールの唄だというのがポイントだろう。無理無駄のないアレンジセンス、何を聴かせたいかを明確に定めたバンドに敵なし、メロディ派ならマストな一枚と言える仕上がりに膝を打ちました。
こういうアルバムは大好物です。速いだけや過激なだけがメタル系ではないと思い知らせてくれますね。日本人好みの曲を書くのが上手いバンドだなぁ。

日頃、メインに聴くのが板起こしのような音質の悪い、半地下NWOBHMなんで余計に、耳に響きますね。そしてリー・スモールは歌が上手いなぁ。


LIAR - Straight From the Hip ★★ (2020-10-05 19:59:05)

エジソン・ライトハウスのデイブ・テイラーが中心となり立ち上げたバンドが1977年にリリースした1st。英国的な情緒のあるメロディ、ブルージーではあるが、情念たっぷりというわけではなく、程よくキャッチーさをまぶしたサウンドは聴きやすく、滋味深い味わいがある。シンプルなプレイではあるがエモーションも感じられ、英国のバンドらしいシニカルさが、何とも言えないアクセントとなり、聴き手の耳を優しく刺激してくれる。
クレジットにスティーブ・マンがギターで参加しているが、彼がどこまで関与してるかは聴くだけでは分からいが、いずれにしろオーセンティックなプレイは派手さと引き換えに抜群の安定感があり、ニンマリとさせてくれます。


KANE ROBERTS - The New Normal ★★ (2020-10-04 19:38:00)

Frontiersから久しぶりにリリースされた通産4枚目のソロアルバム。昔のスタイルを丸々やるのではなく今の時代性をしっかりと完備、多彩なゲストを迎えメロディアスかつヘヴィなケイン・ロバーツサウンドを披露しています。
特に③ではアリス・クーパーとアリッサ・ホワイト・グラスを迎えトリプルヴォーカルまで披露してるのだから話題性にも事欠かない、⑦ではリジー・ヘイルが曲を提供したりと美味しい情報も多いだろう。
参加メンバーも懐かしい顔だけではない今の人脈も駆使しているのが、昔の名前で出ていますとは違う現役感をアピールする事に成功はしている。
個人的にはストライクとなる音楽性ではないのですが、この時代性を射抜きつつも自身のカラーを投影した質の高い音楽性は、かつて音楽業界を牛耳っていたゲフィンレコードを思い出しました。
硬質なギター、重量感のあるリズム、現代的なエッセンスを含んだモダン性、それらをケインのエンターテイメント性で纏めたサウンド、ソロアルバムなんだから、もう少しケビン強めでも良かったんですが、それが今の時代なんですかね。


THE UGLY KINGS - Darkness Is My Home ★★★ (2020-10-04 19:08:06)

オープニングからいぶし銀の哀愁美が砂煙に交じりながら、ユラユラと揺らめいていきます。このブルージーな味付けのハードサウンドの持つパワーは、何とも形容しがたい魅力があり、ドイツのレーベルではあるが彼らはオーストラリアのバンドだというのが面白い。その意外性に驚かされるが、ここで聴けるサウンドは人を突き放すようなひんやりとした感触、そして人間臭さのあるエモーションが爆音と共に渦を巻き弾き出されている。
聴き手の感性にグッと沁み込んでくる濃度の高い古典ロックの響き。アルコール強めの酒を飲んだ時に、頭にグイっとアルコールが回る、あの感覚に似ている。ファズの掛かったギター、生々しいヘヴィグルーブを叩き出すリズム隊の旨味、そのガレージロックにも通ずる剥き出しの感性が、サザンロックとも交わり合う事で独自のスタンスを構築、その悲哀に満ちたパワーブルースは心地よく聴き手を酔わせていく。
新たなるロックシーンを形成しつつある昨今のハードシーン、このバンドもそういう流れの中で異彩を放つ一つだろう。クールでニヒルなサウンドはRival Sonsあたりを思い出しましたね。


HYDRA - From Light to the Abyss ★★★ (2020-10-04 18:49:10)

ポーランドの4人組による1st。サウンドは初期型サバスに影響を受けたドゥーム/ストーナーサウンド。ヴォーカル処理もオジーを意識した作り込みをしているし狙いは完璧だ。全5曲だが36分とボリュームは多め、それだけにむせ返るような濃密な世界観が待っている。
オジーサバスを意識した①②、特に後者は後期オジーサバスと思える味付けをしており、個人的にはそこが楽しい。根暗な音なのに美しさが漂う③、そして不気味に蠢く④は英国の香りが凄く漂い、70年代ロックの系譜を順当に引き継いでいるようで、細かい描写を盛り込み聴き手を楽しませてくれる。そして歪んだ空間が口を開け待っている⑤で幕が閉じます。全般的に感じる重苦しい空気、その鈍重なリズムは聴き手に圧し掛かり、彼等が奏でる異形なる世界へとさらっていくようだ。

鈍重ドゥームではあるがサウンドプロダクションがスッキリとしており、分離が良いのは、この手のサウンドが苦手な人にも取っ付き易い仕様になっています。でも速い曲はまったくないので、それを求めるなら無用なスタイルですね。

ドロドロに濁ったブルースフィーリングや鬱屈とした病的な精神性でもないし、欧州らしい悲哀のあるメロディが強めなのがポイントですね。真正ドゥームファンにとっては、逆にそこが物足りないのかもしれませんが、聴きやすく纏めたサウンドメイクに軍配を上げます。ギターサウンドをオーセンティックな作りではあるが場面に合わせ多彩な表情を見せるたのも面白い。


HITTMAN - Destroy All Humans ★★★ (2020-10-03 13:16:36)

知らないうちに復活していたアメリカの老舗正統派HM/HRバンドの3枚目。いきなりRAINBOWタッチの中近東風メロディが耳を惹くあの曲っぽい奴の登場に驚きます。あれこんなバンドだったっけ?が第一印象だ。その後も、思いのほかオーセンティックな味付けのHM/HRサウンドが登場するのに驚かされる。この復活劇は、彼等にとって必要な熟成期間だったのかと思わせる仕様になっている。

RAINBOW化というよりはRATA BLANCA化と個人的には言いたいのだが、これでNo Remorse Recordsからのリリースも頷けますね。昔から音だけ聴けば、アメリカとは思えない欧州志向のスタイルだっただけに驚きはないが、このドラマ性を有するガチンコメタルサウンドの需要は確実にあるのもであり、彼等が昔の名前だけで出ているバンドではないのが伺えるのも好印象。今後はコンスタントに作品をリリースし空白の期間を埋めてもらいたいものです。


都会的な洗練度は、マイナーバンドにありがちな野暮ったさは見事に排斥、哀愁を帯びたメタリックサウンドは深い情感を生み出し聴き手を魅了していきます。細かいことを言いだすと、色んな拝借が気にかかるのが個人的な不満ではあるが、オジサンになると許容範囲がガバガバなので、何でも許せるようになりました。

ここは素直に志半ばで倒れたベテランによる捲土重来と思い聴いて欲しいですね。


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Shadows of the Night ★★★ (2020-10-03 13:00:54)

こちらもシングルカットされたROCK MEのB面として収録された
メロディアスな奴です
やりにいっていますが彼等流のサウンドに仕立ています
この硬軟交えたバランス感覚が売りだった


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose - Roll the Dice ★★★ (2020-10-03 12:54:36)

彼等の名をシーンに知らしめた疾走ナンバー
後年NEATが監修したシングルコレクションなどで聴けるようになったが
現在はボートラとして収録されています
英国的な哀愁美が炸裂するハードナンバー
これぞNWOBHMな魅力が満載です
これも名曲だなぁ
何度聴いても熱くなりますよ


HEAVY PETTIN' - Lettin' Loose ★★★ (2020-10-03 12:49:04)

1982年にNEATからシングルをリリース、そこでの成功を契機にPolydorとのディールを手にすることになる。大手の影響もあるのかブライアン・メイがプロデュースに名を連ねるなど、NWOBHMファイターとしては異例のバックアップ体制なのに驚かされる。その期待を受けるようにオープニングからNEAT時代とは打って変わってソフトケイスされたメロディアスナンバーで幕開け、その流れを壊すことなく②③④と進むが⑤では一転、HM/HRバンドとしての本性を剥き出し牙を光らせます。

その後も、硬軟交えたバランス感覚で勝負、このバンドがDEF LEPPARDを手本にしたのは疑いのないような構成もあり、2、3枚目のライトな方向性のアルバムよりもハードな質感に騙される人もいるが、露骨なやり口が目に付くのが印象的。また、間違ってもメイデンなどの硬派なバンドと比較して聴くような音楽性でもない。
しかし英国的哀愁漂うメロディと、嫌味にならない大衆性、その両面を際立たせることに成功した手腕は見事、湿り気を帯びたツインギターと良く伸びるハイトーンとの組み合わせの効果的に機能、マニアご用達で終わらせるには惜しいバンドですね。
幅広い層に訴えかけられる音楽性、1983年という時代を射抜くような質の高い名盤ですよ。


HELLION - The Witching Hour ★★ (2020-09-30 20:03:18)

Screams in the Nightのメンバーを戻し1999年にリリースされたEP。相変わらずアン嬢のパワフルな歌声は健在、音楽性もチェットのトリッキーかつテクニカルなギターを主軸としたパワフルサウンドを披露。4曲では物足りないと思わせるクオリティを誇示してくれました(Screams in the Nightからのデモ2曲と、こぼれた2曲なんですけどね)。
とは言いつつも2000年を目前としているのかと言いたくなる低音質な仕上がりには苦言を呈したくなりますた、チェットの癖の強いフレージングのアイデアが面白く、このバンドの可能性を感じずにはいられません。
今となっては、この音源、本当はいつのモノなんだと気になるのですが、詳しいバイオはサッパリなので割愛します(なんか昔の音源をCD化しただけな気がする)。

こういうマニア向けの商品が多いバンドだけに、イマイチ認知度を高められないのは残念だが、正統派HM/HRが好きな方は、このバンドの音源に触れて欲しいですね。

ちなみに今作でドラムを叩いているのは、最近、昔のマテリアルを小出しいて小遣い稼ぎしている、ドン・ドッケン率いるDOKKENの初期の音源で参加しているグレッグ・ペッカです。マニアならグッときますよね。


HELLION - Hellion ★★★ (2020-09-30 19:38:42)

女性版ロニー・ジェイムス・ディオなどと呼ばれ正統派マニアから支持された女性シンガー、アン・ボイレン率いるバンドのデビューEP。オリジナルは4曲入りだが、イギリスのMusic for Nationsと契約の際には2曲追加して6曲入りとなり世に出ている。わたし自身が知っているのも6曲入りで、所持しているのはRoadrunnerから出た奴。ちなみに1986年に再発されたNew Renaissanceヴァージョンは曲目が違うので注意が必要です。
下記収録曲
Side A
1.Break the Spell
2.Don't Take No
3.Backstabber
Side B
4.Lookin' for a Good Time
5.Driving Hard
6.Up from the Depths

ストレートなメタルソングのA面とアメリカンな要素が膨らんだB面との対比も面白く、このバンドがアメリカ出身であり、最初に目を付けたのがイギリスだったというのが分かる仕様となっている。
歌い手としては、まだ粗さが残るアン嬢だが、堅実さと派手さの両面で迫るツインギターを従え、フロントマンとしての重責を見事に果たしている。

お披露目としては十分なインパクトを残した今作。このまま順調に進むかと思いきや、フルアルバムのリリースが1987年までかかり、前身のDB時代からのメンバーも去り、バンドが動いていたのが気になるところ。アメリカよりもヨーロッパ、特にイギリスではそこそこの成功を収めていたと言われるだけに、4年の空白の期間は長かったと言えよう。

このバンド、今も活動しているがフルアルバムのリリースが少なくEPやコンピ作が多い。2014年にはTo Hellion and Backなる2枚組のベストを出しているが、完全制覇とはいかないのが残念ですね。

そんなアン・ボイレン姐さんですが、実は彼女、New Renaissance Recordsのオーナーだったと知って驚きました。姐さん、ポンコツレーベルの主催者だったんですね。二足の草鞋は履けぬですよ。


HELLIóN - Hellión ★★ (2020-09-30 19:15:09)

南米はアルゼンチンのメタルシーンを語る上では外せないマリオ・イアンがいた事でも知られる伝説のバンドによる1st。影響を受けるのはJPスタイルの王道HM/HRサウンド。その実直な姿勢には、思わず笑みもこぼれますが、若気の至りが詰まっているのは間違いない。ファルセットが耳障りな歌も、あまり時間を掛けずにレコーディングしたと思われるチープなサウンドメイクも含め、懐かしさが一杯だ、
日頃雑誌で紹介される大手メディア発のゴージャスなサウンドに馴染んだ耳では、相当厳しいだろうが、俺は正統派ヘヴィメタルが大好きなんだと、有名無名に関わらず耳にしたい猛者には、たまらんものがあるでしょう。
南米の情熱よりも欧州風味のクールさ、そして③などで耳にできる大衆性も完備しているのは嬉しい誤算ではないだろうか、この手のバンドにありがちなガチムチの鋼鉄一方向スタイルではない柔軟さも魅せているのは、逆に好感が持てるが、邪魔だと思う人もいるでしょう。先人たちのアイデアを実直に継承していただけに、今作一枚を残し散ってしまったのは残念ですね。


HELLION - Rebel's Curse ★★★ (2020-09-30 18:59:55)

南米はコロンビア若き野郎ども3人が世に送り届ける2枚目のフルアルバム。南米特有のチープな音作りもわざとやっているような気がする、血塗られたブラッケンドさ、そのイーブルな感触と身も蓋もないスピード命の音楽性、初期型ジャーマンメタルテイストもたっぷりの注入された音楽は、懐かしきピュアスラッシュそのもの、癇に障るハイピッチな歌声も若々しく可愛い。
有名どころと比較して、あれこれダメ出しするのは簡単だが、こういう青春迸る交じりっけなしのサウンドを聴くと、そんな事はどうでも良くなります。先人たちから受け継いで音楽性を順当に紡ぐスタイルは、なんら非難されるものではない。こういうバンドは無条件で応援したくなりますよ。
ラストはカナダの古参スラッシャーSacrificeをカヴァー、これもいいフィーリングでやり切っている。まだまだこれからの若者だが、伸びしろは十分あるだろう。期待したいですね。


MEPHISTOFELES (2020-09-29 13:57:05)

kamiko!さん

初めまして。私は基本、定額制サービスを受けています。マイナーはものはBandCanpを利用。したがってパッケージ商品に興味がなく、エロ画像の存在も商品購入前の情報収集で知ったまでです。
ですから、現物は所持していません。あしからず。


CRUELLA - Vengeance Is Mine ★★★ (2020-09-29 12:58:18)

アメリカはオレゴンからやってきたパワー/スピードメタル系バンドのデビュー作。オープニングからシュラプネル系かと思わせるほどのクラシカル仕立てのスピードプレイが飛び出します。その後もギターソロは派手目にキメていますが、少々やり過ぎ感は滲み出ているのはご愛敬。無頼で武骨なサウンドの中にねじ込まれる欧州風味は、このバンドの売りとなっています。とはいえ少々ちぐはぐに感じる場面もあったりと、まだまだ改善の余地はありますが、愛想のないパワフルな音楽性、フックに乏しい歌メロなど、US産のアングラサウンドならではの味わい深さにグッときますね。耐性の無い方には少々退屈に感じるかもしれませんが、腹の据わったパワフルサウンドに対する需要は確実に存在するでしょう。
もう少し歌い込めるシンガーの方が、この手のサウンドには必要なのですが、無いものねだりは良くないという事で折り合いをつけて楽しんでいます。


PAGAN - PAGAN ★★★ (2020-09-29 12:34:01)

オリジナルのリリースは1990年、国内盤は翌年メルダックから出ている。北欧のメロディアスHM/HRバンドの1st。オープニングからコーラス多めの展開に驚き、そして思いの他、陽性な面が出ているが憂いのあるメロディもあり、流石は北欧産じゃないかいと嬉しくなります。
レーベルこそマイナー系ですが、サウンドの方はワールドワイドな展開を視野に入れいるという事でしょう、一括りの枠にハマらない多彩な楽曲を用意、ZEPのカヴァー、移民の唄をQUEEN風に仕立てるとは夢にも思わなんだ。
そのあとは勢いのあるワイルドな疾走ナンバーでパンチを食らわし、5曲目には同郷の大先輩BISCAYAカヴァーソングまで放り込んでくるんだから多彩ですよね。
散漫になりがちな楽曲を北欧風味でパッケージ。何が飛び出すか分からないアイデアはQUEENに通ずるものもあるのか、それともBISCAYAの血を受け継いでいる証なのか、いずれにしろ芸達者なメンバーが揃っているので、十分メタルな耳を刺激し楽しませてくれるでしょう。


MEPHISTOFELES - Satan Sex Ceremonies ★★★ (2020-09-26 12:44:19)

南米はアルゼンチン産のドゥームロックバンドの3枚目。背徳感MAXのジャケにたじろぎますが(こんなもん思春期の子供が持っとったら親は心配するぞ)中開は更にOUTです(チ〇コくわえをモロ出ししちゃダメよダメダメ)。

そんなR-指定ど真ん中のバンドが繰り出すサウンドはサバス直系の血塗られドゥームサウンド。拘りぬいたローファイな音作り、そのブーストされた音色は、彼等が演出する腐敗臭漂う魔界の回廊に漂う瘴気そのもの、触れるだけで穢れれる忌まわしきサウンドに、このバンドの徹底した成り切りぶりに笑みもこぼれます。

オカルト神秘主義を貫く鈍重なる不気味なリフワーク、そして幻惑するヘヴィグルーブは過剰なほどに左右に揺らめく事で独特の間合いを生み出している。混沌とした闇夜のヘヴィロック、濃密に絡みあるアンサンブルから弾き出される、胡散臭ささに眩暈を覚えます。

粘り腰のヘヴィグルーブは時にこちらを睨みつけ、背徳的な世界へと誘います。その威圧的な音から発せられる禍々しい音色が持つ説得力。焼け付くような不快感が聴き手を蹂躙、なぜか恥じらいを覚えてしまうのが、この手のバンドの持ち味でしょう。歌い手もオジーを意識、初期サバスが好きな方ならマストな一枚でしょう。


MEDUSA - First Step Beyond ★★★ (2020-09-25 20:30:53)

2013年にリリースされたカルトメタルバンドのデモ音源の商品化。元の音源は1975年のモノというのだから驚きです。出してる音源もサイケでガレージな古典ロック、アメリカンロックの始祖とも呼ばれるバンド群と比べても遜色のない個性とクオリティがあり、ギター、ベース、ドラムが絶妙なタイム感をまとい交じり混沌した世界観を演出、どこかひんやりとした悲哀のあるメロディが、独特のアシッド感と混ざり合い、鬱積とした空気を生み出している。
ソリッドで攻撃的なビートもあれば、幻惑するリズムも顔を覗かせ一曲の中に多様性を盛り込み、音楽的な説得力も補完。○○風の何々バンドと簡単に括るのは、彼等に対して失礼だなぁと本能的に感じさせてくるのも魅力。

70年代というアートロックにも通ずるイマジネーション溢れる音楽紀行、その多様性は破綻することなく一曲の中に組み込まれヘヴィロックに留まらずフォーキーなバラードさえ手なずけるのだから恐れ入る。
このバンドが、世に出ることなく消えたのは何故なのかと興味は尽きないが詳しいバイオはサッパリだ。


TOKYO - Fasten Seat Belts ★★★ (2020-09-22 18:26:03)

アルバムタイトルがシートベルトを締めろでしょ、そしてオープニングがケイコですよ。前作のヒット曲東京のあととは言え、そりゃないだろうと潔癖な方なら聴く前からシラケムードに包まれるでしょう。小松政夫のカラス芸も飛び出しそうですが、そこは、騙されて欲しいですね。
前作同様、ワールドワイドな感性に彩られた無国籍サウンドは多彩な楽曲を用意。各ミュージシャンのバックボーンを余すことなく披露。そのセンスアレンジセンスの高さに唸らされます。空間を広げるシンセの響き、ピアノで泣かせたと思えば、スペイシーの空間を駆け抜けます。時にはタイトに酔わせる変化自在のリズミカルなプレイ、コーラスワークも強いし、職人技が冴えるギターと、スキのないバンドですね。
歌モノロックファンは勿論ですが、ハードサウンドで疲弊した耳を休ませるには丁度良い、教養の豊かさも完備したロックサウンドってありがたいですよね。


TOKYO - Tokyo ★★★ (2020-09-22 18:13:28)

Michael Wynn Bandで活躍したロビン・ムセンビクラーはオーストリア時代のバンド仲間、フリッツ・マツカに再び声をかけ動き出す、ベースはアフリカ系ミュージシャン、ケン・タイラーが加わり、キーボードのみならずコンポーズとしても貢献したロタール・クレル、そしてドイツのHM/HRバンドSchlossのシンガーだった、クラウス・ルーリーも参加と5人編成のバンドして始動。
ポッと出の新人ではないミュージシャンだけに、音楽性の質は高くワールドワイドな洗練性の高いメロディアスサウンドを披露。曲によってはサックスまで飛び出すのだから、その音楽的土壌の豊かさに舌を巻きますね。無理無駄のないアレンジと、ミュージシャンとしての懐の深さ、曲に合わせ3人のシンガーが歌い分けるというのもバンドの武器となり最大限の魅力を発揮してるでしょう。
一頃、このような歌モノばかりを聴き漁る時期があったからこそ知ることが出来たのだが、今となっては忘れ去られた存在でしょう。個人的には、名曲①を聴くためだけにも歌モノマニアなら手に取って欲しいと思いますね。
安心安全の定額制サービスのおかげで、本当に知識さえあれば、バリ得で楽しめますので、探してみてください。

東京で出会った女性と恋に落ちた外国人が、国に帰らなければいけないみたいな話です。タイトル通り演歌な世界だし、フォークな世界ですが、親しみやすい欧州的哀愁のメロディに胸キュンです。


MYSTIC PROPHECY - Monuments Uncovered ★★★ (2020-09-22 17:26:20)

かつてはガス.Gがリードギターとして名を連ねていたことでも知られる、ドイツ人シンガーのR.Dリアパキス率いる多国籍軍によるカヴァーアルバム。有名なアーティストのヒット曲をメタルアレンジで無難にカヴァー、オリジナルの味を損なう不作法をしていないので、タイトルや誰が歌っているかは分からないが、一度くらいは耳にしたことがあるような曲が多いので、好奇心をくすぐる内容になっている。でも何度も繰り返し聴くようなアルバムでもないような気がするのは、無難な選曲&アレンジによるのだが、こういうお祭り企画アルバム自体は悪いアイデアではない。そんなプロのカラオケ大会の中で一際異彩を放つのが⑨曲目のTOKYOだろう、誰の曲なんだと、頭を悩ませるでしょうが、始まってからさらに驚かされるでしょう、ドイツのメロディアスロックバンドが1981年にリリースしたアルバムのオープニングナンバー、シングルカットもされているので売れたのかもしれませんが、名曲群の中で、意外性の山倉状態に驚かされます。そんな名曲群の中にあっても違和感がないメロディアスロックナンバー、こういうチョイスは嬉しいですよね。

往年のヒット曲をパワフルかつメロディアスはメタリックサウンドへと昇華させたカラオケ大会アルバム。なんだかんだ言って個人的にはちょいちょい手を出すアルバムです。ド派手にメタルアレンジをねじ込んでいるのも面白いしね。

1.You Keep Me Hangin' On (The Supremes cover)
2.Hot Stuff (Donna Summer cover)
3.Shadow on the Wall (Mike Oldfield cover)
4.Are You Gonna Go My Way (Lenny Kravitz cover)
5.I'm Still Standing (Elton John cover)
6.Because the Night (Patti Smith cover)
7.Space Lord (Monster Magnet cover)
8.Get It On (T. Rex cover)
9.Tokyo (Tokyo cover)
10.Proud Mary (Creedence Clearwater Revival cover)


BERGGREN KERSLAKE BAND - The Sun Has Gone Hazy ★★★ (2020-09-21 14:37:21)

ドイツのRazorbackで唄い、アレッサンドロ・デル・ヴェッキオのプロジェクトRevolution RoadやSnakes in ParadiseにThe Company of Snakesでフロントマンを務めたスウェーデン出身のステファン・ベルグレンとリー・カースレイクの二人によるプロジェクトチーム。

曲作りではリーとステファンの二人がクレジットされているが、唄以外にもギター、キーボードにプロデュースと八面六臂の大活躍をするのはステファン。ある意味、ソロアルバム的なニュアンスが強いのだが、出している音は古めかしい古典ロックに彩られた一枚。WHITESNAKE風味満点のブルージーサウンドに、エモーショナルなステファンの歌声は似合うのは既に実証済み、彼は爽快感も持ち合わせているので、砂交じりのざらつき感を緩和さえているのは聴きやすさに繋がっているが、そこが物足りないと思う筋金入りのマニアもいるだろう。

良くも悪くも個性を出さないドラム。大きなグルーブを持ちいらないリーのドラムも、ともすれば情念たっぷりのブルースロックの濃度を高めてしまうのだが、彼の主張の少なさが逆に生きており、スマートな英国紳士と呼ぶべきマナーの良いロックドラムの旨味に目を細めてしまいます。

レーベルがAOR Heavenだけに、メロディアススタイルも強め、明快なフレーズと練り込まれたアレンジセンス、余計なものを省き、古典から引用されたアイデアを無理なく押し込め自分達流に染め上げている手腕は見事。
世代を超えて楽しめるオーソドックスな作り込みも、あざとくないので好感が持てますね。これで良いのです。心が温まるねぇ。定番なんで飽きることなく一生聴けるのが嬉しいね。


BLINDMAN - Re-rise ★★★ (2020-09-21 14:09:18)

専任キーボードも加わりバンドの体制は強化、ベースは夜叉で活躍していた山本征史がゲスト参加で穴を埋める形でレコーディングが敢行。メンバーチェンジがもたらした影響なのか、ハードなリフが耳を惹く攻撃性の高いノリの良いナンバーで幕開けと、いきなりかましてきましたね。それでありながらもTHEブラインドマンな作りにニンマリです。その流れを壊さずにメロディを大切にした硬軟交えたハードサウンドを披露。このバンドの何たるかを明確に表現していきます。

どの曲にもフックがあり、一音一音に込められた思いに心が震えさせられます。定番であり続けることの難しさ、マンネリ化に陥ることなく攻めの姿勢を崩さないからこそ辿り着けた境地だろう。
前作が難攻不落のメロディアスロックならば、今作は怒涛の快進撃を続ける野心に満ちた意欲作だろう。ハードフィーリングがダイナミックなグルーブを伴い、聴き手を飲み込み打ち付ける。そして体に染み入るは、優しさに満ち溢れたハートフルメロディ、熟練の名工が作り上げた慈愛に満ちたハードサウンドの奥深さに打ちのめされました。
古くて新しい定番サウンドの決定版。このバンドの精神性に揺ぎ無しです。


BLINDMAN - Subconscious In Xperience ★★★ (2020-09-21 13:56:39)

再結成後リリースされた2枚目。ベースが代わりキーボードも抜けた中でのレコーディングとなりましたが、ブレインたる中村達也のコンポーズは健在、キーボードをゲストで乗り切った分、アレンジ的にキーボードは押さえ気味だが、充実した楽曲群に陰りはなく、むしろ中村のギターと躍動するリズムプレイが前に出ており歯応えを感じる。
ブラインドマンというグループの何たるかを抽出したような音楽性は、無難に感じさせるパートもあったりと、何度か聴くうちに喰い足りなさを覚えるのだが、これは、このバンドに対する贅沢な不満であり、通常のバンドでは難癖レベルなので無問題。
普遍的メロディが放つ親しみやすさ、その歌心溢れるプレイと高谷の情感を込めた歌声の相性の良さに舌を巻きます。伝統的なスタイルと保持しつつも、古さに埋没しない斬新さを感じさせる表現力の高さ。その硬軟交えたバランス感覚に秀でたロックサウンドに改めてひれ伏しますね。
ハートフルメロディの大洪水、そのピチピチとした鮮度の高さにメロディアスロックの活き作りと言いたくなります。ブレないことの大切さを雄弁に語る鉄壁の守りを敷いた名盤です。


LUCIFER - Lucifer III ★★★ (2020-09-20 13:08:01)

懐メロ全開のヴィンテージロックバンドに変貌を遂げた2枚目にして通算3枚目のアルバム。こういうのが大手メジャーからリリースされるのだから驚きです。
ヨハナ嬢の妖しくもけだるい歌声は、重く引きずるようなリフと濃密に絡み、独特の風合いを披露。時には妖艶なる喘ぎにも似たセクシャルさもあり、このバンドの独自性を高めているのが印象的。マニアックな古典ロック的ニュアンスも強めだが、同じくらい懐かしさから醸し出される親しみやすさ、本格派の音作りなのに、敷居が下がっているのはフロントマンたる彼女のパフォーマンス力に尽きるだろう。
この手のヴィンテージロックバンドの魅力たる、聴き手を麻痺させるようなトリップ感も残しているのが肝。聴きやすいがマニアックさに手抜かりがないのが良かった。


ZAKK SABBATH - Vertigo ★★ (2020-09-20 12:43:01)

ザック・ワイルドがサバス50周年を祝うが為に世に出したカヴァーアルバム。自らオジー役を買って出るほどの気合の入りようだが、レコーディングに対する思いまでカヴァー、24時間のリミットを設けライブ&アナログ録音方法を選択、当時の環境まで再現する究極のトリビュートアルバムとなっている。
おどろくほどオジーの唄を再現しているが、声の重ね方などは80年代以降のオジーと言えよう。全般的に面白い試みである、名前のあるミュージシャンだから成功したとも言えるが、こういう試みはファンにとっては、興味のそそられる内容ではあるが、マニアお楽しみという域からは抜け出せていないのがもどかしい。

しかし、ここまで徹底的にやりきれば、共感できる部分は多く参加ミュージシャンから発せられる強い意志を感じずにはいられません。単なるコピー大会だが、時折、自我がポロっと出る瞬間などドキッとする場面もあったりと、オリジナルと聴き比べるのもお楽しみでしょう。
オリジナルより音質も良くなっているので、それも若い人にはありがたいでしょうかね。でも、ギーザーのエゴ丸出しのベースはもっとエグイぞ。


本城美沙子 - FORESIGHT (2020-09-18 14:10:51)

今作のリリース時に20歳になったんですね。帯び叩きに書いてあって驚きました。高校生でデビュー、2~3年の間に何枚フルアルバムを作ったんだと心配しかしませんよ。そんな駆け足のメタルクィーン人生の終わりを感じさせるジャケットですが、サウンドの方は、アイドル路線は徹底的にやり込んでいます。多少AOR調の歌モノロックもありますがジャケに釣り合う内容に収まりました。ギターは北島健二、サウンドアドバイザーにジョージ吾妻、小暮シャケ武彦やファンキー末吉、トミー・マクレンドンらが作曲者にクレジットとハード系アーティストと完全に手を切っていないのが憎い。そのせいで、マニアは手を出してしまうのです。
そういった、ここまで来たら最後まで付き合おうじゃないかと腹を括った筋金入りもマニア以外にはお勧めできませんが、アイドル歌謡に興味のある方なら楽しめるかもです。


本城美沙子 - DREAMER ★★ (2020-09-18 13:45:08)

やっすいチョイエロ風のジャケから一転、魔女っ娘イメージを払拭するようなジャケットに驚くとともに不安がよぎりますね。オープニングはデビッドボウイで有名な奴のカヴァー、こりゃ、相当なアイドルもんになっているぞと不安になったのですが、客演しているアーティストがX-RAY組の参戦に大谷令文、土方隆行がギタリストにクレジット、今回は臼井孝文に西田昌史も楽曲を提供しているので、露骨なアイドルにはならんだろうなぁと、踏むことがギリギリで出来ましたね。キーボードで参戦する笹路正徳のアレンジも音楽性を広げ、音数を埋めるような愚行はなくバランスよく収まり、彼女の唄も無理目を止めさせたおかげで、今まで以上に聴きやすくまとまっている。
その反面、ハードさは薄まったが、ストレスは軽減されるというハードサウンドを愛する者にとっては痛し痒しな結果となった。松澤浩明が曲を書き令文がギターは弾く③なんて、今作を象徴するようなバランス感覚に秀でている、マーシーのスローナンバー④もアレンジ一つで大化けできるポテンシャルを秘めている。
今作は全て未沙子嬢が歌えるかを起点に作られたと感じますね。そこが全てを決心するでしょう。こんなもん、アイドルが歌う歌謡曲じゃないかと言われると、その通りと言いますが、アニメの主題歌のような軽快なロック風、歌謡曲って、必ずヒットチャートを賑やかしているので、そっち方面がイケる方なら楽しめる要素も大でしょう。
参加メンバーの矜持が顔を出す瞬間もあり、バッサリと切り捨てられないのがマニア泣かせです。


本城未沙子 - TRAMPLING DOWN〜麗華 ★★ (2020-09-18 13:21:03)

前作とは打って変わりお馴染みの日本人アーティストによりレコーディングを敢行。笹路正徳はキーボードで参加しているが、プロデュースの座にジョージ吾妻が再登板、青山純、土方隆行、渡辺健の職人組に、湯浅晋、広瀬さとし、大谷令文らが客演、湯浅と広瀬は楽曲も提供、他に松澤浩明の名前もあり、前作のようなキーボードがメインを張るスタイルとは違うものになると予見させるラインナップとなった。
デビューして2年、二十歳そこそこの女の子にシンガーとしての上澄みなどなく、相変わらず歌唱力不足は否めないが、楽曲はメロディアスなハードサウンドで統一、アン・ルイスやACTIONがやりそうな歌謡ロックもあったりと聴きやすく纏めています。
正直、昭和のホラー映画のようなイントロ長めの笹路作の曲が始まった時は、魔女っ娘感をむやみに出しているなぁと、失敗の予感が漂ったのですが、今作は昭和歌謡路線です。懐メロ臭もプンプンです。そこに愛着と覚え懐かしめるかが最大のポイントでしょう。笹路のシンセが煩わしくないのは良かった。時折切れ込んでくるメロディアスなソロも耳を惹く場面有り。こういうところにロックを感じますが、全般的に昭和歌謡ロックですね。


Heartache City - Heartache City ★★★ (2020-09-17 01:00:41)

ギターとドラムを務めるのはUS産の正統派HM/HRバンドで知られるRattlefaceのロン・サックスとディヴッド・ホワイト、紅一点のベーシスト、ワンダ・オルフェスはThe Iron Maidensで活躍する彼女、そして歌うはステファン・フォンテーヌというマニア泣かせの実力派集団が2000年前後に録音した音源。正式な商品が当時リリースされたのかは現物を見たことがないので分からないが、BandCanpを通じて2015年には世に出ている貴重な一品です。

ど派手に突っ走るわけではないが、2000年代にアメリカの地で、ここまで本格派のメロディアスサウンドで勝負を賭けようとしたバンドがいた事に驚かされる。トレンドなど糞喰らえ丁寧に積み上げた叙情美のあるフレーズと、大陸的なグルーヴ、そして少々衰えを感じるがステファンの歌声は、古き良きメロディックロックの旨味を倍増、そのダイナミックな叙情派アメリカンロックに華を添えてくれます。
バラードも多めだしミドルナンバー主体の構成の為に、ガツーンとスピードナンバーが欲しくなるので、その辺りが個人的には不満なのだが、方向性を定め技巧派ギタリストが、ここぞとソロで派手目のプレイをねじ込んでくるの姿には2000年と思うと好感が持てたりと、簡単に切り捨てられない我が身を恨みます。こんなことしているから散財するんだよなぁ。
高い声だけじゃないステファン・フォンテーヌの歌声を楽しむのも一興ですよ。彼はミック・ボックスの目に留まった人物ですからね。


Ringleader - If Licks Could Kill ★★★ (2020-09-17 00:33:39)

ジョシュアのデビューEPで唄い、ピーター・ゴルビーが抜け心肺停止状態だったユーライア・ヒープに参加したことで知られるスティーブン・フォンテーヌがヴォーカルを担当したUS産メロディアスロックの1st。
快活な大陸的グルーブはアメリカならでは、そこに甘めのハイトーンヴォイスを絡めるが、意外とレンジも広く個性は薄めだがスティーブンの歌声は多彩な楽曲を見事にさばいている。ギターも職人肌だし、キーボードも何でもかんでも出しゃばらないのでバランス感覚も上々と真面目に取り込み、そつなく作り上げている印象を受けますね。

MTVを沸かした80年代の名曲群にシャッフルされても違和感のない音作り。その精度の高さにアメリカのミュージックシーンに対する信頼と底力を感じずにはいられません。ベタと感じさせる難しさがある。下手な奴がやるとこれほど、様にならない音楽性はありませんからね。久しぶりに聴きましたが、国籍を問わないメロディ派のマニアなら楽しめるでしょう


本城美沙子 - TRIGGER ★★ (2020-09-15 15:20:13)

魔女3部作と呼ばれる初期のアルバム3枚を僅か2年以内にリリースしてきた彼女。そのハイペースぶりに驚かされるが、芸能界の恐るべしやり口に嫌悪感を覚えてしまいます。
短いスパンの中でリリースされた4枚目の今作は、一部ロンドンレコーディングも行われており、未沙子嬢がロンドンの地に足を踏み入れたかは不明だが、笹路正徳をアレンジャー&キーボードプレイヤーとして迎え入れ、バックにはメイデン脱退後、ポール・ディアノが結成したLONE WOLFのメンバーを迎え今作は制作されています。何故?LONE WOLFのメンバーが参加したのかに興味を惹かれますが、彼女が進んだ方向性はキーボードを前面に出した歌モノロックサウンドに移行。前作からライトなアメリカンロックもあったが、この歌謡曲にチョイ足しハードの路線に進んだのは、チョイと残念である。
確かにポール・ディアノも一発目の音楽性はライトな歌モノだっただけに、腑に落ちる点はあるのだが、ディアノと行動を共にしたツインギターコンビなど、もう少し見せ場を設けてやって欲しいと思わずにはいられない。また歌唱力で勝負できるわけではない未沙子嬢の、歌モノ路線が売れるとは思えないが、芸能界なんてなにが起こるか分かりませんが、やはり彼女のファン層を考えると中途半端と言わざるを得ないだろう。
X-RAYの藤本朗のコーラスが目立ちまくる⑤などを聴けば、尚更そういう気持ちになるのだが、昨今の、嬢メタルブームとは違うニュアンスの80年代型サウンドに耳を傾けるのも一興ですよ。あーだこーだと、勝手な憶測を立て楽しみのも温故知新ですからね。


HIROSHIMA - Taste of Death ★★★ (2020-09-14 13:34:50)

70年代から活動していた北欧の古参HM/HRグループが1984年にリリースした1st。原始的なロックの源流ではあるが、倦怠感や投げやりな陶酔感とは無縁なのが、北欧出身という事なのか、豪快なリフ、リズムを従えてはいるが、北欧ならではの冷ややかなメロディが顔を覗かせており、シンプルなビートの合間を縫うような叙情性に耳が行きますね。コーラスワークの重ね方もドラマ性を増幅、シンプルな構成なのに濃厚に映り込む③のような曲を聴かされると、只者ではないなぁと思いますね。それ以降も豪胆さと繊細さを巧みに盛り込んだ楽曲が登場。古めかしいロックは苦手という人にもトライして欲しい、親しみやすさがある。
NWOBHMとも違うし、ヨーロッパに代表されるような糖度の高いメロディとロマンティックなムードでもない、その無頼な元祖北欧ロックの旨味、燃え盛る熱情と美しさを醸し出す叙情性、アルバム一枚で消えた幻のバンドではあるが、ブレない筋の通った音楽性は無名だからで埋もれさせるのが勿体ないと思いますね。
ギタープレイの自己主張具合も古典的。アンサンブルの作りも懐かしい。これでいいのだと思うお約束がいっぱいである。やっぱメロディに情緒があるのが欧州なんだろうなぁ。


FOGHAT - Live ★★★ (2020-09-14 12:54:27)

英国のバンドでありながら渡米して活動していた生粋のライブバンドによる歴史に名を残すライブ盤がコチラ。サザンロック的な風合いも感じさせるが、小気味よく弾き出されるリフワークには英国産ハードブギーテイストも色濃く残し、無駄な装飾を省いたシンプルロックのダイナミズムにグイグイと引っ張られるでしょう。
アメリカ大陸制覇を目指した音楽性、速くもないのに加速度を感じさせるグルーブ、時には野性的と感じさせる、その骨太なサウンドは圧倒的な存在感を誇っている。
トータルで40分を切る構成も清い姿勢に映り、気が付けば何度もリピートさせる魅力あるのが、このバンドの肝だろう。
ライブならではの緊張感と熱を帯びた空気、スタジオ盤以上に尖りまくった感情に支配される生々しいロックサウンドの持つ説得力は、何年たっても色あせません。楽しいハードブギーなのに、どこか重厚な存在感を放っているのも印象的ですね。

余談ですが、⑤はビック・ジョーの相性で知られる黒人シンガー、ジョー・ターナーが1950年代に発表した曲です。色んなアーティストが取り上げております。ブルースロックから派生したハードロック。その源流として後世に引き継がれる名曲の一つでしょう。


VICIOUS RUMORS - Celebration Decay ★★★ (2020-09-13 14:47:00)

もはやジェフ・ソープさえいれば、このバンドは存続するという事なのだろう。メンバーは入れ替わったが、ジェフの創作意欲に陰りはなく、このバンドらしいダークでミステリアスな雰囲気のあるテクニカルなギタープレイを堪能できるパワーメタルは健在。懐古趣味に走らない現代的なエッセンスも忘れることなく自らが積み上げた過去と対峙、剛毅に打ち鳴らされる無頼な鋼鉄サウンドと、技巧的なプレイの数々、その圧倒的なサウンドが全てを覆いつくしていくが、アメリカのバンドなので、少々情緒に欠けているので、ハッキリとした歌メロで昇天したいと思うマニアには物足りないかもしれませんが、妙な色気を出したポップソングなどを排除しているので、昔から彼らを応援しているマニアにとっては、一本筋が通っているので安心して聴けるでしょうね。80年代的な要素も意識して取り込んでいるように感じられるのもプラスでしょう。


THUNDERMOTHER - Thundermother ★★★ (2020-09-13 14:29:49)

北欧はスウェーデン産の本格派ガールズロックバンドのフルアルバム。金髪姿も麗しいクレア・カニンガムは抜けてしまったが、歌声に的には劣らない女性シンガー、ゲルニカ・マンチーニを迎え(顔に割には太り過ぎだぞ)フロントマン離脱の危機を見事に回避している。その説得力のある歌声と存在感により、バンドは次のステージへと確実に向かっている。
骨太で埃っぽいハードサウンドを真っ向からかき鳴らす彼女たち、妙な色仕掛けなど一切ないガチンコスタイルに単純にカッコいいと思うのだが、この手のスタイルは島国日本においては情緒に欠けるし、そもそも女というだけで厳しい環境に置かれる。なかなか日本デビューとはいかないが、ヴァッケンのステージも立てる実力があるので、この手の古典ロックに、北欧ならではのワビサビを導入できるヴィンテージロックを欲しがる同志ならば大いに楽しんでもらえるでしょう。
女性だけのグループを聴いている=ひよっているなど、前時代的な話です。いまだに頭なの中でゼロ戦飛んでいる軍国主義者の妄想ですよ。FUCK OFFです。


SUNSTORM - Edge of Tomorrow - Edge of Tomorrow ★★★ (2020-09-13 14:05:01)

ベタ中のベタですが大好物です
ジョーの熱を帯びた円熟味の唄がいい


SUNSTORM - Edge of Tomorrow ★★★ (2020-09-13 14:04:29)

メロディアスロックの総本山と呼んでも差し支えのないFrontiers Recordsと(日本のレーベルもこういう存在に成り得たはずである)ミスターメロディアスロック、我らがジョー・リン・ターナーがタッグを組むメロディアスロックプロジェクトのフルアルバム。プロデュースにアレサンドロ・デル・ヴェッキオ、リードギターに気鋭のシモーネ・ムラローニを迎え盤石の態勢で挑んでいる。
レーベルに対する信頼も厚く、このプロジェクトチームがトチ狂ったことなどするわけもなく名前を見ただけで安心して手を出せる仕様になっているのが凄い。そして期待を裏切らない展開がスタートボタンともに現れ、あっという間に至高の世界へと誘ってくれますよ。
軟弱と言われかねないジョーの世界観も、硬軟交えた楽曲に楔を打ち込む名手のおかげで鮮烈なるリードプレイを披露、シモーネのギターは邪魔をすることなく自己主張を忘れないという離れ業をやってのけたおかげで、今作の主役を最大限に盛り立てている。円熟味を増したジョーの歌声、懐かしさを醸し出すメロとハートウォーミングな歌唱により、多くのマニアのハートを鷲掴んでいくでしょうね。
個人的には古さの中に、新しさも感じられフレッシュな印象を持つこともできた。ソングライティングチームの恐るべき完成度の高い仕事に脱帽でした。


BITCHES SIN - The First Temptation ★★★ (2020-09-12 18:49:25)

幻のデモ音源+BBCフライデーショーからのラブ音源を足してリリースされたコンピ作。マニアとしては、初期のデモ音源が復刻されたことが嬉しいですね。
哀愁を振りまきながらシャッフルビートが走り抜ける①で掴みはOK、隙間のあるリフとリズムの懐かしさにレトロ感も漂いますが、ワンフレーズで聴き手をNWOBHMの世界に誘ってくれるのですからたまりません。
元がデモ音源ですので詰めの甘さは否めませんが資料的にも価値の高い音源を、オフィシャルな形で掘り起こしてくれたことには大感謝です。いなたいロックもあるが、湿り気のあるメロディを従え走り出すパートのカッコよさ、ブリティッシュロックの伝統を引き継ぐ、哀愁美のある旋律が華麗に踊りだす叙情派スタイルにグッと惹き寄せられます。
硬派なスタイルのみならず、メロウなフレーズまで飛び出すセンスあふれる音作りに、大きな可能性を感じますね。

NEATからリリースされたシングルの成功により、正式なデビューを果たす彼ら、今作を聴けば、綿々と続く伝統に彩られた叙情派サウンドに魅了されるでしょう。音質云々では語れない初期衝動、その伝統に忠実なフレージングに魅了されますよ。


Van Camp - Too Wild to Tame ★★★ (2020-09-10 18:28:31)

詳しいバンドの経緯は分からないがジャケに一人ギターを弾く姿が映り込むのがベルギー産スピードメタルバンドKILLERのギタリストShorty、EX KILLERと書かれおまけにFeaturing Shortyと書かれているジャケット、ドラムもDouble Bear名義ではあるがKILLERのロバート・コーガン、ベース兼ボーカルに、もう一人のギター、ツインギターの4人編成と完全にKILLERと同じ体制、そしてバンド名のVAN CAMPはShortyの本名、ポール・ヴァン・キャンプから来ている、ソロアルバム的なものなのか?それとも新たなるバンドなのかと複雑な感情を抱ぎスタートすれば、出している音はKILLER譲りにスピードと欧州由来のメロディがメタリックに叩き上げ研磨されたスタイル、このメンバーに対する期待を見事に受け止め昇華している。相変わらずのツインボーカル体制だったのも良かった。

KILLERが1984年にアルバムを出した後、90年まで音源がリリースされなかったのは、Shortyの課外活動があったせいなのかと思ったが、KILLER自体が1987年に一度解散しており、このバンドは、その意思を引き継ぐ形だったと考えるのが普通でしょうね。

男臭い気骨溢れる暴走メタルサウンドの旨味、そこに整合性も高めた正統性の強いスタイルを持ち込み、理論整然としつつもKILLER時代のスピード狂ぶりを感じさせる音楽性は、その筋のマニアを歓喜させるには十分な破壊力を持ち合わせ、正統派HM/HR好きとスピード狂の両面から追いかけてきたファンを楽しませる仕様に仕上がっている。
⑤では、ババババーンでお馴染みの運命のフレーズや第九の歓喜の歌だったかな?パートなどクラシカルテイストを盛り込んだインストナンバーを持ち込んだりと(他にもクラシックからの転用がありそうですね)、主役たるShorty大爆発である。

単体でのCD化は知りませんが、ありがたいことに2019年にKILLERがリリースしたBOXセット『Vol 2: Only the Strong Survive 1988-2015』に晴れて収録。サブスクリプションでも楽しめるようになりました。

音楽性の幅を広げ、癖が強めのハイパーパワー/スピードメタル時代よりも、一般層にとっつきやすい仕様にしたのは大正解でしょう。久しぶりに聴きましたが、こういうの大好きですね。二本のギターが紡ぐ荒々しくも叙情味溢れるフレーズ、ドカドカ刻まれる無頼なリズム、KILLERファンの期待も完全に受け止めていますよ。


WARHEAD - The Day After ★★★ (2020-09-10 17:51:45)

ベルギー産、クサレパワー/スピードメタルバンドによる2枚目。とにかく力技のごり押しスピードサウンドが売りのバンド。その勢い重視の姿勢にスピード狂ならグッとくるでしょうね。メロディを追いかけ歌う手法のシンガーと、摩擦度の高いスラッシーな演奏と絡み合い、どこか粗暴で味気ない部分もあるのに、情緒というのかヨーロピアンスタイルのメロディも溶け合い、ベルギー特有のむさ苦しい暴走スタイルへと昇華している。
先輩格のKILLERやCROSSFIRE、OSTROGOTHバンドが紡ぐ路線に、当時台頭しつつあったスラッシュサウンドを取り入れ、新たなる路線の開拓と言ったところでしょうかね。
無鉄砲に突っ込んで転ぶ、ブサイクさもあるが、それ以上にスピードとパワーに比重を置いた姿勢はメタル愛に対する忠誠心の表れ、売れる音楽性ではないが、ヘヴィメタルの世界に足を突っ込んだ同志としては見過ごすことのできない、ダーティかつパワー漲るスピードメタルに拳を振り上げずにはいられません。マイナーな存在だしレーベルもMausoleumだし、売れる要素も皆無だが、プレスラッシュというのか初期型スラッシュを掘り起こしたと思うマニアや、メタルの歴史に触れたいと思う若い人にこそトライして欲しいサウンドの一つである。元ネタも明け透けな瞬間もあるが、正攻法で迫るHM/HRスタイルを基軸に、時代性を加味させた音楽性は、時に恐ろしいほどギラリとした先鋭的感性を披露していますよ。侮るなかれベルギー産メタルを、そしてMausoleum Recordsも再考して欲しいねぇ。
日本でも、あのレーベルを特化した個人サイトがあることに度肝抜かれましたからね。


ACTION - Overload ★★ (2020-09-08 20:57:40)

前作から半年チョイとでリリースされたアルバム。アイドル歌手並みのスパンに心配になるのだが、こういう方向性に進むと決め、かねてから残していたマテリアルがあるのか、精力的な活動に驚きますね。
音楽性は前作で魅せたロックンロール路線に、チョイハードテイストを盛り込み、WARNING IN THE NIGHT+MOVIN' AND ROCKIN'といった具合に収めてきた。少々キメ曲に欠けている面はあるのだが、バラエティに飛び過ぎないよう統一感を持たせようと工面した形跡があり、新たなるレコード会社との折衷案も見え隠れするのが面白い。バンドブームに先駆け、一般層に喰い込めるポテンシャルを発揮するために、高橋ヨシロウが進んだ道という事なのだろう。ギターが広川 大輔に変わり3枚目になるのだが、もう少し彼は弾きたいだろうなぁ。


Maxx Warrior - Maxx Warrior ★★★ (2020-09-07 16:49:37)

元気はつらつオロナミンCなオープニングナンバーで勢いよく幕開け、全4曲入りだけに、その加速度を落とすことなく派手にかっ飛ばしていきます。ノリの良い小気味いいリズムと派手なツインギター、そのエネルギッシュな演奏に負けない、マイルドで伸びやかな歌声とお膳立ては揃っていましたね。
このバンド1985年に自主制作盤を出した後、U.S. Metal Recordsから1986年に再発盤を出しているが、その時にはバンドは解散していたらしい。その為に次の一手が出なかったのだが、アメリカのバンドらしいドライさが、ど派手な楽曲と嫌味なく絡み、突っ走る様は実に爽快だった。ラストは埃っぽさもあるブルージーなメロウなアメリカンロックを披露する器用さも魅力だったんだろう。ギターチームも悪くないだけに残念である。
このバンド、一部のマニアから興味を持たれているのは、ここでリードシンガーを務めるCJスネアことカール・スネアの若かりし頃の唄を確認できるからです。この時点で既に彼の声を確立されている。FIRE HOUSEマニアならほっとけないですよね。


THOR - The Edge of Hell - Intro / Heads Will Turn ★★★ (2020-09-07 16:21:10)

地味目なオープニングですが
ほんのりと哀愁漂うサビのおかげでフックが感じられる
こういう地味曲をTHOR様は良くやっているので個人的には無問題


THOR - The Edge of Hell - The Challenge ★★★ (2020-09-07 16:19:33)

ど派手に火を吹くミドルハイナンバー
ドドドドドドドドドと攻撃的なリズムが突進
そこにTHOR様が悠々と闊歩していきます
歌メロの親しみやすく
攻撃性も高くグイグイと惹き寄せられる魅力がある
キーボードの使い方も効果的ですね


THOR - The Edge of Hell - We Live to Rock ★★★ (2020-09-07 16:15:26)

大地を踏み鳴らす
豪快で爽快なロックアンセム
これもTHOR様らしい一曲
アルバムを〆るのに相応しいですね


THOR - The Edge of Hell - Energy ★★★ (2020-09-07 16:12:44)

ド頭からビックコーラスもぶっこみ
ど派手に賑やかにキャッチーに吹っ飛びます
TUOR様によるロックアンセムの登場です


THOR - The Edge of Hell ★★★ (2020-09-07 16:10:31)

ボディービルのチャンピオンの経歴を持ち異色のロックミュージシャン、北欧神話の神様を名乗る元祖ぶるうたすシンガーのソーが、Tritonzと名乗りリリースした映画のサントラを兼ねたアルバム。どんな映画か見たことないので分からないが、彼が主役を務めているとのことです。
このアルバムをリリース後、一旦、歩みを止めるのですが、この人、複数の名義で音源をリリースしている、ややこしい経歴もありイマイチ認知度を上げきれていない。キャラは十分に立っているのに残念である。

出しているサウンドはマッチな男らしい勇壮さヘヴィメタルサウンドを披露。走り出しそうで走らないエピカルなスタイルだが、今回はそこに絶妙なポップセンスを導入、そのおかげで歌メロにフックが増量され聴きやすくまとまり、胸焼けを起こしそうなエピカルHM/HRの世界を中和している。

とは言え歌が抜群に上手いわけでもないキャラ重視の男だけに、イマイチ跳ねないのかもしれませんが、懐かしいシャリシャリとしたギターサウンドから繰り広げられる派手目のプレイ、映画のサントラという指向のおかげで、賑やかな要素も増えていたりと、ロックンロールサーカス開園と言った雰囲気があり、ミドルナンバー中心にも関わらず十分耳を楽しませてくれます。

コンセプト色の強いアルバムなのだろうが、適度に隙間のあるサウンドは、敷居も低く難解な要素などなし。SE的なものは⑧くらいで、唄入りのコンパクトなものが多いので繰り返し聴いても苦にならないだろう。久しぶりに聴いたが、昔よりも感触が良くなっている。歳をとると丸くなるなぁ。


HEAVY PETTIN' - Prodigal Songs ★★★ (2020-09-06 14:47:39)

2007年にリリースされた彼等の未発表曲集。こういうのは未消化な部分が多くヴォリュームもバラバラだったりして、イマイチ音源として没頭できなかったりするのですが、これが激アツの名曲連発。

収録曲はこちら

1. Break It Down
2. Don't Blow Your Chances
3. I Don't Care What You Say Anymore
4. Keep on Believing
5. Merry Go Round
6. Don't Walk Away
7. Hot Women
8. Speed Kills
9. Knock 'em Dead
10. My Love For You
11. Nightmare
12. Once is Enough
13. That's the Way

情緒のあるメロディが映える①からメタリックに疾走する②の流れにノックアウト、デフ・レパードの後継者と呼ばれるに相応しい硬軟交えた魅力を炸裂と、未発表にしていたのが勿体ないと心の底から思えるクオリティ。これがもっと早く出ていれば今日の評価も違ったのになぁと思わずにはいられない楽曲が多数収録。勿論、完全アメリカン市場狙いの曲もあるので、その対比を聴き比べ楽しむのも一興でしょう。

やはりこのバンドには、鋭いエッジの立ったギターサウンドが良く似合う。それがあってのハイトーンヴォイスだろう。路線変更も受け入れ巧みにコントロール出来た器用さが、涙を呑んでの路線変更に繋がったのかなぁ。
そんな勝手な深読みをしながら楽しんでいます。


HEAVY PETTIN' - Big Bang ★★★ (2020-09-06 14:31:40)

ひっそりと1989年にリリースされた3枚目のアルバム。それもその筈で、既に解散したバンドのお蔵入り作が世に出た形となった。1987年には、ここから②⑦を収録した3曲入りのEPをPOLYDORから出していただけに、持ちこたえられなかったのは残念である。厚みのあるコーラスワークの使い方やリフやコード進行など、デフレパードに似ていると陰口を叩かれるバンドだったが、性急すぎた音楽性の変貌、そのイメージチェンジのえげつなさにメンバー共々ついてこれなかったのかなぁと勝手に推察しますね。
2ndの方向性をさらに推し進め、ポップロック度も倍増。キーボードも多用し軽やかなハードポップサウンドを大導入。THIS IS AMERICA~と爽快な歌が始まった途端に、一旦停止を押したもんねぇ。
それでも耳を澄ませば、強力なハイトーンは甘めの曲に良く絡み個性を発揮、ツインギターコンビも複雑ではあろうが、時折メタリックなバンドだったんだということを思い起こさせてくれる瞬間もあり、お仕事感が出ているのが辛い。しかし、完全に迷いを払拭し、徹底的にやり切った音楽性、英国産ハードポップサウンドの魅力は、何ら避難されるものではなく、その手のメロディアスロックが好きな人なら大いに楽しめるでしょう。
先行シングルの②なんてホーンセクションも絡み、大人の魅力を発散、しっとりとした情緒のある音楽性を堪能できますよ。ミキシング&プロデュースにトニー・タバナーの名前もあり、丸々アメリカンにならずに済んでいますね。

このバンドが直面した問題。メタルにおける英国市場の没落、新たなる行き場を求め米国仕様になるしかなかった。しかし、捨てきれなかったメタルバンドの矜持。ヴォーカル・ハーモニー中心のソフト路線に進もうとも、デフ・レパードには成り切れなかった。それに尽きますね。

当時はわりと否定的だったのに、今の方がノリノリで聴けるのだから不思議です。なかなか見かける機会の少ない一品でしたが、Burntout Wreckordsから、シングル収録のみの2曲をボートラで追加されて再発されています。そっちは聴いたことがないので詳細は分かりませんが、目まぐるしく移り変わる当時のミュージックシーン、このバンドを通して栄枯盛衰を肌で感じてください。


ACTION - Movin' and Rockin' ★★ (2020-09-05 12:52:07)

聴くと怪我するぜ、みたいな文言が帯び叩きに書いてあった記憶がありますね。
前作はメタリックな要素を膨らまし男臭さも増量しましたが、今作はワイルドさを残しつつも、よりオーセンティックなロックサウンドへと回帰。彼等らしい歌謡テイストとの相性も良く、高橋ヨシロウの声質を考えると、これくらいのハードさの方がしっくりくることはくる。器用に立ち回れるし、古くからのファンもいるバンドだけについてくるだろうが、前作の硬派さが薄まったのはチョイと残念。また、露骨な拝借感も気になるところ、その反面、アルバムの統一感も高まり全体の平均値が上がったというのは皮肉な結果となった。


ACTION - Warning in the Night - M-93R ★★★ (2020-09-05 12:44:58)

アルバムを〆るのはワイルドかつ男臭さ溢れるハードなインストナンバー
唄なしの方がカッコいいじゃないかぁと部外者は思うのですが
最後にこういう曲を持ってくるのが面白い
またアルバムを最初から聴きたくなりますね


ACTION - Warning in the Night - City Fighter ★★ (2020-09-05 12:42:10)

ワイルドかつハードなミドルナンバー
もう少し迫力の欲しいところだが
この隙間だらけで軽いのがアクションなんだろう


ACTION - Warning in the Night - Roll over Junk Lady ★★ (2020-09-05 12:41:09)

アクションお得意のワイルドなロックナンバー
広がりのあるご機嫌な展開もらしい


ACTION - Warning in the Night - Bowy 1984 ★★★ (2020-09-05 12:40:21)

グッと男っぽいイメージを抱かせたオープニングナンバー
それでいながらアクションらしいポップセンスも忘れていない
ヨシロウの甘い声では限界を感じさせる路線ではあった


ACTION - Warning in the Night - 100,000 Volt ★★ (2020-09-05 12:38:06)

オリジナルよりもタイトにシェイプ
当時としては現代的にアップデート
でも代表曲だけにオリジナルに対する思いも強いだろう


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead ★★★ (2020-09-02 12:47:14)

アルバムジャケットを見た瞬間からやってんなぁと、嫌な予感が頭をよぎるのですが、今作は焦点を絞ったことによりデフ・レパード化に拍車は掛かっているが、フォロワーとしてはトップクラスのクオリティを保持、むしろバンドの個性がギラリと光り見事に路線変更に成功。この程度でアメリカンなんちゃらで叩かれるのは酷である。
メジャーレーベルに打って出れば音楽性にメスを入れられるのは当然で、むしろ、彼等は初期の頃に見せたデフ・レパード臭さを巧みに昇華することで、大衆性とアーティスティックな面を両立させている。
もはや違うバンドレベルになったと言われれば返す言葉も見つからないが、多くのバンドが変換期を迎えていた時代の業と言えるだろう。
哀愁のメロディと大衆性を帯びたポップセンスを大増量、コーラスワークも厚みも増しビックロック化しているが、この泣かせ具合が絶妙な配合でアメリカン臭さを打ち消し、独自のスタイルを披露。統一感のある作風なのに飽きが来ないようバラエティに富んだ楽曲を収録することで、1stから流れてきたファンの戸惑いを受け流している。

個人的には、こっちを先に聴いたので、1stのシャープさに驚いたものである。そして、デフ・レパートに似たバンドと教えてもらったが、今作のマイルド路線よりも、1stに収録された数曲の方が、やりに行っていて驚いたものである。
感触はソフトケイスされたが音楽性の質は高い、NWOBHMファイターとしては見事に変貌した好例であろう。

でも1stから入った人が受け入れられないといった気持ちも理解できるが、オジサンとなった今では全然問題なしである。


HEAVY PETTIN' - Rock Ain't Dead - Rock Ain't Dead ★★★ (2020-09-02 12:33:04)

いいですねぇ
叙情的な哀愁美が溢れています
そこに極上の大衆性を盛り込み嫌味なく聴かせてくれます
今作の方向性を案に示唆するロックアンセム
メジャーフィールドに果敢に挑む姿にグッときます


DEATH ANGEL - Act III - A Room With a View ★★★ (2020-09-02 02:25:53)

乾いたアコギの旋律に導かれ始まるバラード
絶妙な光沢のあるフレーズがベッタリとさせてないのがより効果的に働いている
素直に耳に響く哀愁のメロディ
一音一音丁寧につま弾かれるアコギ
バンドの可能性を押し上げたバラードだろう
久しぶりに聴いたが良いねぇ


MOTORHEAD - 1916 - Love Me Forever ★★★ (2020-09-02 02:22:20)

バラエティ豊かなアルバムの中でも一際インパクトの強い
彼等のイメージを変えるようなバラード
この曲があるおかげでアルバムに大きな起伏が出来
アルバムの展開にドラマを持ち込んでいる
レミーのしわがれも声も悪ないぞ


TESTAMENT - Souls of Black - The Legacy ★★★ (2020-09-02 02:18:11)

ドラマティックな泣かせの名バラード
アレックスのギターが絶品
繊細なトーンから情感たっぷりのギタープレイまで展開を考えたソロも素晴らしい
その圧倒的な存在感で楽曲を盛り立てています
メタリカっぽいという声もあるが
スラッシュ系のバラードとしては理想的とも言える魅力がある


FLOTSAM AND JETSAM - The Cold - Better Off Dead ★★★ (2020-09-02 02:10:31)

アコースティックな出だし
エリックの熱を帯びたエモーショナルな歌声
バンドサウンドになってから一気に激情が爆発
静と動のコントラストを明確に描くことでドラマ性も格段にアップ
懐の深いバンドサウンドで魅了してくれました
スラッシュ系が取り上げるバラードとしては出色のできでしょう


RAMOS - Living in the Light ★★★ (2020-09-02 02:03:03)

LE MANSとしてSHRAPNELから世に出たときは速弾き系だったが、次のTHE STORMでは一転メロディ派のロックバンドで活躍する腕利きギタリストとして再登場(LE MANSもSHRAPNELから離れたらメロディアスサウンドに変貌)、その類まれなセンスを生かし名を上げる。
今ではFRONTIERSお抱えというのか、仕事人として多くのプロジェクトに顔を出すギタリストの、ジョシュ・ラモスがラモス名義でリリースした歌モノのソロアルバム。FRONTIERS仲間も多数参加、ケリー・ハンセンと共同プロデュースの立場をとり極上のメロディアスHM/HRサウンドを仕上げてきました。
シンガーにはジェフ・スコット・ソートがいたメロディアスロックバンドEYESにジェフの後任として参加していた、マーク・ウェイツの名前もあったりと、マニアなら食指も動くラインナップが集結、レーベルの安定感も手伝い容易に手が出せる布陣となっています。
楽曲中心、唄をたっぷりに聴かせる仕様ではあるが、軟弱なソフトロックとは一線を画す、ラモスのエモーショナルなギターが随所に顔を出し、曲を邪魔することなく絶妙なさじ加減で存在感を誇示。そのバランス感覚に感嘆あるにみ、ハードな曲もいいが、エモーションを込めた泣かせのバラードなどで聴けるソロは、彼の独壇場とも言えるハイライトシーンとなり、溜息が連発で駄々洩れですよ。
上手いギターと良質なメロディに抱かれ、日々の喧騒を離れ癒されたい。しかしロックな歯ごたえが欲しい、そんなメロディ派のマニアにはうってつけのアルバムでしょう。
シンガーのマークもジェフ・スコット・ソートの声にやすりを掛けスッキリとさせた声質で、歌い方もジェフにそっくりですから、このジャーニータイプとも言えるメロディアスロックにピッタリの人材だったでしょう。
キーボードやピアノの使い方も抜群、リズムプレイもキレがあり、良質な仕事をこなしています。流石はFRONTIERSだなぁ。


RAMOS - Living in the Light - Tell Me Why ★★★ (2020-09-02 01:42:55)

タメを効かしたギター
流麗に流れる美旋律
ジョシュ・ラモスのセンスの味わえる名曲
ジェフ・スコット・ソート似の歌声もバチコーンとハマっています
これだからメロディアスロックは止められん
そしてFrontiersだよなぁ


Glasgow - Zero Four One - Under the Lights ★★ (2020-08-31 19:13:04)

1984年にリリースしたEP収録のメロディアスミドルナンバー
キーボードが装飾しているために印象はガラリと変わるのだが
根幹にある素朴だが憂いのある空気感は残っている
こういう方向性のバンドだが
アルバムでは大きく大衆向けに傾いてしまい
昔からのファンを落胆させた


Glasgow - Zero Four One - Secret in the Dark ★★★ (2020-08-31 19:04:06)

Manfred Mann's Earth Bandのクリス・トンプソンが書いたメロディアスなナンバー
1985年にエリック・マーティンも取り上げています
クリスがいつ発表したのか知りませんのですが、一応世に3回出ている曲です
後期Manfred Mann's Earth Bandに収録されても違和感のない爽快な曲を
NWOBHMバンドが取り上げる違和感は拭えませんが
こういう曲をやることがデビューの条件だったように感じてしまいます
元々キーボードもおらんしね
ほぼ忠実にクリスヴァージョンをなぞった軽めのシンプルな演奏
シングルカット第一弾
バンドの本分とはもっともかけ離れた曲です…世知辛いなぁ
熱を帯びた沸騰型ヴォイスだけが唯一NWOBHM時代を思い出さてくれます
最初聴いた時は冗談だろうと思いましたよ
事情を知らなければメロディアスなヒットナンバーとして耳に響くでしょう


ERIC MARTIN - Eric Martin - Secrets in the Dark ★★★ (2020-08-31 18:52:53)

Manfred Mann's Earth Bandのシンガーだったクリス・トンプソン提供
彼もソロで唄っているのだが
どちらが先かは分かりません
ギターでスティーブ・ルカサーが客演
爽快感のあるメロディアスロックに絡む熱を帯びたエリックの歌声
両者の特性が合わさりうっとうしさを回避
上手くやっているわ


ERIC MARTIN - Eric Martin ★★★ (2020-08-31 18:48:21)

永遠のベビーフェイス、エリック・マーティンのソロ転向第一弾のアルバム。ニール・ショーンが楽曲を提供、ランディ・ジャクソンやスティーブ・ルカサーらの客演もあるが、プロデューサーにギター、そして曲作りにも関与したダニー・コルッチマーのエッセンスが強めで、オシャレでアーバンな空気のAOR調のロックナンバーが収録。既に完成しているエリックの黒っぽいフィーリングを生かした歌声もバッチリとハマり、アルバムはゴールドディスクを獲得。MR.BIGファンは勿論だが、彼の歌声に惚れ込んだマニアなら大いに楽しめる仕様になっています。
マイケル・ボルトンの⑦なんかもハマっていますよね。ニールのペンによる⑥なんかも軽快で爽やか、スティーブが参加した③も耳を惹きますね。
エモーショナルなハスキーヴォイス、こういうソフトロックを歌ってもパンチが効いているなぁ感じさせるのがエリック・マーティンの人気の秘訣なのでしょう。


SABER TIGER - Money [ 7" Ep + Cd ] - Final Crisis ★★★ (2020-08-30 20:29:29)

下山の迫力満点の歌声
牙を剥き出しに獲物を狙う北の狂獣サウンドに相応しい疾走ナンバー
このメロディと飛翔する展開がたまらん
起承転結のある展開ヘヴィメタルにもつ熱いドラマ性
そのカタルシスの開放がカッコいい
最近のサーベルの不満のある人なら
大歓迎のサーベルらしい密度の濃いストレートなメタルソングとして
ビンビンに心に響くでしょう
どんな形であれHARD GERAの曲が世間に認知されるのはありがたい


SABER TIGER - Money [ 7" Ep + Cd ] ★★★ (2020-08-30 20:22:50)

2019年にアナログシングルとCDを抱き合わせでリリースした一品。
収録曲は
[ アナログ 7インチEP 収録曲 ]
A1 Money
B1 Final Crisis
[ CD 収録曲 ]
01. Money
02. Final Crisis
03. Fast As A Shark (ACCEPT Cover) - Bonus Track
04. High Wire (BADLANDS Cover) - Bonus Track

これを見たら買うでしょうよ。ずるいわ。カヴァー曲も美味しいけど、個人的には、マシーンさんこと田中康晴がサーベル脱退後に、結成していたHARDGEARの代表曲を取り上げていること、この名曲がサーベル名義で復活したことが嬉しい。
オリジナルヴァージョンに対する思い入れが強すぎるために、英詩に変更された違和感は拭えないが、最強のメンバーでリメイクされたことに異論などなく、どのような形であれ多くの人に知って欲しい道産子メタルの名曲です。

カヴァー2曲も美味しいが、BADLANDSは面白い試みだった。


BLINDMAN - ペイン・フォー・ザ・プレジャー ★★★ (2020-08-30 20:01:56)

KINGレコードから晴れてメジャーデビューを果たすも短命に終わりバンドは一旦解散。プレインである中村達也はキーボードの井上とREDRISEを結成、イケメンヴォーカルを迎え入れ活動するも、BLINDMANのような魅力を持ち合わせてはいなかった。単純に音楽性云々よりも、歌い手の表現力不足に尽きるのだが、そんな頭打ちの中で中村達也が再度バンド活動に向け尽力、高谷アニー学も戻り盤石の態勢で2006年にバンドは再始動アルバムをリリース。ファンとしては待ち望んでい元の鞘に収まってくれた事に素直に歓喜したい。

中村達也の魂を紡ぐハートフルメロディ、高谷のハスキーなエモーショナルヴォイスがあれば、このバンドは成立することを証明、また、この二人に存在するマジック、この二人だからこそ感じさせる風格、その圧倒的な存在感のおかげで日本版WHITESNAKEと呼んでも大げさではない、芯の太い古典ロックのカッコよさに身震いさせられる。

特筆すべきは中村のソングライティング力、耳を惹くフック満載のメロディ、そして一音一音に込められたエモーション、無駄のない音選びとフレージングの上手さに、改めて舌を巻きました。古臭いだけではないブルージーな本格派ハードサウンドの旨味、その至高のサウンドに必要不可欠なのは高谷の唄なのだろうが、多くのファンが待ち望んでいたスタイルに落ち着いたことでバンドは新たなる求心力を身に着けたことになったはずである。
良くも悪くも、このバンドらしい音に収まった。それらを進歩がないと感じるのか、安定の定番と感じるかで評価も分かれるのだが、どう見ても志半ばで解散した印象しかないバンドが、早めに復帰したのは本当に嬉しかった。ブランクも感じないし、全てが好転している、そんな思いが一番強いアルバムである。


TOKYO BLADE - Dark Revolution ★★★ (2020-08-30 19:36:12)

前作と同じラインナップが揃いリリースされたアルバム。数多くのメンバーチェンジ&音楽性の変遷と形骸化していた時代もあったが、近年は腰を下ろし落ち着いた活動をしているように感じる。往年のメンバーシップの復権、音楽性も同様にNWOBHM仕込みの骨太なスタイルと、このバンドらしいポップセンスも生かしたハイブリットサウンド披露、そこに今風のサウンドプロダクションも盛り込み、懐かしさだけではない現代に舞い降りた古典ロックとして地に足がついている。

こういう音楽とバンドに新しいものを求めてはいけない。しかしノスタルジーをくすぐるだけのバンドでもない。彼等が世の中に提示しているのは、ヘヴィメタルの源流たる音楽性の再構築だ。そして、それらが現代に通用するスタイルであることを高らかに宣言している。今を無視しないだけで、この古めかしい音色が気骨溢れるノスタルジックNWOBHMとして復活するのだから面白い試みですね。
パワー、スピード、メタリックな質感、そして適度な隙間のあるハードサウンドの旨味、全てが無駄なく絶妙に絡んでいる。こういうスタイルは直ぐに飽きが来るのが欠点ではあるのだが、古典メタルを知りたい若い人にはとっつきやすい音楽性であろう。


SAMANTHA 7 - Samantha 7 ★★ (2020-08-30 19:21:03)

POISONのギターとして知られるC.Cデヴィルが立ち上げたパワーポップバンドの1st。時期がオリジナルPOISONと重なりゴチャゴチャとしていて、イマイチ印象に残っていないのですが、C.C自らがヴォーカルとギターも担当と意欲満載のアルバムだったことに変わりはなく、プロデューサーにジャック・ブレイズ、サポートにジョン・カロドナーの助力を受けスタートしていた。
パンキッシュな勢いすら感じさせるポップロック、その生々しいギターの音など、時代性を十分い見越しており、古めかしいオールディーズ風のサウンドに今のエッセンスを巧みに盛り込んでいる。こっち方面のオルタナサウンドには詳しくないので蘊蓄は語れないが、これぞアメリカなパワーポップ系が好きな方なら大いに楽しめる内容でしょう。
合い間に挟まれるバラードも効果的に機能、パワーポップちょっとうっとしいなぁと思い始めるくらいで顔を出すのが良かった。


COCOBAT - Cocobat Crunch ★★★ (2020-08-29 01:56:13)

一躍このバンドの名前をシーンに浸透させた記念すべき1st。既に世界中で起こる脱メタル、スラッシュメタル勢も当然、グルーヴィーな方向性に傾いていたが、このバンドの早い段階で、その空気を読んでいたかのような一筋縄ではいかぬ音楽性を披露。TAKE-SHITのブリンブリンのスラップベースと刻まれるギターの絡みは、このバンドの顔となりバンドサウンド牽引、勢いだけでない④のような曲でも、強烈なうねりが聴き手を心地よく麻痺させていく。
リリース時は、もっとストレートなものを好んでいたので、激ハマりとはいかなかったが、多様性を帯びたクロスオーバースタイルは、古さに埋没しない新鮮なアイデアを持ち込んでおり、今聴いても、その鮮度の高さに驚かされる。
厳密にジャンル分けするとメタルではないのかもしれないが、ザッカザカのブリブリと書いてある帯び叩きに、誇張無しと言える強烈なグルーブに魅入られますね。
久びりに聴きましたが、エエアルバムやなぁ。様式に捕らわれないが無理のない音楽性というのは説得力が違うわな。


KISS - Love Gun - Then She Kissed Me ★★ (2020-08-29 01:32:16)

女性ヴォーカルグループのクリスタルズが1963年にヒットさせた曲のカヴァー
そういう理由で古めかしい音色になっているのでしょうね
こういうのも有りなのがキッスの魅力なんだろう


KISS - Love Gun - Shock Me ★★★ (2020-08-29 01:28:16)

エースのペンによるロックナンバー
唄のエースが務めています
ギターソロも見せ場となっていますね


KISS - Love Gun - Got Love for Sale ★★★ (2020-08-29 01:25:16)

ジーン・シモンズがリードヴォーカル担当
いかにもキッスらしい荒々しい快活なロックナンバー
お得意のパターン化している曲でもある


KISS - Love Gun - I Stole Your Love ★★★ (2020-08-29 01:22:14)

荒々しいロックサウンドと絶妙なキャッチネスさがたまらん
ポールの艶のある歌声もハマりますね


ALCATRAZZ - Born Innocent - Polar Bear ★★★ (2020-08-28 23:26:03)

アルバムの2曲目だがオープニングナンバーと言えるインパクトがある
新生アルカトラスとしての矜持を守った一曲


220VOLT - Lethal Illusion - Sauron ★★★ (2020-08-24 13:00:26)

幻のシングル盤に収録のヘヴィなミドルナンバー
サウロンというタイトル通り禍々しいサウンドが耳を惹きます
メジャーデビュー以降というかアメリカでの成功を夢見てポップなスタイルに変貌した
姿しか知らない方は驚くでしょうね
オリジナルは1982年
彼等も古典から影響をたっぷりうけています
誰がなんと言おうともコレはドゥームメタルですよ


ANGEL SWORD - Rebels Beyond the Pale ★★★ (2020-08-24 12:50:47)

北欧はフィンランドから登場した若手4人組、彼らが奏でるはドライな音色がドライブする初期型NWOBHM、垢抜けない音色ともっさりとしたリズム、適度に湿り気を帯びたメロディ、たいした技巧などないバンドなのだが、ツインギター編成4人組が一体となり生み出す、この古典的な音色。だみ声ヴォーカルの嘘くささも更なる拍車を掛け、全体から醸し出される半地下サウンドに咽びます。
とにかく、シケシケのスカスカなサウンドメイクを作り上げたあたりは、完全に狙ったんだろうが、以外とキャッチーでポップなナンバーも挟んだりと、四畳半一間の青春メタルにならぬような工夫をしているも好感が持てる。好きモノにはたらないのだが、需要の狭い音楽性ではある。昔のNWOBHMが聴きたければ再発盤に手を出せば済むからだ。
しかし、このスタイルを継承するバンドがいなくては困るのも事実、NWOBHMは単なる事象にならず、特定のバンドだけをさすものでもない、あの時代に生まれた一つの音楽性と問うものならば、このバンドのスタイルは支持されるべき音楽性であろう。マニアご用達ではあるのだが、トラディショナルな音を今のテクノロジーで聴きたいという若い人たちにもトライして欲しい一品です。


Ultra-Violent - Crime for Revenge ★★★ (2020-08-23 18:27:32)

詳しいバイオはさっぱりだが、パンク/ハードコアシーンではカルト的な人気を誇るUKパンクスのシングル。激しい感情をぶつけてくるようなオープニングナンバーのカッコいいこと、パンク特有の荒涼とした荒くれ感と勢い重視の姿勢、その摩擦度の高さがグイグイと引っ張り畳みかけてくるからたまりません。2分にも満たないのは、メタルサイドとしては喰い足りない印象はあれど、これがパンクなんだと言われれば大いに納得です。ギャリギャリと下品に回転する3曲目の疾走感も、スピード狂なら大いに楽しめる仕様。狂暴性だけじゃないキャッチーさもあるのがパンクの強み。スカッといきたい時なんかにはちょうど良い尺でしょうね。


Hell Voice Hell Guitar - Memorable Songs ★★ (2020-08-23 18:12:19)

勉強不足で知りませんでした、下山兄貴と石原慎一郎によるロックデュオによる3枚目の作品になるらしい。なんとなく二人で小さいところを回っていたのは知っていましたが、アコギ一本でやっているんだろうなぁと決めつけ、手を出していなかったのですが、今作はハードなロックを日本語詞により伸び伸びと兄貴が歌い上げる仕様。やたらと生活臭が滲み出る歌詞の歌もあったりするのだが、シャイカーに兄貴が参加したような石原節満載のナンバーもあり、聴きごたえは十分。これでSLYのようなゴリゴリのメタルソングがあればなんて贅沢も言いたくなりますが、こういうカラフルな色の楽曲でも、兄貴の存在感はブリンとしており、二人の相性の良さと形に捕らわれない曲を作っているので無限の可能性の感じさせます。
温かみのある二人の生き様が詰まったロックアルバム。本格的すぎない遊びが満載だからイイんですよね。


下山 武徳 - The Power of Redemption ★★★ (2020-08-23 17:52:11)

ソロでは少々オッサン臭い匂いがする作品が多い下山兄貴。サーベルのような密度の濃いバンドで唄うのも良いが、もっとオーセンティックなサウンドにかぶりつく兄貴も見たいなぁという、ファンの期待に応えるかのようなソロアルバムをリリースしてくれました。日頃小さいところを一緒に回っている山本恭司に山下昌良や石原慎一郎、寺沢功一のベテラン組に、水野、磯田、本間の同郷ドラマー3人、恩讐を乗り越え共演機会も増えた島紀史。YUHKIとSYUのGALNERYUS組の合流にマッド大内も名を連ねる豪華ラインナップによる、ど派手なソロアルバムが2020年にリリースされました。ど真ん中のヘヴィメタルと向き合った兄貴、会心の一撃となるソロアルバム。待ってましたと心の底から思いましたね。

いい意味で肩の力を抜き、リラックスした歌唱スタイルを放り込み、その獅子なる雄叫びは北の大地を揺るがし、下山武徳ここにありと言わんばかりのハイパフォーマンスを披露。手練手管の寝業師たちの多彩な楽曲を、自分のものとし完璧に歌い上げています。この楽曲を引き連れソロライブと行きたいのでしょうが、今のご時世ではね(FLATBACKERのトリビュートバンドSOLIDBACKERもあったしなぁ)

豪華ラインナップを従え、自らの集大成のようなバラエティに富んだ楽曲を歌い上げた兄貴の剛柔兼ね備えた魂の歌声、サーベルよりも、伸び伸びと歌っている印象が強いのが因果ですかね。山本恭司作曲のバラードで占める展開に、あたしゃ胸が焦がれたねぇ。泣かされましたよ。本当に素晴らしい歌い手でした。このまま、ドメスティックな存在で終わらせるのは惜しい存在だよ。


Saki - The One ★★ (2020-08-18 14:38:59)

CYNTIAのフロントマンで知られるSAKI嬢のソロアルバム。プロデューサーに地獄カルテットなどで知られる7弦ギターの使い手小林信一の名もあり、メタル系のサウンドに落ち着くんだろうなぁと思ったら、期待を裏切らないバリエーション豊かな楽曲でおもてなし、CYNTIAファンなら大満足だろうし、浜田麻里系のメロディアスロック好きも大いに楽しめる仕様となっています。EDMなビートもビンビン出てきますが、今では当たり前の事でしょうね。
オジサンにはピンと来なくても若い人たちの好奇心をくすぐる遊びもあり、彼女の可能性をパッケージしていますね。それはバラード系なんかにも如実に表れていますが、唄が上手いだけではない表情を付け、SAKIというアーティストを披露しています。
本来、メタルを愛しているわけではない職業アーティストな彼女、それでもライブではサッパリなアニソン系の歌い手とは違う確かな実力の元、地に足のついたパフォーマンス力で聴き手を魅了していきます。
X-JAPAN以降の国産メタルやアニソン系が好きな人ならツボにはまる曲も多いでしょう。オジサンたちにはSHOW-YAのカヴァーがあるので、懐かしみましょう。


CROWLEY - Evil Bride ★★★ (2020-08-18 14:00:51)

遂に完全復活を遂げた名古屋産伝説のサタニックHM/HRバンド待望のフルアルバム。メンバー古久保の死を乗り越えてのリリースだけにファンにとっては胸に去来する思いを多々ありますが、今作はいい意味でグランジ以降のスタイルも取り込み、古さに埋没しない現役感満載のトラディショナルサウンドを披露。このバンドらしいサタニカルさも前面に出しているので、往年のファンは勿論だが、新規さんが聴いても安心できるクオリティを誇示。古くて新しい王道スタイルで見事に帰還しました。これで過去の遺産にすがらなくても活動できる基盤を作り上げましたね。
ナイトレンジャーのケリ・ケリーがソロで2曲、宇宙海賊のEITA嬢は楽曲提供&PVにも参加と復活作に華を添えてくれました。
オーセンティックなプレイではあるが、バンドに新鮮な風を送ってくれた新加入のKENTの存在も大きい。これを機にコンスタントに作品をリリースして欲しいですね。こうなると名古屋と言えばSNIPERの復活だなぁ。