SLADEと言えば、グラムロックの大御所であり、カヴァーされた「Cum On Feel the Noize」の原曲バンドくらいのイメージしかなかった。大人になり少し金回りも良くなった90年代の中頃、音楽シーンの変遷についていけず自分探しの旅に出てた。自らのルーツたる音楽を見直す、これは本当に大きな出来事であり、今の自分を形成するのに凄く役に立った。 ある意味、グランジムーブメントのおかげで、速い段階で覚醒への兆しを見つけれたので今となっては感謝している。 このバンドも、そんな時期に触れたベテラン集団の一つでしたが、これが底抜けに明るく楽しいだけじゃない、英国的な陰りとパンチの効いたパワーポップサウンドを聴かせており、何とも頼もしいと思わせる趣向を取っている。 バカっぽいビジュアルにだまされそうになるが、頭のいい人たちであり、腕のあるバンドだという事に気が付かされた。
バンドブームの波に押し込まれたジャパニーズハードシーン、その勢いはヴィジュアル系の登場で息の根を止められたが、解散&方向性にメスが入っきた大御所たちも離散集合を繰り返す中で、結成されたのがコチラ、44マグナムにリアクション、プレゼンス、メイクアップの4バンドから集合。特にメインソングライターを担当した44マグナムの吉川は曲作りの上手さに定評があり、彼が主軸のバンドとして活動するのであれば、どういう方向に向かうのか興味もありました。 2曲目のジョーン・ジェットがやった『I Love Rock N' Roll』をカヴァーしたりと、4曲の中にメッセージを込め、端的に魅力を詰め込んできた。 メロディアスでキャッチーなジャパニーズアメリカンロックの①はファンの間では大切な曲らしい、③は明るくアメリカンと、このバンドの本流となる一曲。そして直線的に迫るハードサウンドの④、これもワビサビを大切にした展開を持ち込み、ブアッーと突っ込んでくるだけではない。このバンドらしさを盛り込んでいる。 バンドブームに刃を立てたベテラン組の逆襲、彼等はその先陣を切っていった。
NIGHT RANGERのギタリストとして有名なブラッド・ギルズが多くの仲間を迎えリリースされたソロアルバム。歌モノは2曲、いずれもグレッグ・オールマンが担当するという贅沢な仕様、キーボードにディレク・シュリニアンも参加、半数以上の曲でブラッドと共作と、興味を引く情報も多く、その期待にそうような勢いのある作風に仕上げている作品。
分裂したSAXON、SAXONと名乗る前のバンド名Son of a Bitchを使用してグラハム・オリバーとスティーブ・ドーソンは活動していた。なんだかんだ揉めた挙句、このクレジットに落ち着きリリースされたライブアルバム。 シンガーにジョン・ワードを、ドラマーは懐かしいナイジェル・ダーラムとシンガー以外はSon of a Bitchという構成。半数以上の曲がSAXONということもありバッタもん感も漂いますが、半分はSAXONであり、ギターのハイドン・コンウェイも同じNWOBHMファイターときていますからね、昨今のパワーメタル化したサクソンよりも、昔の雰囲気が出ており全体の流れは悪くない。 ロニー・アトキンス風のハスキーなパワーヴォイスもハマり、本家とは、また違った味わいがあり、これはこれでありと思わせる熱の籠ったライブ盤である。 とはいいつつも元の揉めた経緯などを考えると、微妙ではあるのだが、バイカーズSAXONが聴きたいならコチラの方がらしいかもしれません。 妙な先入観を捨て、半分SAXONによるらしいプレイを楽しんでもらいたい。
MICHAEL SCHENKER GROUP名義で久しぶりにリリースされたフルアルバム。正直、参加メンバーの重複もあったりと、似たようなクレジットのプロジェクトが多すぎて困惑するのだが、今回はラフル・シーパースのような新顔を加わり、久しぶりの金看板名義に華を添えている。 新旧入り混じったマイケル節、哀愁を帯びた叙情的なフレーズをダークなカラーでまぶし、今まで以上に強度のある骨太なサウンドを構築している。勿論、マイケルらしい情緒はたっぷりとあるし、彼に求めるものをしっかりと理解し忠実に再現していると感じる。それだけに、ややこしい名義が気になるのだが、いずれにしろマイケルの美学は貫かれており、意表を突くラルフ・シーパースの参加した①を筆頭とするパワフルさの増量と、従来のスタイルと言える儚くも美しいマイケルの芸術性が見事にリンク、その華々しい天賦の才が満開に花開いていると言えよう。 古くて新しいマイケルサウンドの復活。なんちゃら○○周年的な売り方だけではないと思いたいほどの充実感はある。