売れたのは、ナーナナナナーのコーラスが良くも悪くも印象的なI'm On To Youのシングル効果&1988年という時代背景がある前作だが、欧米では、今作の方が支持されているというのが皮肉だ。確かに日本人は大陸的なグルーブよりも、情緒のあるメロディを好むので、⑦みたいな曲は単調に聞こえるのだが、⑨以降も手を替え品を替えアメリカンなサウンドと展開している。
2008年にリメイクベストをリリースした彼ら、今回は新曲3+リメイク2曲の5曲入EPをリリース。限定500枚というリリースだったので、今や入手困難な一枚なのだが2018年リリースのThe Definitive Part Twoという企画アルバムに丸々収録されることで容易に視聴できることとなりました。ありがたい話ですよ。サブスク生活の方ならば簡単にチェックです。
特にシンガーのデイブ・ヒルが醸し出す、塩っ辛いオッサン声、これは女子受けしない。そんな玄人好みのサウンドはマニア御用達とるのだが、新たなる聖典と呼べる傑作をリリース。Taking the World by Stormのようなメロディックメタルではなく、もっと古典に根ざしたサウンドを披露。自らのルーツと呼べるような作風、ジョン・ロード風味のオルガンを生かし、Magnumやヒープのような味わい深きロックサウンドを踏襲、そのメロセンスを存分に生かし、老獪なテクニックで見事ストーリーテラーを勤め上げたデイブ・ヒルはバンドの顔として、近年の作風の中でも特にインパクトを残してくれた。
こういう音を評価するのは難しい、ある意味お約束だし、メタルとしてはパンチが弱い。スピードで勝負する分けでもないが、日頃J-POPを聴いている人を振り向かせられる程、敷居は低くない。 インテリジェンスな部分もある、だからお気楽にノリノリで楽しめる分けではない。また本気のAORファンにとっては音がデカすぎる。 彼らのターゲットは狭い、それだけに苦難の連続だろう。だからこそ日本のメディアが手を差し伸べたのだろうが、リードシンガー問題で苦労は絶えなかった。決定的だったのは、人気も絶頂だった頃、ゲイリー・バーテンを迎えアルバムと2枚組のライブ音源&映像を世に出したのがピーク。 ゲイリー・バーテンはルックス的にも華はないし、過去最弱の歌い手だ。まぁMSG人気で売れたと言われているが中古市場では拾いきれないくらい流通している。 傑作の多いバンドだ。個人的にはA Cry For The New Worldはメロディックメタルの歴史に刻まれるだろうし、ソングライティング力が爆発したForever In Timeなど、彼らの威光を世に伝える名盤だろう。 そして今作も、その名盤に名を連ねるのだが、若い人を振り向かせられるインパクトは残っていないだろう。
HIGH ROLLER RECORDSが絡んでいるのだから外すわけがないのだが、ここまでドンピシャの音を作り上げるとは驚きだ。ある意味、もっとも1stの世界観に近いアルバムを作り上げたのかも知れない。そのクオリティの高さは全時代を総括するものであり、メロディありパワーあり、疾走ありとメタルを愛するものにはとっては必要不可欠な要素を端的に盛り込んだ作風は、とても親しみやすいものとなるだろう。今年はクラシックメタルの世界にとっては豊作だ。
それにしても、こういう音をやるバンドがメジャー流通でリリースされるドイツの環境が本当に羨ましい。日本が見捨てた音楽を拾い展開するお国柄と豊かな経済力。もはや観光立国として東南アジアレベルの扱いをうける日本。 そりゃ、サブラベルズをKEEP IT TUREが招聘するよね。日本じゃありえない座組だもん。羨ましいわ。
アメリカンロック系のマニアにとっては激レアなアイテムとして知られている幻の一品らしい、Heaven and Hell Recordsからデジタル配信&CD化、めでたくデビュー作にて唯一のフルアルバムが世に出ました。ちなみにCDには幻のデモ音源、そしてセカンドアルバム用の楽曲が用意されています。この激レア感にマニアは歓喜ですが、現在は入手困難な一品。BamdCanpでも配信を停止しているので、視聴するのは難しい状況のようですね。 こういう80年代のL.Aシーンに近しい音源をリアルタイムで楽しんでいたマニアにはたまらん内容です。
所謂L.Aメタル界隈から出てきたバンド。オリジナル盤は1986年リリースの5曲入。最近ポルトガルのレーベルから全身のSexist時代のデモをくっつけて再発されたバンド。ちなみに2020年代に入り作品をリリースしているが、当時とは違うスタイルで勝負しているので、興味のある方は配信盤でも視聴してください。コッチをやって欲しかったんですけどね。Sexist時代はジェイク・E・リーがいたとこか、ギルビー・クラークがベース弾いていたとか、集合離散を繰り返すうつろいでいる当時のシーンを垣間見ますね。 プロデューサーをドン・ドン・ドッケンに頼むもあえなく断られるが、コーラスで参加したとクレジットあり。そんなこんなで、作品の方はというと、オープニングナンバーでバラードタイプから始まるという変化球を投じるも、このバンドは、そういうメロディとコーラスを大切にした音楽性を示唆しており、賑やかなパーティーロックや、毒気満載の淫靡で猥雑なロックサウンドとは違う、叙情的なメロディを大切にした音楽性を構築。 なるほどドン・ドッケンにプロデューサーを依頼した意味も分かりますね。歌い手も甘めの歌声でシットリとメロディを追いかけてくれるので世界観を壊しません。後半のSexistはもっとハードに迫っているので、前半と後半をミックスしたらVinnie Vincent Invasionみたいな音楽性になるので、彼らがもしレコード会社と契約を結び正式な音源を世に残していたら、日本人好みのメロディアスなアメリカンハードを聴かせてくれそうだったので、正式なデビューに至らなかったのは残念ですね。
今作には、そんな若いアイドル出身の歌手が、男らしさを前に出しロック風味のある楽曲を熱唱。後半は外国人アーティストのカヴァーソングとなります、⑥はショーケンがいたテンプターズもヒットさせたThe Grass RootsのLet's Live for Today、松田優作が出てきそうな雰囲気がありますよね。歌詞の世界観は共に原曲とは違いますよね。
原曲とはだいぶイメージが違う⑧David McWilliams のDays Of Pearly Spencerって日本で売れたんですか?この選曲は凄いですよね。マニアックです。もはや原曲です。ダン池田が指揮する姿が見えますよ。強引な昭和歌謡ナンバーになるも影山の歌声と曲調はマッチしている。20代前半のアイドルとしては大人過ぎる曲調ですよね。
I'm not in love と聴けばイメージするのは10ccですよ。影山がその名曲を手掛けるしかも日本語歌詞でね。オリジナルのように繊細なパートを大切にしていますが、オリジナルのイメージが強すぎるので、微妙な感じもしますが、そういうことを知らないで聴けば良いクロージングソングです。歌詞はだいぶイメージが違うな。
PRETTY BOY FLOYDってアメリカのバンドがあるので、混同しますよ。こんなに見事にかぶることがあるのでしょうか、こちらはカナダを拠点して活動するバンドの1st。前年に同じタイトルのEPを出しているのですが、なぜこのバンド名なのか?それはシンガーのTommy Floydからきてると思うんですけどね。
結成から3年遂にリリースされた待望のフルアルバム。ソウルフルな歌声で魅了する高谷学の確かな歌声、古めかしい鍵盤楽器も懐かしい音色を奏で、このハートフルなサウンドを紡ぐ。その根幹はギターでありメインソングライターの中村達也のセンスによるものだが、バンド名由来するWHITESNAKE風味もあるが、それ以上にハードでダイナミックなサウンドは、渋さと相反する攻撃性を秘めており、そのバランス感覚が絶妙である。スケールの大きい風格漂う①で始まり、活きのいい②。そしてエモーショナルな③というタイプの違う楽曲を続けることで、このバンドが様式美系でもネオクラ系でもない、何よりBACK TO 70年代でもない、現在進行形の古典ロックバンドであることを印象づけた。ライブでも人気があり、このバンドの名をマニアに浸透させた⑤、そしてエモーショナルなハードサウンドを信条とするバンドとしては真骨頂とも言える⑧と、既にバンドとしての狙いは定まっていた。
バックメンバーを刷新してリリースされたアルバム。あどけなさが払拭されつつあるシエル伊舎堂の歌声も、天使のさえずりの如き清らかな美しさと、ロックシンガー然とした歪みも加わり今まで以上にフロントマンとしての風格が漂い、このバンドの顔として存在感を強めている。RAINBOW過ぎるGates of Hellみたいな曲でも違和感がなくなったのは成長力の高さを評価出来るだろう。
そういう流れがあったとは言え、今作までのインターバルの短さに驚いたが、蓋を開けると内情はMirrorsからRevolution By Nightのアウトトラックを収録したというお話。なるほど、シーンに埋もれ亡霊と化した楽曲を蘇らせる、それは、彼らの足跡を知らしめる一因でもある、そういう意味で見るとアルバムタイトル、GHOST STORIESの味も変ってくるのだが、正直、先行公開された曲から発せられた、当時のパッケージを封じ込め現代に蘇らせた手法、その古めかしいサウンドに驚いていたのだが、前作ほどのインパクトは残していない。これはアウトテイク集だからという事前情報がなくとも、強力なキラーチェーンが散見出来ないなぁと感じるだろう。
勿論、BOC名義に恥じない内容だ。何ならアルバード・ブーチャードのお蔵入していたソロを担ぎ出した過去もあるから、こういうウルトラC的なアルバムを作っても驚きは少ない。しかし、これで有終の美を飾ることが出来たかと言われると微妙だろう。 でも、良い曲はある。かつてもやったMC5のKick Out The Jamsのクールなカヴァー。 BOC風味満点、これがアウトテイクなのかと信じられない気持ちにさせてくれたキャッチーでクールなDon’t Come Running To Me。ロマンティックなThe Only Thing。地味だが癖になるオープニングナンバーのLate Night Street Fight。このバンドらしい浮遊感のあるメロディが耳を惹くSo Supernaturalなど、要所にらしい曲を放り込み成立させている。 前後の曲との組み立ても味があり、アルバム単位で楽しめるのだが、やはりファーストインパクトで勝負できるアルバムでは無い。