チョコチョコと先行配信を行っていたトーベン・シュミット率いるデンマークのメロディックメタルバンドによる復活作。正直、名盤『hungry for a game』みたいな路線では無いなと言うのは先行配信で聴いていたので驚きはないが、70年代的なグルーブ強めの曲調に甘い旋律を絡める仕事ぶりは流石はトーベン・シュミット。単なる回顧録的な復活ではなく現在の姿で再度降臨と行ったところなのだろう、もう少し叙情味が欲しいというファンもいるだろうが、個人的にはトーベン・シュミットの声が随分と枯れた味わいが増え、熟成されすぎた感はあるのだが、彼のヴィンテージヴォイスとグルーブ強めのAORサウンドの相性は悪くない、むしろ声質に合わせたと言えるのだが、それに聴きすすめる打ちに、このバンド特有の北欧的なフックのある冷ややかなメロディに、人肌を吹き込むトーベン節にグッと引き寄せられます。 往年のスタイルに固執すると、こうなったかと思う人もいるでしょうが、個人的にはこれはこれで大ありです。気になるのはトーベン・シュミットの衰えくらいですが、中盤くらいから慣れましたね。慣れさせるくらい良質な楽曲とメロディがあるというのがポイントです。今作を機に聴いたことのないBIG TIMEにも手を出そうと思いますね。 ギタリストの枯れた味わいのギターもイイねぇ。今作の古典的なサウンドには適しています。派手さや分かりやすさではない滋味深い味わいで勝負してきた復活作は等身大の魅力で詰まっていますよ。
SLADEと言えば、グラムロックの大御所であり、カヴァーされた「Cum On Feel the Noize」の原曲バンドくらいのイメージしかなかった。大人になり少し金回りも良くなった90年代の中頃、音楽シーンの変遷についていけず自分探しの旅に出てた。自らのルーツたる音楽を見直す、これは本当に大きな出来事であり、今の自分を形成するのに凄く役に立った。 ある意味、グランジムーブメントのおかげで、速い段階で覚醒への兆しを見つけれたので今となっては感謝している。 このバンドも、そんな時期に触れたベテラン集団の一つでしたが、これが底抜けに明るく楽しいだけじゃない、英国的な陰りとパンチの効いたパワーポップサウンドを聴かせており、何とも頼もしいと思わせる趣向を取っている。 バカっぽいビジュアルにだまされそうになるが、頭のいい人たちであり、腕のあるバンドだという事に気が付かされた。
ブラジル出身、5人組のメロディアスなサウンドを軸とした硬派なツインギターバンド。少々フラット気味の荒れた声質のシンガーがこの手のメロディアスHM/HRサウンドに合っているかは好みの問題でしょうが、ツインギターが奏でるフックに富んだ芳醇なメロディの数々に癒されるでしょう。ブラジルからこの手のサウンドが出てくるとは、ラテンだけじゃないぞという大きな気概を感じますね。派手目のギターにビックドラムとなつかしい80年代風のサウンドとコーラスハーモニーの壮麗さ、音質はイマイチですが、そんな事なんて気にならないくらい楽曲の粒が揃っています、⑤⑩といったバラードナンバーに④⑨といった硬派な80年代風のメタルナンバーなんかを聞かされると一昔前のジャパメタ風の味わいなんかもあり剛柔バランスよくバラエティに富んだ楽曲を収録、ラストにはDEMONの"Night Of The Demon"をカヴァーしたりと彼らの音楽性が明確に示されているように感じます。南米の血がそうさせるのか湿り気よりも爽快感、弾けるポップセンスも絶妙な楽曲に懐かしい時代を感じずにはいられませんね。