2007年にはラウドパークにも参戦し来日を果たした英国が誇るベテランバンド。けして順風満帆とはいえない苦しい時代を味わいながらもコンスタントにアルバムをリリース、偶然今作を聞いたのですが衝撃は凄かった。時代に即した男前のハードなサウンドを披露NWOBHM云々などどうでも良いくらいにカッコいいです。80年代、90年代と商業的な世界の中でもがき、たどり着いた音に何のブレもなくただただ感服あるのみ、伝統とテクノロジーの融合、らしさを失わない骨太な音が耳元を抉ります。円熟味を増したビフ・バイフォードの歌声も素晴らしいしアレンジ演奏と流石である。2枚組みの過去のリメイクも良いがクリムゾンの名曲をカヴァーした本編こそが僕には襟を正して聞くべき名盤である。『Unleashed The Beast』以降のやり過ぎ感もなく非常にバランスの取れた逸品ですね。サクソンは無駄に走らない方がサクソンらしい往年のスタイルを好む方なら尚更の事でしょう。アメリカンだろうがなんだろうがヘヴィなら時代に擦り寄っても良いって事はありえないので
まずは時代を見据えた一枚ですよね。従来の勢いを維持しつつもメジャー感のあるスケールの大きな作風へとシフトチェンジ、緊張感のある威厳に満ちた貫禄の一枚へと仕上げていますね。流石はNWOBHMシーンを牽引してきたバンドだけの事はありますね。疾走感の哀愁のメロディが更に進化した①からして気合いが漲っています。似たようなメロディラインを行ったり来たりするだけの歌メロなんだけど、不思議なくらいメロディアスに感じ似て非なる曲を作るのが本当に上手い、このあたりに僕は熟成されたバンドの風格を感じずにはいられません。④のような曲を上手に料理するんだから初期の頃とは違う面を巧みに見せていますね。同じ場所に踏みとどまりチマチマとしない彼らの気概に大きなロック精神を感じます。でも「THE EAGLE HAS LANDED」のあとに聴かされると違和感がないとも言いません。メジャー感の増した彼らの意欲作、個人的には緊張感溢れる名盤だと思います。
アメリカ市場を意識しすぎた歌中心のキャッチネス路線と距離を置き、まだまだアメリカンな風合いを根強く残っていますが、従来のリフワークが復活してきた1986年リリースのアルバム。②なんてモロにあの空気を感じまよね。とは言え⑦⑩ではピアノでエルトン・ジョンが参加するなど違和感もあり微妙な空気が流れます。ビフの平坦な歌い回しも独特のメロディラインが印象度を高めるキャッチーな③なんかもあざとさが薄れ、やる必要のない路線かもしれませんが安定感のある演奏とアレンジは流石だなぁと感心させられます。疾走感やハイカーズサウンドとは異なるノリに違和感を持たれ中途半端な作品として人気も薄いようですが、個人的には大人になった深みのあるサウンドは実に心地良いんですけどね。SAXONはアルバムの枚数が多いので、流石にこれから聴けとは言いませんが小手先の技で逃ないベテランならではの醍醐味を感じますね。らしさとアメリカ市場を意識した今作、メロディアスに舵を切った「DESTINY」とアメリカンナイズされすぎた前作「INNOCENCE IS NO EXCUSE」との間をいったような一枚ですね。ちなみに僕が持っているのはボートラ8曲入りの音質は格段に良くなったヴァージョンなんで余計にそう感じるのかもしれません。
ちなみに今作にはデジパック仕様の2枚組とデカイポストカートにTシャツとLive In HaalemのCDがついた3枚組があります。僕がもっているのは3枚組みなのですが、この2枚目が熱い。一部のマニアにはいまだに認められてもらえない「Crusader」から2曲リメイク。ブルージーな「Just Let Me Rock」に「Crusader」はストリングスを大胆に導入した新生ヴァージョン。「Solid Ball of Rock」収録の「Requiem (We Will Remember) 」はアコギヴァージョンで生まれ変わり、同じく1st収録の「Frozen Rainbow」、そして「Forever Free」の現ラインナップによりセルフカヴァーと興味深い楽曲が収録されています。
アルバム『Sacrifice』に伴うツアーの模様を収めたライブアルバム。MCもカットされずソロパートもあるために完全実況盤としての様相を呈しているがバイオは分からないで割愛させてください。 彼らがセント・ジョージの日を大切にしているのはファンなら周知の事実ですが、その日にマンチェスターで行われた音源というのもファン心理をくすぐりますよね。 アルバムは比較的ヘヴィで武骨なパワーメタル色が強かったのですが、ライブではサクソンらしいブライトな音質に変換されており、良い意味で古い曲と混ざり合っても違和感がない、むしろ昔のヒット曲とならんでも違和感のない仕様になっているのだが、2014年に、ここまで現役感の強いスタイルを保持している事に驚かされる。老いては益益壮んなるべし、このバンドに陰りはみえない。 活きのいいステージと同じくらい貫禄を出しているのだが、その深みが増した旧来の楽曲における、いぶし銀のプレイの数々にニヤリとさせられますね。中盤は腰の据えたミドルナンバーが多いのですが、後半は畳みかけるように代表曲を連発、その中に新作から『Stand Up And Fight』が混じっても違和感を抱かせない統一感にこそ、サクソンが変わらずに自分たちの音楽を研磨してきた事を知らしめます。日本以外の国と言うか、日本でも一部の熱狂的なメディア信者の影響のみで語られるアメリカンナイズドSAXON時代の名曲も、このアルバムでは映えまくり、『Power and the Glory』『Broken Heroes』『Crusader』などは、ライブでも重要なレパートリーとして機能、彼らがどれくらい多くのロックアンセムを所持しているか知るでしょう。 新旧の魅力を違和感なく伝えた渾身のライブアルバム。このバンド、スタジオ作に負けないくらいライブアルバムを出しているのだが、どれから手にして良いか悩むでしょうね。特に若い人は大変かと思います。とりあえずサクソンは何時の時代もタテノリの曲をヨコノリではやっていませんので、安心してどの時代からでもチャレンジしてください。