シャープな音像がグイグイと迫ってきますね、自分達のスタイルを確立しつつある作風が耳を惹きます④等を聴くと名盤「DEATH OR GLORY」路線も感じ実に興味深い印象を持ちました。パワフルに疾走する②もカッコいいし全般におけるメロディへの拘りはドイツ産らしい泣きを散りばめたギターソロ等を聴けばわかりますね。ガッツィーなパワーメタルナンバー⑦や疾走ナンバーの⑤あたりも耳を惹くでしょう、音質も良くないしロルフ船長の下手な歌声が足を引っ張りますが勇壮な剛直メタルバンドの航海前夜作と思い聞き込むと面白いですよ。
DEATH OR GLORYと言う言葉を核にコンセプトアルバム的なニュアンスの強く、メッセージ性の強い歌詞が勇猛なロックン・ロルフ節に乗り迫って来る様がなんともカッコよくともすれば一本気なパワーメタル一色な仕上がりも今作に限ってはリフ、メロディ、展開と今までの彼らが築き上げてきた世界感も高次元昇華し練り上げたアレンジが耳を惹く渾身に力作と呼ぶに相応しい内容を誇っています。オープニングのギターリフを聴いた時にこれはやるなぁって予感がしましたね、ジャーマンならではの頑固な世界観にやや抵抗がなくもないが、今作は海賊メタルバンドの豪快さと彼等なりの緻密なアレンジが見事に合致した名盤である
1992年リリースの「PILE OF SKULLS」以降の作品を聴いたことがなく、RWの新譜を20年ぶりに触れる事になります。欧州圏におけるトラディショナルなメタルの復権も盛んに行われていると言う情報を羨ましく思い、その状況を憧憬する気持ちから今作を手にしたのですが僕の知っているメロディアスなパワーメタルサウンドを軸に独特の疾走感とリズムプレイが信条だった彼らとは違う面を垣間見る事の出来る今作を聞いていい意味での変貌ぶりに驚きましたね。ともすれば単調なリフワークとリズム、声域の狭さとガナリ立てる歌声に聴いていて少々疲れも出るのですが、従来のロルフ節も巧みに散りばめつつもバラエティに富んだ楽曲を収録することや歌メロの充実が以前に感じさせていたマイナスな面を押さえ込み、さらには正統派メタルバンドが陥りやすい個性の埋没を防ぎ新鮮でありながらも実に堂に入った正統的なメタルサウンドを披露、再度メタルの世界へ航海に出たロルフ船長の気概に大いに感嘆させられました。コンパクトにまとめ上げられた多様性を帯びたロルフ節を堪能して欲しいですね、肩の力を抜いたガリガリゴリゴリと走りまくるだけではないキャッチーでメロディアスな彼らの魅力に改めて惚れ直しました。
1980年の初頭から活動をしていたデンマークの三人組によるシングルとデモをカップリングして2010年にめでたくCD化されリリースされた一枚(ラスト3曲はLIVE)。元が1987年制作時のものなので、その当時のHM/HRが好きな方らな興味も持って頂ける一品かと思います。僕はジャケット買いもするが、別に酷くとも気にならないタイプです、でもこの人間の肉片を喰らうタコ将軍、ふぞろいな妖怪人間ジャケには、流石に肝を引きましたがマニアなら行きますよね。北欧風「Lady of mars」と呼ばれる①に始まりリッチー直系と言うか北欧風様式美ナンバーの②流れる展開に掴みはOK、NWOBHMの香りも漂うメロデイックで男前な④⑤、フックに富んだ豊潤なメロディはまさに北欧風と素晴らしい出来栄えに心も踊り、バラード⑥ではしっとりとアコースティカルかつフォーキーな調べで泣かせ、ハードさとメロウさが絶妙なミドルナンバー⑦ドライブする⑧とバランス良く流れて行く様は聴き心地も良く、音質は良くないが、ジャケほどの酷さもなく概ね楽しんでもらえるでしょうね。アラを探すと気になる事もあるのが、この手の作品にはあるのは事実。細かい事は気にせずにワカチコ♪ワカチコ♪楽しんでもらえると、この甘いフレーズや歌メロに北欧のバンドらしさは存分に堪能出来るし、ギターオリエンテッドな作風は実にハードだ。またNWOBHMからの影響もあるしクラシカルなあのテイストもルーツとしており、親しみやすいメロディは日本人の琴線を震わす事が出来るでしょう。良く聴くと能天気な③も結構お気に入りだなぁ。
ハワイはホノルル出身のバンドです。ギタリストは後にMarty Friedman率いるハワイに参加する Tom Azevedoさんが籍を置いている事でも知られていますね。陽気な観光地のイメージとはかけ離れた湿度も高めのUS産パワーメタルサウンドを披露、デモ音源の板起しにLIVE音源6曲をボーナスに加え2007年にCD化、当然音質など期待できませんが、貴重なコレクターアイテムの商品化にニヤニヤと笑いもこぼれたものです。色気はなくとも鋼鉄愛に満ち満ちた剛毅な一枚、冷静になると可もなく不可もない類型的な楽曲のオンパレードに何を聴くねんとなるのですが、ある意味NWOBHMに対するアメリカ的な解釈が加えられドタバタとしたリズムも懐かしいメタルバブル前の1983年に世に出た作品だけに、商売っ気も少ない剛毅なスタイルを貫く姿に目頭も熱くなり、一年に一回は聴きたくなる一品ですね。
猟奇的カルト作品を世に送り出し色んな意味でマニア泣かせと言わしめる「Cult Metal Classics Records」からリリースされた、マサチューセッツ州出身ツインギター編成によるキーボード込みの6人組からなるタイトル通り幻のコンピレーション作。US産とはおおよそ思えない叙情的かつ抑揚をつけたメロディ、ファルセットを織り交ぜ、濃厚な歌い回しを魅せるEd Snow の圧巻のパフォーマンスを支える楽曲群のエピカルな響き、その幾重にも折り重なる濃密な世界観はエピカルなHM/HRを愛する方にはたまらんものがあるでしょう。様式美然としたスタイルに重きを置きつつも独特のアングラ臭も漂い、その世界観をより強固にするのは前出したEd Snowの唄もさることながらKeyのChrist St. Pierreによる壮麗なる鍵盤プレイの数々には息を呑むほどの美しい響きもあり、シンプルなリフワーク基調とする中で猛烈なインパクトを与えてくれるでしょう。あくまでも叙情的なメロディを刻む阿吽の呼吸から生まれる鋭利なリードギターを擁するツインギターの華麗なる響き、スピードを押さえ重量感のある世界観を貫くあまり安定感はあるものの、ややキャッチネスさに欠ける面が、この手のサウンドを敬遠される要素のなるのでしょうが、圧巻のパフォーマンスに支えられた楽曲はどれも魅力的だし、聴きこむほどに壮大なイメージを抱かせる練り上げられたアイデアには惹きつけるものがあるかと思います。今作は1991~1993年にレコーディングされたマテリアルと1989年リリースのEPからなるコンピレーション作なのですが、1991年にリリースされた1stも含めカセットのみのリリースしかしておらず、元が自主制作にも程があるような作品。当時のアメリカンマーケットにおいて、このような作風が当然支持されるとも思えず、また今日においても、けっして新しい音ではありませんが、時代性を飲み込むほどの純粋なエピックメタルとしての手法に基づき勇猛なる世界観を表現しております。それにしれも、このような幻の一品を世に蘇らせたギリシャの「Cult Metal Classics Records」には頭が下がりますね。有名無名に関らず、まだまだ埋もれた名作はありますなぁ。輸入盤市場に対する興味は永遠に尽きんね。
レイカという女性シンガーをデビューさせたかったのか、福村BabaChan高志を中心とした京都人脈と言われる、ほぼほぼRajasだしX-Rayなメンバーが揃いレコーディングを敢行。楽曲提供まで行い完全バックアップ体制をとっての新人としては豪華なラインナップによる1992年作のデビューミニアルバム。手練手管のメンツからなる魅力はハードポップスタイルのオープニングナンバー『Return to Your Town』から見事に炸裂。適度なエッジを伴ったハードギターとソフトな装飾を纏うキーボード、良く歌うベースと福村のドラミングの相性は抜群の相乗効果を生みだし、歌を邪魔しない手応えのあるハードサウンドで勝負を掛けてきています。演歌にも通ずる和のテイストが出過ぎるが故の古臭さやに時代性を思いっきり感じますが、やはりレイカ嬢のパフォーマンスが聴き手の判断基準となるでしょうね。硬い歌い回しと余裕のなさ、そのヤラされている感に歌唱力不足という面を強く感じてしまい、せっかくのバンドサウンドの魅力を削いでいるなぁと感じてしまいますね。 楽曲提供にコーラスなどでも参加している藤本朗が歌えばエエんじゃないかとも思いますが、それじゃ昔のメンツだし、やはり女性を前に出して売りにいったのかなぁと感じずにはいられません。そういう先入観がマイナスな方向に向いてしまうのですが、余計な事に囚われずに聴くと、違う景色も見えてくるので、女性シンガーによるハードサウンドが大好物な方なら楽しんでもらえるでしょうね。 福村、オズマこと臼井考文、藤本らが提供した楽曲はどれも日本人らしいメロディに彩られたハードサウンドですので、ビーイング系のハードポップマニアが聴いても存分に楽しめるでしょう。打ち込みじゃないんですけどね。にしてもなぁ、ストライクゾーンの甘さがなぁ。我が身を恨むよ。
DISC2 1.Rock City 2.49er 3.Swords And Tequila 4.Overdrive 5.No Lies 6.Tokyo Rose 7.Warrior 8.Dont Hold Back 9.White Rock 10.Outlaw 11.Road Racing 12.Altar Of The King