VADERのギタリスト、ピーターことPiotr Wiwczarekが2006年に立ち上げたサイドプロジェクトの6曲入りのEP(2曲カヴァーだがJPのRiding on the Windはクレジットされているも実際は収録されていないという商品)。ポーランド出身のミュージシャンが脇を固めるのだが、これが熱い。もう一人のギターは、後にVADERで共に活動するSPIDERことMarek Pająk、シンガーにポーランドの重鎮、TURBOやCETIで活躍したGrzegorz Kupczykを招聘、ベースはMr.Xと表記され謎だが、ドラマーはポーランドのデスメタルDecapitatedで叩いている、若手のVitekことWitold Kiełtykaという布陣は、名実ともに魅力に溢れるメンバーとなった。
ズンズンとへヴィなリフが刻まれる表題曲へと流れ、ロックンロールな『Feel My X』へと進む展開は、明らかにVADERとの差別化を図っており、サイドプロジェクトのしての意味合いを強くアピールする事に成功。インストナンバーから、最後はThe Rolling StonesのカヴァーPaint It Black(オリジナルをリスペクトする忠実なるカヴァー)と流れ幕が閉じます。 音楽性に大きな裏切りやがない分、VADERファンにとっては、普通の事をやったにすぎない為に面白味は少ないだろう、しかし、これも主役たるピーターのバックボーンとして受け止めて頂ければ大いに楽しめるでしょう。擦れ合うメタリックな音色は十分に攻撃的ですよ。こうして真っ向勝負のメタルを叩きつけてきたバンドにとって、スパイダーの存在感もさることながら、若いドラマーの活きのいいドラミングがバンドサウンドを後方支援、ガンガンと突きあげる事で攻撃性も増している。そして歴戦の兵である、Grzegorz Kupczykの堂に入った歌声が、より高みに導いているのが印象的でした。
紆余曲折を経て2014年に再々結成を果たした老舗のアメリカンHM/HRバンドが2016年にリリースした3rd。フロイド・ローズは参加してませんが、ジョナサン、リック、エヴァンの3人の名前がある事が重要ですかね。ジョナサンの歌声が随分とビフ・バイフォードになっていて『The Right Way』みたいなタテノリナンバーを聴いていると昔のSAXONに聞こえるくらいの激似ぶりに驚きますが、音楽性も1st、2ndともまた違った豪快なロックサウンドを披露、思想の強い一部のマニアから完全に嫌われているSAXONの『Power & the Glory』『Crusader』あたりのアメリカンマーケットを意識した親しみやすさと、小気味よいノリが気持ちよくなり響いております。押しの強いギターサウンドも随分と古い暖簾を掲げているが、Frontiers Recordsの手によって復帰したのがなんとも感慨深いですね。