2002年リリースの力作です、前作同様時代を見据え独自のスタイルを貫くパワフルかつヘヴィなメタルサウンドを披露、ベテランバンドここにありと40を過ぎても豪腕でならした広島東洋カープ大野豊のように実に堂に入った演奏を轟かせてくれます、大人気ないほどにけたたましい無骨なスタイルに拝命した元祖パワー/スピードメタルバンドの金看板を守り通しています。大野のような七色の変化球は持ち合わせていませんが晩節を汚すことのない実直な姿勢を見せてくれたことはファンにとっては賞賛に値しますね。映画で話題になっただけに今の彼らの認知度はどの程度なのでしょうか?2000年代の作品としてはJuggernaut of Justiceと双璧をなす名盤ですね、やはり胸を焦がすのは畳み掛ける重量感を伴った疾走ナンバーの数々でしたが、ミドルナンバーのキレも悪いはずがなく、ロブライナーのドラムを健在、ダークな質感と弾けるパワー、シンプルだがカッコいいギターリフ、洗練度などクソ食らえ、ダサカッコいいアンヴィルサウンドに尊敬の念すら抱かせます。へヴィメタルを愛するベテランバンドが激動の人生と共に歩む姿を映し出す名作だと思います
どうしてこんなに魅力的なバンドなのに絶望的なほど知名度が得られなかったのだ?と思わせるバンドは数あれど、このバンドほど作品のクオリティと知名度がかけ離れたバンドのいないでしょう。 Music for Nationsの今は亡きUNDER ONE FLAGからもリリースされたスイス産のスラッシュメタル。個人的にも彼らを知ったのは遅く、2000年に入ってからである。このクオリティなのに仲間内からもこぼれていた事に痛恨の極みを感じるのだが、クールなインストナンバーも知的エッセンスを漂わせ、剛毅なパワフルさやスピード勝負でないことを裏付けているのも見逃せません。良く動き回るリズムは変拍子もバシバシ決め、躍動感がある。歌い手も方向タイプではなくしっかりと歌い込めるタイプだけに、正統派ファンも難なく手にすることが出来るでしょう。NWOBHMからの流れを的確に継承したメタリカスタイルではあるが、随所で感じさせる叙情テイストと親しみやすいキャッチーさ、そこにいい意味でのマイナー臭をぶち込み、アングラメタルなスタイルを形成している。 聴きやすいのだが緊張感が漂い、自分たちの個性を確立しようと努力している点も見逃せません。 古き良き古典スラッシュの調べ、正統派メタルに近いスタイルなのも幅広い層に受け入れられる要素かと思います。なんと言っても北欧マインドを感じさせない無国籍なサウンドだと言うのもポイントでしょう。
アイアンメイデン初期の音楽性を語る上では外すことのできない我らがポール・ディアノ氏がドイツ人ミュージシャンを従えリリースしたのが今作。もう味せんやろと言われても噛みしだいたメイデンセルフカヴァー作品などで晩節を汚しつつあったポールだけに、今作のアナウンスは期待を持たせるものでした。だってメイデンカヴァーのボートラ無じゃん(笑)代わりにパープルの『Soldiers Of Fortune』をラストに朗々と歌っていますからね。気心の知れたドイツ人ミュージシャンと作り上げた今作は、古典的な手法に乗っ取りつつも、メタルコア的なニュアンスを巧みに取り込み、古臭いだけの音楽性に陥ることのないポールの歌唱を生かしたメロディックメタルを披露。『Architects Of Chaoz 』では中近東風のメロディをバックに歌いあげるなど新鮮味もあり、他の楽曲もメイデン風や出涸らしの出まくったNWOBHM風のそれとは違う楽曲を用意し新たなる魅力を提示してくれました。曲の出来云々は、リリースへ向けての経緯など、いぶかしげな面もあり胡散臭さが漂うのですが、ジャーマン風のメロディックメタルを歌うポールという組み合わせは過去にしがみつかずとも、独立してやっていける可能性を十分に示唆するバンドとなっていますね。次作がもしあるのなら、もうチョイ金を掛けて作ってくれると迫力もまして良くなるかと思いますね。