歴史のあるバンドだけに、どの時代にフォーカスするかでファン層も分かれるでしょう。雅樹や泰司がいたスーパーロックグループも良かった、柴田直人がいたブッタ時代の中毒性、そしてインダストリアル系まで飲み込んだ再結成オリジナルラウドネス、樋口亡き後の王道への回帰など、思い入れは人それぞれですが、ライブでも定番の曲が揃っている今作は8曲入りですが、大いに楽しめるでしょうね。この演奏を20代前半でやっているって信じられる? LOUDNESSは勿論ですがIN THE MIRRORやSPEEDは8186LIVEヴァージョンも含め死ぬほど聴きましたよ。
日本向けのミニアルバム『JEALOUSY』と『HURRICANE EYES』を中心に収録、そこに『RISE TO GLORY』から数曲を混ぜ作り上げた渾身のライブアルバム。特に『JEALOUSY』の楽曲は貴重であり、二井原実先輩脱退前のツアーを思い出させるラインナップに興奮を覚えます。 ドラムは器用に叩く西田竜一の力強いドラム、山下のベースとも相性が良く互いを高め合うように重厚なリズムをたたき出している。衰えるどころか全盛期よりも太さを増した二井原実先輩の歌声も、この路線にマッチしており、多くのベテランが精鋭を欠いた中で彼ら現在進行形でベストなパフォーマンスを見せている。相変わらず高崎のギターは文句なしの仁王立ちである。生々しいピッキングのニュアンスも伝わる抜けの良いギターの音像、80年代的なメタルサウンドではないオーガニックな響き、そのナチュラルな高崎のギタープレイから放たれる新機軸に、この80年代ラウドネスサウンドがバッチリとハマり違和感は少ない。 それにかつては高崎のプレイが前に出ている印象が強かったが二井原実先輩が見事にフロントマンたる役割を果たしバンド感が強まっているのが印象的だった。今のラウドネスはバンドとしての結束が高まり一体感が増しているように感じた、特にバラード2曲続けての流れにも、その魅力は顕著に表れ、妙に浮いているがポップなLONG DISTANCE LOVEのような曲すらも手懐けている。 個人的には大好きな『HEAVIER THAN HELL』を現ラインナップで聴けたのは嬉しかったし、ラウドネス節満載のスピードナンバー『DIE OF HUNGER』も火花を吹きながら走っていた、新旧の魅力を端的に伝えたライブ。もう少し荒くれた方が好みの方もいるだろうが、ワタクシはこのキッチリと作り上げたベテランの風格漂うサウンドに魅入られました。上手いって事は素晴らしい。昔のアイデアを現代に落とし込みアップデートした余裕のあるパフォーマンス力に舌を巻きます。誰がなんと言おうと今が全盛期でしょう。
アンコールであんパンさんが復帰したのもファンにとっては朗報でしょう。『ESPER』みたいな曲は彼のドラムはよく似合います。 あとなんで『STRIKE OF THE SWORD』やらなかったの?それとも収録的にカットしただけ?チョイと残念ですよね。
01. OPENING 02. SOUL ON FIRE 03. I'M STILL ALIVE 04. CRAZY NIGHTS 05. LIKE HELL 06. HEAVY CHAINS 07. THE SUN WILL RISE AGAIN 08. GO FOR BROKE 09. ARES' LAMENT~UNTIL I SEE THE LIGHT 10. KAMA SUTRA-Instrumental-~Drum Solo 11. MASSIVE TORNADO 12. RAIN 13. THIS LONELY HEART 14. CRAZY DOCTOR 15. IN THE MIRROR 16. S.D.I.
SEの次から、往年のスタイルを想起させる楽曲とサウンドメイクに驚き、昨今のへヴィネス路線を残しつつも、ナチュラルなトーンも生かした高崎ギターは、魅力的なメロディやリフを奏でる事に専念。彼の中で、どこまで湧き出るインド神を押さえ挑んだのかは分かりませんが、今作は数十年ぶりといっても良いほどメロディックなフレーズを構築する事に着手。 勿論、それは安易な初期への邂逅などではなく、On the Prowlリリース時に明らかにギターへのアプローチを変えた高崎。その後、訪れるパンテラ化で一気に変貌しすぎた為に、語られなくなったが、随分と『On the Prowl』で生まれ変わったモノだ。今作は、その『On the Prowl』次にリリースされたようなスタンダードな作風であり、まさに今を生き抜く正統派HM/HRバンドとしての帰還となった事が最大の聴きどころだろう。
所謂、ここには多くのファンが待ち望みガチなIN THE MIRRORパート2もSDIもCRAZY DOCTORもない。ノリノリのパーティロックもない。それらの派手な即効性の高いナンバーも待ち望んだファンにとっては、肩透かしなのかも知れませんが、そんな昔の看板を担ぎ出さなくとも、日本が世界に誇るへヴィメタルのパイオニアとしての自負がサウンドとなり表れ、今のラウドネスとしての存在感をアピールする事に成功。 勿論、時代性を飲み込んだモダン化やインドサウンドへの傾倒、その型にハマらないフリーフォームな発想とサイケな世界観、今まで積み上げてきた、時代性との折り合いをつけての原点回帰志向へと舵を切れた事が、今作における圧倒的な信頼への基盤となっている。
自らが育んだへヴィメタルの象徴ともいえる原点への帰還。しかしそれは安易な着想ではない、浮遊感のあるメロディにインド的フレーズ、それらをスパイスにモダン化も無視することなく、起承転結のハッキリとした構築美に、かつての姿をダブらせ、豊富なアイデアを正統性というスタイルで纏め上げた方向性にまずは安堵します。 そりゃそうよ。急に今まではなかった事で、THUNDER IN THE EASTのパロディみたいなもんやられたらね。