Black Oak Arkansasのシンガーとして知られるジム・ダンディが1984年にリリースしたソロ。サザンロックで知られるバンドのソロなので、どういう方向性に向かっているのかと思ったら、南部臭のそこそこに、84年的なアプローチにも果敢に挑んでおり、そのオッサン臭い歌声は如何ともしがたいが、曲によってはキーボードを上手く絡ませ音楽的なアプローチの幅を広げている印象が強い、勿論、無頼なロックもあるし、ピアノをバックに雄大な大地を優しく見つめるバラード系もあるのだが、時にはVAN HEALENのアルバムJUNP的な作風にも挑み、フレッシュ感を演出。勿論、泥だらけではあるのだが、今の時代に改めて聴けば、面白い発見が出来る。 基本は、豪快で無頼なロックサウンドが基調である。サザンロックにも軸足を置いてはいる、しかし、そのイメージだけに留まらない豊は音楽性、キャリアの成せる技なのでしょう。スケールの大きなロックサウンドの持つ無限の可能性。その乾坤一擲な野望に魅入られます。 味わい深い曲が多いんだよなぁ。オジサンになるとグッと沁みてきます。乾いた大地に根を下ろし自然と向き合い生活をする人々の強さ、その大いなる恵みと畏怖が、このアルバムから感じる瞬間がありますね。 ちなみにリードギターとしてクレジットされるスティーブ・ヌネンマッハーは、後にスティービー・ブレイズと呼び名を変え、Lillian Axeで活躍する、あの人です。
ドイツの『Long Island Records』から1994年にリリースした3rd。哀愁のあるメロディを優しい語り口で魅力的に歌い上げており、シンガー、ジミー・マーティンの魅力を余すことなく伝える事に成功。爽快で躍動感のあるハードポップナンバーからバラードまでと、ソロシンガーとしての王道を押さえた楽曲を用意、このソフトなAOR系のロックサウンドに彩られた今作は往年のゼロ・コーポレーションが健在だったらほっとかないクオリティを誇っており、粒の揃った12曲に身も心も癒されますね。嫌みにならないキャッチネスさと泣きすぎない哀愁、キーボードを軸にした作りだがロック然としたダイナミズムさも失わないミックスを施しており、清々しさとロマンティックなムードに包まれた楽曲はどれも魅力的でしたね。歌モノロックが好きな方は手にとって損はしないでしょう。