Vo,Sam Blue G,Greg Hart B,Key,Toby Sadler Dr,Charlie Mack
上記の4人からなる英国産AOR系HM/HRバンドが1995年にリリースした1st。正直のどのような経緯で結成されたか全くバイオを知らないのでコメントできませんが、推測されるバンド名はVo.G,Bの3人の頭文字からきたと思われます。とにかく楽曲の出来が素晴らしい、適度なハードさに溶け込む哀愁をふんだんに含んだフックに富んだ良質なメロディの数々にマニアならずとも引き寄せられるでしょうね。唄を邪魔しないバックの演奏の妙もさることながら、嫌みのないハスキーヴォイスが特には甘く切なく、そして熱い歌声でロックのダイナミズムを失わないよう、淀みなくパワフルなパフォーマンスを披露。この手のサウンドを求めるマニアにはたまらんものがあるわけです。装飾過多にならないキーボードの使い方も上手い、難しい事をやらんくとも心に残るセンス溢れるギターの旨味、唄を邪魔しないドラムのありかと歌モノハードサウンドの旨味をギュッと凝縮してくれた一枚に歌モノや哀メロサウンドを愛する方にはおススメ出来る良質な一品かと思います。ちなみにVoのサムさんは、TENのギタリスト、ヴィニー・ヴァーンズのソロで歌っていますので、そのパフォーマンスに満足しているなら、今作も手にとって見てはいかがでしょうか。哀愁のメロディが満載の「Hands Of Time」、哀メロが躍動する「Marrianne」、美しく爽快なオープニングナンバーの「Endless」、叙情派ロマネスク万歳な弾け具合も上々な「Love Like Fire」とサッと上げただけでも良質な楽曲が目白押し、個人的には身体に優しい、けれんみのない王道を行く安定のブランドサウンドだと思いますね。90年代中期、僕はこの手のサウンドに相当助けられました。ある意味ハードさも薄いしエッジも効いてないかもしれませんが、大好きだったバンドが方向転換に失敗し、討ち死に犬死を果たす中で、メジャーなハードシーンにすっかり興味を失せ、この手の音楽を聴くのが嫌になったのを救ってくれたのが歌モノでした。彼らがハードシーンとのキレ目を繋ぎ、今なお聴き続けている事に貢献してくれた意味でも個人的には愛聴すべき外せない一枚となります。そして輸入盤市場こそ、宝の山と知る事になった視野を際限なく広げてくれた作品群の一つでもあります。
お得意のシアトリカルなパフォーマンスも目に浮かぶ芝居掛ったハイトーンヴォイスと時代性を加味したパワー漲るヘヴィメタルサウンドを披露した1991年にリリースされた2nd。ほぼ自主制作であろう環境がもたらす音質のヌルさはなんともしがたいがリジーボーデンとサヴァタージを掛け合わせたようなスリルとアグレッションにホラータッチを織り交ぜた楽曲の質は高く、ドイツのアチラとスペルがAとEの違いだけでロゴにも思いっきりカボチャだったりと(冷静に考えるとスペルの違いは大きいのですがアホのワタクシの脳みそでは間違えますよん)US産正統派HM/HRシーンに名を刻むバンド故に、その類似性が認知度の足を引っ張っているのなら残念です(バッタもんじゃないよ)。 当時のアメリカのミュージックシーンにおいて、彼らもメインストリームの波の中で自らのアイデンティティを確立しようと試行錯誤、更には音源リリースへ向けて行動を起こすもマネージメントに恵まれず、幻の2ndデモ『Victims of the Night』抱え活動は停滞、その中で新たに録音した今作を6年ぶりにリリース、そして『Victims of the Night』1997年まで待たされるとは運も実力のうちとは良く言ったものです。重々しいヘヴィなグルーブ、光沢のある鉛色の輝きがギラリと光るエッジの立ったギターリフとシアトリカルなパフォーマンスが導く刺激的なホラーショウサウンド、1980年代の頭から今日まで、途切れることなく活動を続けているバンドの底力と、これしか出来ないんだという意地を感じますね。ちなみにワタクシが所持するのは2013年にPure Steel Recordsから再発された、こちらに登録されている12番目まで収録されたヴァージョンですので、17曲入りのはマニア心をくすぐりますね。
ドラムのジェフ・ウォードはMinistryでドラムを叩き、Nine Inch Nailsにも顔を出した人物、実弟はFlotsam and Jetsamのジェイソン・ウォードです。 ベースのダニー・ヴェガはAftermathで活躍、ギターのミック・ヴェガとは兄弟です。シンガーのブライアンはCyclone Templeの1stで唄っていました。 こうしてチョイとバンドのバイオを紐解いても、これだけのバンドに繋がるのだから探究心は尽きませんよ。いくつになっても出会いは大切ですね。
元サーベルタイガーの田中康治と渡辺徹の二人が率いる北海道が誇る正統派メタルの雄 HARD GEARの四曲入りマキシシングルを紹介します。アグレッシブかつ硬質なメタルサウンドに乗りザクザクと小気味良く刻まれるギターリフトと構築美を讃えた滑らかなソロプレイが魅力のテクニカルなバンドです。このパワフルなサウンドに負けじと渡辺徹の強力なハイトーンが絡んでくるのだからたまらない、その声は鉈を振るうが如き威力を持つ凄さだ。このマキシは今までの彼らよりリズムセクションがストレートに仕上げられ分かり易くなっていている、しかしキメでは凝ったリフやユニゾンなどを決めてくるのがカッコイイ、この複雑でいながらもとっつき易いフレーズの構築美と熱いエナジーがほとばしるハードサウンドが聴き手のハートをガツンと掴んでは離さないのです。