METAL MASSACREシリーズにも参加した事がある4人組が1988年にリリースした1st。湿り気のある歌声が変に力む事無く朗々と歌い、パンチ力もないし個性は薄いが安定感はありソツなくフロントマンとしての重責をこなしています。、王道をいくリズム、ワビサビを心得た叙情派ギタリストと普通すぎるくらい普通なんですが、明るくなる事を許さないブリティシュ寄りの王道を行く叙情派HM/HRサウンドが奏でる湿り気と美意識にマニアには何ともしがたい魅力を放ち続けます。とは言えメリハリの少ない展開や構成、王道すぎて感情表現の薄さが気になるかも知れませんが、叙情的なメロディとスピード感のあるソロなどギターには工夫と煌びやかなセンスが光り、そこへのアプローチと聴かせ方を練り込んだら、スケールが一段も二段もUPしたと伺わせるだけに、インディーズ盤の悲しい性と言うものでしょうね。またシリアスなサウンドを活かす為にも、もう少し重さがあればなお良いです。とは言え全体的に包まれる湿り気と叙情的な雰囲気は大好物で、手を出したくなるジャンルなんです。欧州大陸の香りがするHM/HRが好きな方には楽しんでもらえるかと思います。ちなみにCDやiTunesなどで検索すると、おそらく同じ内容かと思いますが、「Nothing Is Sacred」という作品もあります(このサイトの登録時にこちらが優先されたのでgargoyliのGARGOYLEにしています)重複しないように気を付けてください。でも確かEP盤がまた「GARGOYLE」ってタイトルだったような記憶があります??
個人的には鳥肌立ちまくりの超名曲「BLOOD OF EMERALDS」が収録されている名盤です。このアルバムを最後にブルース職人へと鞍替えするのですが(そりゃインストの⑥は素晴らしいけどね)、当時はこんなに優れたHM/HRアルバムを世に出したのに何を血迷ったのかと思いましたよ(今でも聞き返すたびに思い返します)。豪華ゲスト盟友フィル・リノットやコージー・パウエル、オジー・オズボーン、サイモン・フィリップス、ドン・エイリー、ボブ・デイズリーといったベテラン職人メンバーに気を奪われがちですが頭②③を聴き「ゲイリーの独壇場やん」と思いました、磨きの掛かった歌声は実に頼もしいです。洗練されているがロック色を色濃く打ち出す作風は見事としか言いようがありません。冒頭でも触れましたが名曲⑩を聞き涙してほしいですね。素晴らしいメロディに涙腺が決壊しました。望郷ですよ
ディープ・パープルなら第三期派な僕にとってイアン・ギランは偉大なシンガーではありませんでした。大人になるにつれChild In Timeの厳かな雰囲気とギランのキレまくったシャウトの凄みを理解してからは彼のソロにおけるキャリアに着手、再結成パープル以降の年々衰える姿を見ているだけに一抹の不安はあったのですが、期待を煽るイントロに①に導かれ激しく疾走する②、味わい深いバラード③、爆裂する④コリン・タウンズの鍵盤プレイが華麗に舞う⑤とバランス良く流れる展開のカッコ良さに痺れました。時代は1979年、パープルファミリーの中でここまでメタル度の高い攻撃的なサウンドで勝負を賭けていたとは驚きです。NWOBHM幕開けにギランは時代を見越した音で火蓋を切っていたんですね。今作は複数のヴァージョンがリリースされており参加メンバーが違うのですが、僕が所持している2007年に再発されたギターがバーニー・トーメ(パンクロック出身のギタリスト、ランディ・ローズ死去のあとオジーに参加を要請された事でも知られていますね)。ドラムはミック・アンダーウッドがクレジットされているヴァージョンです。コリン・タウンズが推奨したシンプルなロックスタイルを基調としたエキサイティングなHM/HRサウンドを歌うギランに改めてシンガーとしての凄みを体感させてもらいました。