August Redmoonと言うバンド名でMetal Massacre IVに『Fear No Evil』を提供、Terracudaと改名、そしてエニグマから今アルバムをリリースする前にEDEN改名した経歴のバンド。 その流浪の経歴を持つバンドの音楽性はPOISONから毒気を完全に抜いて、より正統性を強めた印象のあるスタイルを披露。それも癖の強い歌声が、その印象を強めているのですが、カラッとしたアメリカのバンドとは違う湿ったムードが漂っており、高い演奏技術に支えられた楽曲は、ポップでキャッチーなアメリカンロックからパンチの効いたスピードナンバーとバラエティに富んではいるが、急場凌ぎのポップロックなどは盛り込み、場の空気を悪くしていないのが好印象。実にソツなく纏めてきましたね。 その反面やや個性不足感は否めないが、何を聴かせたいかを明確に見定め、メンバー全員で作り上げたバンドサウンドは誰かが突出した存在ではない脇役の美学が貫かれており魅力的に輝いております。 正統性の強いアメリカンメタルが好きな人なら聴いて損はしないでしょう。ドイツのMetal for MuthasからCD化もされましたが、2016年にDivebomb Recordsから出たヴァージョンの方が手に入りやすいでしょう。
レーベルに対する信頼度とデニス・ワードがプロデュースに勝負を掛けて久しぶりに店頭にてジャケ買いをしてしまった大当たりの一枚を紹介します。最近は本当に勉強不足で彼らのバイオも分からず、ギタリストのスペルにはOの上にチョンチョンが付いているんで読めない奴でしょう。若干の不安も有ったんですけどね。勢いでいったんですが、これが良かったですよ。シンフォニックなイントロで始まったのはジャケットから何となく想像もできましたが個人的には②の「Break the Silence」が始まった瞬間からキタキタとニヤニヤさせられました。ドラマ性を配したバラード⑤ぐらいでお腹いっぱいの充実感を味わい、古くて新しい王道を押さえてメロデイックメタル路線に往復ビンタを喰らいましたね。強靭なグルーブを轟かせるリズム隊、華やかさと奥行きを与えるアレンジセンスも見事なキーボード、そして王道サウンドに屋台骨として豊潤なメロディが紡ぐギターと、この手のサウンドを熟知しているなぁと感心させられました。そのメンバーを従えるエモーショナルな歌声が見事に実を結び(ドゥギーホワイト風)王道メタルへと向かう解放感は素晴らしいものがあります。ノスタルジーでは終わらない伝統と改革の両立を推し進めた壮大で華やかだがシンプルな楽曲の数々に安心感と完成度の高さを見せつけられました。多彩で雄弁なメロディが語る激しくもテクニカルな名演の数々、スケールの大きな構築美が濃密な旨味を味わえます。
オリジナルが未聴なので曲順を載せます 1. Metal Trance 2. Visions of Darkness 3. Light in Your Heart 4. She's Got It 5. Sovereign Remedy 6. Llagaeran Remedy 7. Last Rays of the Sun 8. Shadows of the Night 9. Louise 10. Legion of the Eagle 11. Edge of Eternity 12. Lost in a Dream 13. (When We're) All Together Again 14. Metal Trance (Reprise)
1983年から活動を始めたロンドンの5人組による今作は1986年にリリースされた1st。暗く湿った憂いのあるメロディ、NWOBHM特有の尖ったサウンド、オーソドックス極まりない典型的な英国スタイル故に少々物足りなさ覚える方もいるでしょうが、アラはあれど速さだけでは終わらない重々しい展開や英国風味満点の悲しげなメロディがスッと流れてくる瞬間の胸キュン度の高さ、少々暑苦しい歌唱もハマり、ブリティッシュってエエわいなぁと思いますね。②③のカッコ良さ、憂いと供にエッジの効いたギターがザクザクと刻まれる④、パンチの効いたパワフルな⑤、スケールの大きさを感じさせる⑦、裏切りというタイトルがカッコいいNWOBHMな⑧、など即効性の高い分かりやすい曲も多くマニアなら押さえておいて損はしないでしょう。けたたましいドラミングが耳を惹くドンヨリとした雰囲気が漂う英国風味満点の旨味はあるが、やはり録音状態が厳しく、ドラマティックな展開が上手く伝わないのが寂しいですね。ちなみにワタクシが所持しているのは『Cult Metal Classics Records』より2001年にリリースされた一枚。オリジナル9曲にボートラ3曲を収録されたもの、他にも複数のレーベルから収録曲違いのヴァージョンがありますのが、2011年に『Cold Town Records』から25周年を記念してボートラ6曲入りのが出ていますので、そちらが手に入り易いかと思います。
最近リメイクもされましたね米産のホラー映画「エルム街の悪夢」をバンド名に冠したオーストラリア産の4人組による2011年リリースの1st。BACK TO 80'なスタイルのサウンドにやや食傷気味な昨今ですが、こちらもご多分にもれず、その手のスタイルを踏襲、キャッチーなメロディとコーラスワーク、強靭なリズムと躍動感、華やかさと硬質でシリアスな面を併せ持ちバランス感覚は上々、安易な模倣では終わらない工夫を凝らしたど真ん中なスタイルで真っ向勝負、ここまでの完成度を見せればNWOTHM群の中でも上位に食い込む出来栄えでしょう。KISSIN' DYNAMITEに通ずるようなメロディを大切に、ハードで豪快な楽曲が小気味よく進み、器用なリードギターが華麗なトッピングを施していきますね。あの時代のあの音が現代によみがえった爽快感溢れる剛毅でメジャー感のある一枚に懐かしさと同時に、今の時代にどの程度影響を与えていくのかを楽しみにしています。派手目のリズムプレイも好きだし、耳馴染み良く口ずさめるようなギターの持って行き方が大好きです
オランダのSTASHの1stアルバム『A Matter Of Time』を聴いてすっかり魅了されたのでルーツを辿り手に入れたのが今作。オリジナルは1985年リリースの1stでSTASHのシンガーBert Kivitsが在籍するバンドです。メイデン、プリーストといった王道サウンドに哀愁のメロディはシンリジィ風もあり、1985年ならではの古典的なスタイルを踏襲。類型的なスタイル故に聴いたことがあるフレーズやメロディもチラホラ散見できるし、シンガーもやや無理目のハイトーンで迫っている故に頼りなさもありますが、憂いを帯びたヨーロピアンスタイルのサウンドが好みの方なら聴いて損はしないでしょう。10曲で36分ってのも丁度よい仕上がりですしね。