彼女のI tunesで洒落で検索したらありました。I tunesからのダウンロードは通産2作目、幻の1987年リリースの2ndが聴けるのだから恐れ入ります、常に聴いてみたいという思いとアンテナを張り巡らせていないとめぐり合えない一品でしたね。かつての面影は皆無ですが、ポップでキャッチーな嫌味のない大人のアメリカンHM/HRを聞かせてくれます。派手ではないがコンパクトなプレイは楽曲をビシッと締めているし充分ロックしている。時折聴こえてくる哀愁のメロディにNWOBHMの臭いも感じ取ることが出来ましたね。捨て曲のないアルバムなんて稀、一曲でも心の琴線に触れるものがあればOKな僕にはたまに聞きたくなる一枚ですが“Lady of Mars”を期待する方にはオススメしませんよ。個人的には伝わらないかも知れませんが名も知れないドライブインで親子丼を食して気分を味わいましたね
BAD ENGLISHやSTARSHIP、HOUSE OF LORDSなどに楽曲を提供していることでも知られるシンガーソングライターのデヴィッド・ロバーツが1982年にリリースした1st。バックにTOTOのメンバー等を従え時代性を加味した極上のAOR系のハードサウンドを披露、洗練された甘美なメロディを前面に押し出し、時にはアーバンでアダルトな雰囲気を醸し出しシットリと適度な湿り気と糖度のあるメロディを嫌味なく優しく歌い上げてくれます。透明感のある性質のせいか聞き終えたあとの爽快感も上々で実に清清しい気持ちにもさせてくれますね。歌モノにアリガチな軽めのサウンドに終始しお約束のバラードやカントリー調の楽曲を放り込み散漫な印象を与えることなく、ソフトケイスされた歌モノに癒されたい方にはオススメ出来る極上のハードな味付けを施したAOR系の名盤かと思います。
Death Dealerというバンド名で1980年から活動開始、Metal Massacre IVに『Cross my Way』という楽曲も提供しているのですが、1986年にバンド名をDEAF DEALERに改名して1stをリリースするのですが、カナダのバンドと言われなければ気がつかない程、NWOBHMの流れを組むメタリックな正統派サウンドを披露。疾走するツービート、曲間を縫いランニングするベースとツインギターの濃密な絡み、そして力負けしない湿り気のある芯のあるハイートーンヴォイスを披露するシンガーと、その筋のマニアなら腰を上げずにはいられないストレートな音楽性は、まさにこの時代ならではのメイデンスタイルだしJP仕込みの王道メタルでしょうね。風呂場でレコーディングしたような籠り気味の音質なれど、カナダのバンドらしい丁寧な作りは良心的だし楽曲に破綻をきたさぬよう細部に渡り気を配っているのは好感が持てますね。パワフルなサウンドだが勢いでズバッと押し切らないのは素晴らしい事ですよ。その反面、個性不足感は否めず、当時としては厳しい評価を受けざるを、おえない内容だったかなぁとは思いますね。勇壮なドラマ性や硬質感を損なわないダイナミズムがあっても、一曲一曲の完成度は低くないのに、アルバムを通して聴くとサラッと流れてしまうのが難点。構成力ってのは大事なんだぁと思いますね。 2年後にはCD時代に突入を受けSteamhammerからリリースもされるのですが、オリジナルの作品がNEATにMetal Bladeなど複数のレコード会社から出ていて権利の関係がややこしいのが、今日まで日の目を浴びづらい環境を作りっているのなら残念ですね。 正攻法で迫るパワーメタルにマニアならグッとくるでしょう。
それにしても不思議である。10年位前からチョイ前まで『Cum On Feel The Noize』は聞き飽きたせいか、幾度耳にすることはなかったのに、ここ数日はヘビロテである。やはりヒット曲を持つアーティストは強いなぁ。紅白に出た演歌歌手みたいなもんと悪口を昔なら言っていたのに不思議である。ちなみにコロナで疲弊するアメリカの教育関係者がストライキを行ったニュースを見たときに、そのストライキを起こした先生達が皆で『Cum On Feel The Noize』を唄い一致団結、あの姿には度肝抜かれた、凄いヒットソングであり、抑圧されたティーンエイジャーの為の唄だと思っていたけど、色んな使われ方があるんだと思い知った。 ロックは不変だ。ディー・スナイダーはもってんなぁ。