それにしても不思議である。10年位前からチョイ前まで『Cum On Feel The Noize』は聞き飽きたせいか、幾度耳にすることはなかったのに、ここ数日はヘビロテである。やはりヒット曲を持つアーティストは強いなぁ。紅白に出た演歌歌手みたいなもんと悪口を昔なら言っていたのに不思議である。ちなみにコロナで疲弊するアメリカの教育関係者がストライキを行ったニュースを見たときに、そのストライキを起こした先生達が皆で『Cum On Feel The Noize』を唄い一致団結、あの姿には度肝抜かれた、凄いヒットソングであり、抑圧されたティーンエイジャーの為の唄だと思っていたけど、色んな使われ方があるんだと思い知った。 ロックは不変だ。ディー・スナイダーはもってんなぁ。
前年にベスト盤「Anthology」をリリース。メンバーチェンジもあり一区切りをつけたような印象が強いですね。キーボードが抜けた分、それまで極めてきたプログレテイストや突き抜けるキャッチネスさは減退しましたが、エッジのあるギターと軸に、いい意味で古臭いNWOBHMテイストの復活、アコギからハードな流れに展開する「Sacred Heart」の構成や音使いなど流石の一言に尽きます。芸の細かいアレンジと聴かせる技術の高さ、デビューしてからコンスタントに作品をリリースしてきただけの事はありますね。哀愁漂う強烈な伝統美が貫かれた一品。これもDEMONサウンドの一翼を担う作風である事に間違いありませんね。今作リリース後、彼等も時代の波に飲み込まれ解散、完全復活を待つのに2012年まで掛かるのですが、興味のある方はサタニカルな面もフューチャーされたNWOBHM印満載の「NIGHT OF THE DEMON」、大衆性も加味されつつもハードさやドラマ性は失われない一代叙情詩が貫かれた名盤「TAKING THE WORLD BY STORM」など聴いて欲しいですね。
DEMONと言えば1stと言われるのですが、今作は1985年にリリースされた4枚目。ギタリスト、メル・スプーナーが1984年に他界。そのテイクを残してのレコーディングなのか詳しいバイオは分かりませんが、クレジットはありますね。そして、その事が少なからず音楽性に影響を与えるのかなと推察も出来るのですが、初期のNWOBHM特有の熱情型サウンドに絡むデイブ・ヒルの塩っ辛いオッサン声に騙されそうになりますが実はメロディはポップな要素が強く、そのニュアンスは2nd以降強くなるのですが、今作ではその面とキーボードを前に出したプログレ要素もアップ、1stのようなおどろおどろしいメタルやエッジの立ったギターを期待すると完全に肩透かしを喰らうし、オッサン声が合うのか合わないのか?気になったら全滅です。でも彼らのカタログを順を追って聴いていると、今作の方向性も後にリリースされる大名盤「Taking the World by Storm」へと続く道と捕えると見えてくる景気も随分と変わってきますね。彼らが本来持っていたポップフィーリング溢れるメロディ、それらを前面に押し出した優しい作風に癒されますね。高尚な音楽性なのですがロック色が少々薄すぎる、そこが評価の分かれ目ですかね。