オープニングナンバーから勢いのある楽曲の登場に面を喰らっていたら、その勢いは最後まで衰えることなく、このバンドのもつドラマ性を十分に発揮してラストまで完走。2023年の時代を生きる古典メタルの矜恃、その枯渇しないアイデアと失われることのないアイデンティティ、サウンドミックスも分離が良く各パートの持ち味を生かしている。 ヴィンテージ臭漂うリフワーク。エコーの掛かったドラムは這いずるように叩き出され、この魑魅魍魎がうごめくバンドサウンドを決めている。実に古くさい音を今風に作り上げた。 NIGHT DEMONのベースであり、このバンドのベースでもある、復活後のプロデューサーを務めるジャービス・レザービーのバンド愛に対する建設的な姿勢も評価されるべきでしょうね。
HIGH ROLLER RECORDSが絡んでいるのだから外すわけがないのだが、ここまでドンピシャの音を作り上げるとは驚きだ。ある意味、もっとも1stの世界観に近いアルバムを作り上げたのかも知れない。そのクオリティの高さは全時代を総括するものであり、メロディありパワーあり、疾走ありとメタルを愛するものにはとっては必要不可欠な要素を端的に盛り込んだ作風は、とても親しみやすいものとなるだろう。今年はクラシックメタルの世界にとっては豊作だ。
High Roller Recordsから2014年にリリースされたフルアルバム。イギリスの歌ウマ選手権みたいなオーディション番組で名を上げたイギリス人若手ミュージシャン、ジョー・ヴェランのソロ活動にサイドギタリストのクリス・コスとリー・ペインがお手伝いした事がきっかけなのか、2012年のシングルリリース時から、こちらでもシンガー兼リードギターとして活動を行っています。その新しい風が作風にも大きく影響を与えているか、若々しい歌声とフレキシブルなギターサウンドには、往年のオカルティックな要素など皆無、実に突き抜けたメロディックHM/HRサウンドへと進み現役感をアピール。再結成後と以前では音楽性の違いは確実にあったので、驚きはありませんが、逆にいい意味での今を感じさせる面を強調する事と、往年の空気を損なわないザクザクと刻まれるギター&英国的様式を感じさせる構築美には一日の長を感じずには入られませんね。骨太なドライヴ感と英国的な湿り気を帯びたメロディ、所謂オールドスクールサウンドからの突破口を見つけたような若いセンスが加わった事が最大に聴きどころでしょう。
2008年にリメイクベストをリリースした彼ら、今回は新曲3+リメイク2曲の5曲入EPをリリース。限定500枚というリリースだったので、今や入手困難な一枚なのだが2018年リリースのThe Definitive Part Twoという企画アルバムに丸々収録されることで容易に視聴できることとなりました。ありがたい話ですよ。サブスク生活の方ならば簡単にチェックです。
FAST KILLとスプリットCDもリリースしたことがある関東のスラッシュメタルバンドの1st スピードと爆発力を軸に重量感あるスラッシュナンバーがこれでもかといわんばかりに畳み掛けてきます。乾いたリフが摩擦の大きい突貫型スラッシュサウンドとして終始貫かれている姿は圧巻、ドスの効いた歌声も堂に入っておりスピーディーな曲構成と相俟って独自のスタイルへと昇華しようとしています。アルバムジャケットや曲名が示すよう攻撃的なイメージも放たれるマシンガンリフと共に全てをなぎ倒してくれるでしょう。一点集中されるパワフルさにスラッシュメタルの中毒性と疲労感を覚えます。あとは聴き手の好みでしょう。普遍のスラッシュサウンドをお探しの方なら聞いて損はしませんよ。もはや主食としてこの手のジャンルを聴かなくなった僕でもグッと来るものがありますから。