オリジナルは1985年リリースの7曲入りの1stにスラッシュ化した1988年リリースのミニEP(⑧から⑪)とカップリングでOld Metal Recordsより2007年にCD化もされた一品。クールな印象を与えるメロディと何処か埃っぽさのあるサウンドはタンク風のヤサグレ感もあり、あそこまで男の哀愁を纏っていませんが、US産の乾いたコンクリートメタルサウンドが好きな方なら聴いて損はしないでしょう。ヘヴィメタルとはヘヴィな曲であって勢いやテンポの速さを競うスピード感とは違う魅力が大切だと思う身としては、やや一本気な面はあれど、重厚なミドルナンバーやスカッとするようなストレートな楽曲を用意し、ドタバタとしたけたたましUS産ならではのあの音にゾクゾクと期待を煽られる瞬間があり、マニアックな世界に導かれる一枚として、3年に一回は通して聴きますね。
BLUE BLUDでデビューするも、実は今作リリース時にバンド名をBLUE BLOODへと改名。前作よりもメインストリーム寄りのサウンドを志向。英国的な匂いが減った分、前作を支持するマニアには不満もあるでしょうが、端正なルックスを引っ提げたメンバーショットを見せつけられると、この音に違和感は何もない。
そういう流れがあったとは言え、今作までのインターバルの短さに驚いたが、蓋を開けると内情はMirrorsからRevolution By Nightのアウトトラックを収録したというお話。なるほど、シーンに埋もれ亡霊と化した楽曲を蘇らせる、それは、彼らの足跡を知らしめる一因でもある、そういう意味で見るとアルバムタイトル、GHOST STORIESの味も変ってくるのだが、正直、先行公開された曲から発せられた、当時のパッケージを封じ込め現代に蘇らせた手法、その古めかしいサウンドに驚いていたのだが、前作ほどのインパクトは残していない。これはアウトテイク集だからという事前情報がなくとも、強力なキラーチェーンが散見出来ないなぁと感じるだろう。
勿論、BOC名義に恥じない内容だ。何ならアルバード・ブーチャードのお蔵入していたソロを担ぎ出した過去もあるから、こういうウルトラC的なアルバムを作っても驚きは少ない。しかし、これで有終の美を飾ることが出来たかと言われると微妙だろう。 でも、良い曲はある。かつてもやったMC5のKick Out The Jamsのクールなカヴァー。 BOC風味満点、これがアウトテイクなのかと信じられない気持ちにさせてくれたキャッチーでクールなDon’t Come Running To Me。ロマンティックなThe Only Thing。地味だが癖になるオープニングナンバーのLate Night Street Fight。このバンドらしい浮遊感のあるメロディが耳を惹くSo Supernaturalなど、要所にらしい曲を放り込み成立させている。 前後の曲との組み立ても味があり、アルバム単位で楽しめるのだが、やはりファーストインパクトで勝負できるアルバムでは無い。
ちなみに今作は、オフィシャルな形で世に出たのですが、リーダーのグレッグ・フルカーソン周辺では、そこそこのヒットを記録。それに気を良くしたのか、同年にもう一枚『Dancin 'On the Back Streets』というタイトルで未発表集をリリースしている。そちらは未聴だが、同年に未発表集を乱発したせいで、今作のインパクトが薄まってしまった。また個人的にも何となく引いてしまい。このバンドの事を記憶から消し去ってしまった。
ドラマ乳姉妹(主人公渡辺桂子が途中から伊藤かずえに喰われ主役が変わったのかと印象を受ける、鶴見辰吾、松村雄基、岡田奈々、名古屋章などお馴染みのメンバーと芥川タカユキのナレーションも懐かしい大映青春ドラマ)の主題歌として麻倉未稀にカヴァーされた名曲「RUNNAWAY」も収録された彼らの記念すべきデビューアルバム、様々な逸話があり(リッチーサンボラの加入エピソードとかね)また、アイドル的なルックスが話題を呼んだグループで後の音楽シーンに多大なる影響を及ぼした彼らのデビュー作。今更わたくしごときが口を挟むこともありませんが、全9曲無駄のない構成とどの曲もシングルカットされてもおかしくないクオリティを携えておりメロディ派のHM/HRファンならまずは押さえて損はないでしょう。ベストにも①くらいしか収録されていませんので、憂いのあるメロディとアメリカンなドライさが絶妙でジョンの青臭い歌唱も含み少々あか抜けない印象を持つかもしれませんが(いまと比べるとね)、オリジナリティあふれる意欲作かと思いますね。中盤で聞ける⑤⑥などは今作ならではの湿り気のある味わいでしょうね。ビックヒットをかっ飛ばした3rdや4thもよいけど、スラッシュメタルを聞きつつ、この極上のポップセンスとフックに富んだメロディに衝撃を受けた身をしては今作の放つ普遍の魅力にいつまでも魅了されますね。前にも発言しましたがBON JOVI=IT'S MY LIFEと言われ今作すら聞いたことがない若者がいる事に憤りといいますか違和感を猛烈に覚えました。なんで若い子にこそ聞いてほしいデビュー作なんだけどなぁ