古典ロックの旨味を90年の頭にここまで思いっきり出せるバンドなどそうはありません。古さに埋没しない揺るぎなきロックスピリット。ガンズブームなど微塵も感じさせない叙情性とハードサウンドの絡み、パワープレイだけじゃない、バラードで魅せる守備範囲の広さ、ロックの教科書と言われるようなバンド達と比肩しても遜色のない定番の魅力、アメリカに支配されていた歴史があるからこその無国籍具合に少々ニガイ思いもあるのだろうが、こういう骨太なロックが埋もれるのは惜しい。残念すぎる。 George Murasaki and Marinerが奇跡の再発があった今、自主制作盤も復活劇が見たいですね。クラウドファンディングでいいんじゃいですかね。
一度空中分解したバンドをリードギターだったケヴィン・マイケルがバンドを再興。今作は1993年にリリースされた3rd。3曲目にはメガデスのYouthanasiaでボツった曲を収録したりと期待された中でのリリースだったのか、俄然期待値の上がる作品へとなりました。他にも⑥のIt's My Lifeは、あのダニー・ジョンソン時代のアルカトラスをカヴァーしたりとマニアならウズウズしてくるラインナップです。かつてのようなハードコアスピードメタルとは違い、より正統性とスラッシュ成分を高め過去と未来予想図を巧みに混ぜ込ませた内容となっており、⑩ではラップも披露と現役感をアピール、アメリカンヤクザメタルバンドの矜持を保ちましたかね。この後に続く音源がないようなので、このラインナップが上手くいったとは言い難いが、2018年には再結成したとも言われる彼ら、US産ならではのステゴロコンクリートメタルに興味のある方は聴いて損はしないでしょう。それにしてもダニー・ジョンソン時代を取り上げるとは渋いなぁ
元ジャーニーのメンバーとインストアルバムを作ったりと確かなテクニックとメロディックなフレージングの組み立てが上手いギタリスト、ニール・ザザがソロギタリストとして成功する前に活動していたバンドの1stフル。リリースが1991年で翌年にはソロとして活動、そのせいもあるのか知名度の低い作品なのですがクオリティの高さは折り紙つきの一品。ザザの高速ギターも曲間に飛び出しスウィープ、アルペジオとやや強引な展開に苦笑いも出そうですが、概ね彼はギタリストとしての才能を遺憾なく発揮、楽曲を殺すことなく印象的なプレイで楽曲に華を添えていますね。良質なハードポップナンバーは勿論、嫌みのないアメリカンなパーティーロックも飛び出すが、アコギを生かしたバラードのセンチメンタルな泣きと甘酸っぱさに胸キュンさせられ、アーバンなムードに包まれたメロディックなハードテイストたっぷりの楽曲を聞かせたりと、良いメロディと良いアレンジに支えられた多様性のある楽曲を用意し飽きさせない構成は見事ですね。個人的には2曲目の『Hungry for Emotion』7曲目の『Lonely no more』は隠れた名曲としてメロディ派のマニアに強くお勧めしたいですね。 アルバム全体を通しても枠組みにしっかりとした演奏にマニアが喜びそうなネオクラ風味のギターがあったりと、押しがいのあるアルバムなのになぜこんなに知名度が低いのか、当時の事情通でもあるレコード店に勤めていた知人に聴いてみたら、雑誌のレビューがなかったに尽きる、点数が高い低い関係なく、誰も知らんモノを仕入れられない、良い作品だがジャケも魅力なしで、ジャケ買いもない、今作がある程度認知されたのはザザがネオクラを捨ててインストものを成功させてからだと言う事らしい、ちなみにザザ自体が日本であまり人気もないらしい。なるほどである。 ちなみにこのバンドでシンガーを務めるスコット・デニスは、日本一洋楽していたバンド「Still Alive」のラスト作に参加しておりますので今作を聴いて気に入った方は合わせて聴くのも一興でしょう。 デニスのハイトーンは中々強力ですよ、メロディックな音楽性とハイトーンシンガーの絡み、ハードさも失わないアレンジのある曲も多く、同じ路線だとSHYあたりを思い出すので、その筋の方も楽しめるんじゃないでしょうか。
アンセム脱退後、深夜TVで坂本英三がアニソングループをプロデュースするみたいな姿を見たときに、やはりメタルと一区切りつけた活動をするのかな?そんな気持ちになりました、それだけ力を入れて活動していたのでしょう、今後の活躍を楽しみに、彼ほどの実力者がお茶を濁し続ける事がないよう祈りたいものです。そんな寂しい思いから手に入れたのが今作アニメ『力王』のサウンドトラック、HEAVY METAL ARMYやEASTERN ORBITでの活躍で知られる中島優貴プロデュースの一枚。勿論かれが作曲にキーボードとして八面六臂の大活躍、ギターには今は亡きMAKE-UPの松沢浩明も参加。前13曲入りで内2曲が坂本英三が最初の脱退後に歌いれしたものです。アルバム全般は低予算とは言え中島のプログレ魂が炸裂、打ち込みドラムだしアニメなんで迫力不足は否めませんがシンフォニックなプログレサウンドが流石の一言、その方面が好きな方ならかなり楽しめるでしょうね。お目当ての英三さんが歌う2曲は若々しい声ではありますが、灼熱のヴォーカリストの片鱗を伺わせる熱い喉を披露、ペラッペラの歌謡メタルもグイッと持ちあげてくれます。中島優貴プロデュース能力の高さがとにかく充実度を高めているのでアニメのサントラと侮る事無くマニアなら耳を傾けても損はしないでしょう。