1. 1789 / SILVER MOUNTAIN 2. Invaders / IRON MAIDEN 3. Headhunter / KROKUS 4. Don't Tell Me You Love Me / NIGHT RANGER 5. Rise And Fall / HELLOWEEN 6. Hard Blow / FLATBACKER 7. Bring Me The Night / OVERKILL 8. I'll See The Light Tonight / YNGWIE MALMSTEEN 9. I'll Kill You / X 10. Home Sweet Home / MOTLEY CRUE
日本が誇る泣きの旋律を奏でる天賦の才を持つ男、黒岩靖こと屍忌蛇率いるバンドが2005年にリリースされたミニアルバム。元々がパーマネントなメンバーとも言えなかっただけに、今作の参加メンバーはメジャーデビュー後とは違い、リズム隊は若き新人だしシンガーの瀬戸政彦はメフィストフェレスの工藤恭司率いるCOAT OF ARMS等で知られる割とフレッシュな顔ぶれになる。もの悲しいアコギのフレーズに導かれ泣きながら疾走する叙情派HM/HRナンバーの①は3rdでもリメイクされる今アルバムのリーダートラック、キャッチーな②は攻撃性と幅広い音楽性を伝える2ndにも通ずる魅力に溢れたナンバーだし、インストの③などは屍忌蛇のルーツを色濃く反映した一曲。やや薄味ですがブルータリティ溢れるお約束な④と一気に駆け抜けていき、思わずもっと聴きたいと思わせる渇望感と供に猛烈な物足りなさを覚えるのですが、涙腺を刺激する叙情的なフレーズと淡白ではありますが攻撃性を一切緩めないアグレッシブさは健在、荒涼としながらもどことなく優美でありながら、泣きまくるお得意のフレージングに、やはり胸焦がれますね。屍忌蛇というギタリストの魅力は詰まっていますが、サウンドをプロダクションも含め正直小粒感が否めない一枚、そして個人的にはいかにAIONのNOVがバンドの顔であったかを如実に物語る一枚でもあります。屍忌蛇ファンは勿論ですが、アグレッシブなサウンドと供に泣きたい方にはおススメ出来る一品でしょうね。
哀メロ派必聴の『Two Nights in Tokyo』が収録されているAVEXはBAREKNUKLEからリリースされた3rd。アーティスティックな面を強調しすぎて1stのような哀愁路線との区切りを前作で付け早速方向転換を図った彼らですが、今作では1stの頃のようなメロディック路線の楽曲を大幅に復活、ミュージシャンとしての探究心をくすぐるようなマニアックなナンバーもありますが、『Two Nights in Tokyo』のような耳馴染みの良いキラーチェーンもあり、メロディ派にとっては概ね納得出来る仕上がりとなったでしょう。洗練されたメロディと壮麗なコーラスワーク、叩き上げのミュージシャンだけに、それらを纏め上げる手腕の安定感、派手に自己主張しすぎないバランス感覚の良さは、優等生すぎて少々喰い足りなさを覚えますが、前半と後半では異なるイメージの楽曲を収録する事でロックミュージシャンとしての矜持を保っていますね。そういう意味では本来は後半のような方向性で進みたいのかなと推察もできますよ。
ALEX BEYRODT'S VOODOO CIRCLE 名義で2011年にリリースされた2nd。主役のアレックス・バイロッドさんはマット・シナーとの活動でも知られシナーは勿論、プレイマル・フィアや自身がイニシアチブを握るサイレント・フォースなどで知られるギタリスト。今作ではおもっきりビンテージなスモーキーフレーバー漂う王道サウンドに今のテクノロジーを加味したホワイトスネイク&パープル風のサウンドを披露、ギタープレイもリッチーを模倣するような成り切りぶりを見せマニアならニヤニヤさせられるでしょう。その分ややもすると個性不足が先立ち、今一つ新鮮な気持ちでのめり込めない面もありますが、シンガーのデヴィッド・リードマンの男気あふれる艶やかな歌声がキャッチーな歌メロを力強く歌い上げる様のカッコよさにスケールの大きさを抱かせます。楽曲も充実していますが、ドイツ人的な職人気質溢れるプレイに面白味を感じるかが評価の分かれ目なように感じますね。音質はデニス・ワードが鬼の仕事ぶりを見せてくれているので安心して聴けますね。安定感のあるええアルバムですよ。