Deep Purpleの名曲すらカヴァーした新生ヴェノムの第二弾、予定通りハイエナジーを撒き散らすヴェノム仕様に仕上がっていますよ。アバダン印満載のハイテンションドラミングもあれど、今作は前作以上にドラマ性も高まりアコギノ導入に驚かされたハイエナジーな②などは顕著でしょう。敢えて苦言を呈すと、ドストライク過ぎるアレンジと単純なメロディが淡白に聞こえるし、デモリッションマンも敢えてだと思いますがクロノスに寄せに行っている感じがに気になります。でもそんな事を差し引いても問題のない1991年という時代性を完全に無視した頑固一徹、剛毅な英国風ストロングメタルが貫かれた力作にメタル魂が鼓舞されますね。おそらく彼の事を知らない若い人や、過去の情報に引っ張られない人にこそ聴いて再評価してもらいたいですね。NWOTHMという言葉が生まれシーンに確固たる需要があるからこそ尚更です。いい意味でメジャー感すら漂う普遍の音楽性を提示した今作の新たなる可能性に大いなる期待をしたものですよ。
EARTHSHAKERに参加する永川敏郎とGERARDを結成したデビューを果たした藤村幸宏。その藤村が中心となり、名だたるプログレバンドに参加したメンバー集め新たに結成されたのがVIENNAです。 そのバックボーンから国産プログレ界のスーパーグループと話題を呼んだのですが短命に終わった彼ら、そんな貴重なバンドの1stがNEXUS ROCK LEGEND ARCHIVE COLLECTIONとして復活です。 並々ならぬテクニカル集団と言う事で最初は身構えていたのですが、思いのほか、テクニカルなプレイを封印。優美な叙情性を醸し出す演出はあれど、藤村の歌を前に出した作風をとっており、キャッチーなメロディと、飛翔感溢れるキーボードを武器に、幻想的な世界観を築き上げている。クラシカルなキーボードの合間にクールなリフも飛び出すが、塚本の比重は大きい作りだ。その辺りにハードなものを好む方には少々物足りないと映るかもです。 しかし、このバンドの音には、型にハマったロックの様式など微塵もとっておらず、そのイマジネーションに溢れた自由空間は、やはりプログレ系のバンドとしての魅力に溢れているだろう。日本のASIAでも目指したのだろうか?そんな推察をしつつも、この手のプログレ系に蘊蓄をたれる程の知識も教養も持ち合わせていないので、これ以上の戯言は辞めておきます。
優れたミュージシャンとして知られる藤村ですが、このバンド解散後、LOUDNESSをクビになった二井原実先輩と合流、ソロアルバムやLIVEに参加後、DED CHAPLINを結成。バカテク集団だったが、活動は尻すぼみ、その後X-JAPANのTOSHIのアルバムに参加、楽曲も提供、他にもEARTHSHAKER解散後、西田昌史とGirl U Needを結成するも上手くいかず解散。90年の後半にはVIENNA復活も話題にならず、その後はGACKTと活動していたはずです。
刻みまくるリフはスラッシュならでは、その中に叙情的とも言えるスピーディーなソロパートを持ち込むギターワークの旨味、じりじりとした焦燥感を煽りまくるリズムプレイの盤石さ、スラッシュメタルの攻撃性を見事に補完している。アルバム一枚を残し解散した為に、今や忘れ去られた存在だが、2007年にポーランドのMetal Mindからリマスター再発。そして2018年には High Rollerからも再発されていますので、ベイエリアとは違う欧州ならではの真骨頂を味わって欲しい。
彼らの代表作と言えば次に出た『THEATER OF FATE』となるのでしょうが、今作はあからさまなハロウィーン流儀のスピード・メタルとは違う、ブラジル産のメロディックなパワーメタルサウンドを披露。まだまだ青臭さの残る荒削りなスタイルではありますが、先人達の足跡を影響下にプリースト、メイデン、NWOBHM群といったスタイルの音楽性を巧みに取り込みまとめ上げた手腕は粗さの中にもギラリと光る瞬間が多く(表題曲などはアングラのCARRY ONの原型とも言える)、大味な面はあれどツインギターの疾走パートなどパワフルな演奏は稚拙な面に目を瞑れるほど痛快だ。レコーディング時のメンバーは10代の若者、そんな彼らがわき見をそらさずに典型的なスタイルを極め披露した姿勢は共感できる要素も強く、オリジナルティを研磨したのは2ndで、その集大成がアングラとなるので、個人的には若気の至りにまみれた、何かを突き破ろうとする今作の方が好きですね。ヘヴィメタルのカッコよさの一つには、究極のダサさにあると思っていますので、イケてないのが逆にイケるのです。
前作の手応えを受け手なのか今作は音楽性をより大衆的なものに寄せてきた。とは言え、このバンドらしい情緒のあるパワフルなメロディは健在。前半と後半でイメージの変更を図るなど工夫を凝らしている。④はユーライアヒープも取り上げた曲があるのが、その証拠だろう。デヴィッド・デファイスがシンガーとして一本立ちしたと言える安定したパフォーマンスも功を奏し、非常にバランスの良いサウンドへと変換している。 自動登録にはないが私が知っているヴァージョンは6曲目にThe Burning of Rome (Cry for Pompeii)という楽曲があり、これが実にメロディックかつパワフルなナンバーであり、このバンドの代名詞のようなワクワクドキドキとさせる勇壮さのあるドラマティックな一曲であり、これがあるとないとで大違いだ。 今作は実にややこやしい一枚として知られる。それは90年代に再発されたものは、大幅に楽曲を追加収録、曲順も大胆に変えオリジナル盤とはガラリと試聴感が変る。どれを知っているかで評価も大きく変るだろうが、欧州風味も取り入れたアメリカンパワーメタラーの実力の程に驚かされる。 誰かの批評を永遠に上書きできない偏屈野郎の意見など、もはやイチミリも介入できないクオリティ。一瞬にして溶岩の餌食となったポンペイの悲劇を歌い上げるThe Burning of Rome (Cry for Pompeii)、パワフルな疾走ナンバー Let It Roarという流れに、今作の真の姿を垣間見るだろう。 楽曲のバラエティが広がっているので守備範囲は広い。1988年という時代をタップリと楽しめる一枚になっているだろう。 ワタクシは欠点よりも長所を愛でるタイプなので、今作は今でも年一は通して聴く一枚ですね。
ジャック・スターのプロキャリア最初の作品と言われるバンドの1st。のちに音楽性の違いでバンドを離れバンド名義も引き継げなかった男なのですが、今作ではイニシアチブを握りジャックのギタープレイをフィーチャー、RAINBOW系の楽曲からアメリカンハードありと、わりと典型的なアメリカンメタルをやっています。そこにねじ込まれるジャックが持ち込んだヨーロピアンな感性、のちにマイク・ヴァーニー主催のUSメタルなるコンピ作に提供するChildren of the Stormも収録と将来の有望株として、マイナーリーグでしのぎを削る活動をしていました。なんと言っても今作はデモ音源を叩き台に短気でレコーディングした代物、それ故に、そこまでのクオリティは期待できないが、Still in Love with Youのような大泣かせのバラードあり、男らしいメロディックメタルDanger Zone、バラードの後を引き継ぎ流れ出すドラマ性の高いChildren of the Stormなど質の高い楽曲も収録されている。 古き良きアメリカンメタル、今の主流とはかけ離れたスタイルだが、こういう音を待ち望んでいるマニアにはたまらんでしょう。まだ海のものとも山のものともつかぬ、そんなサウンドってどこか引き寄せるものがありますよね。ワタクシはこういうサウンドに焦がれます。欠点をあげつらうよりも長所を愛でるタイプなので、問題なしなのですが、メジャー流通に慣れている方には厳しいでしょうね。
L.Aのメタルシーンを駆け抜けた本格派のガールズHM/HRバンドのライブ音源。私が知っているのは、ここに登録されているより2曲多く、一つはベースのロス・シェアが唄う、レイ・チャールズやハンブル・パイが有名にした曲であり、メタル系ならWASPが取り上げたI Don't Need No Doctorとスタジオ音源がないと思われるROCK MEが入っている14曲入りの奴です。