オリジナルは1984年にリリースした6曲入りのEPにデモ音源などの未発表曲を5曲追加してNo Remorse Recordsリイシューされたマニアを歓喜させる貴重な一枚。その音楽性は、神秘的と言うのか少々耳触りだが、異空間に迷い込んだような不快な超音波風のSEに導かれ幕が開けるのはStargazerのHeaven and Hell編といいたくなるような楽曲でスタート、そのサバスティカルな雰囲気はありもんではあるが、雰囲気はバッチリ、その後の展開も含め、このバンドが目指している音楽性を雄弁に語る内容となっており、疾走ナンバー『Nightstalker』、神秘的な『Valhalla 』、アコースティカルな響きとミステリアスさがドラマ性を巧みに演出している『Ship of Dreams』とバランス良く進み、思わずサバスの『HEADLESS CROSS』からのアウトトラック集を聴いているような錯覚を覚えるほどの完成度があり、そのなりきりぶりというのか、同系統にあたるバンドとしてはかなり質の高い楽曲を擁しており、しかもバンド名がヴァルハラで北欧神話でしょ、サバスより先にこのテーマ取り上げてるじゃんと驚くし、先見の目があるバンドだなぁと色んな角度から何度も噛みしめる事の出来る優れた一枚です。 EPのラストに当たる『In Her Eyes』も素晴らしいしデモ音源集の⑦曲目以降もクオリティを下げる事無く進み、ミステリアスな暗黒系様式美HM/HRが好きな方は勿論、ロニーからマーティン時代のサバスが好きな人なら手にとって損はしないでしょう。 激レアなマニア中のマニアがオリジナルのアナログ盤を血眼になって探し回ったと言われる貴重な一品。音質的な厳しさはあるが、色んな意味で価値のある一枚かと思いますね。1984年にこの音は、ありそうでなかったもんね。でもアメリカの地で、しかも自主制作でこれを売ろうとしても厳しかったろうね。受け止める土壌が無いわなぁ。
80年代から90年代の頭までシーンを駆け抜けた女性4人による国産スラッシュメタルバンドが、2015年に復活を果たし2017年にリリースした3曲入りのEP。手作り感満載のCD-Rなんですが、子育ても落ち着いて、昔の夢をと復活を果たしたのかなぁなんて思ったりしているのですが、攻めたドキュメンタリーを放送するフジTV系列に彼女達を是非とも密着してもらいたいです。興味あるよ、どういう経緯で復活したのかをね。 デモ時代の音源のセルフリメイクや未発表の音源を掘り起こたりと、当時の勢いをそのままにというか、あまり演奏も上手くなっていないような…でも分離の悪い低音も団子状態でブンブンと唸りを上げながら突進してくる様は迫力もあるし、ドスを聴かせた歌も悪くない。懐かしいノスタルジーを擽る音ではあるが、これは思いで作りの一枚ではない本気度も感じられ好感が持てます。 2018年の4月にはフルアルバムをリリース予定の彼女達、次は時間を掛けてちゃんとした環境で録音してもらいたいですね。こういう音を出すバンドは貴重な存在なのですから。2ndデモからリメイクされたVoid of Heatの掛け声コーラスも懐かしいッス
日本のハードコア/パンクスを語る上では外す事の出来ないバンドTHE COMES。メンバーチェンジに伴いシンガーだったチトセ嬢を中心にバンド名を改名。音楽性もメタルよりのスタイルへと変換。オープニングの『I CAN BELIEVE ONLY MIND』などシンセに導かれスタートと、予想を裏切るようなドラマティックな楽曲を展開、ハードコア/パンクス時代の匂いを消す事に成功と、バンド名を変えてリスタートしたのは気の迷いではないと言う事を高らかに宣言していきます。 ドスを効かせシャウティングする唄もメロディを追いかけ日本的なスタンスでアプローチを掛けてきているのも印象的。メタルバンド的なアプローチとは、チョイと違う作り込も個性となり響いてきます。 80年代中期のGIRLSCHOOL的なサウンドとの類似性もあり、そっち方面が好きな方なら大いに楽しめるでしょう。弾けるジャパニーズパンクロックメタル。懐かしいなぁ。
1. Into the Light - Tony Martin 2. Shame On You- Bert Heerink 3. Tonight - Joe Lynn Turner 4. Rock Me - Paul Shortino 5. Remember Me - Rob Rock 6. Lay You Down To Rest - Mitch Malloy 7. In The Heart Of The Young - Tony Mills 8. Dirty Games - David Reece 9. Down The Drain - Paul Sabu 10. Only 4 Ever - Torben Schmidt 11. Maniac - Michael Voss
1. Voodoo Woman - James Christian 2. Wild Thing - Jean Beauvoir 3. Nightingale - Terry Brock 4. Over And Done - Dan Reed 5. Phoenix Rising - Johnny Gioeli 6. Irresistible - Harry Hess 7. China In Your Hands - Göran Edman 8. Underloved - Robin Beck 9. Slip Away - Steve Overland 10. Love Is Blind - Gary Barden
一聴して感じたのが実に怒りに満ち殺気立った印象を受ける2007年リリースの一品。そのイメージはアッパーな②などにも顕著に表れていますが④のようなギャロップビートが押し上げるメロデイックな展開にはグッときますよね。初期の頃のような猥雑さを廃しつつも、やはり親しみやすいメロディを導入するのが上手く、そこかしこにブラッキー節が聴け、使い古されたと形容されるようなオーソドックスな面もメジャー級の貫禄が全てをねじ伏せ飲み込んで行くから不思議です。本当は頭が良いのにおバカな振りをして「Animal (Fuck like a Beast)」と言っていた頃とは違う面も見せつつも、根底にあるスタンスは変わらない昨今の作風の走りとなる、普遍の魅力溢れる充実の一枚ですね。⑥もエエし⑦もエエよ
1.Still not Black Enough 2.Skin Walker 3.Black Forever 4.Scared To Death 5.Goodbye America 6.Somebody to Love 7.Keep Holding On 8.Rock And Roll To Death 9.I Can't 10.No Way Out Of Here 11.One Tribe 12.Tie Your Mother Down 13.Whole Lotta Rosie
股間にノコギリの歯をつけ、過激なライブパフォーマンスで人気を博したブラッキー・ローレンス率いるW.A.S.Pのデビューアルバム。そのキワモノ系の路線を維持する過激で猥雑な歌詞とワイルドだがポップで親しみやすい音楽性は実に魅力的で(日本人なんでワシは歌詞の意味がわからん)CD化された際には、先行シングルでアルバムには未収録だったAnimal (Fuck Like A Beast)を一曲目にもってきたりと、今作の魅力は倍増。乾いてはいるが欧州的なメロディが映える王道HM/HRサウンドが素直に耳に飛び込んでくる心地よさに満ち溢れている。 ロックの持っているワイルドさと、洗練されたポップセンスと快活な楽曲の数々は聴き応え十分。メジャー感満載ながらも毒気のあるブラッキー節を存分に堪能してもらいたいですね。ゴシップ雑誌並みの話題性を引っ提げ、イメージ戦略を巧みに仕掛けた彼らは、色んな意味でショックロックでしたよ。
1985年にアルバムを一枚残し消えたジャーマンメタルバンドが2008年にCult Metal Classics Recordsからデモ音源を追加して復刻された一品。古き良きメタルサウンドを真っ当に引き継いだ音楽性は、先人たちの影響の影響も大。パープル、レインボーといったリッチーフリークも欧州的な発想そのもの、途中にクラシックからの引用やヨーデルも飛び出し、手を変え品を変え工夫を凝らしている。 全体的に輪郭の甘い音質とミックスの為に、その凄みは伝わらないがライブでは強烈な音を聞かせてくれそうだ。レコーディング直前にヴォーカルのステファン・ニーブリングが脱退、その穴埋めにミック・ウェガを連れてきて急場をしのいだと言われる今作。確かに歌い切れていない感はあるが、それ以前に実力が伴っていないという話もあるが、このバンドが短命に終わったのは、そういった事情もあるのかぁ、なんて思いを馳せながら楽しんでいます。
前作の好評を受け一年後にリリースされた2nd。まずは大幅にサウンドプロダクションが向上、プレイ、楽曲、共にメリハリも生まれ、より剛毅でメロディックなパワーメタルサウンドに移行。その音楽性の根幹を支えるのはギターのコスタ・ヴィレトとベースのに成らずプロデューサーとしても名を連ねるコスタス・スカンダリスなのですが、元Until Rainで現Beast in Blackのヤニス・パパドプロスのパフォーマンスが最大の貢献でしょう。 曲に合わせ表情豊かに歌い上げる彼の灼熱の歌声は、憂いのある熱情型パワーメタルには必要不可欠、バンドの推進力となり、その魅力を発揮しています。楽曲の質と演奏の精度も高まり、本国ギリシャを中心に話題を集める事に成功、直ぐに3rdの制作へと進める事となるのですが、このバンドの新たなる門出を祝うのに相応しいアルバムでしょう。実質1stとも言える快作でしたね。
Plays fingerstyleって…嘘だろうと思わずにはいられない情熱的なリードプレイを聞かせる孤高のギタリスト、コスタ・ヴェルト率いるバンドの1st。シンガーはイタリア人のピエロ・レポラレとアルバニア系のギリシャ人による混合チーム。 少々メリハリに欠ける面はあるが、情熱的なメロディがクールに装うへヴィメタルサウンドを披露。この手の熱き血潮を滾らせる剛毅なHM/HRサウンドが大好きな方なら楽しんでもらえるでしょう。 このバンドが本領を発揮するのは次作以降のなるのだが、彼らの歴史を紐解くうえでもマニアなら一度は聴いてほしい一品ですね。