なんだかんだ言っても短命に終わりCDをリリースしなかった?リップ・ヴァン・ウィンクルは別として、今作購入を機にガーディアンズ・ネイルとムーン・ストラックの作品は購入するも、あのノッペリした表情に乏しい歌声がダメでストーン・エッジだけはフルアルバムがリリースされていたのにスルー。その後コンチェルト・ムーンがメジャーデビューする頃には両楽曲ともリメイクされたのでワザワザ引っ張り出す理由もなく、ラックの奥へと押し込まれる運命になるのですが、数年後、引越しの際にCDを整理をしていると、久しぶりに今作を見つけ、作業のBGM代わりに再生開始となるのですが…当時、最後まで聴くに堪えなかったストーン・エッジの2曲が実は一番、場面展開に拘りを見せ工夫を凝らしている事に唸らされるとは思わなんだ。 ジャーマンライクな曲調ですがUnder the Silenceは実に魅力的な歌メロを用意(ノッペリとした歌声はアレなんですが)ソロではパッと明るくなるメロディを持ち込んだり、もう一つの曲Turn Me onはザクザク刻まれるヘヴィなミドルナンバーで曲中に英語による男女の痴話喧嘩を導入したりと、ありがちな展開に陥らず他のバンドを押しのける個性を発揮しており、当時何故この魅力に気がつかなかったんだと、恥ずかしい思いをしましたね。当然、フルアルバムは手に入らず現在まで至るのですが、くだらない先入観と思いこみが判断を曇らせたと後悔しております。
METAL MASSACREシリーズの中で一番興味を惹かれるラインナップが収録されているのが第二弾。有名になりかけたバンドが多く、知名度的には劣るのかも知れませんが、アーマードセイントで幕が開け、ピロピロギターも懐かしいサードステージアラート、ジェフ・マーティンが歌うパワフルなUS産メタルのサージカル・スティール。コネチカットの雄、我らがマイク・ヴェセーラのオブセッションに日章旗バンダナも眩しいベースがいるプリーストスタイルの正統派サヴェジ・グレイス。クリフ・バートンがトラウマで唯一残したと言われるヴァージョンも聴けたり、ハワイの前はアロハだったんかいと、突っ込まずにはいられないDEMO音源しか残していない女性ボーカルを擁するマーティ・フリードマンの前身バンドのプレイが聴けたりと、個人的には麗しのラインナップです。全タイトルを聴いたわけではないのですが、今作は全体的に出来不出来の差も激しくなく通して聴いても苦にならない魅力なんかもあり、後のシーンの動向や方向性を考えると興味がそそられるメンツが揃っていてシリーズの中では一番手にする機会の多い一枚です。小粒感は否めませんがこれも時代を反映したNWOBHMに対する猛烈な答えなんでしょうね。
1. Iron Maiden - Sanctuary - 2. Sledgehammer - Sledgehammer - 3. E. F. Band - Fighting for Rock and Roll - 4. Toad the Wet Sprocket - Blues in A - 5. Praying Mantis - Captured City - 6. Ethel the Frog - Fight Back - 7. Angel Witch - Baphomet - 8. Iron Maiden - Wrathchild - 9. Samson - Tomorrow or Yesterday - 10. Nutz - Bootliggers
NWOBHMのコンピとしても有名ですがメタル系のコンピとしても優れた内容と役割を果たした1枚。 いまだにシーンを牽引するMAIDENの2曲は別ヴァージョンという事でマニアには食指も伸びるだろうし、②③のSledgehammer、E. F. Bandは『Mausoleum Records』と契約を交わしアルバムをリリースするなど、興味深いメンツがそろい踏み、渋いブルースロックのToad the Wet Sprocket(NWOBHMじゃないような…)、NWOBHMのメロウサイドを代表する叙情派バンドのPraying Mantis、幻のEthel the Frogは代表曲で参加、サタニカルなカラーは一際異彩を放つAngel Witch、涙を搾り取る枯れた味わいのSamson、単音リフの懐かしいNWOBHMな響きのNutzでアルバムの幕が閉じるのですが、多種多様な音楽性が一括りとして紹介されている柔軟性がコンピ作の持ち味として発揮されている点が一番の聴きどころ。 正直今作をNWOBHMの金字塔的な扱いは、楽曲のクオリティや参加メンバーの脆弱さも含め過大評価されている点は否めませんが、新たなるシーンの勃発を告げる意義は大いに感じとれる一枚である事は断言できますよね。 当時の在り方やシーンの歴史を紐解く事に興味がある方なら一度は手にしてほしい一品です。
1. Trespass - One of These Days - 2. Eazy Money - Telephone Man - 3. Xero - Cutting Loose - 4. White Spirit - High upon High - 5. Dark Star - Lady of Mars - 6. Horsepower - You Give Me Candy - 7. Red Alert - Open Heart - 8. Chevy - Chevy - 9. The Raid - Hard Lines - 10. Trespass - Storm Child -
METAL FOR MUTHASの成功を受けリリースされた第2弾。のちにボーカルとギターがBlue Bludでメジャービューを果たすTrespassから2曲。マーク・ストレイスが歌うEazy Moneyの濃厚さ、ブリティッシュで高貴な香りさえ匂い立つXero、手堅いWhite Spiritは陽性ナンバーで参加、NWOBHMを象徴するような曲で名を馳せたDark Starは代表曲で、 Wildfireの前身バンドRed Alertの曲は今作でしか聴けないはずだし、激シブな⑨はJameson Raidのバンド名で知られる中堅どころ、前作と比べるとネームバリューや瞬発力は劣りますが、 Trespassが提供した2曲などまさにNWOBHMだし、ブリティッシュな響きに彩られる時代性を感じさせるには十分なインパクトを残していますね。Metal Massacreシリーズ同様、HM/HR系のバンドがのし上がる様を垣間見る事が出来る一枚としてVOLUMEⅠと共に楽しんでほしいですね。 Eazy Money好きやわ
そもそもNWOBHM自体が日本では正しく伝わっていない。NWOBHM四天王なる妄言、ワイルド・ホーシズをNWOBHMに組み込んだのか世界広しと言えば日本だけだろう。ムーブメントにのり売り込もうとしたレコード会社と、その手先のメディアの悪行だ。 キャリアのある二人をNWOBHMに組み込むなど失礼にも程がある。アイアンメイデンが火をつけたのは間違いない。パンクの台頭により停滞するハードシーン、上手い演奏を競うハードロックバンド、一曲もながいからなぁ。 それとは真逆だったのがパンクだが、スティーブ・ハリスが否定しようともパンクからの影響も取り込み、新鮮な音を届けたメイデン、彼らのスタイルは一つの雛形となり多くのフォロワーを産む。既にデビューをしていたSAXONも2枚目のアルバムではバイカーズロックの称号を得る、Tygers of Pan Tangなど早い段階でアメリカのレコード会社と契約、こういうグループがシーンの中では比較的知名度が高いのだが、いずれもムーブメント勃発前から活動&デビューを果たす、純粋にNWOBHMの影響を受けてデビューしたのが、今作に参加しているバンドだ。
メタルチャーチを世に送り出した事で知られるGround Zero Recordsからリリースされたコンピ作。参加バンドの大半がマイナー過ぎてメイスとメタルチャーチ以外は初見というラインナップに不安もありましたが、聴くに堪えないというバンドはなく流石はアメリカのバンドはレベルが高いなぁと感じましたね。リリース時が1984年と言う事もあり、L.Aの風はまだ吹いておらず、多くのバンドがオーソドックスな正攻法で勝負、NWOBHMの影響も多大にあるが大陸的なグルーブ、清々しい気配もあるが濁りのあるブルージーさなどアメリカンな響きが何とも懐かしく、まだ何者にも毒されない純粋培養されたソリッドなあの音が聞こえてきます。 統一感はあれど派手さに欠け、これと言った決定打がないまま進行するコンピ作にありがちな展開故に初心者には進める事は憚れますが、メイスの『Marching Saprophytes』なんて、ドラムがボーカルを兼任しており、のちのデビュー時とラインナップも違うので興味の惹かれるマニアも多いでしょう(後にシンガーとして収まるカークはここではベースを弾いています)。どう見てもサトウとしか読めないSATOのベースはアリスインチェインズのマイケル・スターだったり、メタルチャーチの『Death Wish』もオリジナルアルバム未収録と思われるので希少価値もありそうですよね。群雄割拠ひしめき合い天下統一を目指しシーンの隆盛を極めんとする各バンドの野心溢れる荒削りな楽曲を前にニヤニヤするのもマニアの楽しみの一つ、1988年にはSPVからCD化もされた一品ですのでマニア筋には引っかかる要素もありですかね
1. Lipstick / Daily Ground 2. Open Fire / Cry for the Nations 3. Koda Kahn / Fantasy & Science Fiction 4. Overlord / On the Edge 5. Rottweiller / Intense as Hell DISC:B 6. Bondage Boys / The Loser 7. Sato / Leather Warriors 8. Strike / Deadline 9. Mace / Marching Sacrifice 10. Metal Church / Death Wish
Disc: 1 1. Crystal Ball - Sacred Heart 2. MessengeR - Kill The King 3. Gun Barrel - Evil Eyes 4. Gloryful - Heavy Metal Will Never Die 5. The Order - I Could Have Been A Dreamer 6. Metal Inquisitor - King Of Rock 'N' Roll 7. Circle Of Silence - One Night In The City 8. Burden Of Grief - Neon Nights 9. Love.Might.Kill - Stand Up And Shout 10. Rebellion - I
Disc: 2 1. Iron Fate - Light In The Black 2. MessengeR - Don't Talk To Strangers 3. Crystal Ball - The Sign Of The Southern Cross 4. Love.Might.Kill - Hungry For Heaven 5. The Order - The Last In Line 6. Gun Barrel - Voodoo 7. Circle Of Silence - Time Machine 8. Rebellion - Kill The King 9. Gloryful - Holy Diver 10. Wizard - Caught In The Act
Various – Sabbath Crosses Tributo A Black Sabbath アルゼンチンのBlackstar Crosses Productionsというレコード会社からリリースされたトリビュートアルバム。 レーベル所属のアーティストを中心とした作りになっていますが、それ以外にもアルゼンチンの至宝Rata Blancaがゲストにグレン・ヒューズを迎えたり、当時はソロだったBarilariが楽曲を提供したりと、気になるメンバーも揃い、選曲の無難さも手伝い。アルゼンティーナなメンツがサバスの名曲をどう料理するかに興味を湧きますよね。 以下参加メンバーと収録曲です
1.Nativo - War Pigs 2.Barilari - Heaven And Hell 3.Plan 4 - TV Crimes 4.Magika - Anno Mundi 5.Rata Blanca & Glenn Hughes - No Stranger To Love 6.Sauron - Zero The Hero 7.Horcas & Andres Gimenez - Children Of The Grave 8.O'Connor - Supernaut 9.Beto Vazquez Infinity - Die Young 10.Los Natas - Paranoid
1. AGENT STEEL - Unstoppable Force 2. DEATH - The Unholy Grave 3. HEATHEN - Heathen 4. POSSESSED - Seance 5. ENGLISH DOGS - The Eye of Shamahan 6. BATHORY - Of Doom... 7. DEATH ANGEL - Mistress of Pain 8. ONSLAUGHT - Onslaught 9. NUCLEAR ASSAULT - Cross of Iron 10. HOLY TERROR - Tomorrow's End 11. SACRILEGE - Insurrection 12. DARK ANGEL - Merciless Death
DISC:A 1. Agent Steel - The Calling / Agents Of Steel 2. Razor - Evil Invaders 3. Bathory - Possessed 4. Helloween - Ride The Sky 5. Living Death - Hellpike (Remix) 6. Sodom - Sepulchural Voice DISC:B 7. Whiplash - Warmonger 8. Iron Angel - Rush Of Power 9. Destruction - Pounding Evil 10. Onslaught - Fight With The Beast 11. Brainfever - Brainfever (Remix) 12. Anthrax - Gung-Ho
前作が成功したのかMusic For NationsがワザワザUnder One Flag レーベルを立ち上げリリースしたコンピ作の第二弾。今作もスピード/スラッシュ/パワーメタル系のバンドが集まり活きのいい楽曲を提供。荒削りな面もあるが、群雄割拠、頭角を現しつつあるニューカマーが凌ぎを削る内容は前作に負けず劣らずの内容を誇りコンピ作としての役割をしっかりと果たしていますね。
DISC:A 1.Metal Marchants / HALLOWS EVE 2.A Lesson in Violence / EXODUS 3.Bestial Invasion / DESTRUCTION 4.Insurrection of the Living Damned / BULLDOZER 5.Fight Fire with Fire / METALLICA 6.Evil Has No Boundaries / SLAYER DISC:B 7.Pentagram / POSSESSED 8.Riders from Darkness / EXCITER 9.Black Metal(new Version) / VENOM 10.War and Pain / VOI VOD 11.Rattlehead / MEGADETH 12.Into the Crypts of Rays / CELTIC FROST
『Music For Nations』から1985年にリリースされたタイトル通りスピード/スラッシュメタル系のバンドを集めたコンピ作。最近ではこの手のコンピ作をすっかり見かけなくなりましたが、当時はわりとリリースされており、色んなバンドを知る意味では貴重なものでした。上記に記入した参加バンドを見ていただくと現存するバンドがほとんどを占め、今作がいかに充実した内用を誇っているかを裏付けているでしょう。EXCITERの曲は2014年リリースのCD化された『Unveiling the Wicked』にボートラ扱いで収録されるまで今作でしか聴けなかったり、VENOMは新録ヴァージョンだったりと既発音源の寄せ集めとは違う趣があるのもマニア心をくすぐるもの、勢いを増すアメリカン市場の中で新たなるシーンの活性化につなげる事はMETAL MASSACRE同様、オムニバスアルバムの本質を突く良質な一枚として重宝され当時のメタルキッズを歓喜させたシリーズものの第一弾でしたね。
※曲順は以下を参照ください 01. FERDY DOERNBERG (Germany) - Soldier 02. AXEL RUDI PELL (Germany) - Warrior 03. ATTACKER (USA) - Fire Down Under 04. WALPYRGUS (USA) - Outlaw 05. SAVAGE MASTER (USA) - Swords And Tequila 06. Angelo Perlepes' MYSTERY (Greece) - Sign Of The Crimson Storm 07. OCTOBER 31 (USA) - Loanshark 08. ALPHA TIGER (Germany) - Flight Of The Warrior 09. STALLION (Germany) - Rock City 10. ROCKA ROLLAS (Sweden) - Riot 11. EVIL UNITED (USA) - Altar Of The King 12. NIGHT DEMON (USA) - Road Racin' 13. DEXTER WARD (Greece) - Running From The Law 14. CRYSTAL VIPER feat. Todd Michael Hall (Poland/USA) - Thundersteel