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失恋船長さんの発言一覧(評価・コメント) - ABC順 11201-11300

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TYGERS OF PAN TANG - Crazy Nights - Running Out of Time ★★★ (2021-08-22 18:54:48)

このバンドの魅力を詰め込みましたねぇ
スピーディーでアグレッシブなメタルサウンドに熱くなります
少々クドイ味付けもわるないぞ


TYGERS OF PAN TANG - First Kill ★★★ (2022-02-12 17:54:57)

ラストの曲以外は1979年から80年にかけて録音されたデモ集。オリジナルメンバーによるレコーディングとなります。ここから1stへ流れる曲もありますが、この初期のメンツならではの英国サウンドの旨味、サクソンなどにも通ずるようなバイカーズロックを楽しめる初期ならではのスタイル、まさにNWOBHM勃興時ならではの英国的ハードサウンドを存分に味わいましょう。
どうしてもジョン・サイクス云々かんぬん言われがちなバンドですが、NWOBHMマニアならば、この時代にも大いに愛着がわくでしょうね。ロブ・ウィアーの味わい深いギターは基本を押さえつつもアイデアを盛り込み新鮮味をアピール、新風を吹き込んでいますよね。ヘタウマの代表格なジェス・コックスの投げやりで自堕落な唄い回しもバッチリとハマりロックしています。
ちなみにラストの⑩はジェス・コックスとロブ・ウィアーが再び合流して結成されたTIGER.TIGERの音源です。マニア泣かせですよね。
でもMCA時代にレコーディングされたデモをNEATはどうやってリリースしたのだろう?色んな意味で危険で怪しいアルバムが、何故かワタクシを興奮させてくれます。


TYGERS OF PAN TANG - Majors & Minors ★★★ (2023-03-10 18:06:12)

ジャック・メイユと作り上げた時代のベストアルバム。2008年から2020年という時代をフォローしているので、最近の彼らを知らないマニアにはありがたい一枚だろう。ヴァージョン違いやアルバム未収録のシングルB面曲もあるのだが、サブスクリプションサービスのマニアには、あまり意味はないかもですが、CD派ならば重宝するでしょうね。

モダンさを無視する事なく、だからといって過去の姿を切り離すほど、薄情な音楽性に傾いていないので安心して彼らの変遷を楽しむことが出来るでしょう。メタリックなリフを基調としたクラシックメタルスタイルは、このバンドの魅力を端的に伝えるモノ、小気味良いリフとグルーブ、どこか煮え切らないメロディも英国らしい魅力に溢れており、古くて新しいTOPサウンドを形成している。

今年新作をリリースする彼ら、昔の姿しか知らない人にこそ聴いて欲しいねぇ。


TYGERS OF PAN TANG - Ritual ★★★ (2022-04-05 13:27:14)

NWOBHM期に優れたアルバムをリリースするも、その後の音楽的な変遷により人気も失墜、そして解散とNWOBHMあるあるをベタに体験したバンド。そんな不遇を味わいながらも再結成後の活動も板についてきたベテランバンドが19年にリリースした一枚。
ミキシングにハリー・ヘス、プロデュースにソーレン・アンダーセンというラインナップも揃え盤石の体制でアルバムを制作、そのおかげで現代的なダイナミズムと質の高いメロディ、攻撃的なメタルサウンドにより深みと情緒を盛り込み、実に聴き応えのある一枚へと仕上げています。スピード命な方には少々、物足りないかも知れないが、安直なギャングランドパート2ではない懐の深い作風は大いに支持できるモノであり、若い感性とベテランバンドの経験が結合した今作は堅実さと野心が共存しており、新旧のファンを満足させる音楽性へと向かっている。
唄を中心としつつもギターワークは耳を惹かせる部分は十分にある、オーソドックスながらミッキーのギターはロブの相棒として大活躍であろう。スピーディーな④が登場するあたりから俄然、勢いも増してきますからねぇ。
古さに埋没しない古典ロックの旨味、新生TOPに興味ある方は是非ともトライして欲しい一枚ですねぇ。


TYGERS OF PAN TANG - Spellbound ★★★ (2021-08-21 19:21:14)

大手MCAのバックアップは充実していたのかプロデューサーにクリス・タンガリーディスを迎えバンドサウンドを拡充。2作目にしてNWOBHMなる枠組みを突破したようなワールドワイドなメタルサウンドを披露。ホワイトスネイクの成功などもあり日本では突出して評価をウケる事になった。しかし、個人的にはホワイトスネイクとの類似性は幾度なく、あんなにモダンでメタリックなアプローチは行っていない。むしろ、ゲイリー・ムーア強めなので若々しい勢い重視のギターは、精度よりも青さが目立つ、それはレコーディング日数などもあるが、ホワイトスネイクで成功したギタリストがいるバンドだからスゴイと言うロジックは苦手である。
今作はもっと違う視点で評価してもらいたい。今の若い人たちの方が客観的な批評になるだろうから心配はしていないが、かつて巻き起こった過剰なサイクス最強論には首を傾げています。
どちからといえばジョン・デヴァリルのチョイカヴァーディル風のエモーションでパワフルな歌声の方がバンドサウンドを何倍にも膨らませた貢献者であろう。

ツインギター編成になり厚みをましたバンドサウンド、そこに前任者とはタイプの異なる完投型の先発投手のような馬力と、スタミナを考え緩急を操るベテラン投手のように完成度の高い歌声を披露したジョン・デヴァリルのパフォーマンス力は凄まじいインパクトを誇りNWOBHM軍団の中では頭一つ抜けた存在感をあらわにした。
ロブ・ウィアーは相棒にイケメンで新進気鋭のギタリスト、ジョン・サイクスに声をかけバンドサウンドを強化、彼のゲイリー・ムーア剥き出しの荒々しいギターを存分に生かしグイグイと前に出てきた。
ちなみにジョンの素晴らしさは押せ押せのギターではなく、やはり若いのにエモーションを込めたプレイが出来た点であろう。そこもゲイリー譲りと言う事でしょう。
唄えるシンガーと手に入れたバンドは音楽性を強化。幅広い楽曲を揃え一枚を通して聴かせるだけの完成度を魅せる事に成功。メンバーチェンジ大成功ですね。歌メロが実に印象的です。二人のジョンの加入はバンドに大いなる可能性を落とし込んだ、個人的にはなによりもスケールの大きさは如実に感じる①も凄いが⑥のリフなんて広瀬聡じゃなくともマネしたくなるゲイリー直系のやつである。
大袈裟抜きに今聴いても凄いなぁという場面が多々ある、プロデューサーであるクリスの目利きもあるのでしょうが、バンドは2作目にして、シーンの新星としての眩い輝きと共に風格を手にした。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage ★★★ (2012-02-27 12:38:41)

1983年リリースの4th。いわゆるジョン・サイクスが抜けたとのアルバムですが、キャッチーで爽やかなハードポップナンバーが聴けるジョン・デヴァリルの唄が中心の作品にシフトチェンジした感がありますね。憂いを帯びた湿り気のある歌声が心地よくメロディをなぞり唄の上手さを再認識させてくれます。英国風の叙情味のあるナンバーも配置し軟弱極まりないスタイルの変貌したわけではなくNWOBHMの衰退にあわせ方転換したといった方がよいでしょうね。ある意味ジョン・デヴァリルあってのバンドと思っているだけに今作の方向性は大いに頷けますね、Ganglandパート2は聴けませんが②のような哀愁のあるメロディを叙情味たっぷりの歌声で唄われるとグッと来ますよね。上手い唄が聴きたいAOR調の甘すぎるのは嫌だと歌モノ過ぎるのを敬遠されるメロディ派にはオススメできるクオリティは充分にクリアしていると思います。


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Lonely at the Top ★★★ (2022-02-11 14:34:14)

オープニングでチョイと躓くのですが
ここで一気に盛り返します
メロディアスはハードポップサウンドはジョン・デヴァリルの歌声によく似合う


TYGERS OF PAN TANG - The Cage - Love Potion No.9 (2022-02-11 14:39:46)

THE CLOVERSのカヴァー
このあたりにバンドのやらされている感を感じますね
かわいそうですねぇ
オリジナルはスーツをビシッと決めた黒人ヴォーカルグループですよ
しかもシングルカットまでされて
お仕事感がハンパないです
初めて聴いたときは心の底からダメだこりゃが出ました
なんだバカ野郎である
オイ志村~次いってみよう


TYGERS OF PAN TANG - The Wreck-Age ★★★ (2022-02-11 14:15:29)

かつて短期間ではあるがジョン・サイクスが在籍していたことでライトリスナーから注目を浴びたバンド。特にサイクスがWHITESNAKEで成功したあとは、逆輸入状態でこのバンドも再注目を浴びた。しかし、ジョンがいた期間はNWOBHM最盛期、その時期に作られたアルバムがいかにもNWOBHM的な魅力に富んでおり、その立役者がジョンと言われた分けですが、実際、ジョンはバンドに発言権はなくイニシアチブをとれるような立場ではなかった。ましてや、加入直前まで活動していたSTREETFIGHTERではヴォーカル兼ギターで活躍、THIN LIZZY丸出しのローカルバンドで、フィルにソックリな歌い方でリジー節を炸裂していた男、TYGERS OF PAN TANGではゲイリー・ムーア直系のプレイを披露、確かにスピーディーなソロワークには目を見張るが、個性に乏しくギターヒーローとしてはこれからの有望株だったでしょう。
このバンドの首謀者はギターのロブ・ウィアーであり、主導権は彼の手にあった。ジョンは助っ人でありメインソングライターではありません。WHITESNAKEで売れたが為に、再評価された辺りからジョン・サイクスがどうのこうのと言われ出しましたが、嘘ではないが正解ではない。何をしてTYGERS OF PAN TANGなのかで見方は変わりますが、名盤『SPELLBOUND』の方向性はプロデューサーのクリスによる影響も大きいでしょう。サイクスではありません。

そんな過大評価に押しつぶされたバンド。もっと言えばレコード会社の意向に負けポップ化(デフレパード化)を強いられバンドは空中分解、NWOBHMあるあるではあるのだが、多くのバンドが音楽性の変遷に対応できずに散ったわけです。それがサイクスの不義理と重なり、誤ったサイクス最強論は流布される形になりました。
まぁアメリカレコード会社と契約したタイミングが運の尽きだったのかも知れません。あの後、もう一枚厳ついのイケたら違う結果もあったのかもですね。

1984年にバンドは一旦活動停止。そして今作はレコード会社もアメリカのMCAレコードからイギリスのMusic for Nationsへと変わりました。なにより参加メンバーが大幅に変更、オリジナルドラマーのブライン・ディック、ヴォーカルのジョン・デヴァリルの二人はいるのだが、ベースはサポート、そしてギターは新生コンビに生まれ変わります。しかもメインソングライターがサポートベースのスティーブ・トンプソン(初期NEATレコード関連に携わる人物、RAVENのプロデューサーも務めています)、前作にあたる『THE CAGE』でも顔を出し、バンドを支えていた人物です。ある意味、ポップ化するバンドの手助けをしたわけですが、今作でも彼のコンポーズを頼りに唄モノ路線を強化、主役はシンガーのジョンの歌声であり、彼はポップスからバラードにハードな曲まで難なく歌いこなし、その存在感をより強いモノにしています。バンドとしての顔が益々イケメンのジョン・デヴァリルに移行していますが、新生ギターチームもコンパクトながら印象的なプレイを持ちいり、このメロディアスかつポップなハードサウンドの中でギラリと光を放ちます。

確かにロブ・ウィアーがいれば出来なかった音楽性でしょう。もはや別バンドの様相ですが、移りゆくハードシーンの中で行われた音楽性の変遷、メロディアスな疾走ナンバー⑤みたいな曲があと、2曲くらいあれば印象もガラリと変わるのですが、ないものねだりですね。甘口な曲も多いですが⑤の次にくる⑥もええのよ。
このアルバム最大の聴き所はジョンの唄です。どんなタイプの曲も歌いこなしていますよ。④なんてジョンの力強さがメリハリを生み単なるハードポップソングでは終わらせていません。
唄モノ系のメロディアスハードサウンドが好きな方なら間違いなく満足して頂けるクオリティを保持しています。参加メンバーによるバイアスを受けない純粋な音楽ファンなら無視しないで聴いて欲しい一枚ですね。何を隠そうワタクシも20年位前まで聴いたこともない一枚でした。今では簡単に試聴できる環境もありますので、メロディ派にはトライして欲しいです。


TYGERS OF PAN TANG - The Wreck-Age - The Wreck-Age ★★★ (2022-02-11 14:23:04)

アルバムでは唯一疾走するナンバー
メロディアスで唄を前に出した軽やかなミックスですが
ライブでは熱く燃えるでしょうね
メタルバンドとしての意地を垣間見した
この路線をもう2曲アルバムに欲しかったね


TYGERS OF PAN TANG - Tygers of Pan Tang ★★★ (2019-11-09 20:43:39)

若かりしジョン・サイクスがいたバンド。そのおかげでNWOBHMの中でも後年、特別な扱いを受けたように感じるが、このバンドは、そんな話題にしがみ付かなくとも十分魅力的な楽曲を届けており、真のNWOBHMマニアなら、サイクス時代以外も存分に楽しんでもらえるでしょう。チョイチョイ集合離散を繰り返してきたバンドだけに、安心できない面も多々ありますけどね。

今の時代を見据えたベテランバンドの一撃、古さに埋没しないが、背伸びをしない余裕のあるサウンドは、実に伸びやかに新生TYGERS OF PAN TANGサウンドを奏でている。またソーレン・アンダーセンやハリー・ヘスの二人がミキシングとマスタリングで参加、二人のアドバイスがあったかは不明だが、メロディの味付けなど、随分とメロディアスで練り上げられているなぁと感じますね。かつての彼らとは確実に違う、細部に拘った音の作りにも耳が行きますね。

肩の力が抜けた自然体のバンドサウンド、英国的な重厚感とポップセンスをバランスよく配合、だからカヴァーソングもアクセントとなり奇をてらった感がない。そして多少インパクトに欠けた楽曲が収録されようとも力技で押し切れる技量があるのもベテランのなせる技なのだろう。


TYGERS OF PAN TANG - Wild Cat ★★★ (2021-08-21 18:58:38)

あのNEATからデビューを果たしたNWOBHMバンド。早々とインディーズシーンから抜け出しアメリカのMCAと契約をもぎ取る。やはりシンガーのジェス・コックスがステージ映えする2枚目だったのが要因だったのだろうか?それとも湧き上がるNWOBHMに対しての青田買いだったのか分からないが、デビュー後、早々にフルアルバムを出してきた。
いかにもNWOBHMな垢抜けないサウンドと倦怠感のあるジェスの歌い回しは独特の味わいがあり、いい意味でも悪い意味でも個性を発揮、これぞNWOBHMな音で溢れている。愁いのあるメロディと荒々しいさが印象的な②からのズンドコベロンチョリズムが炸裂する③なんて英国ならではの味わい、無理にアメリカン使用されていもいないし、メジャー感を漂わせていないサウンドは稀有だと思います。
そんな希少価値の高い初期型NWOBHMならではの味わい、ハードエッジなギターサウンドと男臭いワイルドリズムはマニアの鼻腔をくすぐるでょうね。季節外れの花粉症を呼び起こす正調NWOBHMサウンド、歴史的には次のアルバムと同じくらい価値のある一枚です。やはりこのバンドはロブ・ウィアーあってでしょう。


TYKETTO - Don't Come Easy - Forever Young ★★★ (2013-05-14 19:18:36)

沸々と青白い炎が燃え上がるメロディアスなHM/HRナンバー
メロディがいいね


TYKETTO - Don't Come Easy - Wings ★★★ (2013-05-14 19:22:16)

洗練されたアメリカンロック
でも媚を売り過ぎないのがカッコいい
良く出来た一曲ですね


TYRANEX - Extermination Has Begun ★★★ (2017-02-06 13:42:09)

ギターも兼任する女性シンガー、リネア・ランドステット率いるスピード/スラッシュメタルバンドが2011年にリリースした1st。彼女のハイピッチでスクリームする迫力満点の歌声と、スピード重視の過激でアグレッシブな楽曲の持つキレ味たるや、ゴリゴリと掻き鳴らされるギタープレイと北欧はスウェーデン出身ならではのメロディが混然一体となり迫ってくる破壊力に恐れ慄き、ビリっとした空気感に身が引き裂かれそうです。
90年代に歌モノロックを嗜む事を覚え、フニャフニャのマイナーメタルなどを聴き日々を過ごす、オッサンの良識を嘲り笑い、蹂躙するようなリネア嬢の歌声とギタープレイに魅了されますね。
ソリッドなリフワーク、性急なビートがドライブする様の破壊力、ラフなパワーを内包しつつもメロディを蔑にしない曲作りの巧さにHM/HRの持つカッコよさを堪能させてもらいました。


TYRANT - Legions of the Dead ★★ (2015-10-04 15:05:05)

タイラントというバンド名は多く英国やドイツ、我が日本にもいましたが、彼等はメタルブレイドから世に送り出されたカルフォルニア出身のUS産HM/HRバンド。ジューダス・プリーストの曲をバンド名にすると言う事で聴く前からの期待値は高まりますが、クセのあるハイトーンシンガーを生かしたダークでメタリックなサウンドを披露、テクニック的にも申し分ないバックを従えヘヴィメタルの概念を保持しているものの無難な出来栄えが好みを分けそうですね。そのミステリアスかつダークな曲調はUS版のマーシル・フェイトと言われカルト的な人気を博していましたが、あそこまでの凄みや緊張感は感じられなくとも、何とも言えないザワザワとした奇妙な感覚にとらわれるのは背景に浮かぶ悪魔崇拝主義的な歌詞と曲調を元にしっかりとしたコンセプトを踏襲しているからでしょう。アコギを生かしたドラマティックな④なんてUS産ならではの味わい、このようなホラーメタルでも湿らないのが逆に凄いしお国柄が出ている。


TYRANT - Ruling the World ★★★ (2018-06-08 13:47:07)

タイラントというバンド名は有名無名に関わらず沢山ありますが、こちらはドイツのツインギター編成5人組によるパワーメタルバンドがリリースした4枚目のスタジオアルバム。剛毅なリフワークと屈強なリズム、そして本家程の迫力はないが地響きコーラスもありと、同郷のACCEPT風味もあるが、いかにもドイツらしい生真面目な正統派HM/HRサウンドで勝負。
随所に切れ込んでくるツインギターの鮮烈なソロもさることながら、欧州由来の叙情味を含んだメロディと、パワフルさの掛け合わせに1988年という時代を猛烈に感じます。低予算サウンド故の薄い音質による歯ごたえのなさが、バンドの本来の魅力を伝えきれていないが、ときにはノリノリのロックナンバーも挟み、硬軟バランス良く配した男臭いメタルサウンドには、大いに関心を惹かされます。洗練されすぎたメジャー級のメタルにチョイと飽きてきたマニアには、是非ともススメたいですね。


TYRANT - Running Hot ★★★ (2019-08-14 14:20:24)

かの有名な商業誌にて60点台のレビューの割には、内容の無いやっつけ仕事に終始した内容で知られるジャーマンパワー/スピードHM/HRバンドの3rd。
同郷のACCEPTの影響は勿論だがJP仕込みのストレートなサウンドは、個性薄だが勢いがあり、本家のような大げささもないかわりにドカーンと一気に聴かせてくれます。真剣に耳を傾けなくとも、その勢いと馬鹿パワーは、なかなかどうして楽しめるじゃありませんか、低予算だしレコーディングに時間を割いていないからアラも目立つ。それでも、つんのめってズッコケル前のめりのスピードナンバーには、このバンドの目指す姿勢がハッキリと組みとれる。愛するモノを健気に追い求める姿、これもメタル愛の表れだろう。


TYRANT - Too Late to Pray ★★★ (2015-10-04 15:23:49)

US版マーシルフェイトと言われた彼らが1987年にリリースした2nd。音質も前作より向上していますがバンドのアンサンブルがより強化された事が音に厚みをもたらし前作以上にギターも印象的なフレーズを持ち込みよりミステリアスかつダークな面にメリハリが付き効果も倍増、アグレッシブなスピードナンバーから情念は薄いがおどろおどろしい曲までしっかりとこなしています。特にシンガーのアプローチも変わり、前作では意味無くハイトーンをかまし、肝心のキメではそうでもない感じでイマイチのめり込めないのですが、今回はその辺りを反省した歌い込みが成され不安なく曲に集中出来る。タイトでメタリックなリズムの上を駆け巡るシャープなギターとパンチの効いた唄は十分な説得力を増しホラーメタル系バンドならではの妖しげな世界観を存分に体感させてくれるでしょう。ガッチガチでゴッキゴキのバッキバキな鋼鉄サウンドはまさにヘヴィメタルそのものカルフォルニア出身とは思えない欧州的な翳りとシリアスな世界観を踏襲した姿はタイプは違えどマノウォー辺りと比較しても遜色ないでしょう。比類なきマーシル・フェイトサウンドと比較すると、あそこまでの深みは無いが、それはおそらくお国柄の成せる技のようが気がします。1stより全てにおいてビルドアップされた今作、レザー&スタッドに身を包んだスタイルとジャケットワークから漂う怪奇な雰囲気は存分に楽しめるでしょう。時代は1987年浮かれつつあるシーンの中で確固たるコンセプトを貫いた今作は正統派のHM/HRが好きな方には聴いて欲しいですね。一部のマニアだけが愛でるカルトバンドでは終わらない魅力がありますよ。


TYRAN′PACE - Long Live Metal ★★ (2008-05-29 12:37:00)

ロブ・ハルフォード直系のVo,ラルフ・シーパースがかつて在籍していたドイツ産パワーメタルバンドの2nd。頭から剛球一直線なナンバーが小気味良く疾走しだれる事なく一気に聴かせてくれる。タイトなドラムがカッコよく、ド派手なギターソロと相俟って懐かしい時代を想起させてくれる。Voの声質や楽曲等にジューダスを意識した部分は見受けられるがたいした問題ではない、むしろこの次元まで表現出来る事の方が素晴らしい、パワーメタルマニアなら必聴でしょう。頭二曲のカッコよさに悶絶ですね


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Hot to Rock ★★ (2008-05-29 12:59:21)

キャッチャーなメロが耳を惹くノリの良いミドルナンバー


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Killers on the Highway ★★ (2008-05-29 13:10:22)

アルバムのラストを飾る小気味の良いリフがカッコイイ疾走ナンバー


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Law and Order ★★ (2008-05-29 12:54:05)

単純明快正統派のHM/HRナンバー
サビの男臭いコーラスに拳を握らずぬはいられませんね


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Night of the Wolves ★★ (2008-05-29 13:05:14)

哀愁のあるメロディが聴けるミドルハイなパワーメタルナンバー


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Play All Night ★★ (2008-05-29 12:50:36)

プリースト直系のHM/HRナンバー
僕はこの時代ど真ん中なのでこの手の分かり易い
派手なギターソロがたまらなく好きなのです
分かり易いメロとハイトーンが心地よいですね


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Raid the Victims ★★ (2008-05-29 13:08:00)

分かり易い歌メロとメロディを伴って疾走する正統派のHM/HRナンバー


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Red Sweat ★★★ (2008-05-29 12:47:23)

ザクザクと刻まれるギターリフと抜けの良いドラムの音がカッコ良いキャッチャーな唄メロが印象的な疾走ナンバー
サビにおけるハイトーンにグッと来ますね
ギターソロは派手な方がカッコイイ
懐かしいなぁ


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Shakedown ★★ (2008-05-29 13:02:13)

タイトなリズムプレイとギターリフがメタリックな質感を感じさせるミドルナンバー
どの曲もそうなのですがしっかりとしたメロディがキチンとあるから様に成っているのです。


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Shockwaves ★★★ (2008-05-29 12:42:57)

ド派手なドラミングが耳を惹きます
ラルフの唄もロブ丸出しで衝撃を受けました
待ってましたと言わんばかりのギターソロに悶絶です
古き良き時代を伝える小細工無用のHM/HRサウンドですね


TYRAN′PACE - Long Live Metal - Wheels of Love ★★ (2008-05-29 12:56:16)

2分弱で終わる疾走ナンバー
コンパクトなギターソロにサビのハイトーン
シンプルなリズムプレイ…懐かしいですね


TYRAN′PACE - Watching You ★★ (2008-11-12 14:37:00)

1986年リリースの3rd
前作のスピーディーかつパワフルな楽曲が目白押しでJPの正統的な後継者と思わせる作風から一転、落ち着いたメジャー感の強い作風に転じた今作は80年代中期の背景にあるメタルバブルがそうさせたのでしょう。
トミー・ハンセンのプロデュースがなせる技なのでしょうか角がとれたマイルドなHM/HRサウンド方向転換、そこが評価の分かれ目でしょう。


TYRAN′PACE - Watching You - Cry Out ★★ (2008-11-12 14:20:45)

パワフルかつメロディアスな正統派のHM/HRナンバー
懐かしい臭いがするなぁ
頑固一徹なアレンジもジャーマンらしい


TYRAN′PACE - Watching You - Fire in Your Eyes ★★ (2008-11-12 14:27:51)

高低の音域を駆使し歌いきっていますね
メジャー感のあるお約束な疾走ナンバー


TYRAN′PACE - Watching You - Get Down ★★★ (2008-11-12 14:18:58)

ザクザクと刻まれるギターリフがカッコイイですね
王道を行く正統派のHM/HRナンバー
ラルフの中音域を生かした歌声もはまっている


TYRAN′PACE - Watching You - Hands in the Air ★★ (2008-11-12 14:23:16)

ラルフのハイトーンが突き刺さるノリの良いミドルナンバー


TYRAN′PACE - Watching You - Matter of Time ★★ (2008-11-12 14:25:18)

適度な疾走感か心地よいですね
ロブ・ハルフォードを彷彿とさせる唄が本当に凄いな


TYRAN′PACE - Watching You - Saints of Rock ★★★ (2008-11-12 14:29:12)

メジャー感のあるメロディアスなミドルナンバー
音楽性の変化に驚かされたが良い曲だ


TYSONDOG - Beware of the Dog ★★★ (2019-03-17 17:02:59)

英国はニューキャッスルを中心に活動していたNWOBHMバンドが1984年にリリースした1st。オープニングから切れ味鋭い疾走ナンバーで幕開け、妖しげなメロディが激しく切れ込んでくる様に悶絶。その過激さはプレスラッシュといった迫力があり、早々にグイッとスピーカーに齧りつきそうになるくらい前かがみにさせられます。
どこか煮え切らないが哀愁を帯びたメロディがクールなのにグツグツと沸騰していたり、シャープなのにドンヨリ系のリフなど英国風味満点。これほどの名盤が何故、当時話題にならなかったのか不思議なのだが、雑誌のフォローがなかったというのが一番大きいのだろう。時期的に下火になったNWOBHM、もしこの作品のリリースが2年早ければ、このバンドの価値や歴史は大いに変わっていたろう、攻撃的なドラミングの破壊力たるやね。またレーベルたるNEATのブン投げ仕事がロクなフォローもせずにほったらかしのせいも絶対にあると思うのだが、当時の状況がいかなるものだったか興味も尽きません。
今となってはNEATの落としだねとして、歴史に埋もれているのですが、アッパーな楽曲の持つ破壊力と速さを競うだけではない疾走感、英国的な様式に彩られたパワフルなスピードメタルのクールなキレ味に、今なお大きな刺激を受けますね。


TYSONDOG - Crimes of Insanity ★★★ (2019-11-06 16:42:21)

遅れてきたNWOBHMと呼ばれる1986年リリースの2nd。鋭角的に切り込まれるリフワーク、ド派手に打ち鳴らされる攻撃的なリズム、元気一発のコーラスワーク、そして過激な演奏に負けない熱を帯びたクールヴォイス、このプレスラッシュと呼べるスピーディーかつメロディのある楽曲は、まさにNWOBHMの流れを明確に受け継いだものだろう。NEAT謹製の不明瞭な音質が、なにもかもをブチ壊している感はあるのだが、その生々しい粗さが聞き様によっては、過激さを倍増していると取れなくもないのがポイントだろう。
レーベルの性質を理解している身としては不満はもはやないのだが、初見の方は相当驚くでしょうね(このバンドに限らずね)前作から比べると、落ち着きを払ったヘヴィネス路線も増え、全てにおいて成長の跡も見受けられる、それだけに今作を残して解散したのは残念で仕方がないのだが、英国の憂いを纏ったパワフルサウンドをお探しの方なら、大いに喜んでいただけるだろう。⑤のSchool's Outはアリスクーパーのカヴァーです。


TYTAN - Justice: Served! ★★ (2019-12-09 18:54:10)

Angel Witchのベースだった、ケヴィン・リドルスがドラムにJPのレス・ビンクスにカル・スワンらを加え活動していた事で知られる伝説のNWOBHMバンドの復活作。特に局地的に日本で人気があったのは、カル・スワンがいたからだろうが、そんな人気にあやからなくとも幻と謳われた1stは魅力的な作品だった。
今作にカル・スワンの名前は無いが、プロデューサーにクリス・タンガリーディスを迎え、往年の空気を纏ったリアルNWOBHMサウンドを披露している。愛想など良くなくとも、裏切りのない伝統的英国スタイルの継承。好きモノにはたまらないとなるのでしょうが、歌い手のパフォーマンスに不満を感じるマニアも多いでしょうね。過去の復刻盤であれば、こんなものと受け止めるのですが、新たなる門出となるともう少し表現力のある歌い手を所望したくなるのが、マニアの性と言うモノですが、これは趣味嗜好の問題ですので、前作を気に行った方なら、順当に引きついだ2枚目のアルバムとして、何の疑いもなく受け止める事が出来るでしょうね。
新たなるフレーバーを振りかけようとも、咽び泣く英国叙情派メロディ、そしてメタリックな攻撃性、堅実な出来栄えに安心して身を任せる事が出来ますよ。


TYTAN - Rough Justice ★★ (2008-10-19 14:40:00)

叙情的なメロディと英国らしい威厳に満ちたサウンドが魅力のTYTANが残した唯一のアルバム。2004年にメジャー流通された時は本当に嬉しかったですね
湿り気たっぷり憂いを帯びた歌唱を聴かせるカル・スワンのベストパフォーマンスを堪能出来る作品でもありますね。NWOBHMの流れを組むドライブ感のあるサウンドが懐かしくもあり伝統的な英国産HM/HRの精神性を継承する姿に焦がれます
古典的なスタイルに興味のある方は是非とも試して貰いたい作品ですね


TYTAN - Rough Justice - Blind Men & Fools ★★★ (2008-10-19 15:01:13)

荘厳なイントロと美しいコーラスに導かれ始まるアルバムのオープニングナンバーにて今作のハイライト
転調してからテンポアップする所がいいねぇ


TYTAN - Rough Justice - Cold Bitch ★★ (2008-10-19 14:55:37)

ハードにドライブする英国産HM/HRナンバー
地味だが好きですね


TYTAN - Rough Justice - Far Cry ★★★ (2008-10-19 14:47:22)

湿り気を帯びた叙情的なメロディが耳を惹く哀愁の疾走ナンバー


TYTAN - Rough Justice - Forever Gone ★★★ (2008-10-19 14:52:33)

高速回転するギターリフが好きですね
メロディアスな歌メロもカル・スワンの憂いを帯びた喉と相俟って極上の泣きを発散する
この曲も全篇にわたり英国的な魅力に満ち溢れている


TYTAN - Rough Justice - Money for Love ★★★ (2008-10-19 14:58:40)

叙情味溢れる哀愁のあるミドルナンバー
メロディアスな唄メロがいいですね


TYTAN - Rough Justice - Rude Awakening ★★ (2008-10-19 14:44:58)

暗く湿った英国らしいミドルナンバー


TYTAN - Rough Justice - Sadman ★★ (2008-10-19 14:49:30)

英国的な伝統すら感じさせます重く暗いヘヴィバラード
ファルセットのパートの可憐さとミステリアスさが絶妙


TZIMANI - I Feel Fine ★★★ (2024-11-17 17:13:31)

エディとセバスチャンのバスケス兄弟によるメタルプロジェクト。ドラムを担当するセバスチャン以外のパートはエディが担う方式ですね。ありがちなメタルプロジェクト。もはやテクノロジーの発達は目まぐるしい進化を遂げており、以前よりもズッと楽に録音することが可能。そういうテクノロジーの恩恵があるからこそ、お金も掛けずに簡単にレコーディングができて、才能さえあれば容易に作品をリリースすることが可能。現在は配信のみというのも現代らしい。

アイアンメイデンを初めにメタルの聖典に則ったマナーはまさにNWOTHMというスタイルそのもの、先人達の足跡を見定め古典サウンドを思いっきり踏み鳴らしている。なので、○○に似ているや、まるで○○だなどと、類似性をあげつらい、得意げになる自意識過剰な、いかにもライナーノーツ読み込んでいますなメディア論者は出入り禁止。

こういう古典を楽しみ作法を知らないと言うのはある意味可哀想ですが、相手には出来ません。正統派メタルとは似て非なるものを、どの角度と切り口によって構成するのか、押えるところは押え、自分たちの目指す方向性を明確にすることで指示が得られます。このバンドのご多分に漏れず、その王道路線を堂々と闊歩することで自らのアイデンティティを誇示、正統派メタルファンを大いに喜ばせるでしょう。

アメリカのバンドですから湿り気はありませんが、叙情味のあるメロディを奏でリリードギター、ザラついた歌声は専任シンガーではないので強弱という点では一歩劣るが、けしてクオリティを下げるモノではありません。ドラムはシンプルだが、ツボを押えたプレイで堅実なサウンドをより、強固な枠組みに仕上げており、硬軟交えたサウンドを支えている。

有名無名国籍問わず世界中に有数なバンドは数多います。問題は自分がなんに興味をもって音に触れているのかに尽きるでしょう。毎月発売されるメディア情報に踊らされる老害にはなりたくない。


Takashi - Kamikaze Killers ★★★ (2016-03-26 15:33:13)

NY出身の5人組によるEPが今年に入り復刻、元は4曲入りでしたがCD化に伴い、あのMausoleum Recordsからリリースされたオムニバス『Metal over America』から2曲プラスにデモ2曲追加の8曲入りで2016年2月にリリース。ずっと忘れていたバンドだったのですが、今から4~5年前に懇意にいしていた貴重なメタル仲間から『タカハシ復活したぞ』と一報が入る興奮しすぎてタカシをタカハシと言い間違えるくらいのビックニュースなのかは分かりませんがドエラいテンションが高かった事を思い出します。そして何の復活だったのか?今持って知る由もないのですが、数年後こうしてこの作品がよもや世に出るとは…共有できるツールが増えた副産物の成せる技なのか恐ろしい時代になったなぁと感慨深いものがありますね。誰も知らんし誰が買うねんである。復刻に合わせ久しぶりにオムニバスを引っ張り出し『Kill Or Be Killed』を聴いたのですが、紹介文にあったヴァージンスタイルロックという文言に、そんな音楽性だったかいなぁと思いを馳せながら購入を決意。その成果はマイナーメタルもマイナーな世界観、ボン・ジョヴィ感覚で付けたのかタカシというバンド名、そのオフザケ感とは裏腹な見た目はグラマラスなんですが、意外と硬派で真っ当な音楽性に、なんとも言えぬヌルッとした感覚を味わう微妙な空気感の一品。平坦な音質のせいもあるがフックに乏しい歌メロと単調なリフワークとリズムなど片目閉じて聴い貰わなんとイケないような作品なんですが、マイナーメタルマニアの血が騒ぎ、こんな所が好きだと、マイナス部分よりも自分の好みに合わせアジャスト出来るストライクゾーンの広さに恨み節も出ます。行列のできる名店に並び、せっかく食べる機会に巡り合わせたのに、定番メニューを外すヘソ曲りな真のカブキ者を自負する猛者限定の一品ですね。


Tantrum - Trenton City Murders ★★★ (2022-11-16 15:05:19)

1986年に4曲入のEPをリリースして消えた幻のUS産正統派メタルバンド。今作は2016年にあのCult Metal Classics Recordsからデモ音源やライブ音源など未発表曲も大量に追加されてリリースされた一枚。オリジナルのアナログ盤が高価なレートを維持していただけに、この復刻はマニアにとってはありがたい出来事でしたね。
鐘の音が裏で鳴るオープニングナンバーが示すようにダークでメタリックなサウンドを主体としたガチンコ正統派メタルを展開、一切、媚びへつらう事の無いサウンドは、本来のアメリカンメタルとはこうだったんだよと言いたげなスタンスを見せつけています。
時代はメタルバブルに沸き起こる1986年です、受け皿なきシーンもさることながら弱小レーベルでは太刀打ちなど不可能でしょう。

メロディアスでダークなメタルが好きな方ならば大いに楽しめるでしょう。また、このバンドがレアというだけで高額なレートはつきません、その質の高い音楽性があればこそ、インディース盤というのを割り引かなくても、そのガチンコな精神性には強くメタルスピリットを感じますね。光沢艶めかしいパワフルなメタルサウンドの凄み、本編4曲の強烈さに耳を奪われるのですが、それ以降の12曲も激レア感がエグいので、マニアにとってはありがたい一枚です。とは言え、音質的に厳しい面は多々あります、とくにデモや未発表曲に関しては、板起こしかと思うほど、厳しいモノがありますので、コレクターアイテム的な満足度なんでしょうけどね。
もっとしっかりとした音質で聴きたいと思わせるクオリティ、こういうバンドが世に出られなかったのは残念ですが、運も実力の内なんでしょう。それにしてもCult Metal Classics Recordsはマニアを散在させるレーベルですね。


Temple Balls - Traded Dreams ★★★ (2018-02-17 15:11:10)

フィンランドの若手4人組による記念すべき1st。いろんなところで語られていますが、ハノイロックスやガンズ、モトリー、スキッドロウなどのワイルド系のロックサウンドを下地に、いかにも北欧らしい糖度の高い甘美なメロディが優美に彩る、活きの良さが満載。どの曲もシングルカットされてもおかしくない快活さに、思わず身体が勝手に動き出すのですが、80年代のメタルを堪能した人には懐かしくもあり、今の若い人にとっては逆に新鮮な響きになるのでしょうかね。
ポップでキャッチーさも豊かだが、ギターオリエンテッドな作風に終始しているので、歯ごたえは十分にありますよ。

それにしても、ここ数年のリバイバルブームには本当に驚かされる。この音が2017年の年末にメジャーレーベルからリリースされるんだからね。しかも北欧でしょ。一頃はメディアから伝わる情報は皆、メロデスばかりだったからね。
勝手に亡きものにされそうになった、古典的ロックサウンドが今、こうして新時代に高らかに鳴らされているのが、好みであろうとなかろうと心底嬉しいです。
この手の音楽の復権はブームではなく、メタルシーンの成熟そのものなんだろう。


The Fast Forward Music Project - Excalibur - Back to the Highlands ★★★ (2018-05-11 18:21:01)

映画『地獄の黙示録』やM.S.GのライブSEとして有名なワーグナーの『ワルキューレの騎行』
それをロック風にアレンジした一曲
歌うはジョン・ロートンですよ
悪いわけがないでしょう
澄み切った力強く伸びやかな歌声で魅了
流石です


The Fast Forward Music Project - Excalibur - Set the Wold on Fire ★★★ (2018-05-11 18:27:56)

こちらはドヴォルザークの『新世界』
歌うは我らがジョン・ロートン
彼の歌が始まってから一気にヴォルテージも上がりますよ
もうチョイロック色が強い方が好みですが
ロートンは何を歌っても上手い


The Hensley / Lawton Band - The Return ★★ (2020-11-07 15:44:52)

バンド名を見ればお分かりかと思いますが、HEEP黄金期を支えたバンドの頭脳、ケン・ヘンズレーと稀代の名シンガージョン・ロートンが再タッグ、そこにポール・ニュートンも加わり、世に出たのが今作。
名目がファンの集いですから正直、同窓会的な緩さもあるのだが、ここはノスタルジーに乗って思いっきり楽しんでもらいたい。細かいことを言わずに、楽しんだもの勝ちである。
このメンツが集まれば期待されるのはHEEPの再現となるわけですが、その期待を裏切らない選曲&プレイで魅了。

衰え知らず、ロートンのクリアーで伸びやかなパワーヴォイスに酔いしれますが、やはりケンは唄を歌いたがります。そりゃ、自分のソロ時代の曲だからね、歌っていいんだよ。でもね、あれだけ歌えるロートンいるんだから、自分のパートも譲ったらと思わずにはいられません。でもそれをやるとケン・ヘンズレーでなくなりますからね。
でもケンに思い入れのない若い人なら、首を傾げたくなるでしょう、それがケン・ヘンズレーなんですよね。

ケンとロートンの二人には確実にマジックが存在します。正直、この二人で本気の新作音源が聴きたくてたまりません。そんな期待を渇望させる魅力があります、それだけに、今となっては実現不可能になったのが残念。惜しいわぁ。無念ですね。


The Man - Ultimate Formation ★★★ (2019-07-17 21:03:55)

ANTHEMのつづりをもじった柴田直人を中心とする究極のカヴァーバンドがTHE MANである。参加メンバーはANTHEM組に島紀史、小野正利、YUHKIという柴田直人のメガネに叶う実力者を迎え入れライブを敢行。今作はそのライブをパッケージした一枚だ。

THE MAN自体が究極のトリビュートバンドという立ち位置の為に、全曲カヴァーとなっているが、これが興味深い。ある意味、ベタ過ぎて避ける曲などが中心の為に、いささかフレッシュ感は少なめとなっているかも知れないが、個人的には逆に、ここまで素直な曲が多いと興味も倍増。ANTHEM組がJPの曲をどう料理するのか楽しみで仕方がありません。柴田直人の趣味嗜好を考えれば以外ではないのだが、やはりHEEPのJULY MORNINGなど、キーボードのYUHKIなしには成り立たない予想外のカヴァーもあり興味は尽きない。

ベタだが、それらをバカテク集団が真摯に取り組めば、そのクオリティの高さとライブならではの臨場感が激しいエネルギーとなり放出、聴いているコチラもライブを体感しているような生々しいミックスにおかげで大いに楽しめました。

CD1枚目のラストに収録されたA LIGHT IN BLACKの壮絶なるカヴァー大会に悶絶。取り上げたらキリがないほどハイライトが多い。聴く人に趣味趣向が大いに反映される選曲&プレイの数々に熱いものがこみ上げてきますね。これほどのキャリアのあるベテランが、ここまでド本気のカヴァーを叩きつけてくるとは、ワタクシは感動を覚えています。2枚目のオープニングはTHIN LIZZYですよ、どちらも大好物な2曲。とくにCOLD SWEATは死ぬほど好きですね。それに華を添えるのが清水と島のツインギターだもんねぇ。贅沢な話です。

怒涛の展開はラストまで緊張感が殺がれる事無く驀進。これぞライブアルバムだし究極のトリビュートバンドと言えるだろう。もっとゲストを増やし、お祭り感も演出出来たはずだが、それをやらなかったのも、柴田直人のエチケットと言ったところだろう。恐れ入りました。

清水明男がマイケル・シェンカーをガチカヴァーってのもマニアにはたまらんでしょうね。森川と小野が唄うDPのBURNも贅沢だ。

かつて柴田直人プロジェクトの名前で活動した事がありました。そこにはシンガーの座にSABER TIGERの下山がいましたね。次はスタジオなりライブでも良いので、多彩なシンガーを迎え一発かまして欲しいです。日本には、まだまだ過小評価されっぱなしのアーティストが多いですから、ギターチームもドラムもベースもTHE MANの名のもとに光を照らして欲しいです。


The Marcy Band - The New Old World ★★★ (2022-06-25 18:03:38)

EARTHSHAKERの西田昌史がバンドの顔となるロックグループ。マーシーとは縁のある若いミュージシャンを従え実にフレッシュな感性を落とし込んだ普遍的なハードサウンドと展開している。正に『THE NEW OLD WORLD』という事だろう。
昨今流行の男女ツインヴォーカルの相方を務めるのは奈良井恭子ことgi-na。ギターはマーシーと縁の深い、峰正典。ベースは天才少年としてメディアにも取り上げられたKenTも18才に成長、ベースはFIREさん、このリズムセクションがタイトでクール。熱き感情を込めつつもビシッと決めてくれます。なんと言っても生身の人間から叩き出されるグルーブが心地よい。

若々しい感性を秘めたのはギターワークによる貢献も大きい、峰のプレイは基本を押さえつつも大胆に多様な音楽性を取り込んできた。マーシーのオールドスクールなメロディと、若いミュージシャンを繋ぐ峰さんの存在感、この熟成度の高い音楽性に貢献していますね。ギタリストなら真似したくなる美味しいプレイも多いのがポイント。上手いってのは武器でしょうよ。gi-naさんもメインヴォーカルを担当する曲もあり、マーシーだけじゃないという主張を叶えたのもバンドの可能性を広げています。
良くも悪くもマーシー節というメロセンスに、昭和を感じる趣もあるだろう、そのあたりが若い人にどう響くのかは分からないが、一周回って新しいとなれば成功なのだが、今作のリリースが2016年、その続きがないところを見ると上手くいかなかったのかな?
上手い歌とノリの良い楽曲、どれもがハイアベレージを刻んでいるので今でも十分に通ずるハイブリッドなロックサウンドを奏でています。少々、早かったのかも知れませんね。メタルコアではありませんが、ネモフィリアなどで興味を持ったファンにも訴求するような親しみやすさがありますね。


The Slam - Hit It! ★★★ (2016-08-01 14:48:59)

カナダ産の4人組が2011年にリリースした1st。ビンテージ臭漂う埃っぽさと原始的な感覚を呼び覚ますグルーブと渋いところとついており、①②とその押しの強さをアピール、③④と爽快なメロディを放り込んだナンバーを収録したりとそっち方面なのかなぁと思わせつつも、中盤からはまた違った面も魅せストレートで豪快なノリの楽曲も目立つ仕上がりと一枚の中に色んな顔を飾り立てていますね。その中でザラついたハスキーヴォイスは男臭さとセクシーさをアピール、フロントマンとしての重責を見事に果たしており、②ではヴォイス・オブ・ロックでお馴染みのグレン・ヒューズがゲスト参加でリードボーカルを務めているのですが、そんな話題に頼らなくとも良いキャラクターを確立しております。骨太でドライブ感溢れるリズム、野性味あふれる豪快さの中に、どこか猥雑さを感じさせるのもロックな魅力の一つ、ギミックなし小気味よいハードブギーなロックサウンドからヘヴィなグルーブを押し出したナンバーまで多様な楽曲を用意し飽きることなく最後まで聴かせた手腕は見事でしょう。バラード無ってのも良かったね。この手の音楽性は主食ではないのですが、聴いているとMontroseを思い出しましたよ


The Storm ★★★ (2014-04-24 16:03:00)

こちらはRetrospect Recordsからリ・イッシューされリリースされた女性がフロントを務めるメロディックなAOR系のバンドです。全編において爽快でメロディアスなハードポップがサウンドが収録されており聞きどころも多いですね。詳しいバイオは分かりませんがVoのクリティーナ・ニコルズとKeyのカレン・チャイルズがメインのバンドのようですね。マーク・フリーやVenus & Marsが取り上げたThe Last Timeもありますよ


The Storm - Sweet Surrender ★★★ (2014-04-24 16:59:00)

G.Voクリスティーナ・ニコルズとKeyのカレン・チャイルズの二人を前面に押し出したAOR系のHM/HRバンドが1992年にリリースしていた1st。これほどの作品が日の目を浴びずに消えていたとは時代が成せる悲劇としか言いようがないですね。全編に張り巡らされた哀愁とフックに満ち溢れたメロディとポップセンスが極上の洗練度をまとい練り上げられた名盤と言い切りますよ。やや唐突に終わるものも①からして凄い曲が飛び出しますからね、憂いを帯びたメロディと楽曲に奥行きを持たせるキーボードとこのバンドの魅力が如実になんたるかを物語る一曲に哀メロマニアなら一気に引き込まれるでしょう。またバラードからロックナンバーまで歌いこなすクリスティーナ嬢の巧みさが聴き手を魅了しますよ、語尾のビブラードの掛け方とか大好きですね。彼女の魅力的な歌声を前面にだし、嫌みのないキャッチネスさとメロディを際立たせたアレンジがアルバム全体を巧みにコントロールし甘さと辛さの調和を見事に果たしています。中盤にギターを前に出した曲を持ってきたセンスも聞かせ方を心得ている証拠これぞメロディアスHM/HRだと言わしめる極上のアレンジセンスに唸らされ最後まで一気に聞き通せますね。とにかくハードポップが好きな方は手に取ってほしいですね。ハートやヴィクセンといったメジャーどころと比肩する名盤でしょう。期待していない地方の居酒屋で、食べログ星4.9の店に偶然入ったような衝撃を受けましたね。ちょっとのハードさと甘さにほんのりと涙腺を刺激する哀愁が欲しくなったら、必ず手にする超愛聴盤です。


The Storm - Sweet Surrender - Broken ★★★ (2014-04-24 16:34:32)

哀愁のハードポップナンバー
お約束ですがエエです


The Storm - Sweet Surrender - Do You Wanna Know ★★★ (2014-04-24 16:29:01)

ギターを前に出しハードさを演出しています
甘いのばかりでは飽きますのでチョイ辛さもええですね
実に心得た選曲ですが彼女の歌声は素晴らしいね
メロディアスだがロックな躍動感を損なわない歌唱スタイルは素晴らしい
基礎がしっかりしているからでしょうね


The Storm - Sweet Surrender - Hold on ★★★ (2014-04-24 16:19:53)

華やかさと軽やかさが見事に調和されています
適度な湿り気が能天気さを打ち消しているのがいいですね
THEハードポップな名曲でしょう


The Storm - Sweet Surrender - I'll Be Lovin You ★★★ (2014-04-24 16:16:29)

お約束感満載です
良くできたパワーバラード
ハスキーががった歌声が女心を嫌みなく歌い上げていますね


The Storm - Sweet Surrender - Keep This Love Alive ★★★ (2014-04-24 16:21:49)

哀愁が胸を掻き毟りますね
極上のバラードナンバー
上手いわ


The Storm - Sweet Surrender - Leave Well Enough Alone ★★★ (2014-04-24 16:12:26)

フックに富んだ哀愁のメロディが炸裂しまくる
アルバムのオープニングナンバー
繊細さと強靭さと兼ね備えた女性シンガーの卓越した歌声が響きます
曲もアレンジも演者も全てが良く出来上がってます


The Storm - Sweet Surrender - Someone to Love ★★★ (2014-04-24 16:38:52)

こちらも哀愁を散りばめた極上のハードポップナンバー
刺激は薄いが安定感は抜群です
たまらんわ


The Storm - Sweet Surrender - Sweet Surrender ★★★ (2014-04-24 16:25:59)

ハードなカッティングが耳を惹きますね
そのあとは甘美なメロを生かしたハードポップサウンドへと流れ込みます
安定感のある歌声にブレはなし
どのような曲もしっかりと歌い上げています
ソロの入り方も憎いよね
もう少し弾き倒して欲しいけどね


The Storm - Sweet Surrender - The Last Time ★★★ (2014-04-24 16:36:46)

Venus & Marsの曲です
マーク・フリーも1stで取り上げて哀愁のハードポップナンバー
聞き比べるのも一興ですよ
オリジナルよりもハードな感じが好きです


The Storm - Sweet Surrender - Walk the Line ★★★ (2014-04-24 16:32:31)

ビターな甘さがいいですね
キーボードの使い方も絶妙でそこがハードポップサウンドの黄金比となるのでしょうね
この曲も含めアルバムの中盤は面白いですね
ソロもハードに弾いていますよ


The Treatment - Running With the Dogs ★★★ (2015-07-06 13:05:18)

英国産の若きHM/HRバンドが2014年にリリースした2nd。一聴して耳に飛び込んでくるのはAC/DC直系のリフワーク、そして80年代風のキャッチーなロックサウンドにまぶされた、英国らしいクラシックな音色、アコギを生かした⑧あたりに顕著に表れているでしょう。美しいハーモニーを生かしたコーラスワークも壮大だし、全編に渡るメリハリの効いた構成とダイナミックなロックサウンドが醸し出すグルーブに往年の匂いを嗅ぎつつ、旧態然とした温故知新に頼るだけではない、瑞々しいサウンドには今の風をおもっいきり浴びる事が出来るので、老若男女問わず鮮明にそして新鮮に耳に届くでしょうね。個人的にはブルージーな渋みをましたナンバーや、艶やかで粘り腰のリズムワークに惹き寄せられました。こういう風格漂う楽曲の導入にはプロデューサーでもあり、ドラマーのダーニ・マンズワースの父親でもある元MOREのギタリストでも知られるローリー・マンズワースの影響もあるのかなと想像しながら楽しんでいますね。嫌みのないワイルドなロックサウンドを聴き猛暑の到来に備えますよ。


The V-Project - Lost Demos ★★ (2022-09-28 17:15:04)

詳しいバイオはサッパリ分かりませんが、オープニングはジェイムズ・クリスチャンが唄います。その後はロビン・マッコリーが登場と質の高いメロディアスロックを披露、ギタリストであるデヴィッド・バッカロを中心に曲作りを行い、中々楽しませてくれます。
その味わい深いギターは、情熱的なフィーリングも伴い、ラテン的なアコースティックギターもあったりと、引き出しの多いメロディックメタルを聴かせてくれます。歌い手のパフォーマンスにも助けられているのですが、ガツーンと来るような派手目な楽曲はないので、その疾走感やノリの良さを重視するマニアには退屈なアルバムとなるでしょう。
その反面、控えめなサウンドは堅実な響きをもたらし安定感を誘発、温かみのあるブルージーなサウンドも手名付け、多様な唄モノロックを展開しています。
今作の性質がイマイチ掴めておらず、アルバムタイトルが示す通りなのかも知れないが、唄モノマニアならばトライする勝ちは大いにあるだろう。知らん歌い手もいるが、そういう出会いも込みで楽しんで貰いたい。


Thick As Theives - Rock the House ★★★ (2016-10-14 13:57:06)

今は亡きAVEXはBareknuckleから1997年にリリースされた1st。知る人ぞ知る技巧派ギタリスト、ジョン・ハーンを中心に結成されたトリオバンド。アメリカのバンドらしい乾いた埃っぽさはあるが、良く練り上げられたメロディとダイナミックな演奏との相性は上々でメロディックかつストレートな作風で真っ向から勝負、90年代中期と言う事やレーベルの弱さもあり、全然話題にならず今作一枚を持って消滅(国内流通のみの海外でもリリースされていない商品らしい)。ジョン・ハーンのギターを中心に贅肉を削ぎ落したガッツ溢れるUS産メロディックHM/HRサウンドは、あそこまで泥臭くないですがシンガーの声質を考えるとNazareth辺りを想起させるものですが、ブルージーなナンバーから躍動感溢れるミドルナンバーに、ノリのよいロックナンバーありと、ハードさとポップセンスのバランス感覚に優れた一枚としてメロディ派に愛されるクオリティは十分に保持しております。もうちょいお膳立てが揃い、後続の作品やメンバーの活動もあれば話題に上るのですが、全然売れなかったのか中古屋でも見かけませんからね。残念ですよ。


Thunderheart - Night of the Warriors ★★ (2017-05-10 14:47:06)

スペインはマドリッド産の正統派HM/HRバンドが2015年にリリースした1st。トリオ編成と言う事なのですが、それなりのキャリアがあると言うメンツが揃ったので、記念に作ったデモ音源集ではないので安心して聴けますね。そして方向性もスペインらしい情熱的な血沸き肉踊るメロディックメタルサウンドを披露。まさにNWOTHMな作風故に食傷気味だなぁと感じる人もいるでしょうが、パワー&メロディ、スピードの三拍子が揃った音楽性は、その筋のマニアなら見逃す事を許さないクオリティは保持しているので手を出しても怪我する事はないでしょう。それにしてもヘヴィメタルのグローバル化は目覚ましいモノがある、商業大国アメリカの主流となるヘヴィロックなど見向きをしなくとも作品がリリース出来るのだから時代は変わったなぁと大きく感じますね。豆に新譜をチェックする事のないワタクシですが、ここ2、3年の充実ぶりには目を見張るものがある、自身の音楽性を鑑みると今が一番、ヘヴィメタルの春を感じますね。


Together - Playing Games ★★★ (2023-10-20 02:23:18)

Mausoleum Recordsから1985年にリリースされた4曲入のEP。前年にはRoadrunner Recordsからリリースされたコンピ作Dutch Steelに顔を出し、これからのバンドという勢いを感じるが結成は70年代後半というキャリアを積んだ苦労人でもある。
ようやくデビューにこぎ着けたバンドサウンド。王道も王道をど真ん中で闊歩するストレートなハードサウンドを披露。情熱的なサウンドは基本線を押さえており、その実直な姿勢こそ、このバンド最大の魅力。今となっては古典メタルの教科書のような、典型例なれど、熱の籠もったハードサウンドに嘘偽りは一切ございません。迸る熱情、ハードブギーあり、バラードありスピードナンバーありと、4曲では物足りないと思わせる充実した内容。先人達から受け継がれたルーツ。それを素直に打ち出しているから、今聴いても色あせない。当時としては渋い路線になるんだけどね。


Tokio Rose - Just Wanna Rock N Roll ★★★ (2022-01-16 18:09:21)

1987年にカナダでアルバムをリリースしたメロディアスロックバンドの再発アルバム。2008年にタイトルも変わり、数曲追加されて世に出ていますが、そもそもオリジナルを聴いたこともなく今作しか知りません、おそらく復刻版だとは思いますが、そのあたりの審議に確証を得られませんので割愛します。
ソフトケイスされたメロディアスサウンドはあくまでも楽曲重視、扇情的なフレージングと甘く切ないハードサウンドを巧みに融合させバランス良く聴かせてくれます。とにかくキャッチーなメロディは耳なじみもよく適度な刺激を与えてくれます。
哀メロハードポップファンならば腰を上げずにはいられないスタイルでは無いでしょうか、音質こそ奥行きの無いチープなモノになっているが、それ相応のサウンドメイクが施されたならばメジャーロックシーンに切れ込むだけにクオリティは十分の保持しているので安心して聴けますね。だたミックスがぬるいのでエッジに欠け眠気を誘う絶妙な腰砕けサウンドが個人的には苦手です。一曲の完成度は高いのに通して聴くと、もっと熱量が欲しくなるのです。そういう不満はあれど、いかにもアメリカ人が喜びそうな明るさと、悪びれない生真面目さ、上手くはまっていると思いますよ。
ちなみにこの作品の現物は見たことがありません、そしてこのバンドがマニアの興味を抱かせているのが、ボー・ナスティのヴォーカルとギターがいるからですね。マニアなら確かめずにはいられない音楽性でしょう?


Tom DeLuca - Down to the Wire ★★★ (2022-01-29 18:36:07)

全く知らないアーティストですが、あなたにオススメという事で試聴。これが実に爽快でロッキンな熱量のある唄モノサウンドを聴かせてくれます。基本はポップでキャッチーなのだが主役であるシンガーのトムさんの押しの強いハスキーヴォイスは一本筋が通っており、その男臭いセクシーさも機能、カッコつけたモノクロジャケもハッタリで終わらない大人の魅力を醸し出しています。上手い歌とツボを押さえた楽曲の旨味、デビュー作とは思えない完成度の高さにポッと出ではないキャリアを感じますね。
ジョン・パーとか、ロバート・テッパーなどの熱いロックシンガーが好きな人ならばグッとくるでしょうね。特に、軽めの曲の中にハードさを絶妙な加減で持ち込む歌声と、曲の良さのマッチングも良く、1986年リリースの今作は日本でも話題になっておかしくないクオリティを誇示しています。唄モノマニアならば押さえて損はしないクオリティをパフォーマンス力に見入りますよ。
とは言え80年代的オシャレなアプローチもありますので、その辺りに軽薄さを覚えるダイハードなファンには不向きでしょう。
でも曲が良いのでね。気軽に楽しめる親しみやすさが多くのフォロワーを生みそうですけどね。


Tone Norum - One of a Kind ★★★ (2014-10-21 14:33:18)

ヨーロッパのギタリスト、ジョン・ノーラムの妹である、トーン・ノーラムが1986年にリリースした1st。プロデュースにジョーイ・テンペスト、ギターはジョン・ノーラムが全面参加、ドラムはイアン・ホーグランドのヨーロッパ組が全面バックアップのもとに制作された作品で、軽やかなキーボードも踊るヨーロッパ風の北欧テイスト満載のAOR系ハードポップサウンドを嫌みなく聴かせてくれ、ハードさは薄目ですが透明感のある爽快なメロディが聴けるので、その手のマニアには堪らないものがあるでしょう。健気でキュートな歌声も、この手の曲にマッチしており、けして足を引っ張るような事は御座いませんので安心して手を出せるでしょう。ジョンのギターも熱いし、ジョーイが歌いだしそうな佳曲が目白押しですからね。


Tone Norum - This Time... ★★★ (2017-02-27 13:39:16)

お兄さんもお世話になっているパー・ブロム以外にも複数のプロデューサーが名を連ねるトーン・ノーラムの2nd。北欧産哀メロハードポップナンバーの①では我らがインギーがソロで客演、早速北欧人脈を駆使していますが、今作の主役は完全に彼女であり、前作のような兄弟愛溢れるゲスト参加で話題をさらったのでない、確実に中身で勝負が出来る力作。北欧ならではの糖度も高い哀愁のメロディが映えるハードポップナンバーを主軸に多彩な楽曲を難なく歌いこなし、彼女の成長具合が最大の聴きどころでしょう。④はパット・ベネターやロビン・ベックなど複数のアーティストが歌っているので聴き比べるのも楽しみの一つでしょうね。哀愁のメロディを盛り込んだキャッチーな⑥などアルバムの方向性を示唆するナンバーでタイトルトラックに相応しい出来栄え、トミー・ニルソンとデュエットした⑤もムード満点、女性シンガーあるあるなJefferson Airplaneのカヴァー⑩も漏れなく収録(この曲いろんなヴァージョンあるでぇ)そしてラストはしっとりとバラードで〆てくれます。
アルバム全般的に包まれるロマンティックかつ華やかでコマーシャル性を重視した北欧オーロラサウンド(甘ったるくならぬようハードなビターテイストも加わってます)お国柄のなせる技が泣かせるんですよ。お得意のメロウな奴に泣かされるんですよね。いくつになっても甘えん坊な気分になりますよ。そんな北欧サウンドが大好きな人なら手を出して損はしないでしょうね。


Torben Schmidt - A Bit on the Side ★★ (2014-02-07 13:49:38)

デンマークのバンドSKAGARACKのシンガーが1991年にリリースしたソロアルバム。ギターにEUROPEのキー・マルセロが参加しているのも話題になりましたね。サウンドの方は糖度も高めの哀愁のハードポップと言うよりもアメリカンでエッジの効いたサウンドを軸に堅実な演奏が脇を固め、主役であるトーベンの時にはソウルフルに時にはブルージーにと器用な歌声を際立たせたアレンジに終始しており、彼の歌の上手さを堪能できます。さしずめドゥギー・ホワイトあたりをイメージして頂けるとよいでしょうね。やや楽曲がそつなくまとめられており、個性の埋没が器用貧乏さに拍車を掛けパッと聴きの印象はもう一つだったりしますが(個人的に北欧産の甘美なキラキラハードポップを期待しすぎたわ)聞き込むうちに味が出てきますよ。唄モノではありますが十分にロックしているしキーのギターワークも堪能できるマニアックな一枚、実力派シンガーのメリハリの効いた歌声を堪能してみてはいかがでしょうか


Tosh - One More for the Road ★★ (2015-11-28 14:46:58)

英国産の5人組によるプログレハードバンドが1982年にリリースした一枚。流しの中古屋さんで買ったので詳しいバイオはさっぱり分かりませんが、Vo.Gで活躍するHoward 'Tosh' Midlaneが中心人物らしい。いかにも英国のバンドらしい湿り気を帯びたメロディとトラッド風味満点、泣きのギターを散りばめたムード満点の叙情派サウンドを披露。高い演奏力に支えられた楽曲の構成力は高く、サックスなども盛り込みちょっぴりブルージーな面もあったりと聴きこむ程に奥の深さに興味も惹かれます。とは言えハードな楽曲を味わえるのはA面の2曲Julius、Queen of Tiger Bayだけで、B面はかなり大人しい落ち着いた楽曲で占められておりますが、ラストのOne More For The Road の雄大な世界観も良いフィーリングに包まれていますよ。繊細なアレンジとメロディを多角的に楽しめる一枚、たまには箸休めにいかがでしょうか


Tosh - One More for the Road - Julius ★★★ (2015-11-28 14:49:31)

オープニングから11分越えの大作ですが
叙情味溢れる泣きのメロディが満載の一曲
真摯に英国の伝統を受け継いでおります
素晴らしい
淡いな


Tosh - One More for the Road - Queen of Tiger Bay ★★★ (2015-11-28 14:52:18)

哀愁のメロディを見事に際立たせていますね
軽快さもありスッと耳になじんできます


Toshl - MISSION (2017-04-24 16:53:50)

言わずと知れたX-JAPANのシンガー、TOSHIのソロアルバム第二弾。個人的に彼にはなんの思い入れも無いのですが、参加メンバーと楽曲提供者に興味をもってかれ購入。シングルとしてリリースされていた⑦⑩はNIGHT HAWKSの青木秀一と歌えるドラマー工藤哲也、それ以外は、ほぼ国産プログレバンドVIENNAでLOUDNESS脱退後の二井原実が立ち上げたDED CHAPLINに参加していた茶々丸こと藤村幸宏、フレットレスベースを操る永井敏己、手数王と呼ばれるドラマー菅沼孝三らが全面バックアップ。藤村幸宏に関しては楽曲提供のみならずアレンジ全般に携わるなど八面六臂の大活躍、失意の中、活動休止に追いやられたDED CHAPLINの怨念を晴らすが如く自身の才能を発揮していますね。
とは言いつつも国産ロックにありがちな、ユルめのサウンドプロダクションが好悪を分ける要因の一つ、高い音をカット、ボトムは全然効いていない迫力不足の低音、歪みを完全に押さえクリアーに仕上げてはロックの持つダイナミズムは台無し、永井のエグイベースも聞こえないし、菅沼のドラムもこれでは可哀想、茶々丸のバッキングも全然聞こえない、必要以上に演奏を控えめにし歌を前に出す手法をとっており、これがメタル系だとすれば、相当厳しいサウンドプロダクションとなるでしょう。確かに彼のファンの事を考えると、ロック然としたラウドなサウンドメイクは馴染めないのは分かるが、もうちょい尖ってくんないときちぃッス。
この辺りがヴィジュアル系に通ずる脆弱なサウンドプロダクションなのですが、根本的にバックを固めるプレイヤーの質と芯の太さは桁が違うので十分ロックなモノを期待する方なら楽しめるでしょう。ソロパートでは俄然、色艶が変わりますからね。上手いって事は本当に素晴らしい。

今作最大の聴きどころは、やはり二井原実先輩が楽曲提供している2曲。オープニングの疾走感溢れるロックナンバーを二井原・マーク・フェラリー、KISSで大活躍の世界一エース・フレイリーな男トミー・セイヤーによる共作。そして⑤では二井原・マーク・フェラリー、ボブ・キューリックによる共作ナンバーが収録されており、それらの楽曲がアルバムをロックな方向性へと導いています。②はDED CHAPLINの3rdからリメイク、⑪は藤村の曲で後にVIENNAでも取り上げてましたね。
少々キーボードがうっとおしいのですが、バックのスリリングな熱演に耳が持っていかれる④、切なさ全開の⑥、一番声にフィットしているキラキラしたポップナンバー⑦、ボサノバ調の⑧などバラエティに富んだ楽曲があり、スピードを期待する人たちにとっては眠くなりますが、特に④など実質的なスピードではなく、楽曲のアレンジで疾走感を煽る手法をとっており、そのスピードの質に好みが分かれるでしょうね。所謂スピード歌謡には陥っていないです。そこが一番好感のもてる所でしょう。

主役たるTOSHIさんですが、相変わらず力むと苦しそうだし、線の細さは変わりませんが、リラックスして歌っているのが印象的でしたね。


Toshl - MISSION - Always ★★★ (2017-04-19 04:38:54)

レーベルメイトでくすぶっていたNIGHT HAWKSのメンバーと活動していましたね
シングルとしてリリースしていた楽曲
アルバムの中でかれの歌声を有効に活用した一曲
ポップですがエエ曲ですよ
甘美でメルヘンなムードがエエです
青木秀一もギター&ベースにキーボードまで八面六臂の大活躍です(ガイドボーカルもやってるだろう)


Toshl - MISSION - Bless You ★★★ (2017-04-19 04:19:24)

こういったロック色のない曲を歌う方が自然体で良いですね
ストリングスアレンジを生かした一曲
菅沼 孝三のドラムはこういう曲でも器用に叩けるから凄い
茶々丸のギターもエエよ


Toshl - MISSION - CHASE OF TIMES ★★ (2017-04-19 04:24:22)

DED CHAPLIN組の演奏力の高さが肝
実質的なスピードではなくアレンジ力による疾走感を生みだす姿が重要
スピードだけならメタルじゃなくても良いのでね
歌の弱さが楽曲の魅力を半減していますがバックの演奏は小技が聴いていて面白い


Toshl - MISSION - Get-up-and-go ★★ (2017-04-19 04:30:22)

二井原実先輩とマーク・フェラーリ&ボブ・キューリックによる楽曲です
これも二井原実先輩のソロ用だったのかな?
日本人受けするメロディックでストレートなアメリカンロック
歌の弱さをオジー方式で重ねたのは正解
でももう少し厚切りにならんかったかね
仕方がない面はあれどハードな色を抜きすぎです


Toshl - MISSION - Heart of the back ★★★ (2017-04-19 04:33:04)

ソフトな曲を歌うと俄然クリアーな歌声が生きます
雰囲気のある大人びいた一曲です
色気があるね


Toshl - MISSION - LADY ★★★ (2017-04-19 04:14:37)

藤村”茶々丸” 幸宏はこの曲を気に入っていたのかな?
DED CHAPLINのリメイク
ブルージーなヘヴィバラード
線は細いが繊細なタッチの歌声との相性は悪くないですね
二井原実先輩ヴァージョンは少々バタ臭かったので


Toshl - MISSION - Looming ★★ (2017-04-19 04:44:34)

牧歌的な一曲
青木秀一が歌うヴァージョンを聴いているので
線の細い歌い手には合わないが
雄大なメロディが胸を締め付けますね


Toshl - MISSION - Moonstone ★★★ (2017-04-19 04:51:53)

茶々丸渾身の一曲か
後にVIENNAでリメイクしますね
リリカルな一曲です
ワルツですよね
綺麗な月明かりを浴びて踊る姿が目に浮かびます
個人的にはアルバムのハイライト
ウィスパーヴォイスに安らぎを覚えます
高音域も無理無理じゃないしね
リラックスしてエエ感じですよ


Toshl - MISSION - Rusty Eyes ★★ (2017-04-19 04:11:29)

我らが二井原実先輩とマーク・フェラーリ&トミー・セイヤーの共作
二井原実先輩のソロ用の楽曲だったのかな?
贅沢なメンツによるアルバムのオープニングナンバー
バックを支えるのはこれまた二井原実先輩抜きのDED CHAPLINだしね
でも主役たるTOSHIの歌声がヘヴィな楽曲に完全に力負け
苦しそうに力む姿が残念で曲の良さを殺していますが
藤村”茶々丸” 幸宏のアレンジが素晴らしいですね


Toshl - MISSION - intermission ★★ (2017-04-19 04:41:08)

ハープがエエですね
自然体の歌声が魅力です
喉を締め付けるのは癖なのかな?


Touchdown - Don't Look Down ★★★ (2019-09-06 19:19:36)

カナダ産の正統派HM/HRバンドが1984年にリリースした1st。枯れ専ギターは線は細いものの、独特のタッチの音色で勝負。いい意味でのマイナー臭に拍車を掛けていますが、1984年でも古臭い音になっているのは聴き手の志向によってはシケシケの貧乏臭さを猛烈にアピールすることになるでしょう。後期NWOBHM勢とも重なるようなマイナー臭と古典的な音色、雄大なカナダとは一味違うのだが、リズムやグルーブに大らかさが顔を覗かせているのがお国柄と言うものだろう(デモテープ級の音質ですので耐性ののないマニアは要注意)。

チョイとブルージーさも湿り気を帯びた叙情派ギターサウンドを軸に、伸びやかな歌声で華を添える女性シンガーの存在感の強さ。叙情的なムードに包まれつつも、薄っぺらい音質の向こうには骨太さも感じられたりと、多様性を感じさせるのがポイント。装飾をそぎ落としシンプルに着飾る事で聴こえてくるサウンド、巧みに硬軟を交える事で聴きやすさをアピールしている。

こうなると、このぺランぺランの音質が悔やまれる一枚であろう。中盤に配されるグルーヴィーなナンバーなど、物足りなさを感じさせる。それを凛とした歌声でフォローするテリー・クシュナーの存在感が大きく作用していますね。


Touchdown - Tricks of a Trade ★★★ (2019-09-08 21:02:51)

デモ以下と評される事もあるミックスのせいで魅力を伝えきれなかったデビュー作。今作は、そんな前作の不評を吹き飛ばすように格段に音質が良くなっている2枚目。リリース時は1985年、ギターも厚みを増してきたが、ややリズムプレイの音圧が弱いと感じるが、これもメインストリーム寄りの仕事と好意的に受け止める事で心の整理をつけたいと思います。

シンガーも男性に代わり、何から何まで違うバンドに変貌を遂げているのだが、正統性の高いハードかつメロディアスなロックサウンドは、アーティステックな側面も残しつつモダンさも加味。さらには頑固な職人気質の渋さも加わり、いぶし銀の味わいが楽しめます。流行過敏にならず、堅実だがクリーンなイメージと持ち込んだのは、このバンドのカラーなんだろう。

抜きんでた楽曲がなくとも、アルバム単位で楽しめる安定感のある一枚。普通である事が今となっては最大の自己主張であろう。


Traitors Gate - Devil Takes the High Road ★★★ (2018-05-28 13:35:10)

幻の一品を世に復活させる事に余念のない、今もっとも信頼のおけるレコード会社はHigh Roller Records。その激熱なレーベルからリリースされたのが名曲『Devil Takes the High Road 』を残し消えた幻のNWOBHMバンドの三曲入りEPにボートラ3曲を追加して2013年に再発された奇跡の一品。
鼻腔を擽る湿度の高い英国的などんよりサウンドをたっぷりと楽しめます。勿論NWOBHMなんで、キレのあるスピードナンバーも収録、そのおかげでサクサクと聴けるのが良いですね。さらにボートラは、このバンドの前身に当たるQuest時代の曲とクレジットされています。意外と盛り沢山な内容なんですよね。
懐かしき英国サウンド、マニアご用達の一品として愛聴出来るでしょうが、NWOBHMが好きじゃない人には厳しいでしょう。少々マイナーすぎるわな。
このレーベルの商品は毎度、国内盤の帯に日本語タイトルをつけてくれます。今作はズバリ悪魔の本道。なんか横溝作品みたいでエエですよね。このカビ臭さもイメージに合うしね。


Trash Gang - Ⅰ "cyguard" ★★ (2014-09-04 20:42:03)

かつて浜田麻里のツアーを支えていた佐藤克也が中心となり1989年にリリースされた1st。アニメOVA「聖獣機サイガード -CYBERNETICS・GUARDIAN-」のサントラ的な感じでのリリースだったかと思います。ツアーで鍛えたテクニックを駆使し派手なプレイと堅実さは曲作りに見事、反映されておりラフなロックナンバーからヘヴィなメタルナンバーとバラエティに富んだ曲が収録され、パワフルなリズムプレイと供に安定した演奏は聴いていて気持ちがイイ。このアルバムが初めてのレコーディングとなった無名の新人、舘崎伸久(クレイジータイガーという名前で世に出たB'z稲葉みたいなもん)のパフォーマンスに対する評価が全てを評決するのでしょう、ハマるとパワフルでカッコいいのですが、終始不安定な雰囲気が滲み出ており、聴いていて歯がゆい気持ちにさせられます。またシャリシャリとした薄っぺらい音質も足を引っ張っており生っぽい演奏のもつダイナミズムが活かされておらず、スケールの大きい楽曲もこじんまりと纏まってしまい、舘崎の不安定さがそのまま浮き彫りに、と欠点ばかりに目が行きがちですが、バンドが本来持つ高いポテンシャルの片鱗が発揮される瞬間の色気とワイルドさは大いに評価できるし、次作以降に対する期待も持てましたがOVA同様自作はなくバンドは大きな活動に発展する間もなくフェードアウトしたような記憶があります。低予算が生み出す厳しい環境、アニメのサントラという制約、その中でも実力のある演者が揃ったメタル愛溢れる一枚を前に酸っぱい気持ちを味わいつつ思いを馳せますね。


Triarchy - Save the Khan ★★★ (2016-09-21 14:32:21)

1979年と81年のシングルに83年のデモ+未発表音源からなる2015年リリースのコンピ作。リリース元はNWOBHMなどマニア垂涎の作品リリースに定評のあるHigh Roller Recordsときてますので安心して手を出せますかね。英国特有の憂いを帯びた哀愁のメロディをふんだんに含んだNWOBHMサウンドを披露、CD化といっても元が知れているのでシケシケの音質にダイナミズムを感じませんが、そこが逆にマイナー臭に拍車をかけ、カビの胞子が飛びかうじっとりとした湿度の高いメロディで聞き手を魅了。ベースのみならずボーカルやシンセサイザーまで演奏するマイク・ウィラーの辣腕ぶりがバンドをサウンドの根幹を支え、シンセを前面に出した名曲『Save the Khan 』から、ブルージーな『Ghost of An Emotion』、アタッキーな『Hellhound on My Trail』、キャッチーな哀メロナンバー『Marionette』、パープル風味満点のヘヴィな『Metal Messiah』など多様性のある音楽性を演出している点が最大の聴きどころでしょう。鋭利なリフワークでグイグイと攻めてくるNWOBHMサウンドも良いですが、彼らのような叙情派メロディック路線を押し出したサウンドも同等の魅力だし、英国と言えばな音に満ち溢れているので、マニアにはたまらんものがあるでしょう、でも詰めも甘いしヌルイ演奏や自主制作極まりない音質に頭を抱える事もありますがね。


Triarchy - Save the Khan - Save the Khan ★★★ (2016-09-13 13:58:39)

期待感を煽るシンセに導かれ始まるNWOBHM印満載の一曲
湿度の高いメロディと気だるい歌い回しが醸し出す哀愁が目にしみます
NWOBHMマニアが口を揃え幻の名曲と言わしめるだけのクオリティを携えていますね
シンセが効いているんだねぇ