ここまでコロコロとビートを変えればプログレの領域。これだけのものを一つの楽曲にまとめて無理な展開がないというのは只事ではないと思います。 凝りまくった構成の上をクワイアやインダストリアルSEもブワンブワンと通り過ぎる、ABORYMの魅力が詰まった暗黒変態ブラックの大傑作です。リフが何個あるんですかこの曲は? 作曲はNysrok(G.)一人ですか・・・この人一人でCRADLE OF FILTHを倒せますね。
Jester Records移籍に伴って発売された、移籍以前の音源からのベスト/コンピレーションと思われます。99年発表。 DROWNIND BUT LEANING(1987)、DEATH IN THE BLUE LAKE(1988)、BLACK, WHITE & GREY(1990)、THE BLACK DEATH(1992)、PREFAB WRECKAGE(1994)、GYNT(1997)と、JESTER以前のアルバム全てから満遍なくセレクトした上、サンプラー提供曲やらビデオ用に作り直したものやら未発表音源やら詰め込まれて、2枚組み、計39曲、収録時間150分。 元々楽曲が脈絡を超越しているし「統一感」や「印象」という言葉と無縁の音楽だが、曲間がつなげられている為楽曲の切れ目がなく、結果、この祝福されざる暗黒世界をお腹いっぱいを超えて満腹中枢が破壊されるまで無理矢理浸らされます。私はもう死にそうです。
実のところブラック・メタル界と縁深いこのLars Pedersen氏ことWHENですが、ARCTURUS「DISGUISED MASTERS」のオープニングとして提供した曲の作り直しが収録されてますし、SATYRICONが拝借した「DARK MEDIEVAL TIMES」のオープニングも収録されてますし、DARKTHRONE「A BLAZE IN THE NORTHERN SKY」のオープニングみたいな雰囲気も見受けられるので、ブラック・メタルの源流を覗いてみたい方はどうぞ。 言うまでもなく、ブラストも絶叫もないというかHM/HR要素は皆無、メタルのメの字もないカットアップ/コラージュ/病気音楽です。 ・・・私はこれがWHEN初体験ですけども、これを聴くとですね、ARCTURUS「LA MASQUERADE INFERNALE」、SATYRICON「REBEL EXTRAVAGANZA」、DODHEIMSGARD「666 INTERNATIONAL」などがとっても正常な音楽だと思えるようになりますね、ええ。WHENの前ではULVERですら土下座するしかないんじゃないですか。「頼むから近寄らんでくれ」とw。
97年発表の1stアルバム。 同郷のバンドTHE 3RD AND THE MORTAL(1st)、IN THE WOODS...(1st)に近い雰囲気がありますが、おそらく最もメタルぽいというか、男性と女性ボーカルを擁しているところなんかからもゴシック・メタルと呼ぶ人も多そうな音です。 THE 3RD AND THE MORTALのように妖精を幻視するほどの神秘はなく、初期IN THE WOODS...のように静寂と発狂が豪快に展開されるわけでもなく、比較的個性は薄いですが、ただやっぱりノルウェイの矜持というか、上記に挙げたバンド同様に森林から発せられる妖気みたいなものが強くあって、耽美的というより幻惑的、ゴシックを冠するほどには重くなくて軽い感じ・・・浮遊感がある。似たバンドを辿っていくとMANESを通ってBURZUMに辿り着くという、静的ブラックもしくはアンビエント・ブラックの雰囲気があります(MANESは良く知りませんが)。 で、女性ボーカルMonikaですけど、時折その異常な声域の広さとアラビア/インドぽい音階・歌唱法を垣間見せますが・・・エキセントリック/ヒステリック/イノセンスを握りつぶして飲み込んだ挙句、それを小悪魔と堕天使の二重人格を駆使して放出しているような「あの」ボーカルは聴けません。凄い普通に妖しく歌ってます。 2nd、3rdの後にどうぞ、という事でしょうか。