92発表の1stフルアルバム。 このアルバムはデスラッシュではなくプログレッシブ・デスと言え、4th「SLAUGHTER OF THE SOUL」の影はほとんど見て取れない。ヴァイオリニストを含む6人編成、せわしなく落ち着かない展開、乱舞するメロディック・リフ・・・「メロディック・デス」という言葉すら生まれてない時期、北欧の地下で行われていた新しい形のデスメタルを作り出す為の「プログレッシブ」な実験から出てきた、異形のデスメタルであろう。 脈絡がない変態的展開に下手糞なヴァイオリンにチープ極まる音質と、負の要素が溢れているにも関わらず、それらに目を瞑って聴き続けられる理由は、3rd以降如何なく発揮される事になるメロディ感覚の萌芽だ。特にAndersの泣きの感覚が支配する⑤ 「Windows」が出色だが、どう贔屓目に見ても二流のデスメタルなのに、気付くと悪いと思えなくなっている・・・いや、4thを先に聴いている人がどう思うかは何とも言えないが・・・。 ちなみに、まだベースのJonasが曲作りにほとんど関わっておらず、それどころか、メンバー写真には別のベーシストが写っていたりします。
98年に発表された、1st以前のデモのリ・レコーディング盤。 このバンドの出現でブラックメタルの進化は打ち止めになった、という旨の記事を見た事があったが、聴いてみて納得した。これは「メロディック・ブラック」と言うより、「シンフォニック・ブラック」と言うより、何と言うか「ブラック・シンフォニー」であって、シンセサイザーが装飾の立場を越えている。というか、こっちがメインになっている。ここまでやると、ブラックメタルという騒がしい人間性を統べる神の旋律とでも言いたくなるし、だからこそギャラクシー・ブラックという呼称はぴったりだと思った。ブラックメタルの矜持がメロディによって、これ以上ないほどに蹂躙されていると思う。 加えてドラムが全て打ち込みであるがこれは、バンド解散後にMorfeusが結成したDIMENSION F3Hを聴いていくと、辿り着く先はメタルライブ会場ではなくダンスフロアというか、ブラストビート・レイブ・ミュージックではないのかとすら思えてくる。それくらいメタルの味わいが薄い。 冗長な部分は多いとはいえこれは、人間同士の戦争すら温かみを覚えてしまうほどの、神の手による人類浄化・惑星浄化音楽である。一曲目のイントロを聴いて私が想起したのは、YESの「Close to the Edge」だった。無論あんな複雑な音楽ではないが、壮大さは比肩している。
96年発表の2nd(この年には、以前のレーベルメイトCradle of Filthが「Dusk and Her Embrace」を発表してますね)。ちなみにBal-Sagothというバンド名はロバート・E.ハワードの小説から取ったそうで。 Cradle of Filthがホラー風味のデカダン世界を構築したのと同様のレベルで、こちらはダーク・ファンタジー・サーガを物語っています・・・いや、その情熱の迸り加減は、推測ですけど、両バンドの全アルバムの中でもこれが一番ではないですかね。だってアルバムタイトルからして長過ぎでしょう?略になってない!曲のタイトルはもっと凄い事になってまして、それはもう、「この曲を聴け!」に登録するの嫌になるくらいっすよ。 曲の方も、やりすぎなシンフォニック・シンセと抑えきれない突貫ブラック根性が矢継ぎ早に「これでもか!」というほど繰り返されるシンフォニック・ブラック・アホ・メタルです(良い意味で)。サーガの世界観にに酔い過ぎてか曲単位では印象に残りにくい感じですが、そんな小言言うよりこの愛すべきB級メタルと共に叫んで暴れまわる方が100倍楽しいですね。 ま、さすがに彼らも全体的にタイトルが長過ぎると反省したのか、次のアルバムではその辺考慮されています。 3rdアルバムのタイトルは、「Battle Magic」・・・そりゃ略し過ぎだろ!
99年発表の3rd。 元々アンビエント志向(っていうか大作志向)があったバンドだが、進化の方向性はULVERやTHE 3RD AND THE MORTALと同じで、SEが大幅に導入、形式より雰囲気が重視されており、さしずめアンビエント・ダーク・メタルと言える内容。10分台の曲はなくなり、5分台が基本となって聴き易くなっている。 ボーカル表現も増え、不協和音の使用なども面白い。が、相変わらず男声の魅力は薄いし、相変わらずメロディの印象が弱い。あと個人的意見として、Ann-Mari Edvardsen時代のTHE 3RD AND THE MORTALに似てる部分があるな、と。 アンビエント・メタルを薦めるとして、メタルっぽさをあまり好まない私はTHE 3RD AND THE MORTALを推すが、メタルを好む人からすればこっちの方が気に入るかもしれない。
5thアルバム「PURITANICAL EUPHORIC MISANTHROPIA」より前の作品への書き込みの少なさに驚いた。私はもう「昔のDIMMU BORGIR」ファンなんだな・・・えっと97年発表の3rdアルバムです。日本盤ボーナストラックは「GODLESS SAVAGE GARDEN」にも収録されている「RAABJORN(以下略)」と悪音質のライブ2曲。 5th以降しか知らない人からすれば、愕然とするほどの音圧・攻撃性のなさだろうが、少なくともこの頃のDIMMU BORGIRの魅力は、嵐のような暴虐のドラマではなく、メロディアスなシンフォニックアレンジの分かり易さだった。ブラック特有の禍々しさではなく、ブラック特有の美しさが彼らの武器だった。せわしなく複雑に展開したCRADLE OF FILTHの「DASK AND HER EMBRACE」(96年発表)とは対象的に、荘厳にそびえ建つ黒い城(Dimmu Borgir)の存在感を示したアルバムだと思う。 どっしりしたミドルテンポの「MOURNING PALACE」から始まって、メタルバラードと言える「A SUCCUBUS IN RAPTURE」で締めくくられているなど、久々に聴いた私でさえ驚いた。 必要なドラマーの技量が跳ね上がっている最近の傾向は、自らの首を絞めかねないから、これ聴いて見直したらどうかなぁ・・・次のドラム、Hellhammerでしょ?もうその上はないんだよ?
「Music to an Interior Film」と銘打たれてます。インテリアは「部屋の内装」という意味ではなくて、Interior=「内部の」と考えてつまり心の中の映像、結果「妄想を広げる為の音楽」ではないでしょうか? さらに「This Music for the Station Before and After Sleep.Headphones and Darkness Recommended」とあります。私は英語はアレなので分かんないのですが、「寝る時に聴け」かもしくは「静まり返った駅周辺で聴け」なのか・・・。付属のブックレット見ると後者っぽいんですけどね。PERDITION CITYだし。 実際夜の駅周辺で聴いてみた事あるんですが、風景が突然近未来化して面白かったです。つまり、知人と海を見に行ったら大時化で外にも出られず、何となく藤圭子(演歌)のCDを車の中で再生したら、突然周囲が寂れた漁村になって二人で大笑いした事がありますが、似たようなもんでしょうかね。今も部屋の電気消して聴きながら書いてますが、パソコン周りが恐怖のサイバー空間になってます。ただ、こういったエレクトロニカは比較対象がないので良し悪しは測れません。 私はそれほどいいメタル耳を持ってないので、こうして様々なジャンルの音楽を聴くきっかけを与えてくれるのは有難いですね。これからも好きでいたいバンドです(と言いつつこれ以降のCD買ってないのは内緒)。
97年発表のミニアルバム。ケースの表面がプリントされていて格好良いです、ていうかその格好良さが気に入って購入した記憶がある。 収録曲は、①Nemesis DIvina収録「The Dawn of New Age」のリミックスバージョン ②「Night of Divine Power」と改題されたDark Medieval Times収録「The Dark Castle in the Deep Forest」のリ・レコーディング ③Nemesis DIvina収録「Forhekset」のライブ ④モーターヘッドの「Orgasmatron」のカバー、以上4曲。 ちなみに②はベスト盤Ten Horns - Ten Diademsにも収録されている。 聴き所は個人的に③だが、音質はこもってるし、「楽曲がライブでちゃんと再現されている」以上の感想が浮かばない。②④は元の曲を聴いた事ないので何とも言えない。①は悪くないけど良いとも言えない・・・。 けど、格好良いケースは1500円強払っても惜しくない物です。私には。
97年発表の3rd。前作同様、Ann-Mari Edvardsenがボーカル。 まず断っておきたい。私は「Tears Laid In Earth」「Painting On Glass」「Project Bluebook」とこのアルバムを持っているが、このアルバムが一番好き、いや言ってしまえば、このアルバムしか好きじゃない。巷で言われている難解さは微塵も感じない。その割に「Painting~」は難解で聴けない。「Tears~」は冗長で聴けない。こんな耳をしている私のレビューが参考になるのか、甚だ疑問に思う。だが誰も書いてないし、本当に好きなアルバムなので書いておく。