90年発表の、誰にも「記念すべき」と言ってもらえない1stアルバム。 正直、「ブラック・メタルの必聴盤」と言われるほどの2nd、3rdがどうにも良いと思えなかったので、ここから順番に聴いていって「ブラック・メタルの何たるかを一から勉強しなおすんだ」と思っていたはずなのに、何故今、私の部屋に参考資料としてOBITUARYの「CAUSE OF DEATH」が流れているんでしょうか。 レビューを書く為に似た音源を引っ張り出してみての比較を書き込んでいる方はされると思うんですが、私が真っ先に引っ張り出したCDは、VITAL REMAINSの1st「LET US PREY」でした。 VITAL REMAINSは、DARKTHRONEから関連付けをいくら辿り続けても辿り付かない気がするUS産デス・メタル・バンド、だと思っていたら、なんとどちらも当時Peaceville所属、発売年にも大した差がない。 加えて、デス・メタルにしてはスピードにこだわらず、ミドルテンポでの頻繁なリフ展開に不吉な旋律が踊り、ブルータリティよりムードが重視されているという楽曲の印象が同じで、どちらも典型的デス・メタルではないところが興味深いです。さらに例えるなら、スピードとメロディをなくしたAT THE GATESの1stとも言えます(これもPeaceville)・・・とにかく、そういう場所にいる音だと思います。SEもホラーぽくて怖い。
質問なんですが、1st「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」の作曲クレジットってどこかに載ってるんでしょうか? ライブDVD「EUROPEAN LEGIONS」のエンドロールで「BURIED BY TIME AND DUST」と「FROM THE DARK PAST」のクレジットは確認できますが、他の曲のクレジットが載っているCDやサイトをご存知の方いらっしゃったら教えて頂けませんか。 「実はカウントが関わっていた」とか、そういう事もあるのかな、とか思ったりするんですけど、どうなんでしょう?
CDは発売当初購入しましたが、このアルバムによって私のEMPERORの評価が180度変わりました。 1st、 2ndの篭った音質に背を向け(3rdは買わず)ろくに聴き込みもしてなかったんですけど、このCDを聴いている間中、高い演奏力と尋常じゃない勢いに呆然としっぱなしで、聴き終えた後は今までの自分が持っていたブラック・メタルに対する稚拙な理解力を呪いましたね。特に「I AM THE BLACK WIZARDS」がこんなに格好良い曲だったなどとは、夢にも思わなかった。 さらにDVDはもっととんでもない事になっており、特に、 2nd以降の複雑なリードギターを完璧にこなしながら力強い絶叫をとぎらせる事なくしかもノーマルボーカルでコーラスワークまでこなすIhsahnの姿には絶句する以外ない。確実に、この人より上手いブラック・メタル・ギタリストはいません。 あとやはりライブならではの勢いが魅力的で、「WITH STRENGTH I BURN」や「YE ENTRANCEMPERIUM」におけるスタジオアルバム以上のスピードでの爆走が凄まじい。エフェクトにはガッカリだが、もしこのライブ会場にいたなら狂って死んでるんじゃないかと思います・・・あー死んでみたかった!! あとさらに個人的には、派手なアクションを見せないSamothの、「YE ENTRANCEMPERIUM」中のガッツポーズに痺れた(Behold my coming!!のところね)。 CDとDVDのライブはほぼ同じですが(「INNO A SATANA」の後の絶叫はCDだけかな?)、DVDにはPVが2曲入ってます。
私はこのアルバムが、何故こんなにも音質が悪いのかさっぱり分からない。 前作のような割とシンプルなブラック・メタルではない、かなり凝ったアレンジが随所に施されたドラマティック・カオティック・ブラックとして孤高の音楽性を提示しながら(アルバムの裏面には「Empeor performed Sophisticated Black Metal Art Exclusively!」とすら表記されている)、こんなアングライズム溢れる音質にする必要性がどこにあるのだろう・・・音質によって楽曲の細やかさやダイナミズムを死んでいる気がする(もしかすると、メンバーの問題等からして「必然」だったのかもしれないが) 3rd以降の洗練された音質を知っているからだろうが、このアルバムはどうしても素直に誉められない。 ブラック・メタルの邪悪さを精神から音楽に落とし込んで生まれたのは、凄まじく複雑で技巧的な混沌が優雅に暴れ狂う、格調高いブラック・メタルである。音質は極めて「悪い」が、それを差し引いても、明らかにブラック・メタルの新次元を提示した傑作である、とは思う。