97年発表の3rdアルバム。「PECADO」は「SIN」のポルトガル語。 確かにこれは「ゴシック」の範疇に入るアルバムと言え、当時業界を席巻していたであろう、デジタル・ゴシックの波を被ってはいますが、「君ら結局流行に飲まれてるだけやん」とはとても言えないものです。 ゴシックのムード作り・メロディ感覚やデジタルの無機質さだけでなく、TYPE O NEGATIVEあたりの色気も取り込んだこの、ポルトガル産バンドのアルバムは、神聖に対抗する為の「厳粛さ」と、耽美とは違う「妖艶さ」が合体したような独自のゴシック・ロックで、アンチ・キリスト=粗野で野蛮でブルータルとするバンド群とは別次元の宗教性があります。 楽曲・アレンジメントの幅も多種多様で、屈強でありながら混沌、妖艶と無機質の交歓、歌い易い重苦しさなど、様々な要素を違和感なく料理して仕上げています。寡聞にして言わせて貰えば、このアルバムと同様の世界、そして完成度は、少なくともゴシックの中ではないと思います。 ただ、一体どんなバンドが好きな人に薦めればいいのかよく分からない。 前作におけるゴシック特有の感覚も、次作における攻撃性もなく、変なもの好きに薦めるにしてアヴァンギャルドさがないし・・・う~ん・・・ボーカルが TYPE O NEGATIVEと同等にディープな声を出すので(OCTOBER LUSTしか知らんが)、女性に薦めればいいのだろうか・・・あんなエロではないから聴いてて恥ずかしくないし。
2001年発表7thアルバム。KeyヘルプでBAL-SAGOTHのJonny Maudlinが参加。 5th、6thアルバムは持っておらず、このバンドのCDを購入したのは4th「LIKE GODS OF THE SUN」以来10年振りなんですが、いや、驚きました。「懐かしい」どころじゃないです。 1st収録曲をリメイクしてるから「それなりに原点回帰してるんだろう」と思ってましたが・・・何と、リメイク曲が何一つ違和感なくアルバムに溶け込んでおり、つまり、音楽性は何だか1stっぽい、という有り得なさ。何故そこまで何もかも回帰してますか!?聴いてたらもう、呆れを通り越して、失笑通り越して、突如悟りが開いて泣けます。6thからバンドロゴが1st・ 2nd時に戻ってる事にもっと早く気付くべきでした。 「バイオリンをメンバーとして加入させたのは間違いだった」とでもいうような、哀愁は少なくメロディも少なくつまりあまり耽美的でなく、でもデス声は大復活してフックも薄く(メタルとしては)冗長な「鬱屈絶望メタル」という事で、救いようのなさはそれはもう完璧。地下水脈に絶える事なき暗黒の流れ。もう永遠にこのまま続けてください。
95年、3rdの後に発売されたEP集。 内容は、1stフルより前に発表された1stEP「SYMPHONAIRE INFERUNUS ET SPERA EMPYRIUM」から全3曲、1sフル後の2ndEP「THE THRASH OF NAKED LIMBS」から全3曲、2ndフル後の3rdEP「I AM THE BLOODY EARTH」からは2曲だけ、再発でない3rdフルの限定デジパック盤のボーナストラックだった「THE SEXUALITY OR BEREAVEMENT」、で計9曲です。 どれもこれもフルアルバムに入っててもおかしくない曲ばかりだと思います。個人的には東洋呪術のような(と日本人が言うのもどうなのかと思うが)アンビエント・インスト「LE CERF MALADE」が実験的で面白く聴けました。こういうのはEPだからこそ出来るものかと。 平均7分という曲の長さも、このバンドにしては聴き易いCDに思えます。 でも、「THE CROWN OF SYMPATHY」のRemixバージョンは意義はさっぱり分かんない。・・・2ndアルバム全体からサンプリングしたはずなのに原型を全く留めてないインダストリアル・インスト「TRANSCENDING(INTO THE EXOUISITE)」の方が余程面白いと思うが・・・(この曲、3rdEP収録なのに何故かこのアルバムに収録されてない)。
ヘヴィ・メタルを聴き始めた頃に触れた、前々作である4th「OPERATION: MINDCRIME」は良さが分かるまで時間が掛かったのだが、これは一発だった。音質、音像、雰囲気を通して、アーティストを私の人格が共鳴しているのではないかとすら思える数少ないアルバム。音楽的な関連性は全くありませんけど、THE 3RD AND THE MORTALの「IN THIS ROOM」と同じ括りに入ってます。細かい部分はどうでもよくて、この異形の世界観が存在してくれているだけで嬉しい、とかそういう感じ。 楽曲だけ見ても素晴らしいですが、やっぱり不気味とも言える音像というか、歌い上げるだけでないシアトリカルなボーカルの表現力や、全編に張り巡らされた不穏かつ混沌としたSE・効果音・デジタル処理の作りこみ、それら全て含めた雰囲気が限りなく曇っていて最高に格好良い。そしてまたその表現・発想の幅がとっても多様です。聴いていて本当に楽しい。⑤「BRIDGE」⑧「LADY JANE」⑪「SOMEONE ELSE?」のようなバラードぽい、穏やかな絶望感も落ち着いて浸れます。
93年発表、SADISTのデビュー・アルバムは少なくとも、昨今のメロディック・デス界隈に全くない音である。 IRON MAIDENスタイルと言える北欧的哀愁はこのアルバムには一切ない。だが、北欧産のどのアルバムよりも、煌びやかで、気高く、情熱的な叙情性に満ち満ちている。デスメタルパートと同等、どころかそれ以上に、静かで落ち着いた叙情パートがアルバムを支配している。その対比のダイナミズムを過剰に煽り立てる多種多様なシンセ装飾の、「クラシカル」なのに「シンフォニック」でないという特異性。静も動も巧みにこなす3ピースアンサンブルと、一級のテクニックを駆使するTommy のギターワーク。ギターソロのおいて発散されるその気高い哀愁は、かのマイケル・アモットにも比肩すると言い切ってしまおう。 確かに、ボーカルに何の魅力もないし、音質もチープだ。だがそんな事とは無関係に、このアルバム・このバンドの音楽性を「誰も引き継げなかった」から、有象無象のデスメタル界に埋もれてしまったように思えて、悲しくなる。
DARK MEDIEVAL TIMESのアルバムのイントロですが、WHEN/WriterCakebox(おそらくベスト)の「Death in the Blue Lake-Excerpts」にありました。 これは抜粋版のようで、元々はおそらくもっと長い曲なのでしょう。が、元曲が収録されてるアルバムは売ってるところ見たことないので確かめようもございません。