90年発表の、誰にも「記念すべき」と言ってもらえない1stアルバム。 正直、「ブラック・メタルの必聴盤」と言われるほどの2nd、3rdがどうにも良いと思えなかったので、ここから順番に聴いていって「ブラック・メタルの何たるかを一から勉強しなおすんだ」と思っていたはずなのに、何故今、私の部屋に参考資料としてOBITUARYの「CAUSE OF DEATH」が流れているんでしょうか。 レビューを書く為に似た音源を引っ張り出してみての比較を書き込んでいる方はされると思うんですが、私が真っ先に引っ張り出したCDは、VITAL REMAINSの1st「LET US PREY」でした。 VITAL REMAINSは、DARKTHRONEから関連付けをいくら辿り続けても辿り付かない気がするUS産デス・メタル・バンド、だと思っていたら、なんとどちらも当時Peaceville所属、発売年にも大した差がない。 加えて、デス・メタルにしてはスピードにこだわらず、ミドルテンポでの頻繁なリフ展開に不吉な旋律が踊り、ブルータリティよりムードが重視されているという楽曲の印象が同じで、どちらも典型的デス・メタルではないところが興味深いです。さらに例えるなら、スピードとメロディをなくしたAT THE GATESの1stとも言えます(これもPeaceville)・・・とにかく、そういう場所にいる音だと思います。SEもホラーぽくて怖い。
5thアルバム「PURITANICAL EUPHORIC MISANTHROPIA」より前の作品への書き込みの少なさに驚いた。私はもう「昔のDIMMU BORGIR」ファンなんだな・・・えっと97年発表の3rdアルバムです。日本盤ボーナストラックは「GODLESS SAVAGE GARDEN」にも収録されている「RAABJORN(以下略)」と悪音質のライブ2曲。 5th以降しか知らない人からすれば、愕然とするほどの音圧・攻撃性のなさだろうが、少なくともこの頃のDIMMU BORGIRの魅力は、嵐のような暴虐のドラマではなく、メロディアスなシンフォニックアレンジの分かり易さだった。ブラック特有の禍々しさではなく、ブラック特有の美しさが彼らの武器だった。せわしなく複雑に展開したCRADLE OF FILTHの「DASK AND HER EMBRACE」(96年発表)とは対象的に、荘厳にそびえ建つ黒い城(Dimmu Borgir)の存在感を示したアルバムだと思う。 どっしりしたミドルテンポの「MOURNING PALACE」から始まって、メタルバラードと言える「A SUCCUBUS IN RAPTURE」で締めくくられているなど、久々に聴いた私でさえ驚いた。 必要なドラマーの技量が跳ね上がっている最近の傾向は、自らの首を絞めかねないから、これ聴いて見直したらどうかなぁ・・・次のドラム、Hellhammerでしょ?もうその上はないんだよ?
全1曲40分弱のアルバムという事で、YESやGENESIS等、往年の70年代プログレ大作主義をデスメタルでやってみたかったらしいですけど・・・「同じ事を試みて他のバンドは失敗したが、俺たちは成功した」とライナーノーツで自画自賛してますが、正直、聴き終えて出て来た言葉は、「どこがやねん」。 確かにデスメタルリフの一つ一つは格好良いし、叙情パートもメロディックで文句ないんですが、その繰り返しが40分続くどうにも一直線な内容。例えば(素人考えですが)、ゴシックパートやドゥームパートを盛り込んだり、ハードコアや正統派ヘヴィ・メタルの要素を入れるとか、「デスメタル」というジャンルに収まる「ドラマティックな大作」や「壮大な物語」は出来ると思えますが、そういった多様性は、はっきり言って皆無。 ドラマというより、幻覚としか思えないぶっ飛んだ物語性に強引に納得・感動させられるGENESISの「SUPPER'S READY」や、複雑・緻密・技巧的極まるアレンジな上、壮大極まるユートピアとして成立しているYESの「CLOSE TO THE EDGE」などとは較べるべくもないが、前半のフレーズが頻出する後半はそれなりに楽しめた。 OPETHのMikael Akerfeldtがゲスト参加している。
私はこのアルバムが、何故こんなにも音質が悪いのかさっぱり分からない。 前作のような割とシンプルなブラック・メタルではない、かなり凝ったアレンジが随所に施されたドラマティック・カオティック・ブラックとして孤高の音楽性を提示しながら(アルバムの裏面には「Empeor performed Sophisticated Black Metal Art Exclusively!」とすら表記されている)、こんなアングライズム溢れる音質にする必要性がどこにあるのだろう・・・音質によって楽曲の細やかさやダイナミズムを死んでいる気がする(もしかすると、メンバーの問題等からして「必然」だったのかもしれないが) 3rd以降の洗練された音質を知っているからだろうが、このアルバムはどうしても素直に誉められない。 ブラック・メタルの邪悪さを精神から音楽に落とし込んで生まれたのは、凄まじく複雑で技巧的な混沌が優雅に暴れ狂う、格調高いブラック・メタルである。音質は極めて「悪い」が、それを差し引いても、明らかにブラック・メタルの新次元を提示した傑作である、とは思う。
CDは発売当初購入しましたが、このアルバムによって私のEMPERORの評価が180度変わりました。 1st、 2ndの篭った音質に背を向け(3rdは買わず)ろくに聴き込みもしてなかったんですけど、このCDを聴いている間中、高い演奏力と尋常じゃない勢いに呆然としっぱなしで、聴き終えた後は今までの自分が持っていたブラック・メタルに対する稚拙な理解力を呪いましたね。特に「I AM THE BLACK WIZARDS」がこんなに格好良い曲だったなどとは、夢にも思わなかった。 さらにDVDはもっととんでもない事になっており、特に、 2nd以降の複雑なリードギターを完璧にこなしながら力強い絶叫をとぎらせる事なくしかもノーマルボーカルでコーラスワークまでこなすIhsahnの姿には絶句する以外ない。確実に、この人より上手いブラック・メタル・ギタリストはいません。 あとやはりライブならではの勢いが魅力的で、「WITH STRENGTH I BURN」や「YE ENTRANCEMPERIUM」におけるスタジオアルバム以上のスピードでの爆走が凄まじい。エフェクトにはガッカリだが、もしこのライブ会場にいたなら狂って死んでるんじゃないかと思います・・・あー死んでみたかった!! あとさらに個人的には、派手なアクションを見せないSamothの、「YE ENTRANCEMPERIUM」中のガッツポーズに痺れた(Behold my coming!!のところね)。 CDとDVDのライブはほぼ同じですが(「INNO A SATANA」の後の絶叫はCDだけかな?)、DVDにはPVが2曲入ってます。
99年発表の3rd。 元々アンビエント志向(っていうか大作志向)があったバンドだが、進化の方向性はULVERやTHE 3RD AND THE MORTALと同じで、SEが大幅に導入、形式より雰囲気が重視されており、さしずめアンビエント・ダーク・メタルと言える内容。10分台の曲はなくなり、5分台が基本となって聴き易くなっている。 ボーカル表現も増え、不協和音の使用なども面白い。が、相変わらず男声の魅力は薄いし、相変わらずメロディの印象が弱い。あと個人的意見として、Ann-Mari Edvardsen時代のTHE 3RD AND THE MORTALに似てる部分があるな、と。 アンビエント・メタルを薦めるとして、メタルっぽさをあまり好まない私はTHE 3RD AND THE MORTALを推すが、メタルを好む人からすればこっちの方が気に入るかもしれない。
これを気に入っている方は必ずTHE 3RD AND THE MORTALもイケますので、その狂気の穴を通ればブラック・メタルの世界に踏み入れられると思いますねー・・・いや、Frippのノイジーなギターとブラック・メタルの騒々しい音質って、実はそんなに変わんないというか、根っこは一緒ですよ。・・・ええ、誰も同意してくれなくていいです。 えーと、71年発表の4thアルバムです。
まず「EPITOME OF ILLUSIONS」を聴いて、次にこの3rdというのも変則的な聴き方だと思うが、何だかシンセが引っ込み過ぎてて、細かい部分が全然聴こえないんですけど・・・ミックスか何か間違えたの?こう意図したのか?確かにシンセの旋律より、マシン・ブラストの破壊力が凄まじい音圧で迫ってきて迫力満点ですけども。 メロディを抑えた神々しい暴虐ブラスト・ドラマと言えば聞こえはいいが、ほぼブラスト一辺倒なのに曲は平均8,9分と長めで正直冗長だし、壮大なシンセの旋律こそこのバンドの核と思っていた私にとって、これはちょっと不満。 でも基本の音楽性は変わってないし、あんまりシンセが目立たなくても充分に魅力的な蹂躙感を体験出来るので、割と満足はしました。Deamonのボーカル表現力が上がってて、絶叫はかなりのおぞましさ。
98年に発表された、1st以前のデモのリ・レコーディング盤。 このバンドの出現でブラックメタルの進化は打ち止めになった、という旨の記事を見た事があったが、聴いてみて納得した。これは「メロディック・ブラック」と言うより、「シンフォニック・ブラック」と言うより、何と言うか「ブラック・シンフォニー」であって、シンセサイザーが装飾の立場を越えている。というか、こっちがメインになっている。ここまでやると、ブラックメタルという騒がしい人間性を統べる神の旋律とでも言いたくなるし、だからこそギャラクシー・ブラックという呼称はぴったりだと思った。ブラックメタルの矜持がメロディによって、これ以上ないほどに蹂躙されていると思う。 加えてドラムが全て打ち込みであるがこれは、バンド解散後にMorfeusが結成したDIMENSION F3Hを聴いていくと、辿り着く先はメタルライブ会場ではなくダンスフロアというか、ブラストビート・レイブ・ミュージックではないのかとすら思えてくる。それくらいメタルの味わいが薄い。 冗長な部分は多いとはいえこれは、人間同士の戦争すら温かみを覚えてしまうほどの、神の手による人類浄化・惑星浄化音楽である。一曲目のイントロを聴いて私が想起したのは、YESの「Close to the Edge」だった。無論あんな複雑な音楽ではないが、壮大さは比肩している。
質問なんですが、1st「DE MYSTERIIS DOM SATHANAS」の作曲クレジットってどこかに載ってるんでしょうか? ライブDVD「EUROPEAN LEGIONS」のエンドロールで「BURIED BY TIME AND DUST」と「FROM THE DARK PAST」のクレジットは確認できますが、他の曲のクレジットが載っているCDやサイトをご存知の方いらっしゃったら教えて頂けませんか。 「実はカウントが関わっていた」とか、そういう事もあるのかな、とか思ったりするんですけど、どうなんでしょう?