キーボードは入っていないんですが…個人的に、初期EMPERORに通じるマジな邪悪さを感じる曲。特に「Equilirbium of TOTAL DEATH」の後の畳み掛けるパートにそれを強く感じます。EMPERORが、1stや2ndの頃の感性のまま、シンフォ要素を捨てて進化したらこういう曲を作ったのでは。
取り敢えずヴォーカルラインが素敵過ぎる曲。 特にHorroble×7の、段々ヴォルテージが上がるような歌唱がたまらないです。サビもリズミカルかつキャッチーに言葉を乗せていて、デスヴォイスオンリーの曲とは思えないくらいヴォーカルラインが頭に残る。SATYRICONの名曲「Fuel for Hatred」に近いですが、それを超える名曲…かも。「Horroble」「roborn」という造語も素敵。
アルバムの中でも、初聴のインパクトを最も重視しているであろう曲。イントロの「Sign of Presence」に続いて、様式美メタルギターの魅力がごく分かりやすく提示されていると同時に、歌メロの扇情度もかなり高い。こういう分かりやすい曲ってやっぱり好きですね。タイトルからはクワガタしか思い浮かびませんけど(笑)。
正直、「Epitome of Illusions」「Moon in the Scorpio」辺りの音源を未聴の方には到底お勧めできない、マニア向けの音源だと思う。それらの音源に嵌まっていて、「In Mourning Mystique」「Black Hearts Nirvana」などの名曲を、プリブラ準拠なRAW極まりない音で聴きたいという方にのみ推薦。
…と、無理矢理理屈を付けてこの作品の魅力を語るとこんな感じ(笑)。 一聴で「何か凄い」事は伝わるけど、その凄さを言葉にするのが難しいアルバムなんですよね。KHOLD、SATYRICON、CODE、SECRETS OF THE MOON辺りを愛好する方にお勧めですが…これらのどのバンドとも異なる個性を持った作品だと思う。ノルウェー産ブラックの奥深さをまたしても良く伝えてくれる好盤です。
ノルウェーのブラックの人脈でいうと、(Garmの)HEAD CONTROL SYSTEMに近い音で、質も決して低くないですが…どうしてもHCSの方が個人的な評価が高くなってしまうのは、ヴォーカルの好みの差でしょうか。このアルバムも、Vintersorg氏やSimen氏みたいなVoが歌ってくれれば、多分絶賛してたんだけどなぁ…。
ただ、このバンドがVBEと大きく異なるのは、キーボードが曲の大きなウエイトを占めている点。曲の不気味さを更に助長するかのように包み込むアトモスフェリックな音、独特の美意識の感じられるピアノ、ストリングス、メロトロンなど、メタルで良く使われる音色の他にも、UFOが飛行するときのSE風の音色など変わった音も取り入れられていて面白い。曲名にも「The U.F.O. Is Leaving」なんてものがあるし、こういう宇宙とチャネリングするかのような感覚は、NEPTUNE TOWERSからの影響が強いのかも。このキーボードが、それぞれの曲に更なる個性を与えてますね。
VED BUENS ENDEと比較すると、曲が割と聴きやすく、1曲1曲もキャラが立っている感じで、個人的にはVIRUSの「Carheart」やWINTERBLUTを引き合いに出したい音。CYNIC好きにも推薦できるとは思いますが…CYNICはメタラーなら取り敢えず聴いておく価値ありな音なのに対し、こっちはある程度マニア向けだと思う。展開が複雑とか、予備知識・音楽的知識がないと楽しめないという意味ではなく、波長が合わないと理解出来ないだろう、という意味で難解。私は当然バッチリ合いました(笑)。
選曲についてですが…個人的に好きな「Pilgrim」「Transmigration Macabre」を演ってくれているのは嬉しいんですが…インタビューで再録を示唆していた「Angelclaw」を結局演ってくれなかったのが残念。Angelaもスクリームとグロウルの使い分けが出来る人ですし、今の彼らの音で聴きたかった。カヴァー曲を入れるくらいなら、「Angelclaw」「Fields of Desolation」を入れて欲しかった…。
DSOのあの作品がプリブラの魅力をある程度分かっていないと辛いアルバムかと思いますが、こっちはデスやスラッシュが好きならもう少し入りやすい音楽性なのではと思う。自分達でも「This is a dynamic metal record」と言ってますし。 メジャーレーベルであるSeason of Mist所属らしい質の高さはあるし、ブラックのアングラな雰囲気もしっかり表現されているんですが、欲を言えば、DSOの「Carnal Malefactor」のような、イレギュラーかつ作品を強く印象付けるような、際立った名曲が欲しかった所ですね。
いつものCRADLEの作品と大きく異なるのは、大仰なシンフォニックさではなく、Daniのヴォーカルでもなく、ましてやブラックの狂性・ブルータリティでもなく、正統派的なギターリフであること。もう殆どメロデスなんですけど、世界観の演出だったり、曲展開のドラマ性だったり、至る所に彼らならではのセンスが発揮されていて、やはり一般的なメロデスとは一線を画してます。特にそれが顕著なのが上の方も褒めているメロディで、特に「Lovesick for Mina」は和風ホラーに通じる湿り気すらあると思う。
この曲のメロディ、どうも和風に聴こえて、聴いていて顔がにやけてしまうんですが(笑)。途中のノリのいいパートは彼らの世界観には似合わない気もしますが、たまにはこんなCRADLEもいいです。Written in the dead of the night, dead of the night!!大事な事なので二回言いました。
これは鬱ブラックの中でも、割と上級者向けなんじゃないかと思います。よく比較対象としてBURZUMの3rdや7thが挙げられますが、BURZUMと比較しても静的で、風景画めいた作風だと思う。 「burned」のリフ/リズムや「what once shined」の後半の疾走、一部で聴ける叙情的なリードギターなど、動的なパートもあれど、基本的にはスローテンポのリズムにアルペジオや平坦なブラックリフが描く海のような情景に、漣のようにトレモロリフが被さる、動きの少ない作品。