また、もう一つの大きな特徴としてはSEの多用が挙げられると思います。LADY OF THE EVENING FACEというアーティストが作っているようですが、ドローンやサンプリング等を駆使した音は、それだけ抜き出して拡大しても面白いものが出来そう。バンドの音と比べて音量が大きく、うるさく感じる所があるのは少し不満ですが、単なるサウンド・エフェクトに留まらないこだわりが感じられます。わざわざ「本編とインタールードにはキーボードは使われていない」と注意書きしているほどですし。
一言で言うなら、閉塞感特化型のディプレッシブブラック。楽曲はバラエティに富んでおり、どす黒いエネルギーで塗り潰すかのごとき、低音も効いたリフが息の詰まるような感覚を演出しつつ、ブラストも使用し攻撃的な印象の「Shrouded in Thorns」が動の閉塞感を描いてるとしたら、歪みの少ないサウンドで、アルペジオの残響音が空虚に響く「Tripolarity」は静の閉塞感を描いている、とでも言えそう。
結成の経緯が経緯だけに、「The Past is like a Holocaust」との歌詞は色々考えてしまいますが…そういう勘繰りをされることも承知で詞を書いてる気がします。そのフレーズの絶叫と、意外なまでに流れのしっかりした歌メロに、メリハリがあってかなりの良曲。アルバム内でも1、2を争うほど印象深い曲ですね。