前作「Dethroned of Impostor」がチープな音色も味に感じるような、センスの良いアトモスフェリック/シンフォニック・ブラックだった事もあって、相当な期待を持って聴いたのですが…最初聴いた時は頭を抱えてしまいました。なんか望まぬ方向に音楽性が変化してて、リアルで苦悶の呻きを発してしまいましたよ…(苦笑)。
こういう(ブルースのルーツが見える)王道HRって、バンドがセッションを楽しんでるような、明るさがある(今作にも、ボーナスの「Nowhere to Run」はその傾向が見られる)のでどうも苦手だったんですが、この作品はそれがメロウさ、鬱なムードである程度打ち消されていて、結果HRのグルーヴやキャッチネスといった恩恵のみを享受しているのが、個人的な好みにもフィット。
ノルウェーのブラックの人脈でいうと、(Garmの)HEAD CONTROL SYSTEMに近い音で、質も決して低くないですが…どうしてもHCSの方が個人的な評価が高くなってしまうのは、ヴォーカルの好みの差でしょうか。このアルバムも、Vintersorg氏やSimen氏みたいなVoが歌ってくれれば、多分絶賛してたんだけどなぁ…。
音楽性の方は、「BLACK THRASH SUPREME」を標榜しているだけあって、白塗りのブラックメタラーが演奏しているというよりも、楽器屋にたむろしてる刺青、長髪のちょっと危ない感じの兄ちゃん達がやっていそうなイメージがあるメタルです。「カモン!!」とか煽る所も結構あって、メタルの熱さが良く伝わってきます。
どこかで聞いた事があると思ったら…ARCTURUSのDVD「SHIPWRECKED IN OSLO」の「Season of Mist」のレーベルロゴ表示時にこの曲のイントロが使われてますね。 曲自体はクリーントーンのギターの美しいメロディを伴って進行していくもので、ヘヴィではないですが…この泣き声、ヴォーカルの人でしょうか?しかも微妙に可愛い声のような(笑)。ちょっと面白いかも。