End All LifeからリリースされているREBIRTH OF NEFASTとのスプリットが、ショップやレビューサイトなどでも割と大きく取り上げられていた事もあって、バンドの知名度はそれなりなのではないでしょうか。単体での初のフルアルバムとなる今作は、これまたブラックの有名レーベルDebemur Morti Productionsからのリリース。
物凄い勢いで他人を罵倒するような歌詞のサビと、なんとなく純情な感じの歌詞が交錯する一曲。 特に「Everything I see reminds me of her(見るもの全てが彼女を思い出させる)」「Fix my blade with the blade(刃で俺の問題を解決してくれ)」…って、まさか失恋してリスカしちゃう曲!?アナタは純情な女子デすカ。ダークな恋愛系はツボなので、ますますコリィが好きになりましたよ(笑)。
ジャケに貼られているラベルによると「New Dramatic Black Metal」と言うことですが、確かに時折登場する疾走パートや引き攣るようなフレーズ、凄い速さで刻むリフ、しわがれたデス声などはブラックに通じます。でも曲自体はメロデス並にメロディアスだし、クラシカルなキーボードもかなり入ってるし、キャッチーな歌メロはあるし…。
キーボードが緊張感を醸し出しながら盛り上げ、キメに繋げる展開がかっこよくて印象に残ります。「it blew me off the street」の部分のメロディ、Lazareの歌い方共に色気たっぷり。もう「官能的」どころか「エロい」と直接的な表現をしたくなる程です(笑) ラスト近くの渋い泣きメロも聴き所。
ABSURDのメンバーによるレーベル、Darker than Black発のブラックメタル経由アンビエント作品という事ですが、確かにLORD WINDやWONGRAVEN辺りのペイガン・アンビエントに通じる神秘性を醸し出す作風ですね。ただ、こちらはインダストリアル/エレクトロニカ要素もかなり強く、土着的な民族性よりもスピリチュアルな方面に足を踏み入れた音になっている感じがします。
モチーフはSLAYERの「Angel of Death」。 確かに、この速さはメロスピの疾走よりスラッシュの爆走に近いのかも。しかし、そこに乗るのはメロスピよりクサいシンセメロ。…DRAGONFORCEの音楽性を「まるで早送りしたよう」と表現されてる方がいましたが、この曲の「早送り感」はDRAGONFORCEでは相手にならない程強い。聴いててめっちゃ気持ち良いです。
前作「Raw Dark Pure」が、普遍的で聴きやすいブラックメタルの様式を踏襲しつつ、SATYRICONやTHORNSに通じる厭世・厭人的な雰囲気も感じさせる良盤だったんですが、今作もその作風は変わりませんね。前作の路線は踏まえつつ、音質面やフレーズ面、展開面などで更なるクオリティアップが図られている感じ。何気に前作から7年近く経ってますが、待った甲斐があったのではないでしょうか。