オールドスクールさ強めのバンドサウンド+神秘的なキーボードの組み合わせや、喉を潰すのも厭わないような衝動に満ちた絶叫など、EMPERORの伝説的な1stアルバムを想起させる場面も多い作品。場面によっては、はっきり「Cosmic Keys~」「I am the Black Wizards」辺りの楽曲の影を感じられたりするのはご愛敬でしょうか。キーボードのフレーズも印象深いものが多いですし、楽曲が金太郎飴になっていない質の高いものであるのも素晴らしいです。
MARDUK「Plague Angel」でのMortuusのパフォーマンスを思わせるような、ヴォーカルの鋭いがなり声(特に「Shining」での「Tearing the Tree of Life down!」の絶叫が一瞬寒気を覚えるほどかっこいい)もかなり良いですし、ブルータル系統が好きなら買ってまず損はないかと。マイナーですが、カルト志向に理解がないと楽しめないという訳ではなく、ごく入りやすい音出してると思います。
Nattefrost氏による自殺一直線な歌詞が印象的な曲。 「Sell your soul~」の所のヴォーカルなんて、全身全霊を込めて恨み言を言っているような感じだわ…。ラストの「This confession has meant nothing…」の語りのサンプリング、KRIEGも使ってましたけどこれって何なんだろう…。
アルバム本編ラストを飾る、集大成的な曲。 …この曲の「Die all the believer」からのドラマティックという言葉さえも陳腐に思えるほどの劇的メロディと、絶叫のコンビネーションを聴いて、何も感じない人間が果たしているでしょうか。確かにダークではあるけど、人を感動させるのに十分すぎるくらいのエネルギーに満ち満ちてます。ヴォーカルもデス声ながら歌心がある。 そしてアルバムのクライマックスとも言える、今までの曲の主題を繰り返した後に怒涛のサビに突入する展開、この素晴らしさを文章で伝えようと思ったら図書館を100件建てたとしてもまだ足りないでしょう…。私もコメント書いてないで、ここを見ている全ての人に無理矢理聴かせて、「どう、凄いでしょ?」って言いたい気分(笑)。大袈裟かもしれませんが、それくらい感動してしまいました。
2曲目にして、既に地獄の軍勢は勝利を収めた模様(笑)。 主旋律がもう人ならざるもの達の凱旋、としか思えません。そのメロに乗って歌われる「♪As I see~」のヴォーカルラインも歌心がありすぎて困る!!電車の中で聴いてて歌いそうになるんですけど(笑)。しかし、(心の中で)この部分歌ってると、地上を焼き尽くす悪魔にでもなったような、全能感と高揚感がありますよね(笑)。
声がヤバイヴォーカリストというと、「Wolf's Lair Abyss」のMAYHEMや、1stのMUTIILATIONなんかが思い浮かびますが、彼らはまだ声をかっこよく聴かそうという努力が感じられるのに対し、この人はほんとに感情のみで叫んでる感じです。サンクスリストに精神病院らしき名前や「Psychiatric Emergencyのスタッフ」とかがのっているんですが、演技じゃなくてマジだったりして…見た目もDEATH NOTEの死神みたいで凄い事になってるし。
この曲の咳き込みはなんか喀血しているみたいですね。 個人的に好きな箇所は「Are they forlorn? Yes! They are forlorn」の部分。MAYHEMのManiacに比肩するほど邪悪に潰れたうめきと、車に轢かれた猫みたいな独特な裏声悲鳴を交互にやっててめっちゃかっこいいです。案外器用だったりして…。
特にリフを前面に押し出し、ドラムをやや控え気味にしたプロダクションや、トレモロの奇妙に震えるような音、聴いているだけで不幸になりそうなフレーズなど、「音使い」によって邪悪さを感じさせることにかなり拘っているような作風がかなり素晴らしい。ただ、ラストの「Oeuvre de Rouge」は最早音楽の形を留められなくなる寸前のような、破綻しかかったぶっ壊れたパートも含んでるので、人によってはトラウマものかも。私も最初聴いてて正直恐怖を感じましたもん…。
THE LEGIONなど多くのバンドに在籍した人物による、エクストリームメタルとして普通にかっこいいドラミングに、真っ黒い軌跡を引き摺るような平坦リフや、ドロドロした溶解感に満ちたトレモロなど、メタルとしてのアンサンブルを補完する事よりも疫病的な情景を重視したようなギターフレーズが乗る、少しアヴァンギャルドな匂いのするブラックメタル。このバンドはOsmose所属ですが、NED系のバンド辺りのファンが好みそうな作風ですね。
このバンドも、WOLVES IN THE THRONEROOMやPANOPITICONと並んで、最近話題のカスカディアン・ブラック(カナダやアメリカの特定地域の自然主義アトモスフェリックブラックやその一派)として注目を浴びているようで、某ファンジンでもかなり大きく取り上られていましたが…前述したバンドよりも、より音響をフレーズより重視したような、メロブラから離れアンビエンスに重きを置いた作風で、更にコアな路線と言えるかもしれません。
サンクスリストを見ると、日本や韓国のバンドに交じってBATHORY、BURZUM、DISSECTIONの名前があったりしますが、このバンドもそれらの初期ブラック、とりわけDISSECTIONに多大な影響を受けたであろう、メロディックなスタイルのブラック。一部「Where Dead Angels Lie」へのオマージュっぽい部分もあるのがなんか微笑ましいです(笑)。ただDISSECTIONと比べると、こちらはミディアムパート中心に曲を展開させたり、全体的にメロディにほんのりペイガン色があるのが大きな違いですね。
Pest Productionsってポストブラックに強い印象があるんですけど、こんなバンドも抱えてるんですね。インスト明けの2曲目から、シンプルだけどやたらに主張の強いメロディを奏でるトレモロと、わざとらしいくらいに馬鹿速いドラムロールが絡む、洗脳必須な強烈な印象を残すブラックを展開。どこか作り物っぽい感じも、B級めいた魅力があって悪くないです。インパクトは大事ですね。
1曲目の素晴らしい完成度も捨てがたいですが、アルバムから一曲選ぶとしたらこれ。「MISSION」「Made in HEAVEN」の頃のTOSHIさんのソロを思わせる繊細さとワイルドさが同居した歌メロを、ガチのメタルサウンドに乗せた感じ。イントロとか「どこのゲーム音楽ですか?」っていうくらい分かりやすくてクサいかっこよさがある。「♪心は涙で染まった 血に愛を叫んでた」との歌詞をそのまま体現するような、血涙凄絶ヴォーカルも素晴らしい。
まずこの1曲目で衝撃を受けるでしょう。 メロディの美しさ、展開の構築美などがX JAPANを思わせる楽曲。リフやリズムなどは真似できても、こういう要素は本当にセンスがないと真似できないと思う。しかもそれで超名曲レベルを作り上げるのが凄い。「♪~keep on lasting」「♪~keep on loving」の歌いまわしがLeo Figaro氏っぽいのが地味にツボ(笑)。ただ、ラストのSEがダレることが、唯一の欠点でしょうか。
アングラ劇場的な、フリーキーな不気味さと、死を思わせるシリアスな恐怖感が同居した作品。鬱で邪悪な音なんですが、どこか深遠さとか芸術性とかも感じられるんですよね。BLUT AUS NORDの「MoRT」辺りの、前衛的でパラノイアックな音が好きな人は間違いなく気に入るかと。テンポの遅さとリフの音響的雰囲気から、ドゥームやドローンが好きな方にもお勧めです。