OPETHのデスヴォイス入りの作品では初めて聴きましたが、一曲目から容赦が無いですよね(笑)曲の長さ、壮絶なデスヴォイスなど取っ付きにくい要素はあっても、この叙情世界は一度ハマってしまったら… それにしても、「pierced the night」のところ…随分と気持ちよさそうに絶叫してますね~。聴いてるこっちもいっそ気分が良いです(笑)直後の「ゥヴォ~!!」の絶叫もまたかっこいいです。
2回目の「before you die young」の所の歌と演奏の絡みや、後半の「The Drapery Falls」にも匹敵する哀しみのリフなどパートごとに見ても聴き所は枚挙に暇が無いくらいですが、全体のバランスが恐ろしく良い、名盤中の名曲です。 ごくたまに「メタルは80年代(もしくは90年代前半)で終わった」と言う人を見かけますが、きっとこの曲を聴いたら考え直し猛省する事でしょう(笑)
しかし、GORGOROTHやENSLAVEDではなくORCUSTUS、LEVIATHANではなくLURKER OF CHALICEの日本盤を発売するDaymareってつくづく不思議なレーベルですよね…ハードコアを通過しているバンドがオーナーの好みらしいから、その関係もあるのかも。あと、相変わらずこのレーベルの解説は参考になるし、読んでて面白いです。
DISK UNIONでトレモロリフ愛好家にお勧めされていたので、ついレジに持っていってしまった1枚。確かにトレモロリフ含有量の非常に多いブラックメタルなんですが、ドゥーム的な引き摺るようなギターリフ、灼けつくような物悲しさを感じさせるギターメロなどもあり、トレモロ一本槍な作風という訳でもないですね。ゾンビの腐肉が剥がれ落ちるかのごとく、ノイジーな音像の中で鳴り響くトレモロリフの使われ方といい、BURZUMのスタイルに近い発狂絶叫ヴォーカルといい、疾走パートは多いものの鬱ブラックに近いムードを持った作品。
BLAZE OF PERDITIONのメンバーによるサイドプロジェクトの1枚目の作品ということですが…クリアながら、ブラックメタルらしい生々しさとコシの強さも備えた良質な音作り、鬼気迫るような威圧感を感じる、威厳のあるヴォーカルのがなり、如何にもブラックメタルといった荒涼感や毒々しさのあるトレモロリフなど、かなりBLAZE OF PERDITIONと共通した特徴を持つサウンド。正直本隊のアルバムに入ってても違和感無い曲ばかりだと思う。
と言ってもブラックの邪悪さに満ちたトレモロはしっかり聴き手の耳を惹きますし、決してマニアオンリーな作品ではないのがミソですね。BLAZE OF PERDITIONが気に入った方はもちろん、聴いていない方でもブラックの宗教的なムードや邪悪さに惹かれている方なら受け入れられる間口の広さはあるかと。BOP同様良質な真性ブラックです。
DSOのあの作品がプリブラの魅力をある程度分かっていないと辛いアルバムかと思いますが、こっちはデスやスラッシュが好きならもう少し入りやすい音楽性なのではと思う。自分達でも「This is a dynamic metal record」と言ってますし。 メジャーレーベルであるSeason of Mist所属らしい質の高さはあるし、ブラックのアングラな雰囲気もしっかり表現されているんですが、欲を言えば、DSOの「Carnal Malefactor」のような、イレギュラーかつ作品を強く印象付けるような、際立った名曲が欲しかった所ですね。
このアルバム、Ice Daleら他のメンバーも曲作りのアイデアに参加してるか、King氏がメンバー構成に合わせた曲作りをしているんじゃないでしょうか。基本はヘヴィネスやスピードに過剰に依存しない、リフ・リズム主導で邪悪さを表現するスタイルですが、近年のENSLAVEDに通じる幻惑的なギターフレーズや、Iに通じるグルーヴ感のあるリフも所々に上手く取り入れられてると思う。「This is Black Metal!!」な音でありながら、決してテンプレ通りの音にならない、安心と実績の作曲能力は流石King氏。
2012年発表の音源集。 89年発表のデモ「M.O.D.L.」、同年リリースの同タイトルのEP、92年発表のEP「Antichristian Front of Freedom」、同年発表のフル「Ficcion, Lujuria y Blasfemia」、94年発表のフル「F.A.L.」の計5タイトル収録のお得盤。
PALE CHALICEはアメリカのブラックメタルバンドで、このEPが初の音源となるようですが…いきなりレベル高いですね、これ…。粗めのプロダクションや陰湿なトレモロ、陶酔感を感じる疾走など、プリブラとしての要件は備えつつ、この手の普通のバンドよりも一歩踏み込んだ作風を演っている感じ。DEATHSPELL OMEGAは「Si~」アルバムで暗黒美や宗教的な禍々しさに重きを置く作風になり、プリブラからは離れた感じですが、この作品はそうした禍々しさをある程度匂わせつつ、依然プリミティブな音を出している感じですね。
ブラック特有の轟音ギターを用いて情景を描く作風はWOLVES IN THE THRONE ROOMやALCESTに通じますが、あちらのバンドのような清浄さ、美しさは薄く、もっと病的でドラッギーな印象で、その辺りブラック好きの感性に合うかもしれません。新世代のブラックが好きならば聴いておいて損はないと思います。
アルバム1曲目。タイトル曲や「Now I See」辺りの完成度を思うと、1曲目としては少し物足りないかも。エクストリームメタルとしての矜持を見せ付けるかのような、メロくないブルータルなパートがありますが、そこが1349と比べるとちょっと弱い。 とは言えメロディックなパートはやはり素晴らしい出来ですが。
メロブラに鮮烈な泣きメロ、クサメロの類を求めるならば1st、妖気の漂う雰囲気を求めるならこの作品がお勧め。因みに、CDトレイが真っ黒なので外してみたら、そこにはニーチェの言葉が…その中の「if you gaze for long into an abyss, the abyss gazes also into you」というフレーズはMAYHEMのイタリアのライブ盤で、Maniacが言ってたMCとほぼ同じですね。 ブラックメタルを聴いて、教養を付けるなんていうのも面白いかも(笑)。