フランス産インダストリアル・ブラック。 フレンチブラック・エリート達によるプロジェクトで、ARKHON INFAUSTUS等の666 Torturer氏、MERRIMACK等のJudicael氏、ANTAEUS、SECRETS OF THE MOONのLSK氏らが在籍している事が判明しているらしいです(どのメンバーがこのプロジェクトでどのバンドネームを名乗っているか、何を担当しているか等は不明らしい)。
ヴォーカルのクリーンも溜息を付くような嘆き節で、雰囲気を壊すことがなく良い感じ…なのですが、個人的には鬱ブラックのある意味での「粗さ」「衝動性」が、エレクトロでアーバンな雰囲気作りの足を引っ張ってしまっている印象も受けますね…。ULVERの「Perdition City」やSTAR OF ASHの作品なんかが顕著ですが、この手のエレクトロ路線の作風は音のレイヤーが丁寧に重ねられて陶酔できる雰囲気を演出することが多いですが、その傾向がプロダクションの粗さと少しぶつかっている感じがするんですよね。
一言で言えば、「Sworn to the Dark」期くらいまでのWATAINや、FUNERAL MISTを思わせるような、ジャンルとして成熟してきてからのブラックの王道…という感じの、邪悪さを追求するような路線の音ですね。コシのある…と表現したくなるような野太いデスボイス、邪悪なだけでなく宗教的な神秘性も感じさせるトレモロなど、表現のレベルは間違いなく高いと思います。
漫画のベタ塗りの如く、真っ黒に塗り潰すようなノイジーなリフで情景を描写するミニマルなスタイルで、DARKSPACEやSUN OF THE BLINDに近い路線。バンドサウンドではない、ノイズやドローンで聴かせるパートもある辺り、特にDARKSPACEに近い音だと思います。尺の長さも10分超えが当り前ですし。
アルバムの締めである四部構成の組曲「In their darkened shrines」の導入に当たる曲で、古代エジプトの世界観を日本の般若心経で表現した怪曲。 アメリカ人にとっては日本人も古代エジプト人も一緒なのかコノヤロ~!!と皮肉の一つも言いたくなりますが(笑)、この光の届かない洞窟で儀式をするかのような雰囲気は、ほんとに好き者には堪らないんですよね…。スフィンクスは日本に視線を向けているという説もありますし(←真偽不明)、分かってやってるのかも。
ライブアルバムとリミックス+新曲が収録されたミニアルバムの2枚からなるアルバム。 ライブアルバムの方は音質が良好で、特に1st収録曲は曲にダイナミズムがプラスされ、さらにカッコ良さが増している印象があります。各アルバムからまんべんなく選曲されているセットリストもいいですね。また「MARCH OF THE PIG」はライブ用にアレンジされていて、最後に疾走パートが追加されていてこれもまたカッコ良いです。 「STILL」と名付けられたミニアルバムの方は、割と音数の少ない「雨の日曜に聴きたいメランコリックなアルバム(トレント談)」になっています。特に「THE FRAGILE」なんかはこっちの方が更に楽曲のメロディが堪能でき、しかもボーカルが歌いなおされているので聴く価値は十二分にあります。 いちおう「STILL」が付いていないライブアルバムも販売されていますが、断然2枚組をオススメします。
Pretty hate machineの中で一曲目にして一番格好イイと思う曲です。 私としてはオリジナルもいいけど、ライブアルバム「AND ALL THAT COULD HAVE BEEN」のテイクの方がより重低音が効いていて、しかも音質が最高なのでこちらを推薦したい所ですね。 オリジナル版はトレントが無駄にセクシーな声(笑)で歌っているのでそちらも注目です。
いくつもの緻密なリズムの織り成す、完成度の高い楽曲。 この曲は緻密なリズムも然ることながら、物凄く官能的な感じのする詞も凄いです。わりと静かな曲なのにライブでは「I wanna fxxk you animal.」の部分では大合唱が起きます(笑)。歌が終わった後のシンセ(?)のメロディもなかなか良いですね。 ちなみに何気にカラオケにあるのですが、この曲を歌ったところ友達が「you let me penetrate you」あたりから「ヤバい、ヤバい」と言い始め、サビの「I wanna fxxk you like an animal」で大爆笑してました(笑)
えぇと、このCDを推薦する文章を書くのは難しいので、自分なりの解釈で許してください(笑) このCDは「LEFT」「RIGHT」に分かれていますよね。最初は当然のように「LEFT」→「RIGHT」という流れで聴くものだと思っていたのですが(ライナーでも最後の曲として「RIPE(with decay)」が挙げられていますね。)、何回か聴くうちに「THE WAY OUT IS THROUGH」のオープニングに相応しいドラマティックな曲展開、「THE GREAT BELOW」のエンディングに相応しい美しさに気付いて思いました。 「このCDは、そもそも2枚の独立した作品ではないのか」と。 歌詞の方も、「LEFT」では「WE'RE IN THIS TOGETHER」では自分の理解者を見つけたような詞になっているし、「THE FRAGILE」では守る側の人間の視点での詞と、全体的に「人間関係」がテーマのように思えました。 一方「RIGHT」では裏切り者を告発するような「STARFXXKER.INC」や他界した祖母を歌ったと思しき「I'M LOOKING FORWARD TO JOINING YOU,FINALLY」など、「喪失」がテーマに思えます。 私はこの音には癒されます。なんというか、通常ならギターの歪みが耳に痛いようなかなり大きい音で聴いていても、逆に耳に心地よい音なんですよね。何故だろう…。でも以前の「THE DOWNWARD SPIRAL」「BROKEN」等とは全く違う音ですね。どちらも好きですが、ここまで変わるとファン層も結構変わる気が…
ライナーによると、「民族音楽とマシンファンクの融合」だそうです。 ポップでありながら練りこまれたリズム、覚えやすいメロディのサビなど何気にキャッチーな曲になっています。ただ、「Tried to save myself,but myself keeps slipping away(自分を救おうとしても、滑り落ちていくだけ)」という歌詞を幾度となく連呼されるとちょっと怖いです。
とにかく完成度の高いインスト曲が何曲も挟まれるこのアルバムにおいても、かなり上位に食い込むような曲だと思います。 基本的にピアノとノイズの美しい絡みが堪能出来る曲ですが、「JUST LIKE YOU IMAGINED」のようなやや攻撃的なノイズでなく、やさしく包み込むような、タイトル通り「La mer(海)」を想起させる曲ではないでしょうか。アルバムの中でこの曲が一番という人も多いと思われます。
よくデスメタルやブラックメタル等のディスト—ションの掛かった、美しいメロディのリフを「極寒の地を連想させる…」や「荒涼とした…」という形容詞で表す事がありますが、この曲はそれをインダストリアルノイズでやってしまった怪作です。このノイズは曲の序盤と終盤に現れますが、それに挟まれた浮遊感のあるパートも耳に心地よい音です。 この曲にグッときたら、ライブアルバム「ALL THAT COULD HAVE BEEN」のDISC2「Still」収録の静かなミックスも聴いてみる事を薦めます。
多くの人を待たせたであろう4th。 3rdからは…6年ぶりになるのかな?私はリアルタイムで3rdを聴いたわけではないので それほどでもないですが、ファンの方は相当待ち焦がれたんじゃないでしょうか。 帯や雑誌の評論を見ると、「ポジティブなエナジーに満ちた快作」とこのアルバムを 褒め称えているものが多かったんですが、歌詞をちらっと読んだだけでも「トレント、 本当に大丈夫?」と心配になってしまいます。 特に「Getting Smaller」なんて聴いていて怖くなる程の内省的な暗さで、詞を読むだけで 雑誌のインタビューでは「ポジティブになった」と言わされてるんじゃないのかな…と、 余計な心配をしてしまいます。確かにサウンドは繊細さはそのままに、今までと比べると 随分とスッキリした印象で、「Know What You Are」「The Hand That Feeds」のような キャッチーな曲もあります。が、「All The Love In The World」や「Beside You In Time」 と言った曲はやはり今まで通りの壊れそうな、どこか頼りなげな雰囲気があります。 もちろん作品としては好きなんですが、相変わらず作った人の精神状態が心配になるアルバムですね… ちなみに歌詞カードは入っていなくて、「ウェブサイトを参照のこと」とありましたが、 こういう趣向は正直止めて欲しいかな…歌詞を印刷するの面倒だし、アートワークも無いし。
楽曲の作りはとても丁寧だし、間違いなくハイクオリティな作品ですが、暴虐さに飽かせて突っ走るタイプではないのに演奏時間が30分ちょっとと短いのが、少し惜しいところでしょうか。それを除けばかなり素晴らしい作品なので、KEEP OF KALESSINやEMPEROR辺りのクオリティの高いブラックが好きであればお勧め。
このバンドはウクライナ出身という事ですが、ウクライナってロシアの横の…バルト3国でしたっけ(違ったらスミマセン…)? まだ2ndを聴いただけですが、このバンドメロディがEMPERORクラスに良くないですか!?CHILDREN OF BODOMがサイトで人気トップになる程にメロデスが台頭してる昨今、もっと人気が出ても良いと思うんですが…
ボーナストラックとして11分を超える大作である「Return Of The Vampire Lord」を収録しています。デモだけあって音質は悪く、曲によってはテープのひずみのような音まで入ってしまってます。「Goat Horns」や「Nechrist」とはベクトルの違った悪さで、前述のアルバムの様にディストーションが効き過ぎて聴き辛いというのではなく、純粋に音がしょぼいです(笑)。ただ、轟音に悩まされず美麗なメロディを堪能出来るので、人によっては他のアルバムより気に入るかもしれません。 曲の方ですが、やっぱりこのバンド凄いです。