仰々しいクラシカルなオープニング曲から繋がって始まる曲。 Moi dix moisらしい荘厳メロディ&アレンジで疾走する曲ですが、とにかくアレンジが素晴らしいです。雰囲気たっぷりの女性ヴォーカルは作品をより壮麗に昇華しているし、ギターもメロディアスに主張していて良い感じです。日本のインディーズ界にここまでのアレンジ能力を持ったアーティストはManaさんを除いてはあまりいないのでは!?
このゲームのリアレンジは当たり外れが大きいですが、これはちょっと… 「GO MY WAY!!」「キラメキラリ」「帰り道」などを作曲した神前暁さんのペンによる メロディは素晴らしいし、癖の少ない/灰汁の強いヴォーカルを敢えてデュエットさせる 試みも良いと思いますが…テクノと歌謡曲の美点を打ち消しあうようなアレンジで台無し。 ベスト「MASTER OF MASTER」収録のオリジナルを聴いた方がいいかも…。アレンジでも 昼ドラ主題歌風「蒼い鳥」やパンク風「太陽のジェラシー」とかは良かったんですが。
…しかし、カヴァー曲らしいですがそんな鬱系の曲の中にいきなりキャッチーなリズムとメロディアスなギターが入った曲が入ってるのが謎。明らかに浮きまくってるんですが…。KRIEGの「The Black House」のVenus In Fursといい、Imperialの考えてる事は良く分からない(笑) 全体的になかなか良かったんですが、34分でフルアルバム分の値段なので高く感じるかもしれません。
CAMPO DE MAYOの中心人物による独りブラックとの事ですが、カルト性はCDMの頃より更にアップしている気が…。まずブラックメタルパートが始まった時、余りの轟音に耳が潰れるかと思いましたもん(笑)。音量を下げて普通に聴ける様に調節すると、そこにはULVER3rdを思わせる極悪金属質ノイズ含有型プリミティブブラックの姿が。音質こそ人を選びますが、悪魔の霊柩車に乗せられ疾走するような、青褪めたメロディ使いがなかなか悪くないです。
個人的には、「One of these Nights」や「Seasick」辺りはサイケデリックロック要素の取り入れ方があからさま過ぎる(だから駄目という訳ではないけど)ように思うんですが、禍々しいサイケデリアをブラックメタルらしくリフによって演出する「Omnivore」辺りは彼らの個性が現れた、掛け値無しの名曲だと思います。
WORSHIPやMOURNFUL CONGREGATION辺りの葬式ドゥームと比べるとテンポは大分速めで、メロディも鮮やかな事からその手のファンには徹底していないように聴こえるのかもしれませんが、個人的にはこれはこれで丁度良い按配だと思うんですよね。AHABやSWALLOWS THE SUN辺り行ける人は試してみてはどうでしょうか。お勧めです。
2011年発表の1st。 Attila Csihar (MAYHEM)、Nicholas McMaster (KRALLICE)、Travis Ryan (CATTLE DECAPITATION)がゲスト参加。…もうこれ年間ベストでいいかもしれない。
Steve Tuckerがヴォーカル、Blasphemerがギター、Flo Mounierがドラムというエクストリームメタル界の超重要人物が一同に会した…という触れ込みの、まさしく期待通りのテクニカルなデスメタル。Steveのズ太い咆哮に威圧されながらBlasphemerとFlo Mounierの達人同士の立ち合いを、特等席で見られる(聴ける)ような素晴らしい作品です。
ただ、基本的に刺々しい音作りながら、キーが入るパートや妙な味のあるドラムと共に疾走するパートなど、音数が増えるような箇所では相対的にノイジーさが軽減されて良い感じに。また、アルペジオのフレーズは鬱ブラックの中でもかなり秀逸な方で、聴き手を徐々に俗世から切り離していくような魅力がありますね。中でも前半部をヴォーカルとキー、アルペジオのみで聴かせ、儚さを強調した「…and I shall exist no more」は異色で出色の出来。他の曲では世を疎んじて苦悩していた感じですが、これは既に召されかけてます(笑)。
普通、一曲17分の曲をアルバム中にバージョン違いで2回、計34分も、しかも基本的にミドルテンポでリフで引っ張っていく展開に乏しい曲を聴かされる…と聞いたら、絶対ダレそうだと思うんですが…それどころか、34分も聴いていられる事を逆に嬉しいと思わせるくらいに素晴らしいリフ…Kanwulfは天才ですか!?特にリフが高音になり、哀感を増してきたときはほんと何度聴いても胸が痛くなります。 Alternative Versionの方は高音リフのところでギターが足され、更にメロウな雰囲気が濃くなりますが…これは琴線に触れる、どころの話ではありません。琴線に触れ、そのまま掴んで引きちぎられるくらいツボにハマりました。…なんて曲だ。
出音的には、名盤である「Rasluka PartⅡ」や「Geliebte des Regens」とそこまで変わりませんね。インダストリアル・ノイズのようなジリジリとしたノイジーな音質やエモーショナルで繊細なメロウさが練り込まれたリフを繰り返していく作風、Kanwulfのマイクに噛み付かんばかりの声量のある歪み切ったヴォーカル…と、前述の作品で聴けたNARGAROTHらしさは不変なので、ファンならば安心して購入できる出来だと思います。
ただ、今回は前述の作品のようにメロウなリフを繰り返していく作風の曲だけではなく、メロウさや情感よりも攻撃性に主眼の置かれた、聴いているだけで憎しみが伝わってくるような曲やオールドスクールなリフを取り入れた曲なども取り入れて、ある程度バラエティに富んだ作風なので全体的な印象としては「Black Metal Ist Krieg」に近いかもしれません。「Black~」の路線を「Rasluka~」の音質でやった感じ、と言うと近いと思います。
メンバーがDROWING THE LIGHT、AUSTERE、NOX INFERI、WOODS OF DESOLATIONなど、豪州産ディプレッシブ/アトモスフェリック・ブラックの名手として知られるバンドにも在籍、ISOLATIONともレーベルメイトという事で、そのアンビエンス(雰囲気・空気感)醸成能力をシンフォニックな方面に向けても、きっと良いものが出来るだろうな…と思い購入しましたが…予想/期待通り応えてくれる作品でした。
個人的には、DISSECTIONやNAGLFAR、OLD MAN’S CHILD辺りと並んで「メロブラの代表格」扱いしても差し支えないバンドだと思います。最近KEEP OF KALESSINやISTAPPなど、良質なメロブラの日本盤がリリースされてますが、このバンドも日本盤を出して、日本のメタル好きにもその実力を知らしめて欲しいです。