オフィにはPain Humanisedが1曲目と書いてありましたが、再生ボタンを押して歌われるのは「Dryland」の歌詞…どうやらオフィも間違ってる模様。その歌詞に「in the dryland」というフレーズがあることからして、歌詞とタイトルはちゃんと対応してるっぽいです。 歌詞から判断した、正しいと思われる曲順は以下の通り。
1. Dryland 2. As Mist Lay Silent Beneath 3. I Deny 4. Dragonlord 5. Orb of Man 6. Pain Humanised 7. Towards I Roam 8. Agnen
なんか歌詞カードも後ろの曲リストも「DRAGONLORD」「PAIN HUMANISED」「DRYLAND」の曲順がめちゃめちゃなんですが…「♪I have opened the door~」で始まるこの曲がDRYLANDで良いんですよね? 冷たさよりもタイトル通りの渇いた感じのするメロディ、最初は音質との相乗効果で淡白に聴こえたんですが、慣れてくるとそうでもないかも。
前作の「Many Are We」の流れを汲むブラックンドスラッシュ。 ヴォーカルとバンドが一体となってグルーヴを演出したり、缶を叩くような超豪速ブラストに挑発的なGメロを乗せたり、展開も劇的でテンションが天井知らずで上がっていくような曲。…このバンド、基本メロディアスなのに刻みリフの使い方が犯罪的に上手いんですが…。
内容ですが、これはミニとしてはMAHEMのWolf's Lair Abyssにも匹敵する超名盤だと思います。まずリーダーであるObsidian.Cのギターですが、②のソロや③のリフ、曲展開などを聴いてみると、彼がこの濃ゆいメンバーの埋もれるどころか、リーダーとしての威厳を見せつけることのできる素晴らしいギタリストであることが分かります。
97年発売のアルバム「Through times of war」収録曲のリメイク。 豪速ドラムと呪詛ヴォーカルの炸裂するストレートなブラックと言う事で、このバンドが以前カヴァーした事もあるMAYHEMの名曲「Buried by time and dust」を思わせます。勿論あの頃よりもヴォーカルはパワーアップしていて、特に血を吐きそうながなり声は必聴です。
このバンドの場合、素晴らしいと思うのは、ペイガニズムの表現方法への貪欲さ。 他のペイガン/フォークメタル同様、民族楽器による叙情メロ、詠唱系男性Vo&祈祷師系女性Vo、トライバルでパーカッシブなリズムなど「お約束」な部分はしっかり押さえてるんですが、このバンドはそこに留まりません。いかにもペイガン思想の地下プリブラがやりそうな凍てついたトレモロと2ビート疾走、後期THE 3RD AND THE MORTALに通じる幽玄でコンテンポラリーな雰囲気のキーなども取り入れてるほか、部分的ですが、民族メロの素朴さが、シューゲイザー寄りブラックに通じる温かみをもたらしている所もあったり。
個人的には、「Memoirs」期のTHE 3RD AND THE MORTALに通じる音色を取り入れていながら、THE 3RD~が現代的な都市の風景を描いているのに対し、このバンドは土着的な世界観を表現しているのが面白いと思いましたね。相当このシーンを研究し、咀嚼して自分のものにしているんじゃないでしょうか。
Metal Bladeからの発売、Terrorizer誌にもレビューが掲載されるなど、結構プッシュされてる印象。販促シールではBEHEMOTHが引き合いに出されてたりするので、ブルータル路線のバンド化と思いきや、意外にもロック寄りのミッドテンポ中心のグルーヴィなリズム、情感の籠ったリードギターで聴かせる音で、冒頭からハンドクラップ入れたくなるようなキャッチネスがありますね。
リズムにロックのダイナミズムを導入する事で、アングラメタルのふてぶてしさ、ブラックメタルの暗黒エナジーを表現する、(「Now, Diabolical」「The Age of Nero」期の)SATYRICONにも通じる路線ですね。SATYRICONが鬱系メロの練り込まれたリフと威厳のあるデス声を用いていたのに対し、こっちはオールドスクールで太い響きのリフと、スラッシュがベースにありそうな野太いダミ声を使っているのが大きな違い。
ノルウェー産ブラックメタルバンド。 中心人物のS. Gronbech氏はKEEP OF KALESSINのメンバーであり、1stアルバムでもギターを弾いているObsidian C氏の兄弟。またKOKのThebon氏も正式メンバーと、メンバーの多くがKEEP OF KALESSIN絡みで構成されるバンド。先日Season of Mistより1枚目のアルバムをリリースしました。
メンバーやスタッフがKEEP OF KALESSIN絡みのバンドですが…特に「Armada」以降のKOKの影響が顕著ながらも、しっかり差別化されている作風ですね。スラッシュ由来の、刻みを多用したダイナミックで動きの多いリフ捌きを用いた、メタルとして非常に質の高い演奏はKOKに通じるものがありますが、こちらはKOKのように完全にリフ主導の曲作りではなく、3rd以降のARCTURUSを思わせるシアトリカルな展開も多いのが特徴。
そういう訳でKEEP OF KALESSINとは明らかに異なる路線を行く音ではあるんですが、そこかしこにKOKの影が感じられるのも興味深いんですよね。「Inhuman States」のファストに絶頂に上り詰めるような、スラッシーなリフ捌きはKOK好きなら確実にグッと来るだろうし、全体的なバンドサウンドの音作り自体がかなり似てると思う。この歪みに頼り過ぎない、フレーズをしっかり聴かす事を念頭に置いたようなギターの音作り、KOK共々かなり好きですね。