ノルウェー・ドイツの混合メンバーからなるシンフォニック・ブラックメタルバンドで、MAYHEMその他のHellhammer氏がドラムを務める…という事と、日本盤が出てたこともあって購入。シンフォブラックの王道をDIMMU BORGIRやCRADLE OF FILTH辺りとすると、そこからは若干路線を異にする作風の音ですね。
バンド名の示す通り、「戦争」をテーマにしたブラックメタルを演っているバンドですが、いわゆる「ウォー・ブラック」的なダーティでアンダーグラウンドな手法ではなく、整ったヘヴィな音で畳み掛ける、ブルータル・ブラック的な音に近い感じですね。時折トレモロリフによるメロディを前に出すパートはあるものの、メロディアスさを過剰に押し出さず、あくまで冷徹で無慈悲な音を貫くスタイルはMAYHEMの「Wolf’s Lair Abyss」辺りと共通するものがあるかも。
変り種ブラックとして、特にアヴァンギャルド性を薄気味悪さやダークさに転化させているバンドとしてよく名が挙がる彼らですが、ほんの触りを聴いただけでもそれを納得させられてしまうような作品ですね。路線としては、LEVIATHANやDEATHSPELL OMEGAなどのカオティックで暗黒趣味の強いブラックと、LE GRAND GUIGNOLやPENSEES NOCTURNESなどの前衛的で演劇趣味なシンフォブラックを掛け合わせたような、不気味なアンビエンスを醸し出すブラックメタル。
KilljoyとManiacを中心に結成されたバンド。 関連アーティスト多すぎ(笑) Vo - Killjoy Vo - Maniac Gt - Phil Anselmo Ds - Fenriz Ba - Satyr というアングラメタルファン垂涎のラインナップ。 …のはずなんだけど、リリースしてる音源やそれに関する情報が少ない…
このバンドはアトモスフェリック系のシンセだけでなく、ピアノの音色も多用してますが…そのメロディのセンスが尋常でなく素晴らしいんですよね。特に2曲目の「Macabre Be Thy Blood」で繰り返し聴けるピアノのメロディは、儚さ、絶望感、美しさ、毒々しさの全てが、キャッチーと言っても過言ではないくらい分かりやすく込められていて、聴いているだけでアッチの世界から喚ばれている感じがしてきます。
サモスが懲役に服している間にかなり曲を練ったのか、メロディが凄く良くて「WITH STRENGTH I BURN」や「THUS SPAKE THE NIGHTSPIRIT」の普通声パート、「THE LOSS AND CURSE OF REVERENCE」のシンセパートのメロディなんて聴いていてじーんと来てしまいます。
尺の長い曲ですが、イーサーンの威厳の有るノーマルボイスに最後まで聴き入ってしまう一曲です。 ダークなイメージの強いバンドですが、この哀愁と勇壮さを湛えたメロディラインが素晴らしいです。多分ブラック好き以外にも受け入れられる曲ではないでしょうか。 追記:ライブ盤を聴いたんですが、これがまた最高です…「HEAR MY CALL」の前で一瞬溜める展開が追加されてたり、朗読が良く聴こえるようになったりしてオリジナルに負けないかっこよさです。ライブ盤も聴いて下さい!!
私は演奏技術に疎いので良く分からないですが、このアルバムのTrymのドラムには心底圧倒されてしまいました…「タリム」ってなんだか可愛らしい響きの名前なのに、やっていることはエゲツないです(笑) IHSAHNのノーマルボイスもとてもかっこよく、個人的には「Inno A Satana」をオリジナルより良い音で聴けるのが嬉しいです。選曲も3rdまでのベスト的内容で、EMPERORはこの盤から聴いても十ニ分にハマれます。オススメ!! (でもIHSAHN白いTシャツ着てない?ブラックとは思えない格好です・笑)
「WRATH~」の音源はテープの歪み音が入ってたり、正直聴いていられない程なんですが(ホントにリマスターしたのかって感じ・笑)「EMPEROR」の収録曲は凄く良いです。特に「I AM THE BLACK WIZARDS」なんて叫びすぎて声が裏返りそうになっているところとか、後半のシンフォニックなパートではアルバム版には無いシンセのメロディが入っていたり、こっちの方がかっこいいと思える出来だと思います。
他にもライブ盤のみ収録の「NIGHT OF GRAVELESS SOULS」のオリジナル音源(何かを吐き出すようなボーカルが超かっこいい!!)が入っていたり、「COSMIC KEYS~」の別バージョンが入っていたりとファンなら買って損はないかもしれないです。
「CURSE YOU ALL MEN!」や「THE SOURSE OF ICON E」の陰に隠れてる印象があるかもしれませんが、この曲は主題となるシンセのメロがはっきりしてたり、中盤の間奏でかなりの速さの疾走パートがあったりしててかなりかっこいいです。隠れた名曲、でしょうか。 ラストの悪の勝利を称えるファンファーレのような音色が好き。
なんかこの曲を聴いていると自分が魔王になった気分になってくる(笑)、そんなダークさに満ち溢れた楽曲。 少しIHSAHNの滑舌が悪い感じがしますが、「weaker by weaker,one by one」のところなどはかなり迫力があります。ただリフが高音域が聴こえすぎてメロディアスに聴こえないところが少しネックかも。 Ihsahnが「joy」という単語を大袈裟に「ジュォイ」みたいな感じで発音してたのはちょっと受けてしまった(笑)
聴くものを内に閉じ込めるかのようなフレーズのドラムス、暴虐の中から顔を覗かせる叙情的なメロディ、一旦リズムが止んでシンセサイザーの音色が響く展開、どこをとってもカッコイイ一曲です。 この曲や「CURSE YOU ALL MEN!」のギターのメロディって何故か口ずさんでしまうんですが、これってキャッチーって言っていいのかな(笑) 中毒になりそうな一曲です。 でもボーカルは「ぅわ゛ぁぁぁあああぁぁッ!!!」とか、かなりヤケクソに聴こえるんですけど(笑)
2009年発表の二枚組みライブ盤。 2006年のノルウェー(Inferno Festival)とドイツ(Wacken Open Air)でのライブを収録。Wackenの方はDVDでもリリースされてます。
「Emperial Live Ceremony」と同様、音は少し小さめながら良好で、細部が分かりづらかった1stや2ndの曲もかなり聴きやすくなってますが…これを聴いて思うのは、シンフォニックブラックにおいて、ジャンルのクラシックとなるべきクオリティの名曲を生み出せているバンドは、EMPERORを除いて未だに殆ど出てきていないな…ということ。
EMPERORファンならマストな作品ですが、二枚とも選曲がほぼ一緒なのは少し不満ですね。特に4thからは一曲しかないし…「The Eruption」「The Tongue of Fire」とか聴きたかった。まあ再結成は一時的だし、仕方ないですけど。でも仕方ないじゃ済まされないのが、ヴォーカルがメロディ歌うパートでハモり入れてるEinarの歌唱が、ヴァイキング風朗唱でもブラック風呪詛でもなく、パワーメタル風熱唱なこと。しかもIhsahnより声でかいし、Ihsahn歌いづらそうだし…皇帝の曲をそんな風に歌わないで欲しい…。
IN THE WORDLESS CHAMBERの美しいシンセのフレーズでかすかに見えた希望を断ち切るかのようなへヴィなリフで入る曲。ギターの高音が危機を告げるも、低音はそれから逃れられぬ事を告げる…みたいなパートが何とも言えません。 一条の光の様に差し込むシンセが「白」、闇を思わせるダークなバンドサウンドが「黒」で「灰色」のように解釈してます。